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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 資料2-1

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野A 法の理念・目的・範囲)【その1】

目次

(分野A 法の理念・目的・範囲)

<項目A-1 法の名称>

論点A-1-1) 法の名称についてどう考えるか?

<項目A-2 誰の何のため>

論点A-2-1) そもそも、この総合福祉法は、誰の何のためにつくるのか?

論点A-2-2) 憲法、障害者基本法等と「総合福祉法」との関係をどう考えるか?

<項目A-3 理念規定>

論点A-3-1) 障害者権利条約の「保護の客体から権利の主体への転換」「医学モデルから社会モデルへの転換」をふまえた理念規定についてどう考えるか?

論点A-3-2) 推進会議では「地域で生活する権利」の明記が不可欠との確認がされ、推進会議・第一次意見書では「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認するとともに、その実現のための支援制度の構築を目指す」と記された。これを受けた規定をどうするか?

論点A-3-3) 障害者の自立の概念をどう捉えるか?その際、「家族への依存」の問題をどう考えるか?

(分野A 法の理念・目的・範囲)

<項目A-1 法の名称>

論点A-1-1) 法の名称についてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 法律の名称については、目的、理念を含め規定内容が定まった上で、相応しい名称について議論することが適当。
 その際、これまでの施策を受ける客体としての障害者から権利の主体としての障害者に転換する法構成とするのであれば、他法との横並びの「福祉法」という名称ではなく、能動的な意味での法律名称とすることも考えられる。

○ 理由

 「福祉法」という名称から受け取るイメージは、これまでと同様、障害者施策の捉え方が障害者を客体とみることとなり、「障害者自立支援法」が持つイメージから後退と受け取られるおそれがあることから、推進会議・第一次意見書に沿った理念を法律名とすることが考えられる。

【伊澤委員】

○ 結論

 「障がい者総合福祉」でよろしいと思う。

○ 理由

 多年にわたって障害者団体が求めていたもの。ただし障がい者の概念が、「すべての社会的ハンデ(生きづらさ/暮らしにくさ)を負う人」という、幅の広い細やかな対象者規定が必要である。

【石橋委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法(障害のある国民の総合福祉法)
※ 障害者の名称に関し意見が様々にあるため、名称を定める必然性を感じる。
 当然名称が定まればそれに準じる。

○ 理由

 児童、高齢者福祉との整合性をどうするのかを論議する必要があるが、全ての障害者を含む法律であることを分かり易く提示するため。
 「総合福祉法」では範囲が広がりすぎ、分かりづらい。

【氏田委員】

○ 結論

 障害という名称の使用をやめ、「総合福祉法」とするべきである。

○ 理由

 「障害」ではなく、支援ニーズに対応する「福祉サービス」を強調することができ、また、その福祉サービスのすべてを網羅するという意味を表現することが出来る。
 ノーマライゼーションの視点から考えると、障害者も健常者も当たり前に存在し、ともに生きる共生社会の実現をイメージ出来る名称が望ましい。誰もが当たり前の生活をするために必要な支援、援助に関わる法律ということで「総合福祉法」とするべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 「障害者総合福祉法」でよいと考えるが、「障害者総合支援法」も考えられる。

○ 理由

 「障害者総合福祉法」の名称は、仮称ではあるが、すでに浸透しつつあるように思われる。なお、3障害でそれぞれの「福祉法」があることと、福祉サービスの制度や仕組みの法律という視点で、「障害者総合支援法」も考えられる。

【大濱委員】

○ 結論

 障害者総合福祉サービス法

○ 理由

 福祉サービスの具体的な規定法として位置付けを明確にするため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 障がい者総合福祉サービス法

○ 理由

  • 福祉サービスに限定した法にしておく。医療、労働、社会参加を含めた広範囲の法は「改正・障害者基本法」とその下にある各領域別の法にする。
  • 対象領域が広いと、現在以上に、はんざつで、ふくざつな法になるので。

【小野委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法

○ 理由

 自立支援法に替わる新しい障害福祉に関する法律であり、総合福祉法は、障害別福祉法を廃止し、それらとの統合・総合法として制定すべきであるため。

【門屋委員】

○ 結論

 障がい者総合生活支援法

○ 理由

 生活という広い概念を使うことを提案します。
 福祉という場合には、どうしても厚労省関係だけに限定される傾向があり、生活として他省庁担当の障がい施策との関連をつけられる上位概念としての法の位置づけを望みます。そのような法の位置づけが可能かどうかは、素人のためわかりません。
 たぶん、障害者基本法において可能と考えております。
 「福祉」という言葉にはどうしても一般国民と区別される傾向があるために『生活』という言葉にこだわっています。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 「障害者総合福祉法」でよいと考える。

○ 理由

 制度の谷間の障がい者をつくらないとともに、障がい者の生活全般にわたっての福祉について、包括的に規定する法律であるべきと考える。

【北浦委員】

○ 結論

 障害者総合福祉支援法とする。

○ 理由

 身体障害者福祉法、知的障害者福祉法等の障害別の法律が存在するのであり、その給付部分を一括規定する法律という趣旨であり、弱者を切り捨てることのない支援法とする。

【北野委員】

○ 結論

 できれば「障害者地域生活支援法」

○ 理由

 名は体を表すから

【倉田委員】

○ 結論

 障害者総合福祉・労働法

○ 理由

 障害者自立支援法廃止後に障害者総合福祉法を作っても、一方で障害者雇用促進法があり、福祉・労働の縦割り行政は解消されない。
 障害者雇用促進法の守備範囲も含めた、障害者総合福祉・労働法として、一本化することこそ、積年の課題(福祉と労働の谷間の解消)の解決につながると考えるから。

【齋藤委員】

○ 結論

 現仮称「障害者総合福祉法」でよいと考えるが、この「総合」とはどのような意味であるのかを明らかにする必要がある。

○ 理由

 そのことによって、この総合福祉法の構成も明らかとなってくるからである。

【清水委員】

○ 結論

「一人ひとりが大切にされ、自分らしく暮らしていける社会をみんなでつくっていくための法律」
略称「みんなで福祉法」(例えばこんな名称はだめなんでしょうか?)

○ 理由

 法律の名称としては長すぎるし不適切かもしれませんが、障害者を援護されたり処遇されたりする存在として客体的に置くのではなく、社会を変革していく主体者として、そして、そのことに呼応して、国民みんなで一人ひとりを包摂する新たな社会をつくっていくという覚悟の意味合いを込めて。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 「障害者総合福祉法」でよい。

○ 理由

 今回の新法制定にあたっては、障害者が基本的人権の「主体」であり、各種の支援が障害者が基本的人権を行使する上で必要不可欠な手段であることが明確にされるべきである。従って、本来であれば、「人権」ないし、「権利保障」などの用語を新法の名称に用いることが望ましい。しかし、現時点では、「福祉」という概念も多義的な意味で用いられており、「福祉」という用語を用いた場合であっても、障害者の権利保障という意味が薄弱となるとまではいえないと考えられる。また、一般社会の理解を得る観点からも「総合福祉法」という名称が妥当であると考える。

【田中(正)委員】

○ 結論

 「障害者総合福祉法」もしくは「障害者権利擁護・総合支援法」。

○ 理由

 「障害者総合福祉法」の名称は、徐々に浸透しつつあるため。
 自立のために必要な権利擁護と支援を組み合わせた「障害者権利擁護・総合支援法」も一案として提案する。

【中西委員】

○ 結論

 「地域自立生活支援制度」とすべきである。

○ 理由

 自立支援法が自立を阻害していたのは、地域での自立生活であったことから、「障害者総合福祉法」という、抽象的な名称では地域での自立生活を否定されてきた重度障害者は不安を募らせることになるので、正面から最重度の障害者の地域での自立生活を支援する法律であることを明確にすることに意味がある。

【奈良崎委員】

○ 結論

 障がい者のための制度

○ 理由

  • 同じ知的障がい者の仲間も制度という言葉を知っているから
  • 障がい者総合福祉法の総合の意味がわからないから

【西滝委員】

○ 結論

「障害者権利保障法」

○ 理由

 障害者の権利を保障する法律が必要である。

【東川委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法

○ 理由

 わが国の障害者福祉制度の歴史を考え、これまでの推進会議での論議の道すじから考えると、「障害者総合福祉法」が、今のところ、最も適切と考える。ここで「総合」をはっきりと入れることは、障害の種別、年齢の別などで差が生じないようにするためである。
 また、「福祉」ということばが障害者を「護るべき人」と捉えるといった考えがちとするならば、「権利を持つ人」ということを明らかにする法律の名前を検討すべきである。

【福井委員】

○ 結論

 これまで仮称としてきたが、「障害者総合福祉法」とする

○ 理由

 福祉サービスの給付のみに限定した法律ではなく、就労、所得、医療保障など、福祉サービスとの関連領域も含んだ総合的な規定を盛り込んだものにすべきと考えるため。全障害者の障害特性と個々のニーズに応じた支援が実施できるような、サービス体系を構築したいと考える。

【藤岡委員】

○ 結論

 「障害児者支援権利保障法」

○ 理由

 基本合意第一項において、
 「そこにおいては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。」と確認されていること。
 恩恵的歴史を辿ってきた日本においては「福祉」も用いないほうがいい。
 「人権保障としての障害者支援」を確認することがなにより大切。
戦後福祉制度は「措置」と「職権主義」により、当事者に主体性、権利性は認められて来なかった。
 森訴訟平成4年11月30日東京高裁判決は「老人ホームに入ることは、実施者の義務であって、老人ホームで養護されることは老人に与えられた権利ではなく、地方公共団体に義務があることから派生する反射的利益に過ぎない。」とし、最高裁平成5年7月19日判決がそれを支持している。
 「週3回・1回2時間」に異議を申立て「週7回、1回3時間」を原告が求めた「大阪市ホームヘルプ訴訟」平成13年6月21日大阪高裁判決(判例地方自治228号72頁)が維持した平成10年9月29日大阪地裁判決(判例タイムズ1021号150頁)は「法は市町村に対し、措置の実施に努めるべきと定めているが、個々人が申請権を有することを認めていない。」旨、介護保障等の公的支援に関する市民の権利を根底から否定している。
 これは法体系が、施策を実施する公権力の権限規定になっており、当事者は施策実施における対象物に過ぎない法体系だからである。
 支援費、自立支援法も、その法体系を色濃く残しており、「憲法に基づく基本的人権保障としての障害者支援法」を確立しなければ、すべては「行政施策上の裁量権」に収斂され、当事者が支援の中身に立ち入ることはできない。
 障害者の権利保障の法規の確立こそが重要という認識を関係者が共有するため、基本合意で確認されたことを活かすためにもこの法名を提唱する。

【増田委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法

○ 理由

 障害種別などによって分けられるものではなく,谷間のない法であることを示す必要が ある.

【三浦委員】

○ 結論

  1. 障害者社会生活支援法
    Persons with disabilities Social life support Act
  2. 障害者総合保障法

○ 理由

  1. すべて障害のある人が社会の構成員として生きる環境整備に向けて、必要な生活支援と社会参加支援を明確に位置付ける(保障する)法として示すため。
  2. 「福祉」という限定された範囲ではなく、福祉イコール生活の視点から、生活保障(支援)の意味で総合保障法を提案する。

【光増委員】

○ 結論

 「障がい者福祉法」としてはどうか

○ 理由

 法律名はよりわかりやすく、簡素化すべきである。

【森委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法

○ 理由

 障害の多様性に応じた生活の充実を図るためには総合的な支援が必要であること、並びに既存の法律や制度を超えた包括的な支援を行うための法律という意味をこめると、総合福祉法という名称が適する。

【山本委員】

○ 結論

 藤岡氏の提案「障害児者支援権利保障法」に賛成

○ 理由

 藤岡氏の提案どおり

<項目A-2 誰の何のため>

論点A-2-1) そもそも、この総合福祉法は、誰の何のためにつくるのか?

