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成果文書(総会決議A/68/L.1草案)

障害と開発に関するハイレベル会合成果文書

Ⅰ.価値と原則

1.我々各国政府首脳は、障害インクルーシブな開発にともに取り組む決意と、国際連合憲章の目的および世界人権宣言に深く根差している、障害のあるすべての人々の権利の促進に対する国際社会のコミットメントを再確認するため、2013年9月23日、ニューヨーク国連本部に集った。

2.我々は、ミレニアム開発目標と、2015年およびそれ以降に向けた、その他の国際的に合意された障害のある人々に関する開発目標を実現しなければならないことを再確認し、社会の総合的な福祉、発展および多様性への障害のある人々による貢献の価値を認め、彼らを開発の主体者および受益者として認識する。

3.我々は、このコミットメントが、ミレニアム開発目標を含む国際的に合意された開発目標に障害を含めることに、まだ完全にはつながっていないことを懸念し、2015年が近づく中で、ミレニアム開発目標と、世界人口の15%を占め、その80%が開発途上国で暮らしていると推定される、10億人の障害のある人々に関する、その他の国際的に合意された開発目標の時宜を得た実現の確保という我々の決意を、強く繰り返す。この点に関して、我々は障害のある人々のためのアクセシビリティと、開発のあらゆる側面における彼らのインクルージョンを確保すること、ならびに、2015年以降の新たな国連開発課題において、障害のあるすべての人々を十分に考慮することの重要性を強く主張する。

Ⅱ.2015年およびそれ以降に向けた、障害のある人々に関する開発目標の実現

4. 我々は、すべての関係者が、より野心的で障害インクルーシブな国家開発戦略と、障害をターゲットとした行動を伴う取り組みの採択および実施に向けて、さらなる国際協力と国際支援を支えとしながら、緊急に行動することの必要性を強調し、2015年およびそれ以降へとつながる以下のコミットメントを受け入れることを決意する。

a)人権と開発の両方にかかわる法律文書としての障害者の権利条約(CRPD)の批准と実施を促進し、その選択議定書の批准を検討することにより、障害と開発に関する国際的な基準の枠組みの完全な適用と実施を達成する。

b)貧困撲滅、ソーシャルインクルージョン、完全かつ生産的雇用とディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)、および基本的な社会サービスへのアクセスに関する開発政策を含む、すべての開発政策とその意思決定プロセスにおいて、暴力と複数の差別、またはさらに深刻な形態の差別の対象となる可能性のある、女性、子ども、若者、先住民族および高齢者などを含む、障害のあるすべての人々のニーズと利益を確実に考慮する。

c)障害のある人々のインクルージョンを促進するため、国内法の制定または改正および強化、国内法制、政策および組織構造の調和、ミレニアム開発目標およびその他の国際的に合意された目標に関連のある国家計画の採用と実施などの具体的な計画を、必要に応じて策定する。

d)初等教育をアクセシブルかつ無償にして義務づけ、障害のあるすべての子どもが他の者との平等を基礎としてこれを利用できるようにし、すべての子供に質の高いインクルーシブな教育制度への平等なアクセスの機会を確保し、早期教育と中等教育を、すべての子ども、特に低所得世帯の障害のある子どもが普通に利用できる、アクセシブルなものとすることによって、機会均等と非差別に基づく教育を受ける権利を認める。

e)プライマリーヘルスケアおよび専門的なサービスを含む医療サービスへの投資と、障害のある人々によるこれらのサービスの負担可能性の向上などにより、障害のある人々のこれらのサービスへのアクセシビリティを確保する。

f)障害関連のニーズを満たす社会保護を強化し、所得補助、適切かつ負担可能なサービス、機器およびその他のアシスタンスへのアクセスを含む、最低限の社会保護に基づく関連制度への、他の者との平等を基礎としたアクセスを促進する。

g)加盟国に対し、障害のある人々が最大限の自立を獲得し、維持できるように、インクルーシブな教育制度、スキル開発および職業・起業訓練へのアクセス促進などを通じて、平等を基礎とし、障害のある人々を差別しない、完全かつ生産的雇用とディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)への、平等なアクセス確保に向けた持続可能な措置を講じるよう促す。

h)障害のある人々がライフサイクル全体を通じて最大限の可能性を発揮できるように、物理的環境、交通機関、雇用、教育、保健サービス、情報通信技術(ICTs)などの情報・支援機器における障壁を、遠隔地または農村地域も含め撤廃し、ユニバーサルデザインによるアプローチに従い、アクセシビリティを確保する。

i)障害に関するデータの収集、分析および開発政策の計画、実施と評価のモニタリングを、地域の事情を十分考慮し、改善する。必要に応じて、統計委員会を含む国連システム内の関連機関・団体と、適切なメカニズムを通じて関連データおよび統計を共有し、障害に関する情報を含む、性別、年齢別に分類された国際的に比較可能なデータと統計の必要性を強調する。

j)学術機関およびその他の関係者と連携し、障害と開発に関する知識と理解を促進する研究を強化し、支援する。また、これに関連して、適切かつ効率的にリソースを配分する。

k)加盟国、国連システムおよび人道支援アクターに対し、それぞれの権限の範囲内で、障害のある人々のニーズを重視し、人道的な計画立案と対応へのニーズのインクルージョンを強化し続けることと、防災および災害リスク軽減の強化などを行う際に、人道的対応のすべての側面および段階に、アクセシビリティとリハビリテーションを不可欠な要素として含めることを、強く促す。

