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2.教員のサポート体制の在り方

(教育委員会や学校における体制整備)
○ 教育の情報化に必要なマネジメントや評価の体制を構築しながら、統括的な責任をもって推進するためには、教育の情報化の統括責任者である教育CIO(58)を教育委員会等に配置することが重要である。また、教育CIOの機能が、教育、技術、行政のいずれの分野においても十分発揮できるよう、教育CIOの補佐役も重要である。さらに、各地方公共団体においては、教育情報化推進本部などの組織を設置することによって、首長部局・教育委員会が横断的な取組体制を作り、全体として実効ある教育CIO機能を実現することが求められる。

○ また、学校の管理職が学校CIOとして、教育CIOと連携しつつ、情報通信技術の活用の意義を十分理解した上で、教育の情報化を学校経営計画や学校評価に位置付け、校内の情報化推進体制の構築を図っていくことが重要である。その際、子どもたちの情報の収集、取捨選択等、多様なメディアを活用した学習・情報センターとしての学校図書館の機能を、司書教諭を中心に一層強化していくことも求められる。
教育CIO及び学校CIOは、教育の情報化を進めるために強力なリーダーシップを発揮する必要があり、このため、国においては、それぞれが適切に役割を果たすことができるよう、教育委員会や学校における好事例の収集・提供や管理職への研修等の支援を行っていくことも重要である。

(外部の専門的スタッフの活用)
○ 情報通信技術の活用を普及・定着させるために、外部人材であるICT支援員を配置したり、地域の実情に応じて広域的なヘルプデスクを設置したりすることによって、情報端末・デジタル機器のトラブル、情報通信ネットワークの障害対応などの技術支援はもとより、情報通信技術を活用した授業の相談や支援(入手可能な教材のアドバイス等を含む)を行い、情報通信技術を活用した授業等をすべての教員が自立して行えるよう支援を行うことが重要である。ICT支援員としては、例えば、教育的ノウハウを有する退職教員、教員免許保持者、技術的ノウハウを有する民間企業の退職者等が考えられる。

○ 近年、ICT支援員を養成し、その能力の証明に取り組む大学も現れている(59)。ICT支援員についても、教育的・技術的ノウハウとコミュニケーション能力、問題解決能力等が期待されることから、その質の確保のために大学のこうした取組を促進する必要がある。

○ また、学校とICT支援員のマッチングの円滑化、ICT支援員同士の情報共有・交換のために、情報通信技術を活用した支援を行うことが考えられる。養成されたICT支援員の能力を最大限生かすためには、安定的な雇用を保証することが重要である。このためには、国において、教育委員会等がICT支援員を雇用するための支援を行うことが重要である。

○ なお、小規模な教育委員会においては、教育の情報化に関する体制の整備が困難であるとの指摘もある。都道府県教育委員会、複数の小規模教育委員会、大学等からなるコンソーシアム等を形成して、ノウハウの共有を図る取組を行うことが期待される。


58 教育CIO(Chief Information Officer)は、教育の情報化を地域レベルで統括し、ビジョンの構築やそれに基づく施策の実施を通じて、教育委員会・学校など域内組織全体で最適化を実現することが期待されている。学校CIOは、地域レベルでのビジョン等に基づき、教育の情報化の取組を学校単位で、学校内外との連絡調整を図りながら、確実にマネジメントし実行することが期待されている。

59 例えば、九州工業大学では、平成19年度から平成21年度にかけて文部科学省委託事業「社会人のための学び直しニーズ対応教育推進プログラム」の一環として、計算機リテラシー、情報ネットワーク、情報倫理、教師論・情報教育支援実習、プログラミング、マルチメディア技術、教科教育法(情報)などについて計200時間を履修した社会人に「情報教育支援士」の称号を与え、ICT支援員の養成や生涯学習の現場における情報教育に貢献する取組を行っている。