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総合福祉部会 第13回 H23.4.26 資料7

合同作業チーム(医療(その他の医療一般))議事要旨(2月)

1.日時:平成23年2月15日(火)14:15~17:00

2.場所:厚生労働省低層棟2階講堂

3.出席者

堂本座長、佐藤副座長、末光副座長、川﨑委員、佐野委員、関口委員、野原委員、橋本委員、広田委員

4.議事要旨

(1)検討項目に関する議論

【医療に係る経済的負担の軽減について】

(全体)

  • 障害のない人に負担が生じないものについては、利用者負担を原則ゼロにするべき。少なくとも、低所得者をゼロにする応能負担化が必要。自立支援医療も、本人単位とするか、配偶者も含めるかといった課題があるが、他の障害福祉サービスと同じに考えないといけない。利用者負担チームの出した結論を尊重する、というのでよいのでは。
  • 育成医療を市町村経由で手続できるようにするべき。
  • 短期間で医療制度全般の見直しはできないが、問題提起はすべきではないか。自立支援医療、高額療養費制度、難病医療費、自治体の重度障害者への助成など、障害者に関わる医療費公費負担制度については様々あり、目的もそれぞれ異なる。目的を明確に整理して、対象者を定める。障害のある人とない人との平等、障害のある人の中での平等を図るべき。
  • 総合福祉法のイメージは、「自立支援医療については利用者負担を見直し、改善された暁には廃止する」という附則をつけるべき。
  • 厚労省や都道府県やシンクタンクの力を借りることになるかもしれないが、一つ一つの制度を調べていく。議論するだけでは意味がないので、データがあるとすればどこに不平等があるかを行政に対して指摘する作業も並行して行う。
  • 医療費と福祉サービスの利用者負担の考え方に差異があるのかないのか。
  • 自立支援医療は世帯単位、福祉サービスは本人と配偶者であり、単位が違う。今後は本人中心にみて、配偶者の扱いをどうするか。
  • そもそも両者の財布が違う。
  • 総合福祉法に自立支援医療を規定するのはいい。例えば、月額1万円の難病手当を出している自治体がある。知名度が高い難病に対しては給付されるが、知名度が低いものは対象外。これは福祉的手当だが、ポイントは暮らしを支えるという視点。その一環として医療がある。
  • 自立支援医療と福祉サービスの関係を整理する必要がある。
  • 財源の出所は自立支援医療も障害福祉サービスも税だが、両者の違いはあるのか。
  • 65歳以上になると障害者自立支援法から介護保険法に移ることが問題。
  • 2月中に、論点の整理に必要な資料を厚労省から提供していただきたい。例えば育成医療の規定、件数、利用者負担、精神通院医療や更生医療や高額療養費制度の、自治体の医療費助成制度などについて。
  • 自立支援法には反対しているのに、自立支援医療にすがっているのは不思議。
  • 財政との兼ね合いは考えなくていいのか。
  • 当事者として必要な医療・サービスを要望する。
  • 利用者負担については、作業チームに任せる部分と医療チームで主張する部分を分けて考えるべき。
  • 誰にも自分がどのような病気になるかは分からないという問題意識をどのように総合福祉法の議論の中で指摘するかが課題。

(精神障害関係)

  • 精神疾患は医療と切り離せない。軽減と言うより無料にしてほしい。
  • 精神科病院への入院医療が自立支援医療の対象外。自発的な入院は自立支援医療の対象に入れるべき。非自発的入院については、本人の意思に反する入院なので公費負担すべき。財政負担の問題は、入院医療を地域医療に移行していけば解決する。
  • 医師を3倍にするとしてもただでさえ精神科医が不足しているのにすぐには無理。5~10年計画で医師を養成することを考えるべき。
  • 自立支援という目的だけ見れば入院も入れるべきだが、制度発足時に入院中心から通院中心への移行があることを考えると納得できる面もある。しかし、つぎはぎで制度設計をしているため、弊害が出てきているという印象。
  • 精神科医療の公費負担については、患者のためではなくライシャワー事件以後精神障害者の隔離政策が行われたという経緯がある。

(難病関係)

  • 慢性疾患については原則無料化すべき。難病の対象拡大を望んでいるが、拡大するほど一般医療との不公平が生じる。現在の難病対象要綱の対象を継承・発展する形で具体化すべき。
  • 難病は専門医が非常に少ない。遠方にしか専門医がいない場合もあり、手術等のためには交通費もかかるので総額数百万円かかる。高額療養費制度では、81,000円を超えると、医療費の1%が上限に加算される。かつ、現状の応益負担を応能負担に変えるべき。欧米の仕組みも参考にすべき。
  • 「欧米諸国における障害認定制度」(独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構 障害者職業総合センター編)に詳しいが、疾病も含めて一括して障害認定する仕組みが有用。医療と福祉の間を埋める援護医学が学問的に確立し、機能障害と病気を一体とみなす「健康障害」が大きな役割を果たしており、参考になるのではないか。
  • 難病は、研究対象で900、公費負担対象が50、全体で5000から7000あるという人もいる。他の障害と違うのは、公費負担による治療費助成に法律の裏付けがなく、要綱で対応している点。また、そもそもデータに基づくエビデンスがない。他の分野には生活全般を含めた専門家がいるが、難病にはほとんどいない。
  • 福祉サービスも、介護士、ハローワーク等ばらばらに提供されているが、その人全体をどうするか、という観点で関わっている人は少ない。かろうじて難病相談支援センターが自立支援をまとめてやっている。
  • ALS(筋萎縮性側索硬化症)への訪問看護では、医療保険が適用され、介護保険は使えない。一方、他の難病の知人は、訪問看護を利用した場合、介護保険が適用されて利用上限額に達してしまい、ヘルパーが利用できないので医療保険の利用を希望している。
  • 医療保険・介護保険両方において利用可能な訪問看護の場合、税金支出が少ない医療保険が適用されるはずだが、実際は介護保険が適用されるのはどうしてか。
  • 40歳以上の15疾病については介護保険が適用される。しかし他に同じサービスがある場合はそちらが適用される。130疾患までは医療保険。56疾患が特定疾患医療研究事業でカバーされる。この56疾患は医療保険が使えるが、介護保険は使えない。難病医療費は全額公費なので、難病の中でも医療保険・介護保険どちらが適用されるか異なる。
  • 介護保険で使える分を残してほしい。
  • がんも検討すべき。がん対策基本法でも、3割のがん患者に公的支援がほとんどない状況。年間約980万円もの高額な医療費がかかる。がんは死に至る病ではなくなり、慢性疾患となった。C型肝炎・B型肝炎は半年ごとに再発し、これが5年続く。社会的ケアがつながっていない。これらは医療に依存しなければ生命維持ができない。

