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講演会”スウェーデンとアメリカにおける「読みに障害がある人々」への情報サービス”

ジョージ・カーシャー氏(RFB & D、DAISYコンソーシアム)講演

ジョージ・カーシャー氏の写真

このたびは、お招きありがとうございました。
 来日はいつも楽しみです。本日は二つの役割を果たします。RFB&D、もうひとつは、DAISYコンソーシアムとしての一員としてです。
 まず私のもともとのRFB&Dについて、ご紹介します。この組織は非営利団体です。国の教育図書館として機能していて、特に視覚障害者と印刷字の読めない障害を持つ人たちを対象に活動しています。九万冊を超える蔵書をもっていて、学生や学校から連絡があると、コピーを作って送ります。リクエストに応じてコピーを作ります。設立は1948年で、当初はレコーディングフォーザブラインドと呼ばれてました。次第に盲ではないのですが、他の障害があるため、本が読めない人たちにたいしてサービスを提供し始めました。1970年代には、その範囲を広げました。例えば、視覚障害でなく、学習障害をもつ生徒もカバーするようになりました。そして、徐々にサービスの範囲を広げていきました。これらの学生たちが私たちに言ってきたのは、自分達は目が見えないわけでないのにこういう本を借りると罪深い気がする、ということです。そこで、1995年に名前を変えました。いわゆる視覚障害者のためのレコーディングだけでなく、その他の人たちもカバーできるようにです。50%以上の人たちは視覚障害者ではなくなったからです。そして、レコーディングフォーザブラインド・アンド・ラーニングディスエーブルとレコーディングフォーザブラインド&ディスレクシックという二つの名前の選択肢がありました。そして私たちは普通の印刷物が読めないすべての学生に対し、サービスを行いたいと思いました。それが使命です。学習障害をもつ人々に対してのレコーディングというと、学習障害についての誤解も生じます。そこで最終的に選んだのが、レコーディグ・フォー・ザ・ブラインド・アンド・ディクレシアという現在の名称です。より良い理解が得られ、資金を提供してくれる人たちから好きになってもらう名前を考えました。

さて、私が今日使っているスライドはパワーポイントではありません。スタンダードW3CHTMLスライドです。次のスライドです。
 さて、私たちのミッションは、こちらに書いてあるとおりです。アクセシブルな教材を制作し、すべての学生たちに機会提供するという、非常に基本的な目的です。オーディオをDAISYに転換するのは、昨年から行ってます。学生たちはカセットテープの素材を使い、そして、学習障害をもつ学生達は録音図書を聞き、同時にテキストを見る、という形で読書ができます。同時に2つを行うことによって、学生達は情報の理解を深め学業に成果が見られます。しかし、テープは使い勝手が良くありません。非常に難しいのです。アメリカでは4トラックシステムを使っていて、それぞれのテープが4つの面を持っていますが、混乱してしまうのです。章やページに行きたい、または頭出しをしたいときに、使い勝手がよくありません。このことがDAISYが勝っているひとつの点です。

ジョージ・カーシャー氏の写真2

非常に面白いといって、よせられたコメントにどんなものがあるか、いくつか紹介します。学習障害をもつ学生からの情報です。これらはすべて事実です。

280万人の学生が特別な教育サービスを受けている。このサービスは何かしらの障害があるために、他の生徒と同じような、いわゆる主流の授業ではついていけないというケースです。何年ものあいだ、このような生徒たちは、健常の学生とは別のところで教育を受ける形でしたが、まるべく早く、そのような生徒を他の生徒と同じように主流の授業に統合させようとしています。今、アメリカで何人の学生が障害を持っているかは分かりませんが、多くの学生達がこららのサービスを必要としています。この280万人のうち、52%の学生は、学習障害を持っていると言われています。つまり、視覚障害でないということです。

そして、学習障害をもっている子供たちの85%の(スライドでは35となってますが)子供達が読むことに非常に困難を感じています。過去に盲学校での教育がいろいろ行われていたとき、私どもが盲の「生徒」だけを対象にしていたときは2~3万人にサービスを提供していましたが、名称を変更してからは10万人になった。DAISYのフォーマットになったら、もっと多くの人をサービスする必要あります。DAISYは簡単に使えますので。これからますます、先生達にもDAISYを推薦してほしいと思います。

