《鳥取県障害者計画》
第2次鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画
平成6年3月
鳥取県
項目 | 内容 |
---|---|
立案時期 | 平成6年3月 |
計画期間 | 平成6年度~平成15年度(10年間) |
はじめに
今年は、昭和56年の国際障害者年から数えて、13年目に当たります。
この間、障害者福祉は、「完全参加と平等」の理念を掲げ、障害を持つ人が持たない人と同様に生活し、活動できる社会の実現をめざして施策の展開が図られました。
障害者対策に関する長期計画については、昭和58年からの「国連・障害者の10年」に対応して国及び各県において策定が進められ、本県におきましても、昭和57年度に「鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」を策定し、昭和62年度には「同後期実施計画」として見直しを行い、施策の着実な進展を図ってまいりました。
しかし、近年、ライフスタイルや様々な価値観の変化、高齢化社会の進行とこれに伴って重度障害者数が増加傾向にある中にあって、新たな課題に対する的確な対応が求められており、国連や国においては、「アジア太平洋障害者の十年」の宣言、「障害者対策に関する新長期計画」の決定、「障害者基本法」の公布など、新しい動きが現われております。
このたび、本県が策定した計画は、「鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」を更に発展させたものであり、障害者の社会参加の一層の促進と、その基盤となる在宅福祉対策等の充実のために、県の取り組みの方針と併せ、“住みよい社会づくり”にむけて県民一人ひとりが積極的に行動していくにあたっての方向性を明らかにしようとするものであります。
障害をおもちの方々が自立して生活し、広く活躍できる社会を実現するためには、県をはじめ市町村等の行政機関による積極的な取り組みとともに、県民の皆さんの理解と思いやりの気持ちが必要です。
皆さんの御協力のもと、障害者施策が一層発展するよう念願しております。
平成6年3月
目次
第1章 計画の概要
第1節 計画策定の趣旨
日本の障害者福祉対策は、昭和56年(1981年)の国際障害者年を契機に、障害のある人とない人がともに社会の一員として、政治、経済、文化等のそれぞれの分野で広く活躍できる社会の実現に向けて、大きな一歩を踏み出しました。国連においては、1983年から1992年までを「国連・障害者の十年」と宣言し、さらに、1993年から2002年までの10年間を「アジア太平洋障害者の十年」と宣言しました。
また、国においては、昭和55年3月に国際障害者年推進本部を設け、「障害者対策に関する長期計画」を策定、さらに、昭和57年4月に設置された障害者対策推進本部で「『障害者対策に関する長期計画』後期重点施策」を決定、昨年3月には「障害者対策に関する新長期計画」を決定して、障丙者施策の推進にあたっています。
こうした状況の中、本県においても、昭和57年度に「鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」を、昭和62年度に同「後期実施計画」を策定し、福祉関係をはじめ、保健、医療、教育、雇用等各分野で障害者施策の充実を図ってまいりました。また、「第6次鳥取県総合計画」、「鳥取県さわやか福祉計画」をはじめ、高齢者福祉対策については「鳥取県高齢化社会対策推進計画(ことぶき総合計画)」、保健医療分野では「鳥取県保健医療計画」等、各分野において長期的視野に立った計画の策定が行われています。
県下には、約22,000人の身体障害者、約3,000人の精神薄弱者のほか、精神障害者や、難病に罹患している多くの方がおられます。本県においては、これら障害者の福祉、雇用、教育等に関連する施策を、「鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」を基本に、国の示す施策と併せ、積極的な事業実施に努めて参りました。
その結果、各種施策の基盤整備や、県民の障害者福祉に関する意識の向上という点では、かなりの成果を上げたものと考えておりますが、今後、さらに発展させ、広がりをもたせることが必要であります。また、障害者の高齢化、障害の重度化、重複化等の進行及び社会参加の進展に伴って生じる新たな課題への対応も強く求められております。
このような状況を背景として、本県では、身体障害者、精神薄弱者及び精神障害者に関する施策を中心として、障害者福祉の基本的施策の方向を明らかにする「第2次鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」(今後おおむね10年間)を策定し、施策の総合的推進を一層進めてまいりたいと考えております。
第2節 「鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」における施策の成果と今後の課題
1 啓発・広報近年、障害者に対する県民の認識はしだいに深まってきたといえますが、すべての人々が障害や障害者に対して正しい理解をしているかという点では、まだ十分ではないと思われますので、引き続き啓発・広報活動の推進が必要であります。
各市町村等における母子保健学級の実施、妊婦、乳児の健康診査の実施及び小児療育センターの整備等により、心身障害の発生予防、早期発見、早期療育等に着実な進展が図られましたが、今後も引き続き保健、医療、福祉の連携を図りながら、各種の施策を一層充実させる必要があります。
また、障害者の自立を促進するためにリハビリテーションが重要な役割を果たすところから、その体制を整備し、精神保健対策については、通院患者リハビリテーション事業の充実、精神保健センターの開設等基盤の整備を進めてまいりました。
今後、これらの施策を一層発展させるとともに、幅広く障害者保健医療体制の充実を図る必要があります。
養護学校高等部の新設等障害児教育の推進体制の充実、障害児教育に携わる教職員の専門的技能の習得等の施策を中心に、主として学校教育の質の向上を図ってまいりました。
今後、障害の重度化等に対応するため、一人ひとりの障害の特性等に応じたきめ細かな教育、育成を行う必要があります。
また、生涯学習への関心の高まりに伴い、障害者についても、学校教育終了後における学習の体制を整備する必要があります。
本県における障害者雇用率は、県平均で法定雇用率を達成し、全国平均も大きく上回り、障害者雇用に関して一定の成果が得られていると認められます。また、平成4年には、第3セクター方式による重度障害者多数雇用企業が設立され、重度障害者の雇用機会の拡大が図られたところです。さらに、福祉的就労に関する施策では、小規模作業所に対し補助を行うなど着実な進展が図られております。
しかし、一方で法定雇用率未達成の企業も多く、それらの事業主に対する一層の働きかけが必要です。また、両上肢障害者、視覚障害者、精神薄弱者等の雇用に関しては、依然として低調であり、雇用促進施策の一層の充実が必要です。
年金・手当制度の改善が行われたほか、県の施策として、福祉相談センターの開設等による相談体制の充実、在宅障害者デイサービス事業等在宅福祉対策の充実、社会福祉施設の新設、公共施設等への障害者設備の設置推進等の施策を進めてまいりました。
今後は、特に障害者の高齢化、障害の重度化、重複化等に伴い、きめ細かな福祉施策の充実を図るうえで障害者に身近な市町村の役割はますます重要となるため、積極的な助言・指導を行っていく必要があるとともに、障害者に住みよいまちづくりを推進することも大切です。
鳥取県心身障害者スポーツ振興基金の設立、県立体育施設の利用料の減免や、身体障害者社会参加促進センター、しらはま交流センターの開設等を行い、スポーツ、文化活動の振興、基盤整備を積極的に進めました。
今後は、障害者のスポーツ大会や文化活動の一層の充実を図るとともに、一般の大会等に障害者が参加することができる、広がりのある施策の展開を図っていくことも必要です。
第3節 今後の施策の実施に当たっての基本的な考え方
障害者福祉施策は、障害者が地域社会の中で障害のない人と同じように生活できるノーマライゼーションの実現という目標に向け、推進していく必要があります。「第2次鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」は、「鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画」における施策の成果と今後の課題を踏まえ、次のような基本的な考え方に基づくものとします。
障害者が地域の中で自立して生活し、社会参加を行うためには、障害者をとりまく人々の理解と協力を欠かすことはできません。
一方、障害者自身も自らをもっぱら施策等の受け手として捉えるのではなく、社会の発展のために積極的に参加しようという前向きな姿勢を持ち、努力していくことが必要です。
福祉施策は、このような障害者を側面から支えるという考え方で推進していくことが適当です。
障害者の住みよい社会は、すべての人々が生きがいと希望を持ち、安心して暮らせる社会です。
現在障害のない人でも、怪我をしたり、歳を経るにしたがって身体の機能が衰えてきたりします。すべての人々が、「障害者施策を推進することは、ひいては自らの生活を豊かにするものである」との考えで、積極的に障害者福祉の向上を図っていくことが必要です。
県においては、従来展開している諸施策を基盤として、一層の充実と発展を図ることが重要です。
さらに、障害者に住みよいまちづくりを、きめ細かで広がりのあるものにしていくためには、障害者に身近な存在である市町村の障害者福祉施策を充実することはもとより、県民のすべてが常に障害に対する正しい理解をして、事業活動や社会活動を行うときには、障害者の参加を前提にした施設設備や実施体制を整える必要があります。
障害者の高齢化が進行するとともに、障害が重くなったり、重複する傾向も進んでいます。障害者が住み慣れた地域社会で生活できるよう、在宅福祉施策の一層の充実を図るとともに、重度障害者においても、出来る限り社会参加を進め、生きがいある生活が行えるよう施策の展開を図っていくことが必要です。
また、地域的に病弱者や障害者に占める重度障害者の割合が高い地域がある場合は、特にきめ細かな対応が必要であり、ニーズに応じた事業を重点的に実施するなどの取り組みを検討する必要があります。
さらに、需要が増大する福祉関係業務従事者を確保するため、人材を養成し、福祉職場への就労の促進を図っていくことが必要です。
障害者福祉施策は、身体障害者、精神薄弱者、精神障害者等、対象者のもつ障害の種類が異なり、また、障害の程度、年齢、家族構成等の生活環境等も多岐に渡っていることから、対象者のニーズも様々であり、実態に即した幅広い施策が求められています。
