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日英NPOフォーラム-共生のコミュニティにおける民間非営利組織の役割と経営-

質疑・応答

■萩原 ありがとうございました。大変収益的なお話をいただいたというふうに思います。1つのディベロップメントカンパニーが非常に広範囲な分野で、また、それぞれに対して深くかかわっていくというようなことが伺えて、大変皆さんの参考になったのではないかというふうに思います。私はとりわけ、そのソーシャル・インクルージョン・パートナーシップという中で、ヘルスとウエルビーイングの部分はまあ遅れているようですけれども、私どもが今から構築していかなければいけない仕組みのようなものが既に英国で機能しているということについて、大変うらやましく思いましたし、それからコミュニティー・アクション・ネットワークという概念もまた後に議論できるかもしれませんが、大変貴重なご意見だったというふうに思います。  それで時間があと10分ございますので、質問をお受けしたいと思いますが、どなたかいらっしゃいますか。お1人いらっしゃた。――マイクをすみません。

■質問者 おもしろい話をありがとうございました。NPOが250もあって、どういう方がやっておられるのかと。それは年齢とか、お金持ちがやっているのかということなんですね。日本でNPOをやろうとしても、ボランティアとかそういう習慣がないものですから、人間が、受け皿がないということがありますが、幸せなことに最近リストラとかそういうようなことで高齢の方や男性が随分余っていて、時間とお金と知恵のある人間がたくさんいますので、そういう連中がNPOとしてやったらどうだということを言っておるんですが、どのようにお考えでしょうか。

■萩原 ありがとうございました。  質問の内容はおわかりですか。ではミラーさん、お願いします。

■ミラー 私のところでは、スタッフの半分は地元の人たちです。あとの半分は、例えば私などはもう少し生活条件のいい地域から来ておりますので、この地域の出身者ではありません。  イギリスを全体で見てみますと、このボランティアの数、あるいはボランティアの種類というのは、いわゆる地元での活動家の人たちもいますし、それからいろいろな企業に勤めている人たち、少し時間を割こうとしている企業人たちもいます。私自身はもともとはコミュニティーセンター、これはグラスゴーの北東部で働いていたんですけれども、30年ほどボランティアとして、これは趣味でやっていたんですね。最後にこのセンターの副所長のような、副会長のような立場になりまして、これは、例えば託児所ですとか青少年育成ですとか、それをイギリス皇太子の基金ですとか、そういうものに頼って行いました。また、老人ホーム的なことも行いました。このときは、運営委員会はすべてボランティアだったと思います。そのときには弁護士もいましたし、専業主婦もいましたし、したがっていろいろな人たちがいたということが大変大きな強みだったと、今は思います。
 今、グレイター・イースターハウスのこのNPO団体には有給スタッフもおりますし、そうでない人たちもいます。ただ、NPO団体で有給ということでそういった職務を用意してしまいますと、結局地元の人たちがその仕事につけないで、ほかの地域から来た中産階級の人たちがその仕事を取ってしまうという懸念はあるんですね。
 ただ、ボランティアの数も多いです。私のところでは有給スタッフが56人、それから2人ボランティアがおります。これは私のところですね。ボランティアの1人は、私どもが行っておりましたトレーニングを受けた人です。これは公式なトレーニングではありません。非公式のトレーニングなんですけれども、今は大学でコミュニティー教育の学位を取ろうとしています。つまり、そういった学問的な裏付けをする、そして実際の経験を得るために、今は一週間に2回、私と一緒に働いてくれています。そして、学校で学んだことの実践を行っているんですね。ただ、ここでも難しいのは、彼女自身が生活保護の対象者なのです。ですから、余りにもボランティアに時間を割くと生活保護が剥奪されます。したがって、そういうことがないように気をつけなければなりません。もう1人のボランティアは警察官なんです。病気休暇で長いこと病欠していまして、彼が警察官だったときにすごくストレスがあって苦しんでいたんですね。その時代から私は知っているんですけれども、これで単に自宅で療養して、そしてストレスでより苦しむよりも、うちのところに来て働かないかと誘いかけたのです。フレックスでかまわないから来てもらって、そして職場の中でみんなと一緒に働くその連帯感ですとか、共同意識ですとか、そういうものを持ってもらおうと思って働いてもらっています。そういったボランティアへの働きかけもあると思います。ただ、イギリスでの問題は、そういった生活保護を受けているボランティアの人たちですね、そういう人たちがその制度を乱用しないように、地方自治体が非常に監視の目を光らせています。ですから、そこら辺は地方自治体ですとか、その政府とのより緊密なやりとりが必要になってくると思います。