高校を18歳で卒業すると、次に大学、大学院、ドクターコースという教育課程があります。学習障害を抱える子供達の35%は、高校卒業までいけない。全国レベルよりは低いわけです。たくさんのいろいろな「謎」があり、障害を抱える子供たち自身が、自分たち自身を恥ずかしいと思っている。読めないのが何が悪いか、と思えば良いのですが、目が見えないのではないのに、印刷物が読めない、ページが見えるのに、コレを処理できないという彼らの問題があるわけです。非常に怠け者だという風に言われたり、実際には平均より賢いのに頭が良くないといわれたり。そういった中で、35%がドロップアウトする結果になっています。これは大きな数字です。

そして、更に大学にいけるのは、2%のみということになり、50-60%の学習障害を抱える生徒は、薬物中毒にかかっていて、治療を受けているということで、かなりの数字ですです。学習障害を抱える子供のうちの14%だけが、高校まで行くと言う事ですが、教材を提供する事により、この数字をあげていきたいと思っています。そして、大学に入った学生のうち援助を求める学生の約20%は何らかの学習障害があるということです。大学はそのような学生のための便宜を図る必要があります

RFB&Dの情報ですが、9万のタイトルがあり、全米の5千人のボランティアが録音しています。32の都市にスタジオがあり、5,6,7つくらいのブースがあり、ボランティアが録音しにきます。大変、興味深いのは年々たくさんのボランティアの人たちが来るようになっていると言う事ですね。そのようなボランティアの人たちは家族の中に学習障害、ディスレクシアの人がいてサービスを使っています。当初は視覚障害者にサービスを提供していましたが、ボランティアも増え、学習障害への関心が高まっています。

また、これにより、毎年たくさんの本をさらに作ることができます。現在年間4000冊の録音図書を作っています。毎年、録音に12万時間くらいのつかいます。。教科書だと一般の小説などより厚く、1冊30時間くらいかかります。5-6歳の幼稚園から、18歳の高校生、大学生、ドクターレベルなどあらゆる教育レベルを対象にしています。実際の職業を持っている人たち向けのものもありま。私も実際に、RFB&Dに本の録音をオーダーしています。

RFB&Dはあらゆる主題をカバーしています。オーディオによる本なので、数学はオーディオではうまく表現できません。数学や物理などは専門の教育を受けた人に録音してもらっています。私どものWeb、http://www.rfbd.org/ではカタログをのせているので、どんな本があるのか、ここでみてもらうことができます。オンラインではまだ注文ができませんが、やがて実現したいです。

障害のため印刷字の読めないどんな生徒にもサービスを提供しています。学習障害、読みに障害がある、ディスレクシア、視覚障害者、読むことに困難がある身体障害者の方も利用できます。例えば、河村先生がジョイスティックを使うのを見せてくれましたが、これは、身体障害を抱える人で、四肢が使えない人には役に立ちます。

では利用者にどのような恩恵があるのかということですが、一般的な教材にアクセスが可能になります。そして、生徒達に課せられた読書をすることができ、他の生徒と同じように課題に取り組むことができます。そして、同じ情報を得ることができ、平等な教育の機会を受けることができます。平等なサービスです。

いろいろなスピードでこれを聞くことができます。非常に早く再生することもできますし、もしくは、ゆっくりと、聞くこともできます。このように、再生スピードをコントロールすることで、様々な学生に適応できるわけです。また、自分自身で使いこなせ、誰かに頼まなくてもよいので、非常に独立した形で、学習ができます。そしてこれは、生涯学習ということで、一生かけてこれを使って勉強することが可能になります。

そして、特別な恩恵としては、学習障害をかかえる子供たちにとっての良い点ですが、まずは、読むことを学ぶのではなく、学習するために本を読むということです。
ディスレクシアの生徒たちが、読書することによって先生の方から、これを読みなさい、どういう意味か、説明しなさい、と言われなくてもよくなります。彼らは読もうとします、意味をつかもうとします。しかし、彼らの精神力は見たものが何なのか理解しようとすることで精一杯です。1章読み終わり、「どんなものを読んだの?」と聞いても、「わからない」というわけです。全ての精神力を使い何が書いてあるか理解しようとするのですから、内容について理解することができないのです。聞いて同時に見ることにより、情報の理解に集中することができる。これは学習障害を抱えるすべての学生にとって、基本的に非常に重要なことです。

そして、同じ教材を使って勉強する。読むための練習のみではありません。このようなテクノロジーを常に使い続けることにより、だんだん親しみを覚え、自分でも使いこなせるようになります。読めるスピードが速くなってきたら、再生のスピードを上げればよいわけです。正確に読めるようになったら、それを聞きながら言葉を読んでいくことで、本を読むという能力も改善が期待できます。

