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ゆうゆう21福祉まちづくりプラン 由宇町総合福祉計画

由宇町総合福祉計画

平成8年3月

項目 内容
立案時期 平成8年3月
計画期間 平成8年度~平成12年度(5年間)

はじめに

近年、高齢化の急速な進行や核家族化・少子化等による家族形態の変化など、福祉を取り巻く環境は大きく変化しており、21世紀の本格的な少子・高齢社会に向けて、誰もが心豊かに安心して暮らせる地域社会づくりを進めていくことが求められています。
このような中で、行政はもとより、町民、民間団体、企業などが、ともに連帯しながら、みんなで参加して築く21世紀の福祉社会を実現していくことが重要であると考えております。
このため、私は、長期的視野に立って、このたび既に策定済みの「由宇町老人保健福祉計画」に障害者福祉及び児童育成計画を加えた、今後の本町における社会福祉推進の基本となる「由宇町総合福祉計画」を、岩国短期大学の川口明憲先生にご指導ご助言をいただきながら、障害者施設推進協議会、児童環境づくり推進協議会の委員の皆様をはじめ、広く町民各界各層の皆様のご意見をお聞きし策定したところであります。
この計画は、人間尊重を基本とし、「ノーマライゼーション」「生活の質」「自立と参加」の三つの理念のもとに、町民だれもが、より豊かな生活をめざし、社会の一員としていきいきと生活するとともに、地域のあらゆる人々が共に暮らせる、福祉マインドと地域連帯感にあふれた福祉社会、いわば“心のふれあうまちづくり”の実現をめざすものです。
今後、この計画の推進にあたっては、基本課題である「お年寄りが安心して住み続けるまちづくり」、「障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり」及び「子どもと子育てにやさしいまちづくり」の三つの有機的連携を図りながら、町民の皆様や福祉関係団体、企業などと一体となって、諸施策を総合的、計画的かつ着実に実施してまいることとしております。
私は、この計画に基づき、「心ふれあう町」「活力ある町」「生活しやすい町」の実現に向けて、全力を尽くしてまいる所存でありますので、町民の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

平成8年3月

由宇町長 松尾登

目次

施策の具体的方策

福祉を取り巻く現状と分析

福祉の里づくり構想

  • 1福祉の里づくりの目的
  • 2福祉の里の建設理念
  • 3福祉の里への導入機能

策定にあたって

1 策定の趣旨

近年、経済のソフト化・サービス化の進行や技術革新・情報化の急速な進展、高速交通体系の整備、国際化の進展など社会経済情勢は大きく変化してきています。そして、これらの変化は、地域社会やすべての人々の生活にさまざまな影響を及ぼしてきています。このような状況の中で、特に社会福祉を取り巻く環境については……
1.高齢化の急速な進行
2.家庭や地域社会のもつ福祉的機能の変化
3.生活の質への志向など生活意識や価値観の多様化
4.福祉に対する考え方の変化
など今後、新たな対応を要したり、重要性を増すと考えられるいくつかの大きな変化がみられます。
このような環境の中で、21世紀の福祉社会づくりに向けて……
1.長寿社会をすべての人々が享受できるような高齢者対策の推進
2.障害者の自立と社会参加の促進
3.子どもが健やかに生まれ育つ環境づくり
などの諸課題に的確に対応していく必要があります。
このような課題への対応にあたっては、福祉ニーズが多様化、高度化してきている今回、適切なサービスを提供するためには、従来の高齢者対策、障害者対策、児童対策といった分野別の施策展開(縦割り対策)だけでなく、新しい社会システムとして関連分野を有機的に連携させた総合的な 対策の推進が必要とされています。
こうしたことから、21世紀に向けて、長期的な視点のもとに、新しい福祉社会づくりをすすめるため、本町における福祉の総合計画である『ゆうゆう21福祉まちづくりプラン』を策定するものです。

2 計画の性格

本計画は、『由宇町基本構想』・『長期計画』に掲げる福祉充実策の基本課題にもとづき、高齢者対策、障害者対策、児童対策の関連分野を有機的に連携させた総合的な施策推進をめざすものです。

3 計画の期間

平成8年度(1996年度)から平成12年度(2000年度)までの5年間とします。

由宇町の概

由宇町は・山口県玖珂郡の東南部にあり、東は瀬戸内海に臨み、西は周東町、南は大畠町および柳井市、北は岩国市に接しています。本町の海岸線に沿ってJR山陽本線と国道188号線が走り、隣接の岩国市および柳井市の中心部までJR又は車で15~25分、広島市まではおよそ1時間の通勤等に便利な位置にあります。北西部には、国道437号線が走り、山陽自動車道玖珂インターチェンジの開設と併せて岩国、広島方面の観光リゾート道路として期待されます。
本町の面積は、29.18平方キロメートル、長さは、東西7.2㎞、南北7.8㎞であり、海岸線の長さは、およそ9㎞です。瀬戸内式気候で一年中温暖で、雨量は比較的少なく、海も山も川もあり、自然に恵まれた風光明媚な町です。
このため、近年になって住宅団地が開発されベッドタウン的状況も見えてきた。また、海岸部の埋立て造成地の工場団地に自動車関連企業の進出もあり、山口県下で人口の増加している数少ない町の一つです。

高齢者・障害者・児童の実態と推計

1 高 齢 者

(単位:人)

区    分 H7.10.1現在 H11年度推計




←(高齢化率)
総    人    口 9,597 9,936
40~64歳人口 3,607 3,747
65歳以上 人 口 (19.5%) 1,868 (22.5%) 2,236
寝たきり 在宅老人数 20 53
特養入所者数 10 29
老人保健施設 10 25
長期入院者数 90 73
痴呆性老人数 (※18) 90 (※19) 129
虚   弱 在宅老人数 83 101
養護人所者数 4 7

※痴呆性老人数の()書は、要介護老人数である。

2 障 害 者

【身体障害者(児)】

(単位:人)

             等 級
障害区分
1級 2級 3級 4級 5級 6級 合計
 視            覚  12 7 2 4 4 2 31
 聴 覚 平 衡 機 能 2 9 3 1 0 6 21
 音 声 言 語 機 能 0 1 1 2 0 0 4
 肢  体  不  自   由 17 21 29 25 16 11 119
 (注1) 内 部 機 能 24 1 13 16 0 0 54
合 計 平成6年4月1日 54 40 43 42 26 23 228
平成8年2月1日 55 39 48 48 20 19 229

※上段合計は、
(注1)内部機能障害=心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸の各機能障害

【知的障害者(児)】

程度 A(最重度・重度) B(中度・軽度) 合 計
療育手帳
所 持 者
H6.4.1
H8.2.1
21
21
11
14
32
35

【精神障害者】

 推      計  平成7年4月1日            180人

3 児   童

年度 年間増減数 自然的動態 社会的動態 住民登録人口
3.31現在
未就学児人数
4.1現在
保育園措置児童数
3.31現在
出生 死亡 増減 転入 転出 その他 増減
H 3 43 78 79 △ 1 463 428 9 44 9,033 494 151
H 4 205 65 79 △14 618 202 3 219 9,238 476 142
H 5 100 67 75 △ 8 540 432 0 108 9,338 499 151
H 6 121 58 95 △37 618 467 7 158 9,459 485 151

(基準日:10月1日 単位:人)

   実数値 推  計  値
年  齢 H 6 H 7 H 8 H 9 H10 H11 H12
 0     歳  73 57 63 61 64 63 64
1     歳 64 74 58 64 62 65 64
2     歳 93 71 82 64 71 69 72
3     歳 87 94 72 83 65 72 70
4     歳 83 93 100 77 89 70 78
5     歳 78 89 100 108 83 96 76
未就学児計 478 478 475 457 434 435 424
6     歳 103 81 92 103 111 85 98
7     歳 108 113 89 101 113 122 93
8     歳 106 116 121 95 108 121 131
9     歳 105 114 125 130 102 116 130
合  計 900 902 902 886 868 879 876

基本方向と基本課題

1 基本方向 

21世紀に向けて、人間尊重を基本としながら、「ノーマライゼーション」「生活の質」「自立と参加」の三つの理念に基づいて、町民だれもが、より豊かな生活をめざし、社会の一員としていきいきと生活するとともに、地域のあらゆる人々が共に暮らせる、福祉マインドと地域連帯感にあふれた福祉社会、いわば『心のふれあうまちづくり』の実現をめざします。

2 基本課題

この基本方向に基づき次の3つの基本課題があげられます。
 お年寄りが安心して住み続けるまちづくり
由宇町の平成7年10月の高齢化率は、19.5%となっており、全国の14.1%に比して5.4ポイント高く、すでに「高齢社会」に突入しており、国よりも速い「超高齢社会」の訪れは必至です。また、核家族化現象の進行は本町でも顕著であり、独り暮らし老人や高齢者だけの世帯の増加をもたらし、加えて要介護老人の増加も予想されます。
21世紀の超高齢社会に向けて、すべての町民が高齢期においても、すこやかで安心した生活がおくれるよう、健康づくりの一層の促進に努め、できる限りねたきり等の状態にならないようにするとともに、介護を要する状態になった場合でも、住み慣れた家庭や地域で生活できるよう、高齢者に適切なサービスが提供できる体制を整備することが必要です。
■ 障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり
1981年の「国際障害者年」以降、国の内外において、障害者に対する施策の推進が積極的に図られてきています。
1993年に策定された「障害者対策に関する新長期計画」は、基本的考え方として、「リハビリテーション」と「ノーマライゼーション」とを掲げています。障害者の「完全参加と平等」の理念を実現しようとするものです。
いかなる障害があろうとも、地域の中で共に生活していける生活環境を構築していくための具体的施策づくりが求められています。
本町においても、障害者を取りまくさまざまなバリアー(障壁)を取り除き、安心して生活できるためのサービスが提供できる体制づくりが必要です。
■ 子どもと子育てにやさしいまちづくり
平成6年、国において「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)」や「当面の緊急保育対策等を推進するための基本的考え方(緊急保育対策5か年事業)」が策定されました。急激な少子化傾向や子どもを取りまく環境の変化に対応し、子育て問題を社会全体の問題として取り組もうとするものです。
本町においても、少子化傾向は進みつつあり、また、子どもを取りまく環境にも変化がみられます。これからの社会を担う子どもたちを、安心して生み、育てるための地域環境づくりが急がれます。
本町が子どもと子育てにやさしいまちとして、適切なサービスを支援できる体制の整備が必要です。

施策の具体的方策

高 齢 者 施

お年寄りが安心して住み続けるまちづくり

 この課題の具体方策については、平成6年3月に策定した『由宇町老人保健福祉計画』のとおりであるので、ここでは、本町の取り組みについての考え方の記述にとどめる。

1 保健福祉サービスの充実
(1)寝たきりや痴呆を防ぐための保健福祉サービスを拡充し、総合的なサービスを推進する。
(2)住み慣れた家庭、地域で自立した生活が行えるよう、在宅サービスを推進し、地域ケアを基本とする。
(3)多様化するニーズに対応するため、サービスメニューの開発を図り、住民自らが必要なサービスを選択できるよう推進する。
(4)高齢者が健康で、生きがいを持って暮らせる町づくりを推進する。

2 施設の整備
高齢者が、住み慣れた家族、地域で生活が営めるよう、在宅での保健福祉サービスの充実を基本とし、これらのサービス提供施設の整備を図る。

3 保健・福祉の人材の育成、確保
保健婦、ホームヘルパー、看護婦・介護士等を含む社会福祉施設等の職員の確保を図る。

4 高齢者サービス調整チームの活動の活性化
(1)保健・福祉・医療の連携と高齢者対策の推進のために、高齢者サービス調整チームの活性化と機能強化を図る。
(2)在宅介護支援センターとの連携を強め個々のケースに即応できる体制の整備を図る。
(3)OAの活用により情報の一元化率図り、在宅ケアシステムを確立する。

5 関係団体との連携、協調
(1)老人クラブ、母子寡婦福祉会を中心に、友愛訪問、声がけ活動等を展開する。
(2)社会福祉協議会を窓口として、ボランティアの組織的・計画的な供給体制を構築する。
(3)民生委員の活動の充実に努める。

6 社会福祉協議会の活動基盤の強化
組織の基盤となる地域住民との連携を強化し、会員制の拡充を図り、住民参加による地域福祉活動を推進する。

7 地域福祉基金活用による民間活動の活性化
今後・利子運用益で1在宅介護を推進するための住宅改造への資金助成または融資制度、2シルバー人材センターの広域的整備等にも活用していく予定。

8 ねたきり老人対策の推進
(1)ゴールドプランにおいて推進する「ねたきり老人ゼロ作戦」とも呼応しながら、「ねたきりをつくらない」「ねたきりにさせない」ための予防策に取り組む。
(2)生活リハビリテーションの観点から、対象者の食事・移動・入浴の基本的日常的生活におけるリハビリテーションの実施を促進する。

9 痴呆性老人対策の推進
(1)保健・医療・福祉の連携に基づく相談体制の整備・充実を図るとともに、サービスの提供まで一貫した体制を整備する。

10高齢者の生きがいと健康づくり
(1)老人クラブの拡大、組織強化を図るとともに、高齢者の様々な要求に基づくグループの育成や援助を積極的に推進する。
(2)生涯学習の啓発・実践により、高齢者も含めたあらゆる世代の学習意欲を充足する条件整備をおこなう。
(3)生涯学習の一環として健康づくりをとらえ、運動・栄養・休養を3本柱に意識の普及、啓発に努める。
(4)高齢者の就業対策として、シルバー人材センターの広域での設置を目指す。
(5)老人福祉センターを引き続き、生きがいづくりの拠点として利用促進を図る。

障 害 者 施 策

施策の体系

障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり

  • 心のバリアを取り除くために
    • 啓発広報活動
      • 障害者問題の理解促進
      • 「障害者の日」の周知
    • ボランティア活動の推進
    • 「精神薄弱」用語の見直し
  • 地域の中で普通の生活が送れるように
    • 保健・医療
      • 障害の早期発見、早期治療
      • 障害の軽減、補完、治療等
      • 精神保健対策の推進
    • 福祉
      • 在宅サービスの推進
      • 施設サービスの充実
    • 相談体制及び情報収集提供
      • 相談体制の充実
      • 情報提供の充実
  • 社会生活自立のために
    • 教育
      • 教育相談・就学指導体制の充実
      • 障害児に対する教育の充実
    • 雇用・就業
      • 障害者の職業的自立の促進
    • スポーツ・レクリエーション及び文化活動
      • スポーツ・レクリエーションの促進
      • 文化活動参加への支援
  • バリアフリー化を促進するために
    • 障害者に配慮した住宅の供給等
      • 障害者に配慮した住宅の供給
      • 民間住宅のリフォームの促進
    • 建築物の整備
      • 官公庁施設のバリアフリー化
      • 建物のバリアフリー
    • 公園、水辺空間等のオープンスペースの整備
    • 移動・交通手段
      • 移動ニーズへの支援方策の充実
      • 歩行空間の整備
      • 公共交通機関等の利用の利便性の確保
  • 生活の質(QOL)の向上を目指して
    • 福祉用具の研究開発普及
    • 情報通信機器システムの研究・開発・普及
    • 障害者旅行促進のための方策の推進
    • 食生活環境の改善
  • 安全な暮らしを確保するために
    • 地域の防犯・防災ネットワークの確立

障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり

1 心のバリアを取り除くために
1 啓発広報活動

(1)障害者問題の理解促進
現状と問題点:

   身体障害者知的障害者
啓発広報活動の必要性3%0%

アンケート調査結果をみると、当事者と家族にとって啓発活動は、さして重要な問題となっていない。
しかし、さらに障害者施策を推進する為には、地域住民の障害者問題に対する理解を促進することは、大切である。
特に、理解を深めて行くためには、知識として障害者問題をとらえるのではなく、実際に行事等でふれあうことにより、真の理解は生まれる。
この意味でも、従来の行事のあり方を考え直す必要がある。
障害者のための行事は、障害者に関わりのある人以外が参加することは稀であり、むしろ、地域の中の催しに積極的に障害者が参加できる環境づくりを行うことの方がより有効であると考えられる。

   身体障害者
地域の交流の場の希望18%

アンケート調査結果をみると、18%の身体障害者が地域における交流の場を希望している。
これは、地域のボランティア団体、個人が協力することによって可能となる。
例えば、文化講演会等の行事に手話通訳者を配置するとか、車いす利用の障害者を含めた重度障害者に送迎の便を用意する等の配慮が定着することによって、障害者の参加の機会が多くなってくる。

今後の本町の取り組み

「障害者理解は、ふれあいから…」を地域の中に定着していくよう啓蒙や実践活動を促進します。

(2)「障害者の日」の周知
現状と問題点:
1981年(昭和56年)
国際障害者年を記念し、障害者問題について国民の理解と認識を更に深め、障害者福祉の増進を図るため、国の「国際障害者推進本部」が12月9日を障害者の日」として決定した。
1993年(平成5年)
障害者基本法の成立により12月9日を「障害者の日」として法定化した。
1995年(平成7年)
総理府の障害者対策推進本部は、12月3日の「国際障害者デー」から12月9日の「障害者の日」までの1週間を「障害者週間」とすることを決定した。

平成4年8月に実施された世論調査でも、障害者の日を「知っている」との回答は8.4%しかなく、「月日は知らないがその日のあることは知っている」との回答も15.7%で併せて24%と国民の大半が、障害者の日があることを知らないのが現状である。
本町においても同様で、12月9日に特別なイベントや周知を図る行事も行っていない。

今後の本町の取り組み

今後、12月9日に「障害者の日」の周知を図るため、障害者週間にあわせて具体的な行事等の開催を検討します。

2 ボランティア活動の推進

現状と問題点:
従来、ボランティア活動は行政施策の代替え、補完活動として考えている人もあり、活動に従事する人々も一部の者、その活動が好きな人々というイメージであった。
現在のボランティア活動の考え方は、より積極的な意味を持ち、これからの地域社会形成の一つの核であるとの考え方もある。
地縁、血縁関係が薄れていく地域にあって、それを越えた人間関係の形成が今後の重要な課題となっている。
本町においても、。転入者が増えることによって、地域の人間関係の再構築が課題となっている。
特に、新旧住民の混在する地域においては、地縁・血縁の狭い範囲を越えた人間関係の再構築が図られなければなりません。
そのため、住民の自発的活動によるボランティア活動の活性化は、今後の地域づくりにとって極めて重要であるといえる。
現在、本町においては、社会福祉協議会を中心に、以下のボランティア活動が行われている。

本町のボランティア活動グループ一覧表

グループ名登録者活 動 内 容(平成6年度実績)
食生活改善推進グループ44名年間6回一人暮らし老人に給食サービス
野菊の会6名手すきハガキ制作、誕生月に友愛訪問
手話グループ20名第1・第3金曜日に手話教室開催、障害者との交流活動
点字グループ(つくしんぼ) 7名第2土曜日に点字教室開催、障害者と手紙の交流、電話帳制作贈呈 
手芸グループ 13名毎週火曜日手芸品制作及び販売 売上金は、ボランティア基金に積み立て
門松作りグループ 26名年末に町内公共施設11か所に門松を設置
施設ボランティア44名特別養護老人ホーム「灘梅園」で、バイキングによる食事の介助
小作業グループ20名家屋の小修理草刈り除草庭木のせん定
散髪サービス4名独居老人、虚弱老人宅散髪サービス
封筒作りグループ 5名古いカレンダーで封筒を作る ロータスクーポンの整理
配食・運転グループ 20名給食の配食
ハッピークラブ31名町内各小中学校の動輪ペンキ塗装 町有林枝打ち 草刈り
母子寡婦奉仕会15名一人暮らし老人宅訪問及び安否確認活動
婦人会13名一人暮らし老人宅訪問及び安否確認活動
老人クラブ婦人部26名一人暮らし老人宅訪問及び安否確認活動
調理ボランティア毎月4回一人暮らし老人へ給食サービス
朗読ボランティア町の広報及びお知らせ等をテープに吹き込みア希望者
囲碁リハビリ脳卒中等で身体が不自由な方に囲碁を通じてリハビリ
     合    計      353名

今後の本町の取り組み

今後、住民側から多くの自発的活動が生まれる支援体制とそれをゴーディネイトする人材づくりを積極的に支援します。
2 地域の中で普通の生活が送れるように
1 保健・医療

(1)障害の早期発見、早期治療
現状と問題点:
障害児の療育において、できるだけ早期に発見し早期に療育を開始することは、障害の軽減を図り、将来の社会生活を営むうえで極めて重要になって趣きている。
現在、障害児の療育を行う療育機関は全国的にも少ない状況です。本町においても、障害の発見はできても、その後の療育は他市に行かなければならない状況である。

今後の本町の取り組み

保護者に対し、乳児健康診査、1才6ケ月児健康診査、3才児健康診査等の受診指導を徹底し、早期発見体制の強化を図ります。
他市にある療育機関と連携し、障害児の早期療育に努めます。

(2)障害の軽減、補完、治療等
現状と問題点:
障害の軽減、補完を図るため、更生医療の給付、訪問診査、更生相談、補装具の交付・修理、日常生活用具の給付等の制度がある。
アンケート調査によると、こうした制度を知らないといったとの回答が少なからずあり、制度の周知を図っていく必要がある。
また、アンケート調査によると、知的障害者は70%が健康と回答しているが、身体障害者においては健康と回答している者が19%となっている。
身体障害者の大多数の者が、医療を必要とし、医療機関に入院・通院していることがわかる。
また、「受診・医療上、今後希望するもの」として「救急医療体制の整備」「リハビリ治療」「家庭での訓練指導」が上位を占めている。
本町内には、障害者のリハビリテーションを専門に行っている医療機関はないが、老人病院「みどり病院」で、老人障害者の生活リハビリテーションは行っている。

今後の本町の取り組み

障害の軽減、補完を図るため、更生医療の給付等の制度の周知徹底を図ると共にリハビリ教室やリハビリ適所事業の充実強化を図ります。
また、作業療法士等による家庭での生活訓練指導については、実施に向け検討します。

(3)精神保健対策の推進
現状と問題点:
「障害者基本法」制定後、日が浅く、精神障害者に対する福祉施策は現在まだ十分とは言えない。
「精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律」の改正による手帳の新設、「障害者基本法」の対象に精神障害者が入る等、精神障害者に関わる施策も整えられつつある。しかし、他の障害者に比して、まだ、。十分とは言えない状況である。特に、入院後の社会的支援体制が不十分であり、社会的入院を解消できていないのが現状である。
精神障害者に対する偏見を取り除くと共に、地域で生活するための支援体制を整備していくことが必要である。

今後の本町の取り組み

退院後の自立支援、特に就労、住宅確保に向けた体制づくりを進めます。

2 福   祉

(1)サービスの充実
1.在宅サービスの推進
ア.ホームヘルパー派遣事業
現状と問題点:
   身体障害者知的障害者
ヘルパー制度を利用した者10人0人
ヘルパー制度を希望する者20人0人

知的障害者の場合、現在、家族特に父、母の介護のもとにあり、当面他の介護者を必要としていない事情により、ヘルパー制度を必要としていない。本町内には、20名の身体障害者に対し、ホームヘルパーを必要と考えられる。

今後の本町の取り組み

障害者向けホームヘルパー数を、目標年次までに常勤1名、非常勤3名を確保します。
(算出根拠…高齢者向けヘルパーと同様な計算)

対象者数 目標水準 年間換算 必要度 年間延利用回数
20人×週 4回×(52-7)週×46.2%2,034回
2,034回5503.7人    

イ.デイ・サービス事業
現状と問題点:
本町においては・デイサービス事業は実施されていない。障害者の生活指導、日常動作訓練等を行うことは必要と考える。
町内に設置予定の特別養護老人ホームの併設のデイサービスセンターにおいて、身体障者の相互利用の検討を行います。

