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D 用語の定義付き細分類 (その3)


参加の分類


定義:

 参加とは、ある人が機能障害、活動、健康状態、及び背景因子との関係で、生活状況に関与している性質と程度である。参加は性質、期間、質において制限を受けることがある。



参加分類の活用のための説明:

 参加の制限は、以前は社会的不利とよばれていた。参加は、一方でのある人の健康状態や特にその人が持つ機能障害や活動の制限と、他方でのその人が生き人生を営む境遇を表す背景因子の特色との間の、入り組んだ関係の結果として特徴づけられる。ある人の参加を図る基準や規範は、同じ社会、文化、または下位文化の障害(disablement)を持たない人がどのような性質でどの範囲で参加しているかである。ICIDHー2で用いられているように、参加の概念は国際的な基準としての障害を持つ人の機会均等化の考えを組み込んだものであり、それは国連総会で1993年12月20日の48/96決議文で正式に採択された、障害者の機会均等化に関する標準規則の中で述べられたものである。

 参加の分類を利用するときには、利用者はあらかじめ適切な社会的または文化的規範や基準を決定すべきである。利用者は普通、参加が記録されることになる人と同じ社会・文化の一員であろうし、参加分類の各領域の概念操作化で前提とされている参加の方法や範囲を決定する基準や規範を、よく知っているであろう。もしそうでないならば、利用者は適切でない参加の規範を異なる文化や下位文化の人に押しつけることがないよう、多大な注意を払うべきである。

 参加分類は、障害を持たない人々に普通に期待されている参加について、障害をもつ人が、質、特徴、程度の面で制限を経験するのはどの生活分野であるかを捉えるために設計されている。すべての制限が参加分類と関連するわけではなく、健康状態と関連するもののみである。そのため、人の性別、人種、社会階級、経済状態または宗教によって引き起こされる制限は、これら属性の違いと障害にはどのようなつながりがあるかは調査されるべきではあるけれども、問題には直接関係がない。さらに、ある人がある分野で参加しないことを選択したり、自発的に参加を制限することを選択するとしたら、それは分類の必要がある制限にはならない。自発的な不参加は参加分類とは関係がないのである。参加を欲しないことは健康状態ではない(参加を欲しない精神状態の直接の原因となっている機能障害の確証があれば、それは関係があるであろうが)。

 ある領域で、人の参加を制限するものは何であろうか。特定事例の中で参加を制限する障害はたくさんあり、また、背景因子にもたくさんの特色があるため、この質問への答えは無数にある。現実的にある人が、治療や補助機器、人的な介助など、活動の制約によって特別な条件が必要になるならば、完全参加は危うくなるであろう。他方、社会的・人為的環境が障害を持つ人に不親切であれば、彼らは1つ以上の領域で完全には参加することができないであろう。我々は機能障害や活動の制約の存在のみから、その人が参加の制限を経験すると推論することはできないし、社会的・物理的環境の特色のみからそのような推論をすることもできない。しかし、ある非常に重度の機能障害や活動の制約では、人の参加は多くの領域で環境因子にかかわらず制限されるであろう。同様に、もし社会環境が障害を持つ人に高度の烙印を押すという特徴があるならば、また、広く差別が行われているならば、ある人が機能障害や活動の制約を持つかどうかとは関係がなく(それを持つことが知られるのとは対照的に)、参加を制限するのは社会的環境のみであろう。

 1980年初版のICIDHの社会的不利の概念とは異なり、参加の概念は肯定的ではないにしても中立的なものである。疑うまでもなく、ICIDH-2の基本的で最もふさわしい利用法は、機能、活動、参加の制約や制限の状況、つまり否定的な状況を捉えることである。参加分類は、機能障害や活動の制約を持つ人が何らかの形で制限を受けている生活の分野を把握するのに使われる。しかし、「参加の制限」の分類というのは作成困難である。というのは、参加の性質と範囲は多様な形で制限されているからである。たとえ単一の分類にこれらのすべてを取り込むことができるとしても、その結果は使いものにならないであろう。その代わりに、この参加分類では広範な人間の参加の分野を列挙している。また2つの修飾要素によって、どのようにして参加の制限が存在しているかを利用者が詳しく捉えることができるようにしている。

 さらに、参加分類が障害の経験が起こりうる人間生活のすべての分野を確実に取り込むことができるように、概略的にであっても、人間参加のすべての分野を把握することが重要である。それは単に、障害を持つ人が実際に制限を経験していることを示すデータや、信じうる強い根拠のある分野だけではない。そこで、参加の領域を記述するには中立的な表現を用い、誰もが関係のある参加の諸側面を分類することにした。

 参加は複合的な概念である。人の一部分の機能や構造、人の活動、または物理的・社会的環境の特色を示すだけではない。つまり、これらのものの間の入り組んだ関係の帰結を示すのである。参加の各項目の定義ではそのため、行為・活動と、各項目の資源・機会・促進因子または抑制因子の、複合的な関係を記述している。さらに、人間生活の領域に参加するということは、単にある活動が遂行できるということではない。同時に、どうやって、いつ、どこで、どんなやり方でこれらの活動が行われるかを決定し、ある程度それを自分の思い通りに実行できることをいうのである。このような「コントロール」をどのようにして概念操作化するかは、人間生活の領域の性質と当該の社会的・文化的規範や基準の両方に依っている(例えば、宗教への参加は参加の性質と範囲はコントロールできず、できるのは入信するかどうかだけである)。

 次の論評は参加分類の項目と活動分類の活動の制約と関連する項目とを区別するうえで役立つであろう。

・活動の制約とは、複合的であったり物理的・社会的背景の特色によって形成されたものであっても、常にある人の活動の遂行を意味している。これとは対照的に参加の制限とは、その人の人間生活のある分野での関与が、全体的な帰結としてどのような点でどの程度制限されているかである。

・活動の制約では人間の活動が記述される。これとは対照的に参加分類の項目は、機会の均等化という一般的・国際的規範に照らして、ある人のある分野の生活への関与が、障害を持たない人と比べた場合にどの程度であるかについての判断を含んでいる。

・背景因子のリストに挙げられている因子は、第1の修飾要素で記録される参加レベルの重要な決定因子である。しかし、個人に存在する活動の制約の場合には、環境は個人レベルでの機能を修正したり影響を及ぼしたりするに過ぎない。

 言い換えれば、活動の制約は個人に焦点をあてた問題だというのが正確な言い方だといえるが、参加の制限は個人それ自身から生じる問題ではなく、社会的問題なのである。そこで例えば、雇用主の側の非合理な不安や偏見のために雇用を拒まれた障害者について、その人に問題があるというのは誤りでありかつ不公正である。もっと正確にいうと、雇用での参加の制限は、活動の制約と雇用主の差別的態度のような雇用環境に関する背景因子との関係から生じているのである。

 参加分類は7つの章からなるが、機能障害や活動の分類には詳しさの点ではるかに及ばない。しかしこのことは、利用にあたってより大きな柔軟性を認めるという利点がある。さらに、参加分類が細かくなればなるほど、特定の文化的・社会的仮定が組み込まれることになるであろう。ある文化の規範を別の文化に押しつけるのを避けることは重要であり、参加の定義は、参加の性質と範囲についての判断がその社会の一般的な期待に従って把握されるのを保証することにより、このような押しつけを避けるのである。同時に、障害者の機会均等化に関する国連標準規則からの「機会均等化」の原理を明白に取り入れることによって、ICIDH-2は、障害を持つ人の参加レベルは、障害を持たない人に期待されるレベルに照らして分類されることが必要であるという国際的な規範を確立している。

参加の修飾要素

 参加分類には2つの修飾要素がある。第1の修飾要素は7段階で参加の程度を記録する。第2の修飾要素は、記録された参加レベルが完全とはいえない時に用いられるもので、記録された参加レベルの原因となっているのは背景因子のどの分野であるかを記録する。第2の修飾要素はまた、どの背景因子の分野が、さもなければより低レベルの参加であったものを増大させる「促進因子」であったり、また、さもなければより高レベルの参加であったものを低下させる「障壁」として作用するかを、記録するために用いられる。

第1の修飾要素:参加の程度

 第1の修飾要素はある特定領域でのある人の参加の程度を記録する。ある領域でその人の参加が制限されているかどうか、また、どの程度制限されているかを把握するために用いられる。第1の修飾要素は次の7段階尺度で描かれる。

