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教育支援体制の整備のためのガイドライン(試案)

本人用

「LD,ADHD,高機能自閉症(こうきのうじへいしょう)の3人の青年から意見をいただきました。これらの意見は,本人の経験(けいけん)や気持ちをよくあらわしており,本人,保護者(ほごしゃ)をはじめ,教員や関係者(かんけいしゃ)にも参考(さんこう)になるものです。□の枠(わく)でくくられたものは,「本人からのメッセージ」として一部アレンジして掲載するものです。」

1.自分のことを知るために

自分が得意(とくい)なこと,不得意(ふとくい)なことを理解(りかい)しておこう

計算はできるけれど応用問題(おうようもんだい)はできない,体育は得意(とくい)だけれど工作の細かいことは苦手,ついつい忘れ物をしてしまう,みんなと合わせて行動するのは苦手など,みんなそれぞれに,得意(とくい)なことや苦手なことがあります。苦手なことは,努力したり工夫したりすることにより,じょうずになることができます。しかしその前に,自分が得意(とくい)なこと,苦手なこと,直した方がよいことなどについて,自分で理解(りかい)しておくことが大切です。
自分では気がつかないこともありますから,お母さん,お父さんやクラスの先生や専門家(せんもんか)の先生などから教えてもらうとよいでしょう。分かるまで教えてもらい,どうやったらできるようになるかについても,アドバイスを受けるようにしましょう。

「私は他の子があまり知らないようなことをいろいろ知っていた。たとえば,他の学校の住所,生徒(せいと)数,先生の人数を知っていたし,世界の都市の人口とか車についてはくわしかった。」

一人一人が違(ちが)っているのは当たりまえで,それはすばらしいことです

人間は一人一人がそれぞれ違(ちが)っていて,顔,背(せ)の高さ,好(す)きな食べ物などがまったく同じ人というのはいないし,みんな違(ちが)うからよいのです。苦手なことや「やりにくさ」がある人は「自分は何か人と違(ちが)う」と感じて悩(なや)むことがありますが,苦手なことや「やりにくさ」はその人のすべてではなく,ほんの一部にすぎません。だれでも得意(とくい)な面,不得意(ふとくい)な面がありますが,得意(とくい)な面やよい面を大いに伸(の)ばし,不得意(ふとくい)な面にも努力(どりょく)して取り組んでいくことが大切なのです。

不得意(ふとくい)な(弱い)ところだけに目を向けるのではなく,自分の得意(とくい)な(強い)ところに目を向けよう

「サッカーはクラスで一番だね」「虫のことは何でも知っている」「いつもちゃんとあいさつができて,えらいね」など,得意(とくい)なことやよい面について,お母さん,お父さんや先生にほめられたり,友だちから認(みと)められたりすると,うれしいものです。
不得意(ふとくい)なことがあると,どうしてもそれが気になってしまいますが,得意(とくい)なことやよい面をさらに伸(の)ばしたり,アピールしたりしていくことも大切です。

「塾(じゅく)の先生のアルバイトでは,つい提出(ていしゅつ)する書類(しょるい)を忘(わす)れてしまったり,遅刻(ちこく)してしまったりといったことが起こってしまう。その代わり,ADHDやLD傾向(けいこう)のお子さんを教えると,他の先生よりうまく教えることができる。また,自分の意見をうまくまとめて話すことは昔から得意(とくい)だったので,特(とく)に小論文(しょうろんぶん)の授業(じゅぎょう)ではわかりやすいという評価(ひょうか)を得(え)ている。
このように,自分の欠点(けってん)を改善(かいぜん)することだけにやっきになるよりは,それらの欠点(けってん)を補(おぎ)なって余(あま)りある長所を自分の中に発見してそれを積極的(せっきょくてき)にアピールしていく方が,仕事をうまくやっていくことができると私(わたし)は考えている。」

診断名(しんだんめい)は同じでも,どんな「やりにくさ」があるかは人によって違(ちが)います

LDは,「話を聞く」「言葉を話す」「文字を読む」「字を書く」「計算する」などのどこかに「やりにくさ」があることをまとめて表す診断名(しんだんめい)です。ですから,診断名(しんだんめい)は同じでも,どの部分に「やりにくさ」があるかは,人によって違(ちが)います。