ウ.ショートステイ
現状と問題点:
町内の施設で実施しているが、利用者が少なく、制度そのものを知らない対象者もいる。
制度の周知とその利用の拡大を図ります。
 (2)福祉施設サービスの充実
ア.知的障害者・身体障害者の施設
現状と問題点:
町内には、精神薄弱者更生施設と身体障害者療護施設の各1箇所設置され、4人が入所している。この外、福祉作業所が1箇所設置されている。
しかし、他市町村の障害者施設へ入所している人もあり、町内の障害者から住みなれた地域で生活するため、福祉ホーム、適所の授産施設の設置要望、重度障害者の自立支援等についての要望もある。

今後の本町の取り組み

施設サービスが望ましいと考えられる障害者のニーズに応じて、適切な施設への入所措置に努めます。障害者の自立支援を図るため、福祉作業所の充実強化を支援すると共にグループホーム等福祉ホームの設置を検討します。

イ.精神障害者の施設
現状と問題点:
精神障害者が退院後、何らかの事情で在宅生活が困難となった場合、県内に精神障害者援護寮は県西部に4箇所しかないため、現在は病院に入院する以外手だてがない。

要     望

県東部地区に精神障害者援護寮の設置について、国・県に対し要望します。
3 専門従事者の確保

現状と問題点:
本町内の医療機関には、理学療法士が勤務しているが、。在宅の障害者までは、手が回らないのが実情である。
障害者の在宅生活を支えるために、作業療法士等機能訓練を日常的に行う人材を、町の保健センターなどに配置することが望ましい。
今後は、訪問によるリハビリテーションを前提にした体制づくりが必要である。

今後の本町の取り組み

作業療法土等を確保し、地域リハビリテーション体制の整備を促進します。

4 相談体制及び情報提供体制

現状と問題点:
現在、相談窓口はたくさんあるが、それぞれの問題に応じた窓口となっており、窓口の一本化が求められている。
情報提供については、「広報ゆう」「お知らせ」や社会福祉協議会の発行する「社協だより」があるが、アンケート調査でも明らかなように、福祉制度への理解が十分でない状況にあり、改善が求められている。
また、視聴覚障害者への配慮も必要であり、点訳、朗読ボランティア、手話ボランティアを養成していく必要がある。

今後の本町の取り組み

本人や家族に対し保健・医療・福祉その他のサービスの一元的な相談が窓口で受けられるよう体制の整備を図ります。
全戸配布を目的とした「福祉ハンドブック」の作成・配布等を行います。また、公的機関の職員に対し、点訳、朗読、手話の研修を検討します。

3 社会的自立を促進するために

1 教  育

(1)教育相談・就学指導体制の充実
現状と問題点:
就学相談においては、子どもの実態を的確に把握するとともに、保護者や本人の考えや意見も聴き、その上で、特別な教育的対応の必要性について共通の理解を図ることが大切である。
また、就学手続きが円滑に行えるよう、保護者の理解と協力を早期から得るための教育相談体制を充実する必要がある。

今後の本町の取り組み

教育相談・就学指導体制の充実を図ります。

(2)障害児に対する教育の充実
現状と問題点:
本町の障害児に対する学校教育は、地元の小・中学校、岩国養護学校、防府養護学校、県立盲学校及び県立聾学校等で行われている。
小学校の低学年児の場合、地元の学校への進学希望が強くある。

今後の本町の取り組み

できるかぎり、地域の学校への入学を促進することが望まれるため、学校の施設、設備の改善を図ります。
障害児の社会経験を豊かにするとともに、これらの子ども達に対する正しい理解と認識を深めるため、障害児が小・中学校の児童生徒や地域社会の人々と活動を共にし、ふれあう機会を積極的に設けるなど、交流教育の充実を図ります。

2 雇用・就業

(1)障害者の職業的目立の促進
現状と問題点:

障害者の雇用

   無職者自  営被雇用者その他
身体障害者10815176146
知的障害者904922

割合(%)
117
(69.7)
15
(8.9)
21
(12.5)
15
(8.9)
168
(100)

無職者が全体の約70%を占め、雇用の難しさがうかがえる。
障害者が職業を通じて自立することは、その社会参加のなかで最も重要な事項の一つである。 

今後の本町の取り組み

障害者の職業的自立を促進するため、障害者の雇用確保等、県に指導を要望します。

3 スポーツ・レクリエーション及び文化活動

(1)スポーツ・レクリエーションの促進
現状と問題点:

昼間主に行っていること

   仕 事学 校趣 味テレビ家 事その他 計  
身体障害者35421562672214
知的障害者 63180826

割合(%)
41
(17)
7
(3)
22
(9)
64
(27)
26
(11)
80
(33)
240
(100)

障害者の日常生活は、職場や学校等に通う人を除いて、ほとんど日中を家で過ごしている。
家の中の行動は、圧倒的にテレビを見る時間が多い。
外出して、スポーツ、レクリエーションを行うことは、稀である。
スポーツ・レクリェーションに参加することは、生きがいのある生活を営むうえでも重要な課題である。

今後の本町の取り組み

障害者がスポーツ、レクリエーションに参加できるよう、外出手段を確保し、その体制づくりを推進します。
一方、積極的に参加できるよう情報提供も図ります。

(2)文化活動参加への支援
現状と問題点:
障害者の日常生活は、前述のとおり、家に閉じ込もりがちである。
障害者の文化活動への参加は、障害者の社会参加、生きがいのある生活を営むうえからも極めて意義深いことである。

今後の本町の取り組み

講演会等に手話通訳を付けるなど、地域ボランティア組織の活用を図ります。
4 バリアフリー化を促進するために
1 障害者向け住宅の供給等

(1)障害者向け住宅の供給
現状と問題点:
公営住宅入居者は、身体障害者が3人、知的障害者が4人である。
知的障害者は身体障害を重複している方が多い。
最近建設の公営住宅は、高齢者に配慮したものとなっているが、従来の公営住宅は全く考慮されていない。また、高齢者に配慮したものとはいっても障害者の障害の状況は様々である。
一律の設計による公営住宅には、障害者の生活になじまないものもある。入居される障害者の障害の状況に応じて、改造可能な住宅が必要と考えられる。
介護は、住宅からと言われるほど、障害者の生活にとっては重要な要素である。
公営住宅が障害者住宅のモデルとなるよう努めていく必要がある。

今後の本町の取り組み

障害者に配慮した公営住宅の整備促進を図ります。

(2)民間住宅のリフォームの促進
現状と問題点:

住宅事情

 持ち家借 家公営住宅その他
身体障害者136534148
知的障害者1814124

割合(%)
154
(89.5)
6
(3.5)
7
(4.1)
5
(2.9)
172
(100)
 本町の住宅事情は、持ち家が非常に多く。約90%もある。しかし、多くの家屋は障害者が生活することを条件に建てられてはいない。

 住宅改造

 改造済未改造
身体障害者324981
知的障害者41620

割合(%)
36
(35.6)
65
(64.4
101
(100)

住宅改造も余り進んでいなく、6割強の家庭が未改造となっている。
住宅改造の貸付制度及び補助制度を知らないとする方が37.2%もあり、今後、広報等により制度のPRを図る必要がある。
住宅改造を行っている家庭も36世帯あるが、改造箇所は手すり、風呂、トイレ、台所に集中している。改造費は10万円から100万円以上までとぱらつきがあるが、改造箇所によって費用の差が出ている。
今後改造を希望される家庭も、30世帯ある。その改造希望箇所はトイレ、風呂、段差、手すりの順となっている。

今後の本町の取り組み

障害者住宅改造の貸付制度等のPRを図ります。
町内の業者に対し「高齢者対策住宅リフォームマニュアル」、県の「環境整備指針」等の普及を図るために研修会等の開催を検討します。」
また、適切なアドバイスができるよう、保健婦や福祉担当者と建築業者の合同研修の実施老図ります。

2 建築物の整備

(1)官公庁施設のバリアフリー化
現状と問題点:
町役場、文化会館、郵便局等ごく一部の建築物に障害者に対する配慮がみられるが、公的建築物の全てが障害等にとって利用しやすいようにはなっていない。

今後の本町の取り組み

町役場をはじめとする公的建築物の改善に努めます。

(2)建物のバリアフリー化
現状と問題点:
不特定多数の者が利用する民間建築物が、障害者等にとって円滑に利用できるよう「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」が平成6年9月に施行された。
本町内にも不特定多数の者が利用する民間建築物があり、事業主の理解を得る必要がある。

今後の本町の取り組み

事業主に対する理解促進を図るための方策について検討します。

3 移動・交通手段

(1)移動ニーズヘの支援方策の充実
現状と問題点:

外出の回数

  毎日週に3~4回週に1~2回週に2~3回年に数回殆どなし
身体障害者41182223825137
知的障害者92540020

割合(%)
50
(31.8)
20
(12.7)
27
(17.2)
27
(17.2)
8
(5.1)
25
(15.9)
157
(100)

 よく行く外出先

   病院・診療所食料品衣料品店郵便局農協等理髪店美容院親戚・友人宅その他
身体障害者503018181353182
知的障害者140361832

割合(%)
51
(23.8)
34
(15.9)
18
(8.4)
21
(9.8)
19
(8.9)
71
(33.2)
214
(100)

障害者の約60%が、週1回以上の外出の機会をもっている。主な外出先は医療機関、食料品店等となっている。
通院時間が1時間を越える者が26人いる。タクシー、電車による通院者も41人いる。交通費の負担をあげている人が16人いる。

今後の本町の取り組み

医療機関への通院費用の助成を検討します。

(2)歩行空間の整備
現状と問題点:
由宇駅周辺及び駅へのアクセスについては、ほとんど未整備の状況にあり、広い歩道の確保、駅階段のスロープ化等色々な問題がある。

今後の本町の取り組み

歩行空間の整備を関係機関との連携を図り、整備を検討します。

(3)公共交通機関等の利用の利便性の確保
現状と問題点:
本町の駅は車いす使用の障害者、視覚障害者等にとっては利用しずらい状況にある。

今後の本町の取り組み

由宇駅の改善について、JR西日本と協議を早急に行い、駅階段のスロープ化、誘導点字プーロックの設置等を要望します。

5 生活の質(QOL)の向上を目指して

1 福祉用具の普及
現状と問題点:
障害者の在宅生活を支えるためには福祉用具の活用は有効である。
近年、開発・研究が行われているが、その普及は十分でない。
特に、地方の本町においては、絶対的情報量が少ない状況にある。
大都市においては、大規模な展示会が開催されているが、地方の小都市で開催されることは稀である。

今後の本町の取り組み

福祉用具の展示会を健康・福祉まつりや障害者の日の行事として実施を図ります。
在宅介護支援センターに福祉用具のパンフレットを用意し、必要なとき注文できる体制を整備します。また、福祉用具についての新しい情報や知識を提供できるよう、保健・福祉担当者や支援センター担当者の研修を充実します。

2 情報通信機器システムの普及
現状と問題点:
一人暮らし、山間部等に居住する方、視覚障害者、聴覚障害者の情報を確保するためには、情報通信機器を利用したシステムづくりが必要である。

今後の本町の取り組み

情報通信機器システムの普及について、国、県に要望します。

3 障害者の旅行促進のための方策の推進
現状と問題点:
アンケート調査では、旅行への関心が高い結果が出ている。
一部ボランティア団体による一日体験旅行が企画され好評を得ているが、イベントとしてではなく、旅行が容易にできる体制づくりが必要である。

今後の本町の取り組み

旅行の機会の増大にむけて、コーディネートのできる体制やボランティアの養成を要望すると共に近隣の観光地を含めた福祉マップを作成します。
また、県の障害者ガイドセンターの活用を図ります。

【留意点】
(1)障害者の外出する機会をつくりだし、旅行をすることが可能だという実感を与えること。
(2)介護者抜きの旅行は殆ど不可能だといっても過言ではない。介護者の確保が必要となる。
現在、個人的に旅行を楽しんでいる障害者の場合、介護者は家族か友人に限られる。
今後、地域の中に旅行を介助する方が出てくるよう、出会いの場をつくっていく必要がある。
(3)旅行体験のある障害者の方にその体験を語ってもらう企画を行う。
(4)障害者が安心して宿泊できるホテル・旅館についての情報収集を行い、その情報提供を行う。

4 食生活環境の改善

今後の本町の取り組み

現在、週一回実施されている社会福祉協議会の「給食サービス」を障害者家庭まで対象を拡大します。配達回数の拡大についても検討します。
また、障害者の自立のため、調理実習の実施を図ります。

【留意点】
(1)配達ボランティアを増員する。
(2)調理施設を設置する。
(3)必要な財政的支援を行う。
(4)食事介助ボランティアを設置する。
(5)自立のため調理実習の実施を図る。

6 安全な暮らしを確保するために
1 防犯・防災対策の推進

今後の本町の取り組み

町職員、消防機関や社会福祉施設等職員、自主防災組織が町内における障害者の状況を把握し、災害時における通報システム、避難方法、避難場所等の設定についての計画づくりを推進します。
また、悪質商法などによる障害者の未然防止の観点から、情報提供体制の強化を図ります。

児 童 施 策

施策の体系

子どもと子育てにやさしいまちづくり

  • 仕事と育児との両立のための雇用環境整備
    • 育児休業給付の実施など育児休業を気兼ねなく取ることができる
    • 事業所内託児施設の設置促進
    • 労働時間の短縮等の促進
  • 多様な保育サービスの充実
    • 保育システムの多様化・弾力化の促進
    • 保育所の多機能化のための整備
    • 放課後児童対策の充実
  • 安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実
    • 地域における母子保健医療体制の整備
  • 住宅及び生活環境の整備
    • 良質なファミリー向け住宅の整備
    • 子どもの遊び場、安全な生活環境の整備
  • 学校外活動、家庭教育の充実
    • 体験的活動機会の提供等による学校外活動の充実
    • 子育てに関する相談体制の整備等による家庭教育の充実
  • 子育てに伴う経済的負担の軽減
  • 子育て支援のための基盤整備
    • 地域子育て支援事業の整備

子どもと子育てにやさしいまちづくり

1 仕事と育児との両立のための雇用環境の整備

(1)育児休業給付の実施など育児休業を気兼ねなく取ることのできる環境整備
現状と問題点:

育 児 休 業
取得の有無 
取っていない・取るつもりない 62.5% 
取ったことがある・取るつもり37.5%

62.5%が育児休業を利用しないと回答している。理由としては、母親の職業形態として、常勤が25.5%であること。さらには、職場に制度そのものがないとの回答が19.6%になっていることが考えられる。また、育児休業をとる必要がないとの回答が多い(31.6%)のは、パートタイマーやアルバイトが多い(45.9%)ことと関係があろう。
しかし、少数ながら育児休業が取りにくい状況があるとの回答があることは問題である。

制度はあるが、取りにくい雰囲気 5.9% 
制度はあるが、人手がないので取れない 3.9%

今後の本町の取り組み

育児休業制度の積極的利用を促進するための啓蒙を行います。

(2)事業所内託児施設の設置促進
現状と問題点:
現在、本町における事業所内託児施設は1か所で、9名が入所しているのみである。町内における、他の中・小企業内においては、託児施設は設けられていない。

  とても利用したい時々利用したい利用したくない
職場の保育施設26.0%11.3%62.7%

職場の保育施設利用者の数は少ない(4.7%)が、職場にあれば利用したいとの回答が37.3%もある。職場に併設した保育施設に入所させる安心感は大きいと考えられる。

今後の本町の取り組み

本町内にある事業所等に、事業所内託児施設に対する制度の広報活動を積極的に行います。

(3)労働時間め短縮等の推進
現状と問題点:
さまざまな保育ニーズに対応する保育体制を整備することは、子育て支援のために必要であることは勿論であるが、ゆったりとした環境の中で子どもが育つこともまた必要である。保護者の労働時間によって、保護者と子どもの共有する時間が制限されることは、できるだけ避けられる方が良いであろう。
ゆったりとした共有時間が持てるような勤務体制、勤務時間にする努力が求められる。
父親の職場が遠いことが原因とも考えられるが、保育所の送迎を主に担当するのは母親であり、父親はきわめて少数であるのが目立つ。

 保育所に送る保育所に迎えにいく
4.1%2.4%

子育てに男女が共同で参加するという考え方は、現代社会においてごく当たり前の考え方になりつつある。特に父親が子育てに参加できる時間の設定が望まれよう。

今後の本町の取り組み

本町内における事業主等に対する子育てについての意識を啓発するための取り組みと、特に男性が子育てに参加することを促進する啓発事業に取り組みます。
現在、本町においては、「パパ&ママスクール」を実施していますが、今後さらに充実した企画を実施します。

2 多様な保育サービスの充実
(1)保育システムの多様化・弾力化の促進
現状と問題点
核家族化の進展、結婚・子育て・家庭に対する価値観の多様化、さらには女性の労働に対する意識の変化や勤務形態の多様化に伴い、子育ての形態の多様化も拡大している。そうした状況の変化に伴い、保育ニーズもまた大きく変化しつつある。従来の保育形態ではこうした拡大する保育ニーズに対応しきれない。本町の保育所(3園)においては、すでに「緊急・一時的保育サービス事業」(3園)、「時間延長型保育サービス事業」(2園)、「乳児保育事業」(2園)、「年度途中入所円滑化事業」(2園)、「ホリデー保育サービス事業」(1園)、「障害児保育事業」(2園)等、拡大する保育ニーズに対応する体制の整備を図っている。
今後の保育所利用として、要望の高いものに次のようなものがある。

要  望とても必要利用したい
緊急・一時的保育84.9%65.5%
延長保育81.8%55.7%
障害児保育80.6%63.6%
休日保育72.5%37.8%
非定型保育64.0%43.1%
随時保育63.6%45.8%

低年齢児保育の実施状況は以下の表のようになっている。

  年齢
0歳1歳2歳合計
平成3年3人9人16人28人
4年591731
5年413825
6年592034
7年5131533

※人数は3保育所の総数
過去、入所待機者はおらず、本町における保育ニーズには十分対応できていると考えられる。

今後の本町の取り組み

多様化する保育ニーズに対応し、乳児保育、障害児保育、延長保育などの特別保育対策を充実するとともに、地域の実情に沿った保育対策を推進します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
乳児保育を実施する保育所2か所3か所1か所国・県
障害児保育を実施する保育所2か所3か所1か所国・県
延長保育を実施する保育所2か所3か所1か所国・県
一時保育を実施する保育所3か所3か所0か所国・県
ホリデー保育サービス事業1か所1か所0か所

(2)保育所の多機能化のための整備
現状と問題点:
既に述べたように本町においては、保育ニーズに対応する体制の整備は、かなりの程度図られている。
今後は、保育所の地域に果たす役割として、より拡大された機能を果たすことが求められても良いのではないかと考える。特に現在、高齢者福祉、障害者福祉は、国・県においてもその整備が図られているところであるが、それは、制度を整備するだけでは所期の目的が果たせるとは言い難い。地域における福祉マインドの醸成が図られることが必要である。それも乳幼児期からの育成が望ましい。

今後の本町の取り組み

「乳幼児期における福祉マインド醸成事業」を新規事業として実施します。これは、幼・保育園、福祉作業所等障害者施設、デイサービスセンター等老人施設との複合施設を国・県(モデル事業)補助制度の創設で実施を計画します。
三者が同一施設内で、日常生活の一部を共有することによって、特に幼児に福祉マインドを醸成しようとするものです。
さらに、老朽化等により保育機能が低下している保育園の改築整備を促進します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
保育所の改築整備1か所3か所2か所国・県
保育所と老人・障害者施設の複合0か所1か所1か所国・県

(3)放課後児童対策の充実
現状と問題点:
現在、本町においては、学童保育事業を実施していない。しかし、要望としては多い。

  とても必要あまり必要でない利用する利用しない
学童保育83.0%17.0%69.8%30.2%

核家族化の進展に伴って、特に低学年の児童を保護者のいない留守宅に置いておく不安は大きいものがある。

今後の本町の取り組み

留守家庭児童保育室を備えた「こどもの館」の建設を検討します。当面は、校舎の空き教室等を利用した児童クラブの設置を推進します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
児  童  ク  ラ  プ0か所3か所3か所国・県

3 安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実

(1) 地域における母子保健医療体制の整備
現状と問題点
本町における過去5年の定期健康診査の受診状況は以下のとおりである。
受 診 率

  平成2年度3年度4年度5年度6年度
3か月健診個人受診92.0%95.7%94.1%91.9%96.7%
7か月健診個人受診94.0%91.4%91.9%96.8%93.0%
1歳6か月  4回/1年84.0%96.2%88.3%92.6%94.3%
3歳児健診 2回/1年92.9%96.2%91.7%93.5%93.7%
同時に乳幼児歯科健康診査も実施している。
・年4回の1才6か月児健康診査における歯科検診
・年2回の3才児健康診査における歯科検診
さらに、フッ素塗布時における歯科検診も実施している。

平成2年(2回)受診者 128人
3年(3回)170人
4年(3回)250人
5年(3回)250人
6年(3回)100人

保健相談・指導の実施状況と参加者は次のとおりである。

  平成2年度3年度4年度5年度6年度
育児相談41回 69人35回 54人
母親学級6回 43人6回 47人6回 45人6回 55人6回 40人
育児学級8回 95組8回 72組8回 74組8回 64組8回 97組
虫歯予防教室1回 14組2回 17組1回 16組1回 34組1回 4組
フッ素塗布3回169人3回295人3回261人3回265人3回218人
指導訪問220人120人116人

この他に、各保育所においては毎年、内科検診と歯科検診を実施している。ただし、本町内に小児科専門医院が無いとの意見がアンケートに多くみられるのは、いざという時に不安である。

今後の本町の取り組み

母子保健についての啓発活動を強化し、その重要性についての認識を深めると共に、受診率の向上を目指して体制の強化を図ります。
また、小児科医院の設置についても、医師会等の協力を得て努力します。

4 住宅及び生活環境の整備

(1)良質なファミリー向けの住宅の整備
現状と問題点:

理想より現実の子どもの数が少ない理由

住宅事情や自然環境が悪い 12.0% 

子育ての不安や悩み

住居が子育てに十分な広さでない 9.5% 

約1割が、現在の住宅が子育てに十分な広さ、質を備えていないと回答している。
持家率は66.3%(一戸建、マンション、アパート)であり、約3割が賃貸である。子育てのために十分な住宅の供給が望まれるが収入との関係もある。居住空間と子どもの数には相関関係があるとの指摘もあり、この問題には積極的に取り組む必要があろう。

今後の本町の取り組み

公営住宅の建設・建て替え時には、子育て環境に配慮した良質な住宅の供給に努めます。

(2)子どもの遊び場、安全な生活環境等の整備
「子どもを健やかに生み育てるための希望」の中でも「子どもの遊び場の確保」は第1位で56%もある。
自然環境に恵まれていることが即、子どもを自由に遊ばせる空間とはなり得ないことを意味しており、整備が求められている。

今後の本町の取り組み

既存の公園の利用促進を図ると共に、新たに、公園・遊び場を必要とする地域についての調査をし、具体的計画づくりを進めます。

5 学校外活動、家庭教育の充実

(1)体験的活動機会の提供等による学校外活動の充実
現状と問題点:
近年、いじめの問題が大きな社会問題になっている。その要因は多様で深く、その解決を図る有効な手段も見い出されていないのが実情である。家庭・学校・地域が一体となって、子育て環境づくりを推進していかなければならない。
本町における青少年育成地域組織活動としては、以下のものがある。
・生涯学習推進協議会
・青少年育成町民会議
・小・中学校PTA連合会
・青少年ふるさと学習実行委員会
・子ども会育成連絡協議会
・スポーツ少年団
以上の組織が、子どもの学外における活動についての議論を深め、具体的実践をつくり出す努力が求められている。

