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滋賀県障害者対策新長期構想

障害者とともに歩む地域社会づくり

平成5年6月

滋賀県

項目 内容
立案時期 平成5年6月
計画期間 平成5年度~平成12年度(10年間)

障害者とともに歩む 地域社会づくりをめざして

私たちの住む滋賀県は、湖の国、水の国であります。水は命を育み、生を受けたものはこの世にある限り精一杯生きようとします。人生は与えられた生を人間らしく一生懸命生きようとするからこそ、美しく、尊いのであります。一人ひとりの命を、たとえ高齢や障害などのためにハンディキャップをもつこととなっても、かけがえのない尊い命として大切にする、それが福祉の心ではないでしょうか。
昭和20年の夏、終戦とともに、多くの人が家財を失い、肉親と離れ離れとなって焼け跡に投げ出された時、滋賀にはまだ太陽に光る琵琶湖があり、荒れたとはいえ、美しい山河が残っておりました。昭和21年1月、そこに戦災孤児と精神薄弱児を収容する近江学園が創設されました。故糸賀一雄先生をはじめとする諸先生のもとに集まる人々によって、戦争直後の混乱の中、さまざまな困難を乗り越えて、新しい道を切り拓く先駆的活動が展開されたのであります。まさに全国に先駆けたものであり、その後の児童福祉の法体系につながったものでありますが、それまで全くそういう健きがなかったのかと言えば、そうではないのであります。
そこには、昭和2年に近江八幡に創設された昭和学園、昭和6、7年頃の島小学校教育、昭和16年百済寺にできた無争学園などの学校教育や、湘南学園、石山学園などの養護児童、精神薄弱児施設の中に流れていた人間平等の思想、そして、それを子どもたちと寝食を共にしながら実践するという、昭和初期から終戦に至るまでの一連の流れが、この滋賀の地に脈々と流れていたのであり、その中から生まれてきたものであることを忘れてはいけないと思います。まさに、滋賀の風土の中で、心ある人たちによって築かれ、育まれたものなのです。
故糸賀先生が残された『「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」』という有名な言葉がありますが、この子らに世の光を与えるのではなくて、この子らこそが世の光になるようにという意味があると聞いております。
私たち滋賀県民は、福祉の分野で一生を捧げられた、きら星のように輝く多くの先人たちの心を受け継ぎ、21世紀にもその灯を燃やし続けていかなければならないと思うのであります。
本県における障害者対策については、昭和57年10月に策定した「滋賀県障害者対策長期構想―うちかつ障害 ささえる社会―」に沿って、今日まで積極的に諸施策を推進してきました。この長期構想は平成3年度で最終年度を迎えましたが、この間、障害者をとりまく状況は人口の高齢化、重度障害者の増加、社会経済情勢の変化等大きく変化してきました。
こうした状況の変化を踏まえ、ノーマライゼーションの理念をさらに具体化し、障害者とともに歩む地域社会づくりを進めるため、このたび「滋賀県障害者対策新長期構想」を策定いたしました。
近江の風土と歴史に培われ、受け継いだ福祉の心を未来に生かし、一度は住んでみたい、住んでみてよかった、そして、いつまでも住み続けたいと言っていただけるような「障害者とともに歩む地域社会づくり」をめざし、この新長期構想に沿って各種施策を推進してまいりたいと存じますので、県民の皆様をはじめ関係各位の御理解と御協力をお願いいたします。

平成5年6月
滋賀県知事  稲葉  稔

目次

第1章 総論

第2章 各分野別の施策の推進方策

第3章 障害者地域総合ケアシステムの構築

  • [参考資料I]
  • [参考資料II]

    滋賀県障害者対策新長期構想

    *―*障害者とともに歩む地域社会づくり*―*

    第1章 総論

    第1節 新長期構想の策定にあたって

    1.趣旨

    本県における障害者対策については、昭和57年10月に平成3年度までの10年間を計画期間とする「滋賀県障害者対策長期構想*―*うちかつ障害 ささえる社会*―*」を策定するとともに、その中間年である昭和63年3月には「後期重点施策」を策定し、1啓発活動の推進、2保健医療および早期療育の充実、3障害児教育の充実、4就労対策と職業能力の開発、向上の推進、5福祉の充実、6生活環境の改善という体系の下に、今日まで積極的に施策の推進を図ってきました。
    この長期構想は平成3年度で最終年度を迎えましたが、この間、障害者をとりまく状況は人口の高齢化、重度障害者の増加、社会経済情勢の変化等大きく変化しており、国においてもいくつかの重要な制度改正が行われました。
    こうした状況の変化を踏まえ、ノーマライゼーションの理念をさらに具体化し、障害者とともに歩む地域社会づくりを進めるための指針として、新しい障害者対策長期構想を策定するものであります。

    2.新長期構想の性格

    この新長期構想は、「湖国21世紀ビジョン」を基本に、「滋賀県新社会福祉計画」、「湖国しがゴールドプラン」等との関連も踏まえ、これからの滋賀県の障害者対策のあり方を明らかにするとともに、市町村にとっては、障害者対策を推進していくうえでの方向
    となり、関係団体や県民に対しては、この構想のめざす方向に向かって自主的な福祉活動を展開していくことを期待するなど、県行政と市町村、県民、関係団体などが協調し一体となって「障害者とともに歩む地域社会づくり」を進めるための指針となる構想であります。

    3.新長期構想の目標年次

    この新長期構想は、21世紀を展望しつつ、平成12年度(西暦2000年度)を目標として障害者対策の方向性を提示するものです。
    ただし、社会経済情勢の変化等に応じて、必要な見直しを行います。

    4.新長期構想の基本的方向

    今後本県において、21世紀を見通しつつ、障害者対策を推進するにあたっては、すべての障害者がひとりの人間として個人の尊厳が重んぜられ、障害を持つ者も障害を持たない者も同じ県民として住みなれた地域社会や家庭で生活し、活動する社会をめざすノーマライゼーションの理念を基本に据え、障害者の自立と社会経済活動への参加について広く県民に理解と協力を求め、障害者とともに歩む地域社会づくりを推進していかなければなりません。このような方向は、国連が目指そうとしている「万人のための社会へ向けて(Towards a society for all)」の理念に沿うものです。この趣旨は、障害を持つ者と持たない者とが別々の社会を構成するのではなく、障害の有無にかかわらず一体的な社会を創っていくことが必要であることを強調するものです。
    この新長期構想では、以上のような考え方を踏まえ、特に次の5つの基本的な方向を掲げ障害者対策を推進していきます。

    (1)県民の障害および障害者についての正しい理解と認識の促進

    障害者の社会経済活動への参加を実現するために最も重要なことは県民の障害及び障害者についての正しい理解と認識を得ることであり、これがノーマライゼーションの理念を実現するための基盤です。それには、障害者を特別の存在として考えるのではなく、基本的にすべての人々は同じという考え方を十分理解することが必要です。
    また、人は誰でも病気や事故により障害者になる可能性があり、障害者の問題を自分の問題としてとらえることが必要です。
    このような考え方を踏まえ、今後ても各種啓発活動を推進し、県民の障害及び障害者についての正しい理解と認識が一層深まるよう努めます。

