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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅱ(ニュース
(ニュース放送、ラジオ、新聞)の中の障害者の描写)

Mr. Fernando Mendia
-ONCE(スペイン盲人協会)通信部長―スペイン

Mendia氏は、メディアにとって有益となるように障害者問題をニュースで報道する方法、そして障害者組織と協力して障害者問題の取り組みを改善する方法を説明します。

およそ15年前ONCEが通信社を設立するまで、世論において、また社会的・政治的分野において、スペインの障害者が注目されることは稀でした。それ以降この通信社(Servimedia)は社会・政治的情報伝達の専門組織として、障害者とその組織のニーズ、問題および要求を含めた、障害者に関する包括的な情報を提供してきました。毎日150のニュースを流していましたが、その中のおよそ30は障害者運動に関するものでした。

この通信社は障害者を、および彼らの専門的スキルを社会に組み入れようとする試みの1例です。その雇用者の40%が何らかの障害を持ち、また上院や下院の要職にある人々でした。現在Servimediaは大学と提携して訓練と雇用の機会を提供しようとしています。そして出版業務にも乗り出し、政治家や一般市民に単独ではメッセージやキャンペーンの情報を伝えることのできない障害者組織の会報を配布しています。Servimediaはこれらの組織の発行する約30の定期刊行誌のほか、障害問題の専門誌CERMI(スペイン全国障害者委員会の月刊誌、発行部数5万部)の編集も担当しています。

これらの活動が一般市民に及ぼす影響はまだ不十分です。従ってServimediaは、これらの組織が他の媒体によりメッセージを伝えられるように、通信サービスを開始しました。このサービスを介して、2003年2月マドリッドで開催された第一回ヨーロッパ障害者大会の内容は、全て確実に報道されることになりました。実際この会議はラジオやTVそして新聞で何度も放送され、国内各所に著しい影響を及ぼしました。これらの報道では、主流メディアの専門家が「客観的な」情報を提供したことにより、その信憑性も高まりました。また大幅なコストダウンを実現できました。Servimediaは渉外活動も行い、政治、経済、社会の各分野における重要問題に関する諮問サービスを提供しました。

障害者組織のコミュニケーションに画期的な変化をもたらしたのがTICニュースです。Servimediaは障害者組織がこの新たな機会を利用し、内部コミュニケーション・ツールとしてインターネットを常時更新できるように支援しました。さらにServimediaは欧州社会基金の援助を受けて、会報を毎日発信しました。障害者運動関連の日刊紙の記事やニュースを常時掲載しているサイトSolidaridadigital.comは非常に人気があり、利用者も増え続けています。

ここで重要なのは、他のメディアもServimediaの例に倣い、障害者に関するニュースを常時掲載し、その番組で障害者組織をより頻繁に取り上げるようになった点です。3つの民放ラジオ局が障害者のための番組を放送し始めました。国営ラジオはCERMIに関するニュースを週に1回5分間放送し、主要な電子新聞各紙はヨーロッパ障害者年の特集を組んでいます。そして民放および国営テレビ局も障害者に関する話題を頻繁に特集するようになりました。

これらの取り組みはどのような結果をもたらすのでしょうか?定量的に答えることはできませんが、障害者のイメージが著しく改善されたのは確かです。今後は社会的・政治的な側面からスペインにおける障害者活動を捉えていく必要があります。今までの取り組みの成果を裏付けるのが、2001年5月に実施された調査「ユーロバロメター」です。この調査において、スペインの一般市民は障害者に対して否定的な態度を取ることはなく、またマイナスの感情を抱いていないという事実が明らかにされました。この事実はスペイン社会学研究センターの調査でも確認されています。この国では良好なコミュニケーションが実現されていることを示すもう一つの証拠として、スペイン企業は障害者の雇用に非常に積極的です。ONCEは各業界と協力し、過去4年間に2,000件の障害者の就業先を確保しました。

最後にMendia氏は、「今後すべきことは数多く残されている」ことを強調しました。スペインは障害者の完全な統合の実現に向けて著しい成功を収めています。「私たちは、この取り組みの第一歩はコミュニケーションであることを認識しています。一般市民との接触を深めていくためにも、この取り組みを是非とも成功させなければなりません。」