今後の本町の取り組み

学外活動をゴーディネイトする人材の育成と、活動を支援する体制づくりを図ります。

(2)子育てに関する相談体制の整備等による家庭教育の充実
現状と問題点:

   特にない少しあるかなりある
子育ての不安や悩みの有無25.8%64.5%9.8%

子育ての不安や悩みを抱く人は多い。また、不安や悩みを解決する場は、ほとんど家庭内にとどまり、他には友人・知人が相談相手となっている。子どもも、親も気軽に相談できる体制が必要である。

今後の本町の取り組み

育児不安を持つ親に対して気軽に相談に応じ、適切な指導や支援が行えるよう、相談支援体制を整備します。このため、各地区の児童委員をパイプ役とし、学校、家庭児童相談室、保健センターなどとの連携を深めるとともに、保育所の機能を活用した子育て支援センターなどを拠点とした相談システムを構築します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
子育て支援0か所1か所1か所国・県

6 子育てに伴う経済的負担の軽減

現状と問題点:
・理想よりも現実の子どもの数が少ない理由

お金がかかる 53% 

・子育ての悩み

養育費・教育費にお金がかかる 26.3% 

・保育に関する満足度

 満 足普 通不 満
保育料20.7%45.7%33.6%

※不満の中ではとび抜けて第1位

・子どもを健やかに生み育てるための希望

保育所などの費用負担の軽減 31.2% 

調査項目のいくつかにおいて、子育てに費用がかかるとの意見が多いのは、実感としてそうであろう。本町においては、保育料をここ数年据え置いているのだが、それでも高いとの意見があるのは注目すべきであろう。

今後の本町の取り組み

・保育料の軽減を図ります。

7 子育て支援のための基盤整備

(1) 地域子育て支援事業の整備
現状と問題点:
本町における地域子育て支援事業としては、「のびのび子育てサークル」(こあらすくーる)設置事業を実施している。これは、 子育て中の母親による自主グループが、定期的に学習会、交流会等を行う活動を支援する事業である。「こあらすくーる」は、地域における子育てネットワークを目指す自主的活動へと発展する可能性を秘めており、本町の特色ある活動として注目される。

今後の本町の取り組み

「こあらすくーる」が地域における子育てネットワークの中核となるよう、児童委員、母子保健推進員などが連携して育成を積極的に支援します。
また、母親クラブの結成促進やその育成を図るなど、地域組織活動を充実強化します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
母親クラブ0単位1単位1単位国・県

福祉を取り巻く現状と分析

高   齢   者

1 人口構成とその推移
別途「内字町老人保健福祉計画」付録『報告書』P2を参照してください。

2 地区別高齢化の状況
別途「内字町老人保健福祉計画」付録『報告書』P3を参照してください。

3 世帯の状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P4を参照してください。

4 住宅の状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P4を参照してください。

5 就業の状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P4を参照してください。

6 高齢者の受診状況・疾病構造・入院状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P5を参照してください。

7 高齢者保健福祉基礎調査結果の要約
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P6~P12を参照してください。

障   害   者

アンケート状況

【身体障害者】

・アンケート調査対象:手帳所持者1~4級の在宅の人 男性89人・女性61人 計150人
回収率100%(民生委員を通じて悉皆調査を実施)

【知的障害者】

・アンケート調査対象:手帳所持者1~4級の在宅の人 男性18人・女性8人 計26人
回収率100%(民生委員を通じて悉皆調査を実施)
1 年齢分布等
身体障害者
40歳未満が全体の9.6%(14人)と少なく、逆に60歳以上が67%(98人)と全体の2/3を占め高齢化が目立つ。障害発生時が20歳未満との回答が24%(36人)あることから、障害を有して生活する年限が長かったことがうかがえる。
一方、50歳以降に障害が発生しているとの回答も52.3%(77人)と半数以上ある。これは障害の原因が脳血管障害17%(25人)とその他の疾病24.7%(37人)に集中していることと関係が深いと考えられる。
知的障害者
26人中、25人が50歳未満である。山口県全体の(心身障害者(児)実態調査平成3年)知的障害者の年齢区分においても、50歳以下の割合が90.6%に達することから、本町の状況が特異であるとは言えないが、一般の人口構成に比して、若年層に偏っていることが指摘できる。
発生時期も全員が15歳以下であり、出生時とする割合が45.8%(11人)とほぼ半数に達する。障害を有して生活する年数は、きわめて長いと言える。
精神障害者
本町の精神障害者の数は、実態の把握が困難であるが、平成7年4月1日で、約180人(推計)となっている。
山口県全体状況は、昭和57年3月末で約14,000人(推計)が、平成7年4月1日には約21,600人となっており、増加傾向にある。特に入院患者では、専門病棟も整備されはじめ、脳器質性精神障害(老人性痴呆等)が増加傾向にある。

2 所得・雇用の実態
身体障害者
1 雇   用
無職者が全体の74%(108人)を占め、70歳以上も含めているので一概には言えないが、雇用の難しさがうかがえる。被雇用者は11.6%(17人)にすぎない。山口県全体の調査でみると、1~4級に占める就労者割合は34.6%あり、これに比較すると、由宇町はかなり低い数値になっている。本調査では、職業に就きたいか否かの調査がなかったが、併せて考えてみる必要があろう。

2 収   入
障害者本人と家族と別々に回答していただいた。本人については、44.6%(68人)が月額10万円以下である。20万円以上との回答も18.5%(24人)ある。全体的にみると低所得であることがわかる。中でも、5万円未満との回答が13.8%(18人)あり、問題であろう。家族収入は当然ながら本人収入に対して全体的に増大している。10万円以下は19%に減少し、20万円以上は63.3% に増加している。ここでも5万円未満との回答が3人あり、生活の可否そのものが問われよう。
収入の内訳についてみると、本人では、76%が年金であり給料は16.9%にすぎないのは、雇用実態からみて当然であろう。その年金の内訳であるが、厚生年金と共済年金が全体の37.9%である。

知的障害者
1 雇   用
無職が、9人で全体の40.9%を占める。被雇用者は4人(18.2%)にすぎないが、その他9人は作業所・学校等に通っているということである。作業所での仕事が雇用とは言い難いのでこの数字になったのであろう。授産施設や作業所の本来的目的は、ここでの訓練を通して職業的自立を得るということであろうが、現実的には困難である。

2 収   入
回答者18人中15人が月額10万円以下である。これは大半の方が障害基礎年金受給者であることと関連している。15万円以上との回答が2人いる。被雇用者であろう。世帯収入については約70%(16人)が20万円以上との回答で、生活の安定ぶりがうかがえる。これは知的障害者のほとんどが家族の庇護化にあるという状況を物語る。すなわち家族との同居が可能な限りにおいては、在宅での生活が可能であることも意味する。しかし、10万円以下との回答も1人いる。

3 住   宅
身体障害者
1 住宅状況
由宇町における住宅状況は全体的に良好であると言えよう。まず、持家率であるが、92%(136人)である。借家は一戸建てとアパートを含め3.4%(5人)公営住宅2%(3人)と低い率になっている。山口県全体では、自家率が79.5%であるから、それに比して自家率の高さが目立つ。次に借家の場合の家賃であるが、これも9人中6人が2万5千円以下であり低額である。このうち半数は公営住宅入居者であるから、公営住宅の意義が見てとれる。

2 部屋の状況
部屋の位置は1階との回答が78.6%(110人)と圧倒的に多いのは生活上便利であろう。また、部屋の広さも6畳以上が85%であり、生活空間は十分確保されていると言えよう。

3 改   造
まず、住宅改造に際しての貸付制度及び補助制度を知らないとする回答が37.2%あることを指摘しておかなければならない。関心がないためか、広報活動の不足なのか理由を明らかにし今後の対応を図っていく必要があろう。改造については、35人の方が改造を実施している。改造箇所としては、手すり・風呂・トイレ・台所に集中している。改造費は、10万円以上から100万円以上までばらつきがあるが、改造箇所によってかなり値段に差が出る。
今後改造を希望される方が30人おり、改造希望箇所はトイレ・風呂・段差・手すりの順になっている。特にトイレ・風呂は生活を営む上で不可欠のもので早急な対応が望まれよう。改造希望なしの回答で、経費負担が重いとの回答が5人あった。在宅生活を営む上で住宅はもうとも基となるものである。さらなる実態把握と対応策を図ることが緊要かと考えられる。
改造についての情報入手先で、役場が1位であるのは貸付制度との関係が深いとのことだが、在宅生活を送る上で、改造の果たす役割の認識そして改造についての情報を的確に送り出す努力は不断に望まれよう。

知的障害者
1 住宅状況
持家率は75%と身体障害者と比較すると、数値は低くなっている。しかし、残りのうち16.7%が公営住宅に入居しており民間の借家は1人のみとなっている。したがって、家賃も2万5千円以下が7人中6人となっている。

2 部屋の状況
身体障害者と比較すると、部屋数・部屋の広さとも知的障害者の方が低い数値になっていることがわかる。

3 改 造
貸付及び助成制度を知らないとする回答が、ほぼ半数近くあることは注目される。知的障害者の場合、身体障害を重複しているケースが多く、在宅生活を送る上で、住宅の構造は身体障害者と同様の配慮がなされる必要が大きいのである。この意味で住宅改造に関わる制度の周知は今後十分に図られる必要がある。
改造済みは20%(4人)であり、風呂・トイレに集中している。改造費用は10万円以下が多いが、高額なケースもある。改造についての情報入手先が友人・知人との回答(これは身体障害者の場合も多かった)があるのは改善の余地があろう。今後の改造希望箇所も大半が風呂・トイレであり、この2か所が障害者にとって重要な問題であることがわかる。
高齢化社会は、いずれ誰しもが高齢になれば何らかの身体的不自由さを持つことを意味する。今後の住宅政策の中で、こうした室内の設備についての認識を地域全体で考えていくことが求められる。特に公的建物については率先して具体化されていくことが望ましい。

4 医   療
 身体障害者と知的障害者とで、大きな数値の違いが見られるのが、この項目の特徴である。現在「健康である」との回答が身体障害者では19%であるが、知的障害者では、69.6%と高い数値になっている。これは障害の性格の違いという理由と知的障害者は比較的若年層が多いということであろうか。したがって、この項目は主に身体障害者を中心に見ていくことにする。
1 健康状態
すでに述べたように、健康であるとの回答は19%であり、全体的に治療を要する人が大半である。障害者の場合、その障害が固定していない場合、継続的な治療ないしはリハビリが必要となる。また、その障害を誘因として二次的三次的障害を持ってしまうケースも少なくない。ともかく、このように多くの障害者が治療を要する状態にあることは、いかに医療機関の存在が重要であるかを意味する。

2 通院時間
1時間以上との回答が23.4%(26人)、30分以上との回答39.6%(44人)とを合わせるとかなりの通院時間を強いられていることがわかる。通院上の不便の第1位が通院時間(40.5%)であることからもわかるように、障害者にとって通院時間の長さは不便である。通院方法で自動車(介護者運転を含め)使用が47.9%もあることから考えると、30分~1時間の通院時間は長いと言わざるを得ない。町内における医療機関の利用実態がどうなっているかについての調査が必要であるとともに、町内の医療機関の障害者理解をより求めていく必要があろう。

3 通院方法
47.9%が自動車(介護者運転も含め)と回答し圧倒的に多い。次が電車の15.7%、徒歩・タクシーの13.6%と続く。公的交通機関を利用する割合は少なく、また、家の近くに受診できる医療機関が少ないことがわかる。ここで次の二点の問題点を指摘しておく。
第一点は、自動車の場合、介護者の都合に左右されるケースが出るであろうと予測されることである。介護者が24時間障害者と共に在るのであれば問題はないが、そうした状態をつくれない場合かなり問題があろうと推測できる。第二点は、タクシー利用の場合、交通費の負担が大きいということである。通院上の不便の第2位は交通費負担の問題である。知的障害者の場合は7人中4人が交通費負担の問題をあげている。タクシー助成について考える必要があろう。

4 受診上の問題
第1位は「待ち時間」で33.3%(42人)である。これは障害者に限らず嫌なものであるが、障害を持ち長時間待たされる苦痛を考えると、医療機関との相互理解を図る必要があろう。
第3位は「リハビリ施設の要望」で10.3%(13人)である。障害者ができるだけ在宅での自立生活を営むためには欠かせない問題である。身近かにこうした施設がほしいのは言うまでもない。過去、現在リハビリはどこで受けていたのかの具体的調査が求められよう。また、介護者と障害者双方に家庭内で日常的にできるリハビリのプログラム等の指導が個別的になされるといった体制づくりが望まれる。
次に「障害者医療への理解」が多い数値(7%)になっている。知的障害者では、18人中5人が回答しており第1位である。医療機関側に障害者理解を深める努力が求められるところである。

5 医療上、今後希望するもの
第1位は「救急医療体制の整備」である。障害者の場合、健康に不安を持つ方が多いことはすでに述べた。そして受診する場所も遠く、限られており緊急時どうしようかとの不安を常に有している。地域の中に、受診可能なまたは往診可能な医者を持つことができれば最善だと考えるが、これは医療機関との今後の話し合いが望まれる。
第2位の「リハビリ治療」と第3位の「家庭での訓練指導」は同質のものと考えられる。すでに述べたように障害者にとってリハビリは単に体の機能回復にとどまらず、生活全般に関わる重要な問題である。専門的指導とそれを日常的に実践できる家庭内でのリハビリを指導してくれる機関が必要とされている。できれば、訪問リハビリ制度がほしい。

5 介   護
身体障害者
1 介護状況について
(1)有効回答数が全体の約半数ということは、3・4級といった重度でない方々も調査対象になっているということであろうか。
(2)介護を要する項目としては、外出(65.4%)入浴(52.7%)衣服着脱(45.5%)歩行(45.3%)等が高数値になっている。体位交換(28%)や排尿(31.6%)排便(34.2%)といった日常的にかなり介護を要する割合は比較的少ない。しかし、介護問題で最も注目すべきは、この日常的にかなり介護を要する重度障害者の存在である。介護者の肉体的・精神的・時間的負担が最も重く支援を必要とするケースであるからだ。

2 介 護 者
圧倒的に配偶者(56.2%)が多い。中途障害者と自立障害者が多いということであろうか。したがって、子どもとの回答も15人(16.9%)と第2位になっている。一方、重度の肢体不自由者に多い父母との回答は11.2%(10人)と少ない。しかし、配偶者が介護者という場合、年齢層が高いという状況から、高齢者が多いと考えられる。高齢者にとって介護は非常に負担が多い。また介護者側の健康状態によっては介護そのものが困難になる場合が生ずる可能性があり、より具体的な調査が必要であろう。
次に、問題と考えられるのは、ヘルパー利用者が少ないことである。4.5%にすぎない。有料ヘルパーも同数である。介護の代替者としてヘルパーをあげている人は皆無であるのに、今後の希望として20人がヘルパー派遣をあげているのは興味深い。最終方策として考えているということであろうか。しかし、介護者が介護不能となった段階でのヘルパー利用では現時点でのヘルパー制度を考えると、在宅での生活はかなりむずかしい。こうした認識が利用者側にあるのだろうか。
介護者のノーマライゼーションを考えるべきであり、その認識を広める必要があろう。介護者の代替者を得るのがむずかしいとの回答が約半数もあることから、これは重要なテーマであろう。

3 介護についての今後の希望
第1位はヘルパー派遣である。これは既に述べたようにもっと積極的利用を図り、介護する側もされる側も、生活の質を変えていくことが望まれよう。福祉制度利用に対する従来の恩恵的思想の変革が求められる。介護ボランティアの訪問についても要望が多く、実際介護が大変であるとの想いが伝わってくる。無理のない形での介護支援策がつくり出きれる必要があるのかもしれない。
一時的入所・入院についての要望も多い(16.7%)。これは介護ができなくなった時の一時避難的性質のものとして必要性が求められているということであろう。障害者用ショートステイは現在あまり行われておらず、今後地域内の利便性のある場所に、ショートスティ、ディサービス可能な施設の設置が望まれる。また、介護を軽減する福祉機器についての情報と容易な入手方法についての具体的検討も求められる。福祉機器の利用は常に介護を軽減するのでなく、障害者の自立を促す役割をも有すると考えるからである。

知的障害者
1 介護状況について
「外出」がとび抜けて多い(64.7%)が、他は35%前後というところである。特に全面介護を要するのは、1~3人で絶対数は少ない。

2 介護者
父・母が84.2%と圧倒的に多く、残りも兄弟姉妹となっている。家庭の中での介護ということがわかる。これは知的障害者に若年層が多いことと、配偶者を得ることが困難であるとの理由からであろう。介護代替者もいるとの回答が多く、その代替者は他の家族ということである。家族が介護できる間は特に重大な問題は生じないが問題は、家庭内での介護が困難になった時であろう。

3 今後の希望
第1位は、一時入院・入所である。これは父・母等の介護が困難になった時には施設への入所が不可欠であるとの認識であろう。父・母の介護が困難になった場合、多くの知的障害者は施設入所が一般的である。今後の施策の方向は、こうした家庭が入所施設ではなく地域の中で生活できるよう方策を具体的に考えることであろう。例えば各地で実践されているグループホームのような施設、ケア付住宅のような施設で生活が可能になる試みが図られる必要があろう。

6 家庭・社会生活
 【身体障害者
1 日常生活
テレビ(26.2%)読書(9.3%)なんとなく(6.1%)と、家の中で日中を過ごす回答が多い。一方、仕事・内職との回答は16.4%(35人)と多いのだが社会的活動は1.4%(3人)ときわめて少ない。仕事を持つ人はごく当たり前の生活が可能なのだろうが、そうでない場合はほとんど社会(地域)との接点を持たずに家の中での生活が主になっているという印象が強い。

2 外   出
毎日または週に数回外出するという回答が、43%あり多くの方が外出している様子がわかる。その一方で年数回からほとんどないという回答も24%と4人に1人はほとんど外出していない。問題はこちらにある。1年にほとんど外出することなく家の中だけが生活の場だけであるというのは決してノーマルな状態ではない。どうして外出しないのかという設問に対して、第1位は外出する必要がない(29.8%)という回答である。外出する必要ないということは具体的にはいかなることを意味するのであろうか。外出しても行くところが無いということであろうか。外出目的が無いという閉じられた生活をどう開いていくか具体的方策が求められよう。
他には「人の迷惑」(14.3%)が目立つ。人の手をわずらわせるからということなのであろうが、介護する側もされる側も、気がねせず外出できる関係の構築が望まれる。また、「障害者用の施設・整備」「交通機関の不便さ」「車等の危機」「道路の不備」「エレベーターの不設置」といった、地域の環境の不備が外出を阻害しているとの回答も少数ながらある。こうした阻害要因の改善が図られねばならない。

3 外出場所
よく行く所としては「病・医院」「衣料・食料品店等」が圧倒的に多い。次いで「銀行・郵便局・農協等」と「理・美容院」となっている生活上欠かせない場ばかりである。時々行く所も「病・医院」「理・美容院」が目立って多いのは上記のことと関連して納得できるがここでは「親戚・友人宅」が多いのか注目される。行くことはないが行ってみたい所としては「ホテル・旅館等」「図書館・博物館等」「カラオケ」「映画館・劇場等」「保健センター」の順になっている。教養、娯楽関係の所が目立っている。日常的な外出先としては生活上不可欠な所が多いが行ってみたい場所としては楽しみを求める所である。こうした所に行く機会が日常的にもてる支援体制づくりが求められよう。

4 社会参加の場
もっとも多かったのは「障害者同士の交流」で33.6%(37人)である。障害者の団体もあり、活動はしているのであろうか。日常的な交流を図る場が用意されていないということであろうか。情報交換の場は是非必要であろう。障害を持つ同士が心を開ける場があることで精神的安定を得ることができるとともに、それが社会参加への積極的行動を促す第1歩にもなるであろう。また「地域での交流」(18.2%)を望む声も多い。これは、日常的に地域の生活の場に参加していないことの表明であろう。「国連・障害者の10年」のメインテーマは「完全参加と自立」であった。障害者が社会参加する状況を作り出し、共に生活を楽しむ場づくりが望まれる。

知的障害者
1 日常生活
テレビとの回答(30.8%)がもっとも多かった。次いで仕事・内職の6人(23.1%)である。被雇用者が4人おり、作業所に通所している方がいるので、この数字になるのであろう。こうした、仕事を持つ方の日常生活は現在のところは問題ない。問題とすべきはそれ以外の方である。テレビとの回答以外では2人が「なんとなく」と回答している。26人中10人は日中をほとんど家の中で過ごしている光景がうかがえる。楽しい時はどんな時かどの設問についても、第1位が「テレビ」(34.4%)第2位が「家族とのだんらん」(21.9%)となっている。生活空間が閉ざされている。地域とのつながり他の人々とのつながりを感じさせるのは「友人と一緒に時」(18.8%)「仕事」(0.3%)といった回答で絶対数は少ない。身体障害も同様の状況であると考えられる。

2 外 出
身体障害者に比較して外出頻度は高い。「毎日」との回答が最も多く45%(9人)ある。これは仕事と学校へ通う方々である。「週に1~2回」(25%)と「月に2~3回」(20%)も合計すると45%あり、毎日と同数になっており極端な傾向がでている。仕事や学校といった明確な外出理由を持たない場合、外出機会は少なくなるということである。

3 外 出 先
「よく行く所」としては「デパート・百貨店」と「友人・親戚宅」が多く、次に「食料品・衣料品店」となっている。「ときどき行く所」としては多い順に「病院・医院」「デパート・百貨店」「理・美容院」となっている。「デパート・百貨店」が全体としては圧倒的に多い。養護学校へ子どもを通わせる保護者と話した時「何が嫌かと言って、長期の休みがもっとも嫌」と聞いた。1日をどう子どもと過ごすか大変だというのだ。ある保護者は寒中、3時間も新幹線のホームにいたことがある。子どもが電車を見たいといってホームを離れないからだ。
「デパート・百貨店」は時間を過ごすのに好都合な場所なのであろう。「行ってみたい所」としては「映画館・劇場」「図書館・博物館」「公園・遊園地」との答えが多い。いつでも連れていけそうな場所ではあるが、決してそうではない。こうした人の多く集まる場に子どもを連れて行った時、他人の視線が気になるのだ。奇異な声や動作に視線が集まる。迷惑顔をあからさまにされる。これは知的障害児を持つ親が一様に経験することである。気がねなく親も子どもも楽しめる状況があるのなら喜んでこうした場に連れていけるのであろうにと思う。外出しない理由については外出しないとの回答がなかったためほとんど回答がなかった。

4 社会参加
第1位は「障害者同士の交流」(33.3%)で第2位は「旅行等集団体験」(26.7%)であった。この2つの項目を併せると、障害者同士で旅行ができればいいということである。障害者とその家族以外の人には入ってほしくないとの声を聞くことがある。方向としては、そうした感情が解消されることが望まれるが、とりあえずは、障害者とその家族との交流が図られる企画がたてられても良いであろう。「障害者の健常者との交流」「地域での交流」を望む回答が2人ずつあった。こうした積極的な姿勢を受け入れ実現する具体的方策が図られなければならない。

7 制   度
1 福祉制度の活用状況
「利用あり」との回答については特に指摘すべきことはない。特に問題なのは制度そのものを「知らない」との回答である。この項目全体に対する回答そのものが、約2/3程度であり、無回答の方々がどうなのか気になるところではあるが、「知らない」との回答は全体的にみてほぼ2割前後いる。制度はまず周知徹底が図られるべきである。現在の広報活動の見直しが求められる。
次に、全体の半数を占める「制度は知っているが利用していない」層の問題である。現在の制度は対症療法的性格が濃い。一人一人の障害者が在宅生活を十全に過ごすことができるためには、いかなる制度があれば良いかとの視点が弱い。障害者への生活実態についての詳細な認識に基づいて、制度の根本的なあり方を探る取り組みが必要なのではなかろうか。知的障害者については「制度を知らない」とする回答が全体的に多い。必要性にとぼしいということがその理由として考えられるが、必要に迫られた時、いかなる制度を利用できるかという知識は最低限持つべきだと考える。制度の周知についての工夫が求められよう。

