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熊本市障害者プラン

第1章 障害者を取り巻く環境の変化

1.障害者の人権

障害者の人権に関しては、昭和50年12月に行われた国連での「障害者の権利宣言」において、人間としての尊厳、市民権及び政治的参加権、医学的・教育的・職業的・社会的リハビリテーションを受ける権利、経済的保障と就労の権利、社会的活動・創造的活動・レクリエーション活動への参加権、差別・搾取などの不当な取り扱いからの保護、人格や財産の保護などが、具体的な権利として宣言されています。
また、平成11年8月には、国の障害者施策推進本部において「障害者に係る欠格条項の見直しについて」の対処方針が決定され、障害を理由とした欠格、制限等についての見直しが進められています。

2.社会福祉基礎構造改革

平成12年5月に、社会福祉基礎構造改革の一環として「社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律」が成立し、平成15年度からは、身体障害者福祉と知的障害者福祉及び障害児福祉の一部のサービスが、行政機関による「措置制度」から利用者が福祉サービスを選択して契約する「支援費制度」へと移行します。
この制度は、障害者の自己決定・自己選択を尊重した「個人の自立を支援する利用者本位の仕組み」となっており、今後の障害者福祉サービスの基本となるものです。
また、精神保健福祉の分野においても、11年6月に精神保健福祉法の改正が行われ、平成14年度から、精神保健福祉サービスの利用に関する相談・調整や、精神障害者居宅生活支援事業等の在宅の精神障害者の福祉事業を、市町村が中心となって推進することとなりました。
こうした制度の改正は、これからの福祉施策が「保護」から「自立支援・地域生活支援」へと視点を移し、これに伴い、入所型の施設中心の福祉から在宅福祉・地域福祉への移行がさらに促進されることを示しています。

3.利用者本位の施策に求められる課題

社会福祉基礎構造改革における「利用者本位」の考え方は、支援費制度に移行するサービスのみならず、すべての障害者福祉サービスにわたる共通のもので、こうした新しい時代の福祉サービスの考え方に沿って、利用者は自らの意思で事業者を選択し、決定しなければなりません。

(1) 自己選択・自己決定に必要な相談支援

福祉サービスの選択や決定に際しては、必要な情報が適切な方法により入手できて、必要に応じて適切な相談や支援が受けられることが必要となります。さらに、増加する様々な相談に柔軟な対応を図るうえで、利用者のニーズと複数のサービスを適切に結びつけて調整し、総合的・継続的な相談支援を行う、ケアマネジメント体制を充実する必要があります。

(2) サービスの質と量の確保

障害者のニーズに合った福祉サービスが、必要な時に必要なところで受けられるためには、サービスの質と量の充実が必要です。このため、地域で活動する様々な法人や団体、ボランティア等との連携により、サービスの量を充実する必要があります。
また、サービスの質の向上を図るうえで、利用者からの意見や苦情等が的確に受け止められて反映される体制づくりと、事業者の自己評価や第三者による評価等が適切に行われて開示される評価システムの構築が必要となります。

(3) 障害者の権利擁護

障害者が地域で安心して生活するためには、一人ひとりの人権が尊重されるとともに、自己選択・自己決定等における様々な問題から、障害者の権利と利益が擁護される必要があります。このため、情報提供や相談支援、苦情解決体制等の充実はもとより、障害により判断能力が不十分な人を支援するために、地域福祉権利擁護事業や成年後見制度を身近なものとして周知し、普及する必要があります。