音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

指定発言

●高岡 それではここから指定発言です。大阪会場から発言を、お願いします。

坂本 ヒロ子(大阪手をつなぐ育成会副理事長)(大阪会場)

●坂本 私は知的にも、身体にも障害のある24歳の子供をもつ親です。先ほどからのお話を聞いておりました。私の子供は体が不自由で知的にもハンディがあるのですが、お話を聞いて、ほかの障害のある人たちにも、情報に関して色んな制度、仕組みが必要なことがわかりました。お互いに、分かり合える、知るということはとても大事だと思います。この場所に参加できて良かったと思います。 子どもを育てているとき、社会の中で特別視をしないという言い方で、かえって障害の特性に配慮されてこなかったと思うんです。権利条約の批准にすごく期待するのですが、それは何故かというと、合理的配慮がないことが障害者に対する差別と言われているからです。情報に関しても、知的障害者にどのように配慮するかが大切です。例えば、知的障害者と認知症の方はよく比較されたり、一緒のように考えられます。これから高齢者の人口は40%を超えると言われています。その中で、やはりルビを打ったりわかりやすい表現にするなど、色んな手段で情報を伝えることが大事です。 例えば、選挙についてもそうですし、裁判員制度でも「わからない」ではなく、わかるように伝えていくことがとても大事になります。それだけに、情報通信に期待するものについて、声を上げていかないといけないんだなと思いました。そのような合理的配慮はこれからのやさしい社会を築くヒントになると思われます。 私は親ですが、東京では当事者本人の横山さんが話をされました。本人が言える力をどんどんつけています。本人たちに意見を聞いていただきたいと思います。本人部会というのは東京でも大阪でも各地でやっています。色んな調査をしアンケートをし、色んな声を聞いていただけたらいいなと思います。

福井 哲也(日本ライトハウス点字情報技術センター編集主幹)(大阪会場)

●福井 皆さん、こんにちは。日本ライトハウスで普段は点字の本をつくる仕事をしている福井です。今日は、テレビ放送が大きなテーマだと思います。私は普段そんなにたくさんテレビを見る方ではありませんが、2~3か月前、すごく感動した番組がありました。関西テレビの開局50周年記念として、開局当時の1960年代・70年代の報道番組や、一般市民へのインタビューの一部が編集されていて、昔懐かしい、子どものころの思い出が沸き上がってくる良い番組でした。どうやってその番組を知ったかというと、さっき今野さんがおっしゃった、三菱電機のテレビでデジタル放送の番組表を合成音声で読み上げる機能を使って、ジャンル検索で見つけたんです。この三菱のテレビは、番組表は読みますが、機能メニュー、操作ガイドは合成音声で読まないので、検索は楽ではありませんが、それでもデジタル放送の恩恵を少し味わえていると思います。三菱の新しい機種では使い勝手が改善されていると聞いています。 私たちにとってうれしいのは、1社だけではなく、パナソニックも同様の機能を持つテレビを2月に売り出したことです。パナソニックの方は詳しく知りませんので、操作メニューなどどうなっているか、ぜひ後でお伺いしたいです。 もうひとつ、テレビのアクセシビリティでは、レコーダーが使えるかどうかがすごく大事です。良い番組ほど、録画して見たいと言う人もいます。じっくり自分が落ち着いた時間に見たいのですね。そのへんが今後の課題になると思います。 全盲者が電子番組表を利用できるテレビは今、2社から売り出されていますが、ここで強調したいのは、製品情報を調べるのが私たちにとってとても難しいということです。各社ともホームページで自社製品についての情報を流していますが、その中で合成音声の読み上げ機能についての記述はほんの数行しかありません。各社の製品の中から自分に合ったものを選ぶためには、メーカーさんごとにホームページの中で、われわれのような特別ニーズのための情報を、別枠で流していただくのが一番よいのではないかと思います。 バリアフリーで一番大事なことは、技術の進歩で新たなバリアを作り出さないことだと、私はいつも申しております。しかし、残念なことに、バリアは一度には解決しません。そうしたとき、少しでもバリアが少ない製品はどれかという大事な情報を、どうやって提供していただくかも非常にポイントになると思います。この辺についても、東京会場にパナソニックの方が見えていますので、ぜひホームページでの情報提供を含めお伺いできればと思います。ありがとうございました。

 

●高岡 では東京会場から、パナソニック株式会社AVCネットワークス社映像ディスプレイデバイス事業グループの青木貴さんです。よろしくお願いします。

青木 貴(パナソニック(株)AVCネットワークス社 映像・ディスプレイデバイス事業グループ グループマネージャー)(東京会場)