2 相   談
身体障害者で「身体障害者相談員」を知らないとする回答が40.1%もあるのはいかなる理由であろうか。他の関係職員についての相談と認識についての回答はほぼ妥当なところかとは思われるが、全体的にみて少なからず人が「知らない」と回答していることは注目すべきであろう。これは知的障害者についても全く同じことが言える。

8 行政への要望
身体障害者
抜きん出て多いのは「年金の充実」(25.4%)である。これはすでに収入の項で述べたのでここでは詳しくは論じないが生活を支える基本は生活費であるという当たり前のことが表明されている。次は「医療の充実」と「福祉施設」とである。両者についてもすでにその要望の切実なる理由について既に述べたところである。
「交通機関」(10.4%)が高い数値になっているのが目立つ地域の公的交通機関が特に障害者にとって不便な状況があるとするならば、何らかの代替措置を図ることが望まれよう。ないしはタクシー助成の改善が図られるといった方策も検討されることが望まれる。「デイケア施設」の要望も高い。これは先の「福祉施設」と同質の要望であることから、地域内に、ディ・サービス機能を有する施設の設置を求める声が大であると認識すべきであろう。
知的障害者
身体障害者に比して要望が所得・雇用に極端に偏っている。多い順に「授産施設」「雇用の促進」「年金の充実」になっている。他の要望はごく少数である。これは現在、在宅生活をしており、在宅生活をどう送るかということへの関心の強さである。現在、仕事を持っている(作業所を含めて)人は日中の生活が保障されているが、そうでない場合は先にも見たとおり、全く家の中だけでの生活になる。この状況を解決するためには仕事先や授産施設という現実的発想になるのであろう。

児       童

アンケート状況

アンケート調査対象:未就学児を持つ母親352人
        回答275人 回収率78.1%
1 家族の属性
(1)父親の年齢
30才代が63.2%と圧倒的に多く、次いで40才代の20.7%、20才代の12.8%となっている。19才代以下と50才代以上はごくわずかである。

(2)母親の年齢
父親と同様30才代が62.8%と多いが、父親と違って次が20才代の27.3%となっている。

(3)父・母の同居・別居について
同居が86.3%と多いのは当然であろうが、別居3.3%、死離別7.8%と現在片親家族が11%にも達していることは注目される。すでに調査に行われている静岡県では、同居率が92.15であり、死離別が13%であるのと比較して、数値にかなりの差が見られる。

(4)父方祖父母との同居
祖父について「同居」は19.8%と多くはないが、「別居だが近い」33.2%を加えると53%に達する。死離別の25.9%を除いてみると、家族内ないしは近距離に祖父がおり、日常的交流がれる関係にあると考えられる。また祖母も「同居」は26.9%だが、「別居だが近い」の33%を合わせると59.9%になり祖父よりも近い位置にあることがわかる。

(5)母方祖父母との同居
母方祖父について「同居」は7.6%と、父方祖父に比較してかなり低い数値であるが、「別居に近い」の41.6%を加えると49.2%と過半数に達する。祖母の「同居」も10%と少ないが、「別居だが近い」の44.2%を加えると54.2%と半数を越えている。母方祖父母は父方よりは若干数値が低いだけでかなり近い位置におり、同程度に日常的関係を維持しやすい状態にある。祖父母が同居もしくは近くに別居している数は、父方の祖母が約60%あるだけで、他は50%前後であり、約半数は日常的関係が持ちにくい位置にあると言えよう。

2 子どもの保育場所
 順番に「自宅で子供の親がみている」37.9%、「認可保育所」30.6%、「幼稚園」27.1%となっている。他に「職場の保育施設」0.9%と「その他の託児・保育施設」1.2%がある今回の調査結果では年齢別区分をしていないが、3才未満児と3才以上児ではかなり状況が変わると考えられる。特に「自宅で子供の親がみている」の37.9%は数字が大きすぎる。一般的に4才未満児の場合は、自宅でみるケースは多いのだが、4才以上児の場合は幼稚園か保育所のどちらかに通うのが全国的傾向である。
3 母親の属性
(1)職業の有無と職業形態
「有職」が53.6%と「無職」の46.4%を若干上まわっている。
「有職」の内訳についてだが、「パート・アルバイト」が45.9%と多く、「常勤」の25.5%、「自営業者」の19.1%の数値をかなり引き離してる。

(2)働く意志について
無職者を対象に、その理由についてたずねている。
「働きたくない」との回答は29.2%と1/3に満たない。むしろ「働きたい」39%、「働きたいけど働けない」31.6%と働きたい意欲を有している回答が圧倒的に多い。

(3)働けない理由
「働きたいが働けない」と回答した31.6%(43人)にその理由をたずねている。第一の理由は「子どもを預ける場所がない」で32.6%に達する。第二は「家族の看病・介護」で27.9%である。今後の高齢化の進展を考えると、この数値は増大する可能性が高い。第三が「家族の同意が得がたい」14.0%となっている。いずれも働きたいという想いはありながらも、働くための環境た整っていないことが理由になっている。特に1/3が「子どもを預ける場所がない」としているのは問題であろう。保育所の定員が充足しているわけではないのだから、制度運用上に柔軟性が求められているのではなかろうか。

(4)有職の母親の1日の労働時間
パートタイマーの割合が多いという回答を反映している。8時間未満との回答が74.8%に達する。

(5)有職の母親の日曜・祝日の出勤
「よくある」16%と「時々ある」26.7%のとを合計すると42.7%が日・祝日の出勤がある職場に勤めていることになる。

(6)有職の母親の帰宅時間
午後6時までに帰宅できるとの回答は55.9%で、半数を若干越えている状況であり、27.6%は6時以降の帰宅になっている。うち2人は10時以降の帰宅である。パートタイマーが多く、労働時間が昼間のみということではなく、かなり変則的な状態にあることがわかる。現行の保育時間は夕方6時までが普通である。帰宅時間が6時を過ぎる場合、何らかの形の二重保育が必要となっていると考えられる。

(7)働いている理由・働きたい理由
上位から「より豊かな生活」24.9%、「社会的視野」20.2%、「人間関係が広がる」18.2%、「能力・資格が生かせる」17.4%「家計のため」16.6%となっている。社会的視野や人間関係の広がりといった理由が上位にあるが、やはり経済的理由がその第一であろうと考えられる。より豊かな生活とは言い換えれば、安定した生活、将来への備えといった意味が含まれているであろうから。

(8)育児休業取得の有無
常勤者が25.5%であったから、育児休業法の適用を受けるケースが少ないのは当然であろう。
「取っていない、取るつもりがない」との回答が62.5%ある。

(9)育児休業を取らない理由
「育児休業をとる必要がない」との回答は36.6%である。「職場に制度がない」19.6%、「制度はあるが取りにくい雰囲気」5.9%、「制度はあるが人手がないので取れない」3.9%、「制度を知らなかった」4.6%とあるのは問題であろう。育児休業制度の普及と徹底があらゆる職場でられる必要があろう。

(10)育児休業の期間
「1年以上」は約半数の47.8%であり、他は1年未満であり29.5%は6か月未満である。必然的に乳児期の保育をどうするかという課題が生ずるであろう。

4 父親の属性
(1)職業の有無
242人全員が「有職」である。

(2)職業の形態
69.4%が「常勤」であり「自営業者」の19.4%を加えると88.8%となり、勤務状況はおおむね安定していると考えられる。

5 住居について
(1)住まいの状況
「持家・一戸建」が65.9%と圧倒的に多い。由宇町における高齢者世帯の場合「自己所有」が88.4%であり、それと比較すると低いが、静岡県の調査では57.3%と由宇町よりも低い数値になっている。

(2)居住年数
「5年~10年未満」26.1%、「3年~5年未満」25.4%、「1年~3年未満」22.1%、「10年以上」14.5%、「1年未満」12%の順になっている。

6 子育てについて
(1)理想の子どもの数
「3人」が54.8%と半数を占め、次いで「2人」の32.1%となっている。「4人」との回答も10.3%あり、少なくとも2人、できうるならば3人以上ということであろう。

(2)現実の子どもの数
「2人」が47.3%で「3人」が32.8%である。「1人」も13.7%あり、理想の子ども数より1人程少なくなっている。平均は約2.3人となっている。合計特殊出生率が約1.5人であるから、それを比較すると一家庭あたりの子ども数が極端に減っているわけではない。

(3)理想より現実の子どもの数が少ない理由
圧倒的に多い回答は「お金がかかる」59%である。子育てが経済的負担を強いることがわかる。これは現在だけでなく将来にわたっての負担も視野に入れてのことであろう。次いで「精神的・肉体的負担が大きい」38%、「仕事と育児の両立が難しい」30%と続く。多くの場合育児のかなりの部分を負うことになる。その際の負担の重さを実感しているが故の回答であろう。「住宅事情や自然環境が悪い」12%、「子どもをとりまく社会環境に不安がある」11.0%といった回答も注目される。地域の子育て環境に不安を抱いている。

(4)子育ての喜びやプラス面
上位の回答は順番に「生きがい、はりあい」51.9%、「家庭の中が明るくなる」47.4%、「親も人間的に成長する」46.7%であり、数値の多い回答はこの3つに集中している。

(5)子育ての難しさマイナス面
「自分の時間が持てない」55.6%と「時々子どもにあたってしまう」47.8%との回答が多い。次いで「精神的負担が大きくイライラする」25.9%、「体力的負担が大きい」23.7%となっている。時間的余裕がなく、その上肉体的・精神的負担が大きく余裕を持ってゆったりと子育てを楽しむということができない悩みをかかえている実態が見られる。

(6)子育て以前の他の赤ちゃんへの接触経験
「機会があった」とする回答は26.8%であり、大半はほとんどそうした機会を有していない。自分の子どもが産まれて初めてという場合が多いことを意味する。

(7)子育ての不安や悩みの有無
「特にない」との回答は25.8%で、残りの75.2%は何らかの不安や悩みを抱えている。

(8)子育ての不安や悩みの内容
「安心して遊ばせる場所がない」32.1%、「近所に子どもの遊び友達がいない」「社会環境、自然環境、食物の安全性に不安」「住居が子育てに十分な広さでない」9.5%、「近くに保育所・幼稚園・小学校がない」2.1%、といった子育て環境に対する不安についての回答が多いのが目立つ。他には「養育費、教育費にお金がかかる」26.3%と経済的負担への不安も数多い。また、「家族と意見が合わない」8.9%、「子育ての指示の違いに戸惑う」5.8%、「子育てが全般的にわからない」2.6%といった子育て方法についての悩み、不安がみられる。

(9)不安や悩みの相談相手
「夫」78%、「知人・友人」57.6%「親・家族・親戚等」44.8%に集中している。「先生」12.8%、「医師・看護婦・保健婦」7.6%、「保健所などの育児相談を利用」1.6%、「公的機関に相談」0.4%と専門家への相談は少ない。相談機能の充実が求められるであろう。

(10)子育ての知識の入手先
「友人・知人」55.6%、「新聞・育児書等」50.4%、「親・家族・親戚等」50.0%が目立つ。「保育所・幼稚園など」は19.6%と前三者と比較してかなり低い数値になっている。また「夫」との回答は11.9%であり、子育ての知識についてはあまり期待されていない。「母親学級等の講習会や講演」との回答が11.1%あり「子育てサークルの仲間」1.5%とともに注目される。

(11)緊急時に子どもを預かってくれる人
77.4%が「親」と回答し、「夫」の52.2%よりもはるかに高い数値になっている。「認可保育所」が11.5%とあるのは、母親の帰宅時間が遅くなった場合ということであろう。4.4%は「預かってもらえる人がいない」と回答している。

(12)両親が不在の場合、小3までの子が放課後過ごす場所
「自宅(祖父母など大人と一緒)」38.9%との回答が最も多いが、次いで「自宅(子どもだけ)」32.2%との回答も多く、核家族代実態がみられる。「児童館や放課後クラブ」との回答はない。

(13) 父親の育児へのかかわり方
「全般にわたって積極的」との回答が47.4%であり、約半数は積極的にかかわっている。「ほとんどかかわっていない」は3.9%とごくわずかである。しかし、「頼めば手伝うが頼まなければ手伝わない」21.5%、「積極的ではないが一部負担している」26.8%との回答は、子育てを母親にかなりの部分を負わせていることがわかる。

(14)父親への育児の期待
「全般的にかかわってほしい」58.6%、「一部でよいからかかわってほしい」40.2%は、母親の肉体的・精神的負担への悩み、不安を考える時当然であろう。男性の子育てについての認識を変革すると同時に、育児にかかわれる環境づくりも考えられねばならないであろう。

(15) 父親にかかわってほしい育児内容
「遊び相手」77.6%との回答が多い。「身の回りの世話」は26.7%と低く、せめて遊び相手ぐらいはという程度で、さほど大きな期待ではないのである。「しつけ」も59.3%と大きく、家庭内における父親の存在をきちんと示してほしいということであろうか。

7 保育について
(1)施設などの利用状況
「利用の経験」と「利用の希望」の間の差が激しい項目としては、「職場の保育施設」「放課後クラブ(学童保育)」「児童館」「デパートなどの託児室」「講座や演劇の時の託児室」があげられる。保育施設の利便性、学童期の子育て、母親の日常生活、特に文化、教養活動支援等が求められているということであろう。

(2)保育するところの選定基準
「保育をする人の人柄」45.9%との回答が多く、次が「基本的生活習慣」40.0%である。子どもに信頼され、子どもが喜んで通園する環境づくりをする保護者に対する期待が大きい。保育内容についていえば、本来家庭ですべき基本的生活習慣づくりを保育施設に期待している。日中の大半を過ごし、一緒に過ごす時間が親よりもはるかに多いことからこうした期待が生まれるのであろう。保育施設と家庭との連携をいかにするかが大事であろう。次は保育施設の利便性である。「距離や交通の便」34.4%、「保育時間」30.4%の数値も大きい。他には「設備の安全性・快適さ」34.4%、「保育料」20.7%、「家庭的雰囲気」18.9%等が目立つ回答になっている。

(3)家庭で育てたい年齢。
「3才」までとする回答が66.8%で圧倒的に多い。3才以上とする回答の合計が80.4%に達し、低年齢児は親のもとでとの意識が顕著である。特に「0才」との回答は1人しかおらず、乳児保育への抵抗は強いようである。

(4)保育所への送迎時間
朝は「8時~8時30分」が42.1%と多く、8時以前との回答は18.9%である。大半は8時以降であるが、それでも約2割は8時以前になっている。
夕方の迎えの時間については、「5時以前」が63.4%「5時~6時」がで合計95.5%となる。ごくわずかな子どもを除いて6時までには保育所を出ている。ただし、若干ではあるが6時以降の子もいる。

(5)保育所への送迎者
送迎ともに母親が主である。朝が80.5%夕方が71.2%で朝の方が多い。次は、祖母で朝が8.1%夕方が16.0%になっている。両者を合わせると、朝が88.6%夕方が87.2%となり、保育所への送迎はこの両者で行われていることになる。

(6)残業・急用等でお迎えが遅くなった時
「自分や夫の親や親戚に頼む」39.6%「自分と夫で調整」33.0%と7割以上は家庭内で処理できるが、19.3%は「保育所で待たせてもらう」と回答している。保育所で待たせてもらうことへの心理的抑圧は大きい。気がねせず預けられる環境作づくりが望まれる。

(7)保育に関する満足度
満足度の高いものは、順に「通園距離・時間」67.3%「給食」65.1%「保育開始時間」62.0%となっている。満足度の低いものは、「保育料」20.7%「入所手続き」40.2%「保育日・日数」44.9%の順になっている。不満度の高いものは「保育料」33.6%「保母の配置人数」12.0%「建物・園庭や設備」5.9%である。全体的に、不満とする数値は少なく、満足または普通との回答が多い。

(8)今後の保育所利用
今後、保育所の機能として必要とするものについて、一般的にと個人的にとの両面からたずねている。まず社会的・一般的にみて必要度の高いものとしては次のような項目がある。
「緊急・一時的保育」84.9%「学童保育」83.0%「延長保育」81.8%「障害児保育」80.6%「休日保育」72.5%、更にあまり必要でないものとしては「出張保育」64.8%、「病後児保育」47.0%「夜間保育」46.7%、「病児保育」46.4%、「乳児保育」40.9%があげられる。また、あなた自身が利用するかどうかという問いであるが、同様の傾向が見られると同時に若干の違いも見られる。「学童保育」69.8%、「緊急・一時的保育」65.5%、「障害児保育」63.6%、「延長保育」55.7%については必要度と同様に高い数値になっているが、「休出保育」は37.8%と低い数値になっている。
利用しないとの回答で多いものとしては「乳児保育」82.2%、「夜間保育」81.9%、「出張保育」76.8%の数値が高い。子育てに対する意識と地域性が顕著に出ているように思われる。

(9)保育所の子育て支援
「保育所の行事を通じた親子の交流」が50.8%と多く、保育所に預けるだけでなく、保育所が保育活動に親を参加させることを望んでいることがわかる。「育児講座や育児相談室の開催」31.2%や「保育所と保健所、児童相談所などの連携」28.4%は、育児についての相談を保育所が核になって果たすことを期待している。その他の項目についても、保育所が地域における子育てセンター的役割を果たすことが期待されていることがわかる。また、保育所を地域住民の交流の場として活用することも期待されている。

8 子育ての社会的支援
 子育て支援機関の周知度と利用状況とについての調査である。まず、支援機関の周知度のきわめて高いものとしては「由宇町保健センター」97.7%、「教育相談」92.6%、「子ども会」92.2がある。次いで「育児セミナー」83.3%、「育児相談」82.4%、「母子保健推進員」81.1%も周知度は高い。逆に「児童委員」31.7%、「家庭児童相談室」46.9%、「子ども家庭110番」、51.5%は比較的周知度が低くなっている。利用度はある程度周知度との相関関係がみられる。「由宇町保健センター」は検診の関係もあり83.3%ととりたてて利用度が高い。次いで「母子保健推進員」45.9%、「子ども会」41.3%が他の機関に比較して利用度が高い。「育児セミナー」22.1%、「育児相談」19.4%、「教育相談」3.8%は周知度に比して利用度は低い。育児相談などの要望は多いのだから、より利用度を高める工夫が求められよう。
9 児童手当について
(1)児童手当支給の有無
所得の限度額を超えている場合を除くと大半が「受給している」79.9%、状況にある。ただし「制度があることを知らなかった」1.3%との回答は無視できない。

(2)児童手当制度の充実への希望
「所得制度の緩和」74.8%、「手当の増額」57.2%と児童手当への期待は大きい。子育てをする上で、経済的負担が重いことはすでにみた通りである。経済的負担を軽くする施策が求められる。
10 子どもを健やかに生み育てるための希望
 「子どもの遊び場の確保」が56%と最も多い。自由記述でも遊び場についての要望が数多く出されている。
次に多い「子育てのための経済支援の充実」34.0%、「保育所などの費用負担の軽減」31.2%はいかに現在子育てのための経済的負担が重いかを示している。
「男性も女性も一緒に家事・育児に参加する」28.8%は、現在一方的に女性に負担が強いられている状況に対する批判であるとともに、男性が参加できる就労条件づくりへの期待も込められていよう。
「ゆとりある教育の推進」25.6%と「自然環境の保護」24.4%は、現在の子どものおかれている受験を目標とした学校教育への批判と自然の中で伸び伸びと育ててやりたいという想いとが込められていると理解できる。

福祉の里づくり構想

1 福祉の里づくりの目的
由宇町では、前章までの示すように、来る21世紀における福祉社会づくりに向けて、
 ●長寿社会をすべての人々が享受できる高齢者施策の推進
●子どもが健やかに生まれ育つ環境づくり
●障害者の自立と社会参加の促進
などの課題に対し、的確に対処していこうとしています。
このような課題への対応として、これからの福祉ニーズの多様化、高度化に対し、適切なサービスを提供するため、従来行われてきたような高齢者対策、障害者対策、児童対策といった各部門別の施策展開(縦割り対策)だけでなく、新しい社会システムとして関連分野を有機的に連携させた総合的な対策の推進が必要とされています。
そのためには、高齢者、障害者、児童が社会の一員として楽しくそし不快適に過ごせ、生活、健康維持、社会参加、生きがいなど多方面で、公的機関と民間施設がお互いを補い合い、行き届いたサービスを提供していくことが必要です。
以上のことから、福祉の里づくりは、21世紀に向けた新しい社会システムである総合的な福祉環境形成の一環として、総合的な福祉拠点づくりを目指すものです。

[福祉の里づくりの目的]

2 福祉の里の建設理念
 福祉の里は、高齢者・児童・障害者に対する、総合的な福祉サービスの拠点の整備を目指します。
また、この拠点が地域社会から隔離されたものではなく、誰もが日常生活の中で利用し、地域社会に溶け込んだ拠点としていくため、自然を生かした「交流」「健康回復」「遊び」の場としての整備も目指します。
さらに、将来的には身近にこれらの福祉サービスが享受できる“生活福祉村”として、周辺での一般住宅地の整備も行い、全国的にもアピールできる先進的な福祉の里を目指します。
以上の考え方をもとに、福祉の里の建設理念を次に示します。

高次の高齢者医療・福祉の拠点                                              

● 既存の高齢者医療福祉施設(みどり病院、老人保健施設みどり荘)の充実など、高次の高齢者医療福祉の拠点として整備します。
● 既存の身体障害者福祉施設(心身障害者療護施設緑風園、精神薄弱者厚生施設若葉園)の充実とともに、地域社会の中で自立に必要な機能の拡大を図り、心身障害者福祉の拠点として整備します。

 子供の自然王国(児童福祉の拠点)                                           

● 自然学習、エコロジーや昔の知恵にふれる等、健康と遊びを学ぶ拠点として整備します。

 広域交流・世代交流の森(交流拠点)                                          

● 家族や学校、地域団体等が利用する「交流(ふれあい)」の拠点として整備します。

[福祉の里の建設理念]

3 福祉の里への導入機能
1 高齢者医療福祉拠点としての導入機能
高齢者医療福祉拠点として、町に不足している福祉施設の導入のみでなく、高度の医療・福祉・リハビリ・研修・居住等の機能が一体となった場所とするため、以下の機能の導入を図ります。

図-高齢者医療福祉拠点としての導入機能

高齢者医療福祉拠点
<医療施設系>
● 老人病院(老人保健施設併設)
<福祉施設系>
● 高度のデイサービスセンター
● 在宅介護支援センター(24時間体制)
● ショートステイ
● 入所施設
● リハビリ施設
● 研修センター
● 宿泊施設(ゲストルーム)
● 屋外軽運動施設(ゲートボール等)
● 果樹園・菜園
● 共同作業所(工房)
● 農産品・手づくり品等の直売所
<住居系>
● ケア付住宅
(ここでは、低所得者も入居可能な公営等によるシルバーハウジング住宅が望ましい)
2 障害者福祉拠点としての導入機能
障害者が地域社会の中で自立した生活が営めるよう、以下の機能の導入を図る。

図-障害者福祉拠点としての導入機能

障害者福祉拠点
<福祉施設系>
● デイサービスセンター
● 在宅介護支援センター
● ボランティア交流センター
● ショートステイ
● 入所施設
● リハビリ施設
● 研修センター
● 宿泊施設(ゲストルーム)
● 屋外軽運動施設(ゲートボール等)
● 果樹園・菜園
● 共同作業所(工房)
● 農産品・手づくり品等の直売所
<住居系>
● ケア付住宅
● グループホーム



