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総合福祉部会 第11 回
H23.1.23 資料12

合同作業チーム【障害児支援】議事概要(10月26日分)

○ 日 時:平成22年10月26日(火)14:10~16:55
○ 場 所:厚生労働省低層棟2階講堂
○ 出席者

大谷 恭子 (弁護士) 座長 宮田 広善 (全国児童発達支援協議会副会長) 副座長 柏女 霊峰 (淑徳大学教授) 君塚 葵 (全国肢体不自由児施設運営協議会会長) 水津 正紀 ((社)全国重症心身障害児(者)を守る会理事 ) 長瀬 修 (東京大学大学院特任准教授)

○ 議題
1.障害者基本法の改正に障害児支援として盛り込むべきこと
2.その他

○ 議事
(1) 合同作業チームの進め方について

  • 第1回~2回は、障害者基本法の改正に関する意見の取りまとめ、第3回以降、 総合福祉法で扱うべきサービスと基本理念、児童福祉法で扱うべきものについて、 障害児支援の見直しに関する検討会報告書を踏まえ検討することを確認した。
  • 次回(11/19)の会議の際に、議論の整合性を図る観点から、①子ども・子 育て新システム検討会、②社会的養護専門委員会、③文科省特別支援教育の在り 方に関する特別委員会における現在の検討状況について、それぞれの事務局のヒ アリングの提案があった。座長、副座長とで相談し、対応を決める。

(2) 障害者基本法の改正について

  • 障がい者制度改革推進会議において障害者基本法の改正の検討がされているが、 「障害児」に関する項目が事項建てされるようにチームとしての意見を提出する ため、「障害者基本法に盛り込むべき事項」について議論したい。
  • 推進会議で先行して議論しているため、推進会議の委員二人で、たたき台を出さ せていただいた。不足している文言を加えたい。
  • 推進会議における障害者基本法の改正に関する検討状況について、説明をしたい。 総則については、条文イメージ素案が示され、議論しているところ。各則につい ては、今後議論されることになる。
  • 障害者基本法の改正の条文イメージ素案は、医療モデルや予防という考え方が排 除されているが、障害の早期発見、早期支援の観点から重要。障害者基本法の中 で医療の専門性の部分がないと後退する懸念がある。
  • 医学モデルと社会モデルは対立概念で両立しないのではないか。医学モデルは、 障害に伴う暮らしにくさを個人の責任に帰し解決努力を個人や家族の責任とする 立場。医療専門性も、地域での育ちや地域生活の支援のために利用されるなら社 会モデルそのものだと思う。

(3) 障害者基本法に盛り込むべき事項について
① 権利の保障、早期発見・早期支援について
第1 項 障害のある子は、障害のない子と等しく家庭及び地域社会の構成員として尊重さ れ、医療、福祉、保育、及び、教育、遊び、余暇等同年令の障害のない子の有し ている(全ての)生命、生存、成長、発達の権利を有する。

第4 項 国および地方公共団体は、第1 項の権利を実現するために、障害を早期に発見し、障害のある子およびその家族に対し早期にからの継続した支援を提供できるよう 必要な施策を講じなければならない。

*下線は、加わった文言。二重線は、削除された文言。

  • 重症心身障害児の親の立場から、「生命の権利」が重要と考えている。この生命 の権利は、児童の権利条約にはうたわれているが、国内法にはないので、基本法 に明記すべき。
  • 第1項の「医療、保育及び教育」に、「福祉」を追加し、「医療、福祉、保育及 び教育」とすること、「障害のない子と等しく家庭及び地域社会の構成員として 尊重され」に「生命、生存、発達を尊重され」を追加したらどうか。
  • 障害児に限らず普遍的な課題であるが、一人の子どもとして尊重されるべきもの として、確かに「生命と生存、発達の保障」は重要。さらに「成長」も別のニュ アンスがあるので追加したい。一人の子どもとして尊重されることは普遍的なも の。障害をもつが故に、それが奪われることのないようにするべきだろう。
  • 第4項の障害のある子及びその家族に対して「早期に支援を提供」よりも「早期 から継続した支援を提供」の方が表現としてよい。
  • 宝子伝説に基づいて、「障害児は世の宝」という文言を入れられたら素晴らしい と思う。障害児ゆえに、脚光を浴びるようになるだろう。
  • 宝という言葉は、法律用語としてはなじまないだろう。
  • 「遊びの権利」を入れるべきではないか。
  • 教育、遊び、余暇として入れるのならば、違和感はないだろう。

