音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

2001年GLADNET年次総会

GLADNETコミュニティの会員による彼らの活動に関わるプレゼンテーション

講演 Micheal Kamp氏

ケンプさんはWorld Association for Supported Employmentに所属しておられ、オランダからいらっしゃいました。ケンプさん自身障害者の娘さんをお持ちで専門家としてのお話をうかがいます。

まず、90年代のオランダの状況について説明します。国内ではその頃から障害者の失業率は高かったのですがはまだ深刻な問題として捉えられていませんでしたがヨーロッパ全体の労働市場をめぐる法律が改定されましました。それに伴い財政的な支援がでています。昨年にはヨーロッパ全体のプログラムでの一貫でネットワークに関するWERKNETというものが出来ました。

このプロジェクトの目的は重度障害者のニーズを特定しサポートし雇用を促していこうというもので1998年に始まりました。このプロジェクトの出てきた社会背景ですがもともと色々な組織や団体が障害者の雇用に取り組んできましたが、色々なプロジェクトの結果がまちまちで雇用促進に成功しるところもあれば失敗のところもあります。そこで各団体間で話し合いの場を持つところから始めました。彼らに問題点は何だのかといった色々な質問を投げかけました。そういった質問はもっとも簡単な部分です。しかし難しいのは実際にその結果を踏まえて何かをするという事です。問題を指摘された団体は組織の準備が十分ではないとかケアーをしている対象が重度だから他の団体よりも難しいのだと言い訳をします。つぎの質問で組織は、せっかくいろいろなサポートが用意されていても、どんなサポートを受けることが出きるかきちんとした把握をしていませんでした。あるいはどういった考え方で取り組んでいるのかという問いかけに対して具体的な情報の欠如のために適切なアドバイスをすることが出来ないという事が浮き彫りとなりました。

どういった情報を障害者が求めているかといった情報をきちんと持ち合わせていないので具体的な答えは出きません。このように組織に十分な情報がない場合もあります。

障害者雇用の現場の企業の対応を把握するため面接形式の調査をしてみました。調査では一人の支援にどれだけの時間をかけているのかなどを調べました。障害者は食堂、洋服のクリーニング部門、自転車の管理などの仕事をします。その様なそれぞれの職場で障害者が上手く仕事が出きるように支援をするわけです。職場での支援は現場の同僚から受ける場合が一番多いのですが、同僚の支援を得ようとすると一週間に2時間ほどと大変限られています。その結果雇用促進でうまくいっていない団体は障害者自身の問題よりも受け入れ先組織の内部的問題があるという傾向がわかりました。

多くの団体は障害者の雇用の取り組みとしてプログラム施行型のアプローチをとっています。これは障害者個人を見ずにプログラムに組織が合わせていくという方法をとっておりこれには問題があります。これよりも個人支援型のアプローチが求められています。そのサポートで障害者が自主的に考えキャリアーを開発していきます。

ある企業は障害者の雇用が一人もなかったのですが積極的に変えていきたいという柔軟な考え方を持つ組織でありましたので2年後には10人の障害者を雇用するに至りました。今も非常に積極的にフルタイムの雇用促進の活動をしています。ここの従業員に尋ねてみたところもっとも大切なのは職場の障害者に対する知識と答えました。職場の同僚は障害者の方をよくわかっているので必要な支援が何であるかといった事や職場で求められている能力といった知識を持っています。しかし、重度障害者にとってはさらに職場内の他に外部の支援も必要となります。必要なときには電話をかけるなどして随時支援を得られる環境を作り出すべきだと思います。

会場風景もう一つ私たちのプロジェクトで実施した調査は「質」に関するものです。伝統的な「質」へのアプローチはやはり組織的なアプローチの仕方をします。例えばどれくらいのレベルの教育をスタッフは持っているのかといったことや支援団体の認定の基準があります。これは個人中心にはなっていません。

1997年に7つの基準をたてそこからガイドラインを決めました。http://www.wase.netという新しいドメインでウェブサイトでオランダ語だけではなく英語でもこのガイドラインを見ることが出来ますので是非みなさんもご覧下さい。このガイドラインを用いると自分の組織の障害者の雇用の質をチェックする事が出きるようになっています。

Monro氏が言うには、こういったガイドラインなどの記録を残していく事が障害者自身が意志決定をするために大切と言っています。

ここでCDROMのデモストレーションをしたいと思います。

オランダではこのCDROMは企業での説明に使っています。その他にもどういった活動が出きるかと考えている段階の団体にも見て貰っています。具体的な雇用例をCDROMの中で紹介し、実際それを団体内で実施した結果のフィードバックも貰っています。

CDROMのビデオ映像がありますので一つご紹介しましょう。

ハンクさんの例です。工場で清掃の仕事をしています。ハンクさんは学習障害を持っており読むことが出来ないので、職場での指示は写真を使っています。ハンクさんにはこの経路を清掃して下さいという事は写真を使って指示を出します。写真に番号をつけてありその番号に従って作業を行います。責任を持って仕事をしてもらうために他の同僚が困っていたら手伝ってもらっています。このようにしてグループ全体として技能を伸ばすことが出来ます。企業側も満足をしています。

さきほど申し上げましたがこういった個人主体の支援の手法は非常に有効と評価をいただいています。

CDROMのテキスト部分を紹介します。

「質」という事についてはここでその注目すべきポイントを何ページかにわたって説明してあります。こういった資料を活用をしていくことで埋もれている障害者雇用の可能性を広げていきていです。これは欧州のプログラムの一貫ですから英語版のCDROMも準備する予定です。しかし、ブリュッセルのEUはなかなか予算を裁可してくれません。EUは組織がしっかりしすぎていて官僚主義の弊害で予算がおりてこないのでプログラムの実施が遅れるという問題が起こっています。それでもこのCDROMについては出来るだけ多くの人に情報を提供する方法として活用していきたいです。