3 児童福祉拠点としての導入機能
児童の自然体験・研修活動を中心に・広域交流・世代間交流を行う場として・以下の機能の導入を図る。
なお、施設等の維持・管理や子どもの野外活動の先生として、高齢者や障害者(軽度)の能力活用を図り、生きがい対策や自立した生活の基盤づくりの場として利用する。

図-児童福祉拠点としての導入機能

児童福祉拠点
● 小動物とのふれあい広場・野鳥の森・昆虫の森
● 水辺の遊び場(釣り・イカダ等)
● 昔の遊び場(高齢者とのふれあい)
● 森の工作工房(高齢者・障害者とのふれあい)
● 自然観察(自然学習館・森のデッキ)
● キャンプ場
● フィールドアスレチック広場
● 果樹園・農園

主題:
ゆうゆう21福祉まちづくりプラン 由宇町総合福祉計画

発行者:
由宇町

発行年月:
1997年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒740-14 山口県由宇町5920-1
障害保健福祉所管課長
TEL (0827)63-1111

策定にあたって

1 策定の趣旨

近年、経済のソフト化・サービス化の進行や技術革新・情報化の急速な進展、高速交通体系の整備、国際化の進展など社会経済情勢は大きく変化してきています。そして、これらの変化は、地域社会やすべての人々の生活にさまざまな影響を及ぼしてきています。このような状況の中で、特に社会福祉を取り巻く環境については……
1.高齢化の急速な進行
2.家庭や地域社会のもつ福祉的機能の変化
3.生活の質への志向など生活意識や価値観の多様化
4.福祉に対する考え方の変化
など今後、新たな対応を要したり、重要性を増すと考えられるいくつかの大きな変化がみられます。
このような環境の中で、21世紀の福祉社会づくりに向けて……
1.長寿社会をすべての人々が享受できるような高齢者対策の推進
2.障害者の自立と社会参加の促進
3.子どもが健やかに生まれ育つ環境づくり
などの諸課題に的確に対応していく必要があります。
このような課題への対応にあたっては、福祉ニーズが多様化、高度化してきている今回、適切なサービスを提供するためには、従来の高齢者対策、障害者対策、児童対策といった分野別の施策展開(縦割り対策)だけでなく、新しい社会システムとして関連分野を有機的に連携させた総合的な 対策の推進が必要とされています。
こうしたことから、21世紀に向けて、長期的な視点のもとに、新しい福祉社会づくりをすすめるため、本町における福祉の総合計画である『ゆうゆう21福祉まちづくりプラン』を策定するものです。

2 計画の性格

本計画は、『由宇町基本構想』・『長期計画』に掲げる福祉充実策の基本課題にもとづき、高齢者対策、障害者対策、児童対策の関連分野を有機的に連携させた総合的な施策推進をめざすものです。

3 計画の期間

平成8年度(1996年度)から平成12年度(2000年度)までの5年間とします。

由宇町の概

由宇町は・山口県玖珂郡の東南部にあり、東は瀬戸内海に臨み、西は周東町、南は大畠町および柳井市、北は岩国市に接しています。本町の海岸線に沿ってJR山陽本線と国道188号線が走り、隣接の岩国市および柳井市の中心部までJR又は車で15~25分、広島市まではおよそ1時間の通勤等に便利な位置にあります。北西部には、国道437号線が走り、山陽自動車道玖珂インターチェンジの開設と併せて岩国、広島方面の観光リゾート道路として期待されます。
本町の面積は、29.18平方キロメートル、長さは、東西7.2㎞、南北7.8㎞であり、海岸線の長さは、およそ9㎞です。瀬戸内式気候で一年中温暖で、雨量は比較的少なく、海も山も川もあり、自然に恵まれた風光明媚な町です。
このため、近年になって住宅団地が開発されベッドタウン的状況も見えてきた。また、海岸部の埋立て造成地の工場団地に自動車関連企業の進出もあり、山口県下で人口の増加している数少ない町の一つです。

高齢者・障害者・児童の実態と推計

1 高 齢 者

(単位:人)

区    分 H7.10.1現在 H11年度推計




←(高齢化率)
総    人    口 9,597 9,936
40~64歳人口 3,607 3,747
65歳以上 人 口 (19.5%) 1,868 (22.5%) 2,236
寝たきり 在宅老人数 20 53
特養入所者数 10 29
老人保健施設 10 25
長期入院者数 90 73
痴呆性老人数 (※18) 90 (※19) 129
虚   弱 在宅老人数 83 101
養護人所者数 4 7

※痴呆性老人数の()書は、要介護老人数である。

2 障 害 者

【身体障害者(児)】

(単位:人)

             等 級
障害区分
1級 2級 3級 4級 5級 6級 合計
 視            覚  12 7 2 4 4 2 31
 聴 覚 平 衡 機 能 2 9 3 1 0 6 21
 音 声 言 語 機 能 0 1 1 2 0 0 4
 肢  体  不  自   由 17 21 29 25 16 11 119
 (注1) 内 部 機 能 24 1 13 16 0 0 54
合 計 平成6年4月1日 54 40 43 42 26 23 228
平成8年2月1日 55 39 48 48 20 19 229

※上段合計は、
(注1)内部機能障害=心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこう、直腸、小腸の各機能障害

【知的障害者(児)】

程度 A(最重度・重度) B(中度・軽度) 合 計
療育手帳
所 持 者
H6.4.1
H8.2.1
21
21
11
14
32
35

【精神障害者】

 推      計  平成7年4月1日            180人

3 児   童

年度 年間増減数 自然的動態 社会的動態 住民登録人口
3.31現在
未就学児人数
4.1現在
保育園措置児童数
3.31現在
出生 死亡 増減 転入 転出 その他 増減
H 3 43 78 79 △ 1 463 428 9 44 9,033 494 151
H 4 205 65 79 △14 618 202 3 219 9,238 476 142
H 5 100 67 75 △ 8 540 432 0 108 9,338 499 151
H 6 121 58 95 △37 618 467 7 158 9,459 485 151

(基準日:10月1日 単位:人)

   実数値 推  計  値
年  齢 H 6 H 7 H 8 H 9 H10 H11 H12
 0     歳  73 57 63 61 64 63 64
1     歳 64 74 58 64 62 65 64
2     歳 93 71 82 64 71 69 72
3     歳 87 94 72 83 65 72 70
4     歳 83 93 100 77 89 70 78
5     歳 78 89 100 108 83 96 76
未就学児計 478 478 475 457 434 435 424
6     歳 103 81 92 103 111 85 98
7     歳 108 113 89 101 113 122 93
8     歳 106 116 121 95 108 121 131
9     歳 105 114 125 130 102 116 130
合  計 900 902 902 886 868 879 876


基本方向と基本課題

1 基本方向 

21世紀に向けて、人間尊重を基本としながら、「ノーマライゼーション」「生活の質」「自立と参加」の三つの理念に基づいて、町民だれもが、より豊かな生活をめざし、社会の一員としていきいきと生活するとともに、地域のあらゆる人々が共に暮らせる、福祉マインドと地域連帯感にあふれた福祉社会、いわば『心のふれあうまちづくり』の実現をめざします。

2 基本課題

この基本方向に基づき次の3つの基本課題があげられます。
 お年寄りが安心して住み続けるまちづくり
由宇町の平成7年10月の高齢化率は、19.5%となっており、全国の14.1%に比して5.4ポイント高く、すでに「高齢社会」に突入しており、国よりも速い「超高齢社会」の訪れは必至です。また、核家族化現象の進行は本町でも顕著であり、独り暮らし老人や高齢者だけの世帯の増加をもたらし、加えて要介護老人の増加も予想されます。
21世紀の超高齢社会に向けて、すべての町民が高齢期においても、すこやかで安心した生活がおくれるよう、健康づくりの一層の促進に努め、できる限りねたきり等の状態にならないようにするとともに、介護を要する状態になった場合でも、住み慣れた家庭や地域で生活できるよう、高齢者に適切なサービスが提供できる体制を整備することが必要です。
■ 障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり
1981年の「国際障害者年」以降、国の内外において、障害者に対する施策の推進が積極的に図られてきています。
1993年に策定された「障害者対策に関する新長期計画」は、基本的考え方として、「リハビリテーション」と「ノーマライゼーション」とを掲げています。障害者の「完全参加と平等」の理念を実現しようとするものです。
いかなる障害があろうとも、地域の中で共に生活していける生活環境を構築していくための具体的施策づくりが求められています。
本町においても、障害者を取りまくさまざまなバリアー(障壁)を取り除き、安心して生活できるためのサービスが提供できる体制づくりが必要です。
■ 子どもと子育てにやさしいまちづくり
平成6年、国において「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について(エンゼルプラン)」や「当面の緊急保育対策等を推進するための基本的考え方(緊急保育対策5か年事業)」が策定されました。急激な少子化傾向や子どもを取りまく環境の変化に対応し、子育て問題を社会全体の問題として取り組もうとするものです。
本町においても、少子化傾向は進みつつあり、また、子どもを取りまく環境にも変化がみられます。これからの社会を担う子どもたちを、安心して生み、育てるための地域環境づくりが急がれます。
本町が子どもと子育てにやさしいまちとして、適切なサービスを支援できる体制の整備が必要です。

施策の具体的方策

高 齢 者 施

お年寄りが安心して住み続けるまちづくり

 この課題の具体方策については、平成6年3月に策定した『由宇町老人保健福祉計画』のとおりであるので、ここでは、本町の取り組みについての考え方の記述にとどめる。

1 保健福祉サービスの充実
(1)寝たきりや痴呆を防ぐための保健福祉サービスを拡充し、総合的なサービスを推進する。
(2)住み慣れた家庭、地域で自立した生活が行えるよう、在宅サービスを推進し、地域ケアを基本とする。
(3)多様化するニーズに対応するため、サービスメニューの開発を図り、住民自らが必要なサービスを選択できるよう推進する。
(4)高齢者が健康で、生きがいを持って暮らせる町づくりを推進する。

2 施設の整備
高齢者が、住み慣れた家族、地域で生活が営めるよう、在宅での保健福祉サービスの充実を基本とし、これらのサービス提供施設の整備を図る。

3 保健・福祉の人材の育成、確保
保健婦、ホームヘルパー、看護婦・介護士等を含む社会福祉施設等の職員の確保を図る。

4 高齢者サービス調整チームの活動の活性化
(1)保健・福祉・医療の連携と高齢者対策の推進のために、高齢者サービス調整チームの活性化と機能強化を図る。
(2)在宅介護支援センターとの連携を強め個々のケースに即応できる体制の整備を図る。
(3)OAの活用により情報の一元化率図り、在宅ケアシステムを確立する。

5 関係団体との連携、協調
(1)老人クラブ、母子寡婦福祉会を中心に、友愛訪問、声がけ活動等を展開する。
(2)社会福祉協議会を窓口として、ボランティアの組織的・計画的な供給体制を構築する。
(3)民生委員の活動の充実に努める。

6 社会福祉協議会の活動基盤の強化
組織の基盤となる地域住民との連携を強化し、会員制の拡充を図り、住民参加による地域福祉活動を推進する。

7 地域福祉基金活用による民間活動の活性化
今後・利子運用益で1在宅介護を推進するための住宅改造への資金助成または融資制度、2シルバー人材センターの広域的整備等にも活用していく予定。

8 ねたきり老人対策の推進
(1)ゴールドプランにおいて推進する「ねたきり老人ゼロ作戦」とも呼応しながら、「ねたきりをつくらない」「ねたきりにさせない」ための予防策に取り組む。
(2)生活リハビリテーションの観点から、対象者の食事・移動・入浴の基本的日常的生活におけるリハビリテーションの実施を促進する。

9 痴呆性老人対策の推進
(1)保健・医療・福祉の連携に基づく相談体制の整備・充実を図るとともに、サービスの提供まで一貫した体制を整備する。

10高齢者の生きがいと健康づくり
(1)老人クラブの拡大、組織強化を図るとともに、高齢者の様々な要求に基づくグループの育成や援助を積極的に推進する。
(2)生涯学習の啓発・実践により、高齢者も含めたあらゆる世代の学習意欲を充足する条件整備をおこなう。
(3)生涯学習の一環として健康づくりをとらえ、運動・栄養・休養を3本柱に意識の普及、啓発に努める。
(4)高齢者の就業対策として、シルバー人材センターの広域での設置を目指す。
(5)老人福祉センターを引き続き、生きがいづくりの拠点として利用促進を図る。

障 害 者 施 策

施策の体系

障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり

  • 心のバリアを取り除くために
    • 啓発広報活動
      • 障害者問題の理解促進
      • 「障害者の日」の周知
    • ボランティア活動の推進
    • 「精神薄弱」用語の見直し
  • 地域の中で普通の生活が送れるように
    • 保健・医療
      • 障害の早期発見、早期治療
      • 障害の軽減、補完、治療等
      • 精神保健対策の推進
    • 福祉
      • 在宅サービスの推進
      • 施設サービスの充実
    • 相談体制及び情報収集提供
      • 相談体制の充実
      • 情報提供の充実
  • 社会生活自立のために
    • 教育
      • 教育相談・就学指導体制の充実
      • 障害児に対する教育の充実
    • 雇用・就業
      • 障害者の職業的自立の促進
    • スポーツ・レクリエーション及び文化活動
      • スポーツ・レクリエーションの促進
      • 文化活動参加への支援
  • バリアフリー化を促進するために
    • 障害者に配慮した住宅の供給等
      • 障害者に配慮した住宅の供給
      • 民間住宅のリフォームの促進
    • 建築物の整備
      • 官公庁施設のバリアフリー化
      • 建物のバリアフリー
    • 公園、水辺空間等のオープンスペースの整備
    • 移動・交通手段
      • 移動ニーズへの支援方策の充実
      • 歩行空間の整備
      • 公共交通機関等の利用の利便性の確保
  • 生活の質(QOL)の向上を目指して
    • 福祉用具の研究開発普及
    • 情報通信機器システムの研究・開発・普及
    • 障害者旅行促進のための方策の推進
    • 食生活環境の改善
  • 安全な暮らしを確保するために
    • 地域の防犯・防災ネットワークの確立

障害者一人ひとりの完全参加と平等の実現をめざしたまちづくり

1 心のバリアを取り除くために
1 啓発広報活動

(1)障害者問題の理解促進
現状と問題点:

   身体障害者知的障害者
啓発広報活動の必要性3%0%

アンケート調査結果をみると、当事者と家族にとって啓発活動は、さして重要な問題となっていない。
しかし、さらに障害者施策を推進する為には、地域住民の障害者問題に対する理解を促進することは、大切である。
特に、理解を深めて行くためには、知識として障害者問題をとらえるのではなく、実際に行事等でふれあうことにより、真の理解は生まれる。
この意味でも、従来の行事のあり方を考え直す必要がある。
障害者のための行事は、障害者に関わりのある人以外が参加することは稀であり、むしろ、地域の中の催しに積極的に障害者が参加できる環境づくりを行うことの方がより有効であると考えられる。

   身体障害者
地域の交流の場の希望18%

アンケート調査結果をみると、18%の身体障害者が地域における交流の場を希望している。
これは、地域のボランティア団体、個人が協力することによって可能となる。
例えば、文化講演会等の行事に手話通訳者を配置するとか、車いす利用の障害者を含めた重度障害者に送迎の便を用意する等の配慮が定着することによって、障害者の参加の機会が多くなってくる。

今後の本町の取り組み

「障害者理解は、ふれあいから…」を地域の中に定着していくよう啓蒙や実践活動を促進します。

(2)「障害者の日」の周知
現状と問題点:

1981年(昭和56年)
国際障害者年を記念し、障害者問題について国民の理解と認識を更に深め、障害者福祉の増進を図るため、国の「国際障害者推進本部」が12月9日を障害者の日」として決定した。
1993年(平成5年)
障害者基本法の成立により12月9日を「障害者の日」として法定化した。
1995年(平成7年)
総理府の障害者対策推進本部は、12月3日の「国際障害者デー」から12月9日の「障害者の日」までの1週間を「障害者週間」とすることを決定した。

平成4年8月に実施された世論調査でも、障害者の日を「知っている」との回答は8.4%しかなく、「月日は知らないがその日のあることは知っている」との回答も15.7%で併せて24%と国民の大半が、障害者の日があることを知らないのが現状である。
本町においても同様で、12月9日に特別なイベントや周知を図る行事も行っていない。

今後の本町の取り組み

今後、12月9日に「障害者の日」の周知を図るため、障害者週間にあわせて具体的な行事等の開催を検討します。

2 ボランティア活動の推進

現状と問題点:
従来、ボランティア活動は行政施策の代替え、補完活動として考えている人もあり、活動に従事する人々も一部の者、その活動が好きな人々というイメージであった。
現在のボランティア活動の考え方は、より積極的な意味を持ち、これからの地域社会形成の一つの核であるとの考え方もある。
地縁、血縁関係が薄れていく地域にあって、それを越えた人間関係の形成が今後の重要な課題となっている。
本町においても、。転入者が増えることによって、地域の人間関係の再構築が課題となっている。
特に、新旧住民の混在する地域においては、地縁・血縁の狭い範囲を越えた人間関係の再構築が図られなければなりません。
そのため、住民の自発的活動によるボランティア活動の活性化は、今後の地域づくりにとって極めて重要であるといえる。
現在、本町においては、社会福祉協議会を中心に、以下のボランティア活動が行われている。

本町のボランティア活動グループ一覧表

グループ名登録者活 動 内 容(平成6年度実績)
食生活改善推進グループ44名年間6回一人暮らし老人に給食サービス
野菊の会6名手すきハガキ制作、誕生月に友愛訪問
手話グループ20名第1・第3金曜日に手話教室開催、障害者との交流活動
点字グループ(つくしんぼ) 7名第2土曜日に点字教室開催、障害者と手紙の交流、電話帳制作贈呈 
手芸グループ 13名毎週火曜日手芸品制作及び販売 売上金は、ボランティア基金に積み立て
門松作りグループ 26名年末に町内公共施設11か所に門松を設置
施設ボランティア44名特別養護老人ホーム「灘梅園」で、バイキングによる食事の介助
小作業グループ20名家屋の小修理草刈り除草庭木のせん定
散髪サービス4名独居老人、虚弱老人宅散髪サービス
封筒作りグループ 5名古いカレンダーで封筒を作る ロータスクーポンの整理
配食・運転グループ 20名給食の配食
ハッピークラブ31名町内各小中学校の動輪ペンキ塗装 町有林枝打ち 草刈り
母子寡婦奉仕会15名一人暮らし老人宅訪問及び安否確認活動
婦人会13名一人暮らし老人宅訪問及び安否確認活動
老人クラブ婦人部26名一人暮らし老人宅訪問及び安否確認活動
調理ボランティア毎月4回一人暮らし老人へ給食サービス
朗読ボランティア町の広報及びお知らせ等をテープに吹き込みア希望者
囲碁リハビリ脳卒中等で身体が不自由な方に囲碁を通じてリハビリ
     合    計      353名

今後の本町の取り組み

今後、住民側から多くの自発的活動が生まれる支援体制とそれをゴーディネイトする人材づくりを積極的に支援します。

2 地域の中で普通の生活が送れるように
1 保健・医療

(1)障害の早期発見、早期治療
現状と問題点:
障害児の療育において、できるだけ早期に発見し早期に療育を開始することは、障害の軽減を図り、将来の社会生活を営むうえで極めて重要になって趣きている。
現在、障害児の療育を行う療育機関は全国的にも少ない状況です。本町においても、障害の発見はできても、その後の療育は他市に行かなければならない状況である。

今後の本町の取り組み

保護者に対し、乳児健康診査、1才6ケ月児健康診査、3才児健康診査等の受診指導を徹底し、早期発見体制の強化を図ります。
他市にある療育機関と連携し、障害児の早期療育に努めます。

(2)障害の軽減、補完、治療等
現状と問題点:
障害の軽減、補完を図るため、更生医療の給付、訪問診査、更生相談、補装具の交付・修理、日常生活用具の給付等の制度がある。
アンケート調査によると、こうした制度を知らないといったとの回答が少なからずあり、制度の周知を図っていく必要がある。
また、アンケート調査によると、知的障害者は70%が健康と回答しているが、身体障害者においては健康と回答している者が19%となっている。
身体障害者の大多数の者が、医療を必要とし、医療機関に入院・通院していることがわかる。
また、「受診・医療上、今後希望するもの」として「救急医療体制の整備」「リハビリ治療」「家庭での訓練指導」が上位を占めている。
本町内には、障害者のリハビリテーションを専門に行っている医療機関はないが、老人病院「みどり病院」で、老人障害者の生活リハビリテーションは行っている。

今後の本町の取り組み

障害の軽減、補完を図るため、更生医療の給付等の制度の周知徹底を図ると共にリハビリ教室やリハビリ適所事業の充実強化を図ります。
また、作業療法士等による家庭での生活訓練指導については、実施に向け検討します。

(3)精神保健対策の推進
現状と問題点:
「障害者基本法」制定後、日が浅く、精神障害者に対する福祉施策は現在まだ十分とは言えない。
「精神保健及び精神障害者の福祉に関する法律」の改正による手帳の新設、「障害者基本法」の対象に精神障害者が入る等、精神障害者に関わる施策も整えられつつある。しかし、他の障害者に比して、まだ、。十分とは言えない状況である。特に、入院後の社会的支援体制が不十分であり、社会的入院を解消できていないのが現状である。
精神障害者に対する偏見を取り除くと共に、地域で生活するための支援体制を整備していくことが必要である。

今後の本町の取り組み

退院後の自立支援、特に就労、住宅確保に向けた体制づくりを進めます。

2 福   祉

(1)サービスの充実
1.在宅サービスの推進
ア.ホームヘルパー派遣事業
現状と問題点:
   身体障害者知的障害者
ヘルパー制度を利用した者10人0人
ヘルパー制度を希望する者20人0人

知的障害者の場合、現在、家族特に父、母の介護のもとにあり、当面他の介護者を必要としていない事情により、ヘルパー制度を必要としていない。本町内には、20名の身体障害者に対し、ホームヘルパーを必要と考えられる。

今後の本町の取り組み

障害者向けホームヘルパー数を、目標年次までに常勤1名、非常勤3名を確保します。
(算出根拠…高齢者向けヘルパーと同様な計算)

対象者数 目標水準 年間換算 必要度 年間延利用回数
20人×週 4回×(52-7)週×46.2%2,034回
2,034回5503.7人    

イ.デイ・サービス事業
現状と問題点:
本町においては・デイサービス事業は実施されていない。障害者の生活指導、日常動作訓練等を行うことは必要と考える。
町内に設置予定の特別養護老人ホームの併設のデイサービスセンターにおいて、身体障者の相互利用の検討を行います。

ウ.ショートステイ
現状と問題点:
町内の施設で実施しているが、利用者が少なく、制度そのものを知らない対象者もいる。
制度の周知とその利用の拡大を図ります。
 (2)福祉施設サービスの充実
ア.知的障害者・身体障害者の施設
現状と問題点:
町内には、精神薄弱者更生施設と身体障害者療護施設の各1箇所設置され、4人が入所している。この外、福祉作業所が1箇所設置されている。
しかし、他市町村の障害者施設へ入所している人もあり、町内の障害者から住みなれた地域で生活するため、福祉ホーム、適所の授産施設の設置要望、重度障害者の自立支援等についての要望もある。

今後の本町の取り組み

施設サービスが望ましいと考えられる障害者のニーズに応じて、適切な施設への入所措置に努めます。障害者の自立支援を図るため、福祉作業所の充実強化を支援すると共にグループホーム等福祉ホームの設置を検討します。

イ.精神障害者の施設
現状と問題点:
精神障害者が退院後、何らかの事情で在宅生活が困難となった場合、県内に精神障害者援護寮は県西部に4箇所しかないため、現在は病院に入院する以外手だてがない。