    (2)誰にとっても住みよいまちづくりの推進

    障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するという観点のみでなく、人口の高齢化に伴い障害を持つ高齢者の増大が予測される中で、誰にとっても住みよいまちづくりを進め、すべての県民の生活の質の向上を図ることが重要です。
    障害者に配慮した施設・設備の整備は、コスト高となり、社会全体の負担増と受けとられがちですが、施設・設備の整備により障害者の自立と社会参加が進み、障害者の能力が十分発揮できれば、社会全体にとって利益の増加につながるだけでなく、誰にとっても住みよいまちになります。
    このような考え方を踏まえ、特に、不特定多数の者が利用する建築物等の施設における物理的な障害の除去、情報収集やコミュニケーションの確保にあたってのハンディキャップの軽減を図るよう検討を進めます。

    (3)総合的な施策の推進

    すべての障害者が人生の時期、時期に充実した社会生活を営むためには、その生涯を通じて身近なところで必要なサービスを必要な時に的確に受けられることが重要です。このため、今後とも福祉、保健、医療、教育、就労等の施策をそれぞれの地域で充実させることに努めるとともに、これら各種施策間の調整を図ることにより、総合的かつ効果的なサービスの提供に努めます。
    このような障害者のための総合的な施策の推進を図っていくためには、県民にとって最も身近な市町村の役割が重要です。このため、新たな福祉サービスの供給システムの構築を目指す福祉関係8法の改正が行われ、市町村において在宅福祉サービスと施設福祉サービスがきめ細かく一元的かつ計画的に提供される地域福祉の体制が整えられることになりました。
    こうした市町村の役割に合わせて、県においては、専門的かつ広域的なサービスの提供等に努めるとともに、各市町村において総合的な障害者サービス供給体制を確立するために必要な検討、指導・助言をしていきます。

    (4)障害者にとって生きがいとうるおいのある生活の実現

    平成4年6月に政府が決定した「生活大国5か年計画」において、国民一人ひとりが豊かさとゆとりを日々の生活の中で実感でき、多様な価値観を実現するための機会が等しく与えられ、美しい生活環境の下で簡素なライフスタイルが確立された社会としての「生活大国」への前進が図られなければならないとされています。これを踏まえ、今後の本県において障害者対策を推進するうえでも、障害者個人が豊かさとゆとりを実感できるような地域社会の実現を図ることが必要です。そのためにはまず、障害者の就労、生活訓練の場の提供等を通じその社会参加が適切に確保され、生きがいを持って暮らせる社会づくりを目指します。
    また、障害者ができる限り住みなれた地域社会で自立した生活をおくることができるようにするための環境整備を進めるとともに、親なき後の障害者や在宅での生活が著しく困難な障害者の生活と生きがいの場の確保に努めます。
    一方、障害者にとって生きがいとうるおいのある生活を実現するため、文化・スポーツ・レクリエーション活動にも気軽に参加できるような環境整備が必要です。このため、文化・スポーツ・レクリエーションの振興を引き続き図るとともに、特に、本県ではこれまで福祉施設を中心として、障害者の陶芸等造形美術活動に取り組まれてきたところであり、こうした本県内での独自の取り組みの一層の促進、展開等について検討を進めていきます。

    (5)県民参加による障害者対策の推進と民間福祉活動の育成

    真に充実した福祉社会の実現をめざすには、行政施策の充実と併せて県民一人ひとりが福祉の問題を考え、理解し、ボランティア活動など自主的な地域福祉活動が展開され、声をかけあい、助け合うといった社会連帯の精神に支えられた福祉の土壌づくりが大切です。
    このため、福祉に対する関心を高めるための情報提供に努め、ボランティア活動への積極的な参加を促すとともに、各種啓発活動の充実を図るなど、県民の福祉意識の高揚に努めます。また、子供のときから自ら強く生きる心と思いやりや助け合いの心を育て、それが素直に実践に結びつく生活習慣を身につけることが大切であることから、学童・生徒のボランティア活動の充実を図るなど、小・中学校を中心とする福祉教育を推進します。
    また、きめ細かな在宅サービスを推進していくためには、障害者関係団体や社会福祉協議会、身体障害者・精神薄弱者相談員、ボランティア等の民間福祉活動が幅広く展開されることが必要です。このため、障害者関係団体等による民間福祉活動やボランティア活動の育成を図り、点訳奉仕員や手話奉仕員などの県民の自主的な活動を促進します。

    第2節 障害者の実態

    平成3年度末現在、本県における障害者手帳の交付を受けている者は身体障害者が29,604人(人口1,000人に対し、23.9人)、精神薄弱者が4,461人(人口1,000人に対し、3.6人)であり、約10年前の昭和57年度末に比べ、それぞれ約1.4倍、1.7倍に増加し、人口1,000人に対する比率もいずれも上昇しています。
    過去数回にわたり本県で実施した実態調査によりますと、特に身体障害者の場合、人口の高齢化に伴い65歳以上の者の占める割合が著しく増加し、昭和63年には身体障害者全体の40.3%を占めるに至っています([図1])。 障害の種類別に見てみますと、肢体不自由者が障害者全体の61.2%と半数以上を占めており、視覚障害者、聴覚機能障害者、内部障害者とともにそれぞれ増加しています。その中で特に、内部障害者の増加が著しく、また、音声言語機能障害者についてはやや減少しています([図2])。
    また、身体障害者のうち特に1級の手帳交付者の割合が、昭和53年の12.4%から昭和63年には17.4%に増加しています([図3])。
    一方、精神薄弱と身体障害との重複障害者は、昭和62年実態調査によれば、730人(精神薄弱者3,258人のうち、22.4%)であり、精神薄弱の重度または最重度と身体障害の重度(1級または2級)が重複している者が332人で精神薄弱者全体の10.2%を占めています。
    また、平成3年6月末現在の本県における精神病院入院患者数は2,096人であり、昭和57年と比べ、総数は若干増加しているものの、人口1,000人に対する比率にほとんど変化はありません([図6])。

    第3節 障害者対策に係る制度改正

    「国連・障害者の10年」を通じて、今後、障害者対策を推進するうえで重要ないくつかの制度改正が国において行われました。
    1つには、身体障害者福祉法の改正により、法律の目的として障害者の自立と社会経済活動への参加の促進が規定されるとともに、法律の対象となる障害者の範囲の拡大、ホームヘルプサービス事業等の在宅福祉サービスの法定化、身体障害者福祉に係る行政の市町村への一元化等が行われました。また、精神薄弱者については、精神薄弱者福祉法の改正によりホームヘルプサービスやグループホーム等の事業が法定化される等、在宅対策の充実が図られるとともに、各種施設の整備が進められています。精神障害者については、精神保健法の改正により、法律の目的に精神障害者の社会復帰の促進や福祉の増進に関する規定が設けせれたほか、精神障害者社会復帰施設が法定化され、現在、社会復帰施設の整備等各般の施策が実施されています。
    また、重度障害者を中心として雇用の立ち遅れがみられること等の状況にかんがみ、障害者の雇用の促進等に関する法律が改正され、重度障害者の増加に対応した障害者雇用対策の推進、精神薄弱者及び精神障害者に係る施策の充実等を行い、障害の種類または程度に応じた障害者雇用対策をよりきめ細かに講ずることとされました。
    高齢者保健福祉推進10か年戦略(ゴールドプラン)等に対応し、今後ますます需要が増大するホームヘルパー、社会福祉施設職員、看護職員等を確保するため、人材確保法(「社会福祉事業法及び社会福祉施設職員退職手当共済法の一部を改正する法律」「看護婦等の人材確保の促進に関する法律」)および介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律が成立しました。

