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平成18 年度 DAISY を中心とした情報支援普及啓発事業
障害者への情報支援普及・啓発シンポジウム
-DAISY を中心として-

【講演4】「精神障害を持つ人への情報支援」

講演を行う伊藤知之氏の写真

伊藤知之( 社会福祉法人 浦河べてるの家)

皆さん、こんにちは。浦河べてるの家の当事者スタッフの伊藤といいます、よろしくお願いし ます。

まずは簡単に浦河べてるの家について説明いたしますけれども、浦河べてるの家はテレ ビや新聞、雑誌等の各種メディアでとりあげられることが多くて、昨年10月にT B S 系の深 夜の「報道魂」という番組で、メンバーの退院促進に向けてのメンバーと、それをサポートす るメンバーの活躍が深夜にドキュメンタリーとして放送されましたし、そして今年のはじめに は東京新聞で、東京と名古屋のローカルだったと思うのですけれど、べてるの家のメンバー の仕事や暮らしぶりを紹介した記事が載っているのでご存じの方も多いかと思います。浦 河べてるの家は、精神障害を持つ人を中心に、今は障害者自立支援法によって身体の障 害も知的な障害も統合されて施策が運用されつつありますけれども、それが始まる前か ら精神障害が中心とはいいながら、知的の人も身体の人も町民有志も一緒になって、揃っ て北海道の日高地方の名産の日高昆布を全国に直販するところから始まって、まちづくり を行っていく拠点です。後ろのほうに、日高の昆布類、家から持ってきたものがありますので、 休み時間等に見ていただければと思います。

そうしたこともさることながら、最近ではその活動が注目されておりまして、さまざまな出版 物やビデオ等にもべてるのメンバーのことが紹介されております。

そして、まず精神障害とはどのようなことかということですが、精神障害を持つとどのよう に他の健常者の人とさまざまな障害を持ってコミュニケーションが障害されるのかという ことなのですが、精神障害を持つとまず見えないはずのものが見えたりする幻視、聞こえ ないはずのものが聞こえたりする幻聴、そしてさまざまないろいろなマイナスの思考という ものが入ってきます。そのマイナスの思考のことを心の中に入ってくる「お客さん」とべてるで は呼んでいるのですけれど、そういったお客さんが入ってくることにより、ちゃんと働きたい とか家庭を持ちたいとかいう願望を持ちながら、幻覚、幻聴、お客さんが邪魔をして、感情を 爆発させたり被害的になったりして、入院してしまったり、なんか他の人とのコミュニケーショ ンがうまくいかなかったりというようなことがあったりして、思っていること、伝えようとしてい ることが正確に伝わらないことがあります。

そういったわけで、いろいろな技法を使ってコミュニケーションの練習をしているわけです けれども、べてるではさまざまなミーティングで自分を語り表現することが求められておりますので、それを題しましてべてるの理念にもあります「三度の飯よりミーティング」ということが言われております。

コミュニケーションに苦労している私たちは、もう一つの理念に「リハビリテーションよりコ ミュニケーション」というものがあるのですが、コミュニケーションをとるために言葉を選ん で言葉を使って表現しようとして、ミーティングでもその日の体調と気分を報告したり、その 日のよかった点や苦労している点、悪かった点ではなくて、さらにここをこうしたらよくなるの ではないかという「さらによくする点」を出すことで、その場のミーティングというものも何か を解決したりするものではなくて、自分自身の弱さを公開することを目的としてさまざまな ミーティングが行われています。

そういったミーティングに加えて大事にされているのが、S S T、日本語で訳しますと生活機 能訓練、S o c i a l S k i l l s Tr a i n i n g の略なのですが、つまり簡単に言いますと認知行動療法というものがあります。精神障害を持つと間違った認知を持ってしまうがためにコミュ ニケーションが障害されてしまうということがよくあるのですが、そういった間違った認知を 自らのパワーをもって修正するために、10 人くらいが輪になって、みんなの前でコミュニケー ションの課題を出してもらって練習するというようなことをやっています。