【朝比奈委員】

○ 結論

 (誰の)すべての国民のため
 (何のために)病気や事故などにより何らかの障害を有するに至り、その結果、日常生活や社会参加に不都合が生じた場合に、それを補う手だてを講じるため

【荒井委員】

○ 結論

 障害者の「自立」に関する基本的な方向性を明確にした上で、福祉のみならず教育、労働・雇用、住宅、年金・共済など各分野の施策を総合的に展開することにより、障害者の自立を実現していくことを目的として制定されるべきものと考える。

【伊澤委員】

○ 結論

 最終的には、国民一人一人のモノだが、とりわけ「社会的ハンデ(生きづらさ/暮らしにくさ)を有している人全て」の地域移行、在宅生活支援のための包括的法律

○ 理由

 「誰もが障害者になり得る」、という自明性とともに、障がい者問題は人口の5%(650万人)というマイノリティーの問題で他人事となっているが、当事者の父母・兄弟・祖父母も含めると40パーセントとなり決して縁遠い問題ではない。 → 社会連帯を進める論拠

【石橋委員】

○ 結論

 広義:国民
 狭義:障害者
 障害者手帳所有の有無とは関係なく、社会生活を営むために支援を必要とする全ての障 害者。

○ 理由

 憲法の精神に準じ、谷間を作らず誰もが幸福で健康で文化的に生きてゆく権利を保障す るものであるべき。
 「障害」の定義と連動する。

【氏田委員】

○ 結論

 障害のある人のための法律であり、支援者をはじめとする社会全体の法律。
 障害がある人が生涯にわたって自分らしく生きていくために必要な支援を受けられるようにするためであり、障害に対する合理的配慮を社会全体に求めることによってその権利を保障するため。

○ 理由

 まず一義的には障害のある本人のため。家族、支援者そして障害を持つ人を取り巻く社会全体が当事者意識を持ち、合理的配慮があたりまえとなる状況を実現すべきと考える。
 障害があるために様々な困難を抱えており、そこに援助、支援が必要。
 ノーマライゼーションの理念に則り、誰もが人間としたあたり前の生活を送るために必要な支援を合理的配慮のもとで必要なだけ受ける権利があり、その権利を保障するためのものである。地域の医療事情や、本人や家族そして広く社会全体の障害理解の不十分さから診断が遅れたり、支援が受けられない場合もある。また、本人のライフステージ、家族状況や地域の環境などによっても、それぞれのニーズは変化する。これらを踏まえて、個々の多様なニーズに柔軟に応え、ライフコースを見通した長期的な視点での支援を保障できることが重要である。

【大久保委員】

○ 結論

 権利条約第17 条「自立(自律)した生活および地域社会へのインクルージョン」に基づき、障害者の地域でのあたりまえの暮らしを実現するため。

○ 理由

 障害者が、地域における住まい、日中活動、社会参加など普通の暮らしを実現するために必要とする福祉サービス(リハビリテーション・ハビリテーションを含む)を提供するための法律と考える。

【大濱委員】

○ 結論

 サービスを必要とする全ての障害者(現状で障害者手帳がとれていない難病等の谷間の障害者も含む)のための法。

○ 理由

 全ての障害者を排除すべきでない。排除は差別である。

【小澤委員】

○ 結論

  • (もともと、機能的な障害があり)、そこから派生して、生活の支障のある人に対して、福祉サービスのえんかつな利用のために、つくる。

○ 理由

  • (もともと、機能的な障害があり)という条件を入れないと、あまりにも対象がこうはんいになるので。

【小田島委員】

○ 結論

 しょうがいしゃみんなのためのものです。

○ 理由

 新しい法律をしょうがいしゃが誰でも使えるようにするため。

【小野委員】

○ 結論

 障害のある人が国民の一人として生活することを保障するための法律として制定すべき。

○ 理由

 これまでの法令にある「障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し」という文言は、平等原則のようにとれるが目的があいまいであった。その意味では、「障害のない人との平等」原則を基礎とすべきである。

【柏女委員】

○ 結論

 障害を有する全ての者(障害児を含む。)を対象とする。

○ 理由

 障害児に固有のサービス、規定については児童福祉法に委ねるとしても、成人、児童に共通する事項については、本法においても障害児について規定することが必要である。

【門屋委員】

○ 結論

 『障がい』のある国民のためにつくります。「障がい」のある国民の生存権行使のために必然とする支援する者も含まれます。支援するもののためではなく、「障がいのある国民」が主体である意味において対象とする。

○ 理由

 『障がい』の定義は時代によって変化し、社会のありようによって社会的差別を受ける人々が対象となることも考えられることから、定義の議論は大切です。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 障がい者(障害者基本法で定めた)とその人の支援者(家族、支援関係者)のため。

○ 理由

 障がい者が地域生活をするには、支援者の力が必要である。支援者が十分に障がい者を支えるためには、支援者にも必要なサービスを提供する必要がある。

【北浦委員】

○ 結論

 すべての国民のためのものでもあり、国民の支えにより障害のある人が安心して生活することができるようにするものである。

○ 理由

 障害者福祉サービスの給付内容を明確にすることにより、障害者の安心を保障するものである。

【北野委員】

○ 結論

 その日常生活で、分かりづらい・やりにくい・使いにくい等の状況のあるすべての市民が、自ら選びとった他の市民と同様の役割や社会参加・参画する権利を行使するために、必要な支援や合理的配慮を権利づけるため

○ 理由

 それが、日本国憲法と国連障害者権利条約の理念であり、障害当事者や多くの市民がそれを希求するため

【君塚委員】

○ 結論

 国民全体のものとし、セフテイネットとの一翼であることの確認をしたい。

○ 理由

 一部のものとしてではないことの確認を改めて、社会に対して行うために位置づけ・理念からもそのための確認が必要である。

【齋藤委員】

○ 結論

 障害者が共に生きる社会の一員として生きる権利を保障することで誰もが共に生きる社会をめざす。

【清水委員】

○ 結論

 一人ひとりの存在の価値の確立のため

○ 理由

 どんなに障害があっても、一人ひとりがその存在の値打ちを発揮し、お互いがその値打ちを認め合い、一人ひとりが「居てくれないと困るあなた」「居ないといけない私」を実感し合える中で、自分の人生の物語を堂々と生きていくことの実現のため

【竹端委員】

○ 結論

 だれのため?:地域でくらす上で何らかの手助けを求めているすべての障害者
 なんのため?:地域の中であたり前(他の者とのびょうどう)のくらしをする上で、必要な手助けをきちんとおこなうため

○ 理由

 地域の中であたり前(他の者とのびょうどう)のくらしをしたいのに、それができない障害者はたくさんいます。障害のしゅるいや重い・軽いでわけずに、本人が必要としているしえんがなされ、自分らしいくらしが地域の中でできるために、あたらしい法をつくるべきです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者が、自らの選択に基づいて、社会の融和と理解の中で、個人として尊重されながら生きていくために作られるべきである。すなわち、第1次的には、障害者のためであり、第2次的には、障害者を理解し、共に生きる社会の形成のために作られる必要がある。
 そして、法的には、障害者が基本的人権の「主体」として、その有する人権を行使することができる実質的手段を確保するために作られるべきである。

○ 理由

 障害者が社会の中で自らの幸福を実現するためには、第1次的には障害者個人の選択が尊重されなければならないが、第2次的には、障害者が属する社会の障害者に対する「理解」と、障害者に対する「融和」の姿勢が不可欠な要素となると考えられる。新法も、この両側面に立脚して制定されるべきである。そして、法的には、障害者が基本的人権の主体であって、その有する人権の行使を可能とするために各種の支援が必要不可欠なものであることが明確とされるために作られる必要がある。

【田中(正)委員】

○ 結論

 障害のある方の地域での主体的な暮らしの実現を図るため。

○ 理由

 障害のある方の地域での住まい、日中活動、社会参加など普通の暮らしを実現するために必要な福祉サービス(リハビリテーション・ハビリテーションを含む)を提供するため権利条約第17 条「自立(自律)した生活および地域社会へのインクルージョン」に基づく法律と考える。

【中西委員】

○ 結論

 最重度の障害者とこれまで制度の谷間にあって自立支援法のサービスを必要なだけ利用できなかった人たちを救済し、かつ国庫補助基準の設定により、地方自治体より十分なサービスを受けられなかった人たちに、自立支援法と同じ誤りを犯さないために、また尊厳ある自立生活を送れるように、自らの望む場所で、望む人たちと、望む生活形態で支援を受けて暮らせるようにサービス利用上の権利性を持った制度構築をするために作る。

○ 理由

 国連の障害者権利条約の批准に向けて、その19 条と自立支援法が齟齬する点が、施設居住を在宅サービスの欠如から起こっていることから、自立支援法を早急に廃止して、同世代の人たちが享受している生活を、どんなに重度の障害を持っても享受できるような地域生活の支援制度の構築を目指すために総合福祉法の早期成立が必要である。特に35万人が病院に収容されている精神障害者、4 分の1 が施設収容されている知的障害者、必要とするサービスが十分に受けられないALS を含む最重度の障害者のために総合福祉法が必要である。

【中原委員】

○ 結論

 支援を必要とするすべての障害者

○ 理由

 障害者基本法を受けての福祉支援に関する法として整備する。

【奈良崎委員】

○ 結論

 日本に住んでいる人で困っている皆

○ 理由

 障がいがあってもなくても、困っている人に生活や働く場が必要

【西滝委員】

○ 結論

 障害者が人間として幸福に生きるために様々の権利が平等に保障されることをめざしている

○ 理由

 障害者がこの法律をもとに自らの生存権や基本的人権の保障を実現できるものでありたい

【野澤委員】

○ 結論

 障害者のため、障害者が自らの望む人生を送ることができるため。とともに同時代に生きるすべての人が障害のある人の存在を認め、その特性を理解し、自らの人生に刺激を受け、社会全体にやさしい空気を育んだり、精神的な充実を促すことができるようにするため。

○ 理由

 暮らしにくい思いをしているのは障害者だけではない。この時代に生きるすべての人のためになるような指針を示す法律にする必要がある。

【東川委員】

○ 結論

 日常生活・社会生活を送る上で、「障害」があるために,「障害がない人を主にした社会」との間に不利な状況が生じてしまっている人のため。

○ 理由

 上記の不利な状況をなくすための支援を保障するための法律が求められるからである。このように考える場合、当然、「障害」をどのように定義するかが重要となる。

【平野委員】

○ 結論

 当然、障害者とその家族の福祉向上を図るものですが、障害当事者の利益や決定を第1にすることが基本です。また、障害者を「弱者」として保護の対象とするのではなく、権利主体として、その権利保障として支援するような福祉支援のあり方のスタンスの転換が求められます。

○ 理由

 1990年代以降の先進諸国の障害福祉のあり方の基本は、当事者の権利保障というスタンスであり、国連障害者権利条約の理念からしてもその趣旨を明確にすべきである。

【広田委員】

○ 結論

 我が国に暮らす障害を持つ全ての人が、その人らしく生活を営めるため。

【福井委員】

○ 結論

 障害者とその家族、関係者の声と知恵を結集して、障害をもつ全ての人々の人間として生きる権利を保障する施策を構築するためにつくる。広義には、当然全ての国民の権利保障をめざすものである。

○ 理由

 これまでのわが国の障害者施策は、障害当事者の実態や要望にそって作られてこなかった歴史的な経過がある。今回は、「私たちのことは私たち抜きに決めないで!」を中心に据えて作り上げていくところに、もっとも画期的な意義がある。

【藤岡委員】

○ 結論

 障害をもつ人々が普通の市民として生きるために必要不可欠な社会的支援を行うこと。ライフステージの全ての段階における個人の尊厳の保障を図るための制度。これは現在障害を持つ人だけでない全ての市民のためのものである。

○ 理由

 自由が奪われている障害者の機会均等を保障することが自由主義社会の前提であり、基本合意第一項で「憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する」ためのものと確認されているから。
 例えば、障害者の移動介護保障は、従来理解されてきた「社会権」のみならず憲法第13条の個人の尊厳保障であることは、判例(第4回意見注1)等でも確認されている。「障害者の権利」の本質とは、障害に起因する社会的障壁により傷付けられている自由と個人の尊厳を回復するためのものであり、障害福祉施策を活用する権利は天賦の基本的人権である。
 また、法の「前文」で基本合意2条2項で確認されたこの法律の次の意義を謳うことが大切。

 「国(厚生労働省)は、障害者自立支援法を、立法過程において十分な実態調査の実施や、障害者の意見を十分に踏まえることなく、拙速に制度を施行するとともに、応益負担(定率負担)の導入等を行ったことにより、障害者、家族、関係者に対する多大な混乱と生活への悪影響を招き、障害者の人間としての尊厳を深く傷つけたことに対し、原告らをはじめとする障害者及びその家族に心から反省の意を表明するとともに、この反省を踏まえ、今後の施策の立案・実施に当たる。」
を確認した前文が起草されるべきが当然。

【増田委員】

○ 結論

 長期的に身体的,精神的,知的または感覚的な疾患や障害があることによって,他の市民と同じ生活を送る上で何らかの保障や支援が必要な人が,他の者との平等の暮らしや人生を送ることを可能にするための法律である.