9月3日にRFB&Dで始めたのは、DAISYのフォーマットによる本の配信です。6000本のテープをDAISYのフォーマットにしました。そして、われわれの録音用のブースも32都市にありますが、これをDAISY用にしました。全部をデジタルにするのは半分くらいしか道のりが来ていませんが、大体、9ヶ月後くらいにはすべての録音が、デジタルでできると思います。オーディオブックスのサービスは継続して行っていきます。そしてこれからはDAISY図書の質を改善することにも焦点を当てたいと思います。

テープではオーディオだけですが、DAISYはオーディオ、テキスト、イメージ、マルチメディアにも発展していけます。我々はフルテキストでのタイトルを作っていこうとしています。つまり、テキストがあって、人間の声で録音する。フルテキストにすると費用が2倍くらいかかります。そのため、障害のための色々な組織が、法律を通そうとしてまして、出版社で、テキストを出すと同時にDAISYのフォーマットでも出せるようにしたいと思います。これ出版社でやれば、DAISYの本ができます。これが一番よいやり方で、DAISYコンソーシアムのなかで標準化を促進し、技術を開発していくこれにより、図書館で一番最適なものを制作できることを、目指しています。
一番大きな開発部分は、フルテキストです。作業部会で、XMLによって技術を開発してテキストをより簡単に、制作できるようにしたいと思います。テキストがあれば、点字ができるように。フルテキスト、フルオーディオのオーディオで聞いて、点字にできます。同時に触って感じることができる。ですから、視覚障害者も実際にそれを読み、聞くことができます。弱視の方はスクリーン上の文字サイズを大きくすることができます。さらに、学習障害の人たちも字を見て、聞いて、内容を理解できるようになります。

河村さんがさっき見せてくださったのはプレイヤーの一つですが、PLEXTERやVisuadeのハードウェアープレイヤーなど、とても良いプレイヤーです。ソフトウェアプレイバックシステムもいろいろできていて、一度にいろいろな発売されます。AMISのよいところは河村さんもおっしゃたように”スキン”です。ユーザインタフェイスを自分で創ることができます。特定の障害を持つ人にとって、使いやすいよう、ユーザインタフェイスを作り変えることができます。AMISの”スキン”カスタムメイドすることができます。
 ご静聴ありがとうございました。

河村/では、質問がありましたら、ご遠慮なく。

井上/私は、全国LD(学習障害)親の会の井上です。
一ヶ月前のことですが、日本の文部科学省は、特別支援教育に関する報告書を公表いたしました。
この報告書には、日本全国の小・中学生、4万人 余りの児童・生徒を対象にした調査結果が公表されており、約6%程度の割合でLD(学習障害)もしくはそれに類似した困難をもつお子さんがい ることが分かりました。
これは実に画期的なことで、政府の責任でこのような調査をしたのは初めのことだったのです。親の会でも、長らくお願いしていたのですが、やっ と実現したということです。約6%ということは、日本の義務教育にいる子どもたちの中の数十万人、あるいは全人口で言うと、100万人以上も LDのような困難を持つ人がいることになります。もちろん、全てのLDの人が読みに困難があるわけではないでしょうが、それにしても大きい数 字だと思います。
もう一つは、二ヶ月前ですが、日本LD学会という学会の大会があり、河村さんたちとご一緒にシンポジウムを企画しました。そこではDAISYの紹介 もしましたが、会場にディスレクシアの困難を持つ高校生のお嬢さんが来ました。お話を伺いますと、日本の点字図書館にも録音図書があるのです が、彼女はそれを使いたいと思って借りに行ったのですが、残念ながら、日本の法律では、彼女のような人たちには貸し出しができない規定になっ ています。もちろん私たちは、改善して欲しいとお願いしているのですが。
前置きが長くて済みません。

ジョージ/コメントしていいですか?今、おっしゃったこと、全て一貫しています。と言いますのはうと、アメリカでの状況と全く同じです。人口の6%が学習障害をもち、特に、読みに障害をもっている。その意味でアメリカと日本は同じなんだと思いました。では、質問どうぞ。

井上/アメリカでは、著作物などを利用するときに、フェア・ユースという考え方があると聞いています。たとえば障害を持つ人のために、理由がきちんとしていれば、著作物を自由に使うことができると聞いていますが、このことでトラブルなど、ないのでしょうか?それを聞きたいと思います。

