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総合福祉部会 第13回 H23.4.26 資料3

部会作業チーム(地域生活の資源整備)議事要旨(2月)

1.日時:平成23年2月15日(火)14:25~17:00

2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者

森座長、竹端副座長、石橋委員、大濱委員、尾上委員、坂本委員、西滝委員、東川委員、渡井委員

4.議事要旨

(1.地域生活の基盤整備とは何か、また、その範囲をどのようにとらえるか?)

  • 「地域生活の基盤整備」を進める上での課題は、人材確保や、財源確保、地域の理解やネットワーク化。地方自治体において、必要な財源を伴いながら計画的に進めることが必要。
  • 「地域生活の基盤整備」の中に所得保障も含まれる。また、家族への支援の視点も必要。
  • 行政のみが支えると言うことではなく、社会的な運動にしなければいけない。企業等の合理的配慮がまずあり、その上に公的な支援が位置付けられるのではないか。
  • 制度の谷間にいる人がいるのは、地域資源と人材の確保が大きく立ち遅れているのが原因であり、その遅れている部分を家族が支えている今の状態を解消すべき。
  • 盲ろう者は、全国で2万人と少なく、市町村レベルでは十分な支援を受けることが出来ないため、人数が少ない障害等については、都道府県レベルでの支援が必要。
  • 権利条約第19条に則って考えるべきであり、基盤整備とは、どのように生活するのかを、自分の意志で、自分が決めることができるようにするということである。
  • 重度訪問介護は、長時間介護を行うためのサービスであるが、報酬単価が低かったこともあり、事業所・介護職員が少ない状況であり、事業所や人材の確保が課題。
  • 地域主権と言うことで、市町村に任せられても機能しない。国において基準は作るべき。

まとめ

  1. 家族支援、入所施設・精神科病院での支援という「二者択一」ではない、第三の選択肢として地域生活支援を考える。
  2. 障害者権利条約第19条の「他の者と平等な選択の自由を有しつつ地域社会で生活する平等な権利」を前提に考える。
  3. 当事者の意見に基づく支援、自立して暮らすための支援、生活の質を高める支援を保障する中で、他の者と平等を実現する。
  4. 1.~3.を実現するために、抽象的理念に留まらず、目標を定めて基盤整備を着実に進める。

(2.(1)F-3-1 どんなに重い障害があっても地域生活が可能になるために、市町村や圏域単位での「満たされないニーズ」の把握や社会資源の創出方法はどうすればよいか?)

  • 地域自立支援協議会を活性化し、地域ニーズの的確な把握に基づく、社会資源創出等が必要。
  • 自立支援協議会の委員達も自分たちも努力しないといけないのに外から見ているだけという姿勢がある。自立支援協議会の役割が浸透していない。もっと国も役割を伝えていくべき。
  • 人的資源と財源は有限であり、これを獲得するための具体案の検討が必要である。
  • 自立支援協議会を中心に地域でネットワークを作っていくことが重要。
  • 盲ろう者は、視覚障害か聴覚障害の枠組に当てはめられ、独自のニーズが把握できていない。ある区で盲ろう者の実態調査をやったところ、それを契機に初めて、当事者団体があることを知った方もいた。このような取組を通じて広めていくことも必要である。
  • 少数の障害は、どこに相談していいか分からない。また、相談内容は医療も含め多岐にわたるため、行政の窓口で横断的に対応できるか疑問。経験があるところに相談しないと解決しない場合がある。当事者の団体につながるようネットワークを作っていくことが大事。
  • 重度訪問介護について、支給決定を受けても事業所やヘルパーが見つからない場合と市町村は支給決定をしたいが、事業所やヘルパーが見つからないので支給決定できない場合がある。
  • パーソナル・アシスタンスを使う人は多くないので、ニーズ把握の方法が重要。
  • ニーズ把握は、当事者団体や家族団体から出てくることも多い。団体に対する支援のシステムをしっかりと構築していくことが重要である。
  • 最近の福祉事務所は、人は減る一方、事務は増え、3年程度で異動するという状況で、ケースワーカーが個別に訪問するということがなくなり、ニーズ把握ができなくなっている。
  • 最近は若い人を中心にインターネットが普及している。団体の在り方もこれに合わせて考えないといけないのではないか。
  • 自立支援協議会には、権利条約で求められている、施策の推進状況に関して調査を行い、勧告や提言につなげるモニタリング的な機関との連動も求められているのではないか。
  • 障害者団体は高齢化が進んでおり、適切なニーズが拾えるような状況ではないのではないか。
  • 自治体では、民生委員がいて、次に学校、保育所、企業等、そして、特に手当の必要な方には自立支援協議会と連携しながらやっているので、どこかで引っかかるようになっている。