例(たと)えば,A君とBさんは二人ともLDと診断(しんだん)されています。A君は,計算と体育が苦手だけれど,本を読むことや作文は得意(とくい)。Bさんは,本を読むのは苦手だけれど,計算は得意(とくい)。というように同じ診断名(しんだんめい)でも「やりにくさ」のある部分が違(ちが)うのです。
LD,ADHD,高機能自閉症(こうきのうじへいしょう)という診断名(しんだんめい)だけではなく,自分がどの部分に「やりにくさ」があって,どこが不得意(とくい)な部分なのか,そしてどのように改善(かいぜん)していけばよいのかを知っておくことが大切です。

「私は歴史(れきし),地理,漢字は得意だった。算数の計算はできるけれど応用問題(おうようもんだい)はできなかった。文章を理解(りかい)するのが苦手で,『どういうことを言っているのか述(の)べよ』というような問題は,苦手だった。物の名前だったら説明(せつめい)できるけど,言葉は毎日使っていても説明(せつめい)することができない。たとえば『社会ってどういう意味?』と聞かれても答えられない。」

自分のことを知る方法(ほうほう)

だれでも,自分のことは自分ではわからないものです。自分について知りたいと思ったら,まずお母さんやお父さんに聞いてみましょう。自分が得意(とくい)なこと,不得意(ふとくい)なことなどを聞いて,得意(とくい)な点やよい点を伸(の)ばし,不得意(ふとくい)な点は少しでもへらすように取り組んでみましょう。
自分のことをくわしく知りたい場合は,専門家(せんもんか)の先生の診断(しんだん)を受けるという方法(ほうほう)もあります。診断(しんだん)というのは,専門家(せんもんか)の先生にくわしく調べて判断(はんだん)してもらうことで,何種類(なんしゅるい)かの検査(けんさ)やテストを受ける必要(ひつよう)があります。

2.学習面や行動面・生活面で気をつけること

(1)学習面で気をつけること

苦手,きらいと思っていることも,あきらめないで取り組んでみよう

忘れ物をしたり,宿題を忘れたりしてしまう,先生の話に集中できないことがある,服の着替(きが)えがおそいなど,苦手なことがあっても,それはずっと続(つづ)くものとは限(かぎ)りません。苦手なことを「どうせできない。」とあきらめてしまうと,できるようにはなりません。努力(どりょく)したり工夫(くふう)したりして取り組めば,少しずつできるようになります。苦手で,きらいと思っていることでも,少しできるようになってくると「やればできる」ということが分かって,おもしろくなってくるものです。できそうなことを見つけ,まずやってみましょう。そして苦手なことが一つできるようになったら,他のことにも取り組んでみましょう。

自分に合う勉強の方法(ほうほう)を教えてもらい,見つけよう

苦手なことでも,やり方を変(か)えてみたり,工夫(くふう)して取り組んだりするとできるようになることがあります。たとえば,計算が苦手な場合に,何度も繰(く)り返し練習する,計算の手順(てじゅん)を小さく分けて,どこで間違(まちが)いやすいのかを見つけて練習する,計算のやりかたを変(か)えてみる(かけ算を足し算で考えるなど),暗算で間違(まちが)うことが多ければ筆算を使う,などいろいろな方法(ほうほう)があります。学校の先生や専門家(せんもんか)の先生に相談して,自分に合う学び方を教えてもらい,見つけるようにしましょう。

いろいろな道具をうまく使おう

LDのある人は,工夫(くふう)したり努力(どりょく)したりしても「やりにくさ」をうまくカバーできないことがあります。そういう場合は,視力(しりょく)がよくない人がメガネをかけるように,色々な助けや道具を利用(りよう)する方法(ほうほう)がありますので,先生などに相談してみましょう。
教科書などの字を読むことが苦手な人は,字の下に線を引いたり,拡大(かくだい)した教科書を使ったりすることにより,読みやすくなります。字を書くことに困難(こんなん)がある人は,パソコンを使って文を書くことも一つの方法(ほうほう)です。その他にも,計算機(けいさんき)やテープレコーダーなど,いろいろな道具を使って,苦手な部分をカバーする方法(ほうほう)を見つけましょう。

「私は字を書くことがとても苦手なため,小・中学校では文章を書くことがずっと苦痛だったが,高校のときにパソコンを使うようになってから文章を書くことが全く苦にならなくなった。パソコンという道具の存在(そんざい)によって,文章を書くという苦手なことが一気に得意(とくい)なことに変(か)わった。」