ジョージ/私たちの図書館では、数年前ですと、出版社に対して事前に手紙をかいて、依頼をしなくてはいけなかったのです。許可を求めました。しかし、95年に著作権法が改正され、それにともない、読みに障害がある人々が出版物を使うときには許可の申請を免除すると言う事になりました。そして法律が修正されてどんな本でも、録音して事前許可なしに提供できる事になりました。いくつかの国で同様の法律が制定されています。カナダもそうですし、イギリスもそうです。インガーさんもおっしゃっていた、スウェーデンでも同様の対策がとられています。このような法律を導入している国があり、その動きは更に広がっています。アメリカにはもう1つ、ナショナルライブラリーサービスという、視覚障害、身体障害を持つ人のための国立図書館があります、最近は特に高齢の視覚障害者へのサービスの提供が増えています。例えば、小説や文学の制作が多いです。RFB&Dでは、特に、学習障害を持つ学生等をターゲットにしています。国立図書館はむしろ、若い学生というよりも、視覚障害者を持ってる人全般と高齢者を主な対象にしています。

会場/ありがとうございました。ジョエル・スナイダーといいます。私は今週、横浜のユニバーサルデザインの国際会議のために来日しています。私はワシントンDCから参りました。ナショナル・キャプションイング・インスティテュートのディレクターです。ワシントンにオフィスがあります。オーディオ・ディスクリプション・アソシエートのプレジデントもしています。というのが私の紹介です。

質問したいのは、本当に今回、日本に来れて、あなたの講演を聞くことができて大変うれしいと思います。私は、アメリカで発展したオーディオ・ディスクリプションのコンセプトに初期から関わっています。これは盲・弱視の方々にビジュアルイメージ、特にアートがアクセスできるような技術です。ビィジュアルなものが言葉で表現されるのです。それにより、自分たちが見えないものを聞く、聞くことができないものを見るという両方のことができるわけです。それがユニバーサルデザインであり、全世界でのコミュニケーションの支援だと思います。興味があるのは、学びたいと思っているのは、オーディオディスクリプションがこの国において、どうなのかとうことです。私はアメリカから来ましたが、この4月、1週間のうち4時間、どのテレビ局も必ず、ディスクリプションをつけなければならないと定められました。テレビは視覚障害者にとってアクセシブルになりました。映画館も現在、ディスクリプション・サービスを備えつつあります。アート、ロデオとかパレードとか全てのパフォーマンスはそれの説明をする必要があると思います。日本ではどうでしょうか?今回、会議があり、私は来ていますが、RFB&Dよく存じ上げなかったのですが、ナショナルライブラリーのほうは、朗読者としてずいぶん前に参加したことがあります。これは高齢の視覚障害者ためとして少し、役目として違いますが。DAISYのプロジェクトを今まで聞いた事がありませんでした。長くなりましたが、質問についてはいかがですか?

ジョージ/河村さんからコメントしてもらいましょう。

河村/日本においては、オーディオ・ディスクリプションは少ないです。一番ポピュラーなものは、NHKのシリーズで、ドラマがありました。おそらく、今夜のレセプションに出ますよね?日本点字図書館の田中さんがいらっしゃいますので、そこからたくさん情報を頂けると思います。そのほかの方々も、いろいろ情報をお持ちですので、良い機会だと思うので。日本の状況についてお聞きください。

ジョージ/いろいろな国際会議で、私が言ってきたことは、それはあまりよく理解されませんでしたが、国際的に見るとアクセシビリティに関していろいろなことがされています。
 DAISYというのは、「スマイル」を基本にしています。シンクロナイズされ、マルチメディア、インテグレーション言語です。WWWコンソーシアムで標準が開発されています。HTMLはテキストのためにあり、スマイルはマルチメディアのためのものです。
 そして、DAISYコンソーシアムで手がけたのは、スマイルのスペックでした。ビデオのディスクリプションがデジタル化され、追加されたマルチメディア・プレゼンテーションですから、非常に重要な標準化のための作業でした。さらに、ボストンのWGBHもこれに加わっていました。
 ビデオの内容を記述することは、これは重要です。スマイルのアプリケーションを使っているのが何故重要なのかと言うと、例えば、デジタルビデオができる、あるいは、インターネット配信、DGBとなると、単に昔のビデオやテープの映画でなく、ディスクリプションを別のトラックに載せられます。オン、オフができる。その説明を隠すことも聴く事もできます。DAISYコンソーシアムが考えることは、マルチメディアのプレゼンテーションが、あらゆる障害に対応できる。つまりDAISYブックをベースにして、テキスト、オーディオをつける、あるいはビデオ、中身の説明をオーディオトラックに載せる。キャプションを出すなどが、出来る。こういったものがDAISYのスマイルのプレゼンテーションではできます。ユーザーインターフェースによって、コントロールできます。手話通訳のトラックをONにする、ビデオディスクリプションをONにする、などいろいろできます。標準化するという作業は非常に重要です。それはあなたがやっていることをサポートするはずです。WGBHもDAISYコンソーシアムに参加すると思います。ジョエル、DAISYにお金も是非出してください。