【三浦委員】

○ 結論

 国内すべての障害のある人の生活と社会参加を保障するため。
 将来的には、すべての支援を必要とする人すべてを対象とすることこそが、社会モデルと谷間を作らないことに合致する。

○ 理由

 第一次意見書に記されている「最重度であっても、どの地域であっても、安心して暮らせる」ような、個々のニーズに基づく地域社会生活支援体系を築く目的に向かい、機能する役割を持てるようにするため。

【光増委員】

○ 結論

 障がいのある(あるいは支援が必要な)児童から高齢者までの支援が必要な人のために作る。(しかい児童の福祉サービスは総合福祉法でなく、児童福祉法で行う。)

○ 理由

 障がいのある(あるいは支援が必要な)人だれもが使えるようにする。したがって、現在の障害者自立支援法と介護保険法との優位性で、障がいのある高齢者が障がい者の福祉サービスを使えないような事はなくす必要がある。

【森委員】

○ 結論

 日常生活又は社会生活に相当な制限を受け、サービスを必要とするすべての人を対象とすべきである。

○ 理由

 機能障害または疾患に伴う生活の制限があり、支援を要するものすべてを対象にし、それらの取り組みを行うことによって、誰もがくらしやすい社会の実現につながることについてすべての国民への理解を進めるべきである。

【山本委員】

○ 結論

 何らかの機能障害あるいは疾病を持ち、生命の維持および一般の市民と平等に人としての尊厳を尊重され幸福追求権をもち、社会の一員として社会に参加するにあたって支援を必要とする人のために作る。
 なおこれらの人についてはその居住地、性別、国籍、年齢、施設・病院に収容されているか否か、矯正施設刑事施設(受刑者には一定の制約はありうるが)入管施設にいれられているか否かを問わず平等にこの法の対象として権利を持つ。
 これらの人が他のものと平等に生命の維持および、他の人と平等に人としての尊厳を尊重され幸福追求権を持ち、社会の一員として社会参加できるための支援を権利として保障するために作る

○ 理由

 この法律は障害者権利条約の国内履行のための法律であり、障害者権利条約1条目的3条一般原則、4条一般的義務に照らして、上記が求められる

論点A-2-2) 憲法、障害者基本法等と「総合福祉法」との関係をどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 障害の定義、障害者の権利、障害者の自立を支援するに当たっての基本原則・原理等については、本部会で検討する「障害者総合福祉法」以外の法制にも共通するものであるため、障害者基本法で規定することが適当である。
 なお、本部会の検討に当たって、障害者制度改革推進会議における障害者基本法改正の方向性を見定め、整合を図りつつ進めていく必要がある。

○ 理由

 障害者基本法において障害者の権利条約の精神や目的に基づく基本原則を定め、基本原則と矛盾しないように調整した上で「総合福祉法」を策定する必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 国家の枠組みや仕組み、国民生活の在り方の指し示し、それを踏まえ障がい者支援の原理を打ち立て、その基礎のうえでの、全体を含んだ支援の仕組みの明示としての「総合福祉法」

○ 理由

 法の上位、下位概念による体系化。基本は、障がいごとや年齢等で分けないこと。

【石橋委員】

○ 結論

 憲法、障害者基本法に準拠し理念を実施する法律。

○ 理由

 論議する新法は、「憲法」(第11、13、14,25条など)を土台に、今後、障害者権利条約の批准に向けて整備される新しい「障害者基本法」の理念を実現するための、支援(サービス)等についての法律である。

【氏田委員】

○ 結論

 憲法のもとの障害者基本法であり、障害者基本法に基づいた総合福祉法であると考える。

○ 理由

 憲法で保障されている生存権、幸福追求権、自由権、社会権、人格権などを、障害者基本法をベースとして総合福祉法で福祉サービスのしくみを規定し提供することで、個々の支援を具現化していくものと考えている。
 憲法および障害者基本法との整合性を必要とする。

【大久保委員】

○ 結論

 本来、障害者基本法をベースとして、総合福祉法が制定される関係にあるものと考えるところから、整合性を図ることが重要と考える。

○ 理由

 障害者基本法は、各種障害者施策について横断的にその基本となる理念や方向性を定めるものであり(中央障害者施策推進協議会の設置並びに障害者計画の策定などは除く)、総合福祉法は、障害者基本法を背景として、障害者福祉サービスの制度や仕組みを規定するものと考える。

【大濱委員】

○ 結論

 憲法前文、13条、25条、ならびに、障害者基本法の1条、3条、4条、8条にのっとって、どのような重度障害者であっても、地域において自立した生活を営むことができるようにすべき。したがって総合福祉法では、障害者本人の自主性に則り、より明確に地域での生活権を明記すべき。

○ 理由

 憲法前文の生存する権利、および、25 条の最低限度の生活を営む権利、13条の生命、自由、幸福追求権にのっとり、たとえどんなに重度の障害者であっても、生存権を侵害されることなく、生命自由及び幸福の追求の視点から、自発的に地域生活を望む場合は保障するべき。
 障害者基本法の目的、第1条(自立及び社会参加)、3条(基本理念)個人の尊厳にふさわしい生活を保障される権利、4条、上記達成のための国及び地方公共団体の責務、および、8条(施策の基本方針)「障害者の自主性が十分に尊重され、・・・地域において自立した日常生活を営むことができるよう配慮されなければならない」
 以上の理念に則り、地域で営む権利を総合福祉法で明記すべき。

【小澤委員】

○ 結論

  • 憲法>改正・障害者基本法および批准する障害者権利条約>総合福祉サービス法
  • >は、その下にある法の意味。

○ 理由

  • 法律のしくみの上で、このようになる。

【小野委員】

○ 結論

 総合福祉法は、憲法ならびに障害者基本法を基本理念とする。

○ 理由

 憲法の定める国民の権利規定を、障害者基本法を抜本的に改正し、権利条約にもとづいて、障害のある人の諸権利として具体的に定義する必要がある。

【門屋委員】

○ 結論

 全ての障がい者は一般国民と区別されてはなりません。憲法による幸福権(13条)・最低生活権(25条)は当然保障され、一般国民と同等な社会生活(人生)を歩めるために必要な障害者特有のことの基本理念などに関して障害者基本法に定め、各省庁が担当する施策を障害者に統合できる役割を果たし、「総合福祉法」(私は障がい者総合生活支援法)は、具体的直接支援に関する施策を担う。

○ 理由

 憲法・法律などに関して専門でないことから、適切な提案ができません。
 「障がい」ゆえに一般国民との違いが生じないようになればよい。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 法の位置付けからだと、憲法―障害者基本法―総合福祉法の順になる。

○ 理由

 憲法の理念、障害者基本法の大枠に従い、総合福祉法は社会の実情に則して、障がい者の地域生活をささえるサービス法と考える。

【北浦委員】

○ 結論

 憲法、障害者基本法の理念を具現するための実体法である。

○ 理由

 憲法、障害者基本法等は、基本理念を示したものであり、その原理を実効あらしめるために必要な内容を法律条項として担保するものである。

【北野委員】

○ 結論

 日本国憲法及び、国連障害者権利条約の批准にあたり必要な改正を経た「障害者基本法(障害者の権利と支援の関する基本法)」をふまえて、「総合福祉法」は構築される

○ 理由

 法制上、当然

【君塚委員】

○ 結論

 整理の上、関係を明確にする。

○ 理由

 理念に大きくかけ離れていたり、年月を経て大きく様変わりした状況にマッチしなくなっている点がある。
 例えば、児童福祉法も60年を経て、例外規定が主となっている点があり、今までの法の基本的な改訂を提言するところまでしなければならない。

【齋藤委員】

○ 結論

 憲法及び改正される障害者基本法が定める障害者の人権を保障するための支援のしく みを具体的に定めるのが「総合福祉法」である。

【佐野委員】

○ 結論

 憲法と障害者権利条約の理念を法律レベルに具体化するのが障害者基本法で、障害者基本法の理念・規定をうけた福祉分野のサービス法が「総合福祉法」と理解する。

【清水委員】

○ 結論

 人の存在の価値に基づく一本筋の通った関係

○ 理由

 自立支援法は、一人ひとりの存在の価値を落としめたことが(結果としてそういう実感・実態を生み出してしまったことが)違憲訴訟ということに至ったのではないか。今度こそ、一人ひとりの存在の価値を立ち上がらせていくベクトルが貫かれていなければならないと考えます。

【竹端委員】

○ 結論

 憲法は、だれにでも基本的人権は守られる、という理念を示している。
 障害者基本法は、障害者が他の人とおなじように基本的人権を持っていること、でも人権を守るためには何らかの手助けもしなければならないという目的が書かれている。
 総合福祉法は、憲法の理念や障害者基本法の目的をじっさいに守るための手だんとなる法

○ 理由

 総合福祉法は、理念や目的をじつげんするための具体てきな方法が書かれた法です。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 憲法で定められている基本的人権を、障害者の視点から構成し直し、障害者にどのような権利自由が保障されているのかを確認するものが障害者基本法改正で定められることが検討されている「障害者の権利」の部分であり、総合福祉法における各種の支援は、憲法及び障害者基本法で確認された障害者の人権の保障を実質化するためのものであるという関係に立つべきであると考える。

○ 理由

 障害者総合福祉法が、憲法、障害者権利条約、障害者基本法に基づいて制定されるものであることを前提としておかなければ、法体系として、総合福祉法の位置づけが曖昧となってしまう危険がある。

【田中(正)委員】

○ 結論

 本来、障害者基本法をベースと考えるところから、整合性が重要。

○ 理由

 総合福祉法は、障害者基本法を背景として、障害者福祉サービスの制度や仕組みを規定するものと考える。

【中西委員】

○ 結論

 憲法においては25 条の「あらゆる国民は健康で文化的な生活を送る権利がある」と謳われており、障害者基本法においては「すべて障害者は、個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」と謳われており、この理念を実現するために「総合福祉法」が必要である。

○ 理由

 この理念は自立支援法では、地域での生活を十分なサービスを受けられないために実現されず、権利性を持たない制度構築をされたために地方自治体の支給基準が利用者のニーズよりも優先されるという事態を生んできたため。