一方、必要とされる施策は福祉施策をはじめ、保健・医療、教育・育成、雇用、そして啓発・広報等幅広い分野に及ぶことから、多くの関係機関が緊密な連携を図りながら、施策を総合的に推進していく必要があります。
第4節 計画の体系
前記の基本的な考え方を受け、1 啓発・広報、2 保健・医療、3 教育・育成、4 雇用・就業、5 福祉・生活環境、6 スポーツ・文化活動、7 総合的推進の7つの施策項目を設定し、下図のとおり体系を整理して、各分野ごとの基本的な考え方及び施策の方向を示します。【体系図】
- 1 啓発・広報
- 1 啓発・広報の推進
-
2 福祉教育、ボランティア活動の推進と交流機会の創出
- 2 保健・医療
- 1 障害の発生予防
- 2 障害の早期発見、療育
- 3 医療・リハビリテーション体制の充実
- 4 経済的負担の軽減
-
5 精神保健対策の推進
- 3 教育・育成
- 1 障害児の教育施策の推進
- (1) 早期の対応
- (2) 義務教育の充実と推進
- (3) 後期中等教育の充実
- 2 障害児の育成施策の推進
-
3 生涯学習の推進
- 4 雇用・就業
- 1 職業相談・指導の充実
- 2 雇用の促進
- (1) 法定雇用率の達成
- (2) 重度障害者等の雇用対策の推進
- (3) 職業リハビリテーション体制の充実
- (4) 雇用促進のための啓発・広報等の推進
-
3 福祉的雇用対策の充実
- 5 福祉・生活環境
- 1 生活安定対策
- 2 相談体制の整備
- 3 福祉サービスの充実
- (1) 在宅福祉対策の充実
- (2) 施設福祉対策の充実
- (3) 障害者の高齢化等への対応
- 4 福祉用具の普及
- 5 福祉人材の確保
- 6 生活環境の整備
- (1) 障害者に配慮したまちづくりの推進
- (2) 障害者に配慮した公共施設の整備
- (3) 移動手段の確保
- (4) 情報の提供、コミュニケーションの確保
- (5) 防犯・防災体制の確立
-
(6) 総体的推進
- 6 スポーツ・文化活動
- 1 スポーツの振興
-
2 文化活動等の支援
- 7 総合的推進
- 1 各種計画の作成
- 2 ニーズの把握
- 3 施策の連携
第2章 施策項目別実施計画
第1節 啓発・広報
《基本的な考え方》 障害者が自立した生活を営むためには、社会を構成するすべての人々が、障害者に対する理解を深め、人権を尊重して差別のない社会を作っていくことが必要です。
そのためには、障害者も、障害のない人と同様に社会を構成する一員であり、いろいろな活動に参加していく権利があり、また、参加できる大きな可能性のあること等を基本に、各種の啓発・広報や福祉教育、ボランティア活動を推進し、お互いの理解を深め合うことが大切です。
啓発・広報活動を推進することにより、障害者福祉に対する県民の関心を高めるとともに、障害者に対する理解が深められるよう的確な情報を提供することが必要です。
また、自立意欲の高揚を図り、ハンディキャップに負けない強靱な心を養うことができるよう、障害者に対して啓発・広報活動を行うことも必要です。
- 【施策の方向】
- 県政だより、市報、町報等の自主広報媒体や、テレビ、新聞、ラジオ等のマスメディアを活用して、障害者の生活や活躍を県民に知らせ、障害者への関心を高め、障害者福祉の普及に努めます。
- 12月9日の「障害者の日」を有意義なものとするため、各種の行事を企画、実施します。また、併せて、「障害者雇用促進月間」、「身体障害者福祉週間」、「精神薄弱者福祉月間」等における啓発、普及活動を実施します。
- 障害をテーマにした作文、ポスター、標語、写真の募集等により、障害者への理解と認識を深めます。
- 福祉大会など障害者団体の活動を支援し、障害者の自立を促す啓発活動を行います。
学校教育においては、障害者への理解を深めるための教育を積極的に行い、偏見を防止し、除去することが必要です。また、障害者福祉に関する意識を定着させるために福祉講座等の啓発活動を行うことも大切です。さらに、ボランティア活動は、障害者を理解する有効な機会となるので、できるだけ多くの県民が積極的に取り組めるような方策を推進する必要があります。
そして、障害者と県民とが交流を図り、お互いの理解を深め合うことができるよう、交流の場を提供する施策を進めることも必要です。
- 【施策の方向】
- 福祉教育推進校の指定等により重点的に福祉教育を行うほか、すべての学校教育の場で、障害者福祉に関する教育を積極的に行います。
- 社会教育において、障害者問題をとりあげた福祉講座、研修会等を積極的に行い、障害者福祉への関心を高め、理解を深めます。
- ボランティア活動を通じ障害者への理解を深めることができるよう、「点訳、朗読奉仕員養成事業」、「ボランティア育成強化事業」等の、ボランティア活動を支援するための事業の実施を強化します。
- 「しらはま交流センター」、「鳥取勤労身体障害者体育センター」、「米子サン・アビリティー」等の障害者のための施設や、体育館、健康増進センター等一般の利用施設の障害者の利用を促進するとともに、ショートステイ、デイサービス事業の一層の充実を図って、障害者との交流機会の創出に努めます。
第2節 保健・医療
《基本的な考え方》 障害の発生予防、早期発見、除去、軽減あるいは重度化の防止を目的とした施策は、障害者施策のもっとも基本となる事項です。
そのためには、障害を早期に発見し、速やかに適切な治療が受けられるよう医療や健康診査の実施体制を一層充実させるとともに、リハビリテーション体制の一層の充実を図る必要がありますし、これらの施策を推進するにあたっては、保健、医療の連携はもとより、福祉との連携を図っていく必要があります。
また、精神障害については、医療機関を初めとして、保健所、精神保健センター、相談機関等の関係機関の連携により、社会復帰に対する支援等精神保健対策を総合的に推進する必要があります。
なお、本県の保健・医療対策については、「鳥取県保健医療計画(昭和63年度策定、平成4年度改訂)」により、体系的に示されています。
障害の発生を予防するためには、乳幼児以前の健康診査、母子保健を中心とした対策と、中、高年齢者の成人病を中心とした対策を一層充実させるとともに、健康教育、交通事故の防止、健康相談及び医学的研究活動等の推進を図ることも必要です。
- 【施策の方向】
- 県、市町村の保健指導等を通じ、母子保健に関する知識の普及を行うとともに、障害の原因となり易い疾病の予防・早期発見について、積極的に啓発を行います。
また、相談、指導体制を一層充実させ、障害の発生予防を図ります。 - 成人病検診、ガン検診等の健康診査の実施、健康増進センターの活用の促進、健康教育、健康相談等による成人病予防対策を総合的に推進します。
- 高齢者については、寝たきりと痴呆の発生防止を目指し、「寝たきりゼロ推進事業」の実施とともに、寝たきりや痴呆の原因となる脳卒中や骨粗鬆症を予防するために、高血圧症、糖尿病等の罹患者に対する健康管理、指導相談体制の一層の充実を図ります。
- 「県民健康手帳」の発行、健康セミナーの開催、「県政だより」等による啓発、広報、各種キャンペーン等を通じ、引き続き県民の健康意識の高揚を図ります。
- 市町村、児童相談所、保健所等の相談体制の一層の充実を図ります。
- 「県民健康対策調査研究事業」等により障害の発生予防に関する医学的研究活動を推進するとともに、交通安全運動の徹底等、障害発生予防のための施策を積極的に行います。
社会的自立を促進するためには、できるだけ早い時期に障害を発見し、治療やリハビリテーションを行うことが重要です。
そのためには、きめ細かな健康診査の実施や、受診率の向上を図り、併せて、適切な助言指導ができるよう相談指導体制の充実を図ることが必要です。
また、障害や障害の発生原因となりやすい疾患等が発見された場合には、速やかに適切な治療やリハビリテーションが受けられるような体制を充実することが必要です。
- 【施策の方向】
- 健康診査は、妊婦健診、乳幼児健康診査、生徒や勤労者等の定期健康診断、社会保険による健康診査等広く実施され、一定の水準は満たしているものと認められますが、よりきめ細かな実施を心掛けるとともに、啓発、広報を積極的に行い、受診率の向上を図ります。
- 福祉事務所、児童相談所、市町村等と、リハビリテーション部門を整えた医療機関や社会福祉施設との連携を強化し、障害児の早期発見、療育に積極的に取り組みます。
障害者の自立を促進するためには、障害に応じた適切な医療とリハビリテーションが受けられるよう、実施体制を充実することが必要です。
そのためには、医療部門におけるリハビリテーション体制の整備、充実を図るとともに、理学療法士、作業療法士等の人材の養成、確保を図っていくことが必要です。
また、障害の治療技術の向上のために医学的研究活動を推進することも必要です。
- 【施策の方向】
- リハビリテーション医療体制の充実を図るため、医療施設のリハビリテーション機能の充実を図るとともに、老人保健施設や訪問看護ステーションの整備を促進します。
また、福祉施策としてのデイサービス事業等との連携を図ります。 - 腎バンクを設立し、腎臓移植の推進を図ります。
- 「理学・作業療法士修学資金貸付事業」等の充実により、理学療法士、作業療法士等の専門職員の養成・確保を図ります。
また、看護職員の確保を図るため、「有子看護婦確保事業」等を推進するとともに、潜在職員の職業斡旋のため、ナースセンターを充実します。
障害者には継続した治療やリハビリテーションを要する方が多く、経費がかさむ一方、就労困難等により収入が少ない方も多いため、障害者が気軽に治療等を受けられるよう医療費に関する費用負担の軽減措置が必要です。
このため、障害者に関しては、更生医療をはじめ各種の医療費公費負担制度があり、これらの制度が対象者に周知され、十分に活用されることが必要です。
- 【施策の方向】
- 「更生医療」、「重度心身障害者医療費助成」、「精神障害者通院医療費公費負担」、「特定疾患治療研究事業」等の各種の医療費公費負担制度の普及に努め、活用の推進を図ります。
精神障害者の社会復帰を推進するためには、人権に配慮した医療の確保はもとより、それぞれの障害の状況や生活環境に応じた、関係機関による長期的、かつ計画的な取り組みが必要です。
また、県民の精神障害者に対する理解を推進することによって、精神障害者にとって住みよい地域社会を形成していくことが大切です。
- 【施策の方向】
- アルコール依存症、薬物等の中毒症、老人性精神疾患、思春期精神障害の増加傾向等、今後の精神科における医療需要を見込みながら、救急医療体制や専門医療体制の整備を促進します。
- 保健所保健婦によるきめ細かな訪問指導の実施とともに、病院や精神保健センターでのカウンセリング・精神科デイケア、小規模作業所、グループホームの設置促進等精神障害者の社会復帰のための体制の強化、充実を推進します。
- 「保健所保健・福祉サービス調整推進会議」等を充実し、精神障害者ごとの医療、生活環境の調整、経済支援等が有機的に実施されるよう、保健と福祉関係機関相互の連携を深め、処遇の充実を図ります。
