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国際セミナー報告書「各国のソーシャル・ファームに対する支援」

基調講演 要旨 「ソーシャル・ファームの有効性」

炭谷 茂
日英高齢者・障害者ケア開発協力機構副委員長
(財)休暇村協会理事長 前環境事務次官

1 労働市場で仕事を見つけることが困難な者の増加

(1)障害者

(2)高齢者

(3)ニート・引きこもりの若者

2 仕事の意義

(1)人間の尊厳

(2)経済的自立

(3)心身の健康

(4)ソーシャル・インクルージョン

3 官や企業の限界

(1)小さな政府

(2)グローバル化による競争の激化

(3)一般社会の余裕の減少

4 第3の分野における仕事の創造

(1)公的目的

(2)市場原理

(3)欧州で一定のシェア

5 ソーシャル・ファームの役割

(1)障害者等に仕事を

(2)イタリアで生まれる

(3)ヨーロッパに1万社

6 日本でも有効

(1)各地で動き

(2)市民のバックアップ

(3)日本に2千社を

7 具体的方策

(1)環境産業、農業、サービス業など

(2)社会基金

(3)コンソーシアムの形成

(4)人材の養成

(5)国際的連携


基調講演 「ソーシャル・ファームの有効性」

基調講演を行なう炭谷氏の写真

炭谷 茂

ただいまご紹介いただきました炭谷でございます。今日は日曜日にもかかわりませずこのようにたくさんの方にお集まりいただきましてありがとうございます。実は今日、ソーシャル・ファームについて取り上げたシンポジウムを開催したわけですけれども、17年度、18年度、さらに今年19年度と3か年連続でソーシャル・ファームというものを皆さんと一緒に考えてきたわけです。

なぜ3年連続で取り上げたかということですが、ちょうど私ども日本が抱えている問題、その問題というのはどうも解決が難しい問題。そういう問題が今日、ご出席の方々と共有しているのではないかと思うのです。日本社会、確かに経済はよくなった。しかし、何か足りないものを感じていらっしゃるのではないかと思います。その一つが障害者の問題、また高齢者の問題、またニートや引きこもりの青少年の問題。さらにはたとえば社会的な理由によって、たとえば刑務所から出てきた人の問題やホームレスの問題、DVの問題。そういう問題が十分解決されていない、何か壁にぶつかっている、閉塞状況にある、というような問題があるわけです。

そういう問題の解決の一つの方法として、このソーシャル・ファームがあるのではないかということで、今年、またこのソーシャル・ファームについて取り上げたわけでございます。

先ほど、大きく4つに分類してお話ししました。レジメには3つに書いてございますが、私は4つでとらえた方がいいのかなということで一つ加えた次第であります。

まず障害者の問題です。障害者の問題について、今日は仕事という面から考えた場合、どうも障害者の仕事の面で、確かに日本の経済はよくなったけれども、雇用の問題ではまだまだ不十分ではないか。知的障害者については約半分の方々しか就労の場がない。身体障害者についても4割、精神障害者の方についても同様な状況だろうと思います。さらにその中で、これは知的障害者の部類に入るのだと思いますけれども、最近言われている発達障害、自閉症児や学習障害の問題。そういう問題についてもやはり障害者の問題としてとらえなければいけないだろうと思います。

たぶんこれからヨーロッパの方々がお話しいただく中には、かなり学習障害などの問題についてヨーロッパの方では力を入れていらっしゃるということを、お聞き取りいただけるのではないかと思っています。

2番目の高齢者の問題についても、いよいよ今年からたくさんの退職者が生まれます。高齢者についてもなかなか適切な仕事が見つからない。

3番目の新しい問題として、若者のニートの問題。また、引きこもりをしている子の問題。数年、引きこもりをした子にとって、引きこもりはやめて社会に出たけれども再び仕事を見つけることはできないというような状況があるのではないかと思います。

