総合福祉部会 第10回 H22.12.7 資料1
部会作業チーム(法の理念・目的)議事要旨(11月19日)
1.日時:平成22年11月19日(金) 14:00~16:20
2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂
3.出席者
藤井座長、藤岡委員、山本委員
4.議事要旨
今作業チームの課題は、2つ。第1は、『「障害者の社会生活の支援を権利として総合的に保障する法律」(案)』(以下、法律案という。)と『「新法の理念・目的」分野に関する意見』(以下、意見書という。)の精査、第2は他チームの議事要旨を見ながら取り入れるべき内容を検討する。
【第1点目について】
- 関連法については意見書にも記載しているところだが、他法との関わりについては、関係する条文案を作成する必要があるのではないか。特に関連が大きい社会福祉法。
- 刑事司法における受刑者に関しても対応が必要。
- 法律案の前文には、「障害者が人権の主人公」と宣言している。これは制度の主体であることを堅苦しくないように表現することが目的である。
- 定義条項は大事なことが書かれており、今後精査する必要がある。
- 「合理的配慮」についても規定すべきかもしれない。ただし、障害者基本法に規定される「合理的配慮」と同じ定義とするかどうかは分からない。
- 「保護の客体」は、「保護の対象」に変更する。
- 「福祉」という言葉を全て否定するべきではないと思うが、「福祉の現場で働く人の人権保障の必要性の確認」で「福祉」という言葉を使っている点について、「福祉」を使うべきではないという意見が他の委員から出るのではないか。
- 「医療」と「福祉」の概念の違いは何か。「医療」と「福祉」は重複する部分もあると思う。
- 法律案の『法の目的』では「福祉」ではなく「社会生活上の支援」という文言を使っている。
- 「福祉の分野で働く」とあるが、この表現は「障害福祉分野の労働者」に変更。
- 法律案で「合理的配慮」についても言及した。他の部会の構成員からは、「合理的配慮」を理由として、行政が給付の抑制をするというリスクを問われるかもしれないが、そこはリスクを冒しても前進すべき。
- 「医療的ケア」等について法律案に入れていないのは、本来医療法で書くべきだからである。
- 「医療と福祉の連携の重要性、医療的ケアの地域での保障」では、たんの吸引を介護職員が行えることについての検討をイメージしていたが、今後の医療の発展も踏まえて、たんの吸引に限定されずに今後の変化に耐えうるような規定にすべき。
- 精神障害者についての医療的ケアは、総合福祉法ではなく、医療の分野で規定される べきである。
- 請求権の定義について、地域主権の流れがあるが、国がナショナルミニマムとしてどこに住んでいても地域間の格差が生まれないようにする必要がある。それに耐えうるようなものにしたい。
- 請求権の定義における「どの地域に住んでいても」との表現は不要ではないか。
- 社会生活上の支援をこの法律の守備範囲とすると、医療や雇用との狭間ができる恐れがある。どのような制度にしても狭間は必ずできてしまうので、その際の調整方法が必要である。例えば、「住宅」などは国交省との連携も考えられるところであり、他の分野でも他省庁との連携や他の制度との調整ができるようにする必要がある。したがって、総合福祉法の性格は二つ、一つはいわゆる「総合福祉」の意味と、もう一つ関連分野との「調整法」としての意味を持つべき。
- 権利擁護機関については2つの考え方あると思う。一つは申請等を共に行っていく意思決定の支援、もう一つは給付が確実に行われているかをチェックするような消極的な権利擁護である。その際には自治体が適切にサービスを行っているか監視することと、利用者一人一人のニーズに合った支援を受けているかを個別に監視すること、という2つの視点が必要。
- 権利擁護を目的として一人一人の意思決定を支えるために障害者に1対1で対応するのは莫大な予算が必要。
- 当事者団体の中には、ピアサポートとともに権利擁護のための支援を無料でやっているところもあるが、せめて実費を払ってほしい。
- 今後制定していく虐待防止法、差別禁止法、総合福祉法においては、権利擁護をそれぞれ規定するのではなく、統一した方が、財源的に考えても現実的なのではないか。
- 運用上も一体化してない既存の様々な権利擁護事業について改良、統合し、権利擁護ワンストップのような制度はできないだろうか。
- 権利擁護の事業は各種障害者団体が実施すべきである。そして、法的な手段等が必要な場合には、法テラス等を活用していくべき。
- 「谷間からこぼれおちない」について、「谷間」からさらに下は無いので日本語としておかしいのではないか。「谷間にこぼれ落ちる」や「谷間に置き去りにされない」などが日本語としては正しいのではないか。
- 地域移行については、意見書に示されている「地域生活移行促進のための時限立法の必要性」でも示されているとおり、時限立法としてやることが必要である。同和対策の時限立法や被爆者に関する法律、ハンセン病に関する法律が地域生活の参考になるのではないか。
【第2点目:他の作業チームの検討内容とのすり合わせ】
●資料2について(障害の範囲等)
- 障害の範囲については、谷間を作らないということは合意事項であり、今回は例示列挙とする。また、障害の範囲チームでの議論を踏まえる必要がある。
●資料5について(日中活動、住まい等)
- 住まいの支援と訪問が同一のチームで議論されていないのは違和感がある。人的支援とハードな部分が分離してしまう恐れがある。
- 全体的な新法の体系図や各作業チームでの設計図を作る必要があるのではないか。
- グループホームやケアホームは、あってもいいが、人権が制約されないようにする必要がある。
- 精神障害者について、グループホームとケアホームを廃止すべき。
●資料8について(医療)
- 「障害者基本法改正に関連して」の中に、精神医療についての記載があるが、基本法に強制入院のあり方等を書き込むことには反対。
- 精神保健福祉法のどこを具体的に変えるかということは、我々の範疇ではない。保護者規定については、他の合同作業チームの議論と重なるかもしれないが、全体の検討課題としてとらえる。
●その他全体について
- サービスの事業体系をどうするのかという議論は、どの作業チームでするのか。
- (総合福祉法におけるサービス体系の)全体像についてはどこの作業チームが議論するのか。議論しないままだと、障害者自立支援法の枠組みがそのまま残ってしまう。
- 自分たちが考えた目的を具体化するためにはどうすればいいのか。
- 現在の事業体系等に不都合だとの意見等があれば、その意見を座長会議の方で発言しようと思う。具体的に不都合なところはあるか。
- 障害者は、労働することが難しいから「社会参加」という言葉に置き換えている気がする。社会参加をするということは、今まで社会参加していないと感じ、古い時代の言葉といえる。今は既に十分参加している。