- 精神障害者を雇用する事業所や協力事業所の開拓を行い、障害者の雇用の促進を図ります。
- 精神保健思想の普及、啓発を進め、精神障害者に対する地域の理解と協力の促進を図ります。
第3節 教育・育成
《基本的な考え方》 障害児がそれぞれの能力と可能性を最大限にのばし、将来社会的に自立して生活できるようにするためには、障害の種類や程度、発達段階等に応じて、適切な教育・育成を行うことが必要です。
また、学校教育を終えた障害者についても、広く参加できる学習機会のあり方を検討していく必要があります。
障害児には、発達の段階に応じ、障害の種類と程度に応じた専門的な教育を実施し、将来社会的に自立して生活できるようにする必要があります。
また、同世代の多くの子供たちと互いにふれあい、交流をすることができるあたたかい教育環境をつくっていくことが必要です。
(1) 早期の対応
障害児に対して早期に適切に対応することは、望ましい発達を図る上で著しい効果があるので、健康診査の充実により障害児の早期発見に努めるとともに、相談体制の充実を図る必要があります。
また、幼稚園及び保育所への障害児の受入れを促進するとともに、施設、地域における療育体制を引き続き推進する必要があります。
- 【施策の方向】
- 健康診査体制の一層の充実を図り、障害児の早期発見に努めるとともに、保健、医療機関と教育関係機関との連携を深め、早期療育と併せ、早期教育を推進します。
- 障害児が早期に適切な指導が受けられるよう、教諭や保母の就学前児童に対する指導力の向上を図ります。
- 担当教員研修等の実施により、ろう学校等における幼稚部教育の充実を図ります。
- ろう、養護学校幼稚部における障害児の受入れと併せ、研修等により幼稚園教諭や保母の障害児に関する理解を深めて、障害児の幼稚園・保育所への受入れを促進します。
障害児に関する義務教育の充実を図るためには、施設・設備の充実を図るとともに、教職員の資質の向上を図り、障害の種類、程度に応じたきめ細かな教育を推進することが必要です。また、将来、自立ができるよう能力や適性に応じた多様な進路指導を行っていく必要があります。
- 【施策の方向】
- ノーマライゼーションの理念を尊重しつつ、それぞれの障害児の障害の種類や程度に応じて、通常の学級における教育と心身障害児学級における教育、盲・ろう・養護学校における教育とを的確に選択し、障害児の能力を最大限に引き出すことに重点をおいた教育を実践します。
- 盲・ろう・養護学校の実態に即応した施設・設備を計画的に整備するなど、教育環境の向上を図ります。
- 障害児教育に関する専門的な研修を一層充実し、教職員の指導力を高めることにより、障害の種類、程度に応じたきめ細かな教育を実践します。
- 通常の学級に在籍する軽度心身障害児については、学校全体で障害児を受けとめるとともに、養護・訓練を主として行う教室(通級指導教室)に週1~2回通うことによって、障害の克服を目指します。
- 障害の程度が重く通学が困難な障害児についても、「訪問担当教員講習会」等を充実して訪問教育の内容や方法を改善し、教育の充実を図ります。
- 障害児への理解の推進が図られるよう、福祉教育の一環として、盲・ろう・養護学校と小・中学校との交流学習を推進します。
- 障害児の教育に係る経費の負担を軽減するため、「特殊教育就学奨励費」による支援を積極的に行います。
- 啓発、広報誌の発行、障害児童作品展示会等を通じ、障害児に関する理解を推進します。
盲・ろう・養護学校高等部等においては、進学、就職、職業訓練校、授産施設への入所など各障害児の将来を具体的に展望した教育を、障害児の能力、適性に配慮し希望も尊重して実践し、障害児の社会的自立を推進していく必要があります。
- 【施策の方向】
- 障害児の希望、能力、適性等に応じた、幅広い職業教育や進路指導を行うことができるよう、企業との連携等により指導体制を整備するとともに、研修等による教職員の資質の向上を図ります。
障害児が社会に順応して生活するためには、学校教育と併せて、それぞれの障害の状況、家庭、地域環境に応じた育成施策を行うことが必要です。
育成施策は、障害児の成長の基盤となる家庭を中心とした在宅対策を基本としつつ、必要に応じて児童福祉施設等による施設対策を効果的に実施していくことが大切です。
また、障害児の育成は、医療、リハビリテーションや教育、福祉の関係機関との密接な連携のもとに実施されることが望まれます。
- 【施策の方向】
- 障害児を持つ親に対して、療育のために必要な知識、技能の啓発・普及を行うとともに、児童相談所におけるカウンセリング体制の充実を図ります。
- 児童福祉施設は、量的には一定の水準を満たしておりますが、障害の状況に応じた的確な施設の選択、施設職員の創意工夫による療育方法の改善、職員研修の実施等により、さらに充実した療育を行います。
また、施設のもつ機能を活用した在宅療育等に関するカウンセリング等の充実を図ります。 - 障害児の自然体験の重要性を踏まえ、青少年社会教育施設の整備充実を図ります。
- 障害児の医療、保健、福祉、教育に携わる機関の連携を強化し、それぞれの特性に応じた施策の総合的な取組みを推進します。
近年、生涯学習への取組みが積極的に行われており、障害者が学校教育を終えてからも引き続き学習や技能の習得ができるよう、学習機会の充実を図る必要があります。
そのためには、障害者の利用しやすい施設、設備を整備するとともに、学習資料の充実を図る必要があります。
- 【施策の方向】
- 講座、学習グループ・サークル活動等の充実と併せ、障害者の利用に配慮して、生涯学習関連施設等の整備、充実を図ります。
また、協力ボランディアの養成や主催者への啓発を行い、障害者が気軽に参加できるような学習支援体制の整備を図ります。
第4節 雇用・就業
《基本的な考え方》 働くことは、単に収入を得るにとどまらず、社会に貢献し、仲間とふれあうことにより、生活をより豊かにするものです。
障害者の雇用・就業については、本人の希望を尊重しながら、障害の種類や程度に応じた支援体制や設備を整えて、適性と能力を充分に活かす職場を確保していくことが必要です。
そのためには、公共職業安定所等における相談・指導体制の充実はもとより、法定雇用率の達成に向けた企業への指導、障害者を雇用した場合の優遇措置の拡大、あるいは職業的自立を目指したリハビリテーション体制の確立など多方面から雇用促進対造を実施していくことが必要です。
一方、一般の雇用が困難な重度の障害者については、重度障害者多数雇用企業を育成して雇用の確保を図るとともに、授産施設、小規模作業所等、福祉的雇用対策の充実を図ることが必要です。
また、これらの施策を有効なものにするためには、障害者雇用に関する事業主の理解と併せ、障害者自身が自立意欲を持って就業することが何よりも大切です。
障害者の雇用を推進するためには、関係機関の連携のもとに職業紹介や相談体制を強化するとともに、障害者を雇用する企業を確保し、開拓することが必要です。
また、雇用されている障害者についても、自営業、パート、内職等の不安定な職種が少なくない状況にあるので、常用雇用を推進するとともに、障害者が働きやすい職場環境づくりのために、事業主や労働者全体、関係機関が互いに協力しながら支援体制を整え、職場定着を図る必要があります。
- 【施策の方向】
- 公共職業安定所においては、障害者重点公共職業安定所の指定や手話協力員、就職促進指導官等専門職員の配置により、障害者からの職業相談に応じられるよう体制を整えるとともに、障害者求職登録制度を有効に活用して入念な指導、職業紹介を行います。
- 公共職業安定所においては、授産施設、盲、ろう、養護学校等の関係機関との連携を密にし、就職情報を広く収集し、障害者職業センターで行われる職業能力評価等に基づき的確な職業紹介に努めます。
- 法定雇用率未達成企業を中心に、障害者を雇用するよう働きかけを行い、就労の場の確保に努めます。
- 障害者を雇用する企業に障害者職業生活相談員の設置を積極的に進め、障害者の相談に応じるとともに、障害者雇用促進協会が行う「障害者職場定着推進チーム育成事業」により、適職の選定、人間関係の調整等、障害者が職場に定着できるよう支援体制を整えます。
- 身体障害者相談員、精神薄弱者相談員等により職業相談が有効に行われるよう、資質の向上を図るための研修を積極的に実施します。
(1) 法定雇用率の達成
本県における民間企業の実雇用率は、平均で1.74%(平成5年6月1日現在)となっており、法定雇用率の1.6%を超えていますが、一方で、法定雇用率未達成企業が41.3%もあり、引き続き企業への働きかけを行って、障害者雇用を一層推進する必要があります。
また、行政機関は積極的に障害者の雇用を進める必要があり、法定雇用率が達成されていない地方公共団体に対しては、特に強力な指導を行う必要があります。
- 【施策の方向】
- 法定雇用率未達成企業や地方公共団体に対して、「身体障害者雇入れ計画の作成命令」、「適正実施勧告」等、法定雇用率の達成のための指導を厳正に行い、障害者雇用を積極的に推進します。
重度障害者の雇用については、特別の設備や通勤の問題等、対応が難しい面があり、必ずしも充分な進展を見せていません。
また、視覚障害者、両上肢障害者等の身体障害者や、精神薄弱者、精神障害者についても、障害についての企業の理解不足や、介助を要するなどの理由で雇用が低調であり、雇用促進施策の一層の充実が望まれます。
このため、企業に「障害者の雇用の促進等に関する法律」等に基づく各種助成制度の活用を促して、重度障害者等の雇用を推進する必要があります。
また、第3セクター方式により設立された重度障害者多数雇用企業の着実な発展を図るなど、重度障害者等の雇用を拡大するための施策を推進する必要があります。
- 【施策の方向】
- 重度の身体障害者や重度の精神薄弱者については、雇用率制度及び納付金制度において優遇措置(1名を障害者2名分として換算)が図られていること、65歳未満の障害者の雇用については、「特定求職者雇用開発助成金」等の各助成金制度が設けられていること等の啓発に努め、雇用の促進を図ります。
- 重度障害者については、勤務体制に配慮することが雇用の促進に効果的であるので、短時間勤務、フレックスタイム制等の導入を促進します。
- 重度障害者多数雇用企業(千代三洋工業株式会社)が重度障害者雇用の中核的役割を果たすとともに、その波及効果により、一般企業においても重度障害者雇用の場の拡大が図られるよう努めます。
一定の技術を身に付けたり、職場環境への適応訓練を受けることは、障害者が企業で雇用されたり、自営業に就くなどの職業的自立のために重要であり、障害の種類や程度に応じた、総合的かつ効果的な職業リハビリテーションの実施を推進する必要があります。
また、重度障害者については、国立障害者職業訓練校への紹介等の適切な助言指導が必要です。
- 【施造の方向】
