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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 参考資料7-1

藤岡委員提出資料

B 障害の範囲
B-1 法の対象規定
「脳脊髄液減少症」について

NPO法人サン・クラブ 理事長 栂 紀久代

 脳脊髄液減少症は、2001年頃日本の医師が発見した病気です。
2006年9月に、第65回脳神経外科学会において、国際医療福祉大学熱海病院の篠永正道教授が論文発表されました。医学会の中で、初めての論文発表でした。
 2006年NPO法人サン・クラブは、脳脊髄液減少症の患者団体として設立しました。
現在の活動は、患者の実態調査や追跡調査及び治療前後の症状と残っている症状の調査分析し、冊子も出版しています。
しかし、現在の日本の医療の中では医師と患者の目線の違い、立場の違いがあり、患者は声をあげる事すら許されていません。
早期発見、早期治療に繋げて行かない限り脳脊髄液減少症の患者は、手遅れになり身体に残っている症状で本来認められるべき障害に関しても、一部の医師が診断書を書いてくれないと言う現実があり、また国にもこの病気が認められていないので、その診断書すら認めてくれないと言う現実があります。
 病名は、WHO の認めるICD10での表記をしてもらっても、脳脊髄液減少症と言う病名があるだけで、全て認められない現実があります。
WHOのICF基準から見ると、殆どの方が体に障害を残しているにも拘らず、認められない現実です。神経障害が多く外からは全く見えない、また検査をするにも検査方法すらない神経障害が多いことも事実です。
体の痺れは、痛みの一種ですがその痺れを証明する方法すらありません。
その上、詐病とか怠け病と言われ、心を傷つけられ精神的に追い詰められ、自ら命を絶つ方も多く、今は、サン・クラブは「心の雨宿りの場所」として電話やファックス、メールの病気の相談にも応じています。いわゆるピア・カウンセリングです。
 この病気をご理解頂く為には、強烈な船酔いまたは車酔い状態、または強烈な二日酔い状態と表現すれば解って頂けるでしょうか。その上全身に痛みを伴います。
 病状から来る肉体的苦痛、無理解から来る精神的苦痛、働けない現実から来る経済的苦痛の三重苦に遭っています。
 難病の定義にもあてはまりますが、治療には健康保険の適用も無く患者は経済的負担を強いられています。(1回の治療費は、20万から50万円)
障害があっても障害認定も認められず、周囲の無理解から来るハラスメントに追い詰められています。
頭痛(頭重感を含む)、すぐに疲れる、集中力がなくなった、天気の悪くなる前は具合が悪くなる、横になると楽になる、腰痛、忘れっぽくなった、背中の痛み、気力が湧かない、耳鳴り、めまい、手足のしびれ、視覚障害、聴覚障害等々まだ他にも多くの症状があり、全身に症状が出ます。慢性になると障害として体に残ってしまいます。
体幹機能障害として障害が残る場合や、視覚障害として体に残る場合、麻痺症状が体に残 る場合もありますが、ほとんどの方はその障害は認められていません。

難病情報センターホームページより
難病とは?

 「難病」は、医学的に明確に定義された病気の名称ではありません。いわゆる「不治の病」に対して社会通念として用いられてきた言葉です。そのため、難病であるか否かは、その時代の医療水準や社会事情によって変化します。
 例えば、かつて日本人の生活が貧しかった時代には、赤痢、コレラ、結核などの感染症は「不治の病」でした。その当時は有効な治療法もなく、多くの人命が奪われたという点で、これらの疾病はまぎれもなく難病でした。しかし、その後日本人の生活が豊かになり、公衆衛生の向上、医学の進歩および保健・医療の充実と共に、これらの感染症は、治療法が確立され不治の病ではなくなりました。しかし、治療がむずかしく、慢性の経過をたどる疾病もいまだ存在し、このような疾病を難病と呼んでいます。
 一方、昭和47 年の難病対策要綱において、難病は、(1)原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくない疾病、(2)経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」と定義されています。
 我が国の難病対策では、症例数が少なく、原因不明で、治療方法が確立しておらず、生活面への長期にわたる支障がある疾患については、(1)調査研究の推進(難治性疾患克服研究事業:対象は臨床調査研究分野の130 疾患)、(2)医療施設等の整備(重症難病患者拠点・協力病院設備)、(3)地域における保健・医療福祉の充実・連携(難病特別対策推進事業など)、(4)QOL の向上を目指した福祉施策の推進(難病患者等居宅生活支援事業)などの対策が行われています。また難治性疾患克服研究事業における臨床調査研究対象疾患130 疾患のうち、診断基準が一応確立し、かつ難治度、重症度が高く、患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療法の開発などに困難をきたすおそれのある疾患については、(5)医療費の自己負担の軽減(特定疾患治療研究事業)対策をしています。