0= (いかなる促進的な背景因子にも依らずに)通常のすべての環境下で達成される完全参加
1= 後退の可能性を伴う完全参加。人は完全に参加しているが、促進的な背景因子が失われたり、取り除かれたり、作動しなくなったりした場合には、参加が減じられる危険性がある。

例:ある人は家庭や職場の環境を完全に改造しているため、身辺ケアでは完全参加を達成している。しかし、もしこのような改造が機能しないか、利用できなくなれば、その人は参加の減少を経験するであろう。これに対応するコードは「p00100.1」である。

  ある痴呆症の人は介護者が常時の監視をしているため、公共交通への完全参加を達成している。しかし、もし介護者が利用できなければ、その人は参加できない。これに対応するコードは「p10320.1」である。

2= 制限付きの参加。人はある状況では完全参加しているが、他の状況では参加に大小の制限がある。

例:多発性硬化症や慢性疲労症候群のように健康状態が変動する人は、ある時には常雇用の仕事に参加できるが、場合によって仕事の予定の調整が必要である。これに対応するコードは「p40220.2」である。

  ある人は、聞き手が忍耐強くて協力的な知人の時には、話し言葉による情報交換に完全に参加できるが、聞き手が見知らぬ人であったり忍耐がない時には、参加が減じられる。これに対応するコードは「p20110.2」である

3= 不参加
7= (参加への)期待なし
8= 判断できない
9= 非該当

 尺度の最後の3つの項目は特定の目的に役立てられる。「(参加への)期待なし」は、背景となる社会的・文化的基準や規範が、ある領域での参加をその人には期待しないとしているような境遇を記録するために用いられる。参加への期待なしは、その人の年齢、性別、人種、民族、またはその他の人間の差の次元によって生じるのであるが、他の文化や社会にもあてまはるというわけではない。人が参加していないことを「期待なし」として測定する選択肢は重要である。というのは、参加の定義からして、文化的にその人に参加が期待されていない領域に参加していない人は、期待なしという評価がない場合には、「完全参加」と「不参加」のいずれにも記録され、この点を見落としてしまうからである。

 「非該当」は質問中の参加の分野がその人には当てはまらない時に用いられる(例えば、視覚の機能障害のない人の点字使用への参加は「p20200.9」に、乳児の大学教育への参加は「p40120.9」にコードされる)。もし利用者が、障害者が参加すべきでない領域について、根拠をもたず社会的な烙印を押すような判断をするならば、「非該当」には誤用される可能性が認められる。そのような判断は、参加分類がその基盤とするところの「機会均等化」の原理を犯すものである。

 最後に、「判断できない」は、技術的にか実践的にかの理由を問わず、利用者が参加レベルを決定できない時に用いられる。

第2の修飾要素:促進因子と障

 第2の修飾要素は、第1の修飾要素によって確定される参加レベルを産む貢献因子である、背景因子の特色を捉えるために用いられる。参加の概念は、人の機能障害や活動の制約と実際の生活状況での社会的・物理的環境の側面や特色との間の、複合的な関係の帰結を捉える。この第2の修飾要素はこの概念を実行するのである。

 第2の修飾要素は、完全参加より低いレベルが記録された場合に用いられる。利用者がどのような情報が必要であるかにより、この修飾要素はどの背景因子の分野が促進因子でどれが障壁であるかを把握するために、用いることができる。ある人の参加が第1の修飾要素によって、完全でなかったり後退の可能性を伴う完全参加であるような時には必ず、参加のレベルを制限する障壁と参加のレベルを向上させる促進因子の両方もしくは一方が存在するが、それらが確定され記録されるのである。促進因子または障壁は、背景因子のリストで特定される背景因子のコードや、より一般化された形としては、下の表1に特定されるコードによって捉えられる。

表1 第2の修飾要素のコード

  コード   背景の分野
   0= 製品、用具、消耗品
   1= 対人支援・援助
   2= 社会的・政治的制度、団体や組織
   3= 教育および訓練システム
   4= 経済制度
   5= 他の公共的インフラストラクチャー
   6= 社会文化的構造、規範、規則
   7= 人工の物理的環境
   8= 自然環境
   9= その他、または不明

f= この背景因子の分野での変化は、記録された参加レベルを促進・増大させるであろう。
b= この背景因子の分野は障壁となっており、記録された参加レベルに影響を与えている。
 例:法律が明確にその人が自動車の操作をすることを妨げているために、あるてんかんの人が私的交通手段での移動に、後退の可能性を伴う完全参加を経験しているとしよう(対応するコードは「p10310.1」)。そのために、その人は私的交通手段を持つ家族員が運転をするのに頼らなくてはならない。我々は家族員を促進因子、つまり、後退の可能性を伴う完全参加をもたらすものと記録することができる。そして表1のコードを用いると、対応するコードは「p10310.11f」となるであろう。他の選択肢としては我々は、法的な禁止を「障壁」として、つまり、参加の制限の原因となっている社会的環境の特色として記録することができる。再び表1のコードを用いると、対応するコードは「p10310.17b」となるであろう。促進因子や障壁となる背景因子の正確な性質は、この後、背景因子のリストのコードを使ってコードできる。この例でいえば、「e10100」は家族員に対するコードであり、「e30310」は法律に対するコードである。

参加の分類

第1章 身辺維持への参加(p00100-p09999)

 整容や健康維持、食物、住宅と居所、その他の身辺自立の領域に、ある人が関与する性質と程度。

 この章で把えられる参加の制限は、活動分類の第4章・第6章で見いだされる活動の制約を含むであろう。しかし、これらの制限は活動の制約と同じではない。というのは、日常生活動作の制約は、例えば、体を洗うのに必要な身体的・精神的活動を行う人間の能力に関連しているからである。反対に、参加の項目のp00110は、水が利用できることや体を洗うための条件である浴室の存在や利用、体を洗うという結果の達成を妨げたり助けたりする、その他の関連する背景因子の特色による結果(清潔)と関わるものである。

 もう1つの例をあげると、保健サービスの制限(p00210)は保健サービスの有効性や近づきやすさの問題とともに、車椅子の人が接近できる場所でサービスが提供されているかどうかという実際的な問題を提起する。このような場合には、参加の制限と混同するような、互いに関連のある活動の制約はない。しかし、保健サービスの利用可能性と施策に影響を与える背景因子のために、障害をもつ人が社会的・文化的に期待されるような程度とやり方で利用していない時、この分野での参加は制限されているといえるのである。

