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総合福祉部会 第13回 H23.4.26 資料6

第4回合同作業チーム(就労(労働及び雇用))議事要旨(2月)

1.日時:平成23年2月15日(火)14:25~17:00

2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者

松井座長、駒村副座長、伊東委員、勝又委員、倉田委員(栗原代理)、近藤委員、斎藤委員、新谷委員、竹下委員

4.議事要旨

(1)論点1(現行の就労系日中活動のあり方)について~全国社会就労センター協議会の事業体系の提案についての学習会(チューター:近藤委員)も兼ねて
(チューターより、資料により福祉的就労の現状と全国社会就労センター協議会の提案を説明。)

○労災の適用に関して、自立支援法の施設で事故があった場合、施設賠償保険の対象となるか。

(チューター)仕事面は対象とならず、見舞金制度だけで、非常に額が少ない。保険会社に労災のような内容の保険を検討してもらったが、保険料がかなり高くなる。

○アクシデントは保険の対象となるが、職業病などは保険の対象とはならない。

○雇用訓練・定着支援事業(1.)は、一般雇用に向けた支援に限定するのか。社会支援雇用の雇用型(2.)と支援雇用型(3.)、作業支援事業(4.)と活動支援事業(5.)の対象者は分けられるのか。また、工賃が12,000円の実態の背景をどう考えるか。

(チューター)一般就労だけでなく福祉的就労も支援する。障害者との信頼関係をつくり支援することが大事。2.と3.は区別がつきにくいが、保護雇用で賃金補填がなされれば将来的には統合の方向。障害が重度でも働く思いがあれば4.となる。12,000円を変えるには、相当な工夫や覚悟が障害者本人、家族も含めて必要。支払い工賃が高いところほど、機械の整備が進んでいる。

○5つの区別はなるほどと思うが、視点が経営者側にある。利用者から見ると、1.ははっきりしているが2.から5.は本人で判断が難しい。事業主の判定で振り分けられてしまうのではないか。

(チューター)利用者の願いは反映すべき。B型、授産施設の利用者の約75%が働くために来ており、また多くの利用者は現状の工賃でも長く働きたいと思っている。そのため、4.を設けている。

(座長)近藤委員の提案は総合福祉法におけるものだが、労働法制の部分も含め意見をお願いする。

○新しい提案は3.の支援雇用の部分で4.5.は従前と同じ。3.の工賃の水準はどう考えているか。

(チューター)最低賃金の1/3と考えてきた。根拠は、ヨーロッパの保護雇用では労働能力が1/3としている制度が多いことと、最賃の1/3があれば、障害基礎年金2級とで地域生活が可能なこと。この一年の議論で、国民年金の平均が5万円であり、40年間保険料を払って66.6万円というような現状から、最賃の2/3を賃金補填することに国民の合意が得られるかという疑問が出てきており、1/2、4/5という意見もある。

○長い期間積み立てる年金と賃金補填を単純に比較できない。箕面市の試算では賃金補填するほうが全体の税金投入額は減少した。社会全体で目指すべき方向の議論の中でのコストを検討すべき。

○所得保障の水準をどう考えるか。障害者権利条約では「選択した職業で生計を立てられる権利」としているが、生活保護は年額200万円程度。それとも最賃を目標とするのか。

(チューター)所得保障は、生活保護の基準をクリアすることが必要。

○最賃と生活保護は地域によっては逆転するところもある。生活保護の水準に向け最賃を上げる方向性であり、最賃を目標とすることでよいのではないか。2.~5.の利用者はどのくらいの割合で分布するイメージか。また、能力によって棲み分けをイメージしているのか。

(チューター)2.は就労継続支援A型、福祉工場の利用者。1.の原型である就労移行支援は、今はやりたい事業所ができるので成果が出ていない所が1/3程度あり対策が必要。3.は賃金補填と合理的配慮がキーになり、これからの議論次第。4.は「働きたい」という意欲のある障害者が対象となる。

(座長)分類としてはこれでよいか。どういう形でやるのが望ましいのか。

○労働と福祉をメリハリをつけて強化すべき。社会的に納得を得るにはなぜ12,000円かを示すべき。賃金補填では障害者の能力開発が中途半端になりかえって社会で普通に生活することが困難となることもあり得る。労働と福祉の2つに分けて、中途半端になっている人の稼得能力を上げるべきだ。