まとめ

  1. 相談支援については、相談支援・支給決定の作業チームで議論をしている。また、都道府県レベルの専門的な支援は第1期の地域生活支援事業と自治体の役割の作業チームで一定の議論を行っている。その議論を踏まえ、地域のネットワークづくりは重層的に構築すべき。
  2. 第二期の当チームは、ニーズを見つけて、サービスにつなげる方法、財源の仕組み、地域のネットワークの構築が論点であると考える。
  3. 地域自立支援協議会の活性化も重要。当事者団体からの情報提供を受けながら、サービスが届いていない人を把握して、必要なサービスがどのようなものなのか、を把握する必要がある。さらに地域自立支援協議会に、市町村への提言といった機能をもたせること等や、また、権利条約でいわれているモニタリング的な機能の必要性等について検討することも重要である。

(2.(2)F-3-2 24時間介護サービス等も含めた長時間介護が必要な人に必要量が供給されるために、市町村や圏域単位での支援体制はどのように構築されるべきか?)

  • 長時間介護の提供に当たっては、人材と財源の確保が課題である。
  • 障害者の地域生活を継続するにあたっては、関係機関の連携による支援体制が必要。
  • 地域生活のために、短期入所は重要であるが、長期の入所と短期入所の間に報酬の差があるのが課題。
  • 24時間介護とは何かを議論するべきである。寝ている間をどう考えるのか。
  • 介護のやり方によって、夜はゆっくりと寝ていただける日中の介護方法もあるようで、この問題はなかなか難しいと感じた。
  • 行政は硬直的な対応をするのではなく、お金がなければお金を作り、制度がなければ制度を作り、人がいなければ人を作ることが大事。弾力的に行っていくべきである。
  • 長時間介護が必要な方には医療的ケアを必要とする方が多いのは事実。
  • 長時間介護を一部ボランティアで担うという議論があるが、責任がないので難しい。また、巡回介護の話もあるが、誰でもいればいいというのではなく、介護する者をよく知っているパーソナルな介助者でないと難しい。
  • 支援が必要な人には財源を確保して支援するのが行政の責任。
  • 24時間支援を用意しているある市では、需要は2・3年で落ち着いたという実態もある。今は全ての市がこれを実施しているわけではないので、実施すると、他市から長時間介護が必要な方が流入する可能性はあるが、きちんと仕組みを作れば影響は大きくない。
  • 権利条約の19条の実現が一番重要である。その実現のためには24時間介護体制をどうするかということが問題である。財源も含めてシステムを議論すべき。
  • 権利や責任ばかり言うのではなく、制度をまず作ってみるということが重要ではないか。
  • 重度障害者は訪問看護を受けられない。ALS患者等が利用したいと言っても断られる。