    [図1]年齢階層別身体障害者の推移

      18歳未満 18~65歳 65歳以上 総数 人口1,000人に対する出現率
    昭和53年 4.2% 64.7% 31.1% 15,407 14.8人
    昭和58年 4.2% 61.1% 34.7% 18,715 16.7人
    昭和63年 2.8% 56.0% 40.3% 27,135 22.8人
    昭和62年(全国) 3.7% 53.7% 42.6% 2,506,000 20.6人

    (注)昭和53年、58年は手帳未交付者を含む身体障害者数、昭和63年は手帳交付者数である。

    [図2]障害の種類別身体障害者の推移

      視覚障害 聴覚障害 音声言語 肢体不自由 内部障害 総数
    昭和53年 15.0% 15.5% 1.3% 64.0% 4.2% 15,407
    昭和58年 13.3% 13.1% 2.1% 62.9% 8.6% 18,715
    昭和63年 11.5% 12.5% 1.1% 61.2% 13.7% 27,135
    昭和62年(全国) 12.5% 14.7% 60.4% 12.4% 2,506,000

    (注)全国調査では、音声言語の分類が行われていない。

    [図3]障害の程度別身体障害者の推移
    (手帳交付者のみ)

      1級 2級 3級 4級 5級 6級 総数
    昭和53年 11.1% 18.4% 22.7% 16.1% 19.3% 12.4% 14,621
    昭和58年 9.7% 16.5% 21.1% 17.8% 20.1% 14.5% 18,474
    昭和63年 9.3% 14.5% 21.9% 18.8% 18.0% 17.4% 27,135
    昭和62年(全国) 9.5% 13.2% 18.6% 17.1% 18.6% 20.0% 2,506,000

    [図4]年齢階層別精神薄弱者の推移

      18歳未満 18~65歳 65歳以上 総数 人口1,000人に対する出現率
    昭和52年 38.8% 60.8% 0.5% 1,764 1.7人
    昭和58年 34.3% 64.7% 1.1% 2,414 2.1人
    昭和62年 34.3% 63.6% 1.9% 3,258 2.0人
    平成2年(全国) 不明 不明 不明 385,100 3.1人

    [図5]障害の程度別精神薄弱者の推移

      軽度 中度 重度 最重度 判定未了等 総数
    昭和52年 13.3% 21.1% 34.3% 23.9% 7.4% 1,764
    昭和58年 16.1% 22.2% 40.7% 17.5% 3.5% 2,414
    昭和62年 20.8% 19.3% 38.5% 15.7% 5.7% 3,258
    平成2年(全国) 24.4% 26.9% 31.1% 12.4% 385,100

    [図6]精神病院入院患者数の推移

      総数 人口1,000人に対する出現率
    昭和57年 1,890 1.74人
    昭和61年 2,018 1.77人
    平成3年 2,096 1.70人
    平成2年(全国) 349,010 2.82人

    第2章 各分野別の施策の推進方策

    第1節 啓発活動の推進


    県民の障害及び障害者についての正しい理解と認識を深めるため、啓発広報活動や障害者とのふれあいの機会を設ける等の施策を長期的、継続的に一層推進します。

    1 報道機関との連携を図るとともに、紙面、電波媒体を通じて積極的に広報活動を展開し、県民の意識啓発を行い、また福祉に対する関心を高めるための情報提供に努め、ボランティア活動への積極的な参加を促します。

    2 障害者に対する正しい認識とボランティア活動への参加意識の高揚を図るため、16ミリフィルム・ビデオ教材の充足と、学校や地域社会における利用の拡大に努めます。

    3 福祉、教育等の団体や関係機関と連携しながら、講演会や福祉大会を開催するなど、広く県民の参加を促すとともに、県民の福祉意識の醸成に努めます。

    4 県民の生涯学習を推進するなかで、障害者に対する理解を深める学習活動と実践活動が積極的に展開されるよう指導します。

    5 地域の暮らしの場において、日常的なふれあい、交流ができるよう、文化、スポーツ、レクリエーション活動等による交流活動の積極的な推進に努めます。

    6 学生、一般県民を対象としたボランティア講座を入門から段階的に学べるよう充実に努めます。

    7 学童、生徒のボランティア活動を普及するため、小・中・高校の福祉活動等の推進指定校の拡大に努めます。

    第2節 生活環境の改善

    障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するため、特に、不特定多数の者が利用する建築物等の施設における物理的な障害の除去、情報収集やコミュニケーションの確保にあたってのハンディキャップの軽減に努め、誰にとっても住みよいまちづくりを進めます。

    1 すべての人々が安心して地域に出ていけるような生活環境の整備を推進するため、既存の制度の見直しを含め、その方策を検討します。

    2 歩道等の整備に際しては、障害者の利用に配慮した幅の広い使いやすい歩道とすることや、段差の適切な切り下げ、点字ブロックの敷設等を推進し、移動の連続性と安全で快適な歩行空間の確保に努めます。

    3 視覚障害者付加装置や交通弱者感応付加装置による交通信号機の改良、交通関係施設の整備を進めます。

    4 地域の実態を把握し、県営住宅については、建替、改善等の事業において住宅の設計・設備、居住環境等に関して、障害者の利用に配慮した住宅整備を進めるとともに、市町村営住宅についても、同様の住宅整備が促進されるよう、指導助言を行います。

    5 障害者の在宅福祉が円滑に進められるよう、「住宅設計の手引き書」の普及、住宅改造に当たっての助成等により適切な住宅整備の促進に努めます。

    6 障害者を災害から守るため、防災、防犯知識の普及や防災設備の整備を推進するとともに、救護システムの確立に努めます。

    7 障害者や高齢者が積極的に社会に参加し、安心して生活できるようにするため、市町村において生活環境改善を中心とする「住みよい福祉のまちづくり事業」や「障害者とともに歩む地域づくり推進事業」を促進します。

    8 視聴覚障害者の情報収集、コミュニケーションの確保にあたってのハンディキャップを軽減し、自立と社会参加を促進するため、視聴覚障害者情報提供施設の整備・充実や手話の普及、点字・録音図書、ファックスの普及等情報伝達手段の充実に努めます。
    また、点訳・朗読奉仕員、手話通訳者・手話奉仕員及び要約筆記奉仕員の養成、資質の向上に努めます。

    第3節 保健医療及び早期療育の充実

    (1)心身障害の発生予防

    心身障害の発生予防を図ることは障害についての保健医療サービスの基本となることから、周産期保健医療システムをはじめとする各種予防施策の充実に努めます。

    1 周産期保健医療システムの充実のための施策を検討します。

    ア 新生児救急医療センターの充実強化を促進します。
    イ ハイリスク妊産婦の保健指導の充実に努めます。
    ウ 未熟児を生まない予防対策を推進します。
    エ 新生児救急医療センター長期入院児の継続ケア(退院後の健康の確保)について保健・医療・福祉の連携のもとに進めます。

    2 確定診断機能等が充実した遺伝相談に努めます。

    3 母性保護に関する知識の普及・啓発を行います。

    4 脳血管疾患の予防のため、健康教育・健康診査の充実や指導の強化に努めます。

    (2)早期発見・早期療育対策の充実

    障害を早期に発見し、早期治療、早期療育へと連携させていく体制を充実し、乳幼児期から早期に障害の軽減につながる諸条件の整備を一層推進します。

    1 今後とも乳幼児健診において、心身障害や各種疾患を早期に発見するとともに、早期治療上の指導等を行い、乳幼児の健康の保持増進に努めます。

    2 療育相談指導事業により、身体の機能に障害をのこす恐れのある児童の診査及び治療上の指導を充実します。

    3 乳幼児発達相談指導事業により、精神、運動発達に障害のある児童の早期発見、事後指導を充実します。

    4 フェニールケトン尿症等の代謝異常や小児がんを早期に発見し、障害の発生予防を図るため、先天性代謝異常検査や神経芽細胞腫検査を引き続き実施します。

    5 心身障害児通園事業等療育事業を利用する児童の障害種別等に対応し、療育事業の充実に努めます。

    6 乳幼児期は生涯を通じ最も発育の著しいときであり、また生涯の健康基盤が形成される大切な時期であることから、保健・医療について総合的、系統的な対処とともに、小児保健医療センターが小児保健医療サービスの拠点として総合的な視点から専門機能が発揮できるよう整備充実に努めます。

