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総合福祉部会 第5回 H22.7.27 資料5

全国在宅障害児・者実態調査(仮称)の基本骨格(案)について

1.調査の目的

 障害者自立支援法廃止後の制度の谷間を生まない「障害者総合福祉法」(仮称)の検討や施行準備の基礎資料とするため、在宅の障害児・者(これまでの法制度では支援の対象とならない者を含む。)の生活実態とニーズを把握する。

※1 施設入所者、入院患者等の在宅の障害児・者以外の者については、在宅者と同一の調査で行うことは難しいため、今回の実態調査の対象とはしない。

※2 施設入所者及び入院患者の調査等の実施については、総合福祉部会の構成員を始めとする関係団体その他の関係者間で議論いただき、その結果を踏まえて検討する。

※3 今回の実態調査の名称については、今後検討。

※4 今回の実態調査については、障害福祉行政の企画・推進の基礎資料であり、今後も定期的に実施することを想定。

2.調査の方法

  • 調査員が調査地区内の世帯を訪問し、調査の趣旨等を説明の上、調査対象の有無を確認する。
  • 調査対象者がいる場合は、調査票を手渡し、記入及び郵送による返送を依頼する自計郵送方式。
  • 調査票は原則、調査対象者本人が記入する。

※5 記入の支援方法等について、今後検討。

3.調査の内容

(1)調査の内容を検討するに当たっての考え方

 今回の実態調査については、新しい総合的な福祉制度の対象者が明らかでないことから、その調査対象となる範囲を幅広く設定することが適当である。また、このような調査の基本的な性格の下で、障害の状況に対応したサービス提供のあり方の検討に資する調査とするためには、障害の状態その他の調査対象者の基本的な属性と必要とされる支援内容との関連について分析が可能となるような調査項目の設定が必要である。

(2)具体的な調査項目とその必要性

①回答者の基本的属性に関する調査項目

調査項目 具体的な調査内容 必要性
障害の状況
  • 障害の状態及びそれに伴う日常生活又は社会生活上の支障について一定程度分類した選択肢を示して選択(障害の重複状態についても調査)
  • 障害の状態及びそれに伴う日常生活又は社会生活上の支障の程度について分析するために必要
障害の原因等
  • 障害の原因について選択肢を示して名称を選択(名称の例:脊椎損傷、統合失調症等)
  • 発作など症状が断続的に生じるものについてはその頻度
  • 障害の原因が生じた年齢又は診断を受けた年齢
  • 障害の状況を分類するために必要
日常生活又は社会生活上の支障の継続期間
  • 障害に伴う日常生活又は社会生活上の支障を生じることとなってからの期間を選択
    (区分の例:6ヶ月以上1年未満、1年以上2年未満、2年以上5年未満、5年以上)
  • 障害の継続期間により、福祉サービスの利用状況や利用希望等に差があるのか検証するために必要
日常生活又は社会生活上の支障の発生頻度
  • 日常生活又は社会生活上の支障が発生する頻度を選択
    (毎日、週○回、等)
  • 日常生活又は社会生活の制限の程度の目安として確認が必要
年齢及び性別
  • 年齢(○歳)及び男女の別
  • 調査対象者の年齢構成等について把握することが必要
居住形態及び同居者の状況
  • 居住形態(自宅、GH・CH等の別)、同居者の本人との関係、年齢、就労の状況
  • 居住形態、同居者の状況と福祉サービスの利用状況との関係等の検証を行うために必要
障害者手帳等の種類
  • 身体障害者手帳(障害の種類、等級別)、療育手帳(程度別)、精神障害者保健福祉手帳(程度別)、特定疾患医療受給者症、小児慢性特定疾患医療受診券の有無
  • 障害程度区分又は要介護認定の状況
  • 障害のある者がどの程度、現行制度による支援の対象となっているか等について検証するために必要。
収入の状況
  • 1ヶ月当たりの収入内訳を記載(就労収入○円(うち工賃○円)、公的年金○円、手当○円等)
  • 収入の現状を把握するために必要
課税状況等
  • 所得税・住民税の課税状況、生活保護受給の有無等
  • 収入状況を補完する情報として必要
支出の状況
  • 1ヶ月当たりの支出内訳を記載(医療費○円、福祉サービス利用者負担○円(うち食費等実費負担○円、サービス利用料○円)、家賃○円等)
  • 収入に対する支出状況を把握するために必要
日中の活動状況等
  • 日中の主な活動内容について例を示して選択(就労、就学、居宅等)
  • 外出の状況
  • 日中の活動状況等の把握のために必要

