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韓国-障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律

崔 栄繁仮訳(2008年4月22日版)

第1章 総則

第1条(目的)

この法は、すべての生活領域で障害を理由とした差別を禁止し、障害を理由に差別を受けた人の権益を効果的に救済することにより、障害者の完全な社会参加と平等権の実現を通じて、人間としての尊厳と価値を具現することを目的とする。

第2条(障害と障害者)

  • 1) この法で禁止する差別行為の事由となる障害とは、身体的・精神的損傷又は機能喪失が長期間にわたって個人の日常又は社会生活に相当な制約を招く状態をいう。
  • 2) 障害者とは、第1項による障害がある人をいう。

第3条(用語の定義)

  • 1) この法で使用する用語の定義は次の通りである。
    1. “広告”とは、「表示・広告の公正化に関する法律」第2条第1号及び第2号の規定による表示及び広告をいう。
    2. “補助犬”とは、「障害者福祉法」第40条に伴う障害者補助犬をいう。
    3. “障害者補助器具等”とは、「障害者福祉法」第65条に伴う障害者補助器具、その他に障害者の活動を手助けするための自動車その他の器具をいう。その他に、障害者の活動を手助けするための自動車その他の器具の具体的な範囲は大統領令で定めるが、「障害者雇用促進及び職業リハビリテーション法」第19条の2による職業補助工学機器及び「情報格差解消に関する法律」第9条による情報通信機器その他関係法令で定める内容との関係及びこの法で定める関連条項との関係等を考慮して定める。。
    4. “公共機関”とは、国家及び地方自治団体その他大統領令で定める公共団体をいう。
    5. “公共機関”とは、国家及び地方自治団体その他大統領令で定める公共団体をいう。
    6. “教育機関”とは、「嬰幼児保育法」による保育施設、「幼児教育法」及び「初・中等教育法」・「高等教育法」による各級学校、「生涯教育法」による生涯教育施設、「単位認定等に関する法律」に定めた教育人的資源部の評価認定を受けた教育訓練機関、「職業教育訓練促進法」による職業教育訓練機関その他大統領令に定める機関をいう。
    7. “教育責任者”とは、第6号による教育機関の長又は運営責任者をいう。
    8. “情報”とは、次の各号の事項に区分する。
      • カ.“電子情報”とは、「情報化促進基本法」第2条第1号による情報をいう。この場合“自然人及び法人”には、この法の規定による公共機関も含まれるものとみなす。
      • ナ.“非電子情報”とは、「情報化促進基本法」第2条第1号による情報を除外した情報であり、音声、文字、手話、点字、身振り、記号等、言語及び非言語的方法を通じて処理されたすべての種類の資料と知識をいい、その生産・獲得・加工・保有主体が自然人・法人又は公共機関の是非を問わない。
      • タ.“個人情報”とは、「公共機関の個人情報保護に関する法律」第2条第2号による個人情報をいう。
    9. “情報通信”とは、「情報化促進基本法」第2条第3号による情報通信をいい、その主体が自然人・法人又は公共機関の是非を問わない。
    10. “文化・芸術活動”とは、「文化芸術振興法」第2条第1項第1号の文学、美術(応用美術を含む)、音楽、舞踊、演劇、映画、演芸、国楽、写真、建築、語文及び出版に関する活動をいう。
    11. “文化・芸術事業者”とは、文化・芸術の要素を盛っている分野で、企画・開発・製作・生産・展示・流通・販売を含む一切の行為をする者をいう。
    12. “体育”とは、「国民体育振興法」第2条の体育及び学校教育、遊び、ゲーム、スポーツ、レジャー、レクレーション等、体育とみなされるすべての身体活動をいう。
    13. “家庭及び家族”とは。「健康家庭基本法」第3条第1号及び第2号の家庭及び家族をいう。
    14. “福祉施設等”とは、障害者が長・短期間生活している施設であり、「社会福祉事業法」第34条による社会福祉施設、「障害者福祉法」第58条による障害者福祉施設及び申告をせず障害者1人以上を保護している施設をいう。
    15. “施設物”とは、「建築法」第2条第1項第2号及び第5号、第6号による建築物及び居室、主要構造部をいう。
    16. “移動及び交通手段等”とは、人が日常的に利用する道路及び歩道と「交通弱者の移動便宜増進法」第2条第2号及び第3号による交通手段及び旅客施設をいう。
    17. “健康権”とは、保健教育、障害による後遺障害と疾病予防及び治療、栄養改善及び健康生活の実践等に関する諸般の要件の助成を通じ健康な生活をする権利をいい、医療を受ける権利を含む。
    18. “医療従事者等”とは、「医療法」第2条第1項でいう者と、国家及び関連協会等で定めた資格・免許等を取得した放射線療法士、作業療法士、言語療法士、心理療法士、義肢・補助器技師等の障害者の健康に介入する人をいう。
    19. “医療機関等”とは、「医療法」第3条の医療機関及び医療従事者が障害者の健康のためにサービスと行う保健機関、治療機関、薬局その他に関係法令で定めている機関をいう。
    20. “いじめ等”とは、集団仲間はずれ、放置、遺棄、いじめ、嫌がらせ、虐待、金銭的搾取、性的自己決定権の侵害等の方法で、障害者に加えられる身体的・精神的・情緒的・言語的行為をいう。

