熊本市障害者プラン
第6章 自立と社会参加への条件整備~雇用・就労・活動~
1.雇用の場の確保
現状と課題
- 障害者の一般就労を促進するために、労働行政との連携のもとに、雇用体制の充実を図る必要があります。
- 障害者の雇用情勢が厳しくなっていることから、雇用を促進するため、障害者雇用事業所等の安定的運営に向けた支援が求められています。
具体的な取り組み
- 障害者雇用に対する企業意識の高揚を図り、障害者の就労機会の拡大と職場環境の整備を促進します。
- 1. 事業主への啓発
- 障害者雇用促進月間(9月) などを中心に、市内の事業主に対して障害者雇用についての理解の促進を図り、継続的な雇用ができるよう協力を要請します。
- 2. 各種助成制度の周知徹底
- 関係機関と連携しながら、障害者雇用納付金制度に基づく助成や特定求職者雇用開発助成金制度など、障害者雇用を促進する各種制度の周知徹底を図ります。
- 3. 公共機関での障害者雇用の促進
- 市及び市関係団体等における障害者雇用について、関係機関との協議・要望を行い、法定雇用率の確保はもとより雇用体制の充実に努めます。
- 4. 障害者雇用事業所への支援
- 市が行う物品調達や工事・業務委託等について、障害者の雇用促進に努めている事業所に対し、業者選定における優遇措置を検討します。
2.福祉的就労への支援
現状と課題
- 一般就労が困難な障害者の就労の場として、授産(小規模通所授産) 施設や小規模作業所の充実を図る必要があります。また、運営の安定化を図るため、助成や支援の充実を図る必要があります。
具体的な取り組み
- 社会資源を活用することで、障害者の就労意欲の向上と社会的自立の支援を行います。
- 1. 授産施設
- 雇用されることが困難な障害者に就労の場を提供し、作業を通して技能習得訓練や生活指導を行うことで社会適応能力を高め、障害者の自立と就労を促進します。
本市における現在の施設の整備状況は次のとおりで、今後も数値目標に沿って施設の充実を図ります。
障害区分 | 施設種別 | 施設名及び所在地 | 定員 |
---|---|---|---|
身体障害 | 授産施設 | ライン工房(通所) 熊本市戸島5-8-6 |
30名 |
福祉工場 | 熊本福祉工場 熊本市二本木3-12-37 |
50名 | |
知的障害 | 授産施設 | 仁愛和光学園(入所) 熊本市内田町3555―1 |
46名 |
仁愛事業所(通所) 熊本市内田町3560-1 |
40名 | ||
友愛育成園(通所) 熊本市壺川2-1-57 |
30名 | ||
託麻ワークセンター(通所) 熊本市小山町1316-1 |
30名 | ||
明和学園(通所) 熊本市中無田町648 |
20名 | ||
ワークショップ熊本(通所) 熊本市本荘2-3-8 |
25名 | ||
福祉工場 | 仁愛福祉工場 熊本市内田町3561―1 |
30名 | |
熊延観光福祉工場 熊本市萩原町1-3 |
30名 | ||
精神障害 | 授産施設 | 熊本県あかねワークセンター(通所) 熊本市戸島西3-4-150 |
30名 |
熊本きぼう福祉センター(通所) 熊本市南高江7-8-77 |
25名 | ||
福祉工場 | あかねクリーン 熊本市戸島西4-3-7 |
50名 |
- 2. 小規模作業所
- 利用者の処遇や不安定な運営を改善するため、法定通所施設への移行を促進します。また、現行の補助額の改善について国や県等に働きかけを行います。本市における現在の施設の整備状況は次のとおりで、今後も数値目標に沿って施設の充実を図ります。
障害区分 | 施設名及び所在地 | 定員 |
---|---|---|
身体障害 | くまもと障害者労働センター 熊本市長嶺南3-2-12 |
12名 |
あゆみの家 熊本市平成1-1 |
13名 | |
サラダくらぶ 熊本市大江5-5-29 |
17名 | |
街の風 熊本市長嶺南4-1-6 |
15名 | |
ワークショップふらっと 熊本市蓮台寺2-2-52 |
6名 | |
知的障害 | 第二ぎんなん作業所 熊本市新屋敷3-9-7 |
19名 |
トライハウス 熊本市画図町下無田1622 |
6名 |
- 3. 小規模通所授産施設
- 法人格の取得に伴い、小規模作業所より安定した運営が図られ、利用者や職員の処遇向上が期待されることから、今後も小規模作業所の法定施設への転換を促進し、利用者の処遇改善を図ります。
障害区分 | 施設名及び所在地 | 定員 |
---|---|---|
知的障害 | ふれあいワーク 熊本市龍田7-4-30 |
19名 |
精神障害 | やまびこ共同作業所 熊本市新屋敷3-3-17 |
19名 |
3.就労の定着と継続への支援
現状と課題
- 障害者の自立更生を図るため、就労の初期の段階における支援制度を充実し、雇用の促進と職場への定着を図る必要があります。
具体的な取り組み
- 就労の定着指導や、就労の場での身近な相談・支援等を行い、社会的自立を促進します。