【条文イメージの修正内容で合意したもの】

  • 医療、保育、教育に加えて、「福祉、遊び、余暇」を加える。
  • 早期に支援を提供できるに加えて、「継続した」を加える。

② 最善の利益について
第2 項 国及び地方公共団体は、障害のある子に係る全ての措置をするにあたって、障害のある子の有している全ての基本的人権および本法(障害者基本法)が定める 基本理念にのっとり、子どもの最善の利益を考慮しなければならない。

  • イギリスの児童法の中に、子どもの福祉に関する決定を行う場合の考慮すべき事 項が定められており、それをもとに保育所保育指針解説書が作られているので、 参考に紹介させていただく。
  • 障害児は地域社会で仲間として尊重されるという言葉を入れたらどうか。障害児 については、家庭生活が奪われることのないように。両親との生活を奪われた子 どもでも、家庭的な生活が保障されるとしたい。
  • 「生命を守る」ということが最善の利益であり重要。地域移行は大事だと思うが、 そうした意味で、基本法の中に施設はいらないと書くべきではなく、選択権が保 障されることが必要。
  • 地域生活が望ましいのだから、重症心身障害児もやれるだろうではなく、きちん と生活できるか確認することが必要であり、モデル事業による検証が重要。
  • 入所施設の取扱いについては、どうして地域で暮らせないのかという議論をせず に、ただ基本法に入れないという主張は、時代の流れから見ると受け入れられな いのではないか。
  • 基本法の解釈が、読んだ人それぞれで異なると困るので、何を意味しているかあ る程度エビデンスのある説明を施行令、施行規則等で考えていく必要がある。
  • 障害児は家庭生活が奪われないことを規定するべきだろう。施設を否定するもの ではないが、家庭的な雰囲気でというように在り方を規定するかもしれない。

【条文イメージの修正内容で合意したもの】

  • 基本理念として、地域社会で生活し、家庭生活が障害ゆえに奪われることのない ことを明文化し、加える。文案は、座長から提案する。

③ 意見表明権について
「第3 項 国及び地方公共団体は、障害のある子が自由に自己の意見を表明できるよう、 障害および年齢に適した支援を行うとともに、障害のある子の意見が他の子どもと等しく考慮されるために必要な施策を講じなければならない。」について)

  • 意見表明権を書き込みたいと思っているが、「障害及び年齢に適し支援」では意 味合いが足りず、もっと具体的に書き込みたいと考えている。
  • 意見という概念についても、「オピニオン」でなくとも、View(しぐさや表情等、 意見までまとまっていないもの)感情なども含むと考えるべき。
  • 子どもの成熟度にしたがって支援し、意見表明ができるようにするべき。子ども にあったやり方がいろいろある。アメリカの発達障害者援助と権利規定法2000 年 版などの理念は含み込むべき。意見表明権についての規定を設けることで、様々 な手法が開発されていくきっかけとなる。

④ その他の事項について

  • 障害児は18 歳未満とする。 18、19 歳の年齢の谷間についてどのようにするのか。
  • 年齢に関係なく、児・者一貫という視点が大切だろう。
  • 将来障害をもつ可能性のある子どもたちについても、含めていくべきではないか。

以上


合同作業チーム【障害児支援】議事概要(11月19日分)

○ 日 時:平成22年11月19日(金)14:10~17:05
○ 場 所:厚生労働省低層棟2階講堂
○ 出席者
大谷 恭子 (弁護士) 座長
宮田 広善 (全国児童発達支援協議会副会長) 副座長
柏女 霊峰 (淑徳大学教授)
君塚 葵 (全国肢体不自由児施設運営協議会会長)
水津 正紀 ((社)全国重症心身障害児(者)を守る会理事 )