- 受託企業や職種を拡大するために、「職場適応訓練」、「短期職場適応訓練」等を積極的に推進します。
- 軽・中度の障害者については、できるかぎり県内の高等技術専門学校での職業訓練を行い、重度障害者等については、国立吉備高原職業リハビリセンター、国立広島障害者職業訓練校等を紹介して、技術の修得を促進します。
- 精神障害者については、「通院患者リハビリテーション事業」による社会適応訓練を行い、社会復帰を促進します。
障害者の雇用を促進するためには、障害者に対する社会の理解と認識を高める必要があるので、障害者技能・作業大会、雇用促進大会等を開催するとともに、障害者雇用促進月間等に積極的な広報活動を行っていく必要があります。
- 【施策の方向】
- 「障害者技能・作業競技大会」を開催するとともに、県民に対する広報を積極的に行います。
- 障害者雇用促進月間(9月)に、ポスターの掲示、障害者雇用促進大会の開催等を行うとともに、「障害者雇用好事例集」等を刊行して、啓発、広報を推進します。
一般雇用が困難な重度の障害者については、授産施設、福祉工場、小規模作業所等の就労の場を確保することが必要です。
この場合、一般企業への雇用に結びつく取り組みを行うことが大切です。
- 【施策の方向】
- 障害者の需要に配慮しながら、授産施設の整備の推進、小規模作業所の充実を図るとともに、福祉工場の設置を検討します。
- 授産施設等の入所者が一般企業への雇用に結びつくよう、企業、公共職業安定所との連携を密にして、必要な求職情報等が得られる体制をつくります。
第5節 福祉・生活環境
《基本的な考え方》 障害者の生活の質の向上を図るためには、近年の障害者の高齢化、障害の重度化、重複化を考慮して、障害の特性、ニーズ等に応じた関連施策の一層の充実を図ることが必要です。
また、障害者が広く社会に参加していくための幅広い施策を総合的に推進する必要があります。
障害者の生活を保障するために年金制度の改善等が図られておりますが、引き続き給付額の改善や所得水準に応じた経済的負担の軽減等を図る施策を推進する必要があります。
- 【施策の方向】
- 障害基礎年金、特別児童扶養手当等各種年金や手当制度の適正な運営に努めるとともに、制度の啓発・広報を積極的に行います。
- 心身障害者扶養共済制度、生活福祉資金貸付制度等について啓発し、利用の促進を図ります。
- 各種公費負担医療制度の適正運営と啓発・広報を積極的に推進します。
- 税金の減免制度、JR・タクシー運賃等の割引制度、県立利用施設の減免制度等の各種優遇制度について、啓発・広報を徹底し、利用の推進を図ります。
障害者福祉施策を的確に実施していくためには、収入、介護、雇用等生活上のあらゆる相談について、誰でも気軽に相談し、適切な助言を受けられるよう、相談窓口を幅広く設けるなど相談体制の充実、整備を図ることが必要です。また、相談窓口の利用を促進するためには、啓発・広報とともに利用し易い窓口づくりをする必要があります。
これらの相談機関では、各種福祉制度や社会資源、地域の障害者のニーズ等を十分把握できる体制づくりを進め、併せて、研修等により相談員の知識や能力を高めることが必要です。
- 【施策の方向】
- 鳥取県福祉相談センターをはじめ、鳥取県精神保健センター、福祉事務所、児童相談所、公共職業安定所、保健所等障害者福祉に関連する各行政機関の相談機能を充実し、必要な情報の提供に努めます。
- 県福祉事務所や身体障害者更生相談所における助言、指導体制の確立を図り、市町村に対して適正な相談体制の確保に努めます。
- 身体障害者相談員、精神薄弱者相談員等各種相談員の増員や、高齢者総合相談センター等公的機関の相談体制を整えるとともに、障害者団体による相談活動を支援することにより、幅広い相談体制の整備を図ります。
- 各相談機関の担当者や各種相談員に対して、専門分野に応じた研修を実施し、相談能力の向上に努めます。
(1) 在宅福祉対策の充実
障害者の多くは、住み慣れた地域の中で生活したいと考えています。これを実現するためには、障害者やその家族等のニーズに対応して地域の福祉基盤を整備し、各市町村において、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス等の在宅福祉施策が積極的に実施されることが必要です。
また、これらの在宅福祉対策は、行政機関のみならず地域の人々の理解と支援のもとに実施されることが必要です。
- 【施策の方向】
- 障害者の生活に適した公営住宅の建設や、公営住宅優先入居等を推進し、障害者の住居の確保を図ります。
- 在宅福祉施策を積極的に推進するため、市町村や市町村社会福祉協議会に対し必要な指導、助言、情報の提供等を行うとともに、財政支援等についても、前向きに取り組みます。
- 高齢障害者の増加に対応するため、ホームヘルパーの増員を図ります。
- ショートステイ事業等の充実により、介護者の負担の軽減を図るための施策を積極的に実施します。
- 障害者デイサービス事業の実施について、各市町村に働きかけを行い、積極的な取り組みを促します。また、対象者が少ない等の理由で障害者デイサービスが実施困難な市町村については、老人デイサービス事業を障害者が利用できるよう調整を進めます。
- 在宅精神薄弱者の就労や自立した地域生活への援助を図るため、グループホーム事業や生活を支援するための事業を推進します。
- 住宅改造費用の助成等新たな施策の展開を積極的に検討し、在宅福祉対策の一層の充実を図ります。
- 口腔総合保健センターの整備を進めるともに、「在宅寝たきり老人歯科対策事業」、「重症心身障害児(者)巡回歯科検診」等の充実を図り、障害者の歯科対策を推進します。
在宅での生活が困難な障害者のために、施設福祉対策の充実を図っていくことも重要な課題です。
障害者のニーズに応じて円滑に入所ができるよう、施設の種類ごとに、計画的な整備を行う必要があります。
施設の運営にあたっては、リハビリテーションの充実により、機能の維持、向上を図るとともに、生活の質を重視した処遇が積極的に行われることが必要です。
また、施設の専門的機能の地域への開放を積極的に推進し、施設と地域社会との交流を深めることも今後の重要な課題のひとつです。
なお、身体障害者更生援護施設、特別養護老人ホーム等については、平成5年度から入所の措置権が町村に移譲されたところであり、市町村間の施策に格差が生じないよう、助言・指導を適正に行うことが必要です。
- 【施策の方向】
- 障害者のニーズに応じて、身体障害者更生援護施設、精神薄弱者援護施設、老人福祉施設、老人保健施設等の計画的な整備を進めます。
- 大部屋の解消、施設内行事の充実等により、入所者の生活の質の向上に努めます。
- 施設においては、機能の維持、向上のための設備の配置、理学療法士等の適正配置を図り、リハビリテーションの充実に努めます。
- 施設の専門的機能を地域の障害者が広く利用できるよう、ショートステイ、デイサービス等の実施により、施設と地域社会の交流の推進を図ります。
- 身体障害者更生援護施設、特別養護老人ホーム等への入所事務の円滑な実施のため、県福祉事務所、身体障害者更生相談所等による入所調整会議の適正な運営に努めます。
- 施設入所者の自立生活と社会参加を促進するため、「精神薄弱者自活訓練事業」等の充実を図るとともに、退所後職場に定着できなかった者については、「精神薄弱者社会自立促進モデル事業」等により、再就労に必要な訓練を行います。
障害者の高齢化、障害の重度化、重複化に対応するため、在宅福祉施策、施設福祉施策をよりきめ細かく実施するとともに、介護者の確保、介護技術の向上等の施策を充実する必要があります。
- 【施策の方向】
- 「在宅重度身体障害者訪問診査事業」、「身体障害者健康診査事業」等を推進し、重度障害者の健康診断や介護指導を積極的に行います。
- 障害者デイサービス事業の実施にあたっては、介護者の負担の軽減を図るため、「基本型」又は「介護型」デイサービスの普及に努めます。
- 障害者の高齢化等に対応するため、「福祉人材センター」等により、介護者等、マンパワーの確保を図ります。
- 介護実習普及センターにおける研修等を充実し、介護技術の向上を図ります。
障害者の自立を促し、介護者の負担を軽減するためには、補装具、日常生活用具等の福祉用具が、速やかに提供されることが必要です。
また、福祉用具は近年開発が進み、機能も向上しており、新しい情報が容易に障害者に伝わるよう、福祉用具の展示、相談体制の整備及び福祉用具情報のネットワーク等をつくることが必要です。
さらに、経済的負担の軽減を図るために、効果的な福祉用具については助成対象にするよう国に働きかけるとともに、リサイクルの推進を図り、安価で、速やかな供給体制を築くことも大切です。
- 【施策の方向】
- 障害者のニーズに応じた補装具や日常生活用具が適切に給付・貸与されるよう努めます。
また、効果的な福祉用具については、補装具や日常生活用具として取り入れられるよう、国への働きかけを行います。 - 身体障害者更生相談所、介護実習普及センターにおける福祉機器展示相談事業の充実を図るとともに、各種催し物に際して福祉機器展を開催して、福祉用具の普及に努めます。
また、市町村の窓口において福祉用具に関する最新情報が適切に提供できるようネットワーク化を検討します。 - 「福祉機器リサイクル事業」等を促進して、速やかに福祉用具が提供される体制を整備します。
増大する福祉ニーズに対応して、障害者福祉の充実を図るためには、理学・作業療法士、寮母、ホームヘルパー等の福祉人材を確保することが重要な課題です。
そのためには、福祉専門職員を養成するとともに、福祉人材センターの充実を図るほか、福祉業務に従事している職員の職場定着対策を積極的に行っていく必要があります。
また、研修内容を充実して職員の資質の向上を図ったり、ボランティア活動を推進して、福祉人材の質と量の確保を進めることなども大切です。
- 【施策の方向】
- 介護福祉士等の専門職員を養成するために、修学資金の貸付事業を充実します。
- 福祉人材センターの事業を充実させ、福祉人材供給システムの強化を図ります。
- 「点訳・朗読奉仕員養成事業」、「手話・要約奉仕員養成事業」、「ボランティア育成強化事業」等の実施により、ボランティアの養成、支援を積極的に行います。
- 介護実習普及センターにおいて、研修等を積極的に行い、介護技術と資質の向上を図ります。
- 福祉関係職場における福祉人材の職場定着を進めるために、「経営指導事業」等を積極的に行って、雇用、労働条件の改善を図るとともに、魅力ある職場づくりのために必要な指導・助言を行います。
障害者の社会参加を促進するためには、安全に利用できる道路や障害者に配慮した施設の整備等、障害者に住みよいまちづくりを進める必要があります。
また、社会参加に必要な情報や緊急時の情報が速やかに提供されることも重要です。
(1) 障害者に配慮したまちづくりの推進
まちづくりの推進のためには、行政機関はもとより、民間事業者等が障害者に配慮した施設、設備の整備を積極的に進めていくことが必要です。