【中原委員】

○ 結論

 分野Aの多くの論点は、障害者基本法の改正内容を踏まえたうえで検討すべきである。

○ 理由

 論点のなかに障害者基本法で整理すべき内容が含まれているなど、理念法である障害者基本法と実行法である総合福祉法との関係整理が不明確である。

【奈良崎委員】

○ 結論

 障害者権利条約などを取り組むこと

○ 理由

 障害者の権利条約を日本でも使えるようになれば凄く安心です。

【西滝委員】

○ 結論

 憲法に基づいた障害者基本法で障害者の人間としての尊厳や対等平等の権利が謳われ、総合福祉法により、具体的な福祉の付与を主張できる関係

○ 理由

 障害者の権利を保障する実効性のある法律は今まで存在しなかった。権利条約により、真に実効性のある法律としたい。

【野原委員】

○ 結論

 憲法は、障害者基本法、総合福祉法(仮称)などそれぞれの個別実定法に貫かれなければならないことは当然である。総合福祉法は、障害者基本法の理念に基づいて、障害者福祉全体を包括するものであるべきである。

○ 理由

 「総合とはなにか」を、「医療と福祉」の問題を含めて整理するとともに、医療、薬事、保健、教育、就労、介護、年金、生活保障などに関連する法制度との連携も含めて、「総合」的に障害者福祉全体を対象とする。当然、これまでの個別的な実定法(身体障害者福祉法、精神障害者福祉法、知的障害者福祉法など)を統合し、難病も含めた総合的な実定法にすることが望ましい。「総合」と「個別」との関連は、今後論議をすべき課題になっていると思う。

【東川委員】

○ 結論

 憲法が最も上位にあり、以下、障害者基本法、「総合福祉法」の順序となる。

○ 理由

 これまでと同様、3つの法律の位置づけは変わらないと考える。それを前提として、障害者基本法の改正、「総合福祉法」の制定を、関係性を踏まえつつ検討することが必要である。

【平野委員】

○ 結論

 日本国憲法の人権規定(第13条・第14条・第25条・第26条・第27条)を具体化するものであり、障害者基本法の福祉規定(第8条・第12条)を具体的な制度・施策化するためのものであることから、憲法と基本法を上位法として綿密な連携を図る必要がある。

○ 理由

  • 法の性格上、こうした関係になければ法体系上での整理がつかない。
  • 基本法との関係を上記の通りとしないと、基本法による障害者計画と「総合福祉法」による地方公共団体の障害福祉計画との整合性が担保されない。

【広田委員】

○ 結論

 憲法、障害者基本法で保障されたものを含む総合福祉法

○ 理由

 あたり前のことだと思う。

【福井委員】

○ 結論

 憲法第25 条の生存権保障と、第13 条の個人の尊厳などを書き込んだものとする。障害者基本法等は、障害者権利条約との整合性を図って、障害者の人権を確保するための抜本的改正を行う。人間の尊厳を守るに相応しい給付を受ける権利を承認し、その保障義務が国にあることを明記し、当然そのもとに「総合福祉法」が存在するという関係になる。

○ 理由

 今回の新たな制度設計のもっとも根幹をなす理念であり、権利条約で示された規定にそうものである。障害の谷間を生まない障害の定義、誰もが地域において自立した生活を営める制度の構築などは、この理念のもとでこそ保障される。

【藤岡委員】

○ 結論①

 基本合意で確認された「障害者の基本的人権の支援」ということ、憲法に基づく制度ということが明文で記載されることが必須。

○ 理由①

 基本合意書第一項「新たな総合的な福祉法制においては、障害福祉施策の充実は、憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援するものであることを基本とする。」ことの確認が抜けることは許されない。
 個人の尊厳(憲法13条)と生存権(憲法25条)が平等に保障される(憲法14条)ことが障害福祉の本質であり例えば
 「この法律は、憲法第13条、第14条、第25条、障害者基本法、障害者権利条約の精神に基づき、国・自治体・公権力が、障害を持つ市民一人ひとりが人として尊厳ある暮らしを営むことのできる権利を十分に保障し、障害を持つ市民が当たり前の市民として社会参加できるための実質的な機会平等を保障し、障害を持つことに対する社会的不利益、不平等を解消する義務を尽くすべきことを明らかにする。」等の条項が必要。
 自立支援法で「障害者基本法の基本的理念にのっとり、」とされているが、国側の解釈では、基本法は施策に関する抽象的な理念に過ぎないとされており、基本法の存在意義が個別の権利に生きない。
 基本法自体について、差別禁止法及び支援権利保障法の上位法規として、さらに権利性を強める改正を実行することを前提に(基本法においてある程度の権利の抽象性は止むを得ないが)、下位規範としての位置付けを「基づき」等として明確化するべき。

【増田委員】

○ 結論

 障害者基本法と「総合福祉法」は憲法と障害者権利条約にもとづいて制定されるべき.障害者基本法は,障害者権利条約の国内版として,「障害のある人の権利に関する基本法(仮称)」と改め,我が国の障害者施策の基本的な枠組みを明確にし,国・都道府県及び基礎自治体の障害者施策についての責務を定める.同時に障害のある人の権利保障について定め,国と自治体の財政責任を明確にし,障害者施策の実施体制と計画の策定とその促進を行う.総合福祉法は,障害のある人が他の者との平等が実現していくための法制度とする.

【三浦委員】

○ 結論

 憲法25条及び権利条約の理念を根拠として、障害者基本法を人権法、基本法として位置づけ、必要な支援内容を具現化する形で「総合福祉法」を制定していく。

○ 理由

 障害のある人々の生存権、社会権、自由権の保障について、権利条約の方向性を踏まえ、実体あるものにしていくため。

【光増委員】

○ 結論

 憲法、障害者基本法等と整合性をあるようにすべきである。

○ 理由

 ただし、介護保険法との関係性で、介護保険を優先させると、憲法や障害者基本法の考えから、障がい者の選択権と自己決定権を阻害される事があるので、新しい法律では、優位性をもたすようにすべきである

【森委員】

○ 結論

 憲法、障害者基本法という理念法とともに、時代の要請に応える具体的な支援のシステムについて実定法としての「総合福祉法」で明確に示すべきである。

○ 理由

 憲法、障害者基本法で、障害のある一人ひとりの充実した生活を実現することが国の責務であり、障害者福祉に関する基本的な理念について明確にし、実定法としての総合福祉法により具体的な取り組みを示すべきと考える。そして総合福祉法では他の法律で示している制度との間においてシームレスで包括的、総合的支援の実行が可能になるような条文を吟味して用いるべきである。

【山本委員】

○ 結論

 憲法の13 条14 条、25 条ほか基本的人権をすべての人が平等に享受することを目的とした支援を提供する法律であり、改正された障害者基本法の理念を実行するため支援を提供する法律である

○ 理由

 憲法および障害者基本法の理念を実践する法律が必要であり、そのうち支援について定めた法律であるべきなので

<項目A-3 理念規定>

論点A-3-1) 障害者権利条約の「保護の客体から権利の主体への転換」「医学モデルから社会モデルへの転換」をふまえた理念規定についてどう考えるか?

【朝比奈委員】

○ 結論

  1. 「権利」や「自らの決定・選択」の中身を十分に議論しておく必要があります。生存権の保障が大前提であることを、あえて明らかにしておきたいと思います。
  2. 社会モデルに転換した場合、社会や環境そのものが時代状況のなかでつねに変動していることを前提にした捉え方をしておく必要があります。

○ 理由

 1.について、表面的な意思表明のみで権利や自己決定が取りざたされてしまいかねないことを懸念しています。環境によって自己決定の経験が極めて限られてきた人の場合には、生存権の保障のために、「追いかけていく」福祉、支援が必要です

【荒井委員】

○ 結論

 障害者が権利の主体であること(憲法上保障されていることは当然の前提として)の明確化とともに、権利の主体であることを、社会が保障すべきである旨も明確に規定する必要があると考えられるが、こういった理念規定(A-3-2 以下についても同様)については、障害者基本法で定めた上で、各法でその基本理念に沿って規定を具体化することが適当である。

【伊澤委員】

○ 結論

 そのとおり!!

○ 理由

 推進会議での議論においても、疾病・機能障害主義(医学モデル)がベースにあるために「谷間の障害問題」が再生産されるという論説があり、その通りと思う。機能障害の種類や程度よりも重要なのは生活の支障(生きづらさ/暮らしにくさ)であり、社会的支援モデルである。

【石橋委員】

○ 結論

 理念規定は必要。国際基準に準拠すべきであり、社会モデル、生活モデルを主体と考えるが、「社会モデル」に「医学モデル」を反映させた「相互モデル」がよい

○ 理由

 障害者権利条約の「目的」は理解する。
 子ども(障害児)について「保護の主体」という表現はなじまないのではと思う。

【氏田委員】

○ 結論

 これらの理念を踏まえた理念規定とすることが必要であると考えるが、これらの理念は、障害者基本法で規定し、総合福祉法においては制度やシステムを考える上で、これらの理念をよりわかりやすい表現にして盛り込むことが必要である。
 医学モデルの否定ではなく、障害者の地域での自立(自律)生活に両モデルの相互補完・相互連携が必要であることを制度やシステムとして明示する必要がある。

○ 理由

 障害のある人が自立(自律)的に社会参加するのに必要なリハビリテーションやハビリ テーションは、医療的視点から社会的支援への移行など、両モデルが相互補完・相互連携 すべき局面がある。
 発達障害においては、医学モデルでは障害として認定されにくいところもあり、社会モ デルを起点とする相互補完・相互連携が社会への自立(自律)的参加に必須である。

【大久保委員】

○ 結論

 これらの理念を踏まえた理念規定とする必要はあるが、より解りやすくかつ総合福祉法の内容との関連を考慮した表現とすることが妥当と考える。

○ 理由

 これらの理念や概念は、障害者基本法に盛り込むことが適当であり、制度や仕組みを中心と考える総合福祉法では、それらに結び付く表現を用いた理念規定とする必要があると考える。

【大濱委員】

○ 結論

 当然そうあるべき。
 社会モデルに転換することによって、障害がどんなに重くとも「介護の責任は行政にある」ことを理念で規定し、現状のような介護制度の不足の責任が個人に課せられるようなことがないようにすべき。
 *社会モデルへの転換
 ○社会的な障壁の除去・改変で障害の解消を目指す○障壁解消の責任は障害者個人でなく社会の側にある○障害は個人の外部に存在する社会的障壁で構築されている

○ 理由

 権利条約が、法制度構築に当たっての原点である。
 社会権として、障害者が権利の主体である事と、障害の範囲等も含め、社会モデルの視点から、障害者を権利の主体として位置づけ、社会モデルの視点に沿って理念規定を明記すべき。

【小澤委員】

○ 結論

  • 権利条約の理念にそった形で、法律の前文、条文にきさいする。
  • 加えて、福祉サービスの提供の理念もきさいする。

○ 理由

  • この理念規定は、総合福祉サービス法の上位にある、改正・障害者基本法とほぼ同じものになる。ただし、福祉サービスの提供の理念は、この法できさいする。

【小野委員】

○ 結論

 医学モデルと社会モデルを統合し、すべての障害のある人を対象とすべき。そのため、障害程度区分の廃止は必要不可欠である。

○ 理由

 自立支援法は、障害の種別を超えた法律として定められたが、いまだに谷間におかれ、法の対象から除外されている人たちが多くいる。また要介護認定を基礎に作成された障害程度区分認定調査は、まったく障害のある人の実態や生活上の困難を反映せず、自立生活の支援の必要度を明らかにするものになっていない。合理的配慮の欠如を障害として定義するうえでも社会モデルとの統合は不可欠である。

【門屋委員】

○ 結論

 当然と考える。

○ 理由

 国民として平等に生きることを基本とすれば、権利の主体と社会モデル=生活モデルは全ての国民の生きかたの基本であり、時として国民は生活を維持継続するために必要なものとして医学モデルによる支援を活用することとなる。「障がい」のない国民は、すべからくこれを原則としていることから、同じ理念規定が必要である。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 理念規定すべき。

○ 理由

 障がい者が地域で主体性を持って普通に暮らす権利の保障と、社会参加の推進のためには、医療モデルから社会モデルへの転換は不可欠なことである。しかし判断力や生活能力から生きづらさをかかえる精神障がい者の「社会モデルへの転換」「合理的配慮」の具体像が定かでない。