○5つの分類の左に一般就労があることを視野に入れた議論をするべきだ。箕面市の事例で参考になったのは社会的コストが減るというだけでなく、生産により富を産むという社会経済学的メリットがあること。賃金補填を入れるなら、それがどういう社会的富を生むのか明らかにするべき。

○賃金補填だけではなく能力開発・環境改善が必要で、それがなければ社会的合意は得られない。障害者の能力開発、経営者の意識、同じ職場で働く人の不満などの課題は、保護雇用がなじむのかも含め、モデル事業で実証的に検証すべき。一般就労を目指す取り組みも重要だ。

○賃金補填で社会的コストが減るという主張はおかしい。コストアップに見合う成果を得ることができるのかが問題。新規に導入するなら、年金との連動など所得保障全体で考えるべきだ。一般企業では最賃以下で働く人がいるのに、福祉では賃金補填というのは問題。

○一般就労と福祉的就労の2つだけではなく、賃金補填によってもう一つつくるということが大事。できることから始め漸進的に進めていくべきで、「福祉から労働へ」という意義もある。

○障害者だけを集めて働く時代は終わった。障害者雇用促進法を変えて、企業で障害者がもっと働けるようにするべき。就労センターのノウハウを企業で活かすのが重要。

(チューター)②③は限りなく雇用に近い形だ。障害者だけで生産性を上げるのは難しく、福祉工場でも実態は障害者以外の職員が半分くらいいる。障害者も働ける場(受け皿)をきっちり作ってほしい。

○1.は障害者就業・生活支援センターと就労移行支援の一体化であれば、労働施策に入れた方がすっきりする。賃金補填を行う②③も労働に入れればすっきりするが、障害者雇用促進法の抜本改正ができるのか。財源的なことを考えれば、総合福祉法に盛り込むこともありうる。

(座長)これまでは総合福祉法に労働施策を位置づけることにはなっていないが、すべてを労働施策に入れるのは非現実的。新たな法律を含め検討すべきということも考えられるが、どうか。

○ヨーロッパで保護雇用にいるのは知的、精神が多数で、身体の軽度の人は一般就労に入る。日本では、身体の人も福祉的就労にいるが、支援がないという要因があるのではないか。

(座長)
・厚生労働省の発表によると生産人口である18歳から64歳の障害者365万人のうち、雇用が50万人、福祉的就労は20万人で、あとの300万人についての就労実態ははっきりしていない。厚生労働省は手帳を持っている者の調査(2006年)をしているが、労働年齢の精神障害者で手帳を持っている人は2割にも満たないので、全体像がわからない。障害者雇用促進法だけではなく、多様に働く場を考える必要がある。

○障害をもつと職場を変えられ、単純作業となりやめる人が多い。その後、福祉的就労にもいけず、生活保護となっているような人たちのことを議論する場が必要だ。

(チューター)労働行政では一般就労から離職せざるを得なくなった人のフォローは行っていないので、現状は福祉的就労で支援をするべきだ。①は一般就労支援も、②~⑤に振る機能も両方行うべき。例えば名古屋では障害者就業・生活支援センターは1つだが、移行支援事業所が22か所もあり、もっと効果的にやるべき。

○労働か福祉かはどちらかを広げていくことで対応していけばよいが、保護雇用は労働法適用と考えると障害者雇用促進法ではないか。一般就労への送り出しは必要、そうしないと既得権化する。

○障害者就業・生活支援センターに就労移行支援の機能を併設し労働施策とした方が成果が上がる。

(座長)相談支援はどうあるべきか。現在は相談する窓口によって利用者の今後の方向性が変わってしまっている現状がある。年金も含めてワンストップサービスをつくるという意見もある。

○ワンストップサービスは栃木市で、障害者だけでなく高齢者や子どもも対象として取組んでいる。

○障害者就業・生活支援センター等を大胆に改変し、調整センターを創設し、ワンストップサービスを行う。ハローワークとの連携があるため労働政策とし、能力を判定する仕組みも設けるのはどうか。他の作業チーム、選択と決定、相談支援との調整が必要になる。

