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国際リハビリテーション協会 アジア太平洋地域会議成果文書

2019年6月26~28日 中国 マカオ特別行政区

マカオ声明 2019
誰一人取り残さない
権利に基づく障害インクルーシブな開発の進展

1.

我々、2019年6月26日から28日まで中国マカオ特別行政区で開催された、中国マカオ特別行政区扶康会主催による、国際リハビリテーション協会アジア太平洋地域会議の参加者は、障害者の権利に関する条約(CRPD)、アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)に関する閣僚宣言及びアジア太平洋障害者の「権利を実現する」インチョン戦略(以下、インチョン戦略)、持続可能な開発目標(SDGs)2030アジェンダ並びに世界保健機関(WHO)リハビリテーションに関する西太平洋地域枠組の実施を支援することを再確認する。

2.我々は、以下のことを想起する。

2.1

世界初の地域レベルでの障害者の十年、すなわちアジア太平洋障害者の十年(1993-2002)以降の、障害当事者団体及び障害者支援団体並びにその他の市民社会団体による貢献と影響

2.2

アジア太平洋地域の各国政府並びに諸国民による、CRPD、3度にわたるアジア太平洋障害者の十年(1993-2002; 2003-2012; 2013-2022)、SDGs及びWHO主導の地域に根差したインクルーシブな開発イニシアティブの精神と目的の実現に向けた重要かつ寛大な支援

3.我々は、深い懸念をもって、以下のことを注視する。

3.1

世界人口の約60%(そのうちの15%が何らかの障害を抱えながら生きていると推定されている)が暮らすアジア太平洋地域における、障害に関する意識の向上をめざす地域及び小地域での障害アドボカシープログラムへの参加を支援するための資源動員をめぐる課題の増加

3.2

アジア太平洋地域の障害セクターを含む一般大衆の、CRPD、インチョン戦略及びSDGsに対する低い認識と、障害のある人に関するこれらの重要な国連文書の意義に対するさらに低い認識

4.

我々は、アジア太平洋地域の各国政府並びに諸国民に対し、CRPD、インチョン戦略、SDGs及びWHOリハビリテーションに関する西太平洋地域枠組の実施並びに監視の促進という目的に向けて、以下のことを要請する。

4.1

開発途上地域における意識向上に向けて、経済的・社会的不平等を削減する持続可能な措置に焦点を絞り、地方、国、小地域及び地域レベルでイベントを開催する取り組みを増やすために、資源を動員すること

4.2

デジタル経済社会における障害のインクルージョンと政治的・公的活動への様々な障害のある人の参加を促進するものを含む、地方、国、小地域及び地域のイベントとプロジェクトを支援するために、先進地域と開発途上地域で地域間および二国間協力を促進すること

4.3

主流の経済的・社会的・政治的活動のあらゆる局面への、様々な障害のある人の積極的な参加を推進するために、様々な部門における市民社会団体(CSOs)および政府の事業体間で、グッドプラクティスと情報の共有を促進すること

4.4

以下のことを大幅に改善するために、国、州及び県並びに地方の法律、規則及び政策とCRPDとの一致に、特別な注意を払うこと

  • (a)開発プロセス並びに主流の経済的・社会的・文化的・政治的活動のあらゆる局面への障害インクルーシブな参加を促進する、様々な障害のある人の基本的権利としての、構築環境及び情報通信環境へのジェンダーに配慮したアクセス
  • (b)障害のある人の、他のすべての人との平等を基礎とした参加を支援するための、障害に関するジェンダー別・年齢別統計

4.5

障害のある人に配慮したサービスと適切な支援技術を、貧困層が利用できるようにするために、経済的に恵まれないコミュニティのエンパワメントに投資すること

5.

我々はさらに、アジア太平洋地域の各国政府並びに諸国民に対し、障害インクルーシブな政策及び措置を支持し、北京宣言及びインチョン戦略の実施を加速するための行動計画に関するフォローアップの取り組みを積極的に促進し、開発の進展を公平に共有する中で「誰一人取り残さない」ことを確保することを、またこれに関連して、以下のことを要請する。

5.1

国レベル、州又は県レベル並びに地方レベルにおいて、SDGsの障害インクルーシブな実施と監視を促進するために、政府機関、国連機関、学術団体、民間部門及び市民社会の事業体とその他の関係者を含む共同プラットフォームの構築を進めること

5.2

様々な障害のある人の、他のすべての人との平等を基礎としたインクルージョンと参加の権利の主流化を目的として、政府及び民間部門の事業体内の多部門による連携を強化すること

6.我々は以下のことを歓迎し、支援する。

6.1

国際リハビリテーション協会(RI)会員並びに現地関係者とRIとの連携を支援するための、アフリカ基金及び世界障害開発基金の設立に向けた資金調達におけるRIのイニシアティブ