p00100 身辺ケアへの参加
社会的・文化的に期待されるレベルの清潔や、首尾のよい排泄管理、また期待され社会に受け入れられる状態の整容が、ある人に達成されている方法と程度。
p00110 清潔への参加
社会的・文化的に期待されるレベルでの身体と身体の部分・髪・爪・皮膚・歯の清潔が、そのために必要な水、洗うために必要な薬品その他の資源などによって、ある人に達成されている方法と程度。
 包含:足のケアや特殊な皮膚のケアの管理(褥そうの管理)
 除外:排泄への参加(p00120)
p00120 排泄の管理と衛生への参加
排泄物(尿・便・経血)の処理が文化的に適切な手段を用いて、また、トイレや水、プライバシーのための密室空間などの適切な資源への近づきやすさのレベルという点から、ある人に成功している性質と程度。
 包含:排泄後の清潔。適切な排泄排尿の管理。人工肛門や人工膀胱の管理
p00130 整容への参加
社会的・文化的に期待される範囲内での整容の質(例えば、さっぱりと身ぎれいにしていることや、他の面での身体上の表現を含む)が、その状態に整えるために必要な資源と時間への近づきやすさという点から、ある人に達成されている性質・方法・程度。
 包含:毛髪や顔面の毛の適切なケア、衣服の洗濯・管理の方法が使えること。文化的に適切な化粧や装身具・宝石が利用できること。
 除外:清潔への参加(p00110)
p00180 その他
p00190 詳細不明
p00200 健康維持への参加
健康増進や病気予防の達成のための保健サービスに、ある人が近づき利用する質と程度。
p00210 保健サービスへの参加
ある程度の健康を維持するために、適切な保健サービスに近づき利用することに、ある人が成功している性質と程度。適切なサービスには、評価、査定、診断、相談、治療(身体的・心理的・心理社会的)、サービスの計画と調整、薬物療法や非伝統的治療などの、各種介入の利用が含まれる。また、保健サービスを行う環境(家庭、診療所、職場、学校、病院や入所型のケア施設)の利用しやすさも含まれる。
 包含:総合科及び専門科での治療や、看護、リハビリテーション治療が行われていて実際に利用できること。
p00220 健康増進と病気予防への参加
病気の危険性や兆候を確定するための教育やスクリーニングプログラム、また、遺伝上・生活習慣上の危険因子が確認された人が病気の進行を抑えるためのプログラムや活動、そして、病気が認められる人に対して病気の一層の進行を抑えたり元に戻したりするための教育や他の介入などに、ある人が関与する程度。健康増進と予防のプログラムは公的機関や民間機関によって、いろいろな場所(家庭、学校、職場、診療所、病院)で実施され、そこには各種の介入方法が含まれる。
 包含:産前の遺伝子のスクリーニング、テイザックス病検査、コレステロールのスクリーニング、免疫の形成、禁煙プログラム、栄養プログラム、下痢予防プログラム、健康維持プログラム、スレス管理、行動変容療法などのサービスへの近づきやすさ。
 除外:栄養への参加(p00300)
p00280 その他
p00290 詳細不明
p00300 栄養への参加
食物を確保し準備し食べるために、ある人が適切な資源を得、またこれらの資源を文化的に適切で効果的なやり方で用いることに成功している質と程度。
p00310 飲食物の確保と準備への参加
飲食物を得る(首尾よく、飲食物となるものを育てる、採る、狩猟をする、交換する、集める、買うなどを含む)ことに、ある人が日常的な習慣上で関与する性質と程度。飲食物の保存を首尾よく行うこと(漬けること、乾燥、缶詰、冷凍)。飲食物を食べるために首尾よく加工し準備すること(並べたり配膳したりする)。食物を確保したり準備するために使われた道具を洗浄すること。また、これらの目的を成し遂げるために必要な、資源・訓練・機会・道具・その他の手段の利用を含む。
 包含:固形食や流動食を首尾よく、確保・保存・準備・配膳すること。経口及び経管による摂食の準備、ビタミン剤や他の栄養の補給剤を用いること、食器・鍋・釜・その他の台所用具の洗浄。
 除外:保健サービスへの参加(p00210)
p00320 摂食への参加
飲食物を首尾よく食べることと関連する文化的に適切な行動の実行に、そうするために必要な資源を得ることを含めて、ある人が関与している質と程度。
 包含:経口及び経管による摂食、静脈注射による水分補給、また、母乳や非経口の栄養などの、特定の摂食方法を取ること。
除外:保健サービスへの参加(p00210)
p00380 その他
p00390 詳細不明
p00400 住宅や居所への参加
効果的な居所の選択・獲得・整備・維持と関わる行動の実行に、またそれを首尾よく社会的・文化的に期待されるやり方で行うための手段に、ある人が関与している方法と程度。
p00410 居所の選択と獲得への参加
適当な住宅や居所のための、立地・発見・選択・建設・獲得の成功と関連する行動の実行に、ある人が関与する方法と程度。
 包含:好みの住宅を好みの近隣や地域社会に首尾よく確保すること。適切な場所にテントやその他の居所を設営すること。居所にはホームレスが睡眠をとる場所を含む。住居獲得の形態は、購入、土地を借りる、貸し家、間借りなどを含む。
p00420 住居の内部を整えることへの参加
ある人が住居を首尾よく改造し、装飾し、家具の配置をする性質と程度。
 包含:ペンキを塗ったり壁紙を貼ったりして住居を装飾したり、また特別なニード、例えば、浴室やその他の部屋に設備をつけたりエレベーターや情報伝達機器等を備えるなどの住宅改造のための、時間・資源・機会があること。
p00430 住居の維持への参加
住宅と住宅周りの維持・修理・家具の取り替え・リフォーム・装飾替え・掃除が、それをするために必要な資源の利用を含めて、ある人に首尾よく実現される性質と質。
 包含:修理、掃除、洗濯、ベットを整える、住居内の装飾、庭仕事・畑仕事・雑草取り・除雪などの住居の外周りの維持を、首尾よく行うこと。住居の維持にはまた、家具や設備の修理も含む。
 除外:飲食物の確保と準備への参加(p00310)
p00480 その他
p00490 詳細不明
p08000 その他
p09000 詳細不明


第2章 移動への参加(p10100-p19999)

 ある人の移動、つまり家庭の環境、家庭周辺、広域の環境を動き回ることと、私的及び公共交通の上手な利用の質・範囲・特徴。

 この章でとりあげられる参加の制限は、活動分類の第4章・第5章のあらゆる活動の制約を含むであろう。これらの参加の制限はそれ自体が活動の制約なのではない。というのは、動き回ることの制約は、移動や移乗などを行うために人が持つ身体運動能力と関連しているのである。これとは反対に、移動への参加の制限は単に活動の制約の結果ではない。それは背景因子の特色もまた、例えば、車椅子の人が戸外を動き回れるかどうかを、決定づけるだろうからである。このように、例えば公共交通への参加は、その人が持つ活動の制約によってよりも、はるかに公共交通がないことによって制限されるであろう。この分野での参加はまた、公共交通の費用や、バスや電車への近づきやすさ、利用者を誘導するために用いられる標識、その他多くの背景因子によって影響を受ける。

p10100 家庭環境での移動への参加
補助機器の存在や、移動を拡大したり妨害する住宅や周辺環境に備えられている特色のために、ある人が自分の家や他人の家、家の周辺を、動き回ることのできる範囲と程度。
 包含:住宅、集合住宅、小屋、テント、その他の住居の周りの移動や、玄関口、バルコニー、その他の住宅に付帯する場所の移動の程度と質。
p10200 家庭外での移動への参加
補助機器の有無や、移動を拡大したり妨害する家庭の外部の建築環境及び自然環境に備えられている特色のために、ある人が家庭外の環境を動き回ることのできる範囲と程度。
p10300 交通への参加
私的及び公共の交通形態の有無や近づきやすさ、便利さ、効果、費用といった側面の結果として、あらゆる形態の交通によって、ある人が家庭の外部の市町村及びより広域の環境を動き回ることのできる範囲と程度。
p10310 私的交通での往来への参加
費用、有無、近づきやすさ、便利さ、効果といった私的交通に関連する側面の結果として、一般的に利用される個人持ちの交通形態・様式によって、ある人が特定の地方やより広域の環境を、首尾よく適切に動き回ることのできる範囲と程度。
 包含:自己所有か一時的・必要時に借りたのかを問わず、個人持ちの動物や自分で漕ぐ乗り物(自転車、三輪車、荷馬車、オール付きの船)、原動力付きの乗り物(車、スクーター、原動力付きの船)、その他個人で所有する乗り物(飛行機)といった、私的な交通形態によって動き回ること。この分野での参加に影響を及ぼす私的交通の特色の中には、私的な乗り物を所有したり使用したり操縦するための法的な必須条件(免許、駐車許可、及び他の法的必要条件)や、乗り物の設計、改造が入る。
p10320 公共交通での往来への参加
有無や便利さ、効果、近づきやすさ、費用といった公共交通に関連する側面の結果として、一般的に利用されている公共交通の形態・様式によって、ある人が特定の地方やより広域の環境を、首尾よく適切に動き回ることのできる範囲と程度。
 包含:バスや馬車、フェリー、電車、または公的使用のための個人持ちの乗り物(自転車、人力車、タクシー、小型乗り合いバス、車、電車、船、飛行機)などの公的な交通形態によって動き回ること。
p10380 その他
p10390 詳細不明
p18000 その他
p19000 詳細不明


第3章 情報交換への参加(p20100-p29999)

 単独でかまたは集団で、直接会うか、さもなければ時間や空間を越えて、話し言葉、非話し言葉、書き言葉、または標識であれ様々な様式で、ある人が他者との情報交換に成功している質と程度。