【北浦委員】

○ 結論

 あらゆる権利の主体は、いのちを持つ個人であり、固有の尊厳、個人の自律、全てに亘って、平等の権利を有し、障害の状態、支援が必要な程度、状況に応じた社会的支援が受けられることが保障されること。

○ 理由

 障害者個人の人権を守るには、先ずいのちが守られなければならない。いのちを守ることが平等の原点としての基盤であることを踏まえ、どんなに重い障害の状態にあっても、文化的で豊かな生活を営まれるように、その障害から生ずる障壁を可能な限り緩和するのに必要な支援内容、方法を確立することである。

【君塚委員】

○ 結論

 補足説明が必要である。あるいは、この規定が全てに対応するとは思われない。

○ 理由

 医学的な専門的介入無しでは、とくに医療を大きく必要とする障害児分野などでは発達保障のために医学的な対応が不可欠であり、これなくしては今の個々の人の障害状況を持ってこれていないことを忘れてはならない。障害医療の向上を進めるための施策が必要である。

【齋藤委員】

○ 結論

 こうした理念に沿った障害者基本法が求められるが、総合福祉法においても同様にこうした理念をふまえた規定とするのは当然である。

【佐野委員】

○ 結論

 「総合福祉法」では、障害者基本法での理念規定を追認し、更に押し広げるような形が望ましい。

○ 理由

 法律間で矛盾が起こる可能性があり、重複した規定は極力避けるべきである。規定するとすれば福祉分野のサービス法としての理念規定に限定すべき。

【清水委員】

○ 結論

 同意

○ 理由

 転換というより主体の回復、復権という意味合いを力強く打ち出すべきだと考えます。

【末光委員】

○ 結論

 「保護の客体」から「権利の主体」へという単純化された理念規定では、欠落してしまう部分があることが危惧される。「『保護』の客体から権利の主体へ、また、『保護』から、権利を尊重した『支援』を受ける主体への転換」が、理念規定としても入るのが望ましい。

○ 理由

 権利の主体としての意志決定と意志表現が困難な人々(最重度知的障害児者、重症心身障害児者など)も、充分な視野に入れた理念規定であることが必要である。

【竹端委員】

○ 結論

 障害がある人も、他の人と同じ(平等の)権利を持っているし、それは守られなければならない、という理念は法の中で書いておくことは大切です。

○ 理由

  1. 障害者だからといって、しせつや病院でくらさなければならないのはおかしい。
  2. 障害があっても、地域であたりまえ(他の人との平等)の暮らしをする権利をもっている。
  3. この権利はどんなに重い障害がある人にも保しょうされるべきだ。

この1~3を国民みんなでわかちあう必要があります。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 理念規定を置くことも一方法であるが、総合福祉法としての前文を置き、新法を貫く精神を宣言する方向で検討すべきである。その内容としては、障害者が保護の客体ではなく権利の主体であること、障害の意義として社会モデルを基調とすること、障害者が有する基本的人権の行使を可能とするための支援が提供されるべきことなどが盛り込まれるべきである。

○ 理由

 新法の基本的な考え方を「前文」を置いて宣言することにより、新法を国内の法体系の中でどこに位置づけるのかを明確にするとともに、新法が障害者自立支援法とは全く別の視点に立脚して制定されるものであることを明らかとする上で、より適切な方法であると考える。

【田中(正)委員】

○ 結論

 理念を踏まえた規定とする必要がある。総合福祉法の内容をより解りやすく、かつ関連を考慮した表現とすることが妥当と考える。

○ 理由

 理念・概念は、障害者基本法にまず盛り込む。総合福祉法では、障害者基本法を背景として、障害者福祉サービスの制度や仕組みを規定するものとする。

【中西委員】

○ 結論

 障害者権利条約の「保護の客体から権利の主体への転換」「医学モデルから社会モデルへの転換」という理念規定は当然である。

○ 理由

 これまでの障害者福祉制度では、障害者は保護の客体とされたために、そのサービス利用の権利性は剥奪されていた。また医療モデルの支給判定が行われたために、生活の実態に即したサービス提供がされず、混乱を生んできた。権利条約の19 条に謳われたように地域で支援を受けて暮らす権利があることを法律で明記すべきである。

【奈良崎委員】

○ 結論

 社会モデル、医学モデルの意味がわからない
 福祉サービスと同じように医療のサービスについても情報がほしい。

○ 理由

 わかりやすい言葉でつたえてほしいから
 医療のサービスについて何があるのかもわからないから。

【西滝委員】

○ 結論

 その通りであり、理念規定を盛り込むべきである。

○ 理由

 一個の人間として権利の主体であり、また、障害者を尊ぶ社会を実現させなければならない。

【野原委員】

○ 結論

 「医学モデル」と「社会モデル」を概念として区別する必要は分かるが、難病の場合、あまり意味を持たない議論である。
 法の理念規定の中に、障害者権利条約25 条、26 条の「健康享受の権利」を入れるべきである。

○ 理由

 社会活動参加への不全の度合いも、医師の判断抜きに基準化したり、自己決定できる範囲が狭いという現状は多くあり、両者は密接に絡み合って混在しているため、同モデルを対立的概念として捉えるのではなく、環境を含めたICF による本格的な具体化(基準化)を行うべきである。しかし、「医学モデル」の限界を認めながらも、とくに難病など疾病に起因する障害者にとって、社会生活を計るうえでは有用なものとして評価することが必要である。

【東川委員】

○ 結論

 これからの法律全体を検討する際の最も大切な問題に、「保護の客体から権利の主体への転換」「医学モデルから社会モデルへの転換」という考え方をする必要がある。この考え方を大切にした、新たな法律全体の仕組みを検討することが必要である。

○ 理由

 現在の障害者差別を生み出した背景に、障害者を「保護の客体」と捉える「医学モデル」から障害者施策が出発していることがある、と考える。同じ過ちを繰り返すようなことがあってはならない。

【平野委員】

○ 結論

 この考え方には同意出来るが、①権利主体とすることと、障害者の主張をすべて無批判に認めるということは分けて考える必要がある、②これまでの「医学モデル」絶対の理念は転換すべきであるが、医学モデルそのものまでも否定することは区分して考えることが必要である。

○ 理由

 指摘された点は、これまでの障害福祉における見直しであげられており、当然の方向性であるが、権利主体として位置付けることとそれを絶対化することは区分しておかないと、社会的合意や総合的調整が困難となる。また問題なのは「医学モデル」絶対ということであり、「医学モデル」が有効な局面もあり、それまで排除しては、障害者の利益を損なう場合もある。

【広田委員】

○ 結論

 医療に依存しない社会モデルへ。

○ 理由

 精神障害者福祉は医師の診たてに依存しすぎているので。

【福井委員】

○ 結論

 「保護の客体から権利の主体への転換」は、まさにわが国の障害者施策の転換点を明らかにしたものである。またわが国では、医学モデル重視に偏っていたこれまでの傾向から、社会モデル的な観点からの障害の新たな位置づけ、さまざまな社会環境との相互作用や社会との関係性のあり方によって、障害のとらえ方や範囲、支援制度のあり方を見直し、改善を図っていくことが求められる。

○ 理由

 特に、私たちてんかん患者は、その症状から「患者性」と「障害者性」の二つの側面が あって「重複的な障害」といえる。専門医療への期待とともに、社会的側面からの生活保 障や相談体制の充実など総合的な配慮が必要で、障害者施策の充実が切望されており、特 に強調したい点である。

【藤岡委員】

○ 結論

 法の理念規定を作るべき。

○ 理由

 「障害者対策実施の反射的利益を享受する受け身の客体に過ぎなかった機能障害者は、自力で更生する努力をして、福祉のお世話にならない人になるべきで、更生のための障害者の努力を支援するのが福祉の目的だ」とされてきた。
 そうではなく、障害の本質とは、機能障害を有する市民の様々な社会への参加を妨げている障壁にほかならないこととここに確認し、機能障害を持つ市民を排除しないようにする義務が社会、公共にあることが今後の障害者福祉の基本理念として規定されるべき。
 障害者支援制度の存在意義は「障害を持つあなたは何も悪くない、何の責任もない、障害による様々な社会的不利益、不平等を公的に支えるからこの社会で共に生きていきましょう。」そういうメッセージを与え、そのための具体的支援をすることだから。
 障害児者支援制度(障害福祉)の根本理念は、どんなに重い障害をもった人であっても、一人ひとりを尊重する社会を作る、自立のための様々な方法を駆使しながら一人ひとりがその人なりに生き生きと生きて社会と共生することであり、障害者の「完全参加と平等」という国際障害者年の理念は色褪せてない。

【増田委員】

○ 結論

 障害者権利条約に基づき,権利の主体とした制度設計に転換する.障害を自己責任,個人の問題とする考え方を排すべきである.長期にわたる障害や疾患のある人たちは,障害のある人個々に必要な支援を受ける権利が保障され,同時に環境を整えることで社会にある障壁をなくし,障害や疾患があっても他の者との平等を実現することを盛り込む.

○ 理由

 医学モデルから社会モデルへの転換という表現の中には,医療的ケアや治療の軽視と理解されることがある.疾患の予防や治療の必要性が社会モデルへ転換することで軽視されるものではないことを確認する必要がある.また,医学モデル,社会モデルという言葉については,さまざまな捉え方があり,議論が混乱することが考えられる.さまざまな解釈がある表現については,気をつけて使うべきであろう.

【三浦委員】

○ 結論

 国民一般に理解可能な言葉を用いて理念規定を明文化する。

○ 理由

 障害を保護的に、また医学モデルとして見る歴史の長かった我が国においては、特に広く国民が障害を社会モデルとして、障害のある人々を権利の主体として認知するための啓発と仕組みづくりが必要であるため。

【森委員】

○ 結論

 地域で暮らす権利の保障と障害の捉え方が変わったというきわめて重要な視点であり、理念規定として盛り込むべきである。

○ 理由

 障害者権利条約の基本的理念であり、各個人が自らの価値観に基づいて、それぞれの主体性をもとに充実した生活をおくることができるようにすべきであり、国民全体の意識改革が必要であることからも、規定すべきである。

【山本委員】

○ 結論

 そうした理念規定がされるべきである

○ 理由

 障害者権利条約の国内履行のための法整備の一部である以上上記理念が重要である

論点A-3-2) 推進会議では「地域で生活する権利」の明記が不可欠との確認がされ、推進会議・第一次意見書では「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認するとともに、その実現のための支援制度の構築を目指す」と記された。これを受けた規定をどうするか?

【荒井委員】

○ 結論

 現在の障害者自立支援サービスのみならず、より一層の一般就労の促進や工賃向上策といった就労支援策に加え、障害者年金のあり方の検討や障害者の住まいの確保を含め、障害者が真に地域で自立した生活をすることができるようにする総合的な支援に関する規定が必要と考える。

○ 理由

 障害者の自立を促進していくという観点が重要であり、障害者が働ける環境づくりや年金等による所得保障や住まいの確保など、幅広い支援が必要であるため。

【伊澤委員】

○ 結論

 個別支援の明確化!