そのためには、「障害者に配慮した施設、設備を備えることは、誰もが安心して利用できる施設、設備を作ることである」ということを、広く県民に啓発・普及する必要があります。
- 【施策の方向】
- 「鳥取県ふれあいのまちづくり整備指針」等の啓発・広報を行い、県や市町村、民間が一体となったまちづくりを推進します。
- 「障害者とともに歩む地域づくり推進事業」を促進し、住民への啓発・広報を行います。
障害者が様々な社会活動に参加するためには、県や市町村等が設置する施設及びデパートや病院等の公共施設が、障害者の利用を前提として整備され、必要な設備が備えられていることが大切です。
現在、県、市町村等の施設については障害者に配慮した整備が進んでいますが、民間施設等については充分な改善が行われているとは言えない状況にありますので、施設整備に当たっての基準(鳥取県ふれあいのまちづくり整備指針)を達成するための誘導策等について検討し、実施する必要があります。
- 【施策の方向】
- 障害者用環境設備の現状調査を行うとともに、整備が急がれる対策、地域を整理、分析し、計画的なまちづくりを進めます。
- 「地域福祉推進特別対策事業」制度を積極的に活用して、公共施設への障害者用設備の設置、歩道や公園内の段差解消、障害者用トイレの設置、視覚障害者誘導用ブロックの敷設等、障害の種類に応じた設備の設置を促進します。
- 公共施設の建築確認申請の際等に、「鳥取県ふれあいのまちづくり整備指針」に基づく施設の整備を啓発することにより、障害者に配慮した施設の整備を推進します。
移動・交通手段の確保を図ることは、障害者の社会参加の基本となる事項のひとつです。
そのためには、駅やバスターミナルにおけるエレベーター、エスカレーターの設置等が各種のガイドラインに基づき整備されるとともに、リフト付福祉タクシーの運行、障害者用改造自動車の普及、ガイドヘルパー事業の充実等が望まれます。
また、市街地での車いす等による移動や視覚障害者の歩行の安全のために、歩道に荷物や看板、自転車などを放置しないよう、県民に働きかける必要があります。
- 【施策の方向】
- 「車いすガイドブック」を整備し、車いす使用者の利便を図ります。
- 障害者の移動を容易にするため、「ガイドヘルパー派遣事業」、「ガイドヘルパーネットワーク事業」を積極的に実施します。
- 「身体障害者自動車改造費助成事業」、「身体障害者自動車操作訓練費助成事業」等を積極的に実施します。
- リフト付福祉タクシーについては、障害者の利用を勘案して整備を進めるとともに、県や市町村が管理するリフト付自動車等については、地域の障害者が広く利用できるよう、その活用を推進します。
- 歩道や視覚障害者誘導用ブロック上に障害物を置かないよう、地域住民への啓発を強化し、障害者の歩行の安全を図ります。
障害者の社会参加を促進するためには、各福祉制度や優遇措置等を活用できるよう福祉情報を積極的に提供することが必要です。
特に、視覚障害者と聴覚障害者については、点字図書館の運営や手話通訳者の設置等、コミュニケーションの確保のための施策が求められております。
- 【施策の方向】
- 次のような各種広報誌等をはじめ、各種の広報媒体により、障害者が必要とする情報の充実に努めます。
1「よりよい暮らしのために」
2「福祉と更生のしおり」
3「福祉事務所だより」
4「国民年金のしおり」
5「国民年金のあらまし」
6「県政だより点字・録音版」、「声の広報」
7「自動車税、自動車取得税課税免除のしおり」 - 点字図書館への支援と併せ、点字図書や録音図書の充実を図ります。
また、「県政だより点字版」、「『よりよい暮らしのために』録音テープ」を充実するとともに、「点字情報ネットワーク事業」の実施についても検討します。 - 市町村における手話通訳者や手話奉仕員の設置を促進し、きめ細かなコミュニケーションの確保を図ります。
また、字幕ビデオライブラリーの充実、県制作のテレビ番組への文字(字幕スーパー)表示の実施検討等情報の確保のための施策を推進します。
障害者の多くは、緊急時における情報把握や迅速な避難行動が困難なため、防犯・防災対策を一層充実させる必要があります。
また、社会福祉施設においても防災計画等を作成し、避難訓練等を実施するとともに、地域住民、消防署、警察署の協力を得て、防犯・防災体制を整備することが必要です。
- 【施策の方向】
- 愛の輪推進員等により、地域ぐるみで障害者を支援するとともに、緊急通報装置の普及等により、迅速な避難、連絡体制の確保を図ります。
- 社会福祉施設においては、入所者への防犯・防災計画の周知、避難訓練等を積極的に行うとともに、消防署、警察署との連携を密にし、地域住民の協力を得て、防犯・防災体制の充実を図ります。
- 公共施設における、光や音による警報装置、非常口のスロープ等の設置を促進します。
これらの生活環境の改善やまちづくりのための施策は、地域の実情に応じて、県や市町村、民間事業主、障害者団体等の連携により実施されることが有効です。
そのためには、各種の国の補助事業や県事業を地域の実情に即して効果的に組み合わせ、総合的に推進する必要があります。
- 【施策の方向】
- ノーマライゼーションの理念を実現するため、障害者をはじめ、子供から高齢者まで各世代の県民が交流し、ふれあい、やすらぎを得ることのできるモデル地域として「総合福祉エリア」を整備します。
第6節 スポーツ・文化活動
《基本的な考え方》 スポーツや文化活動は、障害者の社会参加を促進するとともに、県民に障害に対する理解を得るための啓発活動としても重要です。
このため、ひとりでも多くの障害者が、気軽に参加できるよう、スポーツや文化活動の振興を積極的に図る必要があります。
障害者のスポーツは、健康維持増進や機能回復訓練だけでなく、心身の健全を保ち、生きがいづくりのために大変効果があります。
多くの障害者がスポーツに積極的に取り組むためには、競技種目の充実とともに、専門指導員や審判員等の養成が必要です。
また、技術水準を向上させるだけでなく、スポーツ大会の開催や体育施設への障害者の利用を促進して、仲間との交流や障害の種類を超えた交流を図ることも大切です。
さらに、障害者スポーツの全国大会、国際大会への選手派遣等により、障害者の意欲を向上させるとともに、障害に対する県民の理解を得ることも大切です。
- 【施策の方向】
- 「身体障害者体育大会」、「精神薄弱者(児)スポーツ祭」、「鳥取さわやか車いすマラソン大会」等のスポーツ大会の充実を図ります。
- 「鳥取県心身障害者スポーツ振興基金」により、スポーツ教室の開催、障害者スポーツ団体に対する支援、スポーツ指導員や審判員の養成、確保等を積極的に行います。
- 「体育施設利用料の減免制度」等により、障害者の利用を促進します。
- 「全国身体障害者スポーツ大会」、「ゆうあいピック(全国精神薄弱者スポーツ大会)」、「パラリンピック」等の全国大会、国際大会については、積極的に参加できるよう努めます。
- 障害者スポーツの組織化を推進して支援体制の充実を図ります。
障害者にとって、文化活動、レクリエーションや生活訓練を行うことは、社会参加のための大切な手段であり、これらの活動に対する支援を積極的に行う必要があります。
- 【施策の方向】
- 「身体障害者製作品・参考品展示会」、「児童福祉展示会」の開催等により文化活動を支援するとともに、「盲婦人家庭生活訓練事業」、「ろうあ者日曜教室開催事業」等による生活訓練、「精神薄弱者療育キャンプ」等のレクリエーション事業の実施を促進します。
- 障害者デイサービス事業を推進し、その一環として実施される創作的活動の充実を図ります。
- 「身体障害者社会参加促進センター」の機能の充実を図り、身体障害者団体相互の連携の強化と文化活動、レクリエーションの振興を図ります。
- 文化活動、レクリエーションの中核施設である「しらはま交流センター」の利用の促進を図ります。
第7節 総合的推進
《基本的な考え方》 障害者施策は、障害の種類や程度等によって、施策の内容が異なる場合が多いので、それぞれの分野で施策を体系化し、分析することが必要です。
また、医療、保健、教育、雇用、福祉等の多岐にわたる施策を、障害者の生活環境やニーズに合わせて的確に実施していくためには、生活の実態を把握し、関係機関の緊密な連携を図ることが必要です。
障害者施策に関連して、高齢者、精神薄弱者(児)福祉計画等、県及び市町村等で各種の計画の策定が進められています。
障害者施策は、障害の種類や程度、年齢、家庭環境等によって必要とされるものが異なる場合が多いので、各計画で障害者に関する事項が言及されることは、障害者施策を推進するために大変有効です。
この場合、相互に関連する施策が多いので、整合性を確保することが大切です。
- 【施策の方向】
- 障害者施策に関連した計画との整合性を図り、各種施策を計画的に推進します。
有効な施策を展開するためには、障害者のプライバシーに配慮しながら、ニーズを的確に把握するための調査を実施する必要があります。
- 【施策の方向】
- 「身体障害(児)者実態調査」、「精神薄弱(児)者実態調査」、「身体障害者、精神薄弱者雇用状況調査」等の各種調査を実施することにより、障害者のニーズの把握に努めます。
障害者施策を的確に実施するためには、関係機関の連携を図り、多岐の分野にわたる施策を関連付けて実施することが必要です。
そのためには、関係機関が相互の業務を理解し、情報の交換や協力体制を整えることが大切です。
- 【施策の方向】
- 「身体障害者地域リハビリテーション推進事業」を充実し、障害者のリハビリテーション関係機関の情報交換を行い、障害者の処遇の向上を図ります。
- 「保健所保健・福祉サービス調整推進会議」を充実し、精神障害者等の処遇を図る関係機関の情報交換を行い、連携を強化するとともに、サービス体制と支援方法の検討を積極的に行います。
- 「鳥取県高齢者サービス総合調整会議」の充実を図るとともに、市町村に設置されている「高齢者サービス調整チーム」の活動の支援を行って、高齢の身体障害者や痴呆患者等の処遇に関する適切な支援を実施します。
- 障害者施策の総合的、効果的な推進を図るために、鳥取県障害者施策推進協議会を設置します。
第3章 障害者関係主要統計
1 身体障害(児)者の概要(平成4年6月1日現在)(1)身体障害(児)者数の推移及び年齢階層別割合(表1)
平成4年6月1日現在で確認された県内の身体障害(児)者(以下「身体障害者」という。)の総数は、17,996人であり、その推移は図1のとおり増加傾向である。
また、年齢階層別割合は、65歳以上の高齢者が全体の54.8%を占め、昭和62年の調査より6.6ポイントの増となっており、身体障害者の高齢化が顕著に進行している。
表1 身体障害者数の推移及び年齢階層別割合
区分 | 昭和47年 | 昭和52年 | 昭和57年 | 昭和62年 | 平成4年 |