    (3)リハビリテーション等の医療の充実

    リハビリテーション等の医療は、障害の軽減を図り、障害者の自立を促進するために不可欠であることから、その充実に努めます。
    1 障害者の自立生活を援助するため、原因疾患等の早期発見から治療、基礎的生活訓練、就労に至るまで、総合的なリハビリテーション体制の確立を図ります。

    2 心身に障害を持つ児童や慢性疾患児に対して引き続き、養育医療・育成医療・小児慢性特定疾患治療研究事業等の公費負担制度を実施し、保護者の経済的負担の軽減を図るとともに、生活・介護・教育・福祉面など家族の生活に密着した総合的な支援体制の強化に努めます。

    3 保健医療サービスを必要とする在宅の障害者に対し、訪問指導等を一層推進し、地域で生活できるための在宅ケアシステムの構築に努めます。

    4 重度障害者に対し、必要な医療の給付を引き続き行います。

    5 在宅心身障害児の歯科保健指導により歯科疾患の予防に努めるとともに、施設入所者を含めた心身障害児(者)の地域での歯科診療及び集中歯科診療を推進します。

    (4)精神保健対策の充実

    精神保健に関する思想の普及・啓発活動を推進し、健康教育・健康相談等予防活動の充実に努めます。また、精神障害者には疾病と障害が共存しているので、地域精神医療の一層の充実に努めるとともに、地域での社会生活を確保するための環境整備と社会復帰までの一貫した支援システムの確立等各種施策を推進します。

    1 精神保健に関する総合的技術センターとしての機能を有する精神保健総合センターにおいて、県民の精神的健康の保持・向上から精神障害者の医療保護及び社会復帰訓練に至るまでの専門的で総合的な施策を展開することにより、精神保健対策の充実に努めます。

    2 家族会、断酒会等関係協力団体の育成指導を引き続き行います。

    3 保健所は地域の第一線の機関として、精神保健総合センター等との連携を図りながら精神保健に関する相談活動、訪問指導の充実に努めるなど、地域精神保健活動を推進します。

    4 精神障害者の社会復帰を促進するため、作業活動・生活訓練を行う場及び地域生活を援助するためのグループホームの整備を進めます。

    5 通院患者のリハビリテーションと精神障害者を受け入れる地域づくりを進めるため、職親の開拓、雇用奨励金制度の充実、特定求職者雇用開発助成金制度の活用に努めます。

    6 老人性痴呆疾患対策として、本人および家族の不安に対応できる体制整備の充実を図るため、各保健所単位に、ぼけ予防教室、相談窓口、介護教室、従事者研修を実施するとともに、モデル事業として「ぼけない健やか健診」を実施し、脳血管性痴呆を早期に発見、対応することにより、症状の改善や痴呆の進行を防止するシステムの確立に努めます。

    7 県立成人病センターにおける老人性痴呆疾患に関する専門的医療相談事業を発展させ、外来診療を実施するなど老人性痴呆疾患専門医療体制の充実に努めます。

    第4節 障害児教育の充実

    (1)障害児教育の質的充実

    心身に障害を持つ児全生徒が自らの障害を克服し、社会参加・自立できるように育てるためには、その心身の障害の種類と程度に応じた適切で一貫した教育が重要です。そこで、次の事項を重点に障害児教育の質的充実に努めます。

    1 児童生徒の心身の障害の状態等に応じた効果的な教育を行うために、新しい教育課程の基準に基づいた教育課程講習会や研究集会を開催すること等により、教育課程の編成や指導方法の工夫・改善に努めます。

    2 障害児教育諸学校における児童生徒の実態を踏まえ、学校の適正配置と通学区の再編成を図ります。

    3 児童生徒の実態に応じ障害児学級を設置するとともに、通常の学級に在籍する障害児のための通級の指導など障害の多様化に応じた児童生徒の指導に努めます。

    4 滋賀県総合教育センターにおける障害児教育に関する研究や研修、相談活動の充実に努めます。

    (2)就学前対応と後期中等教育の充実

    障害児の就学前対応と後期中等教育は、義務教育とともに、障害者の生涯教育の観点からその役割を明確にして取り組むことが重要であり、関係機関との連携を密にして、次の事項を重点に充実を図ります。

    1 幼稚部及び幼稚園における心身に障害を持つ幼児の指導にあっては、家庭や療育事業関係者、関係専門機関との連携に努め、心の安定と心身の自立に配慮し、集団の中で生活することを通して、全体的な発達を促すとともに、一人ひとりの発達課題に応じて進めます。

    2 障害児教育諸学校の高等部については、障害者の職業や生活訓練機関との関連に配慮しつつ、学校教育としての特性を生かした指導の充実に努めます。また、高等部を中心に行っている職業教育の充実や進路関係諸機関との連携による進路指導の充実に努めます。

    3 身体に障害のある生徒の高等学校の受検については、拡大検査用紙の使用や別室を準備するなどの配慮に努めます。

    (3)適正就学指導の充実

    心身障害の種別や程度に応じて、一人ひとりが最も適切な教育の場に就学できるよう、次の事項を重点に充実に努めます。

    1 就学相談活動の一層の充実に努めます。
    2 就学指導委員会委員の研修の充実に努めます。
    3 体験入学や説明会の開催等によって、保護者の理解啓発に努めます。
    4 保母、保健婦等の就学前関係者や教職員の理解啓発に努めます。
    5 障害児教育の普及啓発ビデオの一層の活用を図ります。

    (4)交流教育等の推進

    障害児に対する一般社会の理解と認識を一層深めるために、次の事項を重点に推進に努めます。

    1 障害児教育諸学校の児童生徒と小・中学校等の児童生徒や地域社会の人々との交流の機会を積極的に設けるように努めます。
    2 心身障害児理解推進地域を指定し、心身障害児理解推進の研究を深めます。
    3 各学校は、障害児(者)に対する正しい理解と認識を培う指導や活動を教育課程に位置付けて実践します。
    4 教職員等に心身障害についての理解と認識を深めるための研修会を開催します。

    第5節 就労対策の推進

    (1) 就労対策の推進

    障害者の職業的自立の促進と職業の安定を図ることを基本方針として、各関係機関との連携をより一層強化し、事業主をはじめとして広く県民の理解と協力を求め、就労の場の確保のための取組みを積極的に推進します。

    1 障害者の雇用促進を図るため、障害者雇用促進大会等を開催し、雇用啓発を積極的に推進します。また、各種助成金制度の周知や求職情報の活用により職業紹介に努め、法定雇用率の早期達成指導に努力するとともに、県においても率先して障害者の雇用に努めます。

    2 障害者の雇用機会の増大を図るため、職場適応訓練を積極的に活用します。

    3 重度障害者の就労促進を図るため、重度障害者等多数雇用企業の設立促進に努めます。

    4 働く意欲を持ちながら、企業等での就労が困難な障害者のために、授産施設及び共同作業所の適正な配置や機能の強化に努め、福祉工場の設置を促進し、地域における就労援助体制の充実に努めます。