 この章での参加の問題は、活動分類の第3章で述べられた情報交換と関連する活動の制約を含むであろう。しかし、活動の制約と同じでないのは、情報交換の制約では文字や声などの情報交換の形式を表現したり理解する個人の能力に焦点があり、参加の分野は個人と他の伝達者を含むその人の環境との間の相互作用として理解される、情報交換というできごとの最終的な結果または帰結を含むものだからである。

p20100 話し言葉や非話し言葉による情報交換への参加

話し言葉や非話し言葉の形式で行われるある人の情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、情報が届けられる人の持つコミュニケーション能力の働きであると同時に、情報交換の媒体や、その媒体への近づきやすさ、情報交換を拡大したり妨害したりする介入的な環境の特色の作用でもある。
 包含:基本的な欲求や感情、信念、抽象的な思考や概念、含意、ニュアンス、皮肉、ユーモア、いやみを伝えるための、話し言葉や非話し言葉による情報交換。友人間での親密な環境場所で、また同僚や面識のない人の間での親密でない環境で、単独でかまたは集団で行われる情報交換。補助機器や通訳者か聞き手・話し手の補助をつける、もしくはつけずに行われる情報交換。
p20110 話し言葉による情報交換への参加
話し言葉によるある人の情報交換の成功の質と程度。それは情報が届けられる人の持つ関連する能力による。また情報交換の成功は、話し言葉による情報交換の媒体やその媒体への近づきやすさ、マイクロホンその他の補助具のように話し言葉による情報交換を拡大したり、騒音や雑音、その他の音の干渉などの妨害したりする、介入的な環境の特色にも左右される。
 包含:国語(例えば、アラビア語・フランス語・英語・カナラ語・トル語)や動力手段で作られた音を用いた、話し言葉による情報交換。泣き声・うめき声・うなり声・笑い声などの音声表現。
p20120 フォーマルな身振り手段による情報交換への参加
アメリカ手話のようなフォーマルな手話を用いた、ある人の情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、身振りによる情報が届けられる人の持つ関連する能力に左右される。また、身振りによる情報交換の媒体やその媒体への近づきやすさ、通訳者のように情報交換を拡大したり、妨害したりする介入的な環境の特色にも左右される。
p20130 他の形態の非話し言葉による情報交換への参加
手まね・物まねや身体表現、デッサン・スケッチのようなその他の形の非話し言葉を用いた、ある人の情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、合図の情報が届けられる人の持つ関連する能力による。また、非話し言葉の情報交換の媒体や、その媒体への近づきやすさ、情報交換を拡大したり妨害する介入的な環境の特色にも左右される。
p20180 その他
p20190 詳細不明
p20200 書き言葉による情報交換への参加
自然言語・点字・その他の書き言葉による読み書きのような、書く形式によるる人の情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、書き言葉による情報が届けられる人の持つ関連する能力による。また、(紙や電子機器のような)書き言葉による情報交換の媒体や、その媒体への近づきやすさ、情報交換を拡大したり妨害する介入的な環境の特色にも左右される。
p20300 標識や身振りによる情報交換への参加
自然言語の書字以外で、数字や標識、Bliss Board Symbolsのような身振り言語を含む標識や身振りを用いた、ある人の情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、標識や身振りによる情報が届けられる人と、それを作り出す人の持つ関連する能力による。また(紙や電子機器のような)情報交換の媒体や、その媒体への近づきやすさ、情報交換を拡大したり妨害する介入的な環境の特色にも左右される。
p20400 公共の標識による情報交換への参加
警告の標識、交通標識や信号、エレベータ階の表示、道路標識の看板や図像のような、公共の場で理解されている標識・形・色による、個人間での、また国家その他の行政当局と個人の間での、情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、標識による情報を作り出し普及させる人の持つ標識による情報交換の能力による。また、標識による情報交換の媒体や、その媒体への近づきやすさ、情報交換を拡大したり妨害する介入的な環境の特色にも左右される。
p20500 電気通信による情報交換への参加
コンピュータやデータバンク、電話、ファックス、電子メール、インターネットのような電気通信機器や技術による、ある人の情報交換の成功の質と程度。情報交換の成功は、電気通信を作った人やそれが届けられる人の持つ関連する能力に左右される。と同時に、情報交換の媒体や、その媒体への近づきやすさ、情報交換を拡大したり妨害する介入的な環境の特色にも左右される。
p28000 その他
p29000 詳細不明


第4章 社会関係への参加(p30100-p3999)

 家族や親密なパートナー、友人、仲間、面識のない人との社会関係の確立と維持に関わる社会的な習慣や慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。それは、相手方の持つ関連する社会関係の技術や、また関係を妨害したり促進する人為・自然の環境の特色に照らして、捉えられる。

 この章でとりあげる参加の制限は、活動分類の第8章で見いだされる対人的技術と行動の制御における、あらゆる活動の制約を含むであろう。しかし、活動の制約が相手方から与えられる背景因子によってのみ記述されたり確定されるとしても、ここでの参加の制限は活動の制約と同じではない。対人的な活動の制約はすべて、社会の合図へ応答したり忍耐を示したりなどの、期待されるような対人活動の何ができないのかと、個人の内部に向けられている。反対に参加の制限は、相手や相手方の行動・能力を含む背景因子の中での、活動の制約の帰結である。ある人が社会的接触を積極的にすすめることができないことは、その人の友人関係への参加について、ある結果の予想をもたらす。それにもかかわらず、相手方がこの能力の欠如に配慮したりその人を援助することに格別の努力を払うことができないという事実は、参加のレベルに明瞭な結果をもたらすのである。他の促進因子(例えば、セルフヘルプの団体、カウンセラー)はまた、この分野での参加のレベルを向上させることができる。

p30100 家族関係への参加
その関係が慣例上はどう解釈されるものであっても、家族や親族との関係の確立と維持に関わる社会的な習慣や慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。それは、相手方がどの範囲まで適切な対人関係の技術が取れるかや、また関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色に照らして、捉えられる。
 包含:血縁関係の有無や、密接な情緒的な絆や親密さ、信頼感があるか否かを問わず、核家族や拡大家族、別居している家族、里親や養親の家族、義理の関係、と関連する関係。このような関係の特徴は、人の活動の制約に対する社会の態度や、誰が家族を形成できるかについてのあからさまな法の制限によって、減じられるであろう。
 除外:親密な関係への参加(p30200)
p30110 親が子供に対してとる関係への参加
その関係が慣例上はどう解釈されるものであっても、親としての関係の確立と維持に関わる社会的な習慣や慣習に、ある人が関与している特徴・質・程度。この関与の特徴はまた、この関係と関連する権利・責任・権に左右される。それは子どもの性質や欲求とともに、この関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
 包含:義理の親や里親、養親、後見親などの関係
p30120 子供が親に対してとる関係への参加
その関係が慣例上はどう解釈されるものであっても、親に対する子供の関係の確立と維持に関わる社会的な習慣や慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴はまた、この関係と関連する権利・責任・特権に左右されるが、それは親の対人関係の範囲とともに、この関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
包含:義理の親や里親、養親、後見親などの関係
p30180 その他の家族関係への参加
その関係が慣例上はどう解釈されるものであっても、親子以外の家族員としての家族関係の確立と維持に関わる社会的な習慣や慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴はまた、この家族役割に関連する権利・責任・特権に左右されるが、相手方の家族関係の技とともに、この関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
p30190 詳細不明
p30200 親密な関係への参加
その関係が慣例上・法律上はどう解釈されるものであっても、配偶者及び配偶者以外の親密な関係の確立と維持に関わる社会的な習慣と慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴はまた、この役割に関連する権利・責任・特権の関数に左右されるが、相手方の対人関係の技能とともに、この関係妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
 包含:正式な結婚(法的・世俗的・宗教的な、異性または同性との、一夫多妻または一夫一婦の結婚)。例えば法律に明文化されているなど、この関係とつながりのある(フォーマルまたはインフォーマルな)習慣や慣習。親密な関係の開始・確立・維持・解消と関連する(フォーマルまたはインフォーマルな)あらゆる習慣と慣習。
 除外:地域団体への参加(p60200)
p30300 友人・知人との関係への参加
その関係が慣例上はどう解釈されるものであっても、あらゆるレベルと種類の友人・知人関係の確立と維持に関わる社会的な習慣や慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴はまた、この役割に関連する権利・責任・特権に左右されるが、それは相手方の友人関係の技能とともに、この関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
 除外:地域団体への参加(p60200)
p30400 仲間との関係への参加
その関係が慣例上はどう解釈されるものであっても、仲間関係の確立と維持に関わる社会的な習慣と慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴はまた、この役割に関連する権利・責任・特権に左右されるが、それは相手方の対人関係の技能とともに、この関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
 包含:職場の同僚、学生仲間、遊び友達、同業の専門職、隣人、また、同じか近い年齢・性・人種・環境・社会的地位を持つ、その他の社会的に類する仲間。
p30500 面識のない人との関係への参加
どのようなレベルの関係が習慣となっているかにかかわらず、面識のない人との関係に関わる社会的な習慣と慣習に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴はまた、この関係のレベルと関連する権利・責任・特権に左右されるが、それは相手方の能力と性質とともに、面識のない人との習慣的な関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても影響を受ける。
p30600 その他の社会関係への参加
その関係が習慣上・法律上はどう解釈されるものであっても、フォーマルな社会的役割または位置によって確立・維持される関係に、ある人が関与している特徴、質、程度。この関与の特徴は、同時にこれらの社会関係と関連する権利・責任・特権に左右されるが、またこの種の関係を維持する相手方の能力とともに、関係を妨害したり促進したりする人為・自然の環境の特色によっても作られる。
 包含:雇用主と被雇用者、教師と学生、専門職と依頼人または患者、または親密な人や家族、友人、仲間ではない個人間の関係を生む、その他の社会的に認知され作られる役割。
p38000 その他
p39000 詳細不明