たとえば僕の場合ですと、あっちこっちに呼ばれて講演に行ったり学会に行ったりすること があるので、厳しい父親から電話があったりすると、なんであちこち行ってるんだと言われ たりすることがあるのですが、それをこういうふうにして勉強しているんだということを電話 口で伝える練習を行ったりということをやったりして、周りから助けられています。
S S T でも、周りのメンバーがよかったね、悪かったね、といって悪かった点ではなくさらによ くする点を出してくれるので、みんなからパワーをもらってその場に備えるということができ るのがいいところだと思います。

そして、メンバーは自分のことを語り表現することで、そういうことが求められることで自然 とおしゃべりになり、饒舌になります。それが笑いとともに行われ、ユーモアとともにその場を 作っていけるというのが、浦河べてるの家の活動に参加してのいいことだと思います。 そのべてるの活動の中に、当事者研究というものがあります。
当事者というのは広く精神障害を持つ人だけを当事者というのではなくて、その問題に 直面するご家族や専門職、援助者の方も含めて「当事者」という括りでべてるでは読んで いるのですが、その当事者研究の始まりは、感情の爆発に悩む一人の統合失調症を抱え た当事者から始まったのです。

その当事者の方は、感情を爆発させてものを破壊したり、自宅に火をつけたりして、医療保護入院になっていて、なんとかその親御さんがべてるのことを聞いて浦河に越してきたの ですけれども、その彼を見て、べてるのよきサポーターで浦河日赤病院で現在も非常勤で ソーシャルワーカーをされております向谷地生良さんという方がそのメンバーに、その爆 発のメカニズムを研究しようと持ちかけていて、その彼がそれに同意して研究を始めたこ とが、その当事者研究というものの始まりです。

それが浦河のメンバーに広がって、僕も当事者研究のミーティングには、ニューべてるの 授産施設で行われるものにはメンバーとして参加しておりまして、それが今では全国のデ イケアや作業所に広がっております。

その当事者研究のいい点というのは、人とつながれるということです、一言で言うと。そう した同じような病気に悩み生きにくさを抱えた人から、同じような体験があるという同意 の意見を得たり、時には対処法を学ばせてもらえる機会があったり、支援者の人も一緒に なってその問題について考えてくれたりということで、そうした人がミーティングに入ってく れることで、自分一人では気づけなかったことを気づかせてくれることがあります。

たとえば対処法の例を出しますと、感情が伝わってしまうということ。専門用語で言うと思 考伝搬ということが言われていますけれども、考えが伝わってしまう。例えば東京に講演 に行った時に、その考えが伝わっているということを引率のスタッフに伝えるために、こういっ た親指を立てるというサインを出して、考えが伝わっているということをその人に伝えて、引 率の人も同じように親指を立てて返すということをやったりしたのですけれど、そういった オリジナルの対処スキルもそのミーティングの中で得ることができるのではないかと思い ます。

今回お見せするのは僕の当事者研究を、D A I S Yを使ったものにしたものです。
普段はパワーポイントを使ってあちこちの講演会等で発表しているのですが、D A I S Yを 使った当事者研究は今回発表する僕の当事者研究が初めての試みです。今回はさまざま な障害を持った方、視覚・聴覚に障害を持たれた方、知的に障害を持たれた方にも、当事者 研究というものがどのようなものか、当事者研究の持つユーモアとは何かというものが伝 わればいいなと思っています。制作の過程もそういった思いで、今回当事者研究をD A I S Y にしてみましたので、ご覧ください。


( D A I S Yの音声)
…を発表したいと思います。
1月来の研究ということで研究を発表したいと思います。
べてるでは自分の病気を自分で、仲間の力も借りて自分の病気を表しやすい病名としてつけ るのですが、僕の病名は「統合失調症全力疾走型」と言って、なにごとにも全力疾走でやっていって疲れるというタイプの統合失調症です。小さいころ、小学生くらいのころからあっ た正体不明の緊張感と不安感を抱えていて、家でも父の厳しい声等に怯えて安心のない生 活をしていまして、いじめもあってつらい生活でした。

大学にはなんとか入ったのですが、大学時代に統合失調症発症して、学校に行く途中の高 校生が悪口を言っているような感覚に襲われました。大学を卒業後、公務員としてお役所関 係の福祉関係の仕事に就くも、同僚とか上司等の人間関係のプレッシャーからお休みしな ければなりませんでした。

