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2009年12月3日  国際障害者デー

「ミレニアム開発目標(MDGs)をインクルーシブに:世界中の障害者と障害者コミュニティのエンパワメント」
出典:United Nations Enable
International Day of Persons with Disabilities - 3 December 2009
https://www.un.org/development/desa/disabilities/international-day-of-persons-with-disabilities-3-december/international-day-of-persons-with-disabilities-3-december-2009.html

12月3日の国際障害者デー年次式典は、障害問題の理解と障害者の権利の促進、そして地域社会での政治的、社会的、経済的および文化的生活のあらゆる局面における障害者の統合から得られる利益の促進を目的としている。国際障害者デーは、1982年に国連総会で採択された障害者に関する世界行動計画に定められた、障害者による完全かつ平等な人権の享受と社会参加という目標の達成に向けて結集し、行動を起こす機会を提供する。

背景

世界では、およそ10人に1人が障害を抱えながら生きており、最近の調査によれば、障害者は開発途上国で貧しい暮らしをしている人々の20%にも相当する。多くの障害者は、地域社会への参加を阻む障壁に直面し続けており、往々にして、社会の片隅に追いやられて暮らしている。彼らはしばしばスティグマと差別に直面し、食物、教育、就労、医療および性と生殖に関する医療サービスの利用などの基本的権利を日常的に奪われている。また、障害者の多くは施設に強制収容されており、これは移動の自由や地域社会で生活する自由の権利への直接的な侵害である。

国連には、障害者を含むすべての人々の権利と福祉を促進してきた長い歴史がある。国連は、すべての人のための社会の実現をめざし、市民的、政治的、経済的、社会的および文化的領域における、他の人々との平等を基本とした障害者の完全かつ効果的な参加の確保に向けて、活動を進めてきた。障害者によるすべての人権の完全かつ平等な享受に対する国連の責任は、社会開発のあらゆる局面における社会的正義と平等の追求に深く根ざしている。障害者に関する世界行動計画と障害者の機会均等化に関する基準規則によって、国連の責任は国際的な政策の枠組みへと書き換えられたが、それはさらに、障害者の生活向上と世界中の障害者コミュニティの地位向上をめざし、障害者に権限を与える、国際的な法律文書である障害者権利条約によって強化された。

MDGsと障害者

国連と国際社会は、社会と開発のあらゆる局面における障害者の主流化に向けて、活動を続けている。しかし、障害問題と障害者を開発に盛り込むために、多くの責任ある取り組みがなされてきたにもかかわらず、政策と実践のギャップが存続している。

すべての開発活動への障害者の統合を確保することは、ミレニアム開発目標(MDGs)などの国際的な同意を得た開発目標の達成に不可欠である。MDGsは、障害者とその家族が参加することによってのみ、達成できる。これはひいては、障害者とその家族が、国際開発イニシアティブから利益を得られることを約束するものである。MDGsを達成するための取り組みと、障害者権利条約を実施するための取り組みは、相互依存的かつ相互補強的である。

重要な行動ツール:地域に根ざしたリハビリテーション(CBR) 政策と実践のかけ橋

世界の90ヶ国以上で実践されている、開発における障害者統合への強力なアプローチが、地域に根ざしたリハビリテーション(CBR)である。CBRは、通常の地域開発戦略の一部で、貧困削減、機会均等化および障害者の社会参加を目的としている。CBRは柔軟性があり、ダイナミックで、世界のさまざまな社会経済状況、地域性、文化および政治制度に合わせて調整することができる戦略である。それには、医療へのアクセス、教育、生活、地域参加およびインクルージョンが含まれる。障害者とその家族のエンパワメントが、優れたCBRプログラムの重要な要素である。

CBRは障害者と開発イニシアティブとを結びつける。CBRは障害者、その家族、支援団体および地域社会、そして開発部門で活動している関連政府機関および非政府機関(NGOs)が連携して取り組むことにより、実施される。CBRは、開発イニシアティブへの障害者の参加確保に取り組んでおり、地域開発の重要な要素として、ますます認識が高まっている。CBRは地域社会活動を通じて障害者(個別および集団)のエンパワメントに貢献し、障害者の権利を実現し、その固有の尊厳の尊重を促進して、障害者が地域社会の他のメンバーと同じ権利と機会を確実に持てるようにする。

今年度は、障害者権利条約(CRPD)やインクルーシブなMDGs、またこれらと同様な国内法の実施手段としてのCBRの利用法について、新たなアイディアと選択肢の模索がさらに進められ、障害者のインクルージョンと参加の決定的な重要性と、地域社会開発における障害者の貢献に焦点が当てられるであろう。

国際障害者デーを祝うには

参加する:国際障害者デーの式典では、政府セクター、非政府セクターおよび民間セクターなど、障害者に関する国際規範や基準の実施を促進する触媒となる革新的な手段に重点的に取り組んでいる、すべての関連団体に参加の機会が与えられる。学校、大学、およびその類似機関は、障害者の社会的、文化的、経済的、市民的および政治的権利にかかわる関係者のさらなる関心と認識を促進するために、特に貢献することができる。

開催する:国際障害者デーに賛同し、障害問題とその動向、障害者とその家族の地域社会開発への統合を促進できる方法と手段に焦点を当てたフォーラムや公開討論会を開催したり、情報キャンペーンを実施したりする。

祝う:障害者の豊かで多様性に富むスキル、関心および野心に焦点を当て、障害者が生活し、交流し、対話する場である地域社会への障害者による貢献を紹介し、これを称賛するパフォーマンスを、あらゆる場所で企画運営する。

行動を起こす:国際障害者デーで中心となるのは、障害者に関する国際規範および基準の実施の促進と、平等を基本とした障害者による社会生活および開発への参加促進のための、実践的な行動である。メディアは、国際障害者デーを祝うに当たり、また年間を通じて、障害者のための政策やプログラムおよびプロジェクト実施の進捗状況や障壁について適宜紹介し、地域社会開発への障害者の貢献に対する一般の人々の認識を高めることに、特に重要な役割を果たす。

過去のテーマと祝賀行事
2008年 「障害者権利条約:私たち全員に尊厳と正義を」
2007年 「障害者のためのディーセント・ワーク(人間らしい働きがいのある仕事)」
2006年:「e-アクセシビリティ」
2005年:「障害者の権利:開発における行動」
2004年:「私たち抜きで私たちのことを決めないで」
2003年:「私たち自身の声」
2002年:「自立生活と持続可能な生計」
2001年:「完全参加と平等:進捗の評価と成果の評価への新たなアプローチを求めて」
2000年:「すべての人に役立つ情報技術」
1999年:「新千年紀に向けて、すべての人のためのアクセシビリティ」
1998年:「芸術・文化と自立生活」