(2)行動面・生活面で気をつけること

好(す)きなこと,熱中(ねっちゅう)できること,得意(とくい)なことを見つけよう

だれでも苦手なことやきらいなことに取り組む時は,おもしろさを感じることができないし,集中することがむずかしいものです。ところが,得意(とくい)なことや好(す)きなことなら集中できるのです。このように熱中(ねっちゅう)できることがあると,上達(じょうたつ)も早く得意(とくい)なことが増(ふ)えてきますし,いやなことがあっても気分を変(か)えることができます。
自分で,好(す)きなこと,熱中(ねっちゅう)できること,得意(とくい)なことを見つけるようにしましょう。

絵を描(えが)くとか,世界の天気予報(てんきよほう)を調べるなど,得意(とくい)なことや好(す)きなことなら集中きる。苦手なことになると,みんなについていけないし,一緒(いっしょ)にやることがむずかしかった。」

心を落ちつける方法(ほうほう),コツを身に付(つ)けよう

いやなことがあったり,がまんしたり,無理(むり)をしたりすると,少しずつエネルギーがたまってきて,イライラして爆発(ばくはつ)してしまうことがあります。

運動をしたり,好(す)きなことに熱中(ねっちゅう)したり,小さな爆発(ばくはつ)をたまに起こして,エネルギーを少しずつ使うことにより,イライラや大きな爆発(ばくはつ)が起きるのを防(ふせ)ぐことができたという人もいます。もし,イライラして爆発(ばくはつ)しそうだと感じた時は,静(しず)かな場所に行って一人でしばらくいることで,気持ちを落ち着かせることができます。自分なりに,イライラや爆発(ばくはつ)を防(ふせ)いだり,抑(おさ)えたりするコツを身に付(つ)けるようにしましょう。

「私は,人と合わせることができなかった。ずっとトイレに入っている時もあった。安心するためだったと思う。そっとしておいてほしい時もあった。」

宿題,持ち物,約束(やくそく)を忘れないように,メモやノートを使ってみよう

ついつい宿題や持ち物を忘れてしまうことが多い人は,思い出せるように工夫(くふう)をすることが大切です。忘れてはいけないことはメモやノートに書いて毎朝見るようにする,約束(やくそく)したら部屋のカレンダーに書き込むようにするなど,工夫(くふう)してみましょう。

自分の身の回りのことは,自分でできるようにしよう

食事,片付(かたづ)け,服の着替(きが)え,トイレ,フロなど,自分の身の回りのことで,できることが増(ふ)えると,自信(じしん)がつきますし,好(す)きなところにも自由に行くことができるようになります。身の回りのことは自分でできるようにしていくためには,学校だけでなく家での取組も大切です。目標(もくひょう)を決めて,少しずつ取り組んでいきましょう。

うまく話ができるようになろう

相手に自分が言いたいことを伝えたり,相手が言っていることをちゃんとわかったりすることは,とても大切なことです。いきなり話しださないで,「ちょっといいですか」「質問(しつもん)があるのですが」と言ってから,話し始めましょう。また,人の話を聞く時は,話を最後(さいご)まで聞くようにし,分からないことがあったら,質問(しつもん)しましょう。

3.サポートを受ける(その1)(お母さんやお父さん,友だちから)

みなさんのまわりには,お母さんやお父さん,友だち,学校の担任(たんにん)の先生,特別支援教育(とくべつしえんきょういく)コーディネーターの先生,通級指導教室(つうきゅうしどうきょうしつ)や特殊学級(とくしゅがっきゅう)の先生,学校外のいろいろな専門家(せんもんか)の先生などがいます。こうしたまわりの人たちに,自分だけではうまくいかない「やりにくさ」や悩(なや)みについて,サポート(支援(しえん))を受けることが大切です。

(1)お母さんやお父さんから

お母さんやお父さんは,あなたが生まれてからずっと,あなたのことを育て,見守ってきているので,あなたのことを一番よく分かっています。また,お母さんやお父さんは,あなたが「やりにくさ」を乗り越(こ)えて,成長(せいちょう)していくことを心から願(ねが)っています。

よく話し合ってみよう

学校であったこと,うれしかったこと,悲しかったことなど,自分の気持ちや考えをすなおに話しましょう。また,困(こま)っていること,分からないことなども相談してみましょう。

一緒(いっしょ)に取り組んでみよう

お母さんやお父さんに協力(きょうりょく)してもらって,不得意(ふとくい)なことや苦手なことを乗り越(こ)えてい きましょう。家の中で身につけることもたくさんありますので,お母さんやお父さんに教えてもらったり,相手になってもらったりしながら,前向きに取り組んでいきましょう。