(座長)本人の希望と判定機関である第三者の関わりについてはどう思うか。

○学校などでは本人の希望を確認して進路を決定しているが、問題は一般就労後にそこからドロップしてしまった人だ。企業に障害者雇用相談室のようなものを設け、より高い雇用率を設定すれば企業も片手間ではできない。企業では手帳のない軽度の障害者が多いはず。

○労働と福祉にまたがったセンターや相談機関が必要だ。障害者就業・生活支援センターに相談支援機能を持たせていくというのが現実的ではないか。

(チューター)障害者の働く支援量をはかる客観的なツールについて研究したセルプ協を含む就労支援系団体等による報告書があり、完全な物差しとすることは難しいが、参考にはなる。本人を交えて関係者、専門家とともに方向性を決めることが必要。

○工賃12,000円が経営者の能力を表している可能性もある。働く際の支援策や経営者の能力を踏まえて実証研究が必要で、生産性の低さと最賃とのギャップをどう埋めるかが課題だ。

○ワンストップサービスは必要。生活支援センターと職業センターを変えてはどうか。

○労働施策も併せて検証し、限られた人材と財源で効果的にやる方法を検討すべき。 (座長)報酬単価、運営費についてはどう考えるか。

○自立支援法で事業者が報酬の高い事業を選択するようになった。事業ごとに報酬が異なる今の仕組みはおかしい。

(2)論点2(社会支援参加に係る労働行政との役割分担や財源)について

(座長)通勤支援や職場介助などの職場における支援についてどう考えるか。職場支援は、企業責任とするか、過度の負担を避けるために福祉サイドからの支援を行うか。

○雇用納付金勘定を使うことになるのでは。これはどれくらいの規模か。

○雇用納付金勘定はほとんど使われていないため続いているだけだ。事務負担があれば企業は制度を活用しないので、これを福祉事業所が受けるなどすればよいのではないか。

○第2号ジョブコーチをもっと拡大すべき。

○移動支援が必要な人は、通勤だけでなくどこでも移動する際には支援が必要。最終的にはパーソナルアシスタントと考えている。

○事業主に対して通勤支援等の合理的配慮を課すべき。ただ、合理的配慮が過度の負担とならないよう、労働サイド、福祉サイドの支援を整理しないといけない。

○合理的配慮の欠如が差別であることを位置付け、合理的配慮の提供のための納付金制度を作れないか。

(座長)様々な意見があるが、ワンストップ窓口を作って総合的に支援する方向性は出た。

(3)論点3(現行の福祉的就労の利用者負担等)について

(座長)利用者負担について、就労系のサービスは無料にするべきという意見で統一されていたが、生活介護や地域活動支援事業などの利用者負担についてどう考えるか。

○生活介護なども利用料負担をなくすべきではないか。全国社会就労センター協議会の提案で、そこは有料となっているのはなぜか。

○介護保険は有料だが、応能負担でもだめなのか。高齢者の利用料負担もおかしいのか。

○支援費時代は95%の人は無料だった。応能負担であればよいのではないか。

(4)論点4(就労支援に関わる人材確保・養成のあり方)について

(座長)就労支援に関する職員の専門性について、どのように考えるか。例えば、共同受注窓口などがある。障害者に対する支援の専門家だけでなく、マーケティング能力なども含めて議論したい。

○就労支援に関するプロは職業センターも含めて一人もいない。生産性を上げるためには、技能、技術、営業などの能力が必要で、退職者などの活用も考えられる。

○韓国では、そのような人達に賃金補填を行っている。 (座長)次回は増田委員のレクチャーで社会支援雇用を勉強する。障害者雇用促進法について議論する。このチームのまとめの骨子(座長案)をお示し、議論したい。

○2月14日の推進会議で示された障害者基本法改正案に、これまでこの合同作業チームで議論した内容がまったく盛り込まれていなかったことは問題。

(座長)基本法改正案について、各委員は私に意見を提出してほしい。

<お問合せ先>内閣府障がい者制度改革推進会議担当室 TEL 03-3581-1049 / FAX 03-3581-1074