②現在利用しているサービスと今後利用を希望するサービス

障害福祉サービス等の利用状況
  • 居宅介護、生活介護その他の障害福祉サービスや介護保険サービス等の利用の有無及び利用量、補装具・日常生活用具の使用の有無等
  • どのようなサービスを利用しているのか現状を把握するために必要
障害福祉サービス等の希望
  • 利用を希望するサービスの内容及び量(居宅内の介護等の支援、外出時の支援、日中の介護、就労の支援、生活の場等)
  • どのようなサービスにどの程度の利用希望があるのか把握するために必要

※6 調査項目については、過不足等について今後更に検討。

(3)調査対象者の範囲について

障害者権利条約第1条を踏まえ、今回の調査の対象者については、以下のとおりとする。

【参考1】障害者権利条約第1条(政府仮訳抜粋)

 「障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有するものであって、様々な障壁との相互作用により他のものと平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあることのあるものを含む。」

 障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)の交付を受けている者又は交付を受けていないものの、以下のような長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害に伴い、日常生活又は社会生活が制限される状態に概ね6ヶ月以上該当する者若しくは該当することが見込まれる者(明らかな改善状況にあるものを除く。)

<例>

  1. 眼鏡等の機器を使用しても、見ることに困難(difficulty)を伴う
  2. 補聴器等の機器を使用しても、聞くことに困難を伴う
  3. 歩行や階段の上り下りに困難を伴う
  4. 思い出すことや集中することに困難を伴う
  5. 入浴、衣服の着脱のような自身で行う身の回りのことに困難を伴う
  6. 話し言葉を使用して、意思の疎通(例えば、理解したり、理解してもらうこと)を行うことに困難を伴う
  7. もの(2キロ程度)の持ち上げや小さなものをつまんだり、容器の開閉をすることに困難を伴う
  8. 疲れやすさや痛みがある
  9. 金銭管理や日常の意思決定に困難を伴う
  10. 幻覚・妄想、そう・うつ、けいれん、薬物などの中毒その他の精神の障害がある
  11. 対人関係やコミュニケーションの困難さ、パターン化した興味や活動、読み書き能力や計算力などに特化された困難さ、不注意、多動・衝動的な行動のいずれかがある
  12. 児童の場合は、発達状況などからみて特別の支援や配慮をしている

【参考2】

 上記の例示は、ワシントングループが障害統計に関し国勢調査用等に作成した質問内容(six question set)等を参考に例示した。なお、ワシントングループは、「国連障害測定に関する国際セミナー(2001年6月)」において障害データが国際比較できるような統計的・手法的作業が国際レベルで必要とされたことから、非公式・一時的に組織された市民の集まり(CITYGROUP)であり、会合はこれまでに9回行われその概要が国連統計委員会に報告されている。

4.スケジュール等

別紙

全国在宅障害児・者実態調査(仮称)の検討スケジュール(案)

時期 全体(総合福祉部会の動き) ワーキンググループ 研究班
22年5月   調査対象、調査方法、調査項目等についての基本的な考え方について検討(この間、数回にわたり議論)  
  ワーキンググループの検討結果をもとに、具体的な調査設計の骨格(案)を作成
調査設計の骨格(案)をとりまとめ  
22年夏 調査設計の骨格(案)を総合福祉部会に提示し、意見聴取    
  総合福祉部会の意見を踏まえて、調査設計の骨格(案)を修正  
    ワーキンググループで示された方針を基に、試行調査の調査票案を作成
  調査票の案について当事者団体の意見聴取(書面及び必要に応じヒアリング)
意見聴取の結果を踏まえて、試行調査の調査票案をとりまとめ
 
調査票案を総合福祉部会に提示し、意見聴取    
  総合福祉部会の意見を踏まえて、試行調査の調査票案を確定  
22年秋     試行調査の実施
   
    試行調査の結果の集約
試行調査の結果を踏まえた調査対象、調査方法、調査票の案の作成
  試行調査の集計結果の報告
調査対象、調査方法、調査票の案をとりまとめ
 
試行調査の集計結果の報告
調査対象、調査方法、調査票の案を総合福祉部会に提示し、意見聴取
   
  総合福祉部会の意見を踏まえて、調査票等の内容を確定  

※ 比較的小規模の市町村の意見の聴取方法についても検討する。