6.2

「一帯一路」地域での障害を含めた開発活動における国際ロータリーとRIの協力

6.3

CRPD、インチョン戦略及びSDGs、WHOリハビリテーションに関する西太平洋地域枠組の実施を支援するための、アジア太平洋地域における障害のある子どもを持つ親たちによるネットワークの提携

6.4

アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)加盟国及び準加盟国による、ジェンダーの平等という視点に特に注意を払い、不平等の軽減と人口統計学的課題の影響緩和を目的とした、強力なエビデンスベースの障害インクルーシブな政策及び計画の開発への積極的な関与

7.我々はさらに、以下のことを勧告する。

7.1

アジア太平洋障害者の十年(2013-2022)の約束の実現に向けた取り組みを、特に北京宣言及びインチョン戦略の実施を加速するための行動計画の実施を通じて強化するために、また、2022年に現在の十年が終了したのちの長期的なロードマップと戦略を考案するために、各国政府、CSOs、国連システムにおけるパートナー及びその他の重要な関係者間の対話と協力をESCAP事務局が促進することを、ESCAP加盟国及び準加盟国が支援すること

7.2

「一帯一路」地域における各国政府並びにCSOsが、「権利に基づく障害インクルーシブな開発を進めるにあたり、誰一人取り残さない」というビジョンの共有に基づき、連携を強化すること

8.

我々は、「人道的(または、人類の)エンパワメントの100年、権利とインクルージョンの新世紀」というテーマを掲げ、100周年(1922-2022)を祝うべく準備を進めているRIの喜びを共有し、中国で開催される2022年RI100周年記念祝賀会への参加を待望する。

会議準備委員会によって任命された草案作成委員

  • マカオ扶康会常務理事 Ms. Jennifer CHAU
  • 国際リハビリテーション協会アジア太平洋地域担当次席副会長Mr. Joseph KWAN
  • 韓国障害者の親のネットワーク(KPNPD) Ms. Reena LEE
  • 国際リハビリテーション協会アジア太平洋地域担当副会長 Ms. Ye-ja LEE
  • 日本障害者リハビリテーション協会副会長 松井亮輔
  • 中国障害者連合会 Mr. You LIANG
  • ハノイ障害者協会 Ms. Duong Thi VAN
  • 会議組織委員会副委員長(ファシリテーター) Joseph KWOK博士
  • Ms. SAN Yuenwah (名誉編集者)

マカオ声明2019の目的

      1.中国マカオ特別行政区で2019年6月26日から28日まで開催されたRIアジア太平洋地域会議について記録すること
      2.会議の成果を、国連組織とその専門家、アジア太平洋地域の政府・非政府プラットフォームと共有するために、明らかにすること

成果文書朗読者 略歴

第一朗読者:Miss Stephanie Cheang(マカオ扶康会推薦)

Miss Stephanie Cheangn の顔写真

幼少時に脊髄損傷のため下肢が麻痺し、車いす利用者となる。

マカオの大学で社会福祉を専攻し、学士号を取得。卒業後、ソーシャルワーカーとしてカリタス・マカオに勤務し、高齢者のメンタルヘルス促進を担当。現在、”Brillo da vida (命の輝き)”センターの運営と開発促進を担当。2012年にマカオ特別行政区政府より「障害のある従業員 優秀賞」を受賞。

第二朗読者:Mr Eric Leong Ka Chon(マカオ扶康会推薦)

Mr Eric Leong Ka Chon の顔写真

先天性緑内障のため6歳で全盲となる。小学生の時からインクルーシブな教育を受け、2019年にカウンセリングと心理療法の修士号を取得。現在、カウンセラー兼プログラムコーディネーターとして、マカオHoly House of Mercy(聖なる慈悲の家)に勤務。2017年よりマカオ特別行政区政府リハビリテーション問題委員会委員。

第三朗読者:Mrs Do Thi Huyen(ハノイ障害者協会推薦)

Mrs Do Thi Huyen の顔写真

ベトナムで経済学の学士号と修士号を取得。ハノイの財政学院に財務スタッフとして10年以上勤務した後、米国に留学。2013年5月にマサチューセッツ州クラーク大学で国際開発と社会改革の修士号を取得。ベトナムに帰国後、障害のある人の平等な生活と機会の実現に向けたエンパワメントを目的として資金提供を行っているフィンランドの開発基金、アビリス財団のベトナム代表として活動。また、障害のある人の権利を促進するために、各省及び政府機関、地域社会団体、市民社会団体及び非政府間国際組織と協力しているハノイ障害者協会の副会長も務める。自身にも身体障害があり、障害のある人の状況を理解していることから、障害のある人の権利のために尽力することを約束している。