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2.情報端末・デジタル機器・ネットワーク環境等

(情報端末)
○ 子どもたち一人一人の能力や特性に応じた学び、子どもたち同士が教え合い学び合う協働的な学びを実現するためには、随時、子どもたちが自分の調べた内容を他者のものと比較吟味しながら課題を解決したり、考えを他者にわかりやすく説明する中で自らの理解を深めていくことや、教員が子どもたちの日々の学習履歴を把握できること等が有用である。また、日々の学校生活のあらゆる場面(40)において、子どもたちが協力し合いながら活動するために情報通信技術を活用することも有用である。このためには、子どもたちに1人1台の情報端末環境を整備することが重要な鍵となる。

○ 近年、デスクトップ型やノート型のパソコンと並んで、携帯性に優れた高機能な情報端末が開発されてきている。このような情報端末を活用することにより、教室の内外を問わず授業での活用が可能となるだけでなく、家庭や地域においても学校と同様の教材で学ぶことができるようになる。

○ 既存の情報端末については、例えば、携帯性に優れているが機能が限られているもの、高機能であるが携帯困難であるものなど、一長一短が見受けられる。これは、学校教育における活用を念頭に置いた情報端末の開発が十分検討されてこなかったことにもよると考えられる。

○ このため、前節で述べた実証研究等において、デジタル教科書・教材の機能との役割分担に関する検討も踏まえつつ、学校種、発達の段階、教育効果、指導方法、子どもたちの健康等を考慮しつつ、情報端末がどのような目的・場面で活用されることが適切かつ有効なのか、授業における指導に必要な機能は何なのか等について、十分な検討を行うことが重要となる。

(デジタル機器)
○ 教員が効果的な授業の実現を図るとともに、子どもたちに必要な情報を表現したり発信等する情報活用能力を身に付けさせるためには、例えば、電子黒板、プロジェクタ、実物投影機、地上デジタルテレビ等の提示用のデジタル機器が早急にすべての教室で活用できるようになることが重要である。特に、電子黒板は、任意箇所の拡大、動画、音声朗読に加え、画面におけるインターネット接続を可能としたり、子どもたち一人一人の情報端末と接続し、学習内容や思考過程をリアルタイムに映し出し、教員と子どもたち相互の情報伝達、子どもたち同士の協働を可能とする双方向性を備えたりすることにより、一層効果的な授業の実現に資することが期待される。

(ネットワーク環境)
○ また、校内LAN整備率は普通教室数ベースで約81%、光ファイバ接続を行っている学校は約67%、30Mbps以上のインターネット接続を行っている学校は約66%であり、学校はブロードバンドのインターネットを十分に活用できる環境にあるとはいえない。地域間の格差も顕著であり、その解消を図る必要がある(41)。今後は、すべての学校で1人1台の情報端末による学習を可能とするため、超高速の校内無線LAN環境について、高いセキュリティを確保した形で構築する必要がある(42)。将来的には、費用対効果、セキュリティを十分考慮しつつ、クラウド・コンピューティング技術(43)を活用することも考えられる。

(情報化に対応した学校施設)
○ なお、情報端末・デジタル機器等の利用のしやすさや、教室の広さ・形状など、施設面も含め、環境を総合的に整備することが重要である。このため、教育の情報化に対応した学校施設の在り方について検討を行うことが必要である。


40 例えば、情報端末を活用して、ウェブサイトで学校のニュース発信を行ったり、子どもたちが疑問に思っていることについて子どもたち同士が答えを見いだしたり、学校版「熟議カケアイ」として子どもたち同士が意見交換を行うことなどが考えられる。

41 平成21年度「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」による。校内LAN整備率については平成22年3月末時点、光ファイバ接続を行っている学校及び30Mbps以上のインターネット接続を行っている学校については平成22年3月1日時点のデータである。

42 学校の規模等、実情によっても異なるが、1人1台の情報端末による学習を可能とするためには、ギガビット級の回線容量が必要となる場合もあると考えられ、詳細については更なる検討が必要である。

43 データサービスやインターネット技術などがネットワーク上にあるサーバー群(クラウド(雲))にあり、ユーザーは今までのように自分のコンピュータでデータを加工・保存することなく、「どこからでも、必要な時に、必要な機能だけ」を利用することができる新しいコンピュータネットワークの利用形態。