現在はべてるの家で当事者スタッフ、ソーシャルワーカーの見習いとして働いています。 2 0 0 4 年に精神科ソーシャルワーカーの国家資格であります精神保健福祉士の試験に合 格しました。緊張感と圧迫感による人づきあいの悪循環ということで、周りの人がいろんなプ レッシャーをかけてきたりするのですが、人間関係で圧迫力とかプレッシャーを感じると、そう いった緊張感や圧迫感が、それを回避する行動として頭の疲れとか頭痛のような症状が表 れて、その物事を見たり聞いたり反応したりしなくて退避するような行動に出ます。そうすること で頭の疲れとか頭痛は一時的に鎮静はするのですが、孤独になったり自分を責めたり不安 感にかられたりします。それがますます対人関係を圧迫したり悪くしたりしまして、被害妄想や 幻聴のようなものがあらわれました。


これは真ん中にいるのが僕で、上にいるのが父親の厳しいイメージです。重圧、いろんな 勉強をしているかとかちゃんとやっているかといった圧力がかかって、重圧がかかって、それ が周りの人間関係でもなんかうまくコミュニケーションがとれなかったりして、いじめにあっ ていまして、それでコミュニケーションを断ち、殻のようなものに籠もって壁を作るという対 処をしていました。成績は高校時代まではある程度よかったので、成績のよさで高校時代 までは自分自身を保っていました。

僕は長いこと父に病気のことを言えなかったのですが、それをなんとか治すためにS S Tと いう技法を使って、父に病気のことを伝える練習を仲間の力を借りてしたのですが、そうし たところ、父はだいぶ理解してくれました。それで大成功ということで、周りのべてるでのメン バーとかスタッフとかいろんな人の関係にも対処のスキルを獲得したものが応用できてい て、自己対処技能の獲得による関係の回復とあるのですが、そうしたわけでもう皆さんの 前でお話をしたり、いろいろな人と関係を持てる自分がいるわけです。

心配性を生むメカニズムということで、下のほうに心配ボックスというのがあるのですけ れど、苦労が発生すると、仲間が体調が悪かったり家族関係の心配事があったりお仕事の プレッシャーがあったりすると、苦労がさざ波のように襲ってきて、心配性モードのランプがぱっと点いて、それで下のほうへスイッチオンということで導火線を伝わって心配ボックス が充填されて、そうすると心配マン参上、ご主人様お呼びですかというマイナスの思考、べ てるでは「お客さん」と言っているのですけれど、失敗するぞ、周りの目を気にしろ、人を信用 するなといったマイナスの思考が入ってきます。そうすることで慌てたりお仕事の能率が低 下したり、被害妄想があったり、混乱したりします。

「心配性モードのメカニズム2」ということで、先ほどとの違いは下のほうに変換装置がある ということです。同じように仲間が体調が悪かったりなど苦労が発生しても、心配性のモー ドのランプがぱっと点くときに、そのぱっと点く明るさをルクスというもので表していて、1ル クスならば安心レベル、2 ルクスならば警戒レベル、3ルクスならばゲンカイレベルというこ とで、スイッチがオンになっても自分自身を振り返ることで変換装置で変換できるようにして、 安心ボックス、相談や弱さの情報公開、自分自身は弱いのだということを伝えたり、いろい ろなコミュニケーションやS S T 等を使って対処への技能を獲得することによって、心配性 モードのマイナスのお客さんではなくて、安心マン参上いい苦労してますね、というふうによ くやっている、それも順調、いい苦労をしているというプラスの思考が入ってきて、比較的慌て ずにやれるような自分がいます。

全力疾走のタイプ、携帯全力疾走型。携帯電話が鳴ったらはいはいはいはいと言って走り 回りながら電話に出る、これがべてるでは名物になっています。 スケジュール全力疾走型、スケジュールを隙間なく入れて忙しくする。スケジュールのない 時には不安になる。相談全力疾走型、日本一のワーカーを目指して、べてるの見学者にべて るの電話番号入りの名刺を配る。