第5章  教育、仕事、余暇、及び精神活動への参加(p40100-p49999)

 ある人が職業に従事したり、教育・仕事・レクリエーション・余暇・精神活動その他の活動に時間を費やすことの質と範囲、またその成功。

 この章でとりあげる参加の制限は、活動分類の第2章・第8章・第9章で記述される活動の制約を含むであろう。しかし、参加の制限は活動の制約と同じではない。教育・仕事・余暇・精神活動の領域はみな、社会環境を前提としている。それらには、法律や慣習、規範、規則、習慣、制度に規定され、多数の種類の対人関係を含む、かなり複雑なものがある。人間の生活のこれらの分野では、個人がそのような複雑な社会環境の恩恵なしにそれ自身で参加できる例は、ごくわずかしかない。そのため、例えば、中等教育以降の学校教育への参加が制限されるという帰結または結果は、様々な背景因子を含むが、最も際だっているのは(中等教育のサービスの提供を規定する法律から、サービスが届けられる教室の物理的な近づきやすさまでの範囲に及ぶ)社会的・人為的環境の特色である。学校教育への参加という視点からは、ある人の持つ機能障害と活動の制約は問題の一面である。つまり、中等教育の学習状況を形成する諸背景因子の特色が、問題の残りの部分を構成しているのである。参加の制限は両方の入力、つまり、一方での機能障害と活動の制約と、他方での社会的・態度的な背景因子をみるこ とによってのみ決定される。

