音声ブラウザご使用の方向け: ナビメニューを飛ばして本文へ ナビメニューへ

総合福祉部会 第13回 H23.4.26 参考資料5

野原委員提出資料

2010年3月15日

障がい者制度改革推進会議
総合福祉部会
委員のみなさまへ

一般社団法人 全国心臓病の子どもを守る会
代表理事 斉藤幸枝
〒170-0013 東京都豊島区東池袋2-7-3柄澤ビル7階
電話 03-5958-8070 FAX 03-5958-0508

総合福祉法(仮)の医療についての私たちの意見

 このたび、総合福祉部会の議論も作業チームでの第2期の検討がはじまり、自立支援医療についての議論が行われているところでありますが、私たちの会としての医療制度の今後の議論への具体的な意見を述べさせていただきます。どうか、ご検討くださいますようお願いいたします。

意見と問題提起

意見

  1. 社会保険給付を拡充しつつも、障害(心臓病)であるため負担となる医療については公費負担医療制度でまかなうことを基本的な考えとしてください。
  2. 自己負担は、応益負担ではなく応能負担としてください。
  3. 生涯を通じて途切れることなく、安心して医療にかかれる公費負担医療費助成制度としてください。
  4. 障害の原因となる疾病の予防、重症化の防止、外科的治療によらない障害の改善のための内科的治療についても、総合福祉法の補助の対象に拡大をしてください。
  5. 医療を受けるために必要な負担への福祉的補助を新設してください。とりわけ負担の大きい遠隔地の医療機関での入院や通院にかかる交通費(付き 添いも含め)や付き添いの滞在費を総合福祉法での補助対象にしてください。

問題提起

  1. 選定療養費における保険外負担の差額室料については、現在医療上必要な場合には徴収できないことになっていますが、多くの場合、患者の意思に寄ることなく(形上は同意書を書いているが)多額の負担をしています。
    入院時の食事負担ともあわせて、今後、社会保険制度の見直しの中で、こうした見えない医療費負担を縮小していくべきと考えます。
  2. 年齢、疾病や障害の種類などによる谷間を生み出さないために、社会保険制度の給付拡大、難病・慢性疾患対策による医療費助成の拡充、自治体が行っている公費医療負担制度(重度障害者や乳幼児・子ども医療費助成)などの制度を、さらに拡充していくことが必要と考えます。

理由

○生涯にわたって続く医療との関わり

 生まれながらに何らかの心臓疾患をもつ子どもは100人に1人と言われています。医学の進歩によって、多くの子どもたちは姑息的な手術や状態を維持するための治療により問題をかかえながらも成人期となっている心臓病者がたいへん多くなっています。
 しかし、そうした心疾患患者は、手術時多額の費用負担があるばかりでなく、定期的な健康管理、合併症による状態悪化を防ぐためなど、医療との関わりが生涯にわたって続きます。また、子どもの時に手術を終えて状態が改善されても、大人になってから症状の悪化や不整脈の発症などがおこり、あらためて内科治療や再手術が必要になることも少なくありません。

○現在の公的医療費保障制度の問題点

 18歳までの外科的治療は自立支援医療の育成医療の対象となります。現在は、経過的措置として負担上限額が設けられており、中間所得層でも月額1万円の負担で自己負担分は済みます。また、内科的治療についても、小児慢性特定疾患治療研究事業による医療費助成や自治体の乳児・こども医療医助成制度によっても支えられています。しかし、差額ベッドや入院時の食事代などの保険外の部分については、公費負担医療の対象からは外れており、大きな負担となっています。加えて、重症の子どもほど、治療できる病院が限られており、遠方の病院での治療を余儀なくされているため、付き添いも含め、交通費や宿泊費負担がかかり、公的な補助はありません。

 また、20歳以上になると、自立支援医療の更生医療の対象になりますが、更生医療の場合は外科的治療では1割負担となり費用が多額になるために、高額療養費の限度額を超えての負担となります。内科的治療では、心筋症以外の疾患は特定疾患治療研究事業の対象になっていないため、小児慢性特定疾患治療研究事業を受けていた患者でも、その助成は打ち切られてしまいます。重症の場合には、身体障害者手帳の対象になり、自治体の重度障害者医療費助成を受けることができますが、内部障害者は必ずしも身体障害者手帳の交付が受けられるとは限らず、ましてや、子どものころにある程度まで状態が改善されていた場合には、身体障害者手帳を持っていないために更生医療も障害者医療の助成も受けられません。自治体の公費助成制度についても、自治体財政の状態によって左右されて、自己負担の導入・増額、所得制限の導入などが進んでいます。

 以上のことから、心臓病児者とその家族が安心して医療が受けられるよう、公費負担医療制度を拡充していただきたいというのが私たちの会としての願いです。

以上