障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律の概要
目次
公布日施行
- 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて傷害補償福祉施策を見直すまでの間における障害者等の地域生活支援のための法改正であることを明記
平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
- 利用者負担について、応能負担を原則に
- 障害福祉サービスと補装具の利用者負担を合算し負担を軽減
公布日施行
- 発達障害が障害者自立支援法の対象となることを明確化
平成24年4月1日施行 *自立支援協議会については、平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
- 相談支援体制の強化[市町村に基幹相談支援センターを設置、「自立支援協議会」を法律上位置付け、地域移行支援・地域定着支援の個別給付化]
- 支援決定プロセスの見直し(サービス等利用計画案を勘案)、サービス等利用計画作成の対象者の大幅な拡大
平成24年4月1日施行
- 児童福祉法を基本として身近な地域での支援を充実(障害種別等で分かれている施設の一元化、通所サービスの実施主体を都道府県から市町村へ移行)
- 放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の創設
- 在園期間の延長措置の見直し[18歳以上の入所者については、障害者自立支援法で対応するよう見直し。その際、現に入所している者が退所させられることのないようにする。]
平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
- グループホーム・ケアホーム利用の際の助成を創設
- 重度の視覚障害者の移動を支援するサービスの創設(同行援護。個別給付化
(1)「その有する能力及び適正に応じ」の削除
(2)成年後見制度利用支援事業の必須事業への格上げ
(3)児童デイサービスに係る利用年齢の特例
(4)事業者の業務管理体制の整備
(5)精神科救急医療体制の整備等
(6)難病の者等に対する支援・障害者等に対する移動支援についての検討
(1)(3)(6):公布日施行
(2)(4)(5):平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
1.趣旨
(施行期日)公布日施行
趣旨
(課題)本改正案の趣旨を明確にする必要。
→ 障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者及び障害児の地域生活を支援するため、関係法律を整備するものであることを明記。
2.利用者負担の見直し
(施行期日)平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
利用者負担の規定の見直し
(課題)累次の対策により、負担上限額は大幅に引き下げられており、実質的に負担能力に応じた負担になっているが、法律上は1割負担が原則になっている。
→ 法律上も負担能力に応じた負担が原則であることを明確化。
(ただし、サービス利用量が少なく、1割負担の方が低い場合には1割)
* 例えば、現在、市町村民税非課税世帯については、利用負担は無料。
* 利用者の実質負担率0.37%(H22.7国保連データ)。
利用者負担の合算
(課題)障害福祉サービスと補装具の利用者負担の上限額は、それぞれに別に設定されている。
→ 高額障害福祉サービス費について補装具費と合算することで、利用者の負担を軽減。
3.障害者の範囲の見直し
(施行期日)公布日施行
障害者の範囲の見直し
(課題)発達障害は、概念的には精神障害に含まれるが、そのことが明確にされていない。
→ 障害者自立支援法のサービスをより受けやすくする観点から、発達障害者が障害者の範囲に含まれることを法律上明示。
* 発達障害については、発達障害者支援法が整備され、発達障害の定義規定も置かれている。
* あわせて、高次脳機能障害が対象となることについて、通知等で明確にする。
4.相談支援の充実
(施行期日)平成24年4月1日施行 *自立支援協議会については、平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
相談支援体制の強化
(課題)障害者の地域生活にとって相談支援は不可欠であるが、市町村ごとに取組状況に差がある。また、地域の支援体制づくりに重要な役割を果たす自立支援協議会の位置付けが法律上不明確。
→ 地域における相談支援体制の強化を図るため中心となる総合的な相談支援センター(基幹相談支援センター)を市町村に設置。
→ 自立支援協議会について、設置の促進や運営の活性化のため、法律上に根拠を設ける。
