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総合福祉部会 第7回 H22.9.21 資料1-1

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野G 利用者負担)

目次

(分野G 利用者負担)

<項目G-1 応益負担の問題点と現状の評価>

論点G-1-1) 「自立支援法」で導入された自立支援給付(福祉サービス、補装具)、自立支援医療の応益負担の問題点についてどう考えるか?

論点G-1-2) 「応益負担の廃止」方針に基づく、今年4月からの福祉サービスと補装具の軽減措置についてどう評価するか?

論点G-1-3) 基本合意でも「当面の重要な課題」とされている自立支援医療に関する軽減措置についてどう考えるか?

論点G-1-4) 「自立支援法」では福祉サービスや医療の応益負担以外に、食費や光熱水費等の実費負担が導入されたが、これについてどう考えるか?

<項目G-2 負担の範囲>

論点G-2-1) 「応益負担廃止」後の負担のあり方として、サービス・支援に関する負担と食費等の実費負担について、それぞれどう考えるか?

論点G-2-2) 費用負担を求める場合の仕組みとその際の負担を求める範囲(障害者本人、同居家族等)についてどう考えるか?

<項目G-3 その他>

論点G-3-1) 「分野G 利用者負担」についてのその他の論点及び意見

(分野G 利用者負担)

<項目G-1 応益負担の問題点と現状の評価>

論点G-1-1) 「自立支援法」で導入された自立支援給付(福祉サービス、補装具)、自立支援医療の応益負担の問題点についてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 平成22年4月から実施された障害福祉サービス及び補装具の利用に係る利用者負担無料化の影響と効果を検証し、必要に応じた軽減措置を検討するとともに、自立支援法制度下における軽減措置のように特別対策や緊急措置などによらず、法律上明確化する必要がある。

○ 理由

 国において、障害者の経済的な状況等をふまえ、必要な軽減措置を検討し法律に明記するべきと考える。

【伊澤委員】

○ 結論

 自立支援医療を含めて応益負担は廃止することを方向として明確化する。つまり究極的には社会的支援の徹底を追求することで、負担ゼロ社会の実現を目指す。

○ 理由

 障害は自己責任ではない。福祉サービス、補装具、自立支援医療は普通の生活に支障が生じていることへの対応であって、受けることにより本人に利益がもたらされると考えるべきでは断じてない。したがってそもそも負担が存在すること自体がおかしい..、という国家としての見識の確立を強く求める。

【石橋委員】

○ 結論

自立支援給付( 福祉サービス、補装具) の応益負担の問題点

  1. 負担増の軽減策実施後も福祉サービスの利用が改善されていない。
  2. 補装具の作り直しを負担増から躊躇している。
  3. 補装具の事業所を選択できるほど数が増えていない。
  4. 福祉サービスと補装具の費用のそれぞれを1割負担としている

自立支援医療の応益負担の問題点

 負担に対するコンセンサスがないまま、新制度でも負担増とならないよう な制度設計を求める。

○ 理由

 福祉サービスを使用するほど費用負担多くなるため、必要とするサービスまで利用を控えるようになった。
 肢体が成長する(変化する)肢体不自由児者にとって体型に合わせて補装具を造りなおす度に1割負担と考え、見直す時期を遅らせている。
 現物支給から補装具費支給としたのは、補装具事業に参加する事業所を増やすことにあるがこの手段の支援が見えない。

【氏田委員】

○ 結論

 応益負担は廃止すべきである。

○ 理由

 「国民は等しく文化的な生活を保障される」と憲法にも謳われているが、障害のある人が地域で暮らしていくために必要な支援や援助については、すべて権利として保障すべきであり、受益者負担の原則はそぐわない。障害が重い人ほど福祉サービスや医療が必要であり、所得保障が不十分な現状の中での応益負担は、本人や家族に過度の負担を強いている。

【大久保委員】

○ 結論

 理念的には、応益負担が障害の重さ( ニーズの必要度)に応じて負担が大きくなるという仕組みであり、違和感があるが、最も大きな問題は、その負担に見合う所得保障がないまま、拙速に導入したことであると考える。
 なお、「保護の対象から権利の主体へ」ということからすれば、しっかりとした所得保障を背景に、消費者として福祉サービスを利用するという観点から、一部を負担することは差し支えないと考える。

【岡部委員】

○ 結論

 低所得者層により厳しい利用抑制が働くしくみである点。

○ 理由

 詳しくは拙著「ポスト障害者自立支援法の福祉政策」( 明石書店) 第2 章を参照のこと。

【小澤委員】

○ 結論

 応益負担に関しては、理念的な問題点と現実的な問題点の2 つがある。理念的な問題は、「障がい」の自己責任論的な価値観への疑問。現実的な問題点は特に低所得者にとって過度の負担になったこと。

○ 理由

 費用負担の軽減の問題だけでなく、理念的な問題も含めて対応する必要がある。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 応能負担にすべきである。

○ 理由

 低所得者に対する配慮が必要。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 応益負担であってはならない。障がい者の生活に必要なサービスは、国の責任においてその必要性に応じてサービスが豊かに提供されるべきである。

