ノーマライゼーションの理念のもとに、障害者が社会の一員として、地域の中で普通の暮らしができる社会を実現するためには、多様できめ細かな福祉サービスの充実が一層必要です。
本県が、平成10年10月に実施した「岡山県障害児(者)施設入所・通所状況調査」では、福祉施設入所者のうち約1割は、ほぼ自立した日常生活が可能であり、約3割は助言、指導、注意等の配慮があれば日常生活が可能であるとなっています。
しかし、入所者の多くが、家庭の事情や地域でのサービス不足、住宅等生活の場の問題等により退所できない状況となっています。
このため、家族等の負担を軽減し、地域での生活の場を確保するための在宅福祉サービスとして
- ホームヘルプサービス(訪問介護事業)
- ショートステイサービス(短期入所事業)
- 市町村障害者社会参加促進事業、明るいくらし促進事業
- デイサービス(日帰り介護事業)
- グループホーム(地域社会の中で数人の障害者が共同生活する場)
など、各障害者のニーズに適した多様な施策の展開により、障害者の地域での生活を支援します。
表5-1:施設入所者の日常生活における要介護性
介護区分 | 件数 | % |
---|---|---|
常に全ての面で介護が必要 | 574 | 15.6 |
常時、多くの面で介護が必要 | 642 | 17.4 |
時々または一時的に、あるいは一部介護が必要 | 800 | 21.3 |
助言、指導、注意、点検または配慮が必要 | 1,168 | 31.7 |
ほとんど配慮を要せず、問題も少なく、ほぼ自立 | 444 | 12.1 |
無回答又は不明 | 55 | 1.5 |
合計 | 3,683 | 100.0 |
(障害福祉課調べ) |
(注)「岡山県障害児(者)施設入所・通所状況調査」(平成10年10月実施)結果によります。
表5-2:施設入所者の退所できない理由(複数回答:母数3,683人)
退所できない理由 | 件数 | % |
---|---|---|
引き続き、訓練、療育等の専門の指導を受ける必要がある | 1,824 | 49.5 |
家庭環境により、退所できない | 2,145 | 58.2 |
住宅が障害の状況に適応していない | 215 | 5.8 |
地元の市町村に地域での生活を支援する福祉サービスがない | 629 | 17.1 |
経済的(生活費等の問題)に退所できない | 240 | 6.5 |
住宅やグループホーム等の確保対策ができない | 493 | 13.4 |
本人に退所の意思がない | 692 | 18.8 |
その他 | 376 | 10.2 |
無回答又は不明 | 125 | 3.4 |
(障害福祉課調べ) |
(注)「岡山県障害児(者)施設入所・通所状況調査」(平成10年10月実施)結果によります。
ホームヘルパーの養成等
- ・ホームヘルパー
- 障害者の特性やニーズに応じた介護支援サービスが提供できるようホームヘルパー(訪問介護員)の計画的養成・確保を一層促進するほか、在宅療育を行っている難病患者や精神障害者を支援するためのホームヘルプサービス事業の充実を図ります。
- ・住宅改造(リフォーム)ヘルパー
- 障害者の在宅生活を容易にし、介護者の負担を軽減するため、個々の住宅事情や障害状況等に応じた住宅改造を支援する住宅改造(リフォーム)ヘルパーなどの人材養成を図ります。
- ・ガイドヘルパー
- 障害者の外出時の案内役となるガイドヘルパーについては、市町村間の相互利用が可能となるよう体制の充実を図ります。
サービス内容、派遣時間等
在宅の重度障害者などを支援するため、サービス内容や派遣時間を多様化し、夜間など必要な時に必要な介護が受けられる体制の整備や、上肢・下肢・体幹のいずれにも障害が認められ,常時介護が必要な障害者で本人が選んだ介助人が必要なサービスを提供する事業の実施について検討を進めます。
広域体制
1市町村において単独で実施することが困難な場合には、複数の市町村が共同して関係団体に委託するなど派遣体制の整備を進めます。
手続きの簡素化
気軽にサービスが利用できるよう、ホームヘルプサービス、ショートステイ、デイサービス事業については、一度申請し認定を受けると利用時ごとの申請は不要となる総合利用券方式の導入を検討し、利用手続きの簡素化によるホームヘルプサービスの利用を促進します。
表5-3:ホームヘルプサービスの実施状況
(身体・知的障害児(者)関係) | |||
---|---|---|---|
事業名 | 平成7(1995)年 | 平成8(1996)年 | 平成9(1997)年 |
ホームヘルプサービス事業(身体・知的障害) | 12市町村 | 12市町村 | 11市町村 |
延べ22,083人 | 延べ23,864人 | 延べ29,795人 | |
54,444時間 | 55,790時間 | 56,131時間 | |
(障害福祉課調べ) |
在宅の障害者が、一時的に家庭での介護が受けられない場合に利用するショートステイ事業の充実を図るため
- 専用居室の整備促進
- 利用者の利便性を勘案した老人、身体・知的障害者ショートステイサービスとの相互利用
- 家族の負担軽減のため時間単位で介護サービスが利用できるタイムステイ事業の実施
- 精神障害者について症状が悪化した場合に一時的に利用できるレスパイトサービス事業(介護している家族が一時的に休むことができる事業)の実施
など体制整備を進めます。
