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報告書 ドイツソーシャルファームの実地調査報告会

閉会挨拶

野村 美佐子

公益財団法人 日本障害者リハビリテーション協会 情報センター長

本日は、講師の方々からたくさんのことを学んでいただけたのではないかと思っています。最後に閉会の挨拶を兼ねまして、今回のドイツのソーシャルファームについて私も二人の講師の方の視察に同行させていただきましたので少しお話をさせていただければと思います。今回訪問したソーシャルファームを見てみますと、当事者の方が社長となっている職場もありましたが、障害のない方が関わってソーシャルファームを引っ張っているように思いました。今回お話をしたソーシャルファームのホテルの支配人に聞いたところ、「普通の企業に働いていたけれども、障害者の雇用について使命感を持つようになってこのホテルで働くことを決めた。」とおしゃっていましたが、ソーシャルファームに生きがいを感じているように思いました。

ベルリンのコンサートホールにカフェを立ち上げたモザイクというソーシャルファームがあったと思いますが、そこの責任者は、もともと養護学校の先生でした。養護学校の先生からカフェの女主人として大変身をし、障害者と共に働くことに意義を見いだした彼女は、生き生きとして働いていたように思います。

また、先ほど質問の中に学習障害者などのお子さんを持つ親が、将来、子供が働ける場を作ろうというお話があったかと思いますが、それに関しまして、私が2007年に訪問したハンブルグのソーシャルファームのホテルの事例がありますのでご紹介したいと思います。知的障害者の親たちが、子どもたちが養護学校を卒業後、働く場所としてホテルを開業しました。そして、その経営をやっていくうちに、障害者団体が経営するようになったということでした。尚、知的障害者の方々ができることは限られていまして、お部屋のシーツ交換や清掃と朝食の提供というサービスのみで、夜の食事については、先ほどの障害者団体が経営をするレストランで提供しているということでした。しかし、そこで働いていた知的障害者は、誇りを持って生き生きと働いていたように思います。詳細につきましては、障害保健福祉研究情報システム(DINF)に掲載しております。

http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/conf/seminar20070128/shiryou02.html

この私どもが運営するDINFでは、今まで開催したソーシャルファームのセミナーなどの報告を提供してきましたので読んでいただければと思います。日本でもドイツのように国の支援があったら多くのソーシャルファームが生まれるのではないかと思います。今回の視察のプログラムを考えていただいたゲロルドさんとは、知り合って10年以上になります。彼は、日本のソーシャルファームはどうなっていくのか非常に興味を持っております。私ども日本障害者リハビリテーションにおきましても、彼の協力などを得ながら、ソーシャルファームに関する様々な情報を提供していきたいと思いますので今後ともよろしくお願いします。

最後に講師の皆さま、情報支援をいただきました手話通訳者と要約筆記の皆さま、そして助成をいただきました教職員共済生活協同組合様と大阪府民共済生活協同組合様にお礼を申し上げて閉会のご挨拶にしたいと思います。ありがとうございました。