p40100 教育への参加
知識や専門性・技能・芸術の獲得を主要な目的とする努力や関係・団体・制度に、ある人が従事している質と範囲、またその成功。従事の性質は、教育の有無や近づきやすさ、効果、費用を含む、物理的・社会的・制度的な、教育の経験を作り出すあらゆる範囲の背景因子の特色の結果である。
 包含:人生のいかなる段階であっても、経験や専門性のいかなるレベルであっても人の教育ニーズを満たす、私立または公立の教育制度。それは、社会的に認められた教育学的アプローチや技術に従い、フォーマルな授業か自己訓練かを問わず、理論的・文化的・宗教的・社会的・実践的・抽象的・応用のいかなる知識・専門性・技能・芸術の形態をも伝えるものである。
除外:社会関係への参加(第4章)。
    職業準備への参加(p40210)
p40110 小学校前の教育への参加
教育の移行の準備を含む、学校への準備レベルの教育を提供することが主要な目的となっている教育プログラムに、それが教育前レベルのどんな形態であろうと、ある人が従事している質と範囲、またその成功。従事の性質は、教育の利用可能性や近づきやすさ、効果、費用を含む、物理的・社会的・制度的な、教育の経験を作り出すあらゆる範囲の背景因子の特色の結果である。
 包含:私立か公立かを問わず、乳児への刺激や、0~5歳児のために計画された準備学校、デイケア教育、幼稚園といったプログラム。次の教育段階に移行させるために計画された類似のプログラム。
p40120 学校教育への参加
その目的が教育の移行の準備を含む、基礎教育・文化の習得・基本的な生活技術から、承認された専攻科目の学位・免許・専門資格の範囲に及ぶ、基礎的学習から高度の専門性の準備に至るまでの初等・中等・中等以降の教育に、それがどんな学校レベルのどんな学業の形態であろうと、ある人が従事している質と範囲、またその成功。従事の性質は、教育の利用可能性や近づきやすさ、効果、費用を含む、物理的・社会的・制度的な、教育の経験を作り出すあらゆる範囲の背景因子の特色の結果である。教育経験は人々が学校へ行くのを妨げるフォーマルな制限や、授業料やその他の経費、立ち入りが不可能な建物、また関連の考慮すべき問題によって抑制される。
 包含:私立・公立、寄宿舎制・非寄宿舎制、フォーマル・インフォーマル、全日制・定時制および職業教育・専門教育の、講義や演習、試験、宿題、広範な課外活動を提供する学業制度。
p40180 その他の教育形態への参加
教育の移行の準備を含む、基礎的な生活技術、言葉の矯正や国語以外の言語の上達、就労のための技能の提供がその目的に含まれる、非学究的、教育的、成人教育、その他の訓練プログラムに、それがどんな形態であろうと、ある人が従事している質と範囲、またその成功。教育経験の性質は、教育への近づきやすさ、利用可能性、費用、教育の質、関連するプログラムの特色を含む、物理的・社会的・制度的な、教育の経験を作り出す全体の背景因子の特色によって影響を受ける。
p40190 詳細不明
p40200 仕事への参加
報酬の有無にかかわらず、ある人にとって適性が生かせ意味がある雇用の選択肢のうち、適正であって通常期待される範囲内で、その人が職業準備に接近し、準備に参加し、仕事の達成に成功している性質と範囲。
 包含:季節的にか臨時にか、一時的にか永続的にか、様々な報酬の取り決め(たとえば、無報酬で自発的なもの、契約制、給料制、歩合制、出来高払い、営など)を含む、常雇用とパートタイムの仕事、また様々な場所で(たとえば、家庭、戸外、仕事場やオフィスビル、船や他の乗り物の上、また仕事場所を変えながら)行われる仕事。仕事は単独であったり他の人と一緒であったり、経営活動を含んだり含まなかったり、また組合に加入したりしなかったりする。
p40210 職業準備への参加
公的に提供されるのか私的にであるかを問わず、仕事の準備のために計画された系統だてられた活動であるプログラムに、ある人が接近しそれに取り組んでいる性質と範囲、またその成功。プログラムまたは活動が役立つかは、職業準備のプログラム・活動の有無や適切さ、費用、また、仕事や仕事場の再編と改造方法なども含め、その人の職業準備の必要条件にあっているかを含む、そのプログラム・活動の特色の作用による。
 包含:仕事のための特定の訓練を提供したり、最初の仕事や次以降の仕事を準備させるためのプログラム。履歴書や志願票の準備、面接の準備、その他職をさがし確保するための技能の訓練。職業準指導と相談。自営業創設や職業志向を明らかにするための情報を提供するプログラム。仕事に就きながらの訓練(徒弟制、インターン制、年季契約)、職場実習や再訓練の提供などを含む準備。
p40220 報酬のある仕事への参加
ある人にとって適性が生かせ意味がある職場状況で、賃労働に就きそれを継続することに成功している質と程度。仕事への参加は、仕事と関連する特色、仕事場、及び関連する雇用の特色の結果であるが、成功に影響を与えるこれらの特色には、適正で適切な施設設備、賃金、雇用期間や条件がある。
 包含:季節または臨時の、常雇用、パートタイムまたは保護雇用の仕事。一時的か永続的で、様々な報酬上の取り決め(契約制、給料制、歩合制、出来高制、農業を含む自営)によって特徴づけられ、現金かこれと等価の現物での報酬が提供される仕事。どんな場所であろうと(家庭、戸外、仕事場やオフィスビル、船や他の乗り物の上、また仕事場所を変えながら)行われる賃労働。単独か他の人と一緒に行い、経営活動を含むことも含まないことも、組合に加入することもしないこともある。賃労働への意味のある関与とは、新規募集・雇用・報酬・昇進・余剰従業員となること・退職といった、雇用で通常予想されるすべての側面に参加することである。賃労働はまた雇用されながら有給で一時的・長期的に仕事から離れたり(サバティカルや他の有給休暇)、仕事に関連する病気のために、雇用主である国家や民間会社から提供される障害給付その他の給付を受けて仕事から離れていることなどを含んでいる。
p40230 無報酬の仕事への参加
ある人にとって適性が生かせ意味がある職場状況で、無報酬の労働に就きそれを継続することに成功している性質と範囲。仕事への参加は、仕事に関連する特色、仕事場、及び関連する雇用の特色の結果であるが、成功に影響を与えるこれらの特色には、適正で適切な施設設備、賃金、適当な雇用期間と条件が含まれる。
 包含:(慈善であるか否かを問わず)他人のケアをすること、無報酬の家事労働者やボランティアとなること。
 除外:家族関係への参加(p30100)
p40280 その他
p40290 詳細不明
p40300 遊び、レクリエーション、余暇への参加
娯楽や気晴らし、余暇、緊張をほぐすといった目的や、個人の洗練や特技、運動能力の発達のために、それが(スポーツ、競技、芸術・文化活動、工芸と趣味、社交を含む)どんなタイプの遊び・レクリエーション・余暇であろうと、その実行・関係・制度にある人が首尾よく適切に関与している方法と程度。遊び・レクリエーション・余暇の経験の質は、資源への近づきやすさ、時間、設備、他の参加者、適切な空間や場所を含み、その人にとってその遊び・レクリエーション・余暇が近づきやすいかや利用できるかによっている。
 包含:他の人と、あるいは集団でまたは個人で、年間のいつの時期でも、自発的か、インフォーマルか、自分で方向を決定するものか、組織化されたプログラム・活動の一部であるかを問わず、家庭の内外、室内・室外、または特別に設計された施設で行う、健康状態や運動能力の維持、緊張をほぐす、娯楽、気晴らしのためのすべてのプログラムまたは活動。
 除外:社会関係への参加(第4章)。教育への参加(p40100)。仕事への参加(p40200)、市民生活・地域生活への参加(p60100-p69999)。
p40310 スポーツとゲームへの参加
気晴らし、娯楽、楽しみ、鍛錬と健康維持、競技大会やインフォーマルな競争を含む様々な目的のために、スポーツやゲームの実行・関係・施設にある人が首尾よく適切に関与する方法と範囲。スポーツとゲームの経験の質は、資源への近づきやすさ、時間、設備、他の参加者、適切な空間や場所を含み、適切な活動への近づきやすさや利用可能性によっている。ゲームやスポーツへの参加は、その人の能力の範囲にあわせてゲームの規則や慣習的なやり方を変更するというように、関連の背景因子を変えることによって促進される。
 包含:個人で、他の人と、またチームや集団で、室内または室外で、自発的か、自分で方向を決定するやり方でか、または組織化された行事の一部として、季節的か定期的か偶発的なやり方でか、道具や動物の使用の有無を問わず、特定の場所(コートや野外、室内)で行うスポーツやゲーム。それらにはカードゲームや、クロスワード・パズル、チェス、囲碁、麻雀、プール、バスケットボール、サッカー、ビンゴ、ボクシング、その他たくさんのものがある。スポーツやゲームへの関与の性質と程度は、スポーツやゲームをするのに普通必要とされる資源が利用できるかどうかとともに、参加するのに必要な身体の条件を訓練したり発達させたりする時間と機会あったかどうかにもよる。
 除外:報酬のある仕事への参加(p40220)。
p40320 芸術と文化への参加
主として個人の洗練や娯楽、気晴らし、喜びを目的とした、絵画・彫像・音楽・舞踏・演劇のような、芸術や文化工芸品、またこれと関連するものの、生産、消費、鑑賞に、ある人が首尾よく適切に関与している方法と範囲。芸術と文化の経験の質は、資源への近づきやすさ、時間、設備、他の参加者、適切な空間や場所などを含む、関連の活動への近づきやすさや利用可能性によっている。
 包含:個人または集団で、室内または室外で、また特別な場所(美術館、画廊、スタジオ、映画館または他の場所)で行われる芸術・文化活動。消費には、自分自身のまたは自分とは違った文化や芸術の形式を経験するために、他の国や遺跡を旅行することを含んでいる。生産・消費は、個人で決めたものであったり組織化された行事の一部であったりし、毎日か、または季節的か、定期的か、偶発的なやり方で行われる。生産は、競争を含むことも含まないこともある。どのような範囲で参加できるかは、芸術・文化活動に関連する経験を持ちその鑑賞能力を発達させる機会によって、ある程度決定される。
 除外:報酬のある仕事への参加(p40220)。
p40330 工芸と趣味への参加
気晴らしや娯楽、喜びや緊張をほぐすことを目的とした、切手・コイン・骨董品の収集や、編み物・刺繍・裁縫、楽器演奏のような、工芸品や趣味、その他のインフォーマルな余暇の追求での創作・製作・生産へ、ある人が首尾よく適切に参加している方法と程度。工芸と趣味の経験の質は、適切な資源、時間、設備、必要な場合には他の参加者、適切な空間や場所などを含む、関連の活動への近づきやすさや利用可能性によっている。
 除外:コミュニティへの参加(p60200)。教育への参加(p40100)。
報酬を伴う労働への参加(p40220)。
p40340 社交への参加
娯楽や余暇、経験の共有のために、他の人と連絡を取ったり会ったり訪問したりといった文化的に適切で期待される行動の実行に、ある人が首尾よく関与している方法と程度。社交の質は、資源、時間、会う場所への近づきやすさなど、関連する活動への近づきやすさや利用可能性によっている。
 包含:家族、友人、仲間、親しいまたは親しくない人との社交。それは、対人的な方法で(直接向かいあって)か、家から間接的に(郵便や電子メール、電話、インターネットで)か、手紙や他の通信手段を通じて、インフォーマルに、また自分で方向を決定するかまたは組織化された行事で行われる(コーヒークラブや文通友達)。
 除外:社会関係への参加(第4章)。情報交換への参加(第3章)。
     非宗教的な儀式への参加(p60240)。
p40380 その他
p40390 詳細不明
p40400 精神活動への参加
自己や他者の世界、そして場合によると、フォーマルな既存の宗教社会や組織以外の、神聖な力との関連を通じて、日常生活での意味の発見、自己充足、自尊を目的とした、個人的なまたは文化的・社会的に作られた行動に関与する方法、質、程度。この取り組みの質は、資源への近づきやすさ、時間、会う場所など、関連する活動または実行への近づきやすさや利用可能性によっている。
 包含:瞑想、内省に費やす時間、読書、宗教教義の解釈と学習、自己と自己役割の再定義、死すべき運命への理解に至ること。
 除外:宗教及び神聖な団体への参加(p60230)
p48000 その他
p49000 詳細不明


第6章 経済生活への参加(p50100-p59999)

 経済取引の習慣・慣習・制度にある人が従事している特徴と程度、また経済への参加者となることによって保障される経済的自立の程度と質。経済制度には、資本の獲得と譲渡、信用貸し、利子、社債、株式、無担保社債、その他の交換と所有の経済媒体が含まれ、単純なものも複雑なものもあり、私的にまたは公的に、所有されたり統制されるたりするものである。

包含:ある人が従事し関与している経済取引は、どんなレベルの経済価値であろうと、国家の経済取引や制度への役割に関する経済学の教義やイデオロギーを明確に示すある経済体制の中で、貨幣や貨幣に相当するもの、市場交換、物々交換、またはその他の非貨幣的な交換の形態にもとづいて行われる。