それからレジュメには書きませんでしたが、第4の問題として、いろいろ社会的な理由によっていろんな困難に直面されている。特に仕事の面。たとえば刑務所から出てきた人、ホームレスの方々、またDVなどの方、母子家庭の方も入るでしょう。そういう方々についての仕事の問題が、やはり日本において深刻な問題となっているんだろうと思います。

そこでまず基本に返って、仕事の意義ということについて整理をしておきたいと思います。仕事という面で考えた場合、私は4つの意味があるのではないかと思っています。

1つは、仕事をすることによる人間の尊厳ということがまずあるだろうと思います。

2番目には、経済的な自立ということだろうと思います。ただこれは注意しなければいけないのですが、あらゆる人に対して経済的な自立を求めるということは困難な場合もあります。それを十分に留意した上で、仕事における経済的な自立ということを考えてみる必要があるだろうと思います。

第3番目として、心身の健康。仕事をすることによって心身の健康が促進される。ときどき私も障害者の働いてらっしゃる現場に行くことがあります。そうすると皆さん、本当に明るく働いていらっしゃる姿を見ると、これは心や体の健康にもずいぶん貢献しているのではないかと思います。

そして第4番目。これがどうも最近の日本ではあまり強調はされていませんけれども、私はたぶんヨーロッパの方では重視されていると思いますけれども、ソーシャル・インクルージョンという考え方ですね。社会とのつながりにおいて仕事というものが大変重要ではないかと思っています。

私どもの生活というのは、やはり仕事という面を通じて人とのつながりができているのではないかと思うのです。先ほど、4つに分類しましたが、4つの方々はともすれば社会から排除される、また社会から孤立をするということがあります。それも防ぐ意味、そして社会とのつながりを持つという意味で、仕事というのは大変意義のあるものではないかと思っています。

この4つが仕事の意義というふうに整理されるだろうと考えています。

それではこの仕事、どのようにして用意をしていくか。先ほど私は4つに分類しましたけれども、4つの方々に対してどのようにして仕事の場を提供できるかという問題に入りたいと思います。

私も社会福祉を主に仕事としてきた人間ですが、まず、第一に考えるのは社会福祉体制下における仕事ですね。たとえば授産施設があるでしょう。またいろいろな方々が苦労されている小規模な作業所、共同作業所とも呼んでおりますが、そのような社会福祉の制度下における仕事の場もあるでしょう。また一方、一般企業における仕事の場。そこで雇用をされて働くという2つの場面が、これまで私どもが先ほどの方々に対する仕事の場として考えてきたのではないかと思います。

しかしどうもこの2つの分野だけでは、私ども、限界を感じ始めているのではないかと思います。

私は今の2つの分野、それはそれぞれにおいて重要だと思っています。さらに充実させなければいけないだろうと思います。しかし、最初の社会福祉法制下の働く場について考えると、どうも最近の財政の制約からなかなか十分伸びない。またその場で働いても十分な給料が得られないという問題を私どもは抱えています。

一方、一般企業における雇用。これもこれから法律で定められた雇用率が十分に達成されていない。これを達成させていくということはもちろん必要でしょう。しかしこれについても、最近のグローバル化した激しい競争の中で、企業もなかなか積極的に置いてくれない。もちろんこれもこれから増やしていかなければいけないことは明らかですけれども、こちらもなかなか限界がある。

そうするとそこで第3の分野、それを私どもとして考えなければいけないのではないかと思っています。

第3の分野。ここで若干くどいようですけれども確認をしておきたいことは、私自身は第1の分野、つまり社会福祉法制下に基づく分野も、一般企業における分野も大変重要だと思っています。これからますます拡大をしていかなければいけないという前提のもとに、さらにその選択肢を増やす意味で、第3の分野、それが重要ではないかと思っています。

第3の分野、これはこれからヨーロッパの方々がいろいろな言葉で話されます。ある人は「ソーシャル・エンタープライズ」という言葉で表現されると思います。ある人は「ソーシャル・エコノミー」ということで話されると思います。両方とも同じ趣旨なんです。つまり目的は、社会的な目的。たとえば障害者の雇用を増やそう、それから社会的なハンディキャップを持っている人たちの雇用を増やそう、もしくは雇用の問題だけではなくもっと違った、たとえば環境の問題、IT教育の問題。そういう社会的な目的のために行う、これが第3の分野の特色の一つなんです。