    5 就労する障害者が地域で生活する上で必要な支援体制の充実等に努めます。

    (2)職業能力の開発、向上の推進

    障害者の就職を促進するため、その前提となる職業能力の開発、向上が必要であることから、職業訓練機会の拡充を積極的に推進します。

    1 軽度の障害者については、公共の職業訓練校への受け入れを一層進めるため、施設、設備の改善充実に努めます。

    2 重度の障害者については関係機関との密接な連携を一層図りながら、障害者の適性、能力に応じた障害者職業訓練校への入校を促進するとともに、訓練中の援護措置の充実に努めます。

    3 専修学校、各種学校、認定訓練校、社会福祉施設等との連携を一層図りながら、委託訓練制度の活用を推進します。

    第6節 福祉の充実

    (1)在宅福祉対策の推進

    すべての障害者がひとりの人間として人間らしい生活を実現するためには、できる限り住みなれた地域社会で自立した暮らしができるようにすることが基本です。これまでのノーマライゼーションの理念の浸透や在宅福祉対策の推進により、障害程度がかなり重度であっても、障害者本人やその家族が住みなれた地域で暮らしたいという希望が多くなってきています。そのため、今後特に在宅福祉サービス3本柱(ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス)を中心に、在宅福祉対策を推進します。

    1 日常生活を営むのに支障のある重度障害者の家庭に派遣するホームヘルパーが、すべての市町村で設置されるよう、「湖国しがゴールドプラン」に基づき、その養成指導に努め、派遣体制の充実を図るとともに、老人ホームヘルパーとの相互派遣を推進します。

    2 在宅の障害者に対する地域での介護力を向上するため、介護技術指導や介護相談を充実します。

    3 在宅において家族が安心して障害者を介護できるよう、家族の疾病等によって一時的に介護が困難となった場合や保護者の休息を必要とする場合の措置として、ショートステイが身近なところで容易に利用できるよう充実に努めるとともに、心身障害児(者)及びその家族が気軽に利用できる休息の機会の確保についての研究を進めます。

    4 各地域において、日常生活訓練、軽作業、社会適応訓練等のデイサービス事業が実施できるよう、身体障害者福祉センターB型や身体障害者デイサービスセンターの整備を促進するとともに、老人デイサービス施設との相互利用を進めます。

    5 養護学校卒業後の在宅の重症心身障害児等の処遇については、国の動向等を踏まえつつ対応策について検討を進めます。

    6 障害者の経済的な安定を確保するため、心身障害者扶養共済制度の普及に努めるとともに、公的年金、特別障害者手当、障害児福祉手当等の充実や税制上の配慮を引き続き国に要望します。

    7 保育所における障害児保育の推進のため、保母等の加配を引き続き実施し、障害児担当保母等の研修の充実により、その資質の向上に努めるとともに、地域療育事業との連携に努めます。

    8 補装具の適合判定や装着訓練の充実により、その適正、効果的な利用の推進に努めます。

    9 障害者の自立支援機器及び介護支援機器の展示、相談、研究開発、情報提供、リサイクル等を行う補助器具センターの整備について検討を進めます。

    10 自閉症児(者)の処遇のあり方について、引き続き調査、研究を行います。

    11 障害者対策を進めるうえで必要なニーズ等の調査については、今後とも人権に配慮しながら実施していきます。

    12 身体障害者相談員及び精神薄弱者相談員に対する研修の充実により、地域活動の中核として、その資質の向上に努めます。

    13 腎不全患者等の内部機能障害者に対して、相談活動等必要な施策の充実に努めます。

    14 在宅障害者の生活の自立を支援するための施策について、居住環境等の整備を含めその充実に努めます。

    (2)施設福祉対策の推

    誰しも生まれ育った家庭、地域で生活することが望ましいですが、障害の状況等から家庭での生活が困難な障害者や家庭で行うことのできない訓練を必要とする障害者に対しては、専門的な機能を持つ施設でサービスを提供する必要があります。そのため、今後とも地域に配慮しながら施設の体系的な整備を促進するとともに、在宅の障害者の利用をも配慮した施設の専門的機能の充実に努めます。

    1 精神薄弱者更生施設については、入所希望者の実態を勘案し、既設の施設を含め、規模や地域性を考慮しながら整備を促し、特に湖南福祉圏域及び大津福祉圏域における整備を促進します。
    また、通所型の精神薄弱者更生施設について、障害者のニーズを踏まえ、その必要性について検討を進めます。

    2 身体障害者通所授産施設及び精神薄弱者授産施設(通所)について、各福祉圏域ごとに、地域バランスを考慮しながら整備を促進するとともに、両施設において障害種別の異なる障害者による混合利用を促進します。また、共同作業所については、分場
    制度等の活用を図るなど、認可施設への移行を指導・支援します。

    3 重度身体障害者授産施設の整備を促進するとともに、身体障害者療護施設について障害者のニーズを踏まえ、既存施設との地域バランスを考慮しながら、その必要性について検討を進めます。

    4 老朽化した成人施設について、重度障害者の増加等に対応した改築を促進するとともに、精神薄弱児施設については、入所児童の実態に応じた改修を促進します。

    5 「むれやま荘」の利用者の増加を図るとともに、肢体不自由者以外の障害者の利用について検討を進めます。

    6 精神薄弱者通勤寮については、精神薄弱者のニーズを踏まえ、新たな通勤寮の必要性について検討します。

    7 共同作業所については国の動向等を踏まえつつ、町村に1か所、市にあっては中学校区に1か所の整備を促進します。

    8 授産施設及び共同作業所における授産事業等の振興について、自主製品・下請製品の販路開拓、経営改善等に対し助言・指導を行います。

    9 強度行動障害児(者)の処遇について、調査、検討を行います。

    10 障害者の高齢化により、従来の施設での処遇が困難になってくるため、高齢障害者のための施設のあり方について検討を進めます。

    (3)社会参加の促進

    障害者にとって生きがいとうるおいのある生活を実現するためには、文化・スポーツ・レクリエーション等幅広い社会活動に気軽に参加できるようにしていくことが必要であり、そのための環境整備を進めます。

    1 県スポーツ大会の開催、全国大会への選手養成・派遣、啓発活動等を行い、身体障害者及び精神薄弱者のスポーツの振興を図ります。

    2 障害者の文化、芸術活動の一層の促進、展開等について検討を進めていきます。

    3 身体障害者の社会参加を積極的に進めるため、社会参加促進事業等の施策の充実に努めます。

    4 精神薄弱者が、地域のなかで人々とともに働き、学び、交流し、生きがいのある生活ができるよう、余暇活動等への参加機会の充実に努めます。

    5 障害者からの法律問題等に関する専門相談のための方策等について検討を進めます。

    6 障害者の行動範囲の拡大のため、自動車運転免許取得、自動車改造等の経費助成を引き続き実施するとともに、運賃割引等の優遇措置が充実されるよう国に要望します。

    第7節 専門職員等の確保

    今後、保健医療福祉対策を推進していくためには、看護職員、施設職員、ホームヘルパー等の養成確保が急務です。そのため、滋賀県の社会福祉施設等が魅力あふれた活動の場となるような条件整備を進めます。特に、専門職としての介護福祉士等に対する期待は大きく、こうした人材の養成確保に努めるとともに、一般県民はもとより、企業や勤労者等のボランティア活動等身近な福祉活動の促進に努めます。