■萩原 もう少し詳しくお伺いしたいような、例えばボランティアバンクとか、それからステイツメントフィットの関係など、大変興味があったところですが、ご質問に対するお答えはこれでいいでしょうか。ご質問なさった方。

■質問者 はい、いいです。ありがとうございました。

■萩原 よろしいですか。  それで今のご質問のほかにもう一方、あと3~4分ございますけど、いらっしゃいますか。はい。

■質問者 いろいろ貴重なお話をありがとうございました。少し気になります、日本と国情が大分違うという意味では大変残念ですが、ここでは少し発言を控えます。私もイギリス人の前にさらすのは嫌なものですから。でも、逆に知りたいのは、あれだけ多くのボランティア団体、あるいはNPOあって、それの横の連携、お互いに連絡網は何か国内でできているのだろうか。  それからもう1つは、日本ではすべて役人が表に出てきますけれども、役所との連携はどのようになっているのか。先ほど政府と話し合いをするなどと言いますけれど、それはどんな風にしてつくっていくのか、このあたりがちょっと見えにくいと言いますか、もう少しわかりやすく説明をいただけないでしょうか。

■萩原 わかりました。それではステュアートさん。

■ミラー 先ほどステュアートさんがNCVOというのが傘になっているというふうに言ったと思うんですけれでも、ボランティア評議会というのがスコットランドではあるんですね。そして、昨年まではボランティア団体というのがグレイター・イースターハウス地域にありました。これによっていろいろなグループが結びつけられていました。資金上の事情というのがありますので、その資金の流れというものが一たん切られてしまったためにそれがなくなってしまったんですね。そして、私は開発会社を通じまして、そのなくなってしまったギャップを埋めようということを試みております。その辺のアシストをしようとしているわけですけれども、ただ、そのNPOのほとんどは資金を市の評議会、つまり地方の政府、あるいは社会的なインクルージョン・パートナーシップ・プログラムから得ているわけですね。そのソーシャル・インクルージョン・パートナーシップというのがあるために、いろいろな問題を識別することができるわけです。どんな問題があるのかということ。  それからいろいろな会議をやっております。こういったような、きょうのようなセミナーではないんですけれども、いろいろな人がミーティングをして、どういったやり方が一番いいのかということを討議するということをやっております。きょうのようなものはまだ頻繁には行われてはおりませんので、コミュニティー開発センターというところでもって、そこで3つ4つの組織にオフィスを置いてもらって、それでトレーニングルームあるいはカウンセリングの部屋、あるいは共同の休憩場所なども設けて、みんなで共同で使うようにして、そこで社会的に非公式にそういったつながりができればいいかなというふうに思っております。
 ただ、イースターハウスでも、非常によく運営されている組織もあります。こういったところは、しばしば無視されている、余り価値があるというふうに認められていないというところもあるわけです。パートナーシップ・マネジャーとしては、私のように非常に一生懸命やって、そういった忘れられている、隔離されている組織の人たちの存在も認めて、彼らも取り込んでいかなければいけないというのが私どもの役目だと思っております。  それからまた、地方の自治体、組織とのつながりということですけれども、NPOと地方自治体、まあ中央政府から地方自治体を通じて、あるいはソーシャル・インクルージョン・パートナーを通じて資金が来るわけですけれども、そのモニタリングシステムというのもありました。1万ポンド以下という場合とそれ以上の場合というのがあるわけですけれども、お金をどのようにして割り当てるのかということ、そしてこれをどう監視していくのかということですね。どのように使われていくのか。これをやるに当たっては、非常に緊密な連携が必要です。NPOが何か革新的なことをやろうというような場合、そしてまた、お役人の方としては、余り画期的なこと、全く新しいことをやってもらうと困るというようなことがあるわけです。そういったような場合は介入するということもありますけれども、公式なつながりというのは財政的な金銭面でのコントロールというのが唯一のものと言っていいと思います。ですから、非常に固定されたコミュニケーションの方法というのはありません。

■萩原 おわかりになりましたか。先ほどのエサリントンさんのお話でも、コンパクトがあるにはあるのですけれども、それが政府とそれからNPOと、NPOと政府との関係で、そのコンパクトに著しく違反するようなことがあれば先ほどのオンブズマンが機能するというような話もありましたから、またその点なども、午後、ディスカッションで聞いてみたいと思います。  それでは3分ばかり超過しましたが、12時40分までがスケジュールですので、次の午後のパネルディスカッションを13時40分から始めたいと思います。それではどうぞよろしくお願いいたします。