2番目の特色として、その分野についてはあくまでビジネス的な手法で行う。これがソーシャル・エンタープライズ、日本語に直せば社会的企業、もしくはソーシャル・エコノミー、社会経済というものの構成要素ではないかと思っています。いわば公のよいところと一般企業の特色、それぞれを抜き出したものが第3の分野だろうと思います。
この第3の分野については、残念ながら日本ではまだまだその重要性というものが十分認識されていない。まだまだそれについての勢力が存在していない。でもこれから重要なのは、公の分野、もちろん民間企業の分野がそれぞれ発展していかなければいけないけれども、この第3の分野をいかに強化していくかによって、日本が抱えている閉塞状況にある社会問題に対する、一つの回答、打破する手段が得られるのではないかと思っています。

この第3の分野というのは、ある意味では、そのような社会的な目的を有効に解決するだけではなく、私ども日本の社会においても重要な一人ひとりの市民がそれぞれ助け合う、公の目的のために横でつながっていく。市民社会と呼んでもいいのだろうと思いますけれども、日本社会でこれまでなかなか形成されなかった横のつながり、そういうものを得る一つの大きなきっかけになるのではないかと。

私はこれが日本社会にこれまでなかった新しい公を形成できる、一つの方法だろうと思っております。

この第3の分野、今日話題になっているソーシャル・ファームというのは、その中の第3の分野の中の障害者などのように労働市場でなかなか仕事を見つけられない人のための、仕事を用意することのために存在するものです。頭の整理をいたしますと、つまり、社会的企業=ソーシャル・エンタープライズ、もしくはソーシャル・エコノミーと経済学用語で呼んでもいいでしょう、その中の一分野としてソーシャル・ファームということがあるわけです。

ソーシャル・ファームはイタリアで1970年代、マランザーナさんからお話があると思いますが、生まれたわけであります。

ここで整理をしておきますと、後ほどマランザーナさんは、ソーシャル・コーポラティブという言葉で説明されると思います。これは私の理解では、趣旨や目的などはソーシャル・ファームと同じだろうと思います。ただイタリアの法律の制度ではソーシャル・コーポラティブ、いわば協同組合。日本でいえばこのシンポジウムを後援してくれている協同組合と同じような法制化で、皆さんがそれぞれ出資をして、それぞれ対等の関係でその運営に寄与していく。いわば協同組合のような形でソーシャル・ファームのような機能を果たしていくというふうにご理解されれば間違いないだろうと思います。いわばソーシャル・ファームと同様な機能を果たしているイタリアの法的な形態だと理解していただければ、これからのイタリアの説明がわかりやすいのではないかと思います。

このイタリアで興ったソーシャル・ファームはヨーロッパに広がっていきます。まずドイツに広がり、フィンランド、それからギリシャ、それからイギリスという形で、ヨーロッパ全体に広がっていきます。ソーシャル・ファームに類するものはだいたい1万以上、ヨーロッパに存在しているのではないかと思われます。

そうすれば日本において先ほどのような問題、冒頭でお話ししたような問題がいろいろあります。それを解決するために、また同じような問題を解決するために、ヨーロッパでは1万社がソーシャル・ファームとして活躍されているのであるならば、人口比でいくと日本には2,000社程度、ソーシャル・ファーム的なものができてもいいのではないかと思っています。2,000社と言えば、現在の合併後の市町村の数とだいたい同じなんです。ですから日本の各市町村1つずつ、このソーシャル・ファームができてもいいのではないかと思っています。

先ほど司会の方には、私が全国でソーシャル・ファームの内容について話して回っているということをお話しいただきました。ソーシャル・ファームの必要性についていろいろ訴えておりますけれども、よく聞いてみると、「ソーシャル・ファームと言わなくてもこれと同じようなことを既にやっているよ」ということを聞きます。先ほど私は日本に2,000社必要だ、新たに作る必要があるというふうに言いましたけれども、実際にもう既に同じようなことをやっているところがたくさんあるのではないかと思います。ですから既に日本である程度の土壌ができ上がっていると理解しております。