要     望

県東部地区に精神障害者援護寮の設置について、国・県に対し要望します。
3 専門従事者の確保

現状と問題点:
本町内の医療機関には、理学療法士が勤務しているが、。在宅の障害者までは、手が回らないのが実情である。
障害者の在宅生活を支えるために、作業療法士等機能訓練を日常的に行う人材を、町の保健センターなどに配置することが望ましい。
今後は、訪問によるリハビリテーションを前提にした体制づくりが必要である。

今後の本町の取り組み

作業療法土等を確保し、地域リハビリテーション体制の整備を促進します。

4 相談体制及び情報提供体制

現状と問題点:
現在、相談窓口はたくさんあるが、それぞれの問題に応じた窓口となっており、窓口の一本化が求められている。
情報提供については、「広報ゆう」「お知らせ」や社会福祉協議会の発行する「社協だより」があるが、アンケート調査でも明らかなように、福祉制度への理解が十分でない状況にあり、改善が求められている。
また、視聴覚障害者への配慮も必要であり、点訳、朗読ボランティア、手話ボランティアを養成していく必要がある。

今後の本町の取り組み

本人や家族に対し保健・医療・福祉その他のサービスの一元的な相談が窓口で受けられるよう体制の整備を図ります。
全戸配布を目的とした「福祉ハンドブック」の作成・配布等を行います。また、公的機関の職員に対し、点訳、朗読、手話の研修を検討します。

3 社会的自立を促進するために

1 教  育

(1)教育相談・就学指導体制の充実
現状と問題点:
就学相談においては、子どもの実態を的確に把握するとともに、保護者や本人の考えや意見も聴き、その上で、特別な教育的対応の必要性について共通の理解を図ることが大切である。
また、就学手続きが円滑に行えるよう、保護者の理解と協力を早期から得るための教育相談体制を充実する必要がある。

今後の本町の取り組み

教育相談・就学指導体制の充実を図ります。

(2)障害児に対する教育の充実
現状と問題点:
本町の障害児に対する学校教育は、地元の小・中学校、岩国養護学校、防府養護学校、県立盲学校及び県立聾学校等で行われている。
小学校の低学年児の場合、地元の学校への進学希望が強くある。

今後の本町の取り組み

できるかぎり、地域の学校への入学を促進することが望まれるため、学校の施設、設備の改善を図ります。
障害児の社会経験を豊かにするとともに、これらの子ども達に対する正しい理解と認識を深めるため、障害児が小・中学校の児童生徒や地域社会の人々と活動を共にし、ふれあう機会を積極的に設けるなど、交流教育の充実を図ります。

2 雇用・就業

(1)障害者の職業的目立の促進
現状と問題点:

障害者の雇用

   無職者自  営被雇用者その他
身体障害者10815176146
知的障害者904922

割合(%)
117
(69.7)
15
(8.9)
21
(12.5)
15
(8.9)
168
(100)

無職者が全体の約70%を占め、雇用の難しさがうかがえる。
障害者が職業を通じて自立することは、その社会参加のなかで最も重要な事項の一つである。 

今後の本町の取り組み

障害者の職業的自立を促進するため、障害者の雇用確保等、県に指導を要望します。

3 スポーツ・レクリエーション及び文化活動

(1)スポーツ・レクリエーションの促進
現状と問題点:

昼間主に行っていること

   仕 事学 校趣 味テレビ家 事その他 計  
身体障害者35421562672214
知的障害者 63180826

割合(%)
41
(17)
7
(3)
22
(9)
64
(27)
26
(11)
80
(33)
240
(100)

障害者の日常生活は、職場や学校等に通う人を除いて、ほとんど日中を家で過ごしている。
家の中の行動は、圧倒的にテレビを見る時間が多い。
外出して、スポーツ、レクリエーションを行うことは、稀である。
スポーツ・レクリェーションに参加することは、生きがいのある生活を営むうえでも重要な課題である。

今後の本町の取り組み

障害者がスポーツ、レクリエーションに参加できるよう、外出手段を確保し、その体制づくりを推進します。
一方、積極的に参加できるよう情報提供も図ります。

(2)文化活動参加への支援
現状と問題点:
障害者の日常生活は、前述のとおり、家に閉じ込もりがちである。
障害者の文化活動への参加は、障害者の社会参加、生きがいのある生活を営むうえからも極めて意義深いことである。

今後の本町の取り組み

講演会等に手話通訳を付けるなど、地域ボランティア組織の活用を図ります。
4 バリアフリー化を促進するために
1 障害者向け住宅の供給等

(1)障害者向け住宅の供給
現状と問題点:
公営住宅入居者は、身体障害者が3人、知的障害者が4人である。
知的障害者は身体障害を重複している方が多い。
最近建設の公営住宅は、高齢者に配慮したものとなっているが、従来の公営住宅は全く考慮されていない。また、高齢者に配慮したものとはいっても障害者の障害の状況は様々である。
一律の設計による公営住宅には、障害者の生活になじまないものもある。入居される障害者の障害の状況に応じて、改造可能な住宅が必要と考えられる。
介護は、住宅からと言われるほど、障害者の生活にとっては重要な要素である。
公営住宅が障害者住宅のモデルとなるよう努めていく必要がある。

今後の本町の取り組み

障害者に配慮した公営住宅の整備促進を図ります。

(2)民間住宅のリフォームの促進
現状と問題点:

住宅事情

 持ち家借 家公営住宅その他
身体障害者136534148
知的障害者1814124

割合(%)
154
(89.5)
6
(3.5)
7
(4.1)
5
(2.9)
172
(100)
 本町の住宅事情は、持ち家が非常に多く。約90%もある。しかし、多くの家屋は障害者が生活することを条件に建てられてはいない。

 住宅改造

 改造済未改造
身体障害者324981
知的障害者41620

割合(%)
36
(35.6)
65
(64.4
101
(100)

住宅改造も余り進んでいなく、6割強の家庭が未改造となっている。
住宅改造の貸付制度及び補助制度を知らないとする方が37.2%もあり、今後、広報等により制度のPRを図る必要がある。
住宅改造を行っている家庭も36世帯あるが、改造箇所は手すり、風呂、トイレ、台所に集中している。改造費は10万円から100万円以上までとぱらつきがあるが、改造箇所によって費用の差が出ている。
今後改造を希望される家庭も、30世帯ある。その改造希望箇所はトイレ、風呂、段差、手すりの順となっている。

今後の本町の取り組み

障害者住宅改造の貸付制度等のPRを図ります。
町内の業者に対し「高齢者対策住宅リフォームマニュアル」、県の「環境整備指針」等の普及を図るために研修会等の開催を検討します。」
また、適切なアドバイスができるよう、保健婦や福祉担当者と建築業者の合同研修の実施老図ります。

2 建築物の整備

(1)官公庁施設のバリアフリー化
現状と問題点:
町役場、文化会館、郵便局等ごく一部の建築物に障害者に対する配慮がみられるが、公的建築物の全てが障害等にとって利用しやすいようにはなっていない。

今後の本町の取り組み

町役場をはじめとする公的建築物の改善に努めます。

(2)建物のバリアフリー化
現状と問題点:
不特定多数の者が利用する民間建築物が、障害者等にとって円滑に利用できるよう「高齢者・身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(ハートビル法)」が平成6年9月に施行された。
本町内にも不特定多数の者が利用する民間建築物があり、事業主の理解を得る必要がある。

今後の本町の取り組み

事業主に対する理解促進を図るための方策について検討します。

3 移動・交通手段

(1)移動ニーズヘの支援方策の充実
現状と問題点:

外出の回数

  毎日週に3~4回週に1~2回週に2~3回年に数回殆どなし
身体障害者41182223825137
知的障害者92540020

割合(%)
50
(31.8)
20
(12.7)
27
(17.2)
27
(17.2)
8
(5.1)
25
(15.9)
157
(100)

 よく行く外出先

   病院・診療所食料品衣料品店郵便局農協等理髪店美容院親戚・友人宅その他
身体障害者503018181353182
知的障害者140361832

割合(%)
51
(23.8)
34
(15.9)
18
(8.4)
21
(9.8)
19
(8.9)
71
(33.2)
214
(100)

障害者の約60%が、週1回以上の外出の機会をもっている。主な外出先は医療機関、食料品店等となっている。
通院時間が1時間を越える者が26人いる。タクシー、電車による通院者も41人いる。交通費の負担をあげている人が16人いる。

今後の本町の取り組み

医療機関への通院費用の助成を検討します。

(2)歩行空間の整備
現状と問題点:
由宇駅周辺及び駅へのアクセスについては、ほとんど未整備の状況にあり、広い歩道の確保、駅階段のスロープ化等色々な問題がある。

今後の本町の取り組み

歩行空間の整備を関係機関との連携を図り、整備を検討します。

(3)公共交通機関等の利用の利便性の確保
現状と問題点:
本町の駅は車いす使用の障害者、視覚障害者等にとっては利用しずらい状況にある。

今後の本町の取り組み

由宇駅の改善について、JR西日本と協議を早急に行い、駅階段のスロープ化、誘導点字プーロックの設置等を要望します。

5 生活の質(QOL)の向上を目指して

1 福祉用具の普及
現状と問題点:
障害者の在宅生活を支えるためには福祉用具の活用は有効である。
近年、開発・研究が行われているが、その普及は十分でない。
特に、地方の本町においては、絶対的情報量が少ない状況にある。
大都市においては、大規模な展示会が開催されているが、地方の小都市で開催されることは稀である。

今後の本町の取り組み

福祉用具の展示会を健康・福祉まつりや障害者の日の行事として実施を図ります。
在宅介護支援センターに福祉用具のパンフレットを用意し、必要なとき注文できる体制を整備します。また、福祉用具についての新しい情報や知識を提供できるよう、保健・福祉担当者や支援センター担当者の研修を充実します。

2 情報通信機器システムの普及
現状と問題点:
一人暮らし、山間部等に居住する方、視覚障害者、聴覚障害者の情報を確保するためには、情報通信機器を利用したシステムづくりが必要である。

今後の本町の取り組み

情報通信機器システムの普及について、国、県に要望します。

3 障害者の旅行促進のための方策の推進
現状と問題点:
アンケート調査では、旅行への関心が高い結果が出ている。
一部ボランティア団体による一日体験旅行が企画され好評を得ているが、イベントとしてではなく、旅行が容易にできる体制づくりが必要である。

今後の本町の取り組み

旅行の機会の増大にむけて、コーディネートのできる体制やボランティアの養成を要望すると共に近隣の観光地を含めた福祉マップを作成します。
また、県の障害者ガイドセンターの活用を図ります。

【留意点】
(1)障害者の外出する機会をつくりだし、旅行をすることが可能だという実感を与えること。
(2)介護者抜きの旅行は殆ど不可能だといっても過言ではない。介護者の確保が必要となる。
現在、個人的に旅行を楽しんでいる障害者の場合、介護者は家族か友人に限られる。
今後、地域の中に旅行を介助する方が出てくるよう、出会いの場をつくっていく必要がある。
(3)旅行体験のある障害者の方にその体験を語ってもらう企画を行う。
(4)障害者が安心して宿泊できるホテル・旅館についての情報収集を行い、その情報提供を行う。

4 食生活環境の改善

今後の本町の取り組み

現在、週一回実施されている社会福祉協議会の「給食サービス」を障害者家庭まで対象を拡大します。配達回数の拡大についても検討します。
また、障害者の自立のため、調理実習の実施を図ります。

【留意点】
(1)配達ボランティアを増員する。
(2)調理施設を設置する。
(3)必要な財政的支援を行う。
(4)食事介助ボランティアを設置する。
(5)自立のため調理実習の実施を図る。

6 安全な暮らしを確保するために
1 防犯・防災対策の推進

今後の本町の取り組み

町職員、消防機関や社会福祉施設等職員、自主防災組織が町内における障害者の状況を把握し、災害時における通報システム、避難方法、避難場所等の設定についての計画づくりを推進します。
また、悪質商法などによる障害者の未然防止の観点から、情報提供体制の強化を図ります。

児 童 施 策

施策の体系

子どもと子育てにやさしいまちづくり

  • 仕事と育児との両立のための雇用環境整備
    • 育児休業給付の実施など育児休業を気兼ねなく取ることができる
    • 事業所内託児施設の設置促進
    • 労働時間の短縮等の促進
  • 多様な保育サービスの充実
    • 保育システムの多様化・弾力化の促進
    • 保育所の多機能化のための整備
    • 放課後児童対策の充実
  • 安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実
    • 地域における母子保健医療体制の整備
  • 住宅及び生活環境の整備
    • 良質なファミリー向け住宅の整備
    • 子どもの遊び場、安全な生活環境の整備
  • 学校外活動、家庭教育の充実
    • 体験的活動機会の提供等による学校外活動の充実
    • 子育てに関する相談体制の整備等による家庭教育の充実
  • 子育てに伴う経済的負担の軽減
  • 子育て支援のための基盤整備
    • 地域子育て支援事業の整備

子どもと子育てにやさしいまちづくり

1 仕事と育児との両立のための雇用環境の整備

(1)育児休業給付の実施など育児休業を気兼ねなく取ることのできる環境整備
現状と問題点:

育 児 休 業
取得の有無 
取っていない・取るつもりない 62.5% 
取ったことがある・取るつもり37.5%

62.5%が育児休業を利用しないと回答している。理由としては、母親の職業形態として、常勤が25.5%であること。さらには、職場に制度そのものがないとの回答が19.6%になっていることが考えられる。また、育児休業をとる必要がないとの回答が多い(31.6%)のは、パートタイマーやアルバイトが多い(45.9%)ことと関係があろう。
しかし、少数ながら育児休業が取りにくい状況があるとの回答があることは問題である。

制度はあるが、取りにくい雰囲気 5.9% 
制度はあるが、人手がないので取れない 3.9%

今後の本町の取り組み

育児休業制度の積極的利用を促進するための啓蒙を行います。

(2)事業所内託児施設の設置促進
現状と問題点:
現在、本町における事業所内託児施設は1か所で、9名が入所しているのみである。町内における、他の中・小企業内においては、託児施設は設けられていない。

  とても利用したい時々利用したい利用したくない
職場の保育施設26.0%11.3%62.7%

職場の保育施設利用者の数は少ない(4.7%)が、職場にあれば利用したいとの回答が37.3%もある。職場に併設した保育施設に入所させる安心感は大きいと考えられる。

今後の本町の取り組み

本町内にある事業所等に、事業所内託児施設に対する制度の広報活動を積極的に行います。

(3)労働時間め短縮等の推進
現状と問題点:
さまざまな保育ニーズに対応する保育体制を整備することは、子育て支援のために必要であることは勿論であるが、ゆったりとした環境の中で子どもが育つこともまた必要である。保護者の労働時間によって、保護者と子どもの共有する時間が制限されることは、できるだけ避けられる方が良いであろう。
ゆったりとした共有時間が持てるような勤務体制、勤務時間にする努力が求められる。
父親の職場が遠いことが原因とも考えられるが、保育所の送迎を主に担当するのは母親であり、父親はきわめて少数であるのが目立つ。

 保育所に送る保育所に迎えにいく
4.1%2.4%

子育てに男女が共同で参加するという考え方は、現代社会においてごく当たり前の考え方になりつつある。特に父親が子育てに参加できる時間の設定が望まれよう。

今後の本町の取り組み

本町内における事業主等に対する子育てについての意識を啓発するための取り組みと、特に男性が子育てに参加することを促進する啓発事業に取り組みます。
現在、本町においては、「パパ&ママスクール」を実施していますが、今後さらに充実した企画を実施します。

2 多様な保育サービスの充実
(1)保育システムの多様化・弾力化の促進
現状と問題点
核家族化の進展、結婚・子育て・家庭に対する価値観の多様化、さらには女性の労働に対する意識の変化や勤務形態の多様化に伴い、子育ての形態の多様化も拡大している。そうした状況の変化に伴い、保育ニーズもまた大きく変化しつつある。従来の保育形態ではこうした拡大する保育ニーズに対応しきれない。本町の保育所(3園)においては、すでに「緊急・一時的保育サービス事業」(3園)、「時間延長型保育サービス事業」(2園)、「乳児保育事業」(2園)、「年度途中入所円滑化事業」(2園)、「ホリデー保育サービス事業」(1園)、「障害児保育事業」(2園)等、拡大する保育ニーズに対応する体制の整備を図っている。
今後の保育所利用として、要望の高いものに次のようなものがある。

要  望とても必要利用したい
緊急・一時的保育84.9%65.5%
延長保育81.8%55.7%
障害児保育80.6%63.6%
休日保育72.5%37.8%
非定型保育64.0%43.1%
随時保育63.6%45.8%

低年齢児保育の実施状況は以下の表のようになっている。

  年齢
0歳1歳2歳合計
平成3年3人9人16人28人
4年591731
5年413825
6年592034
7年5131533

※人数は3保育所の総数
過去、入所待機者はおらず、本町における保育ニーズには十分対応できていると考えられる。

今後の本町の取り組み

多様化する保育ニーズに対応し、乳児保育、障害児保育、延長保育などの特別保育対策を充実するとともに、地域の実情に沿った保育対策を推進します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
乳児保育を実施する保育所2か所3か所1か所国・県
障害児保育を実施する保育所2か所3か所1か所国・県
延長保育を実施する保育所2か所3か所1か所国・県
一時保育を実施する保育所3か所3か所0か所国・県
ホリデー保育サービス事業1か所1か所0か所

(2)保育所の多機能化のための整備
現状と問題点:
既に述べたように本町においては、保育ニーズに対応する体制の整備は、かなりの程度図られている。
今後は、保育所の地域に果たす役割として、より拡大された機能を果たすことが求められても良いのではないかと考える。特に現在、高齢者福祉、障害者福祉は、国・県においてもその整備が図られているところであるが、それは、制度を整備するだけでは所期の目的が果たせるとは言い難い。地域における福祉マインドの醸成が図られることが必要である。それも乳幼児期からの育成が望ましい。

今後の本町の取り組み

「乳幼児期における福祉マインド醸成事業」を新規事業として実施します。これは、幼・保育園、福祉作業所等障害者施設、デイサービスセンター等老人施設との複合施設を国・県(モデル事業)補助制度の創設で実施を計画します。
三者が同一施設内で、日常生活の一部を共有することによって、特に幼児に福祉マインドを醸成しようとするものです。
さらに、老朽化等により保育機能が低下している保育園の改築整備を促進します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
保育所の改築整備1か所3か所2か所国・県
保育所と老人・障害者施設の複合0か所1か所1か所国・県

(3)放課後児童対策の充実
現状と問題点:
現在、本町においては、学童保育事業を実施していない。しかし、要望としては多い。

  とても必要あまり必要でない利用する利用しない
学童保育83.0%17.0%69.8%30.2%

核家族化の進展に伴って、特に低学年の児童を保護者のいない留守宅に置いておく不安は大きいものがある。

今後の本町の取り組み

留守家庭児童保育室を備えた「こどもの館」の建設を検討します。当面は、校舎の空き教室等を利用した児童クラブの設置を推進します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
児  童  ク  ラ  プ0か所3か所3か所国・県

3 安心して子どもを生み育てることができる母子保健医療体制の充実

(1) 地域における母子保健医療体制の整備
現状と問題点
本町における過去5年の定期健康診査の受診状況は以下のとおりである。
受 診 率

  平成2年度3年度4年度5年度6年度
3か月健診個人受診92.0%95.7%94.1%91.9%96.7%
7か月健診個人受診94.0%91.4%91.9%96.8%93.0%
1歳6か月  4回/1年84.0%96.2%88.3%92.6%94.3%
3歳児健診 2回/1年92.9%96.2%91.7%93.5%93.7%
同時に乳幼児歯科健康診査も実施している。
・年4回の1才6か月児健康診査における歯科検診
・年2回の3才児健康診査における歯科検診
さらに、フッ素塗布時における歯科検診も実施している。

平成2年(2回)受診者 128人
3年(3回)170人
4年(3回)250人
5年(3回)250人
6年(3回)100人

保健相談・指導の実施状況と参加者は次のとおりである。

  平成2年度3年度4年度5年度6年度
育児相談41回 69人35回 54人
母親学級6回 43人6回 47人6回 45人6回 55人6回 40人
育児学級8回 95組8回 72組8回 74組8回 64組8回 97組
虫歯予防教室1回 14組2回 17組1回 16組1回 34組1回 4組
フッ素塗布3回169人3回295人3回261人3回265人3回218人
指導訪問220人120人116人

この他に、各保育所においては毎年、内科検診と歯科検診を実施している。ただし、本町内に小児科専門医院が無いとの意見がアンケートに多くみられるのは、いざという時に不安である。

今後の本町の取り組み

母子保健についての啓発活動を強化し、その重要性についての認識を深めると共に、受診率の向上を目指して体制の強化を図ります。
また、小児科医院の設置についても、医師会等の協力を得て努力します。

4 住宅及び生活環境の整備

(1)良質なファミリー向けの住宅の整備
現状と問題点:

理想より現実の子どもの数が少ない理由

住宅事情や自然環境が悪い 12.0% 

子育ての不安や悩み

住居が子育てに十分な広さでない 9.5% 

約1割が、現在の住宅が子育てに十分な広さ、質を備えていないと回答している。
持家率は66.3%(一戸建、マンション、アパート)であり、約3割が賃貸である。子育てのために十分な住宅の供給が望まれるが収入との関係もある。居住空間と子どもの数には相関関係があるとの指摘もあり、この問題には積極的に取り組む必要があろう。

今後の本町の取り組み

公営住宅の建設・建て替え時には、子育て環境に配慮した良質な住宅の供給に努めます。

(2)子どもの遊び場、安全な生活環境等の整備
「子どもを健やかに生み育てるための希望」の中でも「子どもの遊び場の確保」は第1位で56%もある。
自然環境に恵まれていることが即、子どもを自由に遊ばせる空間とはなり得ないことを意味しており、整備が求められている。

今後の本町の取り組み

既存の公園の利用促進を図ると共に、新たに、公園・遊び場を必要とする地域についての調査をし、具体的計画づくりを進めます。

5 学校外活動、家庭教育の充実

(1)体験的活動機会の提供等による学校外活動の充実
現状と問題点:
近年、いじめの問題が大きな社会問題になっている。その要因は多様で深く、その解決を図る有効な手段も見い出されていないのが実情である。家庭・学校・地域が一体となって、子育て環境づくりを推進していかなければならない。
本町における青少年育成地域組織活動としては、以下のものがある。
・生涯学習推進協議会
・青少年育成町民会議
・小・中学校PTA連合会
・青少年ふるさと学習実行委員会
・子ども会育成連絡協議会
・スポーツ少年団
以上の組織が、子どもの学外における活動についての議論を深め、具体的実践をつくり出す努力が求められている。

今後の本町の取り組み

学外活動をゴーディネイトする人材の育成と、活動を支援する体制づくりを図ります。

(2)子育てに関する相談体制の整備等による家庭教育の充実
現状と問題点:

   特にない少しあるかなりある
子育ての不安や悩みの有無25.8%64.5%9.8%

子育ての不安や悩みを抱く人は多い。また、不安や悩みを解決する場は、ほとんど家庭内にとどまり、他には友人・知人が相談相手となっている。子どもも、親も気軽に相談できる体制が必要である。

今後の本町の取り組み

育児不安を持つ親に対して気軽に相談に応じ、適切な指導や支援が行えるよう、相談支援体制を整備します。このため、各地区の児童委員をパイプ役とし、学校、家庭児童相談室、保健センターなどとの連携を深めるとともに、保育所の機能を活用した子育て支援センターなどを拠点とした相談システムを構築します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
子育て支援0か所1か所1か所国・県

