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日英シンポジウム2002「日英協同で進める地域における障害者・高齢者支援」

Seminar on Japan/UK Collaboration for Reinvention of an Inclusive Community

主催者挨拶

初山康弘
日英高齢者・障害者ケア開発協力機構日本委員会委員長 国際医療福祉大学大学院長

初山氏の写真

ただいまご紹介いただきました初山でございます。本日は、本講演会を企画いたしましたところ多数の方々にご出席いただきありがとうございました。講演会の開始にあたり、主催者の日英高齢者・障害者ケア開発機構を代表して現在一言ご挨拶を申し上げます。

日英高齢者・障害者ケア開発機構は、1999年に発足いたしました。21世紀の高齢社会を迎えるにあたり、社会保障制度の改正をも含め、高齢者・障害者福祉の新たな対応が迫られている時期でもありました。 当時、その中心的役割を果たしておられた、厚生省社会援護局の炭谷局長の下に、各分野の専門職が集まりその方策を検討いたしました。
その際に、歴史的にもわが国と長い協力関係があり、地域住民の支援活動にも豊富な経験をもつ英国の関係者と協同し、「高齢者・障害者が個人の尊厳を保ち、地域で自立生活を営める」ことを目標に支援活動を行うという趣旨で設立されたものであります。

その活動の要旨はスライドにありますように、日英両国の関係者が定期的に相互の情報交換に努めること。その一環として、シンポジウム、フォーラム、あるいは今回のような講演会を開催し、関係者の方々との情報交換を行い、地域に基盤を置いたまちづくり運動を進めるという。 

具体的には、パイロット・プロジェクトの対象として当時英国で進められていた21世紀住宅をはじめ、障害予防、住宅、福祉機器、情報網の作成、人材養成social inclusionなどが取り上げられました
その後、日英関係者が相互に両国を訪れ会議を行うのと平行して、現在までに5回のセミナー・シンポジウムを開催いたしました。セミナー関連事業の概要を申し上げますと、

2000年3月にはスライドのように、「地域における障害者の社会参加」の課題について、国連大学で開催し、日英両国の代表者が活動の意義について確認するとともに、具体的な運動方針についても討議されました。

第2回は「共生のコミュニテイーにおける民間非営利組織の役割と経営、高齢者と障害者の自立と社会参加の促進」という課題で摩多市の協力を得てNPOの役割と経営について日英両国の行政、NPO関係者から報告を頂きましたが、その際にNPOと経営が大きな問題点として掲げられました。
社会起業家(social entrepreneur)などという言葉も新しい概念として記憶に残っております。

第3回は同年9月に埼玉県所沢市国立身体障害者リハビリテーションセンターにおいて開催されました。
「地域における障害者の社会参加」をテーマーに、英国で成功したCAN Community Action Network の理念や社会企業家(social enterpresure)などの具体的な実情が英国側から紹介され、日英両国のNPOの代表者から役割と問題点などについて情報交換があり、わが国のまちづくり運動の指針にもなったシンポジウムでありました。

このような結果を踏まえて2001年には大阪と北九州市の街づくり運動に焦点を当てSymposiumを開催いたしました。スライドにお示ししたように、大阪では
「すべての人が尊厳を持ってともに暮らせる街づくりをめざして」という課題でで大阪市の協力を得て地元の有識者を交えて意見交換が行われました。

また、北九州市では「住み手参加のまちづくり」というテーマーで英国におけるCANの経験を伺い、北九州市における新しい街づくりへの挑戦について地域のかたがたを含めた日英間の意見交換をおこない、地域の街づくり運動に有用な情報を提供できたと考えております。

本年度は、地域支援の人材養成の一端としてミャンマーのNPO支援活動の調査をおこない、その結果をも含め英国の関係者と打ち合わせをいたしました。その結果につきましてはいずれ報告書として公表する予定であります。
  今回は「日英共同で進める地域における障害者・高齢者支援」という課題の講演会といたしました。 第1部は最近、わが国でも社会的に問題としてしばしば取り上げられていますdyslexia、日本では学習障害とも言われておりますが、まだその概念も国際的に統一されているとは言えない状態と聞いております。このdyslexiaについて英国デイスレクシア・インステイテユートのマーチン・ターナ部長をお招きし英国の実情をご紹介いただき、日本側からの加藤クリニーク加藤院長のコメントを交えて今後、両国で共通の理解を持って地域支援活動に反映して行きたいと考えております。
第2部では、本機構の基本目標であります「地域のまちづくり」の具体的状況を日英両国からご紹介いただくとともに、関係専門家からの意見交換を企画いたしました。 英国側から北西地域のCANの指導者であるSmally氏に
日本側からは、この日英障害者・高齢者ケア開発機構の推進者であります環境省の炭谷総合環境政策局長からご講演をいただき、そのご日英両国の専門家間で、意見交換し今後の活動についての方向性が示されればと考え企画をいたしました。 できれば会場にご参加の皆様からも忌憚のないご意見をいただき
より実りあるものなれば幸いと考えております。
最後になりましたが本講演会をも含め、当初よりご支援をいただいております英国大使館、Links Japan、 日本障害者リハビリテーション協会および関係者の方々に感謝を申し上げご挨拶といたします。
どうもありがとうございました。

初山 泰弘氏プロフィール

国際医療福祉大学大学院長、日英高齢者・障害者ケア開発協力機構日本委員会委員長
九州大学医学部卒。医学博士。前国立身体障害者リハビリテーションセンター総長。整形外科、リハビリテーション医学、技師装具学など身体障害全般に関する幅広い分野を研究。特に身体障害者スポーツの発展に尽力し、日本障害者スポーツ協会理事・医学委員長や国際パラリンピック委員会執行委員(東アジア代表)として国内外で活躍。そのほか、日本障害者リハビリテーション協会理事、厚生労働省中央社会福祉審議会、身体障害者福祉審議会等、国レベルの委員を数多く兼任。