障がい者制度改革推進会議総合福祉部会 第3回 H22.6.1
「障がい者総合福祉法(仮称)の実施(制定)以前に早急に対応を要する課題の整理」完成までの手続き(案)
障がい者制度改革推進会議総合福祉部会
部会長 佐藤 久夫
委員から文書・口頭で出された意見をできるだけ詳しく取り上げ、項目別に整理した「整理素案」を事前に送り、それに対する意見を集約した上で第3 回部会で対立意見部分を中心に議論することとしたい、と第2 回部会で伝えました。
「整理素案に対する意見」(資料2,3)にまとめられているように、多くの追 加・修正意見があり、またこの文書の様式・体裁のあり方についての意見があ りました。
これらをふまえ、部会長・副部会長として次のように進めたいと考えます。
1 様式・体裁(網羅的すぎる、メリハリをなど)
- 網羅的すぎて不適切。基本合意書にある応益負担の廃止を重視すること、および 新法準備のためB-1 からB-3(実態調査やニーズ評価・支給決定のあり方の検討) を重視すべき。いちばん障害の重い人たち、数の少ない人たち大事にする視点で。 (朝比奈委員、資料2、59 ページ)
- 来年度概算要求に盛り込めるものに絞って整理すべき。(実現性のあるものでなけ ればならない)。(齋藤委員、資料2、60 ページ)
- (イ)来年4月から全国でしなければならないこと、(ロ)来年のうちにどこか で「実験や調査」(モデル事業)をしなければならないこと、(ハ)委員みんなが おなじ方向の意見(大きく反対する人のいない意見)の項目に分けて整理する。ま た、①「どんなに重い障害があっても地域でくらす権利をもっていること」、②「地 域で暮らすために必要なサービスの数をかなりたくさんふやすこと」、③「施設や 病院に入っている人の数をへらすこと」の3つがこの部会の共通合意と思われるの で、それに合う項目を選び出すこと。(竹端委員、資料2、61 ページ)
- 部会長・副部会長が、(ア)来年度から改善・実行しなければならない緊急なも のは何か、(イ)課題を明確化・焦点化するために必要な作業(調査や試行的など) をすべきものは何か、(ウ)ワーキンググループを作り、重点的に議論すべきもの は何か、という項目にわけて提案できないか。(三田委員、資料2、64 ページ)
- 推進会議の第一次意見との整合性を持たせつつ、声の一番小さいところにウエイ トをかけることが必要。(清水委員、資料2、p65)
- 優先順位のつけ方、法改正の有無を含めた実施方法などについて部会長・副部会 長の基本方針を示してほしい。(岡部委員、資料2、1 ページ)
- 基本合意書を守り、「自己負担」、「障害の範囲」、「地域での自立生活」、「サ ービスの利用保障」の4 つを真っ先に。(岡部委員、資料2、67 ページ)
これらをふまえて、重点的な整理を試みましたが、各委員のご意見に優劣を つけるようで、結果的に整理しきれなかったところです。そこで、前書きの「政 府は、部会55人の委員の切実な訴えを受け止め、この実現に全力で当たって いただきたい。」という部分に代えて、次のような文章を加えることとしたいと 考えます。
「ここに示された数多くの当面の課題の中から、政府は、「基本合意文書」 とこれに係る「要望書」に取り上げられている事項を特に重視し、その 実現に全力であたっていただきたい。」
また、次のカッコ内の内容については、国会の情勢を見つつ、加筆すること としたいと考えます。
(今回の障害者自立支援法の一部改正法が成立した場合であっても、制 度の谷間の問題など、なお残された重大な課題がある。今回の一部改正 法をもって良しとすることなく、新法の実施までの間において更なる改 善に努められたい。)
さらに、「自立支援法一部改正」などの動きにかかわり、我々抜きに我々のこ とをきめるな、との原則を再度強調する一文を加えたいと思います。
2 「整理素案」の加筆修正(項目の追加、削除、修正などの意見) 5 月26 日までに寄せられた意見(資料2、資料3)を部会長・副部会長で検討 しました。基本的には、寄せられた様々な意見は、最大限取り入れることとし たいと思います。ただし、事実誤認と思われる項目や一般的に見て誤解を招く 表現については、一部の表現訂正や別の項目への移行などを行わせていただき たいと考えています。また、そのままの反映が難しいため、両論併記によるこ とが適当と思われるものもあります。
具体的には、次の「3」に、意見の反映状況について一覧にしています。 なお、「新規追加」が多くなり、膨大すぎると批判されている「整理素案」が さらに大きくなります。最終的にはできるだけコンパクト化(意図を損ねない 範囲で数項目を1つにまとめるなど)したいと思います。
3 意見の反映状況など
以下のリストは、(1)「整理素案」のどの項目についてのものか、(2)「整理素 案に対する意見」(資料2)のページ数、(3)提出した委員の名前、(4)その理由・ 対応、の順になっています。どんな意見なのかは該当ページを見てください。