また、必要に応じた送迎サービスの実施や総合利用券方式の導入等により、ショートステイサービスの利用を促進します。
表5-4:ショートステイサービスの実施状況
(身体・知的障害児(者)関係) | |||
---|---|---|---|
事業名 | 平成7(1995)年 | 平成8(1996)年 | 平成9(1997)年 |
ショートステイ事業(身体障害) | 20市町村 | 20市町村 | 22市町村 |
86人 | 75人 | 74人 | |
784日 | 968日 | 693日 | |
ショートステイ事業(知的障害) | 7市町村 | 8市町村 | 8市町村 |
1,288日 | 1,993日 | 2,245日 | |
(障害福祉課調べ) |
障害者が身近なところで、通所により創作的活動や機能訓練等の各種サービスの提供を受けられるデイサービス事業や精神障害者に対するデイケア事業の充実を図ります。
障害者やその家族のニーズに弾力的に対応するため
- 開所時間の延長
- 出前サービスの推進(施設の専門スタッフによる入浴・給食などを地域のコミュニティー施設等を利用して実施)
- 老人デイサービスとの相互利用
などを進め、県内どこでも利用できる体制整備を図ります。
なお、総合利用券方式の導入等により、デイサービスの利用を促進します。
表5-5:デイサービスの実施状況
(身体・知的障害児(者)関係) | |||
---|---|---|---|
事業名 | 平成7(1995)年 | 平成8(1996)年 | 平成9(1997)年 |
デイサービス事業(身体障害者) | 4市町村 | 4市町村 | 5市町村 |
4ヵ所 | 5ヵ所 | 6ヵ所 | |
デイサービス事業(知的障害児) | 10市町村 | 10市町村 | 11市町村 |
12ヵ所 | 12ヵ所 | 12ヵ所 | |
(障害福祉課調べ) |
障害のある人も家庭や地域で通常の生活ができるよう、
- 「障害者の明るいくらし」促進事業
- 市町村障害者社会参加促進事業
などを総合的かつ効果的に実施し、障害者に対する理解を深め、障害者の自立と社会参加の促進を図ります。(次頁表5-6参照)
表5-6:「障害者の明るいくらし」促進事業・市町村障害者社会参加の促進事業の概要
事業名 | 障害者の明るいくらし促進事業 | 市町村障害者社会参明促進事業 | ||
---|---|---|---|---|
実施主体 | 都道府県 (事業の一部を都道府県障害者社会参加推進センター、障害者福祉団体等に委託することができます。) |
市町村 (事業の一部を障害者福祉団体等に委託することができます。) |
||
対象者 | 身体、知的、精神障害者 | 身体、知的、精神障害者 | ||
事業の目的 | 障害者の社会参加促進施策を総合的かつ効果的に実施し、誰もが明るく暮らせる社会づくりを促進します。 | 障害者の需要に応じた事業を実施することにより目立と社会参加の促進を図ります。 | ||
主な事業内容 | 必須事業 | 障害者110番運営事業 | ○ | - |
相談員活動強化事業 | ○ | - | ||
情報支援 | 点字・声の広報誌発行事業 | ○ | ○ | |
点字による即時情報ネットワーク事業 | ○ | - | ||
紙上交流事業 | ○ | - | ||
社会資源活用情報等提供事業 | ○ | - | ||
福祉機器リサイクル事業 | - | ○ | ||
生活支援 | 生活訓練事業 | ○ | ○ | |
音声機能障害者発声訓練・指導者養成事業 | ○ | - | ||
家族教室等開催事業 | ○ | - | ||
スポーツ振興等地域交流支援 | スポーツ教室開催事業 | ○ | ○ | |
スポーツ大会開催事業 | ○ | ○ | ||
スポーツ指導員養成事業 | ○ | - | ||
レクリエーション教室開催事業 | ○ | - | ||
文化・芸術活動振興事業 | ○ | - | ||
啓発広報 身体障害者支援 | 障害者に関する正しい知識の普及啓発事業 | ○ | - | |
奉仕員等養成・派遣事業 | ○ | ○ | ||
手話通訳設置事業 | ○ | ○ | ||
字幕入りビデオカセットライブラリー事業 | ○ | - | ||
自動車運転免許取得・改造助成事業 | ○ | ○ | ||
外出介護員(ガイドヘルパー)ネットワーク事業 | ○ | - | ||
盲導犬育成事業 | ○ | - | ||
重度身体障害者移動支援事業 | - | ○ | ||
知的障害者支援 | 生活協力員(生活アシスタント)紹介事業 | ○ | ○ | |
ボランティア活動支援事業 | ○ | ○ | ||
精神障害者支援 | 家族相談員紹介事業 | ○ | ○ | |
精神障害者ボランティア団体活動支援事業 | ○ | ○ | ||
地域精神保健福祉調査事業 | ○ | ○ |
主題・副題:地域でともに生活するノーマライゼーション社会をめざして-岡山県障害者長期計画-
発行者:岡山県
頁数:37頁~41頁
文献に関する問い合わせ:
〒700-8570 岡山県岡山市内山下2-4-6
障害福祉課
電話:086-224-2111
FAX:
岡山県ホームページ:http://www.pref.okayama.jp/
障害福祉課(岡山県)ホームページ:http://www.pref.okayama.jp/hoken.shofuku/shofuku.htm