6 子育てに伴う経済的負担の軽減

現状と問題点:
・理想よりも現実の子どもの数が少ない理由

お金がかかる 53% 

・子育ての悩み

養育費・教育費にお金がかかる 26.3% 

・保育に関する満足度

 満 足普 通不 満
保育料20.7%45.7%33.6%

※不満の中ではとび抜けて第1位

・子どもを健やかに生み育てるための希望

保育所などの費用負担の軽減 31.2% 

調査項目のいくつかにおいて、子育てに費用がかかるとの意見が多いのは、実感としてそうであろう。本町においては、保育料をここ数年据え置いているのだが、それでも高いとの意見があるのは注目すべきであろう。

今後の本町の取り組み

・保育料の軽減を図ります。

7 子育て支援のための基盤整備

(1) 地域子育て支援事業の整備
現状と問題点:
本町における地域子育て支援事業としては、「のびのび子育てサークル」(こあらすくーる)設置事業を実施している。これは、 子育て中の母親による自主グループが、定期的に学習会、交流会等を行う活動を支援する事業である。「こあらすくーる」は、地域における子育てネットワークを目指す自主的活動へと発展する可能性を秘めており、本町の特色ある活動として注目される。

今後の本町の取り組み

「こあらすくーる」が地域における子育てネットワークの中核となるよう、児童委員、母子保健推進員などが連携して育成を積極的に支援します。
また、母親クラブの結成促進やその育成を図るなど、地域組織活動を充実強化します。

区  分7年度末状況12年度末状況期間中の事業計画備考
母親クラブ0単位1単位1単位国・県

福祉を取り巻く現状と分析

高   齢   者

1 人口構成とその推移
別途「内字町老人保健福祉計画」付録『報告書』P2を参照してください。

2 地区別高齢化の状況
別途「内字町老人保健福祉計画」付録『報告書』P3を参照してください。

3 世帯の状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P4を参照してください。

4 住宅の状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P4を参照してください。

5 就業の状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P4を参照してください。

6 高齢者の受診状況・疾病構造・入院状況
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P5を参照してください。

7 高齢者保健福祉基礎調査結果の要約
別途「由宇町老人保健福祉計画」付録『報告書』P6~P12を参照してください。

障   害   者

アンケート状況

【身体障害者】

・アンケート調査対象:手帳所持者1~4級の在宅の人 男性89人・女性61人 計150人
回収率100%(民生委員を通じて悉皆調査を実施)

【知的障害者】

・アンケート調査対象:手帳所持者1~4級の在宅の人 男性18人・女性8人 計26人
回収率100%(民生委員を通じて悉皆調査を実施)
1 年齢分布等
身体障害者
40歳未満が全体の9.6%(14人)と少なく、逆に60歳以上が67%(98人)と全体の2/3を占め高齢化が目立つ。障害発生時が20歳未満との回答が24%(36人)あることから、障害を有して生活する年限が長かったことがうかがえる。
一方、50歳以降に障害が発生しているとの回答も52.3%(77人)と半数以上ある。これは障害の原因が脳血管障害17%(25人)とその他の疾病24.7%(37人)に集中していることと関係が深いと考えられる。
知的障害者
26人中、25人が50歳未満である。山口県全体の(心身障害者(児)実態調査平成3年)知的障害者の年齢区分においても、50歳以下の割合が90.6%に達することから、本町の状況が特異であるとは言えないが、一般の人口構成に比して、若年層に偏っていることが指摘できる。
発生時期も全員が15歳以下であり、出生時とする割合が45.8%(11人)とほぼ半数に達する。障害を有して生活する年数は、きわめて長いと言える。
精神障害者
本町の精神障害者の数は、実態の把握が困難であるが、平成7年4月1日で、約180人(推計)となっている。
山口県全体状況は、昭和57年3月末で約14,000人(推計)が、平成7年4月1日には約21,600人となっており、増加傾向にある。特に入院患者では、専門病棟も整備されはじめ、脳器質性精神障害(老人性痴呆等)が増加傾向にある。

2 所得・雇用の実態
身体障害者
1 雇   用
無職者が全体の74%(108人)を占め、70歳以上も含めているので一概には言えないが、雇用の難しさがうかがえる。被雇用者は11.6%(17人)にすぎない。山口県全体の調査でみると、1~4級に占める就労者割合は34.6%あり、これに比較すると、由宇町はかなり低い数値になっている。本調査では、職業に就きたいか否かの調査がなかったが、併せて考えてみる必要があろう。

2 収   入
障害者本人と家族と別々に回答していただいた。本人については、44.6%(68人)が月額10万円以下である。20万円以上との回答も18.5%(24人)ある。全体的にみると低所得であることがわかる。中でも、5万円未満との回答が13.8%(18人)あり、問題であろう。家族収入は当然ながら本人収入に対して全体的に増大している。10万円以下は19%に減少し、20万円以上は63.3% に増加している。ここでも5万円未満との回答が3人あり、生活の可否そのものが問われよう。
収入の内訳についてみると、本人では、76%が年金であり給料は16.9%にすぎないのは、雇用実態からみて当然であろう。その年金の内訳であるが、厚生年金と共済年金が全体の37.9%である。

知的障害者
1 雇   用
無職が、9人で全体の40.9%を占める。被雇用者は4人(18.2%)にすぎないが、その他9人は作業所・学校等に通っているということである。作業所での仕事が雇用とは言い難いのでこの数字になったのであろう。授産施設や作業所の本来的目的は、ここでの訓練を通して職業的自立を得るということであろうが、現実的には困難である。

2 収   入
回答者18人中15人が月額10万円以下である。これは大半の方が障害基礎年金受給者であることと関連している。15万円以上との回答が2人いる。被雇用者であろう。世帯収入については約70%(16人)が20万円以上との回答で、生活の安定ぶりがうかがえる。これは知的障害者のほとんどが家族の庇護化にあるという状況を物語る。すなわち家族との同居が可能な限りにおいては、在宅での生活が可能であることも意味する。しかし、10万円以下との回答も1人いる。

3 住   宅
身体障害者
1 住宅状況
由宇町における住宅状況は全体的に良好であると言えよう。まず、持家率であるが、92%(136人)である。借家は一戸建てとアパートを含め3.4%(5人)公営住宅2%(3人)と低い率になっている。山口県全体では、自家率が79.5%であるから、それに比して自家率の高さが目立つ。次に借家の場合の家賃であるが、これも9人中6人が2万5千円以下であり低額である。このうち半数は公営住宅入居者であるから、公営住宅の意義が見てとれる。

2 部屋の状況
部屋の位置は1階との回答が78.6%(110人)と圧倒的に多いのは生活上便利であろう。また、部屋の広さも6畳以上が85%であり、生活空間は十分確保されていると言えよう。

3 改   造
まず、住宅改造に際しての貸付制度及び補助制度を知らないとする回答が37.2%あることを指摘しておかなければならない。関心がないためか、広報活動の不足なのか理由を明らかにし今後の対応を図っていく必要があろう。改造については、35人の方が改造を実施している。改造箇所としては、手すり・風呂・トイレ・台所に集中している。改造費は、10万円以上から100万円以上までばらつきがあるが、改造箇所によってかなり値段に差が出る。
今後改造を希望される方が30人おり、改造希望箇所はトイレ・風呂・段差・手すりの順になっている。特にトイレ・風呂は生活を営む上で不可欠のもので早急な対応が望まれよう。改造希望なしの回答で、経費負担が重いとの回答が5人あった。在宅生活を営む上で住宅はもうとも基となるものである。さらなる実態把握と対応策を図ることが緊要かと考えられる。
改造についての情報入手先で、役場が1位であるのは貸付制度との関係が深いとのことだが、在宅生活を送る上で、改造の果たす役割の認識そして改造についての情報を的確に送り出す努力は不断に望まれよう。

知的障害者
1 住宅状況
持家率は75%と身体障害者と比較すると、数値は低くなっている。しかし、残りのうち16.7%が公営住宅に入居しており民間の借家は1人のみとなっている。したがって、家賃も2万5千円以下が7人中6人となっている。

2 部屋の状況
身体障害者と比較すると、部屋数・部屋の広さとも知的障害者の方が低い数値になっていることがわかる。

3 改 造
貸付及び助成制度を知らないとする回答が、ほぼ半数近くあることは注目される。知的障害者の場合、身体障害を重複しているケースが多く、在宅生活を送る上で、住宅の構造は身体障害者と同様の配慮がなされる必要が大きいのである。この意味で住宅改造に関わる制度の周知は今後十分に図られる必要がある。
改造済みは20%(4人)であり、風呂・トイレに集中している。改造費用は10万円以下が多いが、高額なケースもある。改造についての情報入手先が友人・知人との回答(これは身体障害者の場合も多かった)があるのは改善の余地があろう。今後の改造希望箇所も大半が風呂・トイレであり、この2か所が障害者にとって重要な問題であることがわかる。
高齢化社会は、いずれ誰しもが高齢になれば何らかの身体的不自由さを持つことを意味する。今後の住宅政策の中で、こうした室内の設備についての認識を地域全体で考えていくことが求められる。特に公的建物については率先して具体化されていくことが望ましい。

4 医   療
 身体障害者と知的障害者とで、大きな数値の違いが見られるのが、この項目の特徴である。現在「健康である」との回答が身体障害者では19%であるが、知的障害者では、69.6%と高い数値になっている。これは障害の性格の違いという理由と知的障害者は比較的若年層が多いということであろうか。したがって、この項目は主に身体障害者を中心に見ていくことにする。
1 健康状態
すでに述べたように、健康であるとの回答は19%であり、全体的に治療を要する人が大半である。障害者の場合、その障害が固定していない場合、継続的な治療ないしはリハビリが必要となる。また、その障害を誘因として二次的三次的障害を持ってしまうケースも少なくない。ともかく、このように多くの障害者が治療を要する状態にあることは、いかに医療機関の存在が重要であるかを意味する。

2 通院時間
1時間以上との回答が23.4%(26人)、30分以上との回答39.6%(44人)とを合わせるとかなりの通院時間を強いられていることがわかる。通院上の不便の第1位が通院時間(40.5%)であることからもわかるように、障害者にとって通院時間の長さは不便である。通院方法で自動車(介護者運転を含め)使用が47.9%もあることから考えると、30分~1時間の通院時間は長いと言わざるを得ない。町内における医療機関の利用実態がどうなっているかについての調査が必要であるとともに、町内の医療機関の障害者理解をより求めていく必要があろう。

3 通院方法
47.9%が自動車(介護者運転も含め)と回答し圧倒的に多い。次が電車の15.7%、徒歩・タクシーの13.6%と続く。公的交通機関を利用する割合は少なく、また、家の近くに受診できる医療機関が少ないことがわかる。ここで次の二点の問題点を指摘しておく。
第一点は、自動車の場合、介護者の都合に左右されるケースが出るであろうと予測されることである。介護者が24時間障害者と共に在るのであれば問題はないが、そうした状態をつくれない場合かなり問題があろうと推測できる。第二点は、タクシー利用の場合、交通費の負担が大きいということである。通院上の不便の第2位は交通費負担の問題である。知的障害者の場合は7人中4人が交通費負担の問題をあげている。タクシー助成について考える必要があろう。

4 受診上の問題
第1位は「待ち時間」で33.3%(42人)である。これは障害者に限らず嫌なものであるが、障害を持ち長時間待たされる苦痛を考えると、医療機関との相互理解を図る必要があろう。
第3位は「リハビリ施設の要望」で10.3%(13人)である。障害者ができるだけ在宅での自立生活を営むためには欠かせない問題である。身近かにこうした施設がほしいのは言うまでもない。過去、現在リハビリはどこで受けていたのかの具体的調査が求められよう。また、介護者と障害者双方に家庭内で日常的にできるリハビリのプログラム等の指導が個別的になされるといった体制づくりが望まれる。
次に「障害者医療への理解」が多い数値(7%)になっている。知的障害者では、18人中5人が回答しており第1位である。医療機関側に障害者理解を深める努力が求められるところである。

5 医療上、今後希望するもの
第1位は「救急医療体制の整備」である。障害者の場合、健康に不安を持つ方が多いことはすでに述べた。そして受診する場所も遠く、限られており緊急時どうしようかとの不安を常に有している。地域の中に、受診可能なまたは往診可能な医者を持つことができれば最善だと考えるが、これは医療機関との今後の話し合いが望まれる。
第2位の「リハビリ治療」と第3位の「家庭での訓練指導」は同質のものと考えられる。すでに述べたように障害者にとってリハビリは単に体の機能回復にとどまらず、生活全般に関わる重要な問題である。専門的指導とそれを日常的に実践できる家庭内でのリハビリを指導してくれる機関が必要とされている。できれば、訪問リハビリ制度がほしい。

5 介   護
身体障害者
1 介護状況について
(1)有効回答数が全体の約半数ということは、3・4級といった重度でない方々も調査対象になっているということであろうか。
(2)介護を要する項目としては、外出(65.4%)入浴(52.7%)衣服着脱(45.5%)歩行(45.3%)等が高数値になっている。体位交換(28%)や排尿(31.6%)排便(34.2%)といった日常的にかなり介護を要する割合は比較的少ない。しかし、介護問題で最も注目すべきは、この日常的にかなり介護を要する重度障害者の存在である。介護者の肉体的・精神的・時間的負担が最も重く支援を必要とするケースであるからだ。

2 介 護 者
圧倒的に配偶者(56.2%)が多い。中途障害者と自立障害者が多いということであろうか。したがって、子どもとの回答も15人(16.9%)と第2位になっている。一方、重度の肢体不自由者に多い父母との回答は11.2%(10人)と少ない。しかし、配偶者が介護者という場合、年齢層が高いという状況から、高齢者が多いと考えられる。高齢者にとって介護は非常に負担が多い。また介護者側の健康状態によっては介護そのものが困難になる場合が生ずる可能性があり、より具体的な調査が必要であろう。
次に、問題と考えられるのは、ヘルパー利用者が少ないことである。4.5%にすぎない。有料ヘルパーも同数である。介護の代替者としてヘルパーをあげている人は皆無であるのに、今後の希望として20人がヘルパー派遣をあげているのは興味深い。最終方策として考えているということであろうか。しかし、介護者が介護不能となった段階でのヘルパー利用では現時点でのヘルパー制度を考えると、在宅での生活はかなりむずかしい。こうした認識が利用者側にあるのだろうか。
介護者のノーマライゼーションを考えるべきであり、その認識を広める必要があろう。介護者の代替者を得るのがむずかしいとの回答が約半数もあることから、これは重要なテーマであろう。

3 介護についての今後の希望
第1位はヘルパー派遣である。これは既に述べたようにもっと積極的利用を図り、介護する側もされる側も、生活の質を変えていくことが望まれよう。福祉制度利用に対する従来の恩恵的思想の変革が求められる。介護ボランティアの訪問についても要望が多く、実際介護が大変であるとの想いが伝わってくる。無理のない形での介護支援策がつくり出きれる必要があるのかもしれない。
一時的入所・入院についての要望も多い(16.7%)。これは介護ができなくなった時の一時避難的性質のものとして必要性が求められているということであろう。障害者用ショートステイは現在あまり行われておらず、今後地域内の利便性のある場所に、ショートスティ、ディサービス可能な施設の設置が望まれる。また、介護を軽減する福祉機器についての情報と容易な入手方法についての具体的検討も求められる。福祉機器の利用は常に介護を軽減するのでなく、障害者の自立を促す役割をも有すると考えるからである。

知的障害者
1 介護状況について
「外出」がとび抜けて多い(64.7%)が、他は35%前後というところである。特に全面介護を要するのは、1~3人で絶対数は少ない。

2 介護者
父・母が84.2%と圧倒的に多く、残りも兄弟姉妹となっている。家庭の中での介護ということがわかる。これは知的障害者に若年層が多いことと、配偶者を得ることが困難であるとの理由からであろう。介護代替者もいるとの回答が多く、その代替者は他の家族ということである。家族が介護できる間は特に重大な問題は生じないが問題は、家庭内での介護が困難になった時であろう。

3 今後の希望
第1位は、一時入院・入所である。これは父・母等の介護が困難になった時には施設への入所が不可欠であるとの認識であろう。父・母の介護が困難になった場合、多くの知的障害者は施設入所が一般的である。今後の施策の方向は、こうした家庭が入所施設ではなく地域の中で生活できるよう方策を具体的に考えることであろう。例えば各地で実践されているグループホームのような施設、ケア付住宅のような施設で生活が可能になる試みが図られる必要があろう。

6 家庭・社会生活
 【身体障害者
1 日常生活
テレビ(26.2%)読書(9.3%)なんとなく(6.1%)と、家の中で日中を過ごす回答が多い。一方、仕事・内職との回答は16.4%(35人)と多いのだが社会的活動は1.4%(3人)ときわめて少ない。仕事を持つ人はごく当たり前の生活が可能なのだろうが、そうでない場合はほとんど社会(地域)との接点を持たずに家の中での生活が主になっているという印象が強い。

2 外   出
毎日または週に数回外出するという回答が、43%あり多くの方が外出している様子がわかる。その一方で年数回からほとんどないという回答も24%と4人に1人はほとんど外出していない。問題はこちらにある。1年にほとんど外出することなく家の中だけが生活の場だけであるというのは決してノーマルな状態ではない。どうして外出しないのかという設問に対して、第1位は外出する必要がない(29.8%)という回答である。外出する必要ないということは具体的にはいかなることを意味するのであろうか。外出しても行くところが無いということであろうか。外出目的が無いという閉じられた生活をどう開いていくか具体的方策が求められよう。
他には「人の迷惑」(14.3%)が目立つ。人の手をわずらわせるからということなのであろうが、介護する側もされる側も、気がねせず外出できる関係の構築が望まれる。また、「障害者用の施設・整備」「交通機関の不便さ」「車等の危機」「道路の不備」「エレベーターの不設置」といった、地域の環境の不備が外出を阻害しているとの回答も少数ながらある。こうした阻害要因の改善が図られねばならない。

3 外出場所
よく行く所としては「病・医院」「衣料・食料品店等」が圧倒的に多い。次いで「銀行・郵便局・農協等」と「理・美容院」となっている生活上欠かせない場ばかりである。時々行く所も「病・医院」「理・美容院」が目立って多いのは上記のことと関連して納得できるがここでは「親戚・友人宅」が多いのか注目される。行くことはないが行ってみたい所としては「ホテル・旅館等」「図書館・博物館等」「カラオケ」「映画館・劇場等」「保健センター」の順になっている。教養、娯楽関係の所が目立っている。日常的な外出先としては生活上不可欠な所が多いが行ってみたい場所としては楽しみを求める所である。こうした所に行く機会が日常的にもてる支援体制づくりが求められよう。

4 社会参加の場
もっとも多かったのは「障害者同士の交流」で33.6%(37人)である。障害者の団体もあり、活動はしているのであろうか。日常的な交流を図る場が用意されていないということであろうか。情報交換の場は是非必要であろう。障害を持つ同士が心を開ける場があることで精神的安定を得ることができるとともに、それが社会参加への積極的行動を促す第1歩にもなるであろう。また「地域での交流」(18.2%)を望む声も多い。これは、日常的に地域の生活の場に参加していないことの表明であろう。「国連・障害者の10年」のメインテーマは「完全参加と自立」であった。障害者が社会参加する状況を作り出し、共に生活を楽しむ場づくりが望まれる。

知的障害者
1 日常生活
テレビとの回答(30.8%)がもっとも多かった。次いで仕事・内職の6人(23.1%)である。被雇用者が4人おり、作業所に通所している方がいるので、この数字になるのであろう。こうした、仕事を持つ方の日常生活は現在のところは問題ない。問題とすべきはそれ以外の方である。テレビとの回答以外では2人が「なんとなく」と回答している。26人中10人は日中をほとんど家の中で過ごしている光景がうかがえる。楽しい時はどんな時かどの設問についても、第1位が「テレビ」(34.4%)第2位が「家族とのだんらん」(21.9%)となっている。生活空間が閉ざされている。地域とのつながり他の人々とのつながりを感じさせるのは「友人と一緒に時」(18.8%)「仕事」(0.3%)といった回答で絶対数は少ない。身体障害も同様の状況であると考えられる。

2 外 出
身体障害者に比較して外出頻度は高い。「毎日」との回答が最も多く45%(9人)ある。これは仕事と学校へ通う方々である。「週に1~2回」(25%)と「月に2~3回」(20%)も合計すると45%あり、毎日と同数になっており極端な傾向がでている。仕事や学校といった明確な外出理由を持たない場合、外出機会は少なくなるということである。

3 外 出 先
「よく行く所」としては「デパート・百貨店」と「友人・親戚宅」が多く、次に「食料品・衣料品店」となっている。「ときどき行く所」としては多い順に「病院・医院」「デパート・百貨店」「理・美容院」となっている。「デパート・百貨店」が全体としては圧倒的に多い。養護学校へ子どもを通わせる保護者と話した時「何が嫌かと言って、長期の休みがもっとも嫌」と聞いた。1日をどう子どもと過ごすか大変だというのだ。ある保護者は寒中、3時間も新幹線のホームにいたことがある。子どもが電車を見たいといってホームを離れないからだ。
「デパート・百貨店」は時間を過ごすのに好都合な場所なのであろう。「行ってみたい所」としては「映画館・劇場」「図書館・博物館」「公園・遊園地」との答えが多い。いつでも連れていけそうな場所ではあるが、決してそうではない。こうした人の多く集まる場に子どもを連れて行った時、他人の視線が気になるのだ。奇異な声や動作に視線が集まる。迷惑顔をあからさまにされる。これは知的障害児を持つ親が一様に経験することである。気がねなく親も子どもも楽しめる状況があるのなら喜んでこうした場に連れていけるのであろうにと思う。外出しない理由については外出しないとの回答がなかったためほとんど回答がなかった。

4 社会参加
第1位は「障害者同士の交流」(33.3%)で第2位は「旅行等集団体験」(26.7%)であった。この2つの項目を併せると、障害者同士で旅行ができればいいということである。障害者とその家族以外の人には入ってほしくないとの声を聞くことがある。方向としては、そうした感情が解消されることが望まれるが、とりあえずは、障害者とその家族との交流が図られる企画がたてられても良いであろう。「障害者の健常者との交流」「地域での交流」を望む回答が2人ずつあった。こうした積極的な姿勢を受け入れ実現する具体的方策が図られなければならない。

7 制   度
1 福祉制度の活用状況
「利用あり」との回答については特に指摘すべきことはない。特に問題なのは制度そのものを「知らない」との回答である。この項目全体に対する回答そのものが、約2/3程度であり、無回答の方々がどうなのか気になるところではあるが、「知らない」との回答は全体的にみてほぼ2割前後いる。制度はまず周知徹底が図られるべきである。現在の広報活動の見直しが求められる。
次に、全体の半数を占める「制度は知っているが利用していない」層の問題である。現在の制度は対症療法的性格が濃い。一人一人の障害者が在宅生活を十全に過ごすことができるためには、いかなる制度があれば良いかとの視点が弱い。障害者への生活実態についての詳細な認識に基づいて、制度の根本的なあり方を探る取り組みが必要なのではなかろうか。知的障害者については「制度を知らない」とする回答が全体的に多い。必要性にとぼしいということがその理由として考えられるが、必要に迫られた時、いかなる制度を利用できるかという知識は最低限持つべきだと考える。制度の周知についての工夫が求められよう。

2 相   談
身体障害者で「身体障害者相談員」を知らないとする回答が40.1%もあるのはいかなる理由であろうか。他の関係職員についての相談と認識についての回答はほぼ妥当なところかとは思われるが、全体的にみて少なからず人が「知らない」と回答していることは注目すべきであろう。これは知的障害者についても全く同じことが言える。