●青木 東京会場の皆様、大阪会場の皆様もよろしくお願いします。本日はありがとうございます。パナソニックが2010年春に導入しました「新・ビエラ」の機能紹介をします。今回登載した機能は音声読み上げ機能です。アピールポイントは3点あります。1つめは、番組表でのタイトル読み上げで、選局時にも対応しています。2つめは、操作時のレスポンス、反応がよくなったことです。3つめは、私どもは大画面テレビが得意な会社ではありますが、19インチの比較的お求めやすいモデルを含めて全シリーズにこの機能を搭載しました。 ただこの機能開発をするにあたり、私どもメーカーだけでやっても、独りよがりの作り手側の機能になってしまうので、今般は東京地区で日本点字図書館様、大阪地区で日本ライトハウス様のお力添えも得まして、商品に搭載する仕様に関しては障害者の皆様に何が便利であり、また逆になにが不要かをお聞きして、仕様を検討させていただきました。実際に東京・大阪で私どものビエラの試作機を持ち込ませていただき、障害者の皆様の意見を聞き、メーカーとしていろいろ気づかなかったことがありまして、それらを盛り込み、今回の機能を実現しました。  具体的に気づいた点は、5つあります。1つめは、読み上げ方の工夫です。番組表は横軸がチャンネルで、新聞の番組表と同じ並びです。縦方向では時間だけが変わりますので、同じ情報は繰り返し読み上げる必要がありません。必要のない重複情報は読み上げないほうがいいとのご指摘をいただきました。 2つめは、操作音の工夫です。例えば番組表の開始、終了時に違う音を出すことで、視覚障害者も簡単に番組表が表示されていることにお気づきいただけます。 3つめは、音声ガイド設定を簡単にオンオフできるようにすることです。健常者と同居している場合、目の見える人が使うときには簡単にオフでき、その逆では簡単にオンにできるようにして、音声ガイド設定の方法も読み上げるようにしてほしいとのことでした。 4つめは、もとの場所に操作が戻ったときには音を出すことです。番組表の端や上に来たときはそれ以上動きませんので音を出して気づいていただきます。 5つめは、日本語の読み方です。通常われわれが使う言葉とは違う言葉が、テレビの世界で使われていることがあります。例えば、通常の音声辞書では、NHKの「N響アワー(えぬきょうあわー)」は「Nひびきアワー」と読んでしまいます。ジャニーズのアイドル「関ジャニ(かんじゃに)」も「せきじゃに」と読んでしまいます。これらの言葉は日々変わりますので、商品を出した時点で、読み方を正しく出来るように辞書の工夫をしました。 今日、実機は持ち込めませんでしたが、CDにガイド音を録音してきたので、ここで再生したいと思います。

 

○テレビ音声 地上デジタル、NHK総合1大阪、音声多重放送、ラグビー日本選手権準決勝・・・

 

●青木 ここで番組表ボタンを押します。

 

○テレビ音声 NHK教育1大阪、となりの子育て・・・明日よる8時・・・

 

●青木 さらに詳しい情報では

 

○テレビ音声 ピッピッピ・・・(操作音)

 

●青木 今、別の番組を探しています。

 

○テレビ音声 ポロン(操作音)・・・NHK総合2大阪、2月20日・・・番組内容カーリング女子予選、アルペン男子回転・・・番組詳細内容、情報がありません。

 

●青木 こういった形で機能搭載させていただいています。2011年にはアナログ放送が終わってしまいますので、間もなくデジタルテレビへの買い換えを控えている方も多いことから、今できる範囲で、できるだけ早く機能搭載しようと心がけました。今は番組表やチャンネル選びの番組読み上げに対応しております。大阪から問い合わせがありましたが、必ずしもすべての読み上げに対応しているわけではございません。今年の春に私どもが発表した新製品ビエラ19~54型のうち現時点18製品で対応させていただいています。 お手元に機能説明の用紙を配っています。(※巻末に掲載)この製品品番が対応していますので、ご購入の際には検討ください。ご協力いただいた日本点字図書館、日本ライトハウスの皆様、今日のフォーラムの主催者の皆様に感謝を申しあげ、私の発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 

●高岡 ありがとうございました。次に、他の地域からの発言をいただきます。筑波技術大学の河野純大先生です。

河野 純大 (筑波技術大学 産業技術学部 産業情報学科助教授)(筑波より)

