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第二章 情報活用能力の育成

(情報活用能力の3つの観点)
○ 子どもたちの情報活用能力を育成するためには、①情報活用の実践力(課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含めて、必要な情報を主体的に収集・判断・処理・編集・創造・表現し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力)、②情報の科学的な理解(情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解)、③情報社会に参画する態度(社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度)の3つの観点が重要である。これらは、相互に関連づけて、バランスよく身に付けさせる必要がある。

○ 子どもたちの情報活用能力の育成に関しては、中学校の技術・家庭科の技術分野や高等学校の共通教科「情報」において必修として位置付けられているが、このような能力は、子どもたちが各教科等で情報通信技術を活用することによっても涵養される。 新学習指導要領においても各教科等を通じた情報教育の一層の充実が図られており、まずは新学習指導要領の円滑かつ確実な実施が重要であるが、その際、例えば、文部科学省が作成した「教育の情報化に関する手引(29)」において示された、各学校段階において期待される情報活用能力やこれを身に付けさせるための学習活動の例等について学校現場へ一層の周知を図るとともに、学校現場で展開された好事例等の収集・提供に努めることが重要である。

○ また、近年インターネットの利用が子どもたちの間に急速に普及する中で、インターネット上での誹謗中傷やいじめ、インターネット上の犯罪や違法・有害情報などの問題が発生している。このため、新学習指導要領を踏まえ、子どもたちへの情報モラル教育の充実を図ること等が重要である。

(各学校段階にわたる体系的な情報教育等)
○ 21世紀を生きる子どもたちに小・中・高等学校等の各学校段階にわたる体系的な情報教育を一層効果的に行う観点からは、各学校段階における指導の現状と課題や、国際的動向も踏まえつつ、例えば研究開発学校制度を活用するなどにより、情報活用能力の育成のための教育課程について実証的に研究していくことも求められる。これに資するため、文部科学省、大学、教育委員会、学校関係者等において、幅広く情報・意見交換を行う場を設けることも考えられる(30)

○併せて、将来の高度情報通信技術人材を育成する観点から、地域において、小・中・高等学校等の子どもたちに対して、例えばデジタルコンテンツの制作やプログラミング等に関するワークショップ等を展開することが重要である(31)


29 新学習指導要領のもとで教育の情報化が円滑かつ確実に実施されるよう、教員の指導をはじめ、学校・教育委員会の具体的な取組の参考に資するため、平成21年3月に文部科学省が作成。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1259413.htm

30 なお、懇談会では、例えば、小・中学校において情報活用能力の向上を図ったり、情報通信技術を活用してグループで学び合う教科等について検討することも考えられるのではないかとの意見もあったところであり、初等中等教育段階における教育課程の在り方の検討については、今後必要とされる情報活用能力、新しい学習指導要領の実施状況、子どもたちの情報活用能力の現状と課題、研究開発学校における実証的研究成果等も踏まえ、検討していくことが重要である。

31 「新たな情報通信技術戦略」(脚注11参照)では、高度情報通信技術人材等の育成について、初等中等教育段階の子どもたちへの取組を含めて行うこととされている。