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伊勢市条例第 38 号

伊勢市手話言語条例

 言語は、人間が知識を蓄え思考し、お互いの意思疎通を図り、文化を創造する上で必要不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきました。
 手話は、手指や身体の動きや表情を使って視覚的に表現する言語です。ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え文化を創造するために必要な言語として、手話を大切に育んできました。
 しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用できる環境が整えられていなかったことなどから、ろう者は、必要な情報が得られない、周囲とコミュニケーションを取れないなど、多くの不便を感じながら生活し、全ての人々が共生社会を実感できる状況には至っていませんでした。
 障害者の権利に関する条約や障害者基本法において、手話が音声言語と同等の言語として位置付けられたことにより、手話を必要とする人に対し、社会生活のあらゆる場面で手話による意思疎通を保障する環境を整えることが求められています。
 手話は言語であるという認識に基づき、手話の理解に努め、手話を使って安心して暮らすことができ、全ての人々が、お互いを尊重し、分かり合い、心豊かに共生することができる伊勢市を目指し、この条例を制定します。

(目的)
第1条 この条例は、手話は言語であるという認識に基づき、手話の理解及び普及並びに地域における手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市の責務及び市民の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって全ての人々が社会的障壁によって分け隔てられることなく、共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)
第2条 手話の理解及び普及は、手話を必要とする人が手話により意思疎通を図る権利を有し、その権利を最大限尊重することを基本として、行わなければならない。

(市の責務)
第3条 市は、基本理念にのっとり、手話を必要とする人が、あらゆる場面で手話による意思疎通ができ、自立した日常生活や地域における社会参加を保障するため、必要な施策を講ずるものとする。

(市民の役割)
第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、地域社会の一員として、市の施策に協力するとともに、手話を使用しやすい環境の構築に努めるものとする。

(施策の推進)
第5条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
 (1) 手話の理解の促進及び手話の普及を図るための施策
 (2) 市民が、手話による意思疎通や情報を得る機会の拡大のための施策
 (3) 市民や来訪者が、意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境の構築のための施策
 (4) 手話通訳者の配置の拡充及び処遇改善等手話による意思疎通支援者のための施策 2 市は、前項に規定する施策の実施に当たっては、ろう者、手話通訳者その他関係者との協議の場を設ける等これらの者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(財政措置)
第6条 市は、前条第1項に規定する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるものとする。

(委任)
第7条 この条例の施行に関し、必要な事項は、市長が別に定める。

附則

(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。

(検討)
2 市は、この条例の施行後3年を目途として、施策の推進状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。