1 前書き (P1)【岡部委員】2つめ → 総合的議論を第3 回部会で行う。
2 前書き (P2)【岡部委員】
→ 本部会の意見を必ず予算化する特別な仕組み の確立は実現しようがないから、表現を現実的なものに。
3 A-1 利用者負担の軽減 (P2)【山本委員】
→ 見出しを「A-1 利用者負担の 軽減または原則無料化」とする。
4 1)応益負担の廃止 (P3) 【石橋委員】 → 両論併記。
5 1)応益負担の廃止 (P3) 【石橋委員】
→ 自立支援医療、地域生活支援 事業を含めた合算と明記する。
6 1)応益負担の廃止 (P4) 【西滝委員】
→ 応益負担として運用されてい るものを応能化することを明記する。
7 2)実費負担の軽減 (追加意見P1) 【大濱委員】
→ 非障害者や、在宅の 障害者とのバランスから、家賃補助(支出)ではなくて所得保障(収入)によって対応 するべきとの意見を付記する。
8 A-2 法の対象となる障害者の範囲の見直し 1)法律改正 (P7)【石橋委員】
→ 障害者自立支援法の暫定的一部改正ですむ。
9 A-3 1)障害程度区分による制限の廃止(追加意見P1)【小澤委員】
→ 「市町村審査会への当事者及び代弁者(代わりに意見を言う人)の参加」については、
4)プロセス全体に関すること の項目へ追記する。
10 A-4 1)介護給付 1-1 重度訪問介護・居宅介護 (P12) 【石橋委員】
→ 同居家族のための家事支援(この点については要検討との意見もある)と付記する。
11 1)介護給付 1-1 重度訪問介護・居宅介護 (P12) 【石橋委員】2つめ
→ (資格要件緩和とともに)資格要件保持・待遇改善を併記する。
12 1)介護給付 1-1 重度訪問介護・居宅介護 (P13)【山本委員】
→ <要確認> 市町村の運用レベルの改善を求める表現に?
13 1)介護給付 1-3 重度障害者への医療的ケア(P14)【石橋委員】2つめ
→ 実際研修を行っている当事者団体もあるので、当事者団体は残し、事業所も追加する。
14 2)日中活動の体系の再検討 (P15)【石橋委員】2つめ
→ 通所事業所の運 営の基本的保障はA-9。
15 3)地域生活支援事業の見直し(P18) 【奈良崎委員】
→ 成年後見制度利用
支援事業を充実・強化に加えて「市町村の必須化」を加える。
16 3)地域生活支援事業の見直し(P20) 【山本委員】
→ 両論併記。 成年後見制度は権利条約に抵触するので、変わる自己決定支援制度を設けるなど。
17 5)入所施設 (P23) 【中西委員】2つ → 両論併記。
18 5)入所施設 (P23) 【中原委員】
→ <要確認> 障害者支援施設の運営 主体は就労継続支援を運営できない?
19 6)グループホーム、ケアホーム (P25)【山本委員】
→ 期限付き、日中の 通所を条件とするなどを改める。
20 7)短期入所(P27) 【中西委員】
→ 親の高齢化でますます必要、というこ とを強調する必要もあるので残す。
21 A-5 地域移行対策 2)地域資源の拡充(P31)【山本委員】
→ 期限付き、日 中の通所を条件とするなどを改める。
22 A-7 サービス基盤整備 1)相談支援体制の強化(P35)【山本委員】 → 権利擁護の観点から支給決定と相談支援を切り離すべしとの意見を追加する。
23 A-7 サービス基盤整備 1)相談支援体制の強化(P36)【山本委員】
→ 成 年後見制度への異論の記述。
24 A-7 サービス基盤整備 1)相談支援体制の強化(追加意見P9)【大濱委員】
→ すでに同趣旨の記述がある。
25 A-7 サービス基盤整備 2)自立支援協議会について(追加意見P10)【大濱委員】
→ 自立支援協議会がサービス抑制のツールとなっている場合があるので、委員 構成や運営の改善を図るとの意見を追加する。
26 A-8 国・自治体の財政負担 (P38) 【野原委員】 → 障害者福祉分野事項 ではない。関連領域にすでにある。
27 A-11 その他 (P42)【石橋委員】
→ 「見守り」はすでに介護給付のとこ ろにある。
28 A-11 その他 (P42)【石橋委員】2つめ
→ <原案を要確認> 市町村 の運用レベルの改善を求める表現に?
29 A-11 その他 (追加意見P12)【大濱委員】 → 両論併記。
30 <関連領域> (P47)【奈良崎委員】
→ すでに地域生活支援事業の項で採用。
31 <関連領域> (P50)【山本委員】
→ 十分な議論をした上でできるだけ早期 に、と表現を改める。
32 <関連領域> (P50)【山本委員】
→ すでに地域生活支援事業の項で採用。
33 C その他 1「総合福祉部会」と他機関との関係の明確化(P57)【福井委員】
→ 緊急対応の内容ではなく組織論なのでこの位置が適当。