○ 理由

 色んな選択肢が有る!という、基本はパーソナルサポートであり、同時に生活志向の多様性に対応していく内容の豊富化だと思う。

【石橋委員】

○ 結論

 家族から一方的な依存排除とする表現は避ける。

○ 理由

 第一次意見書は理解するが、社会基盤整備が前提である。
 肢体不自由を生れた時から関わっている当事者の親として、今こそ「家」「家族」の良さが地域での生活に欠かせないと考えます。

【氏田委員】

○ 結論

 「障害者が自分の意思で地域生活および地域生活のスタイルを選択できる権利」を明記する。

○ 理由

 「地域で生活する権利」はすべての人にとって平等に保障されなければならない。そのことを規定することによって地域で暮らすための様々な支援を合理的配慮のもとで実現するための根拠となる。地域に支援がないために地域での多様な生活スタイルを実現できない人が多い現実を考えれば、法律に明記して、地域生活支援を創り出さなければならない状況にする必要がある。

【大久保委員】

○ 結論

 それらを受けた規定を設ける必要があると考える。ただし、「地域で生活する権利」を過度に強調し、「地域生活の強要」にならないよう配慮する必要もあると考える。

○ 理由

 総合福祉法において「地域生活」はキーワードであり、制度や仕組みに関わる大切な用語である。一方、地域のサービス基盤の不足や地域での暮らしに危機的な状況がある場合など、「安心・安全」を優先し、入所施設を利用すること、また、理由はともかく障害者自身が入所施設を選択することもあり得るからである。

【大濱委員】

○ 結論

 一次意見書では、すべての障害者が・・・・の後半の、「その実現のために24 時間介助等を含む支援制度の構築を目指す。制度の構築に当たっては、地域間格差が生じないよう十分に留意する。」の内容を具体化する法であるべき。拠り明確に、権利を担保する規定を具体的に法に規定すべき。 例)

○ 理由

 現状は、未だに地域で生活する権利が十分に担保されている状況でない。

【岡部委員】

○ 結論

 「自立した生活を営む権利」とは地域で生活するために必要なサービスを自ら選択し受給する権利であり、「地域で暮らす権利」とはそのために必要なサービス給付量を確保する財政的措置を講ずることを政府に義務付けるものであることを法に明記する。

○ 理由

 「地域で自立した生活を営む権利」を理念的なものに留めず、サービスの選択権と必要なサービス量支給を担保する実体的なものでもあることを明確にする必要があるため。

【小澤委員】

○ 結論

  • 「すべての障害者が、自ら選択した場・・・」に表現を変更して、理念にきさいする。
  • ただし、新法における「福祉サービス基盤整備計画」の事項では、「自ら選択した地域」という表現で、基盤整備は、地域支援の方向重視をめいかくにする。

○ 理由

  • 総合福祉サービス法では、地域・在宅者だけでなく、施設利用者も含めたサービス提供の法律になるので、「地域」という限定表記には、現実とのずれが生じる可能性がある。
  • 基盤整備の計画は、地域生活支援を中心に重点をいれてほしい。

【小田島委員】

○ 結論

 新しい法律に、誰でも地域で暮らす権利があることを書く。

○ 理由

 施設の職員や家族、市役所の人が自立に反対しないようにするため。

【小野委員】

○ 結論

 障害程度区分の廃止と国庫負担基準額(上限)を撤廃する。

○ 理由

 生活の必要に応じた支援制度を構築しなければならないため。

【門屋委員】

○ 結論

 当然、支援制度の規定には、この「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有すること」を実現するために法を定めるとして規定すべきである。

○ 理由

 自立した生活の定義は、生命を維持し文化的経済的最低の生活保障を実現できる条件を支援制度の具体的内容とすべきである。もちろん、支援法だけでは困難であることから、他の法律・制度の利用による条件を満たすことの権限を支援制度に規定できることを望む。
 あらゆる法制度が「自立した生活を営む権利」を個人に統合できる役割を支援制度が果たせることが望ましい。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 「地域で生活する権利」の明記は必要。

○ 理由

 自己選択、自己決定を保障し、権利条約が提起している「社会への完全かつ効果的な参加」のため。障がい者は、国、地方公共団体から、社会制度、社会資源の必要十分な整備を保障される権利があることを明文化する。

【北浦委員】

○ 結論

 「自ら選択した地域において自立して生活を営む権利」の主体が「全ての障害者」という意味なら賛成できない。よって、その前提には、平等の基本である「生命に対する権利」も基本的権利として規定される必要がある。

○ 理由

 「地域で生活する権利」が強調されることによって、すべての施設の廃止、入所者の地域移行が強行される恐れがある。障害のある人の平等を促進、又は達成するには、基本である「生命に対する権利」を脅かすことのないように「生命権」を保障し、施設支援を必要とする事情にある場合には、障害のある人の自由な選択ができるようにすべきである。

【北野委員】

○ 結論

 「地域で生活する権利」とは、「その日常生活で、分かりづらい・やりにくい・使いにくい等の状況のあるすべての市民が、自ら選びとった他の市民と同様の役割や社会参加・参画する権利」であり、「障害者総合福祉法」は「その権利を行使するために、必要な支援や合理的配慮を権利づけるため」に必要な法律である。

【君塚委員】

○ 結論

 この理念のもとに、現実に即した附則が必要である。

○ 理由

 社会的入所を必要とする本当に厳しい状況があり、単なる相談支援で解決しない部分が多々有る。相談支援と共に社会資源の充実がなどがより優先されるべきである。

【齋藤委員】

○ 結論

 総合福祉法の基本理念・目的として第一条に、すべての障害者が地域社会の中の一員として共に生きる権利を有することを明確にうたうべきは当然であり、その実現のための方策として、この総合福祉法の各条文があることを明記しなければならない。

【清水委員】

○ 結論

 地域における地域自立生活展開(支援)構造の構築を実態化する設定を行う

○ 理由

 施設でなく地域でといった平板な対立概念ではなく、これまでに培われてきた支援の機能もさらに発展させ、共に連動して一人ひとりが選択することが可能となり、自分で自分の人生を生きていくということの実態化に向けての地域自立生活展開(支援)構造を構築していくということを、はっきり見える形で規定していくことが必要と考えます。

【末光委員】

○ 結論

 「生命に対する権利」(障害者権利条約第10 条)、「健康」を享受する権利(権利条約第25条)も、基本的な権利として理念規定の中にうたわれるべきである。

○ 理由

 障害者権利条約において「地域で生活する権利」とともにうたわれている、「生命の権利」「健康の権利」は、重症心身障害児者など、生命と健康を維持すること自体が困難でそのために多くの支援を要し、かつ、生命・健康の維持が困難になる可能性のある場面でも自分から意志表現が困難な人々にとって、「地域で生活する権利」とともに切実で最も基本的な権利である。

【竹端委員】

○ 結論

 「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活」ができない理由をなくす支援の制度を作ることを、法の目的に書くべきです。

○ 理由

 「自立した生活」ができないのは、いろいろな支援がたりないからです。今のやりかたを変え、医りょう的なケアや24時間の介じょなどに必要なお金も人も地域に向ければ、どんなに重いしょうがいの人も、地域であたりまえ(他の人との平等)の暮らしができます。そのことを、法の目的として書いて、守るべきです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 新法の前文で「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利」が憲法13条、14条、21条、22条、25条等に基礎づけられた権利であることを明らかとした上で、各種支援規定を設けるに際して、この権利が実質的に確保されるためのより具体的な権利規定ないし請求権規定を置くべきである。

○ 理由

 「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利」は、障害者権利条約19条でも定められている重要な権利であり、その具体的内容も多岐にわたる。障害者権利条約19条では、(A)から(C)項のみが掲げられているが、これは例示列挙と解すべきであり、新法では、この権利の実質的確保のため、さらに十分な内容を検討した上で、各種支援を定めるに際して、この権利の趣旨を十分に踏まえた権利規定ないし請求権規定を置くべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 規定を設ける必要がある。

○ 理由

 総合福祉法において「地域生活」は、制度や仕組みを整える際の大切な用語となる。ただし、現状では基盤整備が十分でない地域が多く、地域によっては、サービス基盤の弱さから家族による支えしかない場合は、たちまちに地域での暮らしに危機的な状況が生じるなどが想定される。基本は地域の基盤整備を前提としながらも「安心・安全」の配慮のためには、入所施設の活用も視野にいれた利用計画の活用も良しとする。

【中西委員】

○ 結論

 総合福祉法は障害者の地域で生活する権利を謳うべきである。その規定に従って第一次意見書で謳われているように「すべての障害者が、自ら選択した地域において自立した生活を営む権利を有することを確認すべきであり、その実現のための支援制度の構築を目指す」べきである。

○ 理由

 障害者を同世代の障害のないものと同様の生活を、支援制度を充実させることによって実現すべきであるから。

【中原委員】

○ 結論

 規定の策定にあたっては、理念だけではなく実情を踏まえたものとすべき。

○ 理由

 現状では地域生活を支えるためのサービス供給量および支援体制が脆弱であることか ら、基盤整備を前提としたものとする必要がある。

【奈良崎委員】

○ 結論

 第一次意見書はわかりやすいけれど、自立支援法がかわる理由を伝えほしい。

○ 理由

 福祉サービスを使っていない人たちにも情報が大切

【西滝委員】

○ 結論

 「地域で生活する権利」は対等なコミュニケーションの権利が確立されていることが前提であり、それなくして「地域生活権」の保障はない。そのためにはコミュニケーション支援制度の明確な位置づけと財政投資が必要である。

○ 理由

 現状においてもコミュニケーション支援事業は内容も規模も財政投資も一番遅れている分野である。「地域生活権」が画餅に陥ってはならない。

【野原委員】

○ 結論

 難病患者の場合、多様な個別のニーズに応える体制の構築が不可欠である。

○ 理由

 難病患者の場合、それぞれの疾患ごとに、同じ疾患の患者間でも、日々・月ごとの変動、固定している場合と進行が早い疾病との違い、医療的ケアがあれば軽度の就労は可能だが受け入れ先がないなどなど、既定の「障害」概念では捉えきれない症状や障害が多様にあり、おかれている環境は複雑であるなどからニーズは一人ひとり異なる多くの疾患群である。これらの個別的ニーズに地域が如何に対応できる力量をもっているかによって、「自立(自律)した生活の質」が決まる。在宅での「就労環境」の開発も必要である。これらが伴わないと、「地域で生活する権利」は画餅になる。
 これらの体制構築には、きめ細かなサービス提供ができるNPO などの役割を重視することと行政との協働が求められる。

【東川委員】

○ 結論

 まず、「地域生活とはどういうものを言うのか」を明確にする必要がある。そして、自らが選択した地域生活を、障害のために送ることが困難であれば、その困難を無くしたり、少なくしたりするために、いろいろな問題の解決をできるようにするための「総合福祉法」であると言えよう。
 この際、障害と密接な関係のある医療の問題を解決できるように入れるのかどうかは今後慎重に検討しなければならない課題である。

○ 理由

 上記のように「総合福祉法」を位置づけるなら、「地域生活実現のための支援制度をしっかりと組み立てる」ことは当然である。

【平野委員】

○ 結論

 障害者が地域で生活する権利を明記することは賛成であるが。その前提として「障害者の最善の利益の保障」を支援の基本とする必要がある。どこで、どのように生活するのか茂大事であるが、最も重視すべきは、障害当事者にとって何が一番本人に良いのか(何を望んでいるのか)からスタートすべきである。

○ 理由

  • 「地域」とは何かが問題であろう。一般の世帯・住宅で生活することと狭くとらえるのではなく、グループホームなどの支援的環境も包含する必要があるのではないか。(そ うしないと結局は家族に障害者を押しつけることになりかねない。)
  • 入所施設利用者を地域社会に移行することも大事だが、障害特性や事情により地域移行が難しい障害者にとっては、入所施設から出ることが趣旨ではなく、施設そのものを「地位化」するという発想も必要と思われる。

【福井委員】

○ 結論

 地域で暮らす権利の保障とインクルーシブな社会の構築は、当然の目標であって新制度の根幹をなすものでなければならない。

○ 理由

 障害に応じたきめの細かい支援、地域移行や地域生活支援の充実のための施策の展開、が望まれる。一般社会から分離や排除されてはならないという原則にたっての努力が傾注されなければならず、当然公的な責任において必要な財源の確保と、財政的な措置を講ずることが求められる。

