音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

障害者とメディア 「マスメディアと障害者」ヨーロッパ大会

全体会議Ⅳ(マスメディアにおける障害者の雇用/採用)

Mr. Juan M Casado Salinas
-アンダルシアン・ラジオテレビ局(RTVA)企業渉外部長

アンダルシアン・ラジオテレビ局は、障害者に対する非難と差別を排除するための取り組みを強く推進してきました。Salinas氏は、現在も続行中の障害者団体との対話により、また障害者を雇用することで、視聴者の目に映る障害者のイメージをどのように改善してきたかを説明します。

RTVAは、主要な公共放送局で、もちろん資金調達の限界に配慮しつつも、障害者団体の意見や法的義務を考慮しながら障害者の統合政策を推進する努力をしてきました。その目標は次の2つです。すなわち知覚障害を持つ人々が画像と音の世界を利用できるようにすること、そして障害者のイメージを改善するという自らの義務を遂行することです。この目標達成に向けて、RTVAは、視聴者としての障害者の存在を認識しつつ、番組の中で障害者の存在を確実に表現する取り組みを続けています。

Salinas氏がこれまで行ってきた調査によれば、ダウン症の人々のイメージはこの13年間で大幅に改善されました。その例として、彼は、あるダウン症患者の例を挙げました。最初、この人物の回復の経過が、最初のドキュメンタリーで紹介されました。この人は後にディベートに参加できるほどまで成長しました。そして大学で学士号を取得し、視聴覚分野の職に就いたのです。その数ヵ月後、人気のあるラジオ番組のレギュラーとなり、ゲストと対等の立場で意見を述べるようになりました。この一連の経過を、テレビを通じて知ることで、一般の人々もこの障害者の成長の過程を自分の目で確認することができたのです。

RTVAは10年前から、字幕と手話による画像と音声を利用して、聴覚障害者のための情報番組を毎週放送しています。この番組のユニークなところはアンダルシアン聴覚障害者連合との協力により制作されていることです。この番組の制作のため会社を設立し、聴覚障害者を様々な視聴覚分野で雇用し、職業教育を実施しました。聴覚障害者は手話をもっと組織的に利用して欲しいと望んでいますが、Salinas氏は字幕のほうがよいと考えています。なぜなら解説者が頻繁に登場することは、聴覚障害者の社会的疎外を招きかねないからです。Salinas氏は、多くの地方テレビ局にとって字幕の費用は高すぎると主張します。字幕付番組制作に対する助成金を求める運動、そして当該地区のテレビ局間の協力が求められます。またデジタルテレビが発展し、音声解説が普及することを望んでいます。

2001年度、RTVAは身体障害者連盟と協力提携を結び、番組の中の障害者の存在を普通のこととみなし、建築構造上のバリアをなくすことに関して合意しました。しかし教育へのアクセスという面で彼らが直面しているのは、これらのテーマに関してテレビで討論する専門家がほとんどいないということです。障害者の雇用を推進するため、多くの法的手段が講じられましたが、これらの法規は大企業、あるいは公的部門においてのみ効力を発揮しているだけです。RTVAは障害者のために3%雇用枠を設けています。しかし障害者にとって教育や適切な訓練を受けることは難しい場合が多く、高度な資格を必要とする視聴覚部門に就職することは困難な状況です。

メディアにおける障害者の統合を促進するためにRTVAが重視したのは、障害を持つジャーナリストを番組に頻繁に登場させることでした。このため視覚障害のあるジャーナリストがニュースキャスターとして雇用されました。彼の後に登場するこのニュースキャスター本人にマイクを渡す前に、Salinas氏は、障害を持つ技術者とジャーナリスト達の職業意識を称賛するとともに、企業はより積極的に障害者を雇用するべきであると述べました。なぜなら、障害者の生活のあらゆる面をノーマライズする上で、障害者を顕在化させることは非常に重要だからです。

Nuria del Saiz Gaitan氏は、視覚障害を持つジャーナリストとしてRTVAに勤務した経験を振り返りました。このテレビ局の看板番組であるニュース番組のキャスターを勤めていた当時、どのように支援工学を利用し、またプロダクションチーム全体の支援と協力を得て、5年間毎日15分間のニュース報道を大過なく行えたかを説明しました。