 この章の参加の制限は、活動分類の第9章で述べられた活動の制約を含むであろう。それにもかかわらず経済の領域への参加は、典型的には法律や規則によって支配される高度に複雑な社会的習慣・慣習・制度によって特徴づけられ、複雑な社会環境の中でのみ起こる広範な身体・精神活動を含んでいる。経済の領域での参加はすべて、ある社会構造といろいろな対人関係があって成り立つものである。人は経済生活のみに参加することはできない。経済生活は、かなりの複雑性を持つ社会的出来事である。そのため社会の経済には、ある人に効果をもたらすような、たくさんの社会環境への促進的な変化が存在するのである。障害年金制度による貨幣の提供それ自体、ある人の経済の領域での参加レベルの性質と範囲に、直接の効果をもたらすであろう。

p50100 経済取引への参加
財やサービスの売買や物々交換、資本と利子の交換と操作といった、基本的なそして複雑な経済取引の慣習と習慣に、ある人が従事している特徴と範囲。経済取引への従事の特徴は、貨幣への近づきやすさや資産を思い通りに動かせるかを含む、その人の市場や他の経済制度との関係という鍵となる特色と、政府の規制や私的な調整の程度を含む、経済制度の政治的・法的特色に依っている。
p50110 基本的な貨幣や貨幣に相当するものによる経済取引への参加
財とサービスの売買や物々交換のような、社会的に承認された基本的な経済取引の慣習と習慣に、ある人が従事している特徴と範囲。参加の質は、貨幣への近づきやすさや資産を思い通りに動かせるかを含む、経済やその人の経済との関係の特色と、政府の規制の程度を含む、取引の政治的・法的な特色によっている。参加のレベルは直接的に人の参加を妨げる法や社会の態度によって、また間接的に貨幣や物々交換する物がないことや、市場へ参入できないこと、またその他の障害物によって影響される。
 包含:財とサービスの金銭取引である売買や、財とサービスの交換である物々交換を含む消費活動。
 除外:貨幣や貨幣に相当するものと財・サービスとの交換に、あるいは、物々交換をする2人以上の当事者間に、仲介の経済企業体が加わるという意味で、直接ではない経済取引への従事(p50120)。
p50120 複雑な経済取引への参加
資本・富・利子・その他の形態の財産の交換と経済的操作を必要とする、複雑な経済取引と関連する慣習・習慣・関係・制度に、ある人が従事している特徴と範囲。このような複雑な経済取引の範囲は、典型的には(株式仲買人、銀行家、経済制度のその他の被雇用者以外の)金融組織や制度を含むが、その性質と範囲は複雑な経済取引を実行するために必要な経済や他の社会的因子に左右される。それには、貨幣や市場への近づきやすさ、貨幣や他の資源を思い通りに動かせること、また、条件であれ制限であれ、フォーマルであれインフォーマルであれ、銀行や信用組合、仲買業者、株式市場のような市場や経済制度への参加に規制を設けないことが含まれる。参加のレベルは、直接的に人の参加を妨げる法や社会の態度によって、また間接的に貨幣や物々交換する物がないこと、関連の経済制度への近づきにくさ、またその他の障害物によって影響される。
 包含:株式、社債、有価証券、その他の債務証書や投資の取り引き。不動産、商品と先物、外国為替その他の投資の取り扱い、保険の売買。
 除外:報酬を伴う労働への参加(p40220)
p50180 その他
p50190 詳細不明
p50200 経済保障への参加
経済的に自立する能力を保障しこれを維持するために、貨幣、財産、その他の資本・金融手段の形態を含む経済資源を、ある人が思い通りに動かせる範囲。これらの資源は、社会や文化で期待されるような方法と程度である程度の自立ができるように、一定水準の経済的関与を確保するのに十分な、効果的で安定した金融資源への接近が保障ができるという意味で、経済的に自立する能力を保障し維持する。それらは促進することも妨害することもあるが、どの範囲で経済的自立ができるかは、経済へ参加する人の役割と関連する社会の態度・規範・慣習・制度の貢献によっている。経済保障の全体は、私的・公的なあらゆる資源から作られた資源の産物である。
 包含:貨幣、不動産、資本の投資、その他の複雑な経済取引への接近。貨幣や現物の資源(食料切符、リハビリテーションサービスのためのバウチャーや伝票払い制)などの公的に供給される資源。個人的な資源(個人の富、遺産、その他の基金や資産の私的資源)一時払いか終身払いか、また受給資格の基準(医学的診断や資産・収入調査)の有無にかかわらず、労働者災害補償制度や一時払いの障害基金のような、(公的・私的な)保険制度の一部として、また、社会扶助やその他の形の収入支援プログラムの一部として、公的に供給される資源。
p50210 個人的資産による経済保障への参加
個人の資産(貨幣や他の富)のような個人的金融資源や、法的権利、その他の形態の資本・金融手段によって保障される経済資源を、ある人が思い通りに動かせる範囲。これらの資源は、社会・文化に期待される方法と程度である程度の自立ができるように、一定水準の経済的関与を確保するのに十分な、適切で効果的・安定的な金融資源へ接近できるという意味で、経済的に自立する能力を保障し維持する。この経済的な管理と自立のレベルは、(促進的に作用することも抑制的に作用することもあるが)経済に参加する人の役割と関連する社会の態度・規範・習慣・制度の影響によって決められる。
 包含:勤労収入、預貯金、自宅や他の不動産の所有、その他の資産。年金、私的な保険手段、信託勘定、その他の定期的・周期的に受ける支払い、裁判での勝訴で得た貨幣や、その他の法的に与えられる私的な受給資格。遺産からの資源(貨幣、不動産、その他)。社債やその他の安全な債務証書からの収入。財産物権の純価や他の投資による収入。個人所有者、共有者、会社またはその他の起業者であることによる収入。私的に受ける補助金、謝礼金、大学の奨学金、他の奨励金。くじやその他のギャンブルの賞金。
 除外:報酬を伴う労働への参加(p40220)。公的な保険プログラムや扶助による現金または現物の給付(p50220)。
p50220 公的な経済的資格付与による経済保障への参加
社会保険、社会扶助、障害年金や他の年金制度、補足的障害給付、補助機器施策や施設ケアのプログラムから提供されるものを含む、貨幣・貨幣に相当する物・現物給付などの、公的な経済的受給資格によって保障される経済資源をある人が思い通りに動かせる範囲。これらの資源は、社会・文化に期待される方法と程度である程度の自立ができるように、一定水準の経済的関与を確保するのに十分な、適切で効果的・安定的な金融資源への接近ができるという意味で、経済的に自立する能力の保障と維持をする。このレベルでの経済的コントロールと経済的自立は、促進することも妨害することもあるが、経済に参加する人の役割と関連する社会の態度・規範・慣習・習慣・公的制度の貢献の結果である。
 包含:労働者災害補償プログラム、失業保険、社会保障、社会福祉、食料切符や、その他の財やサービスのバウチャー制度。障害援助プログラム、基礎年金や補足的年金、その他の年金。老齢給付や関連の給付。
 除外:健康維持への参加(p00200)。
p50280 その他
p50290 詳細不明
p58000 その他
p59000 詳細不明


第7章 市民生活・共同体的生活への参加(p60100-p69000)

 市民、コミュニティの一員、人的・法的・市民的な権利、保護、義務を持つ人の役割と関連する市民的・地域的な団体・制度・機関に、ある人が関与する性質と範囲。

 ある人の市民や共同体の一員としての役割への参加の制限は、その人が持つ機能障害や活動の制約によってのみ決定されるのでは決してない。むしろそれらは、機能障害や活動の制約を持つ人が生活している、社会的・政治的・経済的・態度的な背景因子の産物である。そのため、人間生活のこのような複雑な領域での制限は、活動の制約とは混同しそうにない。そうであっても、市民権、人権、共同体の一員としての参加の制限は、人やその人の機能障害・活動の制約を含む特性と、社会的環境や環境の入り組んだ表現との、相互作用の帰結または結果である、ということを強調しておくべきであろう。