* 市区町村における地域支援協議会の設置状況79%(H21.4.1現在。21年度中に更に11%が設置予定。)。
→ 地域以降や地域定着についての相談支援の充実(地域移行支援・地域定着支援の個別給付化)。
支給決定プロセスの見直し等
(課題)サービス利用計画の作成については、①計画の作成が市町村の支給決定後となっている、②対象が限定されている、などの理由からあまり利用されていない。
→ 支給決定の前にサービス等利用計画案を作成し、支給決定の参考とするよう見直し。
→ サービス等利用計画作成の対象者を大幅に拡大。
* 現在のサービス利用計画作成費の対象者は、重度障害者等に限定されており、利用者数は2,731人(H21.4)。
5.障害児支援の強化
(施行期日)平成24年4月1日施行
児童福祉法を基本とした身近な支援の充実
(課題)障害を持つ子どもが身近な地域でサービスを受けられる支援体制が必要。
→ 重複障害に対応するとともに、身近な地域で支援を受けられるよう、障害種別等に分かれている現行の障害児施設(通所・入所)について一元化。
→ 在宅サービスや児童デイサービスの実施主体が市町村になっていることも踏まえ、通所サービスについては市町村を実施主体とする(入所施設の実施主体は引き続き都道府県)。
放課後等デイサービス・保育所等訪問支援の創設
(課題)放課後や夏休み等における居場所の確保が必要。
→ 学齢期における支援の充実のため、「放課後等デイサービス」を創設。
(課題)保育所等に通う障害児に対して、集団生活への適応のための支援が必要。
→ 保育所等を訪問し、専門的な支援を行うため、「保育所等訪問支援」を創設。
在園期間の延長措置の見直し
(課題)18歳以上の障害児施設入所者について、障害者施策として対応すべきと意見。(障害児支援の関係者で構成された『障害児支援の見直しに関する検討会』の中での議論)
→ 18歳以上の障害児施設入所者については障害者施策(障害者自立支援法)で対応するよう見直し。
(その際、必要な支援の継続措置に関する規定や、現に入所している者が対処させられることがないようにするための必要な規定を設ける。特に重症心身障害者については十分に配慮する。)
6.地域における自立した生活のための支援の充実
(施行期日)平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
グループホーム・ケアホーム利用の際の助成の創設
(課題)障害者の地域移行を促進するため、障害者が安心して暮らせる「住まいの場」を積極的に確保する必要。
→ グループホーム・ケアホーム入居者への支援を創設(居住に要する費用の助成)
重度の視覚障害者の移動支援の個別給付化
(課題)移動支援について、重度の肢体不自由者や知的障害者及び精神障害者については、自立支援給付とされているが、十度の視覚障害者については、地域生活支援事業(補助金)の中で行われているのみ。
→ 重度の視覚障害者の移動支援についても、地域での暮らしを支援する観点から、自立支援給付の対象とする。
7.その他
(施行期日)
(1)(3)(6):公布日施行
(2)(4)(5):平成24年4月1日までの政令で定める日から施行
(1)「その有する能力及び適正に応じ」の削除
(課題)能力及び適正に応じたサービス量しか支給しないように読まれるおそれ。
→ 目的規定等にある「その有する能力及び適正に応じ」との文言を削除。
(2)成年後見制度利用支援事業の必須事業への格上げ
(課題)成年後見制度利用支援事業は、相談支援事業の事業内容の一つであり、実施していない市町村がある。
→ 法律上、市町村の地域生活支援事業の必須事業に
(3)児童デイサービスに係る利用年齢の特例
(課題)児童デイサービスの利用は、18歳未満。在学中に、利用できなくなる。
→ 児童デイサービスを20歳に達するまで利用できるように特例を設ける。
(4)事業者の業務管理体制の整備
(課題)障害福祉サービス事業の運営をより適正化することが必要。
→ 事業者における法令遵守のための事業管理体制の整備、事業廃止時のサービス確保対策等。
(5)精神障害者の地域生活を支える精神科救急医療の整備等
(課題)精神障害者の地域生活への移行及び地域生活の支援を推進することが必要。
→ 都道府県による精神科救急医療体制の確保について法律上位置付け等。【精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の改正】
→ 精神保健福祉士が、精神障害者の地域生活における相談支援を担っていることの明確化等。【精神保健福祉士法の改正】
(6)検討
(課題)難病の者等に対する支援及び障害者等に対する全般的な移動支援の充実が必要。
→ 政府は、障害保健福祉施策を見直すに当たって、難病の者等に対する支援及び障害者等に対する移動支援の在り方について必要な検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。