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総合福祉部会 第10回 H22.12.7 資料4

部会作業チーム(施策体系~訪問系)議事要旨(11月19日分)

1.日時:平成22年11月19日(金)14:00~17:00

2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者

尾上座長、岡部副座長、大濱委員、小田島委員、田中(正)委員、中西委員、橋本委員、下川参考人、酒井参考人、藤内参考人

4.議事要旨

(移動支援や行動援護の見直し)

担当委員より報告

  • 家族同居、ケアホーム・グループホーム、ひとり暮らしという住まいの分け方で、サービスを整理した。障害児のように家族がいる場合の支援については、ショートステイがあるが、まだ.なく、日中一時支援については自治体格差が大きく実施していないところも多い。家族基盤に対してどのように支援を行うかという視点も必要。
  • 知的障害者・精神障害者が地域で暮らすには、生活全体を通した見立てを行うことが必要。これは支給決定時に考慮すべきことであるが、実際には(特に大都市において)できていない。
  • 地域生活を行うためには、遠方の施設ではなく、身近に、宿泊付きでの体験を行うことができる場所が必要。
  • グループホームやケアホームは危機管理面が弱く、現在は世話人の努力に頼っているのが実情であることから、世話人をサポートする仕組みが必要。
  • 行動援護は「移動支援」として整理されているが、本来は、暮らしの全般に関わり、個々の障害者の特性を配慮した見立てを行った上でその方が社会で暮らしていけるように支援を行うものだと考えている。
  • 車を使う介護輸送は社会参加に不可欠であり、現在、ヘルパーが車を運転する時間は報酬算定外となっていることについては検討が必要。
  • 通学や通勤に対する移動支援は需要が高いが、学校等がどこまで行うべきか議論することが必要。全てを障害福祉でカバーするのか議論が必要。

委員より

  • ひとり暮らしが可能となるサービスを提供できる体制が整備されれば、どのような場合でも対応できるので、住まいの分け方で区分した議論にあまり意味がないのでは。
  • 自立した生活をするためには当事者へのエンパワーメントが重要。
  • 相談機能については、人口5万人当たりで1か所のセンターを設置し、20人程度の個別相談ができる相談員の配置することが必要。
  • 将来的な絵を描くことが必要であり、今ある財源に縛られて議論してはいけない。

担当委員より

  • 理想を描いた上で、平成25年8月のイメージを現実的にどのように描くかということも考える必要がある。
  • 個々の障害者特性を踏まえて見立てを行うことは必要。そのような見立てに対して報酬評価を行うことが必要。

(学校における医療的ケア)

参考人より報告

  • 特別支援学校においても、実質的違法性阻却の下で、教員によるたんの吸引等ができることになったが、看護師の配置が前提となっており、看護師がいない場面や時間帯ではたんの吸引等ができないこととなっていることにより支障が出ている。
  • 自治体調査等から、全国の通常学校に1700人くらいの医療的ケアが必要な子どもが在籍していると推定。自治体からは研修やバックアップ体制の上で教職員による医療的ケアが可能となるよう特区申請もされる等、現場対応を求めるニードがある。
  • 教員や介護職員による医療的ケアが、きちんと制度化され、報酬評価されることが重要。また、制度化を行う際には、個別的な関係性に着目した仕組みも制度化する必要がある。
  • 「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」が開催されているが、以前の研究会の「報告書に書かれていない行為は全て禁止であるというような反対解釈をされるべきではない」との了解事項が正しく引き継がれておらず調整が必要。
  • 学校での医療的ケアについては、これまでも教員が教育の一環として、子どもとの個別の関わりの中で実施していると考えており、学校の職員による対応が基本ではないか。個人的には、障害児にとって不利益がない対応ができればいい。

副座長コメント

  • 学校内に外部のヘルパーが入り込んで医療的ケアを行うということについては、色々な考え方があると思っている。ただ、.なくとも、本人が選び本人のことを良く知るパーソナルアシスタントが行う医療的ケアは本人自身や家族に準じたものとすることには問題はないのではないか。

(精神障害者へのホームヘルプサービス)