    1 保健医療従事者については、新たな人材の育成、潜在看護職員の就労促進等を目的としたナースバンク事業を充実させるとともに、新たにナースセンターを設置し、就労斡旋機関として関係機関との連携のもとに円滑な人材確保対策を進めます。

    2 看護のイメージを高めるとともに養成定数の拡大、離職防止、潜在看護職員の再就労促進など、看護職員確保のための取り組みを充実します。また、理学療法士、作業療法士等についても必要な人材の確保に努めます。

    3 介護福祉士等の修学資金貸付事業を実施するとともに、介護福祉士養成施設の設置を促進します。

    4 社会福祉事業従事者の養成確保に関する広報啓発、情報提供等を行うとともに、求職、求人相談に応じる福祉人材情報センターの充実に努めます。

    5 社会福祉関係職員の資質の向上を図るため、研修施設を設置し、体系的な研修を実施します。

    6 社会福祉事業従事者に係る労働条件の改善、魅力ある職場づくりを促進します。

    7 県民一人ひとりの福祉に対する理解を深め、協力を得るための土壌となる思いやり、いたわりあう心を育むうえで、幼児期から生涯を通して福祉を学び体験する機会の提供や、広報啓発、ボランティア活動の振興に努めます。

    第3章 障害者地域総合ケアシステムの構築

    障害者対策は福祉、保健、医療、教育、就労等幅広い分野にわたっており、一人ひとりの障害者のライフステージに応じて必要なサービスを的確に提供していくためには、それら相互の密接な連携が不可欠です。
    そこで、市町村、福祉圏(注)及び県それぞれの段階で、障害者に対するサービスを総合的に提供していくための障害者地域総合ケアシステムの構築を目指します。
    また、障害者対策を推進していくためには、公的施策の充実とともに、県民一人ひとりの福祉に対する理解と協力に基づく積極的で自主的な民間福祉活動の展開が必要であり、その促進に努めます。
    (注)「福祉圏」とは、「滋賀県新社会福祉計画」に基づく7つの県(福祉)事務所ブロックのことです。

    1 県においては、これまでも障害者対策推進本部及び心身障害者対策協議会を設置し、障害者対策の総合的推進に努めてきたところであり、今後ともこれらの組織を活用すること等により、各分野の連携を進め、施策の一層の総合的な推進を図っていきます。
    また、市町村や福祉圏では対応できない高次のサービスを提供するほか、障害者更生相談所による専門的な相談・指導等、県全域で共通する研究活動、専門職員等の養成や研修、民間福祉活動の育成等に努めます。

    2 7つの福祉圏域レベルでは、地域福祉保健推進協議会が設置され、在宅サービス施策の市町村への定着や総合的な在宅サービス供給体制を実現するための取組みが行われてきましたが、今後は特に、県(福祉)事務所において、障害者更生相談所、児童相談所、保健所、公共職業安定所等との連携を図りつつ、各市町村において総合的な障害者サービス供給体制を確立するために必要な検討、指導・助言をしていきます。
    また、地域福祉保健推進協議会において、各市町村等における検討を踏まえ、養護学校卒業生等の進路相談指導等により障害者の就労等社会活動への参加や地域における自立活動が促進されるよう支援に努めます。
    さらに、市町村単位では対応することが困難なより専門的かつ広域的な福祉施設等サービス供給体制の支援に努めます。

    3 精神薄弱者援護施設等が有する専門知識等を地域の在宅福祉推進に一層活用できるよう努めます。

    4 今後、障害者対策の充実を図るうえで、県民にとって最も身近な行政機関である市町村の役割が重要です。そこで、市町村において個々の障害者の状況に応じた適切な処遇を確保し、そのライフステージに応じ一貫した体制の整備を図るため、福祉、保健・医療、教育等の関係者により処遇検討を行う場としての「福祉サービス調整チーム」の整備を促進し、県、県(福祉)事務所、地域福祉保健推進協議会、障害者更生相談所、児童相談所、保健所等と密接に連携した障害者地域総合ケアシステムの構築を目指します。
    5 各種啓発活動の充実などにより、県民の福祉意識の高揚に努めるとともに、小、中学校を中心とする福祉教育を推進します。
    また、障害者関係団体、社会福祉協議会等による民間福祉活動やボランティア活動の育成を図り、地域住民の自主的な活動を促進します。

    参考資料

    [参考資料I]

    1 身体障害者手帳交付者数年度別推移表

    年度 身体障害者
    手帳交付者数
    人口千人当たり
    (人)
    障害別内訳数
    視覚 聴覚・平行機能 音声・言語・そしゃく 肢体不自由 内部障害者
    (人)
    昭和57年度
    (%)
    21,196 19.0 2,863 2,987 260 13,440 1,646
    100.0 13.5 14.1 1.2 63.4 7.8
    (人)
    昭和58年度
    (%)
    21,456 19.0 2,824 2,953 249 13,625 1,805
    100.0 13.2 13.8 1.1 63.5 8.4
    (人)
    昭和59年度
    (%)
    22,959 20.1 2,890 3,099 260 14,469 2,241
    100.0 12.6 13.5 1.1 63.0 9.8
    (人)
    昭和60年度
    (%)
    24,234 20.9 2,924 3,194 276 15,111 2,729
    100.0 12.1 13.2 1.1 62.3 11.3
    (人)
    昭和61年度
    (%)
    25,524 21.8 3,034 3,280 281 15,808 3,121
    100.0 11.9 12.9 1.1 61.9 12.2
    (人)
    昭和62年度
    (%)
    26,579 22.4 3,025 3,333 298 16,362 3,561
    100.0 11.4 12.5 1.1 61.6 13.4
    (人)
    昭和63年度
    (%)
    26,755 22.3 2,953 3,242 302 16,403 3,855
    100.0 11.1 12.1 1.1 61.3 14.4
    (人)
    平成元年度
    (%)
    27,656 22.7 2,980 3,267 338 16,804 4,267
    100.0 10.8 11.8 1.2 60.8 15.4
    (人)
    平成2年度
    (%)
    28,461 23.2 2,968 3,216 328 17,213 4,736
    100.0 10.4 11.3 1.2 60.5 16.6
    (人)
    平成3年度
    (%)
    29,604 23.9 2,935 3,324 351 17,829 5,165
    100.0 9.9 11.2 1.2 60.2 17.5
    (人)
    平成4年度
    (%)
    30,398 24.3 2,857 3,281 424 18,441 5,395
    100.0 9.4 10.8 1.4 60.7 17.7

    2 療育手帳交付者数年度別推移表

    年度 療育手帳交付者数(人) 人口千人当たり(人) (参考)滋賀県総人口(人)
    昭和57年度 2,670 2.4 1,110,793
    昭和58年度 2,759 2.4 1,125,155
    昭和59年度 3,029 2.6 1,137,932
    昭和60年度 3,262 2.8 1,155,844
    昭和61年度 3,543 3.0 1,166,928
    昭和62年度 3,659 3.1 1,178,854
    昭和63年度 3,819 3.2 1,192,558
    平成元年度 4,013 3.3 1,208,856
    平成2年度 4,199 3.4 1,222,411
    平成3年度 4,461 3.6 1,236,085
    平成4年度 4,512 3.6 1,248,552

    3 病状別精神病院入院患者数年度別推移表
    (各年6月末)