【藤岡委員】

○ 結論

 前提として、障害者基本法において、上記の基本的権利を確認する条項を設ける。たとえば次の条項案が考えられる。
 「表題:自立した生活〔生活の自律〕及び地域社会へのインクルージョン
 1項 何人も、障害を理由として、いかなる差別を受けることなく、地域社会において生活する権利を有する。
 2項 障がいのある人は、自己の意思に基づき、居住地及び誰とともに生活するかを選択する権利を有する。
 3項 障がいのある人は、地域社会における生活を実現するため、国及び地方公共団体に対してその施策を求める権利を有する。」
 そして、総合福祉法(私見では「障害児者支援権利保障法」)においては、
 「1項 障がいのある人は、みずからの意思に基づきどこに住むかを決める権利、どのように暮らしていくかを決める権利、特定の様式での生活を強制されない権利が保障される。
 2項 国及び地方公共団体は、障がいのある人に対して前項の権利を保障する公的義務がある。」との規定を設ける。

○ 理由

 権利条約を実効性あるものとするため。

【増田委員】

○ 結論

 権利条約に基づき,「他の者との平等を基礎として,居住地を選択し,及び誰とどこで暮らすかを選択する機会を得ること,地域社会から孤立や隔離しないための支援を受ける権利」とする.同時にその権利を行使するために必要な制度や支援体制を構築していく責務が国と自治体にあることを明記する

○ 理由

 「自立」という考え方は,人によって捉え方がさまざまであり,支援を受けつつ生きる生き方も含めて考えるべきである.また,もっとも障害の重い人の暮らしを地域で保障していくための具体的な中身が示されない中で,「地域で自立した」という表記については,さまざまな心配や不安をかきたてている現実がある.重度重複の障害があり,医療的ケアが必要な人たちが地域での生活を送っていくことが可能になるような制度や住まいのあり方について検討する必要がある.その際に現在の障害者施設の中での環境をどのように整えていったのか,支援する職員の専門的な関わりなど,実践から学ぶ必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 意見書に記されたことを明記し、具体化する為の方針を規定する。

【光増委員】

○ 結論

 地域で生活する権利の論議をして整理したうえで規定を明文化すべき

○ 理由

 選択した地域の考え方、自立した生活を営むとの考え方には、解釈上の幅がある。部会で論議した上で規定を考える。

【森委員】

○ 結論

 障害に基づく、いかなる差別を受けることなく、他の者と平等に地域において自立した生活を営み、あらゆる社会的活動に参加する権利を有するものであり、そのために必要なパーソナルアシスタンスを含む、支援サービスを受ける権利を有することを明示すべきである。

○ 理由

 障害者権利条約第19条を踏まえ、本人の選択と同意に基づく機会の均等を保障するものでなければならず、かつ、障害の種類、程度による選択肢の制限を設けるものであってはいけない。

【山本委員】

○ 結論

 この法律の目的として掲げられるべき

○ 理由

 この法律は障害者権利条約の国内履行のための法律であり、障害者権利条約1条目的3条一般原則、4条一般的義務に照らして、さらに19条から言って上記が求められる

論点A-3-3) 障害者の自立の概念をどう捉えるか?その際、「家族への依存」の問題をどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 「自立」とは、経済面・生活面・精神面において、自分の力で身を立てることであると考えるが、障害者が障害の程度や能力に応じて、家族による支援、後見人による補佐等を含め、周囲から必要な支援を得ることは「自立」の概念と矛盾するものではなく、「支援を受けながらの自立」という概念を含めて、多様な自立を認めていくことが必要である。

【伊澤委員】

○ 結論

 観念的だが「自立は個人が自己の生の作者」という概念は大切。また障害者だけでなく、「自立」について、広く国民の共通認識が必要!

○ 理由

 すべて一人でする事ではない!、という共通認識の確立とともに、一定年齢に達したら、親元を離れて、自己決定・自己選択・自己責任という自立的生活への移行ができる体制や仕組みづくりが必要ではないだろうか。

【石橋委員】

○ 結論

 自律も含めた自立が認められるべきである。
 障害により自立の観念が違う。経済的自立、身辺介護からの自立は狭義と考える。
 また、子どもや重度の障害児者は家族の介護(精神面を含め)を必要としている。「家族への依存」の問題は、「家族」への負担軽減、支援を中心に考えた施策を図るべきである。

○ 理由

 同上

【氏田委員】

○ 結論

 単に一人で生きていけることが自立ではなく、支援を受けながらも自己決定し、自分で自分の生活を作り上げることができることを自立と考える。それは、自らサービスを選び、支援者を選ぶことでもある。
 家族への依存は、自己が尊重され愛情を注がれるという体験が本人のエンパワメントを支えるという点で重要な意味を持つ。特に障害を持つ子どもの発達経過におけるその重要性は論をまたない。このことは、子どもの成長発達に不可欠な「家族依存」が損なわれないための家族支援・子育て支援が必要であることにもつながる。しかし同時に大人になってまでも共存状態が続くと自立の妨げとなる場合がある。また、家族への経済的な依存が生じないよう所得保障が必要である。最後に、当然のことであるが、福祉サービスが不足することによる家族依存は無くすべきである。

○ 理由

 どんなに障害が重くてもその人なりの自立はあると考えるべきである。
 家族としてのつながりや愛情は、支援者、援助者が代わってできることではないし、代わるべきものでもない。
 特に、障害を持つ子どもの場合には、将来の地域での自立(自律)生活に関わる基盤を築くために「家族依存」が必要な時期がある。この時期には、家族支援・子育て支援を通じた、親子を対象とする支援が必要不可欠である。発達的視点から考えると、障害者の自立(自律)と家族依存が必ずしも矛盾しない局面のあることが理解されるべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 基本的には、日常生活や職業生活に困難があっても、自己決定・自己選択をもって「自立(自律)」と考える(当然、支援を受けた自己決定も含む。)。したがって、この「家族への依存」が家族の介護等の支援を指すものであるのなら、本来、「自立(自律)」とは直接的には関係しないと考える。
 なお、障害のある人とその家族において、精神的、心理的な関係性(依存関係)は、法制度にかかわらず、重要な課題であることを付け加えたい。

○ 理由

 ここでいう「家族への依存」の意味するところが理解できない。自己決定や自己選択の依存なのか、介護等の支援を指すものか、経済的支援なのか。
 「家族への依存」が家族の介護等の支援を指すものであるなら、その負担を家族のみに強いるべきではないと考えるが、その負担感は家族によって異なることや障害者本人の家族への依存の自覚もそれぞれ違うことも考えられ、一概に言及することは難しい。また、経済的支援を受けている人は、障害者に限らず多くの例があるとも考えられ、「家族への依存」を課題提起する場合はその論点を明らかにする必要があると考える。

【大濱委員】

○ 結論

 障害者が、家族へ過度な負担が掛からないような家族支援の在り方と、家族が高齢になった場合に、地域で1人で暮らせるようになるための準備ができるようにすべき。

○ 理由

 最重度の障害者を持つ家族への過度な負担のため、親子心中なども起こっている。親が死んでから地域で生きる準備をするのでは遅く、施設入所になりやすい。親が死ぬ前から準備できるように。
 地域の支援体制の欠如、旧来からの地域的な因習の変更のために市町村レベルで地域の意識変革。

【小澤委員】

○ 結論

  • 自己決定を前提、家族介護からの自立、経済的な自立の3側面で、かんがえる。

○ 理由

  • 新法では、家族介護から社会的ケア、という方向をめいかくにする。

【小田島委員】

○ 結論

 どんな生活をするか、家族ではなく本人がきめること。

○ 理由

 家族が本人を施設や病院に入れないようにするため。

【小野委員】

○ 結論

 配偶者を含む家族の収入を所得認定対象から除外するとともに、家族介護を前提とした居宅サービスの仕組みを大幅に見直す。また民法の扶養義務規定を改正する。

○ 理由

 介護保険ならびに自立支援法は、家族介護を前提とした仕組みになっているため、支援の抑制は、そのまま「家族への依存」に結びついてしまうため。

【門屋委員】

○ 結論

 「自立」は個人の尊厳が損なわれない状態であり、成人と共に国民の一人として認められることである。ただし、法により社会的権限を代理される個人を排除しない。基本的に自己決定権があり、どこで生活するかについての選択は個々人にある。
 「家族への依存」は基本的には個人に任せられるべきことである。「障がい」ゆえに依存することも、依存させる家族も、個人の権利に属していると考える。ただし、過去から今も暗に求められる家族であるが故に扶養すべきといった文化は排除されるべきである。家族との絆は依存関係をともなってることも当たり前であり、依存=扶養といった構図はありえない。
 詳しくないが、某国では重度障害者であっても年金から税金を納めるとのこと、納税者としての社会的立場が一般国民との対等性を担保していることは、学ぶべき姿勢と考えます。

○ 理由

 どのような重い障害であっても、成人と共に一人の国民として、自立した個人として対 応されることを基本とする。社会的自立を成人と定めて、以降個人としての生活が保障さ れるべきである。家族との関係は、本人と家族の意向によって、国民一般が行っている家 族関係と生活のように考えるべきである。家族支援によって社会サービスが少なくてすむ ことも、権利としてのサービスを受けることも選択権に属している。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 家族とともに暮らすか、独立して暮らすかなど、生活様式を自由に選択でき、自分らし生活ができることを自立と考える。その場合、家族に依存しない、社会で支える仕組み、生活が基本と考える。

○ 理由

 精神障がい者においては、80%以上の人が家族と同居しており、家族の支援を受けて生活している。これは自らの選択ではなく、独立したくても条件が整わないためであり、本人が望めば自立して生活することを可能にする制度(住居、所得、ケア)が十分整う必要がある。

【北浦委員】

○ 結論

 障害者が、自らの意思で主体的に生きることが自立であるとされている。しかし、自己の意思を表明することが困難な者もある。この場合にあっては、家族等の第三者が障害者の主体性を忖度して自己実現を支援することになる。支援者が家族である場合には、過度な依存を期待してはならないようにすべきである。

○ 理由

 「家族への依存」が障害者本人の支援を歪めるようなことがあってはならないので、第三者によるチェックが働くように機能するシステムを構築することが必要である。

【北野委員】

○ 結論

 「障害者の自立生活」とは、「他の市民と同様の役割や社会参加・参画する権利を行使するために、必要な支援や合理的配慮を活用して、本人の選びとった生活」のことである。

○ 理由

 他の選択肢が保障された中で、本人もその家族も、共に生活することを選びとった場合には、それを「家族への依存」と呼ばないことは当然であるが、一般的な人生の経験や選択肢を保障せず、それ以外の選択肢が想定困難なわが国の現状は、「本人」の自立も、「家族」の自立をも妨げてしまっていることに注意すべきである。

【君塚委員】

○ 結論

 年齢や環境などを考慮して、早期より対応をおこなう必要がある。

○ 理由

 家族が成り立たなくなることは避けねばならないが、依存ということではなく、互助の核として家族が支えないと、障害者の生活が成り立たなく恐れがある。依存ということではなく、家族の一員として、受け入れてゆくための方策が必要である。とくに児の場合には児が家族の中心となって、家族関係が形成されてゆくための仕組みの検討がなされなければならない。

【近藤委員】

○ 結論

 障害者の「自立」は、自己選択・自己決定により、自己実現をはかることと捉える。

○ 理由

 「自立」は、経済的自立や日常生活動作の自立を指すのではなく、支援を受けながら、自己選択・自己決定をもってその人らしく生きることである。

【齋藤委員】

○ 結論

 障害者の自立とは旧来的な「人の手を借りない」自立では当然なく、必要な支援を受けつつ社会の中で共に生きる主体的な存在としてあることである。だからして一定の年齢を過ぎれば、親・家族に依存しなくても済むような環境や条件の整備が準備されなくてはならない。

【清水委員】

○ 結論

 「自立」とは、必要な支援を得て私が私を生きるということ。「家族への依存」の問題は本人が家族としての役割をどう果たすか、そのことの支援をどうすすめていくかという観点に転換すべき。

