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障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅳ(マスメディアにおける障害者の雇用/採用)

Ms. Wendy Harpe
-BBC多様性担当課副課長

Harpe氏は多様性の問題に長年関わり、BBCにおいて障害者関係の戦略部門を担当してきました。ここでは障害者雇用に関するBBCの方針と、BBCが行ってきた具体的な方針を紹介しました。BBCはこの分野に最も積極的に取り組んでいるメディアの一つです。

Harpe氏はまず英国の状況を説明しました。英国には現在1,170万人の障害者がいること、障害者の雇用機会および建物や商品サービスへのアクセス(そして間もなく交通機関へのアクセス)を保証する法律が1995年にできたこと、活発な障害者運動、そして、最後に、政府による経済支援があることを述べました。従って障害者を雇用することで雇用主の経済的負担が増すことはありません。この法規は、人権に基づくものであるため、完全ではないものの、雇用に対する機会均等を保証し、雇用主に一連の義務(物理的改善、職務再配分、就業時間の見直し等)を課しているため、非常に強力なものとなっています。

就業年齢にある障害者550万人のうち、就業者は230万人です。労働人口の18%が障害者で、その0.8%が放送業界で雇用されています。Harpe氏は、BBCに変化をもたらした主な理由を次のように説明します。それは法的義務を順守するため、またよき雇用主という評判に答えるため、そして、視聴者がBBCの番組を通して抱くBBCのイメージと、その雇用方針を一致させる必要があったのです。

BBCはこの変化に向けた取り組みを始める前に、まず戦略を明確にし目標を明らかにすることが必要でした。BBCは障害のある従業員の数を増やし、ベストプラクティスを実践し、自らの法的義務を果たすことを目標に据えました。それから方針案を作成し、障害者の雇用に関するガイドラインを定めました。このため、BBCの職員に、管理職、および障害者に対する集中的な調査を長期間実施しました。またBBCの職員と管理職は、障害者との協議を重ねる必要がありました。管理職の支援も得られました。このようにして準備されたガイドラインは、雇用、研修、昇進、一時解雇ならびに職務保障等全ての分野を網羅したものでした。

政策の決定に続き、その実施に必要な3つのツール(研修、職業紹介、事後調査)を準備しました。研修は実際のニーズに合うように業務ごとに実施されました。障害者が長期に働ける仕事を見つけるのを支援するために「エクステンド」という雇用プログラムが開発されました。多様性センターが運営するこのプログラムは、多くの障害者を一つにまとめることで、BBCに変化を促し、BBCに対して障害者の価値を証明することになりました。BBCは追跡調査としてニーズが満たされているか否か(特にアクセスしやすさに関するニーズ)の調査を行い、それによりこれらのニーズを確実に満たすことができました。また採用に関しても追跡調査を実施しました。そして最後に非常に役に立つ「セントラル・サポート・システム」が導入されたのです。

BBCは政府助成金の不足分を補うため、障害者に利便を提供するための独自の資金を確保しています。これによって内部のどの部署からも、障害者の雇用は経費がかかりすぎるという苦情を受けることのないようにしています。このセントラル・サポート・システムには、支援技術を調整する部門や障害者アドバイザーも含まれています。インフラが整った今、BBCは未来に照準を合わせています。すなわち障害者に目を向け、各種の障害者団体とその経験に注意と敬意を払うこと、製造業者に対して市場規模を背景にコミュニケーション技術をアクセシブルにするように説得すること、障害者の声を電波に乗せて、全ての人の耳に確実に届けるようにすることです。