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第3期熊本県障害者計画

くまもと障害者プラン

障害者施策の課題

 新しく障害者プランを策定するにあたって、手帳所持者の無作為抽出によるアンケート調査をはじめ、関係団体や障害のあるご本人の方々等からさまざまな御意見を伺いました。障害の種類や年齢等によってさまざまな課題があることがわかりました。なかでも次のようなものが特に大きな課題となっています。

県民の理解が不足している

 施設を設置するときの地域住民の反対、障害者用駐車スペースへの違反駐車など、障害に対する誤解や偏見、理解のない行動などが、障害のある人の社会参加を阻んでいます。
 これは最も重要な課題であり、障害に対する正しい知識の普及や日常的なふれあいをとおした相互理解の促進等による“心のバリアフリー”が必要です。

専門性の高い療育・教育を受けたい

 子どもをどのように育てていけばいいか分からない、身近な地域に専門的な療育の場がない、障害特性を踏まえた専門的な教育を受けたいといった保護者の悩みの声があげられています。
 身近な地域で、教育と福祉が専門性を高め、関係機関が互いに連携して、個々の障害特性に応じた継続性のある支援を行っていく必要があります。

働きたくても働けない

 事業所へもっと障害者の能力を理解してほしい、働きはじめてもなかなか環境になじめず長続きしない、障害に応じていろいろな働き方ができたらいいのに等、働くことができず生活に困っている人がたくさんいます。
 職業訓練にとどまらず、事業所と障害者双方への相談支援や、就職後の継続的な職場支援など福祉、労働、教育分野が連携してきめ細かに行っていく必要があります。

専門の相談窓口が不足している

 福祉サービスをどのように利用したらいいか分からない、専門的なアドバイスを受けて将来のことを考えたい、日頃の生活で困ったことがあっても誰に相談したらいいのかわからないなど、日常的な生活の支援窓口として専門的な相談体制や相談支援の資質向上が求められています。

地域で暮らすために必要なサービスが不足している

 アンケート調査では、全体の8割近くの障害者が地域での生活を希望しており、施設や病院に入所・入院している人でも半数以上の人が地域での生活を希望しています。
 しかし、地域で自立して暮らしていくための、住まいや日中活動の場、介護等の支援サービスなどが不足していることから、地域で満足した生活を送れない状況です。
障害の有無に関わらず地域でともに暮らしていけるよう、さまざまな支援をセットで提供していく必要があります。

家族の負担が大きい

 福祉サービスが利用できずに家族だけで障害者の介護等を行っていたり、自分が年老いた後の子どもの生活に対する不安など、家族の介護疲れや心労も深刻な状態です。
 障害者本人に対する支援と同時に、家族の不安を解消するような相談支援やレスパイトケア*サービスの充実が必要です。

自由に行ける場所や手段が不足している

 行きたい場所に行こうとしてもそこまでの交通手段が使えない、身近な近所の商店、飲食店等がバリアフリーになっていない、設計上はバリアフリーでも実際に使ってみると使いづらい、またどこがバリアフリー化されているのかそもそも分からないなど、まちづくりの面でもまだ多くの課題があります。
 地域には障害のある人がいるという認識を持って住民みんなで、より一層障害者の視点でまちづくりを進める必要があります。

 こうしたさまざまな課題を解決していくため、プランにもとづいて総合的に取り組んでいくことになりますが、プランを絵に描いた餅に終わらせないよう実効性のあるものにしなければなりません。
 このプランを関係機関や県民すべてのみなさんに理解してもらうような普及を行ったり、障害のある当事者の方にプランの進捗管理に参画してもらうなど、これから実効性を持ってすすめていく必要があります。

障害者プランを実効性のあるものに

*レスパイトケア:介護等による疲れから回復するため、一時的な休息を得るための援助