- 1. 職親制度(知的障害者)
- 知的障害者の自立更生を図るため、一定期間職親(登録事業主) に預け、生活指導及び技能習得訓練を行うことによって、雇用の促進と職場における定着性の高揚を図ります。さらに、事業の周知を行い、制度の利用を促進するとともに、新規の職親登録を進めます。
- 2. 職場定着と継続就労への支援
- 就労先に出向き、障害者と企業の双方に定着指導を行う就労援助指導員(ジョブコーチ)の派遣制度を活用し、安心して仕事を続けられる支援を行います。
4.障害者の能力や特性に応じた雇用の促進
現状と課題
- 充分な能力を持ちながらも、雇用の場が確保できない障害者の自立促進のために、能力や特性を最大限に発揮できる雇用形態の拡充が必要になっています。新たな事業の普及やライフスタイルに合った雇用の促進を図る必要が求められます。
具体的な取り組み
- 障害者一人ひとりの能力を活かし、障害の態様や特性に応じて効果的な就労ができるよう、多様な雇用形態への取り組みを促進します。
- 1. テレワーク事業の普及
- 情報通信技術を活用した遠隔型のワークスタイル(テレワーク) の普及を図り、障害のある人が在宅でできる仕事の創出に努めます。また、熊本県の「チャレンジド・テレワークプロジェクト」を介して仕事の発注や普及啓発等を行い、障害者の就労を支援します。
- 2. グループ就労や短時間就労の促進
- 障害の特性や個人の日々の状況に応じて、柔軟に就労することができるグループ就労や短時間就労など、就労形態の多様化を要請します。
- 3. ピアカウンセリング等の活動支援
- 障害者が自らの経験を生かして相談や支援を行うピアカウンセリングやピアヘルパー等への、当事者の参画を支援します。
5.職業相談
現状と課題
- 就労希望者に適切な求人情報が伝わり、障害者の雇用が促進されるよう、求職活動への支援が必要です。
具体的な取り組み
1. 求人・求職者情報の提供
職業安定所との連携を図り、「しょうがいしゃ求人あんない」等により求人情報を提供し、就労相談に応じます。さらに、情報機器等を活用した検索情報の充実を関係機関に働きかけ、適切な求人・求職者情報が提供できる環境づくりを促進します。
【市内の職業相談窓口】
熊本障害者職業センター | 熊本市大江6-1-38 (職業安定所4F) |
サンライフ熊本職業相談室 | 熊本市黒髪3-3-12 |
熊本市高年齢者職業相談室 | 熊本市手取本町1-1 (熊本市役所1F) |
熊本市希望荘 | 熊本市大江5-1-15 |
熊本県障害者雇用促進協会 (障害者雇用コーディネート事業) |
熊本市国府1-20-1 (肥後水前寺ビル3F) |
6.移動手段への支援
現状と課題
- 障害者の外出を支援し、積極的な社会参加の促進を図るため、移動手段への公的支援が必要です。
- ノンステップバス等の運行経路の拡充など、移動手段にすき間が生じないような交通体系の充実が求められています。
具体的な取り組み
- 障害者の社会参加の促進を図るため、移動手段への支援を行います。
- 1. 熊本市優待証(さくらカード) の交付
- 障害者の外出を支援し、積極的な社会参加の促進を図るため、市内公共交通機関の乗車及び市の施設等が利用できる「熊本市優待証(さくらカード)」を交付します。
- また、交通事業者に車両の運行系統の充実を働きかけるなど、優待証制度の円滑な利用を促進します。
- 2. 障害者福祉タクシー
- 移動が極めて困難な重度障害者に、タクシー利用料金の一部を助成する利用券を交付します。
- 3. 身体障害者自動車運転免許取得助成
- 身体障害者の社会参加を促進するため、運転免許取得への助成を行います。
- 4. 身体障害者用自動車改造費助成
- 一人ひとりの障害の状態に合った自動車改造に費用の助成を行い、身体障害者の積極的な社会参加を促進します。
7.スポーツ・文化活動の促進
現状と課題
- 健康や体力の増進、生きがいのある生活や豊かな人間関係等を形成するためのスポーツ・文化活動を、障害の態様に応じて気軽に楽しめるような環境づくりが求められています。
具体的な取り組み
- 障害のある人とない人が相互の理解を深め、また、障害者自身の心身機能訓練、生きがいの創造、社会参加意欲の高揚等を図るため、障害者のスポーツ・文化活動を促進します。
- 1. 活動への支援
- 指導者やボランティアを養成し、必要に応じて紹介や派遣を行います。また、障害者のスポーツ・文化団体等の育成を図るため、活動拠点の提供、活動費の補助やアドバイスなどを行います。
- 2. 体育施設等のバリアフリー化
- 障害者がスポーツ・文化活動を楽しめるよう、市内の公共関連施設のバリアフリー化を進めます。また、気軽にスポーツに参加できるよう、電話相談、スポーツ指導の充実など、ソフト面でのバリアフリー化もあわせて進めます。
- 3. 障害者スポーツ・文化行事の開催支援
- 障害者とその家族や地域住民が一堂に会し、スポーツや文化活動を楽しみながら相互の親睦を深めるための各種大会に、支援を行います。