8 行政への要望
身体障害者
抜きん出て多いのは「年金の充実」(25.4%)である。これはすでに収入の項で述べたのでここでは詳しくは論じないが生活を支える基本は生活費であるという当たり前のことが表明されている。次は「医療の充実」と「福祉施設」とである。両者についてもすでにその要望の切実なる理由について既に述べたところである。
「交通機関」(10.4%)が高い数値になっているのが目立つ地域の公的交通機関が特に障害者にとって不便な状況があるとするならば、何らかの代替措置を図ることが望まれよう。ないしはタクシー助成の改善が図られるといった方策も検討されることが望まれる。「デイケア施設」の要望も高い。これは先の「福祉施設」と同質の要望であることから、地域内に、ディ・サービス機能を有する施設の設置を求める声が大であると認識すべきであろう。
知的障害者
身体障害者に比して要望が所得・雇用に極端に偏っている。多い順に「授産施設」「雇用の促進」「年金の充実」になっている。他の要望はごく少数である。これは現在、在宅生活をしており、在宅生活をどう送るかということへの関心の強さである。現在、仕事を持っている(作業所を含めて)人は日中の生活が保障されているが、そうでない場合は先にも見たとおり、全く家の中だけでの生活になる。この状況を解決するためには仕事先や授産施設という現実的発想になるのであろう。

児       童

アンケート状況

アンケート調査対象:未就学児を持つ母親352人
        回答275人 回収率78.1%
1 家族の属性
(1)父親の年齢
30才代が63.2%と圧倒的に多く、次いで40才代の20.7%、20才代の12.8%となっている。19才代以下と50才代以上はごくわずかである。

(2)母親の年齢
父親と同様30才代が62.8%と多いが、父親と違って次が20才代の27.3%となっている。

(3)父・母の同居・別居について
同居が86.3%と多いのは当然であろうが、別居3.3%、死離別7.8%と現在片親家族が11%にも達していることは注目される。すでに調査に行われている静岡県では、同居率が92.15であり、死離別が13%であるのと比較して、数値にかなりの差が見られる。

(4)父方祖父母との同居
祖父について「同居」は19.8%と多くはないが、「別居だが近い」33.2%を加えると53%に達する。死離別の25.9%を除いてみると、家族内ないしは近距離に祖父がおり、日常的交流がれる関係にあると考えられる。また祖母も「同居」は26.9%だが、「別居だが近い」の33%を合わせると59.9%になり祖父よりも近い位置にあることがわかる。

(5)母方祖父母との同居
母方祖父について「同居」は7.6%と、父方祖父に比較してかなり低い数値であるが、「別居に近い」の41.6%を加えると49.2%と過半数に達する。祖母の「同居」も10%と少ないが、「別居だが近い」の44.2%を加えると54.2%と半数を越えている。母方祖父母は父方よりは若干数値が低いだけでかなり近い位置におり、同程度に日常的関係を維持しやすい状態にある。祖父母が同居もしくは近くに別居している数は、父方の祖母が約60%あるだけで、他は50%前後であり、約半数は日常的関係が持ちにくい位置にあると言えよう。

2 子どもの保育場所
 順番に「自宅で子供の親がみている」37.9%、「認可保育所」30.6%、「幼稚園」27.1%となっている。他に「職場の保育施設」0.9%と「その他の託児・保育施設」1.2%がある今回の調査結果では年齢別区分をしていないが、3才未満児と3才以上児ではかなり状況が変わると考えられる。特に「自宅で子供の親がみている」の37.9%は数字が大きすぎる。一般的に4才未満児の場合は、自宅でみるケースは多いのだが、4才以上児の場合は幼稚園か保育所のどちらかに通うのが全国的傾向である。
3 母親の属性
(1)職業の有無と職業形態
「有職」が53.6%と「無職」の46.4%を若干上まわっている。
「有職」の内訳についてだが、「パート・アルバイト」が45.9%と多く、「常勤」の25.5%、「自営業者」の19.1%の数値をかなり引き離してる。

(2)働く意志について
無職者を対象に、その理由についてたずねている。
「働きたくない」との回答は29.2%と1/3に満たない。むしろ「働きたい」39%、「働きたいけど働けない」31.6%と働きたい意欲を有している回答が圧倒的に多い。

(3)働けない理由
「働きたいが働けない」と回答した31.6%(43人)にその理由をたずねている。第一の理由は「子どもを預ける場所がない」で32.6%に達する。第二は「家族の看病・介護」で27.9%である。今後の高齢化の進展を考えると、この数値は増大する可能性が高い。第三が「家族の同意が得がたい」14.0%となっている。いずれも働きたいという想いはありながらも、働くための環境た整っていないことが理由になっている。特に1/3が「子どもを預ける場所がない」としているのは問題であろう。保育所の定員が充足しているわけではないのだから、制度運用上に柔軟性が求められているのではなかろうか。

(4)有職の母親の1日の労働時間
パートタイマーの割合が多いという回答を反映している。8時間未満との回答が74.8%に達する。

(5)有職の母親の日曜・祝日の出勤
「よくある」16%と「時々ある」26.7%のとを合計すると42.7%が日・祝日の出勤がある職場に勤めていることになる。

(6)有職の母親の帰宅時間
午後6時までに帰宅できるとの回答は55.9%で、半数を若干越えている状況であり、27.6%は6時以降の帰宅になっている。うち2人は10時以降の帰宅である。パートタイマーが多く、労働時間が昼間のみということではなく、かなり変則的な状態にあることがわかる。現行の保育時間は夕方6時までが普通である。帰宅時間が6時を過ぎる場合、何らかの形の二重保育が必要となっていると考えられる。

(7)働いている理由・働きたい理由
上位から「より豊かな生活」24.9%、「社会的視野」20.2%、「人間関係が広がる」18.2%、「能力・資格が生かせる」17.4%「家計のため」16.6%となっている。社会的視野や人間関係の広がりといった理由が上位にあるが、やはり経済的理由がその第一であろうと考えられる。より豊かな生活とは言い換えれば、安定した生活、将来への備えといった意味が含まれているであろうから。

(8)育児休業取得の有無
常勤者が25.5%であったから、育児休業法の適用を受けるケースが少ないのは当然であろう。
「取っていない、取るつもりがない」との回答が62.5%ある。

(9)育児休業を取らない理由
「育児休業をとる必要がない」との回答は36.6%である。「職場に制度がない」19.6%、「制度はあるが取りにくい雰囲気」5.9%、「制度はあるが人手がないので取れない」3.9%、「制度を知らなかった」4.6%とあるのは問題であろう。育児休業制度の普及と徹底があらゆる職場でられる必要があろう。

(10)育児休業の期間
「1年以上」は約半数の47.8%であり、他は1年未満であり29.5%は6か月未満である。必然的に乳児期の保育をどうするかという課題が生ずるであろう。

4 父親の属性
(1)職業の有無
242人全員が「有職」である。

(2)職業の形態
69.4%が「常勤」であり「自営業者」の19.4%を加えると88.8%となり、勤務状況はおおむね安定していると考えられる。

5 住居について
(1)住まいの状況
「持家・一戸建」が65.9%と圧倒的に多い。由宇町における高齢者世帯の場合「自己所有」が88.4%であり、それと比較すると低いが、静岡県の調査では57.3%と由宇町よりも低い数値になっている。

(2)居住年数
「5年~10年未満」26.1%、「3年~5年未満」25.4%、「1年~3年未満」22.1%、「10年以上」14.5%、「1年未満」12%の順になっている。

6 子育てについて
(1)理想の子どもの数
「3人」が54.8%と半数を占め、次いで「2人」の32.1%となっている。「4人」との回答も10.3%あり、少なくとも2人、できうるならば3人以上ということであろう。

(2)現実の子どもの数
「2人」が47.3%で「3人」が32.8%である。「1人」も13.7%あり、理想の子ども数より1人程少なくなっている。平均は約2.3人となっている。合計特殊出生率が約1.5人であるから、それを比較すると一家庭あたりの子ども数が極端に減っているわけではない。

(3)理想より現実の子どもの数が少ない理由
圧倒的に多い回答は「お金がかかる」59%である。子育てが経済的負担を強いることがわかる。これは現在だけでなく将来にわたっての負担も視野に入れてのことであろう。次いで「精神的・肉体的負担が大きい」38%、「仕事と育児の両立が難しい」30%と続く。多くの場合育児のかなりの部分を負うことになる。その際の負担の重さを実感しているが故の回答であろう。「住宅事情や自然環境が悪い」12%、「子どもをとりまく社会環境に不安がある」11.0%といった回答も注目される。地域の子育て環境に不安を抱いている。

(4)子育ての喜びやプラス面
上位の回答は順番に「生きがい、はりあい」51.9%、「家庭の中が明るくなる」47.4%、「親も人間的に成長する」46.7%であり、数値の多い回答はこの3つに集中している。

(5)子育ての難しさマイナス面
「自分の時間が持てない」55.6%と「時々子どもにあたってしまう」47.8%との回答が多い。次いで「精神的負担が大きくイライラする」25.9%、「体力的負担が大きい」23.7%となっている。時間的余裕がなく、その上肉体的・精神的負担が大きく余裕を持ってゆったりと子育てを楽しむということができない悩みをかかえている実態が見られる。

(6)子育て以前の他の赤ちゃんへの接触経験
「機会があった」とする回答は26.8%であり、大半はほとんどそうした機会を有していない。自分の子どもが産まれて初めてという場合が多いことを意味する。

(7)子育ての不安や悩みの有無
「特にない」との回答は25.8%で、残りの75.2%は何らかの不安や悩みを抱えている。

(8)子育ての不安や悩みの内容
「安心して遊ばせる場所がない」32.1%、「近所に子どもの遊び友達がいない」「社会環境、自然環境、食物の安全性に不安」「住居が子育てに十分な広さでない」9.5%、「近くに保育所・幼稚園・小学校がない」2.1%、といった子育て環境に対する不安についての回答が多いのが目立つ。他には「養育費、教育費にお金がかかる」26.3%と経済的負担への不安も数多い。また、「家族と意見が合わない」8.9%、「子育ての指示の違いに戸惑う」5.8%、「子育てが全般的にわからない」2.6%といった子育て方法についての悩み、不安がみられる。

(9)不安や悩みの相談相手
「夫」78%、「知人・友人」57.6%「親・家族・親戚等」44.8%に集中している。「先生」12.8%、「医師・看護婦・保健婦」7.6%、「保健所などの育児相談を利用」1.6%、「公的機関に相談」0.4%と専門家への相談は少ない。相談機能の充実が求められるであろう。

(10)子育ての知識の入手先
「友人・知人」55.6%、「新聞・育児書等」50.4%、「親・家族・親戚等」50.0%が目立つ。「保育所・幼稚園など」は19.6%と前三者と比較してかなり低い数値になっている。また「夫」との回答は11.9%であり、子育ての知識についてはあまり期待されていない。「母親学級等の講習会や講演」との回答が11.1%あり「子育てサークルの仲間」1.5%とともに注目される。

(11)緊急時に子どもを預かってくれる人
77.4%が「親」と回答し、「夫」の52.2%よりもはるかに高い数値になっている。「認可保育所」が11.5%とあるのは、母親の帰宅時間が遅くなった場合ということであろう。4.4%は「預かってもらえる人がいない」と回答している。

(12)両親が不在の場合、小3までの子が放課後過ごす場所
「自宅(祖父母など大人と一緒)」38.9%との回答が最も多いが、次いで「自宅(子どもだけ)」32.2%との回答も多く、核家族代実態がみられる。「児童館や放課後クラブ」との回答はない。

(13) 父親の育児へのかかわり方
「全般にわたって積極的」との回答が47.4%であり、約半数は積極的にかかわっている。「ほとんどかかわっていない」は3.9%とごくわずかである。しかし、「頼めば手伝うが頼まなければ手伝わない」21.5%、「積極的ではないが一部負担している」26.8%との回答は、子育てを母親にかなりの部分を負わせていることがわかる。

(14)父親への育児の期待
「全般的にかかわってほしい」58.6%、「一部でよいからかかわってほしい」40.2%は、母親の肉体的・精神的負担への悩み、不安を考える時当然であろう。男性の子育てについての認識を変革すると同時に、育児にかかわれる環境づくりも考えられねばならないであろう。

(15) 父親にかかわってほしい育児内容
「遊び相手」77.6%との回答が多い。「身の回りの世話」は26.7%と低く、せめて遊び相手ぐらいはという程度で、さほど大きな期待ではないのである。「しつけ」も59.3%と大きく、家庭内における父親の存在をきちんと示してほしいということであろうか。

7 保育について
(1)施設などの利用状況
「利用の経験」と「利用の希望」の間の差が激しい項目としては、「職場の保育施設」「放課後クラブ(学童保育)」「児童館」「デパートなどの託児室」「講座や演劇の時の託児室」があげられる。保育施設の利便性、学童期の子育て、母親の日常生活、特に文化、教養活動支援等が求められているということであろう。

(2)保育するところの選定基準
「保育をする人の人柄」45.9%との回答が多く、次が「基本的生活習慣」40.0%である。子どもに信頼され、子どもが喜んで通園する環境づくりをする保護者に対する期待が大きい。保育内容についていえば、本来家庭ですべき基本的生活習慣づくりを保育施設に期待している。日中の大半を過ごし、一緒に過ごす時間が親よりもはるかに多いことからこうした期待が生まれるのであろう。保育施設と家庭との連携をいかにするかが大事であろう。次は保育施設の利便性である。「距離や交通の便」34.4%、「保育時間」30.4%の数値も大きい。他には「設備の安全性・快適さ」34.4%、「保育料」20.7%、「家庭的雰囲気」18.9%等が目立つ回答になっている。

(3)家庭で育てたい年齢。
「3才」までとする回答が66.8%で圧倒的に多い。3才以上とする回答の合計が80.4%に達し、低年齢児は親のもとでとの意識が顕著である。特に「0才」との回答は1人しかおらず、乳児保育への抵抗は強いようである。

(4)保育所への送迎時間
朝は「8時~8時30分」が42.1%と多く、8時以前との回答は18.9%である。大半は8時以降であるが、それでも約2割は8時以前になっている。
夕方の迎えの時間については、「5時以前」が63.4%「5時~6時」がで合計95.5%となる。ごくわずかな子どもを除いて6時までには保育所を出ている。ただし、若干ではあるが6時以降の子もいる。

(5)保育所への送迎者
送迎ともに母親が主である。朝が80.5%夕方が71.2%で朝の方が多い。次は、祖母で朝が8.1%夕方が16.0%になっている。両者を合わせると、朝が88.6%夕方が87.2%となり、保育所への送迎はこの両者で行われていることになる。

(6)残業・急用等でお迎えが遅くなった時
「自分や夫の親や親戚に頼む」39.6%「自分と夫で調整」33.0%と7割以上は家庭内で処理できるが、19.3%は「保育所で待たせてもらう」と回答している。保育所で待たせてもらうことへの心理的抑圧は大きい。気がねせず預けられる環境作づくりが望まれる。

(7)保育に関する満足度
満足度の高いものは、順に「通園距離・時間」67.3%「給食」65.1%「保育開始時間」62.0%となっている。満足度の低いものは、「保育料」20.7%「入所手続き」40.2%「保育日・日数」44.9%の順になっている。不満度の高いものは「保育料」33.6%「保母の配置人数」12.0%「建物・園庭や設備」5.9%である。全体的に、不満とする数値は少なく、満足または普通との回答が多い。

(8)今後の保育所利用
今後、保育所の機能として必要とするものについて、一般的にと個人的にとの両面からたずねている。まず社会的・一般的にみて必要度の高いものとしては次のような項目がある。
「緊急・一時的保育」84.9%「学童保育」83.0%「延長保育」81.8%「障害児保育」80.6%「休日保育」72.5%、更にあまり必要でないものとしては「出張保育」64.8%、「病後児保育」47.0%「夜間保育」46.7%、「病児保育」46.4%、「乳児保育」40.9%があげられる。また、あなた自身が利用するかどうかという問いであるが、同様の傾向が見られると同時に若干の違いも見られる。「学童保育」69.8%、「緊急・一時的保育」65.5%、「障害児保育」63.6%、「延長保育」55.7%については必要度と同様に高い数値になっているが、「休出保育」は37.8%と低い数値になっている。
利用しないとの回答で多いものとしては「乳児保育」82.2%、「夜間保育」81.9%、「出張保育」76.8%の数値が高い。子育てに対する意識と地域性が顕著に出ているように思われる。

(9)保育所の子育て支援
「保育所の行事を通じた親子の交流」が50.8%と多く、保育所に預けるだけでなく、保育所が保育活動に親を参加させることを望んでいることがわかる。「育児講座や育児相談室の開催」31.2%や「保育所と保健所、児童相談所などの連携」28.4%は、育児についての相談を保育所が核になって果たすことを期待している。その他の項目についても、保育所が地域における子育てセンター的役割を果たすことが期待されていることがわかる。また、保育所を地域住民の交流の場として活用することも期待されている。

8 子育ての社会的支援
 子育て支援機関の周知度と利用状況とについての調査である。まず、支援機関の周知度のきわめて高いものとしては「由宇町保健センター」97.7%、「教育相談」92.6%、「子ども会」92.2がある。次いで「育児セミナー」83.3%、「育児相談」82.4%、「母子保健推進員」81.1%も周知度は高い。逆に「児童委員」31.7%、「家庭児童相談室」46.9%、「子ども家庭110番」、51.5%は比較的周知度が低くなっている。利用度はある程度周知度との相関関係がみられる。「由宇町保健センター」は検診の関係もあり83.3%ととりたてて利用度が高い。次いで「母子保健推進員」45.9%、「子ども会」41.3%が他の機関に比較して利用度が高い。「育児セミナー」22.1%、「育児相談」19.4%、「教育相談」3.8%は周知度に比して利用度は低い。育児相談などの要望は多いのだから、より利用度を高める工夫が求められよう。
9 児童手当について
(1)児童手当支給の有無
所得の限度額を超えている場合を除くと大半が「受給している」79.9%、状況にある。ただし「制度があることを知らなかった」1.3%との回答は無視できない。

(2)児童手当制度の充実への希望
「所得制度の緩和」74.8%、「手当の増額」57.2%と児童手当への期待は大きい。子育てをする上で、経済的負担が重いことはすでにみた通りである。経済的負担を軽くする施策が求められる。
10 子どもを健やかに生み育てるための希望
 「子どもの遊び場の確保」が56%と最も多い。自由記述でも遊び場についての要望が数多く出されている。
次に多い「子育てのための経済支援の充実」34.0%、「保育所などの費用負担の軽減」31.2%はいかに現在子育てのための経済的負担が重いかを示している。
「男性も女性も一緒に家事・育児に参加する」28.8%は、現在一方的に女性に負担が強いられている状況に対する批判であるとともに、男性が参加できる就労条件づくりへの期待も込められていよう。
「ゆとりある教育の推進」25.6%と「自然環境の保護」24.4%は、現在の子どものおかれている受験を目標とした学校教育への批判と自然の中で伸び伸びと育ててやりたいという想いとが込められていると理解できる。

福祉の里づくり構想

1 福祉の里づくりの目的
由宇町では、前章までの示すように、来る21世紀における福祉社会づくりに向けて、
 ●長寿社会をすべての人々が享受できる高齢者施策の推進
●子どもが健やかに生まれ育つ環境づくり
●障害者の自立と社会参加の促進
などの課題に対し、的確に対処していこうとしています。
このような課題への対応として、これからの福祉ニーズの多様化、高度化に対し、適切なサービスを提供するため、従来行われてきたような高齢者対策、障害者対策、児童対策といった各部門別の施策展開(縦割り対策)だけでなく、新しい社会システムとして関連分野を有機的に連携させた総合的な対策の推進が必要とされています。
そのためには、高齢者、障害者、児童が社会の一員として楽しくそし不快適に過ごせ、生活、健康維持、社会参加、生きがいなど多方面で、公的機関と民間施設がお互いを補い合い、行き届いたサービスを提供していくことが必要です。
以上のことから、福祉の里づくりは、21世紀に向けた新しい社会システムである総合的な福祉環境形成の一環として、総合的な福祉拠点づくりを目指すものです。

[福祉の里づくりの目的]

2 福祉の里の建設理念
 福祉の里は、高齢者・児童・障害者に対する、総合的な福祉サービスの拠点の整備を目指します。
また、この拠点が地域社会から隔離されたものではなく、誰もが日常生活の中で利用し、地域社会に溶け込んだ拠点としていくため、自然を生かした「交流」「健康回復」「遊び」の場としての整備も目指します。
さらに、将来的には身近にこれらの福祉サービスが享受できる“生活福祉村”として、周辺での一般住宅地の整備も行い、全国的にもアピールできる先進的な福祉の里を目指します。
以上の考え方をもとに、福祉の里の建設理念を次に示します。

高次の高齢者医療・福祉の拠点                                              

● 既存の高齢者医療福祉施設(みどり病院、老人保健施設みどり荘)の充実など、高次の高齢者医療福祉の拠点として整備します。
● 既存の身体障害者福祉施設(心身障害者療護施設緑風園、精神薄弱者厚生施設若葉園)の充実とともに、地域社会の中で自立に必要な機能の拡大を図り、心身障害者福祉の拠点として整備します。

 子供の自然王国(児童福祉の拠点)                                           

● 自然学習、エコロジーや昔の知恵にふれる等、健康と遊びを学ぶ拠点として整備します。

 広域交流・世代交流の森(交流拠点)                                          

● 家族や学校、地域団体等が利用する「交流(ふれあい)」の拠点として整備します。

[福祉の里の建設理念]

3 福祉の里への導入機能
1 高齢者医療福祉拠点としての導入機能
高齢者医療福祉拠点として、町に不足している福祉施設の導入のみでなく、高度の医療・福祉・リハビリ・研修・居住等の機能が一体となった場所とするため、以下の機能の導入を図ります。

図-高齢者医療福祉拠点としての導入機能

高齢者医療福祉拠点
<医療施設系>
● 老人病院(老人保健施設併設)
<福祉施設系>
● 高度のデイサービスセンター
● 在宅介護支援センター(24時間体制)
● ショートステイ
● 入所施設
● リハビリ施設
● 研修センター
● 宿泊施設(ゲストルーム)
● 屋外軽運動施設(ゲートボール等)
● 果樹園・菜園
● 共同作業所(工房)
● 農産品・手づくり品等の直売所
<住居系>
● ケア付住宅
(ここでは、低所得者も入居可能な公営等によるシルバーハウジング住宅が望ましい)
2 障害者福祉拠点としての導入機能
障害者が地域社会の中で自立した生活が営めるよう、以下の機能の導入を図る。

図-障害者福祉拠点としての導入機能

障害者福祉拠点
<福祉施設系>
● デイサービスセンター
● 在宅介護支援センター
● ボランティア交流センター
● ショートステイ
● 入所施設
● リハビリ施設
● 研修センター
● 宿泊施設(ゲストルーム)
● 屋外軽運動施設(ゲートボール等)
● 果樹園・菜園
● 共同作業所(工房)
● 農産品・手づくり品等の直売所
<住居系>
● ケア付住宅
● グループホーム



3 児童福祉拠点としての導入機能
児童の自然体験・研修活動を中心に・広域交流・世代間交流を行う場として・以下の機能の導入を図る。
なお、施設等の維持・管理や子どもの野外活動の先生として、高齢者や障害者(軽度)の能力活用を図り、生きがい対策や自立した生活の基盤づくりの場として利用する。

図-児童福祉拠点としての導入機能

児童福祉拠点
● 小動物とのふれあい広場・野鳥の森・昆虫の森
● 水辺の遊び場(釣り・イカダ等)
● 昔の遊び場(高齢者とのふれあい)
● 森の工作工房(高齢者・障害者とのふれあい)
● 自然観察(自然学習館・森のデッキ)
● キャンプ場
● フィールドアスレチック広場
● 果樹園・農園

主題:
ゆうゆう21福祉まちづくりプラン 由宇町総合福祉計画

発行者:
由宇町

発行年月:
1997年3月

文献に関する問い合わせ先:
〒740-14 山口県由宇町5920-1
障害保健福祉所管課長
TEL (0827)63-1111