河村/最後の質問をどうぞ。

会場/市川市の中学校の学校司書をしております。松戸ひろよと申します。とても意義あるお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。
 中学校の図書館でも様々な生徒が来ていますが、そのなかには、LDもしくは軽度知的障害、ADHDの生徒ではないかと見受けられる多様な生徒がいます。彼らは、ハリーポッターなど人気のある本を読みたいと思っているのですが、アメリカではハリーポッターの録音テープがあっても、日本ではまだ発売されていません。彼らは、ひらがなは読めても、漢字が読めない場合があります。興味はあるが、読めないので映画やビデオを日本語版で中身を知るがのですが、彼らはやはり他の生徒と同時期に内容を知りたい。現状は公共の図書館に行っても親の会の方もおっしゃいましたが、視覚障害ではないので借りられません。録音テープに関しては、難しい状況です。古典、一般向けに出版されているテープは発売されていても、小学校、中学校むけの読みたいCDやテープは発売されていません。例外的に十二国紀もありますが、ごく一部です。
 ここに参加されてる人で、情報があったら、教えてください。

河村/ありがとうございました。レセプションに参加しますか?
 では、情報をお持ちの方、レセプションに参加される方はその中で、参加できない人は、お持ちの情報のご提供いただきたいと思います。また、コメントをお二人に。

ジョージ/RFB&Dが学校用に行っているのは、サブライブラリーを作っています。学校が私たちの図書館から蔵書を手に入れ、それを障害をもっている学生たちに貸し出す。これは、障害を持たない生徒と同じように貸し出せます。テキスト、録音図書の形でも、ハリーポッターも含めて子供用の文学もあります。ハリー・ポッターですが、録音図書の形で何十万回も、貸し出しが行われてます。
 学校図書館にもよるが、こういった図書の使用の制限を超えることも可能です。どういう生徒にこの録音図書を使ってもらえるか。読みに障害のある生徒なら、こういう本を使っても良いか、そのへんのルールづくりは図書館員次第です。これがベストかは言いきれないが、私たちのやり方は、ひとつのモデルとして考えてください。

インガー/私たちもスウェーデンで同様の状況です。学校の図書館はおなじです。あなたの抱えている問題は、なかなかディスレクシアの子が録音図書を貸し出してもらえない、既にあるのに録音図書を共有できない、見る事ができないとうことですね。状況を変えていくよう行動することが大事です。実際にはディスレクシアの子供たちは、録音図書を使うことに全く問題はないと思います。ですから、学校の図書館にたいして、実際に録音図書を売って貰えるようにというようにしたら良いと私も思います。

河村/ありがとうございました。
 せっかくの機会、本当に、お忙しい中、ずいぶんユニークな分野で活動されている人がきているので、是非、そこで情報交換とネットワーキングを行っていただきたい。特に視覚障害のかたは、相手がどこにいるかわからないので、周りのみなさんでサポートして誰かを捜してると思ったら、声をかけてください。
では、まだ、本当は、じっくり議論したいのですが、最後にインガーさんとジョージさんから今日全体を通じて、言い残したことを、1つでも2つでも良いですが、5分以内で、短くまとめコメントを総括的にいただき、そのあと閉会にすすみたいと思います。

ジョージ/1980年代後半にプリントディスアビリティという言葉が生まれました。もともとは、全ての種類の障害、つまりそれにより、印刷物が読めない人を対象にしようということでした。このプリンテトディスアビリティは引き続き、有効な用語になっています。つまり、世界は変化しています。いろいろな情報システムが出てきています。空港で受け取れるキオスクという情報システムもあります。また、テレビ上のデジタル情報など。そして、もちろんワールドワイドウエブもあります。ワールドワイドウェブのアクセシビリティガイドラインに従っていれば、情報はすべての障害を持つ方にアクセス可能なものであるわけです。しかし、情報を作る側は、障害のある人を念頭においていない場合が多いので、フラッシュを使ったり、PDFを使って文書を作成するわけです。そういったものは障害者にとって、全くアクセシブルではありません。我々は「情報時代」に生きているので、情報へのアクセスは教育の質であり、また、ビジネス、職業、キャリアでの質の問題であり、また人生の楽しみでもあるのです。「情報時代」においては、情報へのアクセスは基本的人権です。作っている情報やシステムは、人権を守るものでなければいけない。それがDAISYの理念です。そして、DAISYが作っている技術というすばらしいものです。これは、実際に展開しなければいけない。これが、皆様へのDAISYのメーッセージなのです。DAISYはデジタル・アクセシブル・インフォメーション・システムなのです。