l)障害のある人々が社会に完全に参加できるように、彼らに対する肯定的な見方を促進し、差別をもたらす社会的障壁や態度の障壁の撤廃に努めるため、特に、障害のある人々や障害者団体による、あるいはこれらとの協力による、広報キャンペーンやソーシャルメディアキャンペーンの開発と実施を通じて、彼らに対する理解と知識の向上および最大限の社会認識を促す。

m)障害のある女性と子どもの権利およびニーズへの対応と、ジェンダーの平等と子どもの権利に関連のある国際的に合意された開発目標とコミットメントの実現を目的とした、要請に応じた国際協力による適切な支援を伴うものを含めた国の取り組みを強化する。

n)地域・国際開発銀行と金融機関に対し、障害のある人々は経済危機においても過度な影響を受けることを考慮し、その権限の範囲内で、開発の取り組みと融資制度全般に障害を含めるよう促す。

o)開発のあらゆる段階において障害を主流化するために、特に、アクセシブルな支援技術へのアクセスとその共有の促進、相互に合意を得た条件に基づく技術移転およびその他の介入などを通じて、リソース、能力構築、技術援助により、障害インクルーシブな開発を促進し、障害のある人々のためにアクセシビリティを確保し、そのエンパワメントを促進することで国の取り組みを支持し、公共および民間のリソースの持続的な動員を促し、地域・小地域での協力を含む国際協力とグッドプラクティスに関する情報交換、ならびに南北協力の代替ではなく、これを補完するものとしての南南協力および三国間協力と、障害インクルーシブな開発に向けた連携を促進し、強化することの必要性を強調する。障害のある人々のリハビリテーション、ハビリテーション、機会均等化、健康増進と疾病予防のための公衆衛生キャンペーンを含む、開発における障害の主流化という差し迫ったニーズを満たすための十分なリソースの動員において、また、特に医療、母子保健、予防接種の利用、清浄な水の給水へのアクセスと公衆衛生および安全な交通機関の改善による、社会面、環境面および健康面の危険因子への対処において、ますます困難に直面している開発途上国に、特に注目しなければならない。

p)民間部門の各機関に対し、国家計画、政策および企業の社会的責任(CSR)のイニシアティブにおける優先事項を踏まえ、障害の視点を統合し、採用し、実施するために、公共部門および市民社会、特に障害者団体と連携を取るよう促す。

q)障害者の権利促進に関する国連パートナーシップ・マルチドナー信託基金の目的を、自発的な寄付などを通じて支持し、他の関係者にもこれを促す。

Ⅲ.障害と開発に関するハイレベル会合「さらなる前進へ:2015年およびそれ以降に向けた、障害インクルーシブな開発課題」成果文書のフォローアップ

5.我々は、国連システムならびに加盟国に対し、ミレニアム開発目標と、2015年およびそれ以降に向けた、その他の国際的に合意された障害のある人々に関する開発目標の実現に引き続き関与していくことを強く要請し、国際社会に対し、障害を分野横断的な問題として世界の開発課題に含めるために、あらゆる機会をとらえ、協力の強化を目的とし、2015年以降の新たな国連開発課題において障害を十分に考慮し、加盟国の要請に応じて、適切な技術援助を提供するよう促す。

6.我々は、経済社会理事会に対し、その権限の範囲内で、国連の事業活動の枠組み内等において、あらゆるレベルにおける認識の向上と、国連機関、多国間開発銀行ならびに開発機関およびその他の関係者の参加を必要に応じて含む協力の強化のために、連携を確保し、重複の可能性を回避しつつ、障害と開発の問題を十分に考慮することを要求する。

7.我々は、特にオンライン協議および地域協議など、本ハイレベル会合に向けたインクルーシブな準備プロセスに注目する。

8.我々は、事務総長に対し、すべての関連国連機関と協力し、本成果文書実施の進捗状況に関する情報を、現在事務総長にすでに義務付けられている、障害と開発にかかわる問題に関する定期報告書に含めること、また、必要に応じて、2015年以降の開発課題を踏まえ、本成果文書実施に向けた、さらなる具体的な措置に関する勧告を行うことを要求する。

9.我々は、障害のある人々を、2015年以降の新たな開発課題の策定、実施およびモニタリングにおける重要なアクターかつ利害関係者とし、必要に応じて、障害のある人々の代表団体などを通じて彼らと緊密に協議し、その積極的な参加を得ることの重要性を強調する。

10.我々は、総会に対し、ミレニアム開発目標達成に向けた進展の最終的なレビューに、本成果文書実施のために講じられた措置を含めることを要求する。さらに、第70回総会議長に対し、障害のある人々に関する開発目標の実現に向けた状況と進展について、フォローアップを行うことを要求する。


関連文書:
Outcome Document of the High Level Meeting on the Realization of the Millennium Development Goals and other internationally agreed development goals for persons with disabilities -The Way Forward, a disability inclusive development agenda towards 2015 and beyond

http://www.un.org/disabilities/documents/hlmdd/daisy/readme.html (国連へのリンク)
(Google Chromeで表示すると、ビデオ再生ができます)

Sign language with text / DAISY / Word / EPUB project データダウンロード (上記データ一式)

High-level meeting of the General Assembly on disability and development, 23 September 2013
http://www.un.org/en/ga/search/view_doc.asp?symbol=A/68/L.1

United Nations Enable
http://www.un.org/disabilities/