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国際セミナー
「障害者権利条約」制定への世界の最新の動き

来賓挨拶

国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)代表 テルマ・ケイ
(代読 国連ESCAP社会開発局障害専門官 長田 こずえ)

国連ESCAPを代表しまして、京都での障害者権利条約の促進のためのセミナーが開催されるにあたり、みなさまに謹んでお礼のご挨拶を申し上げます。

初めに、本セミナーの開催準備に積極的に参加された日本障害者リハビリテーション協会、JDF準備会,ならびに日本の市民社会、そして日本政府が障害問題に積極的な関心を向け、重点を置かれていることは国連ESCAPとしてはきわめて喜ばしく思います。

アジア太平洋地域の各国政府の意見を反映して「アジア太平洋障害者の十年」を2003-2012年に向けてさらに10年間延長することが2002年の10月琵琶湖で宣言されました。本日のセミナー開催を琵琶湖から近い京都で行うことはタイミングを得たものです。インクルーシブでバリアの無い、そして権利に基づく社会を目指す新十年に向けた我がアジア太平洋地域の政策指針として「びわこミレニアム・フレームワーク」が2002年10月の琵琶湖でのハイレベル政府会議において採択されました。

最初の10年は大きな成果を挙げましたが、政府の参加者たちは2003年以後も我々の地域においては、障害者に影響を及ぼす多くの問題にとり組むとともに、障害者の完全参加と平等をさらに促進する必要があると認識しました。
本セミナーはまことにタイミングを得たものであることにはもうひとつ理由があります。昨年はじめて、約15年にわたる論争を経て、日本を含む国際社会はようやく新たな「障害者のための権利条約」の起草を決定しました。

2003年にニューヨークで開催された、国際権利条約の案を検討する第2回国連特別委員会において条約の作成を開始することで加盟国は合意し、条約の草案をまとめるための作業部会が設置され、この作業部会は日本政府を含む27の政府、国際レベルで活動する12のNGO(RI、WFD、DPIなどを含む)そして国内人権委員会から構成され、障害者と市民社会の参加が実現しました。国連ESCAPは昨年、条約の枠組みと中身を検討する一連のワークショップを開催して、アジア太平洋の専門家(政府、民間の両方の)を招待して「バンコク草案」と題する条約草案を作りました。この草案は今年1月にニューヨークで開催された作業部会で議長案のたたき台として採用されたと私は確信しています。

また、ESCAPは第三回特別委員会にも参加しました。政府のコメントを追加した現在の条約草案は「バンコク草案」とは少し色合いの違ったものになってきましたが「バンコク草案」のエッセンスは残しています、国際協力とか、統計調査とか、定義とか多岐に及んで。
日本の市民社会と政府との対話、協調、促進の姿勢は現在、協議と交渉の主役が徐々に加盟国に移っていることを考慮すると大変に望ましい形態であり、他のアジア太平洋諸国にも良い例として学んでほしいと思います。ESCAPとしても学ばせていただきたいと思います。

第三回特別委員会会議中にESCAPは日本政府とJDF主催のサイドイベントに協賛しました。そこで我々は世界からの参加者に”合理的配慮“について話し合う機会を与えることができました。大変意義のあるイベントだったと思います。
ESCAPは今後とも努力を継続します。今年の10月11日から12日にはバンコクで第3回、第4回特別委員会の報告、今後の対策ワークショップを開催します。日本の皆様もぜひ、積極的に参加してください。

現在のアジア太平洋障害者の十年(2003-2012)の主な趣旨は障害者のエンパワーメントを目指す権利を基本とした開発です。さまざまな個性と能力を持つ人々が平等を基本とし、権利を主張しかつ享受することのきる社会を念頭に置きながらがんばりましょう。そういった理想的な社会を願いながら僭越ではございますが、私の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。