0~14歳 | 517人 4.1% | 386人 2.8% | 486人 3.1% | 344人 2.1% | 400人 2.2% |
15~59歳 | 6,540人 52.5% | 6,422人 46.8% | 6,689人 42.7% | 6,007人 36.5% | 5,561人 30.9% |
60~64歳 | 5,403人 43.4% | 6,927人 50.4% | 8,504人 54.2% | 2,163人 13.2% | 2,183人 |
65~69歳 | 2,179人 13.2% | 2,646人 | |||
70歳以上 | 5,756人 35.0% | 7,206人 | |||
合計 | 12,460人 100% | 13,735人 100% | 15,679人 100% | 16,449人 100% | 17,996人 100% |
(2)障害程度の推移(表2)
障害程度別構成割合の推移は、表2のとおりである。
前回の調査に比べて、軽度障害者が4.0ポイント減少する一方で重度障害者が4.3ポイント増加しており、身体障害者の重度化が顕著に進行している。
表2 障害程度別構成割合の推移
区分 | 昭和47年 | 昭和52年 | 昭和57年 | 昭和62年 | 平成4年 |
軽度(5~6級) | 4,426人 35.5% | 4,648人 33.8% | 4,763人 30.4% | 4,489人 27.3% | 4,189人 23.3% |
中度(3~4級) | 4,510人 36.2% | 4,682人 34.1% | 5,420人 34.6% | 5,688人 34.6% | 6,174人 34.3% |
重度(1~2級) | 3,524人 28.3% | 4,405人 32.1% | 5,496人 35.0% | 6,272人 38.1% | 7,633人 |
合計 | 12,460人 100% | 13,735人 100% | 15,679人 100% | 16,449人 100% | 17,996人 100% |
(3)障害の種類別構成割合の推移(表3)
肢体不自由が全体の約6割を占め、構成割合は横ばいで推移しているが、内部障害の構成割合が徐々に増加し、前回の調査に比べて4.3ポイント増加している。
これに伴い、視覚障害、聴覚障害及び平衡機能障害の構成割合が減少している。
表3 障害の種類別構成割合の推移
区分 | 昭和47年 | 昭和52年 | 昭和57年 | 昭和62年 | 平成4年 |
視覚 | 2,245人 18.0% | 2,327人 16.9% | 2,361人 15.1% | 2,287人 13.9% | 2,218人 12.3% |
聴覚平衡 | 2,460人 19.8% | 2,781人 20.2% | 2,919人 18.6% | 2,693人 16.4% | 2,543人 14.1% |
音声言語 | 116人 0.9% | 137人 1.0% | 181人 1.1% | 190人 1.1% | 240人 |
肢体不自由 | 7,478人 60.0% | 8,138人 59.3% | 9,467人 60.4% | 9,785人 59.5% | 10,577人 |
内部 | 161人 1.3% | 352人 2.6% | 751人 4.8% | 1,494人 9.1% | 2,418人 |
合計 | 12,460人 100% | 13,735人 100% | 16,679人 100% | 16,449人 100% | 17,996人 100% |
(1)精神薄弱者(児)数の推移及び年齢階層別割合(表1)
平成4年4月1日現在の県内の精神薄弱者(児)(以下「精神薄弱者」という。)の総数は、2,869人であり、その推移は図1のとおり増加傾向にある。
また、年齢階層別割合は60歳以上の者が全体の9.9%を占め、昭和62年度の調査より4.8ポイントの増となっており、精神薄弱者の高齢化が進行している。
表1 精神薄弱者(児)数の推移及び年齢階層別割合
区分 | 昭和57年 | 昭和62年 | 平成4年 |
0~17歳 | 783人 33.5% | 647人 26.9% | 695人 24.2% |
18~49歳 | 1,266人 54.2% | 1,369人 56.9% | 1,591人 55.5% |
50~59歳 | 288人 | 269人 11.2% | 298人 |
60歳以上 | 123人 5.1% | 285人 | |
合計 | 2,337人 100% | 2,408人 100% | 2,869人 100% |
(2)障害程度の推移(表2)
障害程度別構成割合の推移は、表2のとおりである。
昭和62年度の調査より重度が0.5ポイントの増となっており、精神薄弱者の重度化傾向がみられる。
表2 障害程度別構成割合の推移
区分 | 昭和57年 | 昭和62年 | 平成4年 |
軽度・中度 | 1,525人 65.3% | 1,426人 59.2% | 1,683人 58.7% |
重度 | 812人 34.7% | 982人 40.8% | 1,186人 41.3% |
合計 | 2,337人 100% | 2,408人 100% | 2,869人 100% |
(1)精神病棟利用状況 (各年6月末現在)
年度 区分 | 昭和63年度 | 平成元年度 | 平成2年度 | 平成3年度 | 平成4年度 | |
鳥取県 | 病床数 | 1,988 | 1,988 | 1,998 | 1,998 | 2,000 |
病床率(人口万対) | 32.2 | 32.2 | 32.4 | 32.4 | 32.5 | |
患者数 | 1,947 | 1,925 | 1,949 | 1,923 | 1,927 | |
病床利用率 | 97.9 | 96.8 | 97.5 | 96.2 | 96.4 | |
全国 | 病床率(人口万対) | 28.4 | 28.7 | 29.0 | 29.2 | 29.2 |
病床利用率 | 99.0 | 98.1 | 97.4 | 96.9 | 95.8 |
(2)措置入院患者及び通院医療資公費負担患者の状況 (各年12月末)
区分 | 措置入院患者状況 | 通院医療公費負担患者状況 | ||||||
前年末 措置患者数 | 本年中新規 措置患者数 | 本年中措置 解除患者数 | 本年末 措置患者数 | 前年末 患者数 | 本年中公費負担 承認患者数 | 本年中公費負担 打切患者数 | 本年末 患者数 | |
昭和63年 | 人 88 | 人 26 | 人 38 | 人 76 | 人 1,841 | 人 3,884 | 人 3,772 | 人 1,953 |
平成元年 | 76 | 30 | 37 | 69 | 1,953 | 4,069 | 3,978 | 2,044 |
平成2年 | 69 | 29 | 49 | 49 | 2,044 | 4,271 | 4,160 | 2,155 |
平成3年 | 49 | 26 | 34 | 41 | 2,155 | 4,483 | 4,353 | 2,285 |
平成4年 | 41 | 14 | 24 | 31 | 2,285 | 4,666 | 4,610 | 2,341 |
(3)精神保険法による各医療費の支払状況
区分 年度 | 措置入院費 | 通院医療費 | ||
支払件数 | 支払額 | 支払件数 | 支払額 | |
昭和63年度 | 件 1,089 | 円 250,775,390 | 件 19,109 | 円 157,794,490 |
昭和64年度 | 1,013 | 236,816,770 | 20,355 | 173,576,435 |
平成元年度 | 837 | 195,370,080 | 21,715 | 198,506,853 |
平成2年度 | 696 | 172,794,600 | 22,755 | 207,939,910 |
平成3年度 | 577 | 142,108,690 | 24,410 | 229,907,770 |
平成4年度 | 435 | 111,466,030 | 27,166 | 258,655,800 |
4 身体障害者及び精神薄弱者の雇用状況(平成5年6月1日現在)
身体障害者及び精神薄弱者(以下「障害者」という。)の雇用状況は「障害者の雇用の促進等に関する法律」により、1人以上の身体障害者を雇用する義務のある事業主等から、本年6月1日現在における障害者の雇用状況の報告を求め、これを集計したものである。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」において定められた雇用率は以下のとおりであり、各企業、法人、機関は、この率以上の割合をもって身体障害者を雇用しなければならないこととなっている。
○民間企業 | 一般の民間企業…1.6%(適用対象:常用労働者数63人以上規模 |
特殊法人 …1.9%(適用対象:常用労働者数53人以上規模) | |
○国、地方公共団体 | 非現業的機関…2.0%(適用対象:常用労働者数50人以上規模) |
現業的機関 …1.9%(適用対象:常用労働者数53人以上規模) |
なお、雇用されている精神薄弱者については、実雇用率の算定に当たり身体障害者と同様にカウントできることとされており、また、平成4年の法改正により、本年4月1日から、重度精神薄弱者については、重度身体障害者と同様に1人の雇用をもって、2人の身体障害者を雇用しているものとみなされることとなった。
また、短時間労働者(1週間の所定労働時間が、当該事業主の事業所に雇用する通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短く、かつ33時間未満である常用労働者。)のうち重度身体障害者又は重度精神薄弱者については、従来、雇用率に算入されていなかったが、それぞれ1人の身体障害者を雇用しているものとみなされることとなった。
1 民間企業における雇用状況
雇用障害者数は955人、実雇用率は1.74%で前年比0.05ポイントの上昇 |
1.6%の身体障害者雇用率(以下「雇用率」という。)が適用される一般の民間企業(常用労働者数63人以上規模の企業)における雇用状況をみると、雇用されている障害者数は955人となり、前年に比べて22人の増加となった。また、実雇用率は前年に比べ0.05%ポイント伸びて1.74%となり、過去最高の値となった。
また、平成4年6月2日から本年6月1日までの1年間の新規雇入れ障害者数は87人となり、前年に比べ1名の増加となった。なお、雇用率未達成企業の割合は、41.3%と前年より0.9ポイント低下した。(第1表)
実雇用率は100人以上規模の企業で上昇 |
規模別に障害者雇用状況をみると、雇用されている障害者数は100人以上規模企業で前年より44人増加し、前年水準を上回ったが、63人~99人規模企業で22人減少した。
実雇用率でみると、100人以上の各規模企業で上昇しているものの、63人~99人規模企業で前年に比べ0.23ポイント低下した。
