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共生社会実現のための障害者の情報取得及びコミュニケーションに関する条例

 私たちが日常生活を営む上で、情報取得及びコミュニケーションは、欠かすことができないものであり、かつ、人と人とが出会い相互理解をする上で必要不可欠なものである。
 しかしながら、障害者に対して適切な配慮がなされていない面もあり、障害者は、生活に必要な情報の取得が困難で、不便を生じる場面や、相互理解を深めるためのコミュニケーションが困難で、不要な誤解を招く場合もある。これらの障壁を取り除くことは、極めて重要な課題となっている。
 平成18年の国連総会において採択された「障害者の権利に関する条約」では、合理的配慮の概念が盛り込まれるとともに、手話が独自の言語として位置付けられた。わが国では、この条約への署名を機に、障害者基本法の改正など障害者に対する様々な国内法の整備が推進され、平成26年にこの条約を批准した。また、地方においても、神奈川県を初めとする地方公共団体が手話言語条例を制定するなど、障害者を取り巻く環境は大きな転換期を迎えている。
 このような状況のもと、本市では、「手話が言語である」ことの意義や、多様な手段によるコミュニケーションの必要性等を認識し、障害の種別や有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すため、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、障害者の情報取得及びコミュニケーションを円滑に行うことについての基本理念を定め、市の責務、市民及び事業者の役割を明確にし、総合的かつ計画的に施策を推進することにより、障害者が個人の障害特性に合わせた 情報を取得し、及びコミュニケーション等手段を利用しやすい環境を構築し、もって 障害の種別又は障害の有無によって分け隔てられることなく相互に理解し合い、誰もが安心して暮らせる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)
第2条 障害者の情報取得及びコミュニケーションを円滑に行う権利は、障害者が生活をする上で必要不可欠であるという市民の理解のもとに、共生社会実現のため、最大限尊重されなければならない。
2 この条例の規定は、個人の障害特性やニーズに合わせたコミュニケーション等手段を活用して行われるとの認識のもとに行われなければならない。

(定義)
第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1) 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」という。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
 (2) コミュニケーション コミュニケーション等手段を用いた意思疎通をいう。
 (3) コミュニケーション等手段 音声、音訳、代用音声等の音声言語並びに文字(拡大文字を含む。)、手話、筆談、要約筆記、字幕、点字、触手話、指点字等の非音声言語並びに絵図、記号、サイン、ジェスチャー並びに重度障害者用意思伝達装置、パソコン等の情報機器等並びに情報の取得及びコミュニケーションを行う際に必要な手段(人的支援を含む。)として活用されている 全 て のものをいう。
 (4) 社会的障壁 障害者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
 (5) コミュニケーション等支援者 コミュニケーション等手段を用いて障害者を支援する者をいう。
 (6) 合理的な配慮 社会的障壁を取り除くために、状況に応じて行われる配慮で、可能な範囲で最大限提供されるべきものをいう。

(市の責務)
第4条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる施策を推進するものとする。
 (1) 障害者がコミュニケーション等手段を使いやすい環境にするための施策を推進するとともに、合理的な配慮を行うこと。
 (2) 障害者にとってのコミュニケーション等手段の意義及び必要性に対する市民の理解を深めるための取組

(市民の役割)
第5条 市民は、障害の有無にかかわらず、基本理念に対する理解を深め、コミュニケーション等手段の普及及び利用の促進に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、障害者がコミュニケーション等手段を利用できるようにするための合理的な配慮を行うよう努めるものとする。

(施策の推進方針)
第7条 市は、障害者が障害特性に合わせたコミュニケーション等手段の利用しやすい環境の構築及び利用促進のため、次に掲げる施策を推進するものとする。
 (1) 情報取得及びコミュニケーションの支援の充実
   コミュニケーション等支援者の養成
   コミュニケーション等支援者の派遣の拡充
   情報取得及びコミュニケーション の 支援のための機器の情報収集、利用普及
 (2) コミュニケーション等手段の普及の啓発
   市内の講演会等でのコミュニケーション等支援者の配置の啓発
   障害者の理解を深めるための、市民への啓発
 (3) 情報取得の機会の拡大及び方法の充実
   録音版、点字版等、多様な方法での情報発信
   不特定多数の人が集まる場所における音声、文字、手話、視覚情報等による情報提供の充実

(協議会)
第8条 前条に掲げる施策の推進について協議するため、本市に地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定による附属機関として、障害者の情報・コミュニケーションに関する協議会(以下「協議会」という。)を設置する。
2 協議会は、委員15人以内をもって組織する。
3 前2項に定めるもののほか、協議会の運営について必要な事項は、規則で定める。

(財政上の措置)
第9条 市は、コミュニケーション等手段の普及 及び利用の促進に係る施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

附則

(施行期日)
1 この条例は、平成28年1月1日から施行する。ただし、第8条及び次項の規定は、平成28年4月1日から施行する。

(関係条例の廃止)
2 障害のある方の情報・コミュニケーションに関する基本施策検討委員会条例(平成27年横須賀市条例第8号)は、廃止する。