【医療的ケアの在り方について】

(聴覚障害関係)

  • まずは障害と医療・難病等をどう関連づけていくか。例えば、聴覚障害は医療による治療の対象とされない一方で、リハビリは医療であって福祉ではないと医師に言われる。「医療の対象」と「障害」に分けて、どちらの対象でもないと言われてきた部分を福祉施策で救えるようにしてほしい。
  • 聴覚障害は早期発見が大事。子どもの頃から医療が関われば、救えることもある。

(重度心身障害児者関係)

  • 重症心身障害児の場合、「治す」ことは不可能。生活の質を上げるための医療が必要。
  • 重心は昭和42年に児童福祉法が改正され支援対象として明記された。当時は重心が20歳を超えることはまれだと思われていたため、児童としての支援が講じられた。現在も重心の支援は児童福祉施策において講じられているが、その結果、18歳未満は児童福祉法、18歳以上は障害者自立支援法という形で支援の分断が起きている。そのような分断が起きないようにしてほしい。
  • 医療と福祉は一体的に提供されるべき。短期入所などでも一体的に提供してほしい。また、NICUから出た後も、入所施設につなげられるようにしてほしい。

(医療的ケアの研修について)

  • 特定の利用者に対して医療的ケアを行う場合には、意思表示のできる利用者との信頼関係に基づき実施される。一方で、一人の介助者が複数人の利用者に対してケアを行う場合には、一定の研修が必要。
  • 医療的ケアについては、たんの吸引及び経管栄養について、法制度上ヘルパー等の介護職員にも実施可能となるよう、老健局と合同で試行事業を実施中。「特定の者」に対するケアと、「不特定多数の者」に対するケアの試行事業を平行して行っている。
  • 特定の者に対する試行事業では、重度訪問介護従業者養成研修にプラスする形で講義・演習を実施し、実地研修として利用者宅で医療的ケアを行っている。
  • 訪問看護師がヘルパーに医療的ケアの指導をしているが、通常の支援においては、ヘルパー同士で技術の伝達をしている。訪問看護師だけで指導するのは限界がある。
  • ヘルパーがやむを得ず医療的ケアを実施しているのは、医療職が不足しているから。訪問看護などの医療資源も増やしてほしい。
  • 試行事業においては、たんの吸引及び経管栄養は医行為とされているが、ゆくゆくは医行為ではなく日常生活支援としてヘルパーが提供できるようにしてほしい。
  • 医療サイドが「危険」という理由で医療的ケアを日常生活支援に含めることを反対している。福祉との連携の経験がないために、福祉サイドへ不信もある。
  • 現場では、ヘルパーが医療的ケアをやってくれないと困るとの声が上がっている。医療的ケアを違法行為としないでほしい。

(精神障害関係)

  • 精神障害者や難病患者の支援においても、医療的ケアの必要性があるか。例えば服薬管理などは、ヘルパーが行うことも可能か。
  • 引きこもりなどの精神障害者を支援につなげるためには保健所の存在が大きい。まず相談から始まる。医療と福祉の間に保健所の機能を含ませるべき。
  • 訪問看護ステーションにPSWが訪問すれば、医療の点数になる。医師が訪問した場合には、本人と会えなくても点数になる。まずは精神障害者とコンタクトをとって支援につなげることが大事で、それも医行為となる。
  • 精神障害者に対する医療的ケアは、1.病気だという自覚がない人にコンタクトをとる、2.インタビューの2つが考えられる。
  • たんの吸引のように、実施できないと困るような支援内容でも、ヘルパーが行うと、法律上違法になる行為が、精神障害者についてもあるのか。
  • 例えば、地域生活センターに通う精神障害者に体調不良があった場合、PSWが訪問看護師にその者の状況を聴き取りして、その結果を主治医に知らせている。

(難病関係)

  • 「医行為」と「医療的ケア」は、それぞれ医療と福祉として分けて考えられているが、一体として考えることが今後必要でないか。
  • ある難病は、初期症状は精神障害であるため難病だと発見されづらいが、発見が遅れることで症状が進み、病名が判明した時点では医療機関での受け入れも困難になっている。
  • 難病者が福祉施策を活用して社会生活を送るためには、医師と相談しなければできないが、病名が判明するまでは医師との連携もとれない。

(2)今後に向けて考えられる論点

  • 1.自己負担の問題、2.認定の問題、3.医師・看護師・PSW・ヘルパーらとの連携や役割分担について、4.地域医療の在り方について、5.その他 受診差別
  • 医療と福祉の谷間の問題に加えて、「医行為」と「医療的ケア」の谷間の問題もある。
  • 医療的ケアを提供する際には、特定の利用者に対する場合、不特定多数の利用者に対する場合に加え、自ら指示が出せないが医療的ケアを必要とする者についても整理が必要。