第4条(差別行為)

  • 1) この法で禁止する差別とは、次の各号の一つに該当する場合をいう。
    1. 障害者を、障害を事由に正当な事由なしに制限・排除・分離・拒否等により不利に遇する場合
    2. 障害者に対し、形式的には制限・排除・分離・拒否等により不利に遇してはいないが、正当な事由なしに障害を考慮しない基準を適用することにより、障害者に不利な結果を招く場合
    3. 正当な事由なしに、障害者に対し、正当な便宜供与を拒否する場合。
    4. 正当な事由なしに、障害者に対する制限・排除・分離・拒否等、不利な待遇を表示・助長する広告を直接行い、或いは、そうした広告を許容・助長する場合。この場合広告は、通常、不利な待遇を助長する広告効果があるものと認められる行為を含む。
    5. 障害者を手助けするための目的で障害者を代理・同行する者(障害児童の保護者又は後見人それ以外に障害者を手助けする者であることが通常認められるものを含む。以下、この号及び関連条項で“障害者関連者”という)に対し、第1号ないし第4号の行為をする場合。この場合、障害者関連者の障害者に対する行為又はこの法で禁止する差別行為の有無の判断対象となる。
    6. 補助犬又は障害者補助器具等の正当な使用を妨害したり、補助犬及び障害者補助器具等を対象に第4項の規定により禁止された行為をする場合。
  • 2) 第1項第3号の“正当な便宜”とは、障害者が障害のない人と同等に、同じ活動に参画することができるようにするため、障害者の性別、障害の種別及び程度、特性等を考慮した便宜施設・設備・道具・サービス等、人的・物的諸般の手段と措置をいう。
  • 3) 第1項の規定にもかかわらず、次の各号の一つに該当する正当な事由がある場合には、これを差別と看做さない。
    1. 第1項の規定により禁止された差別行為を行わないことにおいて、過度な負担や著しく困難な事情等がある場合。
    2. 第1項の規定により禁止された差別行為が特定の職務や事業遂行の性質上、避けられない場合。この場合、特定職務や事業遂行の性質は、教育等のサービスにも適用されるものと看做す。
  • 4) 障害者の実質的な平等権を実現し、障害者に対する差別を是正するために、この法又は他の法令等で扱っている積極的措置は、この法による差別とは看做さない。

第5条(差別判断)

  • 1) 差別の原因が2種類以上であり、その主たる原因が障害であると認められる場合、この行為はこの法による差別と看做す。
  • 2) この法を適用することにおいて、差別の有無を判断するときには、障害者当事者の性別、障害の種別及び程度、特性等を充分に考慮しなければならない。

第6条(差別禁止)

何人も障害又は過去の障害経歴又は障害があると推測されることを理由に差別をしてはならない。

第7条(自己決定権及び選択権)

  • 1) 障害者は自分の生活全般に関して自分の意思により自ら選択し決定する権利を有する。
  • 2) 障害者は、障害者ではない人と同等の選択権を保障されるための必要なサービスと情報を提供される権利を有する。

第8条(国家及び地方自治体の義務)

  • 1) 国家及び地方自治体は、障害者及び障害者関連者に対するすべての差別を防止し、差別を受けた障害者等の権利を救済する責任があり、障害者差別を実質的に解消するためにこの法で規定する差別是正について積極的な措置を行わなければならない。
  • 2) 国家及び地方自治体は、障害者等に正当な便宜が供与されるように必要な技術的・行政的・財政的支援をしなければならない。

第9条(他の法律との関係)

障害を事由とした差別の禁止及び権利救済に関し、この法で規定したこと以外のことは、「国家人権委員会法」が定めるところによる。