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国際セミナー「世界の障害者インクルージョン政策の動向」

講演1 要旨
「イギリス及びEU におけるソーシャル・ファーム」
-障害者のために有意義な雇用の場を創出するには-

ゲーロルド・シュワルツ

論題
1. 3 件の事例研究
2. 定義及び意義
3. 職業面での障害者の統合という観点から見たソーシャル・ファーム
4. 歴史的背景及びデータの概略
5. 特徴及び効果
6. 過去の経験からの教訓-成功要因
7. 最近の動向及び展望

まずヨーロッパの3 カ国において成功を収めているソーシャル・ファームの事例研究を3件行う。
この後、ヨーロッパにおけるソーシャル・ファームの定義を紹介し、あわせてソーシャル・ファームが共有する意義、すなわち、障害者の雇用の創出、権利の拡大及び起業にも触れる。
そして4 番目の論題として、1970 年代初めにイタリアで始まったソーシャル・ファーム運動の歴史的背景に関する事実をいくつか紹介する。当時北イタリアの精神病院が最初のソーシャル・ファームを開設し、精神病を抱える人々がコミュニティーに再び統合されることになった。このやり方はその後ヨーロッパ全体に広まり、特にドイツ及びイギリスなどの国々で成功を収めた。多くの国々は現在公式にソーシャル・ファームを認めており、これを定義し、支援の枠組みを提供する法律を導入している。ヨーロッパでは現在までに、約10,000 のソーシャル・ファームと社会的協同組合が結成され、およそ50,000 人の障害者に雇用の場を提供している。

次に、イギリスのソーシャル・ファームが持つ重要な意義に焦点を当て、ソーシャル・ファームが広くソーシャル・エンタープライズ・セクターにおいて、またイギリス政府のソーシャル・エンタープライズ政策において、どのような役割を果たしているかについて背景事情を紹介する。

後半では、ソーシャル・ファームが厳密にはどのように活動しているのか、障害者にどのような影響を与えられるのか、そして職業面での障害者の統合をはかる他のモデルとの主要な違いは何かに焦点を当てる。

最後に、ヨーロッパにおける過去20 年以上にわたるソーシャル・ファームの経験から得られた主な教訓をまとめ、他国の人々が我々から何を学べるか、そしてこれらの教訓が他の国々でどのように形を変え、生かされていくべきかを伝える。
締めくくりとして、ヨーロッパのソーシャル・ファーム・セクターにおける最近の動向の中でも最も興味深い事柄について、いくつか概要を紹介し、更にソーシャル・ファームの未来像を展望する。