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総合福祉部会 第11 回
H23.1.25 資料7 - 2

【訪問系作業チーム報告要約】
Ⅰ はじめに -主な検討範囲と検討経過-

当チームの検討範囲としては、施策体系チーム共通の【D-1-1】 【D-1-2】に加え、【D-2】生活実態に即した介助支援等実態に即した介 助支援等の全項目、並びに【D-3-1】が検討範囲であった。作業チーム 構成員に加えて、参考人からヒアリングを行いながら検討した。

Ⅱ 結論とその説明
1.重度訪問介護の発展的継承による「パーソナルアシスタンス制度」 の確立【D-1-1】【D-1-2】【D-2-1】【D-2-3】【D-2-4】【D-2-5】

1) 「パーソナルアシスタンス制度」確立の方向性
○「パーソナルアシスタンス制度」の確立に向けて、現行の重度訪問介 護を改革し、充実発展させる。
2)「対象者」の拡大
○対象者は「重度の肢体不自由者」に限定されるべきではない。
3) パーソナルアシスタンスの基本条件と利用制限の撤廃
○パーソナルアシスタンスとは、①利用者の主導(含む・支援を受けて の主導)、②個別の関係性、③包括性と継続性を前提とする生活支援で ある。
○重度訪問介護の利用に関する利用範囲の制限をなくし、支給量の範囲 内で通勤・通学・入院時・1 日の範囲を越える外出・運転介助にも利用 できるようにすべきである。

2.「他の者」との平等な社会参加の確保と移動支援の個別給付化 【D-2-2】
○視覚障害者・児のみならず他の障害者・児の移動支援も基本的に個別 給付として、国の財政責任を明確にすべきである。
○個別給付化を行うに当たっては、「他の者と平等」な参加ができるよ う、対象者・利用目的(通所や通学や入院・入所者等の外出を含む)・ 支給決定量や方法・ヘルパー研修等、先進的な自治体の取り組みをふま えて柔軟にできるようにすべきである。
○当面、地域生活支援事業の中の移動支援部分のみ別枠で、国1/2・都 道府県1/4 の補助金清算という仕組みにする等、国・都道府県の財政支 援を強化すべきである
○車を使っての移動介護は不可欠な場合があり、報酬の対象とする

3.現行の居宅介護(身体介護・家事援助)、並びに行動援護の改善 【D-1-1】【D-2-2】
○重度訪問介護の充実・発展によるパーソナルアシスタンス制度の確立 の一方、組み合わせ型の支援として居宅介護や行動援護も改善をしてい くべきである。
○居宅介護(身体介護・家事援助)においても、各障害特性やニーズを ふまえた柔軟な利用ができ、評価される仕組みにすべきである。
○行動援護は、サービス利用に当たっての段取り的役割を評価し、居宅 介護などと組み合わせて家族同居やGH・CHでの生活にも積極的に活 用可能とするべきである。

4.見守りや安心確保も含めた人的サポートの必要性【D-1-1】【D-2-3】
○現行の重度訪問介護を知的障害者や精神障害者等にも拡大する際に は、家事援助・身体介護・移動支援的対応だけでなく、金銭やサービス 利用の支援、さらには、見守りも含めた利用者の精神的安定のための配 慮や適切な対応等が提供される便宜の内容として位置づけられるべき である。
○重度訪問介護だけでなく、居宅介護等においても、利用者の症状の波 による「急なキャンセル」や玄関先での待機や安否確認等の障害特性を ふまえた柔軟な見守り対応が評価される仕組みが必要である。

5.地域における医療的ケアの確保【D-2-4】
○「パーソナルな関係性の中で、個別性を重視して、特定の者に対して 行う地域生活に必要な医療的ケア(吸引等の他に、カニューレ交換・導 尿・摘便・呼吸器操作などを含む)」が、本人や家族が行うのと同等な、 「生活支援行為」として、居宅や学校、移動中など、地域生活のあらゆ る場面で確保されるべきである。
○一方で入院が必要な場合には、慣れた介護者(ヘルパー)によってサ ポートが得られるようにして、必要な医療を得ながら、地域生活が継続 できるようにしていくことが必要である。
○なお、上記の論点に関する議論や資料を、現在進められている「介護 職員によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」 等にも提供し、調整を図る必要性がある。
※さらに、医療的ケアに関する検討を、第2期の医療と障害児チームで 検討してもらえるよう提案する(Ⅲ おわりに参照)

6.シームレスな支援と他分野との役割分担・財源調整【D-3-1】
○どんなに障害が重度であっても、地域の中で「他の者」と平等に学び、 働き、生活し、余暇を過ごすことができるような制度が必要である。
○例えば、重度訪問介護等において支給量の範囲で「通勤・勤務中、通 学・授業中、通院・入院中、1 日を超える外出、通年かつ長期にわたる 外出、自動車運転中」をサービス利用の対象に位置づけるべきである。
○シームレスな支援を確保するために、障害者雇用納付金や介護保険、 教育など関連分野の財源を調整する仕組みの検討が必要である。

7.パーソナルアシスタンスと資格等のあり方【D-2-1】他
○資格等については、第2期の報酬・人材確保チームで検討が行われる ことになるが、特に、パーソナルアシスタンスをめぐる資格等について、 以下の点をふまえた検討がなされるべきである。
○パーソナルアシスタンスの資格については、従事する者の入り口を幅 広く取り、OJTを基本にした研修プログラムとすることや、OJTを 基本にすることから同行研修期間中の報酬等も検討される必要がある。
○外形的な資格ではなくて、実際に障害者の介護に入った実経験時間等 の評価方法等の検討も必要である。
○居宅介護、行動援護等に関しても、よりOJT的な研修を重視する方 向で見直しがなされるべきである。

8.支援(サービス)体系のあり方や名称、その他【D-1-2】
○現行の介護給付、自立支援給付、地域生活支援事業とのサービス体系 は根本的にあらためて、障害者の生活構造の中で果たす機能や役割にそ って整理される必要がある。
○「介護給付」の中には居宅介護や重度訪問介護等のいわゆる訪問系サ ービス、生活介護等の日中活動支援、共同介護等の居住支援等が混在し ており、整理が必要である。また、その名称も介護保険の「介護保険給 付」との混同がされやすく、見直しが必要である。
○現行の訪問系サービスを「個別生活支援」として再編し、その下に① 個別包括支援=重度訪問介護を充実・発展させた類型、②居宅介護=身 体介護、家事援助、③移動介護(社会参加や余暇支援を含む)= 移動支 援、行動援護、同行援護、といった類型を位置づけて整理・発展させる。
○GH・CHを居住支援の一形態として位置づけ、GH・CH 利用者が 居宅介護等を併給できるようにすべきである。

Ⅲ おわりに-第二期チームでの検討課題について ※【】はチーム名
①24 時間の支援を含む長時間利用者の市町村負担の低減のための財政 調整、国・都道府県の財政責任強化と国庫負担基準廃止も含めた見直し 【地域生活資源整備】
②人材確保ができるような報酬単価とOJTを重視した資格や研修【報 酬単価・人材確保】
③本人や家族が行うのと同等な「生活支援行為」として医療的ケア確保 【医療チーム、障害児】
④「介護保険優先」原則の見直しに関連して【地域生活資源整備他】