なお、雇用率未達成企業の割合については、100人以上規模企業で改善されているものの、63人~99人規模企業で前年に比べ上昇した。(第2表)
建設業、製造業、卸売・小売業・飲食店、金融・保健・不動産業、サービス業で雇用状況改善 |
雇用状況を産業別にみると、建設業(1.80%→1.92%)、製造業(2.07%→2.21%)、卸売・小売業・飲食店(0.89%→0.91%)、金融・保健・不動産業(0.88%→0.99%)、サービス業(1.69%→1.73%)の実雇用率は前年より改善されているものの、運輸・通信業(1.95%→1.56%)で前年に比べ低下した。
なお、法定雇用率を上回った産業は、建設業、製造業、サービス業となっている。(第3表)
第1表 一般の民間企業における障害者の雇用状況
区分 | 《1》 企業数 | 《2》 常用労働者数 | 《3》 障害者の数 | 《4》 実雇用率 C÷《2》×100 | 《5》 雇用率未達成 企業の割合 | ||
A 重度障害者(常用) | B 重度障害者(常用) 以外の障害者 | C 計 A×2+B | |||||
鳥取県 | 企業 346 (344) | 人 54,905 (55,207) | 人 236 | 人 483 | 人 955 (933) | % 1.74 (1.69) | % 41.3 (42.2) |
全国 | 53,689 (52,884) | 17,072,450 (16,869,262) | 54,267 | 132,451 | 240,985 (229,627) | 240,985 (229,627) | 48.6 (48.1) |
- (注)
- 1 常用労働者数とは、常用労働者総数から除外率相当数を除いた法定雇用身体障害者数の算定の基礎となる労働者数である。
- 2 A欄の「重度障害者(常用)」には短時間労働者の数は含まれていない。B欄の「重度障害者(常用)以外の障害者」には重度障害者である短時間労働者の数が含まれている。
- 3 障害者の数とは、身体障害者と精神薄弱者の計である。A欄の重度障害者(重度身体障害者及び重度精神薄弱者)については法律上、1人を2人に相当するものとしており、ダブルカウントを行っている。
- 4 ( )内は平成4年6月1日現在の数値である。
- 〈参考〉
- 除外率相当数‥‥職務の性格から一律に雇用率を適用し、雇用義務を課することになじまない職種があるため、業種ごとに除外率を定め、その率によって算定した労働者数のことである。
区分 | 《1》 企業数 | 《2》 常用労働者数 | 《3》 障害者の数 | 《4》 実雇用率 C÷《2》×100 | 《5》 雇用率未達成 企業の割合 | ||
A 重度障害者(常用) | B 重度障害者(常用) 以外の障害者 | C 計 A×2+B | |||||
人 63~99 | 企業 149 (146) | 人 11,603 (11,379) | 人 43 | 人 121 | 人 207 (229) | % 1.78 (2.01) | % 44.3 (39.0) |
100~299 | 162 (164) | 23,423 (24,158) | 114 | 218 | 446 (424) | 1.90 (1.76) | 37.0 (43.3) |
300~499 | 19 (17) | 6,852 (5,798) | 20 | 38 | 78 (61) | 1.14 (1.05) | 63.2 (64.7) |
500~999 | 13 (14) | 7,836 (8,606) | 33 | 76 | 142 (143) | 1.81 (1.66) | 30.8 (28.6) |
1,000以上 | 3 (3) | 5,191 (5,266) | 26 | 30 | 82 (76) | 1.58 (1.44) | 33.3 (66.7) |
規模計 | 346 (344) | 54,905 (55,207) | 236 | 483 | 955 (933) | 1.74 (1.69) | 41.3 (42.2) |
第3表 一般の民間企業における産業別障害者の雇用状況
区分 | 《1》 企業数 | 《2》 常用労働者数 | 《3》 障害者の数 | 《4》 実雇用率 C÷《2》×100 | 《5》 雇用率未達成 企業の割合 | ||
A 重度障害者(常用) | B 重度障害者(常用) 以外の障害者 | C 計 A×2+B | |||||
農・林・漁業 | 企業 0 (0) | 人 0 (0) | 人 0 | 人 0 | 人 0 (0) | % 0 (0) | % 0 (0) |
鉱業 | 0 (0) | 0 (0) | 0 | 0 | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) |
建設業 | 11 (11) | 988 (944) | 4 | 11 | 19 (17) | 1.92 (1.80) | 18.2 (36.4) |
製造業 | 145 (153) | 26,075 (27,983) | 157 | 261 | 575 (579) | 2.21 (2.07) | 27.6 (33.3) |
食料品・たばこ | 22 | 3,424 | 15 | 49 | 79 | 2.31 | 22.7 |
繊維・衣服 | 32 | 4,791 | 39 | 57 | 135 | 2.82 | 25.0 |
木材・家具 | 6 | 484 | 11 | 12 | 34 | 7.02 | 0 |
パルプ・紙・出版 | 13 | 1,784 | 7 | 19 | 33 | 1.85 | 30.8 |
化学工業 | 4 | 529 | 2 | 3 | 7 | 1.32 | 50.0 |
窯業・土石 | 2 | 277 | 1 | 1 | 3 | 1.08 | 50.0 |
鉄鋼 | 1 | 111 | 2 | 1 | 5 | 4.50 | 0 |
非鉄金属 | 1 | 135 | 0 | 2 | 2 | 1.48 | 0 |
金属製品 | 5 | 539 | 1 | 11 | 13 | 2.41 | 20.0 |
電気機械 | 49 | 12,458 | 77 | 87 | 241 | 1.93 | 34.7 |
その他機械 | 7 | 821 | 2 | 9 | 13 | 1.58 | 28.6 |
その他 | 3 | 722 | 0 | 10 | 10 | 1.39 | 0 |
電気・ガス・ 熱供給・水道業 | 0 (0) | 0 (0) | 0 | 0 | 0 (0) | 0 (0) | 0 (0) |
運輸・通信業 | 10 (9) | 1,600 (1,538) | 2 | 21 | 25 (30) | 1.56 (1.95) | 40.0 (11.1) |
卸売・小売業・ 飲食店 | 77 (76) | 11,743 (10,988) | 20 | 67 | 107 (98) | 0.91 (0.89) | 57.1 (55.3) |
金融・保険・ 不動産業 | 10 (11) | 2,928 (2,952) | 5 | 19 | 29 (26) | 0.99 (0.88) | 80.0 (81.8) |
サービス業 | 93 (84) | 11,571 (10,804) | 48 | 104 | 200 (183) | 1.73 (1.69) | 48.4 (45.2) |
産業計 | 346 (344) | 54,905 (55,207) | 236 | 483 | 955 (933) | 1.74 (1.69) | 41.3 (42.2) |
(参考資料)
1 鳥取県障害者福祉対策推進連絡会議設置要綱1 目的
国際障害者年の理念に基づき、県内における障害者福祉対策の長期計画に係る施策、その他障害者の施策について連絡調整を図り、総合的かつ効果的な推進を図るため、鳥取県障害者福祉対策推進連絡会議を設置する。
2 連絡会議の組織
連絡会議は、別表(1)に掲げる関係団体の代表者が推薦する者及び別表(2)に掲げる者とする。
3 連絡会議の運営
(1)連絡会議は、民生部長が召集し主宰する。
(2)連絡会議は、関係団体及び関係課との連絡調整を行い、長期計画を効果的に実施するよう努める。
(3)連絡会議の庶務は、社会課が行う。
(4)この要綱に定めるもののほか、会議の運営等に必要な事項は民生部長が定める。
附則
この要綱は、昭和57年6月14日から施行する。
※今回の計画策定に際し、障害者関係団体を追加した。
別表
鳥取県障害者福祉対策推進連絡会議委員構成
(1)障害者関係団体
全国脊髄損傷者連合会山陰支部長 | 日本筋ジストロフィー協会鳥取県支部長 |
鳥取県社会福祉協議会長 | 鳥取県重症心身障害児(者)父母の会々長 |
鳥取県傷軍人会長 | 鳥取県精神保健協会長 |
鳥取県民生児童委員協議会長 | 鳥取県精神障害者家族連合会長 |
鳥取県障害者雇用促進協会長 | 町村会長 |
鳥取県身体障害者福祉協会長 | 市長会長 |
鳥取県ろうあ団体連合会長 | 鳥取県清音会長 |
鳥取県視覚障害者福祉協会長 | 鳥取県腎友会長 |
鳥取県精神薄弱者育成会長 | 日本オストミー協会鳥取県支部鳥取さざんかの会々長 |
鳥取県肢体不自由児父母の会連合会長 | 鳥取県身体障害者社会参加促進センター所長 |
鳥取県肢体不自由児協会長 | 部落解放同盟鳥取県連合会長 |
(2)県関係機関
民生部次長 | 健康対策課長 |
秘書課長 | 職業安定課長 |
市町村振興課長 | 雇用保険課長 |
消防防災課長 | 道路課長 |
同和対策課長 | 都市計画課長 |
企画課長 | 建築課長 |
交通政策課長 | 営繕課長 |
社会課長 | 鳥取県教育委員会事務局総務課長 |
高齢者対策課長 | 鳥取県教育委員会事務局教職員課長 |
児童家庭課長 | 鳥取県教育委員会事務局指導課長 |
衛生課長 | 鳥取県教育委員会事務局生涯学習課長 |
医務課長 | 鳥取県警察本部交通企画課長 |
主宰 | 鳥取県民生部長 | 大杉眞人 |
障害者関係団体 | 団体の長 | 委員 | |
役職 | 氏名 | ||
全国脊髄損傷者連合会山陰支部 | 団 義則 | 支部長 | 団 義則 |
鳥取県社会福祉協議会 | 田中和夫 | 専務理事 | 高橋好一 |
鳥取県傷痍軍人会 | 苗村一三 | 事務局長 | 露木 昭 |
鳥取県民生児童委員協議会 | 上田禎章 | 会長 | 上田禎章 |
鳥取県障害者雇用促進協会 | 田中和夫 | 事務局長 | 有本 宏 |
鳥取県身体障害者福祉協会 | 市橋春海 | 会長 | 市橋春海 |
鳥取県ろうあ団体連合会 | 地原 保 | 会長 | 地原 保 |
鳥取県視覚障害者福祉協会 | 板垣成行 | 会長 | 板垣成行 |
鳥取県精神薄弱者育成会 | 浜崎芳宏 | 事務局次長 | 谷口欣司 |
鳥取県肢体不自由児父母の会連合会 | 田丸喜久治 | 会長 | 田丸喜久治 |
鳥取県肢体不自由児協会 | 田丸喜久治 | 会長 | 田丸喜久治 |
