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「開発における障害に関する懇談会」 報告

 司会: ありがとうございました。では最後に財団からということで、日本財団の千葉寿夫さん、お願いします。

 千葉: 皆さん、こんばんは。日本財団、国際協力グループ、千葉と申します。上野さん、今日はこのような発表の場を与えてくださって、ありがとうございます。また長田さん、今日の講演を非常に楽しみにしていたのですが、大幅に遅刻してしまいまして、一言もお聞きできなかったのを非常に残念に思います。ただ、久々に再会できて嬉しいです。今日はよろしくお願いします。

 では今日は簡単に、日本財団、国際協力グループの障害者支援について説明させていただきます。

 資料を用意させていただきましたが、1枚目の部分を中心に報告いたします。

 日本財団の障害者支援は、まさにJANNETさんとか、「開発と障害」といった長田さんのおっしゃっている「社会モデル」といいますか、障害者が健常者と同様な機会をきちんと与えられれば、もっと自分たちで社会に参加することができる、というような基本方針のもと、支援していると思っています。

 その中で、(支援事業の)基本方針として下に四つほどありますが、特に重要視している点が、「当事者のリーダーシップ」、特に若手、30歳、40歳くらいの実質的に社会で働いている当事者リーダーの育成と、それをできるだけ国際的なネットワークの中で育てていく、という形が支援の基本となっています。

 細かい活動内容につきましては、2枚目以降に、十数件の具体的な活動事例がありますが、ただこれを見ると、必ずしも当事者リーダー支援でないものもあります。というのは、我々も障害者支援を実施しながら試行錯誤を繰り返し、その時必要なもの、できることを適宜探しながら活動していますので、こういった基本方針には最近たどりついたということもあります。だから最近の活動は特に若手リーダーの育成というものが多いのですが、病気の治療とか、義足の支援などもずっと続けています。

 最近の当事者リーダーの育成の中で、我々が特に力を入れているのが、今年(2008年)の7月にバンコクで日本を含めたASEAN(東南アジア諸国連合)の10か国、シンガポールを抜いた形なのですが、19名の視覚障害者の当事者リーダーを集めまして、4日間ほど「ダイアログ」という形でセミナーを開きました。その当事者リーダーに、国際的な講師の方からできるだけ未来的な、将来のビジョンを伝えてもらって、講義を受けた後で、では若手で実際にこれから何ができるのか?ということを話し合わせるセミナーでした。

 我々の意図としては、その若手リーダーから、いくつか新規事業に繋がるようなアイディア、事業プランなどを具体的に出してもらおうと、そのくらいの意気込みでやりました。結果として、セミナー自体は非常にうまくいったと思っております。ただ「宣言書」なども出したのですが、残念ながらまだ具体的な事業として立ち上がっておらず、私はフォローアップとして、いままた彼ら若手リーダーと一緒に今後の事業案を立てなければいけません。

 これは今まで、他団体からこういうのがいい、ああいうのがいいという、申請書を受け取り、採択するかたちで助成が進められてきましたが、今後は、こういったセミナーなど通して、我々のほうからできるだけ積極的に事業のプランニングから関わっていって、そこで一緒に事業を立ち上げようじゃないか、という方向に向かっているということです。

 来年か、もしくは再来年の早々くらいには、今度はろう者のリーダーを集めまして、ろう者リーダーで検討させ、事業プランを立てたるというものと、また運動機能といいますか、車いすを中心としたリーダーも集めて同じことをやりたいとか、また将来的には、実は健常者といいますか、アジアの若手リーダーにアジアの未来像について話し合わせるセミナーがまた別でありまして、優秀な障害者リーダーはそちらに入れて、アジアの将来に向けて何ができるのか、ということを話し合わせたいと思っています。

 我々国際協力グループの年間予算として、障害者支援だけに限っても年間たぶん10億円以上は支援をしていると思います。そういったものをできるだけ若手リーダーに今後は配分といいますか、割り当てて、若手から大きな社会的ムーブメントといいますか、社会的な活動に移っていければいいなと、5年、10年先くらいにはそんなことができたらいいなと思っています。

 以上です、ありがとうございました。