それではこれを具体的に日本で育てていくためにはどうしたらいいのか。これが今回のシンポジウムの主な目的です。今日、200人以上の方がこの会場にお集まりいただきました。それぞれの方が、「ソーシャル・ファームというものについて自分のところでもやってみたい」、もしくは「既にやっているけれどもどうしたらさらに発展させることができるのかな」という問題意識でお集まりいただいているのではないかと思っています。

私はこのソーシャル・ファームを日本で発展させていくためには、いろいろあると思いますけれども、5つのことを頭に描いております。必要なことを5つ描いています。

一つは、分野です。ここが皆さんも一番悩まれることだと思います。ソーシャル・ファームとしてどんな製品を作っていくか。どんなサービスを実施していくか。それが成否の分かれるところだろうと思います。先ほど、社会福祉法制下でやっているところと民間企業でやっているところのそれぞれいいところや特色を抜き出したのがソーシャル・ファームだと言いました。そんな都合のいいことができるのかという疑問を、誰しも持ちます。私自身もそういう感じを持っております。しかしそれを成功させる方法というのは、どういう分野についてやっていくかということだろうと思います。

一つは環境産業というものが大変有望ではないかと思います。たまたま私は昨年の9月まで環境省という役所で仕事をしておりましたけれども、これからの環境産業というのはますます発展していきます。だいたい環境省の推計では2000年には100万人の方が環境関係の仕事に就いていらっしゃいます。それが2025年には220万人、約2.2倍の雇用者数になるだろうとしています。私はこれはやや控えめな数字ではないかと思います。もっともっと必要だろうと思います。この環境産業の中身を見てみますと、一つはリサイクルというものが大変有望ではないかと思います。

ソーシャル・ファームについて全国を回ってみますと、すでにソーシャル・ファーム的に経営されているところがいくつか発見されますが、その中で多いのがこのリサイクルです。山形県の新庄市におじゃましたときには、スーパーなどから出てくる廃プラスチックのリサイクルを、主に知的障害者の方々が一部携わっているのを見ました。このやり方は新庄だけでなく神奈川県、京都などいろいろなところで試されてかなりの成果を上げています。それから川崎市の方の食品リサイクル。賞味期限の切れた缶詰やトマトケチャップなどの食品を取り出して、これを家畜のエサやコンポスト、堆肥にするというようなリサイクルをやっているところがありますが、そこには障害者ではなくて川崎市に居住していたホームレスの方々を雇用している。こういう現場を拝見させていただいたことがあります。これはまだまだたくさんの可能性を秘めているのではないかと思います。

第二には農業というのもあるのではないかと思います。これは特に有機農法です。先ほどの食品工場で不要になったものをコンポストしているとお話ししましたが、そういうものを使った有機農法というのも可能性があるのではないかと思います。

農業の分野で既にやっている現場としては、たとえば北海道などではチーズ作りをやっている。これも精神障害者の方々を雇用している。また愛媛県の方では野菜の一種である大葉、しその仲間ですが、大葉を作っています。これは有限会社でやっていて有機農法でやっているということで、実際に精神障害者の方を正確には忘れましたが、既に10名、20名と雇っている。かつ給料も最低賃金をクリアできる賃金を払えるようになっていると聞いています。

それからこれは現在計画中の土地を、広大な要らなくなった土地があり、それをうまく使って有機農法をやろうじゃないかと。これは障害者だけでなく高齢者も働いてもらおうというソーシャル・ファーム的な計画を立てているところがあります。

またサービス業というのも可能性があるのではないかと思います。たとえば高齢者のための弁当を作り配達する。そういう形で既に成功しているところもあると思います。今日もヨーロッパの方々からお聞きする中にはこのサービス業分野がかなりあるとうかがっています。