○ 理由

 一人ひとりがその存在の価値を発揮していくことを支援していくことが、地域自立生活支援であると考えます。そういうことの実態化に向けて、具体的に支援を進めていくべきだと思います。そしてどんなに障害の重い本人も、例えば娘として息子として、年老いた親をどう看取っていくか等、そのことに向けて支援が求められているのだということに、青葉園の人たちの今の生き方から気がついてきました。

【末光委員】

○ 結論

 重症心身障害者など重度の知的障害があるために自己決定が困難な障害者においては、自立とは、生命と生活が安定して支えられることを基本として、それぞれの人々の意欲と意志と個性が尊重される状態である。生命と生活の維持が家族に依存し過ぎる状態は避けるべきである。

【竹端委員】

○ 結論

 支援をうけた自立、という考え方を、法の中でもひとつの柱にすべきです。

○ 理由

 自立には4つの自立があると言われています。1.けいざい的(お金の)自立。2.身体能力の自立。3.自己決てい・選たくの自立。4.個性やその人らしさの自立。1や2の自立がむずかしい障害者が大切にしてきたのは、自分で決める・選ぶという3の自立でした。でも、それが苦手な障害者もいますが、だれだって個性やその人らしさはあります。1や2ができないから、大人になっても家族にずっと頼らなければいけないのは、本人もかぞくも苦しめます。3や4の自立を支えるのが、総合福祉法で大切なところです。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者が他者から支援を受けることは障害者の「自立」に反するものではない。障害者がその家族から多くの時間と労力をかけた支援を受けてきたことは事実であるが、これは旧来型の支援体制であって、新法では障害者が社会全体からの支援を受けることを前提とし、家族は支援者の一人であるという考え方をとるべきである。

○ 理由

 従来、障害者はその家族から多大な支援を受けてきたことは事実であるが、このことは、社会における障害者に対する理解が不十分であったことを背景として、障害者の「家族内への隔離」という状況につながっていたということができる。障害者が地域で生活する権利を前提とする新法では、障害者を社会全体で支援し、家族はその一支援者としての地位に立つとした上で、障害者が各種の支援を受けながら、自らの選択と決定を行うことで「自立」が確保されると考えるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 基本的には、「障害者の自立・支援」として、自立は支援と対にしてとらえる。
 「家族への依存」の問題については、回答不能。

○ 理由

 ICFを踏まえて必要な支援を受けての自立としてとらえるべき。
 「家族への依存」は自立を考える際の環境の一つとしてとらえる。支援や経済的な不足により家族との関係が共依存である状態などが想定されるが、自立を考える上で、家族への依存だけが取り上げるべき環境ではないととらえているため。

【中西委員】

○ 結論

 自己選択・自己決定による自立生活はあらゆる障害者にとって可能である。支援を受けての自己決定という概念を認めるべきである。子供が家族から自立するのは生理的な欲求であり、それを支援するのが総合福祉法の役割である。家族支援を前提とした支援は、結局は障害者の家族への依存を生み、家族の障害者への共依存を生んでいる。

○ 理由

 知的障害者は自己決定能力がないとよく言われるが、当事者とのコミニュケーションツ ールを工夫し、ボディーランゲッジも含めて、イエス、ノーを聞き出すことはほとんどの 障害者において可能である。それを出来ない人たちについては、家族や周囲の人たちで本 人の性向を熟知している人たちが支援して、本人の一番望むことを実現していくことが必 要である。

【中原委員】

○ 結論

 自己決定・自己実現をもって自立ととらえるのであれば、自立と「家族への依存」は直 接的には関係しないと考える。また提起されている「家族への依存」の意味が不明確であ る。
 家族への過度な依存は好ましくないが、家族の理解と協力は必要である。

○ 理由

 本人と家族の利害関係が相反する場合もあるが、家族関係を依存という問題としてとら えるのはどうか。
 「家族への依存」を介護等の支援を指すのであれば、その負担の軽減を図ることは必要 だが、両者は直接的には関係しないと考える。

【奈良崎委員】

○ 結論

 重度の障がい者であっても本人に福祉サービスのことを教えることが大切

○ 理由

 障がいがあっても家族だけでは考えない。まわりの人たち支援者が手伝い、伝えることが大切

【西滝委員】

○ 結論

 対等で人間的なコミュニケーションの権利や諸権利を保障した社会環境が障害者の自立を促す。成長に沿った生涯にわたっての権利保障の道筋が「家族への依存」を不要とする。

○ 理由

 自由で十分なコミュニケーション環境が整備されることにより能力を発揮し活躍する聴覚障害者の生きざまを通して「自立」「家族依存」が社会環境にあることを痛感する。

【野原委員】

○ 結論

 当事者の選択(自己決定権)を保障すること。

○ 理由

 先の見えない長期の療養生活を家族とともに過ごしたいと願う難病患者は少なくない。家族への「依存」は、当事者への経済的自立の社会的保障、家族への支援を含めて行うことを前提に、一概に否定されるべきではない。これも多くの場合、個人のニーズへ対応する地域の力量によって「自己決定権」の質が変わってくる。
 当然、家族がなくても自立するに足る当事者の生活は保障されなければならない。
 小児の場合は、これらに身辺自立を培う教育的配慮が必要である。

【東川委員】

○ 結論

 他の法律の規定も含め、「自立をどうかんがえるか」は様々な考え方がある。自立は少なくともつぎの3つの意味を含む考え方と捉えるべきである。
 第1に自己決定・自分の考えがしっかり取り入れられていること。
 第2に日常生活を送るための動作ができること、
 第3に就労。就学を含む社会生活がおくれること。
 障害があるために、こうした自立が困難である場合は、必要な支援を保障し、自己決定を大切にしたに生き方を実現することこそが、障害者にとっての自立であると考える。

○ 理由

 障害があるために、特別の困難がある場合の「自立」は、特別の困難にたいする支援が保障されることがまず大切なことである。でなければ、これまでの歴史で明らかなように、支援を必要とする者は、「自立できない人」として存在を否定され、当然の権利が奪われたり、「人間らしく生きること」が踏みにじられることになるからである。
 家族と共に生活しても成人した障害者には独立した人格が保障されねばならいし、家族による必要以上の保護も扶養の義務も無くさなければならない。
 介護者亡き後の不安をなくす社会全体が支援していく仕組みが必要である。

【平野委員】

○ 結論

 自立支援法が自立を、経済的自立と(介助を要しない)生活面での自立としてが、自立を多義的に捉える必要がある。生活保護専門委員会(H16年)は、生活保護における自立を「就労自立」「日常生活自立」「社会生活自立」としたが、障害者領域でもこれに倣ってはどうか。また「自立したかどうか」という結果で判断するのではなく、「自立しつつあるのか」というプロセスやベクトルで考えるべきではないのか。

○ 理由

 障害が多岐多様であることを考えれば、自立を単一の定義で規定することに無理がある。また、自立出来たかという結果で評価するのであれば、出来なかった障害者は自己責任を果たしていないこととなる。障害そのものを社会的責務という観点から捉えるのであれば結果でなく、プロセスやベクトルに注目する必要がある。

【広田委員】

○ 結論

 本人が自立しやすいような法などの整備。
 文化的なもの含めて。

○ 理由

 家族がみるべきだと思い込んでいるので、社会がみるという視点が大事。

【福井委員】

○ 結論

 自立とは、障害者が自ら選択した地域で、人間としての尊厳を保ち、安心して生活を営む権利を有することをいう。「家族への依存」からは当然脱却しなければならず、公的施策がそれを保障しなければならない。

○ 理由

 私たちが廃止しようとしている「障害者自立支援法」は、まさにこの点を根本的に逸脱した理論であった。障害を自己責任、受益者負担と位置づけ、自立を支援するのではなく、自立という本来の権利をしっかりと保障していくことこそ社会的な責任なのである。その実現のために、24 時間介護を含む支援制度を構築し、共生社会の実現をめざすことが望まれる。

【藤岡委員】

○ 結論

 ここで論じるべきは、障害者公的支援法を論じる文脈での自立概念であって、一般哲学での自立論ではないことに注意するべきである。
 支援法に基づく公的施策を含む様々な支援を活用しながら自らの意思で生き生きと主体的に生きていくこと。
 従来の障害の家族介護、家族責任から社会責任への移行を明らかとするべき。

○ 理由

 障害者が就労により経済的に自立することも障害者の人間としての尊厳確保の意味か らも、社会経済上もとても大切なことであり、この部会のめざす重要なテーマの一つは「一般就労」と「福祉的就労」の分断を可能な限り解消して、「社会的雇用」等の充実も図り、支援を活用しながらの労働を実現することにある。
 公的支援を受ける権利を行使することは決して経済的自立とも背反するものではなく、 「公的支援を活用しながらの経済的自立」(職場内パーソナルアシスタント付き就労など)を本格的にめざすべきである。
 措置時代、支援費制度の「家計への影響を斟酌」という文言は障害の家族責任を前提と しており、新法はこの思想からの決別を謳わなければならない。
 ここでは民法上の扶養義務一般を廃止するべきことを意味しない。
 障害に起因する特別な負担を親子、配偶者、家族に課さないということである。
 親子、夫婦等の生活扶助義務一般を否定する議論は飛躍と考える。

【増田委員】

○ 結論

 「家族が面倒をみるのが当たり前」という政府の考え方を改め,本人本位の法制度にしていく.障害のある人の支援を考える時に,本人中心にその支援を組み立てるべきである.医療的なケア,福祉的な支援や介護を受けつつ,1 人の人間として尊厳ある暮らしを送ることがその人にとっての自立した暮らしといえる.

○ 理由

 自立にはさまざまな考え方があり,その多様性を認め,支援のあり方を考える必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 「自己決定と自律」を基本とした自己実現を自立とする。同時に、責任についても決定・自律のレベルに応じて明確にする。そして、本人の意思を尊重しながら家族介護等を前提としない支援体系(権利擁護・所得保障・住まいの場・ケアサービス)の構築が必要と考える。

○ 理由

 障害を障害のある人の内にあるものとして、障害に伴う生活課題を、自己責任、同時に家族責任としてきた障害観を根底から転換して、支援体系を構築する必要があるため。

【光増委員】

○ 結論

 自立の概念は幅が広い。だれにでもあてはまるような自立の概念の表現が必要。「家族への依存」の表現は偏りがある文章表記を直すべきでないか

○ 理由

 だれでも人間として生きていくうえでの自立の考え方がある。そのために一人で生きていく人もあれば、多くの人の支援を受けながら地域で生活している人もある。中には病院で医療を受けながら生活している人もいる。したがって自立の概念は広くだれにでも当てはまる表現にすべき。
 「家族への依存」の表現はかえるべき、家族に皆依存しているわけではない。家族との関係性の問題である。多くの人は家族から依存でなく協力、支援を受けている。

【森委員】

○ 結論

 自立とは、「自己決定、自己選択をもとに自己実現すること」であることについて国民すべてに理解を浸透させる必要がある。「家族への依存」が自立を妨げる場合のあることについてもわかりやすく明記すべきである。

○ 理由

 「家族による保護的思考」、「家族への依存」が障害者の自立を妨げている現状について、家族、本人を含め理解を進める必要がある。

【山本委員】

○ 結論

 自立概念については、自律自己決定と同時に、支援を受けた上での自律自己決定ととらえられるべきであり、さらに自律自己決定の前提は選択肢の保障であり、自律の概念規定以前に選択肢保障が法的になされるべき
 選択肢保障のないところに自己決定はない
 家族への依存は否定されるべき

○ 理由

 自立が経済的自活や、一人で何もかもできることではないということが重要であり、この点の確認がないと、一生訓練に費やすことを強いられたり、全生活を医療の傘に下に置かれたりすること、あるいは就労強制や就労に向けた訓練のみが強調されることになり、障害を持つものが他のものと平等に扱われないことになる。
 また病院・施設しか生きる場がない、あるいは限られた選択肢を押し付けられるということがないよう、選択肢の保障は自律自己決定の前提である。
 なお家族への依存については、依存しているのは国の社会保障制度であって、障害を持つ人の依存ではない点が重要