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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅱ(ニュース
(ニュース放送、ラジオ、新聞)の中の障害者の描写)

Mr. Peter White
-英国BBC障害者関連ニュース通信員

White氏は1974年からBBCに勤務し、TVやラジオで長年障害者関連問題を扱ってきました。視覚障害を持つリポーターの第一号となったWhite氏は、障害者としてジャーナリズム界に携わってきた自らの経験を語り、この経験がBBC内でどのようにパラダイム・シフトをもたらしたかを分析します。White氏によれば、この問題は「障害とは実際何を意味するか」という理解と解釈の仕方が、人によって著しく異なるために生じたと述べます。彼の意見では、障害者に関する報告を全て障害者自身が行う必要はないのです(もしそうなら、全ての分野の報告がそのような方法で行われなければならないことになります)。明確なのは、より多くの人々がメディア部門で働く(カメラの前で、あるいは後ろで)必要があるということです。これが実現されるまでは、Morrison氏が指摘したような否定的な報道活動が今後も続くことでしょう。

White氏は幼い頃からラジオのリポーターを夢見てきました。彼はラジオと共に成長したのです。彼にとってラジオは常に知識の源であり、娯楽であり、コンサートホールだったのです。リポーターとなった当初、White氏は障害者関連の話題を取り上げることに抵抗を感じました。なぜなら自分のリポートは固定観念に満ちたもので、それを伝えることで障害者に不快感や憤りを与えるのではないかと不安だったのです。その一方で、障害者に関する番組が健常者のみによって制作されることにも、疑念を抱いていました。

しかし彼は次第に、番組制作で障害者関連の話題を取り上げるか否かは、メディアで働く自分自身が決めることだと確信するようになりました。現状では、障害者に関する番組は一般的に障害者自身が制作しています。

彼がラジオからテレビへ活動の場を移したのは、BBCの大胆な発想に基づくものでした。彼の最初のリポートが放送されたのは、障害差別法が採択された日でした。このとき彼が、全く偏見のない方法で報道することができたのは、直接体験に基づく知識を有していたからです。彼がインタビューしたのは大臣を除き全て障害者で、各自に自分の立場から意見を述べてもらいました。これはそれ以降の彼の報道のモデルケースとなりました。「重要なことは、障害者を健常者と区別して、もしくは一種のサーカスのように描写することではなく、障害をごく普通の生活の一部として表現することです。」もう一つ重要なことは、客観性を失わないことです。障害者関係の番組には、障害者は非常に多様な人々の集まりであること、そして教育、社会的便益、学校等、何に対しても、彼らの意見は常に一致しているわけではないことを伝える番組があります。番組の中で彼らが意見を異にする様子を描写することで、障害者も他の人々と同じ人間であるというメッセージを伝えることができます。

現在彼と同じ道を歩んでいる障害者が数多くいます。しかし依然として、キャリアの第一歩を踏み出す十分な支援が得られない、また雇用政策が不十分であると訴える障害者がいます。一方で称賛されるべき顕著な成果も達成されていますが、BBCはプロデューサー、リポーター、運営担当者もしくは管理職に、今後も障害者をより積極的に採用していくべきです。そうすることで初めて、報道は現実を反映したものとなるのです。