    病名
    年度 昭和
    58
    59 60 61 62 63 平成
    2 3 4
    精神分裂病 1,251 1,254 1,286 1,266 1,306 1,314 1,338 1,305 1,331 1,318
    そううつ病 74 92 95 109 118 114 113 130 137 128
    てんかん 102 95 93 97 102 101 94 97 92 89
    臓器質性
    精神障害
    総数 158 184 192 210 208 220 208 207 231 207
    痴呆性疾患 アルツハイマー型 52 70 58 58 66 63
    脳血管障害型 95 101 102 118 98 94 88 84 100 93
    その他 32 37 35 38 36 28
    その他 63 83 90 92 26 19 27 27 29 23
    その他の精神病 81 74 70 87 89 65 81 69 53 66
    中毒性
    精神障害
    総数 56 56 57 66 72 75 59 68 63 55
    アルコール中毒 52 53 55 64 67 69 54 62 58 53
    覚せい剤中毒 0 0 0 0 1 1 2 1 1 1
    その他の中毒 4 3 2 2 4 5 3 5 4 1
    精神薄弱 74 73 72 61 64 64 46 57 53 60
    精神病質 3 3 3 2 5 2 1 3 1 2
    精神神経症 96 86 107 98 114 124 104 109 119 119
    その他 6 14 13 22 14 22 18 24 16 15
    合計 1,901 1,931 1,988 2,018 2,092 2,101 2,062 2,069 2,096 2,059
    県人口(千人) 1,125 1,138 1,156 1,167 1,179 1,193 1,209 1,222 1,236 -
    病院数(箇所) 10 11 11 11 11 11 11 11 11 12
    精神病床数 1,890 1,957 2,012 2,058 2,134 2,190 2,190 2,151 2,151 2,197

    4 障害者雇用の状況

    (1)民間企業における障害者雇用率の推移

    区分 常用労働者数(人) 内障害者数(人) 実雇用率(%) 未達成企業の割合(%)
    58年 56,078 937 1.67(1.23) 26.6(46.5)
    59年 62,076 1,000 1.61(1.25) 26.4(46.4)
    60年 64,386 1,057 1.64(1.26) 23.1(46.5)
    61年 65,477 1,085 1.66(1.26) 21.7(46.2)
    62年 66,518 1,110 1.67(1.25) 22.7(47.0)
    63年 70,464 1,330 1.89(1.31) 23.5(48.5)
    元年 72,128 1,334 1.85(1.32) 22.7(47.8)
    2年 73,425 1,408 1.92(1.32) 22.7(47.8)
    3年 75,849 1,427 1.88(1.32) 28.0(48.2)
    4年 77,233 1,464 1.90(1.36) 29.1(48.1)

    ※ ・63年度からは、障害者の中に精神薄弱者が含まれます。
    ・()内の数字は全国をあらわす。

    (2)国・地方公共団体における障害者雇用状況

    区分 機関数 職員数(人) 障害者数(人) 実雇用率(%)
    滋賀県 非現業 60 13,365 286 2.14
    現業 5 757 20 2.64
    全国 非現業 3,910 2,028,640 40,262 1.98
    現業 283 279,047 6,056 2.17

    5 障害児教育の現況

    (1)障害児教育諸学校の幼児・児童・生徒数の推移

    障害者教育諸学校の幼児、児童、生徒数の推移の図

    種別   年度 視覚障害 聴覚障害 精神薄弱 肢体不自由 病弱
    58年 95 103 374 209 67
    59年 96 100 431 213 68
    60年 97 99 470 210 67
    61年 100 102 457 197 64
    62年 91 99 454 226 58
    63年 97 93 443 193 91
    元年 91 103 443 213 89
    2年 75 99 449 209 87
    3年 67 91 399 237 74
    4年 62 86 382 234 67
    5年 68 85 365 228 61

    (2)滋賀県内の盲ろう養護学校設置状況および通学区図

    滋賀県内の盲ろう養護学校設置状況および通学区の図

    6 市町村別・福祉圏域別社会福祉施策等の状況 (障害児・者福祉)     平成5年6月作成

    身体障害者手帳交付者

    5.3.31
    療育手帳交付者

    5.3.31
    ホームヘルパー

    5.1.31
    ガイドヘルパー

    5.1.31
    デイサービス
    事業
    デイサービス
    センター
    障害者
    共同
    作業所

    5.3
    障害者
    生活
    ホーム

    5.3
    通勤寮、
    グループ
    ホーム

    5.3
    身体障害者
    更正援護施設
    障害者
    通園施設
    通園事業
    地域療育
    事業
    心身障害児
    施設
    精神薄弱者
    援護施設
    精神障害者
    社会復帰施設
    精神
    障害者
    共同
    作業所
    盲・聾
    養護
    学校

    5.2.1
    通所
    授産
    センター
    点図
    療護 肢体
    重度
    更正
    精神薄弱児 重症心身、盲 更正 授産 援護寮 福祉
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    通所
    授産
    大津市 5,952 868 15 50 1 13
    (147)
    5
    (28)
    B1 2 通3
    (100)
    1 3
    (166)
    草津市 1,859 302 2 34

     

     

    1
    (20)
    A1 1
    (80)
    1 1
    (96)
    通1
    (30)
    1
    (114)
    守山市 1,138 191 1 2 2
    (29)
    1
    (3)

    1
    通1
    (30)

    1
    (34)
    志賀町 451 63 1 6 1
    (13)
    栗東町 978 143 1 6 2
    (23)
    1
    (86)
    中主町 307 35 1 1
    (7)
    野州町 683 85 1 20 1 1
    (18)
    1
    (30)
    1
    (130)
    1
    草津県事務所計 5,416 819 7 68 1 8
    (115)
    1
    (3)
    2
    (50)
    A1 1
    (80)
    3 2
    (226)
    通2
    (60)
    1 3
    (234)
    石部町 194 41 12 1
    (6)
    1
    (6)
    グ2 2
    (210)
    2
    (80)
    入1
    (50)
    甲西町 709 103 2 29 1
    (22)
    1
    (107)
    水口町 784 105 2 12 1
    (29)
    1
    (3)
    通1
    (30)
    土山町 315 49 1 1
    (11)
    1
    (50)
    甲賀町 371 53 1
    (14)
    甲南町 425 57 6 1
    (13)
    信楽町 516 112 9 1
    (10)
    6
    (18)
    通1
    グ4
    1
    (60)
    1
    (30)
    入1
    (50)
    水口
    県事務所計
    3,314 520 4 69 7
    (105)
    8
    (27)
    通1
    グ6
    1
    (50)
    1 3
    (270)
    3
    (110)
    入2
    (100)
    通1
    (30)
    1
    (107)
    近江八幡市 1,639 222 2 18 3
    (44)
    1 1 1
    (90)
    八日市市 1,162 185 1 7 1 2
    (25)
    1 1
    (50)
    通1
    (30)
    1
    (133)
    安土町 263 49 3 1
    (16)
    蒲生町 302 58 1
    (13)
    日野町 697 104 1 4 1 2
    (35)
    1
    (90)
    竜王町 293 47 25 1
    (14)
    永源寺町 229 30 3 1
    (10)
    1
    (8)
    五個荘町 291 37 1 1
    (10)
    能登川町 604 67 1 1 1
    (11)
    1
    (36)
    八日市
    県事務所計
    5,480 799 6 60 3 13
    (178)
    1
    (8)
    2 3
    (176)
    通1
    (30)
    1 2
    (223)
    彦根市 2,521 331 2 24 1 6
    (71)
    1
    (3)
    点図1
    B1
    1 1(30) 盲1
    (30)
    2
    (125)
    通1
    (30)
    2
    (102)
    愛東町 172 30 1
    (6)
    3(13)
    湖東町 335 39 2
    (9)
    1
    (7)
    泰荘町 240 34 1
    (6)
    1(3)
    愛知川町 244 34 1(9)
    豊郷町 244 58 2 1(6) 3(11) 通1
    (30)
    1
    (20)
    1
    (10)
    1
    (20)
    甲良町 264 35 2 (3)
    多賀町 274 29 2 1
    (16)
    彦根
    県事務所計
    4,294 590 2 30 1 13
    (126)
    9
    (37)
    点図1
    B1
    2 1
    (30)
    盲1
    (30)
    2
    (125)
    通2
    (60)
    1
    (20)
    1
    (10)
    1
    (20)
    2
    (102)
    長浜市 1,291 197 4 4 4
    (48)
    2
    (6)
    1 通1
    (30)
    1
    (83)
    山東市 308 51 1 1
    (10)
    グ1
    伊吹町 157 30 1 2 (7)
    米原町 376 56 1
    (16)
    近江町 225 23 1 1
    (7)
    浅井町 344 47 1 2
    (13)
    虎姫町 231 30 1 (7) 1
    (3)
    湖北町 225 36 (6) 1
    (3)
    1
    (50)
    びわ町 185 29 1
    (10)
    高月町 228 43 2 10 1
    (14)
    木之本町 459 54 1 1
    (11)
    余呉町 162 21 1
    (7)
    西浅井町 173 26 (2)
    長浜
    県事務所計
    4,364 643 12 16 13
    (158)
    4
    (12)
    グ1 4 1
    (50)
    通1
    (30)
    1
    (83)
    マキノ町 175 38 (5) 1
    (50)
    今津町 350 68 1
    (5)
    グ1 1
    (50)
    朽木村 134 14 (4)
    安曇川町 419 64 1 1
    (11)
    高島町 242 46 (3)
    新旭町 258 43 (7)
    今津
    県事務所計
    1,578 273 1 2
    (35)
    グ1 1
    (50)
    1 1
    (50)
    県計 30,398 4,512 46 293 7 69
    (864)
    28
    (115)
    通1
    グ8
    2
    (50)
    A1
    B1
    点図1
    2
    (100)
    1
    (80)
    15 4
    (300)
    2
    (226)
    盲1
    (30)
    10
    (511)
    入2
    (100)
    通10
    (310)
    1
    (20)
    1
    (10)
    1
    (20)
    3 12
    (915)