参考人より報告

  • 精神障害者に対するホームヘルプの利用者は.なく、利用促進が一番の課題。進まない理由としては、①周知不足のため障害者にサービスが知られていないこと、②精神障害者ホームヘルパー養成特別研修事業研修が無くなったこと、③収入が見込み難いため事業者が撤退する、参入しづらいことなどがある。
  • 精神障害者に関するホームヘルプサービスについては、①利用促進、②報酬の上乗せ、③現任研修の充実、④利用者と事業者のマッチングのシステム化が必要。
  • 精神障害者への支援は「家事援助」の枠内で実施しているが、内容的には、生活環境の整備に関わらず、生活スキルの得とく、困りごとの解消、社会参加の促進、権利擁護等、家事援助ではくくりきれない様々なことを行っている。報酬面でもっと評価を行うべき。
  • 精神障害者に関しては、ヘルパーが訪問して家事をしながら時間を共有するということ自体が、本人の社会参加に繋がっていく。
  • 様々な機関が連携することが重要であるが、それ以前に、事業所の中において、助言・相談体制の強化や、関係機関との連絡調整を行う者の設置など基本的な体制の整備が必要。

(移動支援事業について)

参考人より報告

  • 移動支援は、余暇や社会参加に関する支援をすることにより、家族から離れ地域で暮らすことを可能とするものであり、個別給付化により財政支援の強化を行うべき。
  • 個別給付化に当たっては先進的な自治体の取り組みを踏まえて、①必要とする人を対象に、②通学・通所支援、入院時の支援や自立生活体験での利用可能化、③時間制限を課さない、④支給方法は自治体にまかせる(月をまたいでの支給決定など)、⑤ヘルパー要件については当事者を講師とすることを組み込んだ簡易な研修を最低限の必須研修とする等。
  • ショートステイ利用中であっても、行動援護や移動支援を利用できるようにすべき。
  • 現在の身体介護・家事援助・行動援護・移動支援と分けられた支援類型では知的障害者の生活をトータルに支えることはできない。見守りや関係性構築の支援が含みこまれた一本化した支援類型が必要。当面重度訪問介護を知的障害者にも適用すべき
  • グループホームを施設ではなく、地域における居住の場として位置づけるのであれば、当然そこでもヘルパーが必要な時間、利用できることを基本とすべき

委員より

  • 財源問題があり、全員に同じように支給決定を行うと支援が薄まる面がある。利用者の状況によって、介助者の関わりの密度の濃さは違うと思うが、同じ評価で良いのか。

参考人より

  • 簡単な支援や長時間の支援については1時間2000円、大変な支援や短時間の支援については1時間3000円程度の単価というように、安定的な事業運営ができるような単価設定を行うべき。

副座長コメント

  • 訪問系サービスを義務的経費化した際に地域でサービスを促進するという意味合いがあったことを考えれば、障害者権利条約が求める地域自立生活の推進の観点から移動支援も個別給付化し国庫負担を義務とするべきではないのか。
  • 市町村の主体性を尊重するということと、国が負担義務を負うということは矛盾はしないのではないか。

座長コメント

  • 個別給付化により財政支援を強化するということと、サービス内容を一律で縛るということは別のことがらである。

(パーソナルアシスタント)

副座長より報告

  • 訪問系サービス全体の議論ということではなく、前回のヒアリングを受けてPAの整理を行った。利用者主導、個別の関係性、包括性と継続性の3つが大きな要素であり、互いに補完し合っていて不可分。
  • パーソナルアシスタンスは家族に準じた個別の関係性を持つ人であり、そのようなヘルパーが病院等に入って医療的ケアを行うことは問題ないのではないか。
  • 利用者主導、個別の関係性、包括性と継続性という3要素が担保されていれば、ダイレクトペイメントは、パーソナルアシスタントの必須要件ではない。
  • パーソナルアシスタンスにおけるサービスの供給主体については、当事者主体であること、自立支援だけでなく自律支援も行えることが要件となるのではないか。

委員より

  • 「供給主体が当事者主体であること」と「自律支援を行えること」は同一なのか。

委員より

  • ダイレクトペイメントについては、安価な賃金で雇用したヘルパーにより長時間介護を実現すればよいという方向に誘導する仕組みとなる恐れがあるため、パーソナルアシスタントの要件とすべきではない。

副座長コメント

  • パーソナルアシスタンスの担い手が当事者主体の提供機構であることは必要条件であって、十分条件ではない。
  • 施設から地域移行する際に、グループホームやケアホーム等の決められた住まい方を強制されるのではなく、自分の家やアパートで暮らすなどの本人の意向が適えられる必要がある。そのような際にも、パーソナルアシスタントによる支援は活用できるのではないか。