●河野 皆様、こんにちは。筑波技術大学の河野です。お話を伺い、勉強になりました。私は今、大学の教室にいまして、皆様の様子が見えていません。視覚障害の気持ちがわかったことも含め、ありがたい体験をさせていただきました。 私どもの大学には視覚障害の学生と聴覚障害の学生がいます。私がこの大学に来て8年ぐらいになりますが、先日、すごくうれしい連絡がありました。卒業生からです。ビエラという商品名が出ていたので、商品名を言っていいかなと思いますが、シャープに勤めている卒業生が、アクオスの開発に携わっていまして、その学生が、テレビの字幕表示設定の部分をデザインして作ったという報告をくれたのです。今、字幕はテレビの画面に重なって出ていることが多くて、元々の映像テロップが見えなくなることが多いのですが、その卒業生が作ったものでは、そういう従来の表示方法も選べるし、テレビ画面の上下に黒い部分を表示し、そこに字幕を出すことも、リモコン操作で選べるようにしたとのことです。大学卒業後、商品開発に障害者の視点で携われるような技術者を、どんどん教育していきたいなと思いました。 今日お話があったように、まだ多くのバリアがあろうかと思うのですが、手話がついたり、字幕を任意の場所に出したり、ルビが出るとか、あるいは触覚で感じられるとか、そういうことが増えると、われわれのような高等教育の現場でも使いやすいコンテンツになります。ますますの発展を期待したいと思います。こんなところで私の話を終わります。今日はどうもありがとうございました。

 

●高岡 ありがとうございました。残り時間も少なくなりましたが、会場からご発言をお願いしたいと思います。どなたかご発言したいと思われる方、いらっしゃいませんか?

 

●岩井 大阪でいらっしゃいますね。

 

●高岡 では大阪からお願いします。

 

●岩井 大阪から、最初に手を挙げていただいた亀甲(きっこう)さん、お願いします。

 

●亀甲 お世話になります。今日ここに寄せていただいた視覚障害者なんですが、視覚障害以外の方々が抱えている情報バリアフリーの観点や現状について、わかりやすく解説いただき、ありがたく思っています。私自身は視覚障害者の立場から意見を述べます。 今日はメーカーサイドからの発言もありましたが、私たちは何十年という間、特に電子機器にさまざまなバリアがあって、ある時点で解決してもらえたかなと思ったら、すぐに企業の方向転換で、バリアがなかった製品にまた新たなバリアが復活するということを、何度も経験をしてきました。それを教訓に考えたときに、メーカーに対してハードの面で強制的に「作れ」と言うのは酷と思いますが、先ほど各放送事業者に対する助成制度の話が総務省のご担当からありましたけれども、ぜひ製品開発や技術開発にあたっても、何らかの形での施策を、国としてきっちり行っていく。そういうこともバリアフリーを実現させるためには必要だと思います。 またNHKの方からも話がありましたが、確かに将来に向けて、放送事業者の工夫次第で広がっていく面があると思います。私が足元で気になるのは、今放送されている番組の中でも、各地の天気などを放送したとき、「近畿地方は画面の通りです」とか、ちょっと工夫していただいて、ほんの10秒でも、画面で書かれていることを声に出してくれれば伝わる情報も、省略されていたりします。あるいは英語の音声が放送されるときに、英語がわからない私たちにとっては、翻訳の字幕だけが画面に出ている、この間の退屈さと言ったら、情けなく感じることすらあります。ここもうまく工夫をすれば、同時通訳だってできるわけですから、もうすでに録画されている番組の内容を通訳することぐらい、新たな技術開発がなくても十分できることです。足元で、今われわれが悩み困っていることを、放送事業者としてぜひ検討していただきたい。放送事業者、メーカーとわれわれ利用者が、共に将来に向けて、条約の批准に向けて、一緒になって頑張っていきたい。国内でも新政権が誕生しましたので、総務省の背中をわれわれが押す形で、前進させていければなと思いました。今日はありがとうございました。

 

●岩井 大阪会場からもうお一方手が挙がっていますが、高岡さん、どうですか?

 

●高岡 残念ながら時間がなくなりました。今の亀甲さんのお話が今回のフォーラム全体のまとめにもなるかなと伺いました。 一言コメントを申しあげたいと思います。特徴の1つは、今日のフォーラムでは、情報バリアフリーについて、さまざまな障害をもった方々が自ら発言されたことです。これは非常に重要なことだと思います。 もう1つは、障害者権利条約の批准に焦点を合わせて討議がなされたことです。これも非常に重要なことです。 3つめに、障害者が参加して議論を進める形を、私たちが示せたのではないかと思います。各政府、民間との話し合いの中にも、ぜひ私たち障害者が普通に参加して意見を述べるような形をつくっていただきたいと思います。岩井さんコメントお願いします。

 

●岩井 私もそう思いました。それで今まで当事者抜きでいろんなことが決められてきましたが、これからは、私たち抜きで決めないでくださいということを、行政にもメーカーにも伝えていきたいと思います。幸い、フォーラムを主催した障害者放送協議会には、20の団体が参加していますので、今日の話をくみ上げて、声をキチンと伝えていければと思います。東京会場の皆さん、大阪会場の皆さん、本当にありがとうございました。

 

<発言者資料>HTML版]

 

<発言者資料>[PDF:165KB]