「親が他の友だちとの比較(ひかく)を口にすることがよくあり,とても苦痛(くつう)だった。子どもの長所を見て伸(の)ばすように取り組んでほしいと思う。」

(2)友だちから

自分のことを理解(りかい)してくれる友だちを作るようにしよう

いいことがあった時にいっしょに喜(よろこ)べる,困(こま)っている時にお互(たが)いに助け合う,元気のない時に励(はげ)まし合うなど,なかのよい友だちがいると,楽しいし,元気が出てきます。
また,友だちに助けてもらったり,友だちを助けたり,時には注意をしてくれたり,いっしょに喜んだりすることを通じて,いろいろなことを学びあうことができるのです。

「運動会はきらいだったし,みんなに合わせようとしたけれど,むずかしかった。みんなが僕(ぼく)に合わせようと工夫(くふう)するなど,まわりの人がよくしてくれたので,がんばろうと思った。」

自分の障害(しょうがい)や困難(こんなん)のことを,他の人にうまく伝えられるようになろう

友だちとして,なかよくつきあっていくためには,友だちに自分のことを分かってもらうことが大切です。自分の障害(しょうがい)や困難(こんなん)については,いきなり伝えるのではなく,ある程度(ていど),自分のことを分かってもらえるようになってからにし,実際(じっさい)にどんなことで困(こま)っているのかを具体的(ぐたいてき)に話すようにしましょう。友だちにいつどのように伝(つた)えるかはむずかしいし,勇気(ゆうき)がいることです。

「クラスの人が小さい声で,僕(ぼく)の障害(しょうがい)のことを話していた。何で分かったのだろうと思った。なぜ悪いことのようにコソコソ言うのだろうと思って,いやな感じがした。」

「ノートをとることなど自分が苦手なことについて助けてもらえる友だちがいるとよい。」

あいさつをしよう

友だちに助けてもらったら,「どうもありがとう」と,きちんとお礼を言いましょう。友だちの方もお礼を言われると,とても気分がいいし,「助けてあげてよかった」と思ってくれます。また,友だちの物をこわしてしまったり,約束(やくそく)を守れなかったりした時は,「ごめんなさい」と,気持ちをこめてあやまりましょう。
また朝,友だちや先生と会ったら「おはよう」「おはようございます」と自分からあいさつしましょう。「こんにちは」「さようなら」など,気持ちよくあいさつができると,自分も気分いいものですし,友だちとなかよくすることができます。

同じようなタイプの友だちをつくろう

同じようなタイプの友だちがいると,とても楽な気持ちでつきあうことができます。友だちから「主人公になったつもりで読むと物語がよく分かるよ」「イライラした時は,しばらく一人になって深呼吸(しんこきゅう)をすると,気持ちが落ち着くよ」「メモがなくなって,また忘れ物をしてしまった」など,うまくいったことや失敗(しっぱい)したことなどの話しを聞くこともできて,とても役に立ちます。様々(さまざま)な支援(しえん)をしてくれる機関(きかん)や親の会などに行くと,同じようなタイプの友だちと知り合うことができる場合もあります。

「同じ傾向(けいこう)のある子どもが集まる会に参加(さんか)すると,とても貴重(きちょう)な経験(けいけん)になると思う。自分よりもさらに大変(たいへん)な状況(じょうきょう)におかれている人の話を聞いたり,反対にうまくやっている人たちの生活上や学習上の工夫(くふう)などを知ったりすることは,自分の障害(しょうがい)に対する理解(りかい)を深めたり,自分自身を見つめ直したりすることに,大きな助けになった。」

4.サポートを受ける(その2)(学校の先生,学校以外の専門家(せんもんか)から)

(1)担任(たんにん)の先生から

あなたのことをよく理解(りかい)してもらおう

担任(たんにん)の先生には,あなたが得意(とくい)なこと,不得意(ふとくい)なことをよく理解(りかい)してもらいましょう。お母さんやお父さん,前の担任(たんにん)の先生から説明(せつめい)してもらうと,うまくいくこともあります。

「小学校の1・2年の時の担任(たんにん)の先生は,ぼくのことを分かってくれたのでよかった。けれど,3~6年の時はあまり分かってもらえなかったし,人といっしょのようにできないので,自信(じしん)を失(うしな)ってしまった。どの先生も,『ぼくにはちょっと違(ちが)う所があるのだ』ということを分かってくれたらよかったのに,と思う。」