○ 議事要旨
1.障害者基本法・障害児条項イメージ修正案について

  • 各委員のご意見を踏まえ、資料1のとおりにまとめた。欠席の委員と遅れてくる委 員からは賛同するということで意見をもらっている。今回、「法の理念、目的チー ム」から資料が配られているが、これを参考にさらに追加することはないか。
  • こどもの権利条約23条3項には「父母又は当該児童を養護している他の者の資 力を考慮して可能な限り無償で与えられるもの」とある。所得状況により、医療、 リハビリが受けられないということはあっていけない。このことを最善の利益に盛 り込めないか。
  • 経済的負担については、基本法の中で障害児を含めて全体として考えることにも なるが、我々の思いとして盛り込んでみる。子どもの権利文言は工夫させてほしい。
  • 地域社会の一員には、施設入所する児童も入っているという理解でよいか。
  • 児童の年齢を明記したほうがよい。子どもの権利条約では18歳未満という文言 が繰り返し出てきている。重症心身障害児施設に入所しているのはほとんどが大人 であり、名称と実態が一致しないなど、逆転するおそれがある。
  • 民法では未成年は20歳未満となっているなど、基本法に年齢による制限を設ける と後々響く可能性もある。年齢は今までどおり各法律ごとに定めたほうが無難。

【条文イメージの修正内容で合意したもの】

  • 最善の利益の中に、「障害を理由として特別な経済的負担がなく」という旨の文言 を入る。
  • 確認された事項について、第26 回推進会議(11 月22 日)に報告する。

2.作業チームの3回目以降の進め方について

  • 次回に議論するべき項目が多く進め方は悩ましい。次回(12月7日)はどのよう に進めたらよいか。例えば、障害のある子どもへの早期支援、相談支援と就学前の支援策と大きく分けて各委員から意見をもらうというやり方もある。
  • このメンバーには知的、盲ろう、自閉症の分野の者がいない。例えば、盲ろうへの 早期支援などについて団体からヒアリングを受けてはどうか。
  • ヒアリングは、支援者側か、それとも当事者か。

【確認された事項】

  • ヒアリングは当事者が良いだろう。方法については事務局とも検討する。
  • 次回は、可能ならヒアリングと各委員からの意見発表としたい。

3.自立支援法及び児童福祉法改正案(2010.11.17 衆議院厚生労働委員会に委員長提案さ れた法案)について

  • 法案の中身と検討会の報告書を比較して方向性は一致しているのか。何か問題が あれば提起したい。例えば、可能な限り地域でみるという考え方が表れていない感 じがする。感想でもいいので意見を聴かせてほしい。
  • 一般施策の中でみてもらいたいが、障害者部会では議論できないので、児童福祉 法の障害児支援に関する部分が整理された。
  • これらは個別給付なので、障害受容ができていない保護者には使いづらいという問 題もあり、既存の障害児等療育支援事業とセットで考えるべき。
  • 入所施設の一元化については、強度行動障害児を受け入れるには、設備やスタッフ の問題があり、現場は対応できない。経過的な措置が必要。
  • 通所施設は現状でも一元化が進んでいるので問題ない。
  • 重心施設は医療と福祉からの支援が必要。医師などの職員は児者、年齢の一元化で みてほしい。
  • 問題点について、次回までに宮田副座長と柏女委員でまとめてほしい。
  • 既に、資料等を送付しているので参照して欲しい。
  • 確認したいと思う。

4.ヒアリング
(1) 子ども・子育て新システム検討会について

  • 3月までに法案をまとめることで議論されているが、新システムに障害児が含まれ ていないという問題意識があり、担当者からのヒアリングが必要であると前回述べた。

内閣府担当者

  • 現在の検討状況等について説明。
  • 障害児が含まれず議論されているのであれば問題であるので、子ども・子育て新 システムの基本制度ワーキングチームに意見を述べたい。WTにヒアリングの機会 が設けられないか。

内閣府

  • 持ち帰って検討する。
  • 障害児の親に対する早期支援を行うことにより、自分の子の障害があることを受け 入れることができ、二人目も育ててみようということで少子化対策にもなる。私の 施設では保育所との並行通園も実施しているので、幼保一体給付に障害児の通所支 援も含めてもよいのではないか。
  • 児童デイサービスも財源を含め乗れるかどうか詰めておく必要があるだろう。

(2)社会的養護専門委員会について

  • 児童養護施設には障害児が20%も入っている。社会的養護(一般施策)で成長し ていくことが望ましいのか。それとも、障害児施設で適切に支援すべきか議論を整 理すべきであろう。

厚生労働省(雇児局)

  • 現在の状況等について説明。
  • 社会的養護の質・量ともに拡充するという方向性については理解した。
  • 保育所等訪問支援の施設版が必要ではないか。
  • 障害児施設においても、ファミリーホームや里親のような小規模な仕組みが必要 ではないか。
  • 里親には「特別児童扶養手当」が支給されているのではないか。その部分が障害児 里親の「加算」になるのではないか。

以上