そして恋愛全力疾走型ということで、一緒に講演に行った相手や相談に乗った女性に片 思いのスイッチが入る、ということです。

全力疾走のメカニズムを図で表すと、こうです。ベースにあるのは、回りに認められていない のではないかというお客さんマイナス思考があって、それで人のためになることをしようと 全力疾走のスイッチをオンにして、携帯全力疾走型、スケジュール全力疾走型、相談全力疾 走型、恋愛全力疾走型といった行動パターンをとるわけですけれど、そうすると疲れる。そ うして被害的になって、それがループのように繰り返していくわけですけれども、そのベース にはやはり厳しい父親の目というようなイメージがあったのではないかと思います。

これはお馴染み流行語大賞にもなったイナバウアーですけれども、人生の風圧に負けな いようにということで、反っていないのですけれども、そういった風圧に負けないように、なん かポキッと折れたりせずに、そういった人生のプレッシャーのようなことを知られるようになったということで、伊藤知之の柳腰のイナバウアーということで、新ワザ開発ということで す。

そういった、自分自身が嫌なこととかプレッシャーがあってもしなれるようになったコツとい うのは、今まではただ単に我慢するのみだったのが、自信がなかったのが、講演会活動に参 加したり、自分を語るミーティングに参加したり、コミュニケーションの練習として先ほど言っ たS S Tのようなものがあって、そして何よりもべてるという場はお仕事をしながらとかミー ティングをしながら、人として尊重される場であるということが大きいのではないかと思い ます。

まとめとして、僕が全力疾走をいつもしながら頑張っていることの意味というのは、昨年の 9月に全精連( 全国精神障害者団体連合会)全国大会という精神障害を持つ人の全国大 会が浦河町という町であったのですけれど、その実行委員長としてみんなの力も借りなが ら成功させたということで、それが自信につながって、父のこともあまり気にならなくなって きたのではないかということと、登る人生と下りていく人生、ただ単に前の職場にいた時の ような出世を目指す人生ではなくて、そういったところから下りていったところに自分らしく 生きられる場があるということが言えるのではないかと思います。 以上です。

まとめとしましては、このようなスライドを国立身体障害者リハビリテーションセンターの方 と一緒に制作する過程で、その録音の過程でも「えー」という言葉が出たり、言葉を選ぶ際 の間があったりするということがあったのですけれども、D A I S Y ではそれが比較的簡単に 編集できるということで、ちょっと時にはそういったことも、今のスライドにも入っていました けれどもそういったものが比較的少なくして、こういったD A I S Yバージョンのスライドが作 れるのではないかということは今感じました。

べてるのメンバーは、今国リハの方が何名かいらしていて、スライドを一緒に動かしてくれて いるのですけれども、その国リハの方と一緒にやっているプロジェクトとして、浦河は地震が よく起きて2 0 年に1回くらい中規模のものが起きて、5 0 0 年に1回くらい大きな津波が襲っ てくるのですけれども、津波の防災についてはあまり町民も意識していなかったということ で、津波に関する防災の関係というほうで、津波が起きたらどのようにして避難するかとい うことを国リハの方とメンバーとで一緒に考えて、時には避難訓練も一緒にやったりして、そ ういったことを行っていくうえで、防災のミーティングを何か月かに1回やっているのですけ れども、そういった面でD A I S Y で避難のマニュアルを、メンバーみんなが写った写真を使っ たりしたD A I S Yバージョンのスライドを使ったりして、それをメンバーが見たりして、そういっ た面でD A I S Y は使えています。