このように、分野としてはいろいろたくさん考えられるんです。結局重要なことは、障害者が作っているから売れなくてもいいというものではダメだろうと思うんです。やはり市場に合うもの。市場が選んでくれるもの、ニーズに合うもの、質がいいもの。そういうものでなければ、そもそも企業として成り立たないだろうと思います。これが第一の要件です。

第二の要件としては、やはりこういう事業をやるにあたって資金が必要だと思います。そのためにSRI=社会的責任投資ということに着目してもいいと思います。SRI、これはアメリカでは大変盛んなんです。アメリカでは円に直してだいたい200兆円を超えるSRI=社会的責任投資があると聞いています。社会的責任投資というのは、福祉のため、環境のためという公益的な目的のために投資をしてもいいと。ある程度利率が低くても公的な目的のために投資をしてもいいというお金。日本の場合は残念ながら3,000億円いかない。まだまだSRI=社会的責任投資ということでは発展途上です。ヨーロッパやアメリカの状況を見てみると、このSRIに大変期待をしている。またそういうものが出てくればこのソーシャル・ファームというものも伸びていくのではないかと思っています。

その他、今日、イタリアのことをご説明いただきますが、イタリアの場合は協同組合という形でなされています。協同組合というのは、それぞれの市民の方が出資をする形で成り立つ一種のソーシャル・ファームだと思います。そういうやり方で資金的に支援をしていくという方法も有益だろうと思っています。

三番目は、コンソーシアムを形成するということです。先ほど私は有機農法がソーシャル・ファームとして大変有効だというお話をしました。しかし日本においてこの有機農法は、障害者の方々が試してみても、しかし壁や困難にぶつかっている。場合によっては廃業せざるを得ないケースがかなりあります。なぜなら、結局、作ったものを買ってくれる人がなかなかいない。有機農法自体は大変優れている。しかしその作農作物を買ってくれるところがないんです。作りっぱなしになってしまう。そこで重要なのは、物を作る、作るのはソーシャル・ファームだけれども、それを買ってくれる消費者との結びつきをしっかりととっていくということが重要だろうと思います。

その社会的企業と消費者、さらには行政のバックアップ、市民の一般的な教育、こういうものを一つの仲間にしたコンソーシアムというものの形成が、このソーシャル・ファームというものを発展させるのによい方法だと思っています。

そういうことを言いますと、かなりの地方で「それではうちの方でこのコンソーシアムをやってみよう」と言ってくれるところもありますし、既に試みているところもあります。そういうところは、発展する基盤があるのではないかと思います。

先ほどの2,000社というのは、各市町村で1カ所、できれば市町村がこのような形で支援をするということが望ましいのではないかと思います。

第四に人材の養成ということです。このソーシャル・ファームの運動というのは、一つの市民とのつながりなんです。市民がそれぞれ横のつながりをして、新しい「公」を作っていくことに貢献します。その場合、そういうものをまとめてリーダーが必要だろうと思います。

また、社会的企業が失敗する原因というのは、単なる使命感だけではダメ。マネジメントの経営者としての資質が必要。そういうものがわかる人材が必要だろうと思っています。

最後に、第五番として、国際的な連携というものが重要ではないかと思います。今日もこのようなシンポジウムで、イタリア、ドイツ、イギリス、その他の国との連携ということも、このソーシャル・ファームというものを日本において発展させるのに大変役に立つのではないかと思っています。単なる情報の交換だけ、もしくは技術の交換だけにとどまらず、お互いに、たとえばできた商品を交流し合うことになれば、このソーシャル・ファームがもっと発展するのではないかと思います。

ヨーロッパだけでなく、たとえば隣の韓国では、生産型福祉という形でソーシャル・ファームを作る運動というのが行われています。ですからアジアとの関係も留意しながら、また一緒になってやっていくというのが、日本におけるソーシャル・ファームの運動の発展につなげることができるのではないかと考えております。

今日はヨーロッパの事情を参考にしながら、皆さんと一緒にソーシャル・ファームをどのように活用し、発展させたらいいかと思っています。ご清聴ありがとうございました。