まとめ

  1. どんなに重い障害がある人でも、障害者権利条約第19条の「他の者と平等な選択の自由を有しつつ地域社会で生活する平等な権利」を実現することが求められる。
  2. 長時間介護も、その人の障害特性やニーズ、医療的ケアの必要度等に応じて、日中の介護のみが必要な人から、24時間のパーソナル・アシスタンスが必要な人まで、必要とされる介護内容は様々である。ただ、どんなに重い障害がある人でも、またどこに住んでいても、1.が満たされる為に必要な介護量は提供されるべきである。
  3. 1.と2.を満たし、各人のニーズに応じた支援が適切に届けられるために、財源を確保して支援することが必要。その具体的な財源確保のあり方は、次回(3月)の作業部会での検討課題とする。また、必要量査定の方法は、支給決定の作業チームに検討をゆだねる。

(3.第二期で具体的に検討する論点
(1)コミュニケーション・移動支援については、労働行政や教育行政との関係性を十分に検討する必要があるが、制度上の重複、市町村格差や制度の利用のしづらさに関しては、福祉の範囲で具体的にどこまで対応するべきかも含めてどのように考えるか?)

  • コミュニケーション支援や移動支援は不可欠であるが、財政上の観点から、福祉で対応する範囲は、社会全体で議論し、他の福祉サービスと均衡を失しない範囲とすべき。
  • 特別支援学校の高等部まで通学保障があるが、大学で通学保障が切れてしまうのは問題。
  • 通勤支援については、企業に行くまでは福祉で、企業に入った後は企業でやるべき。同様の問題が医療機関等にもある。
  • コミュニケーション・移動支援は、まずは、企業や学校等で「合理的配慮」として提供し、足りないところを福祉で賄うべき。
  • 財源的に公的分野が全て賄うのは無理であり、合理的配慮、人材確保、財源確保の方法を真剣に検討すべき。
  • 障害によって、どのような専門家がコミュニケーション支援を行うことがいいのか、整理が必要であり、関係者で意見交換をする場が必要。
  • 高次脳機能障害の代表例である失語症や記憶障害についても、コミュニケーション支援のツールを開発することが必要である。
  • 盲ろう者が就労した場合、障害者雇用促進協会の助成で職場介助者の給与の一部を補助してもらえるが、通勤についてはどこからも支援を受けられない。
  • 学校の中では先生や補助者に対応してもらえることがあるが、通学中の支援は受けられない。
  • 通訳・介助員の県外派遣を認めている場合とそうでない地域がある。全体の派遣時間数を底上げし、派遣事業のルールを統一しなければ地域間格差の問題は解決しない。
  • コミュニケーション支援は、地域生活支援事業ではなく、個別給付にすべきである。
  • 通勤、通学が支援されないのはおかしい。シームレスな介護が必要である。財源については、何らかの形で福祉に回るような仕組みを考えないといけない。
  • 盲ろう者の職場および学校(通勤や通学を含む)での通訳・介助員の派遣については、現行の盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の制度では対応できないという限界がある。そのため、職場および学校の中だけでなく、通勤や通学を含めた日常生活のあらゆる場面での通訳・介助員の派遣ができるシステムが必要である。パーソナル・アシスタンス制度での運用も含めて検討したい。

まとめ

  1. 移動支援・コミュニケーション支援は、第一期の「地域生活支援事業の見直しと自治体の役割」作業チームで検討された結果である、「地域生活支援事業ではなく自立支援給付・義務的経費化すべきである」、とする報告書内容を尊重する。
  2. 移動支援については、通勤・通学などにおけるシームレスな支援が求められる。
  3. コミュニケーション支援については、失語症や記憶障害などの重い言語障害のある人に対しても、必要な支援が検討されるべきである。
  4. コミュニケーション・移動支援は、企業や学校等で「合理的配慮」として提供できる部分と、総合福祉法の中で担う部分について、1.~3.を前提とした上で検討すべきである。
  5. 盲ろう者は移動支援とコミュニケーション支援を一体的に求めている。これを各々別制度でつなぐことには限界があり、また本人が望むコミュニケーション方法に習熟した支援者による個別的な対応が求められる。よって、現在の通訳・介助員の派遣事業は、パーソナル・アシスタンス制度での運用が出来ないか、を検討するべきである。

以上