それでは、D A I S Yバージョンのべてるの避難マニュアルのスライドをお見せいたします。


( 音声)
ニューべてるからの避難。
ニューべてるの標高は、4 . 0メートルです。海も川も近いので、津波がここまでやってくる可能 性があります。ミーティングや仕事をしている時に津波がきても、慌てず落ち着いて行動でき るように、安全なところに避難する練習をしておきましょう。
2 階からの避難経路。
それでは、津波が来た場合の2 階からの避難経路を見てみましょう。まずは階段まで移動し ます。階段は急なので、手すりを使って気をつけて下りましょう。外に出ます。芝を越えて近道を します。溝はないので、車椅子でも移動できます。ここを通ると、左に出るよりも2 0 秒くらい速く 移動できます。ガードレールの横の道に出ます。踏切に向かって歩きます。安全を確認して、踏 切を渡ります。右に曲がります。坂を上ります。
道なりに左に曲がります。さらに上ると、立正佼成会浦河道場があります。ここが、約14 . 5メート ルです。この高さまで5 分くらいで上ってこられるようにしましょう。ここまで移動できれば、あとはゆっくり歩いて大丈夫です。さらに行くと、約2 0メートルの高さまで上がることができます。これが、上からの眺めです。ここまで来られると安心ですね。


このマニュアルを見て、メンバーは防災の意識を高めたということで、何か月か前に別の共 同住居の自治会の人と一緒に防災訓練をしたということがあったのですが、そのときにも メンバーが積極的に関わってくれたり、実は何か月か前に津波注意報というのが浦河に出 たことがあって、そこで避難したメンバーがほとんど全員べてるのメンバーだったということ があって、本当に防災の意識はそのプロジェクトを使ったりD A I S Yを活用することで高まっ ているのではないかと思います。余談ではありますけれど、僕の住んでいる共同住居も再 来月、来月の初めに防災訓練があるので、同じような避難マニュアルがD A I S Y で作れてく れればいいなとも思っております。

最後に、べてるのメンバーへのD A I S Yの評判なのですけれども、D A I S Y はこのようにア ニメーションだけではなくて音も使って表現できるということと、あとは先ほども僕が申し ましたように「、えーと」という言葉とかそういういろいろなことを編集できたりするという ことで、なるべく自然な流れで音声も録音できたりするということで、おおむねべてるのメン バーには評判です。

今のところさらによくする点というのは思いつかないのですが、今回この後シンポジウム、 パネル・ディスカッションにも参加する中で、さまざまな障害をお持ちの方とかお持ちの方に 関わっている方から、そういったさまざまな使い方を勉強させていただければいいのでは ないかと思っております。



伊藤知之氏講演レジメ

浦河べてるの家とは、精神障がい者を中心に障がいを持つ人と支援者・町民有志が 集い北海道日高地方の昆布を全国に売ることなどを中心に町おこしを行う拠点で す。精神障がいを持つと、幻聴や「お客さん( 頭の中に入ってくるマイナスの思考をこ う呼んでいます)」が入ってくることで相手の言っている・伝えようとしていることが 正確に伝わらないことがあります。

そのためコミュニケーションに苦労しています。
そこからの回復のキーワードは、べてるの理念から言葉を借りると「リハビリテー ションよりコミュ二ケーション」です。

様々なミーティングやSST( コミュニケーションの練習を皆の前で実際に行う活動) をすることでメンバーは自分のことを語ることが常に求められ、自然と饒舌になり ます。それが、笑いと共に行われるのがべてるらしさです。

そのべてるの活動の中に当事者研究があります。当事者研究の始まりは感情の爆 発に悩む1 人の統合失調症の当事者から始まりました。

べてるのよきサポーターでソーシャルワーカーの向谷地生良さんがそのメンバーに 「研究しよう」と持ちかけ、それに同意し、研究を始めたところから研究の輪が浦河の メンバーに、そして今では全国に広がっていきました。

一言で言うと「人とつながれる」ことです。当事者研究の過程で同じ悩み・病気・生き にくさを抱える人がM T に入ることで自分ひとりでは気づけなかったことを見つめる ことが出来ます。

D A I S Y を使った当事者研究は今回発表する私の当事者研究の映像が初めての試 みです。視覚や聴覚などに障害を持つ方にも当事者研究が伝わればいいと思いま す。製作の過程もそういった思いで今回当事者研究をD A I S Y にしてみました。

べてるのメンバーは, 国リハの方を交えて数ヶ月に1 回防災のM T を開いているので すが、そういった場面などでD A I S Y を見ています。

最後に、べてるのメンバーへのD A I S Y の評判ですが、目で見てわかりやすいのでべ てるのメンバーには好評で、今のところさらに良くする点は思いつきません。