日本筋ジストロフィー協会鳥取県支部 | 米村友孝 | 支部長 | 米村友孝 |
鳥取県重症心身障害児(者)父母の会 | 小谷久雄 | 会長 | 小谷久雄 |
鳥取県精神保健協会 | 田中和夫 | 事務局主任保健婦 | 田中悦子 |
鳥取県精神障害者家族会連合会 | 池原 勝 | 会長 | 池原 勝 |
鳥取県町村会 | 山田芳美 | 会長 | 山田芳美 |
鳥取県市長会 | 西尾迢富 | 会長 | 西尾迢富 |
鳥取県清音会 | 山崎耕也 | 副会長 | 山本信子 |
鳥取県腎友会 | 山根昭美 | 会長 | 山根昭美 |
日本オストミー協会鳥取県支部鳥取さざんかの会 | 大谷文一 | 会長 | 大谷文一 |
鳥取県身体障害者社会参加促進センター | 市橋春海 | 所長 | 市橋春海 |
部落解放同盟鳥取県連合会 | 杉根 修 | 会長 | 杉根 修 |
県関係機関 | 氏名 |
民生部次長 | 相見圀臣 |
秘書課長 | 上田 徹 |
市町村振興課長 | 滝川伸輔 |
消防防災課長 | 青木 茂 |
同和対策課長 | 入江清人 |
企画課長 | 森下憲樹 |
交通政策課長 | 川口工公 |
社会課長 | 山田次彦 |
高齢者対策課長 | 深田 修 |
児童家庭課長 | 前田親保 |
衛生課長 | 村上脩司 |
医務課長 | 衣川和人 |
健康対策課長 | 野田 広 |
職業安定課長 | 是枝一男 |
雇用保険課長 | 陶 益雄 |
道路課長 | 藤原昭男 |
都市計画課長 | 手嶋 巌 |
建築課長 | 成藤宣昌 |
営繕課長 | 尾坂 功 |
鳥取県教育委員会事務局総務課長 | 足立三也 |
鳥取県教育委員会事務局教職員課長 | 八田洋太郎 |
鳥取県教育委員会事務局指導課長 | 武田勝文 |
鳥取県教育委員会事務局生涯学習課長 | 相見寿子 |
鳥取県警察本部交通企画課長 | 豊田浩奨 |
3「アジア太平洋障害者の十年」(1993年~2002年)に関する決議(仮訳)
(Asian and Pacific Decade of Disabled Persons,1993~2002)
第48回ESCAP総会決議48/3
提案国:
アフガニスタン、オーストラリア、バングラデシュ、ブルネイ、カンボディア、中国、朝鮮民主主義人民共和国、フィジー、香港、インド、インドネシア、イラン(イスラム共和国)、日本、キリバス、ラオス人民民主共和国、マカオ、マレイシア、モルディヴ、マーシャル諸島、ミクロネシア(連邦)、モンゴル、ミャンマー、ネパール、ニュー・ジーランド、パキスタン、パプア・ニューギニア、フィリピン、大韓民国、パラオ共和国、ロシア連邦、スリ・ランカ、タイ、ヴィエトナム
アジア太平洋経済社会委員会は、
障害者に関する世界行動計画についての1982年12月3日の国連総会決議(37/52)と、国連総会が1983年から1992年を国連障害者の十年と宣言した障害者に関する世界行動計画の実施に関する1982年12月3日の決議(37/53)をはじめとする障害問題に関する全ての総会並びに経済社会理事会決議を想起し、
国際障害者年の目的である「完全参加と平等」の効果的な実施とフォローアップに係わる、国際障害者年についての1980年3月29日のESCAP決議207(XXXVI)をも想起し、
障害の危険が高齢化と共に高まり、また、域内各国で予測される社会の急速な高齢化に伴い、障害者の数が相当増加することに留意し、
国連障害者の十年が障害問題への認識を高め、ESCAP域内での障害予防と障害者の更生の両面でかなりの進展をもたらしたものの、とりわけ、開発途上国と後発開発途上国における障害者対策に格差がみられることを認識し、
1991年10月の第4回アジア太平洋社会福祉・社会開発閣僚会議が第2の障害者の十年への支持を表明したことに留意し、
更には、アジア太平洋経済社会委員会によって1991年8月に開催されたアジア太平洋地域における国連障害者の十年の成果を評価する専門家会議が、ESCAP地域での現在までの成果をさらに確実にするために第2の障害者の十年が必要であると勧告したことに留意し、
1 | ESCAP地域で1992年以降、障害者に関する世界行動計画の実施に向けて新たな刺激を与えると共に、同世界行動計画の目標、特に完全参加と平等の達成に影響している問題を解決するための域内協力の強化を目的として、1993年から2002年をアジア太平洋障害者の十年と宣言する。 |
2 | 経済社会理事会及び国連総会に対し、本決議を承認し、世界レベルで本決議の実施への支持を勧めるよう要請する。 |
3 | 全ての加盟国、準加盟国政府に対し、以下の諸事項を含む障害者の完全参加と平等を促進する施策の策定を目的とし、自国、自地域での障害者の状況をレヴューするよう要請する。 |
(a) | 経済・社会開発における障害者の参加を促進するための国内政策と計画の策定及び実施。 |
(b) | 障害者問題に関する国内調整委員会の設立及び強化。同委員会内での障害者、障害者組織の役割と適切且つ効果的な代表の強調。 |
(c) | 国際開発機関・NGOと協力し、障害者への地域に根ざした支援サービスの拡大と家族へのサービス提供のための支援。 |
(d) | 障害を持つ児童・成人への肯定的な態度を涵養するための特別な努力と障害を持つ児童・成人の更生、教育、雇用、文化・スポーツ活動、物理環境へのアクセスの改善。 |
4 | 障害に関係する要素を各機関の活動計画に系統だてて統合し、本決議の各国内での実施を支援するために、関連する全ての国連システムの専門機関と機関にESCAP地域内で実施中のプログラム、プロジェクトの調査を行うよう要請する。 |
5 | 障害者組織の能力と活動を強化するために、社会開発分野の非政府組織に、その経験と専門知識を活用するよう要請する。 |
6 | 障害を持つ市民が潜在的可能性を完全に発揮できる手段を整備するために、政府機関と協力すると共に、自助能力を高めるために、先進国と途上国の障害者間の結び付きを強化するよう、障害者組織に要請する。 |
7 | 以下の面で、加盟国・準加盟国政府を支援するよう事務局長に要請する。 |
(a) | 新「十年」での国内行動プログラムの策定・実施。 |
(b) | 建築物、公共施設、運輸・通信システム、情報、教育・訓練、福祉機器への障害者のアクセスを促進するためのガイドライン、立法の策定と実施。 |
8 | 「十年」終了まで、本決議の実施について本委員会に2年毎に報告し、必要に応じて「十年」の勢いを維持するための行動を本委員会に勧告するよう、事務局長に要請する。 |
4 障害者対策に関する新長期計画 -全員参加の社会づくりをめざして-
概要
平成5年3月
障害者対策推進本部
はじめに
1 | 政府は、昭和57年3月「障害者対策に関する長期計画」を、さらに昭和62年6月「『障害者対策に関する長期計画」後期重点施策」を策定し、障害者対策の総合的、効果的推進に努めてきた。 |
2 | 昨年4月、国連・アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)において、「アジア太平洋障害者の十年」(1993年~2002年)の決議が採択された。 |
3 | 中央心身障害者対策協議会(以下「中心協」という。)は、本年1月「『国連・障害者の十年』以降の障害者対策の在り方について」内閣総理大臣あて意見具申した。 |
4 | 政府は、中心協の意見書を踏まえ、新たな長期的視点に立った障害者対策に関する計画(以下「新長期計画」という。)を策定し、「国連・障害者の十年」終了後の障害者対策をなお一層推進する。 |
第1 基本的考え方
1 | 我が国の障害者対策は、「障害者対策に関する長期計画」等に基づき、「リハビリテーション」及び「ノーマライゼーション」の理念の下「完全参加と平等」の目標に向けて推進されてきたが、新長期計画は、これら理念及び目標を受け継ぎながら、これまでの成果を発展させ、新たな時代のニーズにも対応するよう配慮する。 |
2 |
新長期計画は、次のような基本的考え方に基づき、平成5年度からおよそ10年間にわたる施策の基本的方向と具体的方策を明らかにする。
|
1 |
啓発広報 障害者を含む全ての人が住みよい平等な社会づくりを進めるためには、社会の全ての構成員が、障害及び障害者に対して十分理解することが必要である。このため、啓発広報は極めて重要であり、その充実を図る。
| ||||||
2 |
教育・育成 心身障害児の成長のあらゆる段階において、障害の特性等に応じた多様な教育・育成の展開を図り、最も適切な教育・育成の場が確保されるよう諸条件の整備に努める。
| ||||||
3 |
雇用・就業 重度障害者が可能な限り一般雇用に就くことができるよう、障害の特性に応じたきめ細かな対策を推進する。また、一般雇用に就くことが困難な者については、授産施設の充実等を図るとともに、多様な形態の就業に対する援護措置の充実に努める。
| ||||||
4 |
保険・医療 障害の原因究明のための各種研究の推進、その成果を生かした、発生予防、早期発見、早期治療、根本的治療のための各種対策の充実を図るとともに、障害を軽減し、自立を促進するためのリハビリテーション医療の推進を図る。
| ||||||
5 |
福祉 障害者の生活の質の向上を図るという観点から、障害者の福祉の充実を図る。
| ||||||
6 |
生活環境 建築物、住宅、道路、交通機関等における物理的な障害の除去、情報収集、コミュニケーションに当たってのハンディキャップの軽減等生活環境面における各種改善を図る。
| ||||||
7 | スポーツ,レクリエーション及び文化 施設の整備、指導者の養成等によりスポーツ、レクリエーション及び文化活動の振興を図る。 | ||||||
8 | 国際協力 「アジア太平洋障害者の十年」を踏まえ、特にアジア太平洋地域に重点をおいて障害者団体間の交流や技術・情報の交流等各種国際協力を行う。 |
第3 推進体制等
1 | 新長期計画の推進に当たっては、障害者対策推進本部を軸とし、関係行政機関相互間の密接な連携を図る。また、障害者対策の立案及び推進に当たっては、障害者自身の意見を反映させ、そのニーズに配慮するともに、関係機関・団体の連携を深める。 また、政府は、財政面の充実等の支援、ガイドラインの作成等を行うことにより、地方公共団体の支援に努める。 |
2 | 地方公共団体においては、障害者自身の参加を図ること等により、長期的な計画の下に、障害者の意見を反映した施策の推進を図ることを期待する。特に、市町村は、身近な地方公共団体として、障害者対策に主体的かつ積極的に取り組むことを期待する。 |
3 | 社会の全ての構成員が、それぞれの分野で積極的に行動し、障害者福祉の向上に寄与することを期待する。 |
主題:
第2次鳥取県障害者福祉対策に関する長期計画
発行者:
鳥取県
発行年月日:
1994.3
文献に関する問い合わせ先:
(事務局)鳥取県民生部社会課
(電)0857-26-7157
FAX0857-26-8116