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報告1−3 JICAにおけるCBR支援について

司会 武智さん、ありがとうございました。それでは会場の皆さまから、ご質問を受けたいと思います。今のご報告で分かりにくかったところ、ここはもう1度聞きたいというところがありましたら、ご質問は1つか2つお受けしたいと思います。どなたか、どうぞお手を挙げてください。

 

質問者 JICAのCBRのご説明ありがとうございました。私のほうから1点、ご質問があります。CBRにおけるボランティアの選抜について、もう少しお伺いしたいと思います。どういう人がボランティアになるのか、あるいはそのためのインセンティブについてお話ししていただけるとありがたいのですが。

 

武智 ボランティアというのは、リハビリテーションの専門職ではないという方も含めてCBRに関わるようなボランティアという意味でしょうか。

 

質問者 はい。ご発表にありました、CBRのプログラムにおけるボランティア導入時の研修のときにお話しされた件ですが。

 

武智 地域でCBRボランティアを募る場合は、最初にイニシアティブとしてセミナーとかを開催して、広く呼びかけるのですが、その中でCBRに興味を持った方を対象として広く行っております。ですので、本当に「ボランティアで私たちがやりたい」という方に対しては、要項とか条件とかは付けずに、広く皆さま歓迎しますという形でやっておりました。そこの中で、やはりボランティア研修を受けて、私たちがやりたい活動ではないという方は離れていきますし、もっと深く知りたいという方は残っていただいて、もっと活動を広くしていっていただきました。

 

司会 もう1人、お受けできますけれども、どなたかいらっしゃいますか。2人手が挙がりました。

 

質問者 秋田大学に勤務しています。ありがとうございました。今日の話では持続性の問題が出ていたので、そのことに関する質問です。今、シリアでは第2フェーズに入っているようですが、これからプログラムが終わるにあたって、持続可能になるように、JICAの介入をどのようにフェードアウトさせていくのか教えて下さい。

 

武智 そのフェードアウトというのが、障害者支援のプロジェクト以外にも、JICAの中で一番大きな問題となっています。シリアの場合はカウンターパートが省庁ですので、省庁にイニシアティブをとってもらいうまくファシリテートできるようになれば、シリアの事業からも徐々にJICAは手を引いていこうという考えがあります。しかし、先ほども言いましたように、外部から援助ということなので、地域の人々のイニシアティブがなかなか難しい問題となります。キーパーソンとなる人がいないということが課題となり、国と地域レベルでCBRを引っ張っていけるような人材の育成を現在行っているところです。

 

司会 では次の方、お願いします。

 

質問者 先ほどのご質問にありました、ボランティアをやられる方のモチベーションを高めるために、例えばお金をあげるというのがあるのか知らないんですけれども、何かそういうふうな手だてというのはあるのでしょうか。

 

武智シリア以外のケースで言いますと、交通費までは払うとか、いろいろあるのですが、シリアの場合は、金品的なものは渡さずに名誉職というものを大事にされています。一番活動されているという方には、「あなたはよく頑張りました」という意味合いで、リーダーたちの前や、村の集会のときに、村の人たちを集めて、このボランティアが一番頑張りましたということで、賞状など、そういう名誉的なものを贈呈していました。

あとは、このシリアの場合は、特徴的なのが女性のボランティアが非常に多くて、中東地域では、女性が仕事を持たずに家にいるということが多くありますので、女性が地域の中で活動できる場所というのができたということで、女性が参加されるモチベーションの1つとなっています。

 

質問者 すみません、補足だけさせてもらっていいですか。

 

武智 どうぞ。

 

質問者 すみません、途中で発言を邪魔してすみません。私、シリアのCBR立ち上げにJICA専門家として関わっていましたので、少し補足させてもらいます。ボランティアの募集に関しては、基本的に地域でオープンにしています。ですが、CBRを開始するために地域に入っていくときには、役場など、いろんな地域の省庁や団体の出先機関である社会セクターを通さないといけないので、この事業をやる際には、いろいろな機関で説明をやっていきました。その中で障害者の方に必ず参加してもらって、地域の関心のある方にも集まってほしいということをお願いしました。そして地域でミーティングを開いたり、イベントを開いたりしました。もちろんそれは1回や2回ではなく頻繁に、さらに勉強会を通して、いろんな方に来ていただけるように、活動の情報はオープンにしていました。また地域のモスクなどにも情報を流してもらうようにして、会議とか集まりがあるときには地域の人に参加してもらえるようにしました。それが1点です。

もう1点の、ボランティアのインセンティブですけれども、武智さんもお話ししたように、基本的に金銭授受は行っていません。武智さんは、JICAのほうがCBRボランティアを表彰することを話されたと思います。シリア人は、地域で自分が人のために役に立っているというところを、よしとする風潮と言うか、名誉的なことでもあります。そこでCBRでは、もともと地域にある既存の青年同盟や婦人連盟などの団体が、CBRボランティアの功績を表彰するなどをやりました。シリアでは両団体は地域に根付いたものであり、だれもが日常的にかかわる団体で、見えやすい利点もありました。そこで彼らと協力して、宣伝活動や、CBRボランティアのモチベーションをあげるための活動も協力して行いました。以上です。

 

司会 どうもありがとうございました。今発言された方は、シリアのCBR支援で第1フェーズで専門家として派遣された方でしたので、大変有益なコメントをいただきました。ではここで武智さんのご報告は終わりにしますが、ここで出た質疑から、CBRでの大変重要な議論として、CBRの持続性はどうなるのか、それから人材の養成、CBRボランティアのモチベーションはどうあるべきかといった課題が出てきたと思います。武智さん、ありがとうございました。