得意(とくい)な部分やがんばりにも目を向けてもらおう

不得意(ふとくい)な部分が多いと,先生もそこに目が行ってしまいがちです。得意(とくい)な部分やがんばりにも目を向けてもらいましょう。たとえば,国の名前をたくさん覚(おぼ)えた,リコーダーを吹(ふ)けるようになった,自転車に乗れるようになった,というようなことを先生にも話しましょう。

「中学校の時,最初(さいしょ)の頃(ころ)は授業(じゅぎょう)を聞いていなくて,ノートには関係(かんけい)ないことを書いていた。ある時,先生が『ちゃんと黒板に書いてあることを書きなさい』と言ってくれたことをきっかけに,黒板を写すようになり,授業(じゅぎょう)を聞くようになってきた。そうしたら,ちょっとずつ授業(じゅぎょう)が理解(りかい)できるようになった。」

まず,担任(たんにん)の先生に相談してみよう

勉強でわからないこと,友だちのこと,休み時間のこと,分からないこと,悩(なや)んでいること,困(こま)っていることがあったら,まず担任(たんにん)の先生に相談してみましょう。いろいろと相談すると,アドバイスしてくれたり,困(こま)っていることを解決(かいけつ)する方法(ほうほう)をいっしょに考えてくれたりすると思います。

「僕(ぼく)がここまでこられたのも,いろんな人が特別(とくべつ)に助けてくれたからだと思う。学校ではつらかった時もあったけど,みんなからきらわれなかったからよかったと思う。」

(2) 学校の特別支援教育(とくべつしえんきょういく)コーディネーター,通級指導教室(つうきゅうしどうきょうしつ)や特殊学級(とくしゅがっきゅう)の先生から

「特別支援教育(とくべつしえんきょういく)コーディネーター」というのは,勉強などに困(こま)っている人の相談に乗ったり,アドバイスをしたり,学校以外の専門家(せんもんか)を紹介(しょうかい)してくれたり,連絡(れんらく)をとってくれたりする先生です。これからはどの学校にも「特別支援教育(とくべつしえんきょういく)コーディネーター」の先生がいるようにしていくことになっています。

「通級指導教室(つうきゅうしどうきょうしつ)」,「特殊学級(とくしゅがっきゅう)」というのは,いろいろな障害(しょうがい)や困難(こんなん)のある人が勉強している教室や学級のことです。

困(こま)っていることを相談してみよう

特別支援教育(とくべつしえんきょういく)コーディネーターや通級指導教室(つうきゅうしどうきょうしつ)や特殊学級(とくしゅがっきゅう)の先生に,困(こま)っていることや分からないことを相談してみましょう。

「通級指導教室(つうきゅうしどうきょうしつ)では,苦手な勉強を個別(こべつ)に教わり,いろいろ分かるようになったやればできるってことが分かった。体育も教えてくれて,ボールをけるのがうまくなった。前転もそれまでは骨(ほね)が折(お)れると思ってやらなかったけど,結局(けっきょく)やったらできたし,骨(ほね)も折(お)れてなかったので安心した。」

「言われて気がつくことが多くあった。たとえば,食べ方がきたないことを注意されて,きれいに食べるようになった。」

(3)学校以外の専門家(せんもんか)から

学校の外にも,教育センター,病院,大学など,あなたをサポートしてくれる所があって,いろいろな専門家(せんもんか)の先生が診断(しんだん),相談,指導(しどう)などをしてくれます。

自分の障害(しょうがい)や困難(こんなん)をよく分かってくれて,頼(たよ)りになる先生を見つけよう

専門家(せんもんか)の先生はそれぞれ得意(とくい)なことが違(ちが)っているし,いろいろなタイプの先生がいます。自分の障害(しょうがい)や困難(こんなん)をよく分かってくれて,相談にのってくれたり,指導(しどう)してくれたりする先生がいると,とても心強いものです。

「専門家(せんもんか)の先生は,ぼくが歴史(れきし)を好(す)きなことを知っていたので,ぼくの成長(せいちょう)について,第二次世界大戦後(だいにじせかいたいせんご)の日本の高度成長(こうどせいちょう)にたとえて,ぼくに分かるように話してくれて,『このままにしていてはいけない,がんばれ』と,言ってくれた。日本も戦後(せんご),がんばって復興(ふっこう)したから今の姿がある,その話を聞いて自分もがんばれると思った。」