p60100 市民としての参加
市民役割のそのすべての表現や、また特に基本的人権、市民権、法的権利、保護、義務を持つ人間の地位の達成と関連する、ある人の権利・保護・特権・義務への関与の程度。また、法的・政治的・軍事的であるとを問わず、市民権と関連するあらゆる慣習・習慣・伝統・制度・関係に関与している程度。市民権への参加の性質と質は、主としてその人が国家、国家当局あるいは権威者によってどのように特徴づけられているか、ということの結果である。完全参加への制限は、完全な精神的自律性を持つ人間または市民という完全な地位の享受を妨げる、政治的・法的・その他の権威ある決定の結果である。
p60110 人権への参加
人権の享受に成功している程度。また、これらの権利の承認と行使に関連する習慣・慣習・伝統・関係・制度に関与している性質と質。人権とはすべての人に享受されるべき資格であり、それは、特に人間としての関心と敬意を平等にするという基礎的な資格を含む、人間性尊重という点にのみ根拠をもつが、同時に、その平等な関心と敬意の特定の諸側面に対応する特別な資格もあると考えられている。このような基本的人権の享受の程度は、国家当局・機関や国際機関、特定個人が、どの程度すべての人に平等な関心と敬意を払うという原則と一致するやり方で行動しているかによっている。本質的に人権は、それを正式に承認し行使しているにしてもしていないにしても、国家や国際組織からは独立のものと理解される。
 包含:人権の例としては正式には、国際連合世界人権宣言(1948年)や国際連合障害者の機会均等化に関する標準規則(1993年)が承認されている。承認されている人権の中には、自己決定や自律性の権利、自分の運命を思い通りにする権利、平等な関心と敬意の権利、言論と結社の自由、法によらない捜査や押収、拘留、逮捕に対する保護の権利がある。
p60120 市民権と市民的義務への参加
ある人の市民役割の達成が、その役割に対する社会の期待に照らして成功している程度。また、市民役割と関連する習慣・慣習・制度・関係に関与している方法と程度。市民権への関与の程度は、社会制度への近づきやすさや完全な市民権のための条件が整っているかを含む、社会制度自体の性質によっている。市民役割もある人がその役割を享受する程度も、その社会の行政当局や文化によって承認される権利・義務・特権の詳細な取り決めによって作られる。ある政治的取り決めでは、市民は政治過程で多大な役割を演じるが、他の場合にはそうすることが少ない。ある取り決めでは、市民役割は強度に制限されるが、他の場合にはそうではない。ある人が市民役割に参加できる程度は、どのような条件・制限であろうと市民権に不可欠だと社会的に承認されているものをその人に適用した結果なのであるが、その条件や制限のあるものは市民役割の享受を制限したり妨げたりするであろう。
 包含:投票やその他の参加が認められる役目は、誕生によるのか、帰化や他のなんらかの方法で得たのかを問わず、通常、市民であることによっている。
p60130 法的権利・保護・義務への参加
ある人が司法権のもとで法的な権利・保護・義務の享受に成功している程度。また、これらの権利・保護・義務を確定し判決を下し行使する、習慣・慣習・制度・義務に関与している性質と質。ある人の法的な権利・保護・義務の享受の性質と範囲は、司法権で承認され権威づけられた、法的な原理・慣習・習慣・制度のその人の事例への適用の産物である。法的権利・保護・義務の享受の制限は、法律そのものが特定の人に法規の適用を制限するとき、明示的に(つまり法律上)起こる。制限はまた、法規があっても、法律以外の資源から導き出されたり直接的でないときには、内在的・間接的(つまり事実上)となる(例えば、家を所有する権利を持つ必須条件として、文書の一文を読むことが要求されるような場合)。
 包含:法の形を取るかどうかによらず、所有、私犯、契約、犯罪、会社法、その他の基本的な法の領域に具体化される権利。また、立憲制・準立憲制当局の権利の議案による、法の形での地方独自の人権の承認や、雇用、住宅、公共施設への立ち入り、その他の参加の領域に対してとられる差別禁止、及びその他の平等保護施策が含まれる。
p60140 軍隊への参加
国家・司法権のもとの軍隊と関連する習慣・慣習・伝統・制度・関係に、ある人が首尾よく関与している範囲と性質。ある人の軍隊への参加の性質と範囲は、軍事当局によって課せられる制限や適格性、その他の必要条件の、その人の場合の適用によっている。
 包含:新兵募集、入隊、軍隊(陸軍・海軍・空軍)の等級での昇進。
p60180 その他
p60190 詳細不明
p60200 コミュニティへの参加
団体、仲間集団、男子学生クラブや女子学生クラブ、派閥、名誉的協会、自発的・インフォーマルな団体、専門的・フォーマルな団体、宗教団体等のコミュニティに、またこれらのコミュニティと関連する関係・伝統・慣習・習慣に、ある人が従事している質と程度。このようなコミュニティへの参加の成功の質と程度は、組織や、他の参加者、コミュニティでの参加のレベルに限界を与えたり拡大したりする、その他の背景条件の特色の産物である。
p60210 自発的またはインフォーマルな団体への参加
たとえば、固定的な場所や憲法・法律による根拠を持たず、明文化された会員の基準を欠いているような自発的・インフォーマルな団体に、ある人が従事している質と程度。そのようなインフォーマルな団体への参加が、どのような質でどの程度成功しているかは、組織や、他の参加者、その団体への参加のレベルを制限したり拡大したりする、その他の背景条件の特色によっている。
 包含:共通の関心や趣味、同じ祖先や性・年齢を持つ人々によって形成された団体。高齢者や十代の人々の集団。自助グループ。権利擁護グループ。
 除外:宗教団体への参加(p60230)、報酬を伴う仕事と伴わない仕事への参加(p40220、p40230)、レクリエーションと余暇への参加(p40300)。
p60220 専門的またはフォーマルな団体への参加
法律や習慣によって作られ承認された権力を持ち、共通の専門性や技術を示し、会員の必要条件があるような専門的・フォーマルな団体に、ある人が従事している質と程度。これらの団体への参加にどのような質でどの程度成功するかは、組織や、他の参加者、その団体への参加のレベルを制限したり拡大したりする、その他の背景条件の特色によっている。
 包含:法律、医学、及びその他の専門職の集団。政党。権利擁護や政治的・社会的論点を争う組織化された集団。慈善及び非慈善の組織。奉仕クラブ。男子学生クラブ及び女子学生クラブ。
 除外:宗教団体への参加(p60230)、報酬を伴う仕事と伴わない仕事への参加(p40220、p40230)、レクリエーションと余暇への参加(p40300)。
p60230 宗教的または神聖な団体への参加
宗教的・神聖な団体や組織化された宗教への関与の質と程度。また、これらの団体と関連する関係・伝統・慣習・習慣への参加の質と程度。宗教的・神聖な団体への参加がどのような質でどの程度成功するかは、組織、他の参加者、その団体への参加のレベルを制限したり拡大したりする、その他の背景条件の特色によっている。
 包含:一神論及び非一神論の宗教、宗派、カルト宗教、その他の分派と関連する、またはそれらによって作られた、宗教的・神聖な団体。集会・会議・式典・儀礼・儀式などの、関連の習慣や慣習(結婚式、葬式、洗礼、聖餐式、カトリックのミサ)、集団での祈祷、その他の集団でまたは牧師の行う活動。
 除外:精神活動への参加(p40400)。報酬を伴う仕事への参加(p40220)。レクリエーションや余暇への参加(p40300)。
p60240 非宗教的儀式への参加
非宗教的な結婚式や葬式、誕生パーティ、特定年齢に達したことのパーティなどのような、非宗教的な儀礼や式典、また、これらの式典と関連する関係・伝統・慣習・習慣に、ある人が従事している質と程度。非宗教的な式典への参加がどのような質でどの程度成功するかは、組織、他の参加者、その式典への参加のレベルを制限したり拡大したりする、その他の背景条件の特色によっている。
 包含:謝肉祭、祝祭、パレード、国家的・市民的な儀式、民族の祝祭といった公的な行事。
 除外:報酬を伴う労働・伴わない労働への参加(p40220、p40230)。レクリエーションや余暇への参加(p40300)。
p60280 その他
p60290 詳細不明
p68000 その他
p69000 詳細不明

主題:
ICIDH-2 International Classification of Impairments, Activities,
and Participation
-A Manual of Dimensions of Disablement and Functioning
国際障害分類第2版
機能障害、活動、参加の国際分類
-障害と機能(働き)の諸次元に関するマニュアル
Beta-1 Draft for Field Trials, June 1997  (18-7-97版)
フィールドテスト用草案(ベータ1草案)

発行者:
World Health Organization, GENEVA, 1997

発行年月日:
1997年7月18日