    ・時点明示のない項目は平成5年4月1日現在 ・( )について、共同作業所は平成4年度末の現員、盲・聾・養護学校は児童生徒数、その他は定員

    [参考資料II]

    1 「障害者の権利宣言」

    (国連総会決議3447(第30回会期) 1975年12月9日)

    総会は、
    ・ 国際連合憲章のもとにおいて、国連と協力しつつ、生活水準の向上、完全雇用、経済・社会の進歩・発展の条件を促進するため、この機構と協力して共同及び個別の行動をとるとの加盟諸国の誓約に留意し、

    ・ 国際連合憲章において宣言された人権及び基本的自由並びに平和、人間の尊厳と価値及び社会正義に関する諸原則に対する信念を再確認し、

    ・ 世界人権宣言、国際人権規約、児童権利宣言、及び精神薄弱者の権利宣言の諸原則並びに国際労働機関、国連教育科学文化機関、世界保健機関、国連児童基金及び他の関係諸機関の規約、条約、勧告及び決議において社会発展を目的として既に定められた基準を想起し、

    ・ 障害防止及び障害者のリハビリテーションに関する1975年5月6日の経済社会理事会決議1921(第58回会期)をも、また想起し、

    ・ 社会の進歩及び発展に関する宣言が心身障害者の権利を保護し、またそれらの福祉及びリハビリテーションを確保する必要性を宣言したことを強調し、

    ・ 身体的・精神的障害を防止し、障害者が最大限に多様な活動分野においてその能力を発揮し得るよう援助し、また可能な限り彼らの通常の生活への統合を促進する必要性に留意し、

    ・ 若干の国においては、その現在の発展段階においては、この目的のために限られた努力しか払い得ないことを認識し、

    ・ この障害者の権利に関する宣言を宣言し、かつこれらの権利の保護のための共通の基礎及び指針として使用されることを確保するための国内的及び国際的行動を要請する。

    1 「障害者」という言葉は、先天的か否かにかかわらず、身体的又は精神的能力の不全のために、通常の個人又は社会生活に必要なことを確保することが、自分自身では完全に又は部分的にできない人のことを意味する。

    2 障害者は、この宣言において掲げられるすべての権利を享受する。これらの権利は、いかなる例外もなく、かつ、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上若しくはその他の意見、国若しくは社会的身分、貧富、出生又は障害者自身若しくはその家族の置かれている状況に基づく区別又は差別もなく、すべての障害者に認められる。

    3 障害者は、その人間としての尊厳が尊重される生まれながらの権利を有している。障害者は、その障害の原因、特質及び程度にかかわらず、同年齢の市民と同等の基本的権利を有する。このことは、まず第一に、可能な限り通常のかつ十分満たされた相当の生活を送ることができる権利を意味する。

    4 障害者は、他の人々と同等の市民権及び政治的権利を有する。「精神薄弱者の権利宣言」の第7条は、精神障害者のこのような諸権利のいかなる制限又は排除にも適用される。

    5 障害者は、可能な限り自立させるよう構成された施策を受ける資格がある。

    6 障害者は、補装具を含む医学的、心理学的及び機能的治療、並びに医学的・社会的リハビリテーション、教育、職業教育、訓練リハビリテーション、介助、カウンセリング・職業あっ旋及びその他障害者の能力と技能を最大限に開発でき、社会統合又は再統合する過程を促進するようなサービスを受ける権利を有する。

    7 障害者は、経済的社会的保障を受け、相当の生活水準を保つ権利を有する。障害者は、その能力に従い、保障を受け、雇用され、または有益で生産的かつ報酬を受ける職業に従事し、労働組合に参加する権利を有する。

    8 障害者は、経済社会計画のすべての段階において、その特別のニーズが考慮される資格を有する。

    9 障害者は、その家族又は養親とともに生活し、すべての社会的活動、創造的活動又はレクリェーション活動に参加する権利を有する。障害者は、その居住に関する限り、その状態のため必要であるか又はその状態に由来して改善するため必要である場合以外、差別的な扱いをまぬがれる。もし、障害者が専門施設に入所することが絶対に必要であっても、そこでの環境及び生活条件は、同年齢の人の通常の生活に可能な限り似通ったものであるべきである。

    10 障害者は、差別的、侮辱的又は下劣な性質をもつ、あらゆる搾取、あらゆる規則そしてあらゆる取り扱いから保護されるものとする。

    11 障害者は、その人格及び財産の保護のために適格なる法的援助が必要な場合には、それらを受け得るようにされなければならない。もし、障害者に対して訴訟が起された場合には、その適用される法的手続きは、彼らの身体的精神的状態が十分に考慮されるべきである。

    12 障害者団体は、障害者の権利に関するすべての事項について有効に協議を受けるものとする。

    13 障害者、その家族及び地域社会は、この宣言に含まれる権利について、あらゆる適切な手段により十分に知らされるべきである。


    主題:
    滋賀県障害者対策新長期構想 ―障害者とともに歩む地域社会づくり―

    発行者:
    滋賀県

    発行年月:
    1993年6月

    文献に関する問い合わせ先:
    滋賀県健康福祉部障害福祉課
    〒520 大津市京町四丁目1-1
    電話 (0775)24-1121