○ 理由

 収入の状況によって、利用を制限せざる得ないことは不適切である。

【北浦委員】

○ 結論

 応益負担の考え方は、介護保険との統合を視野に導入されたと思われるが、福祉給付制度における場合には、負担能力に応じた負担とする必要がある。これは補装具、自立支援医療についても同様である。

○ 理由

 障害者に関わる福祉サービスについては、応益という概念を取り入れるべきではない。

【倉田委員】

○ 結論

 制度を持続可能なものとするためには、受益者負担も一定採り入れた制度構築が必要と考える。

○ 理由

 当部会での検討内容を盛り込み、できるだけ当事者の視点にたった、きめこまかい制度構築をめざしていくとすれば、膨大な財源が必要になることは不可避であり、税財源配分も含めた財源確保方策を視野に入れる必要がある。また、応能負担だけでは、利用したサービス量にかかわらず、負担は変わらないこととなるため、なんらかの応益負担の要素を取り入れる必要はある。

【近藤委員】

○ 結論

 福祉サービス等は、「益」ではない。応益負担制度は、障害を個人の責任とする制度であるところに問題がある。
 また、「働く場」における利用者負担は解消されるべきである。
 なお、介護保険優先規定の見直しが必要である。

○ 理由

 ILO国際基準に基づき、職業リハビリテーションは無料で提供されるべきである。満65歳になった時点で、障害者も介護保険の対象となり、ホームヘルプサービス等に1割負担が生じないために、規定の見直しが必要である。

【齋藤委員】

○ 結論

 介護保険制度との一体化をめざして、同一の制度にしたことに根本的な誤りがある。障害者へのサービスの意味、障害者の所得状況をふまえた負担のしくみでなければならない。

【坂本委員】

○ 結論

 自立支援法において所得保障のないまま利用者負担を大幅に引き上げたことは問題であったが、今後障害福祉サービスを充実していくために町民に負担をお願いする上で、本当に利用料が無料でよいのか議論する必要がある。また、他の要支援者(高齢の要介護者や母子世帯等々)とのバランスも考慮する必要がある。

【佐野委員】

○ 結論

 コミュニケーション支援事業に対する応益負担は、情報保障は権利という利用者の立場からは、間違った法律、制度である。補装具 (補聴器)の応能負担は実質的に負担増となったことから、デジタル化や各種機能装備による高価格化が進んだこともあり、装用効果を高めるためには、基本機能以外の機能も付けざるを得ず、応能負担分以外の自己負担も増えた。

【清水委員】

○ 結論

 応益負担という発想自体が問題であったと考える。

○ 理由

 一人ひとりが価値的存在として、一人ひとりが居ることそのままが大切なことであることを共に実感していこうとして、措置から契約へと仕組みを変えたのであれば、そこに応益負担はそぐわないように思える。

【末光委員】

○ 結論

 基本的に応能負担とされるべきである。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害の重い人ほど、生きるために必要な支援を受けるための経済的負担が増加した結果、障害者が支援を受けることを差し控えることとなり、事実上、支援に対する「利用抑制」がかけられているのと同じ状態を生み出している。速やかに撤廃されるべきである。

○ 理由

 障害者の「個人の尊厳」( 憲法1 3 条) の保障は、憲法上の要請である。障害者が生きるために必要な支援は、障害者が十分に受けることができる制度としなければならない。経済的負担の重さから、障害者が必要な支援を受けることを差し控え、その結果、「個人の尊厳」が保障されないのであれば、制度自体の違憲性が強く疑われる。

【田中(正)委員】

○ 結論

 応益負担により措置制度下の応能負担で、一定以上所得がある人の負担が重くなりすぎていた課題は解消された。そのため応能に戻す議論においては、当時の応能による負担基準ではない、新たな負担の基準を作るべき。その際、負担できる者は適切な範囲で負担を担うべきとして、あり方の検討が必要と考える。

○ 理由

 利用の負担に関しては、過重な負担と社会性の欠如とのバランスで議論や検討が必要である。また公的責任による仕組みの構築・維持の視点も必要である。所得と負担については多制度との整合性も重要である。加齢による支援の必要な者と障害による支援が必要な者の区分けは、慎重に議論が必要である。そもそもで言えば必要な支援の利用が、年齢等によって利用のあり方、負担等の基準が違わないようにするべきである。

【中西委員】

○ 結論

 障害に基づく福祉サービス、補装具、医療などすべて所得に関係なく全額国の負担とし、障害者に一切負担を負わせないようにすべきである

○ 理由

 国家にとっての福祉サービスというのは税をもって行う最優先課題であり、それが弱者においてどれだけできているかによって国家の品格が決せられる。先進国として途上国への模範を示さなければいけない。

【中原委員】

○ 結論

 自立支援給付( 福祉サービス及び補そう具) については、低所得者(市町村民税非課税)の利用者負担が無料化されているが、今後については、現状の負担額を上回らないことを前提とした応能負担とすべき。
 自立支援医療については所得水準に応じた負担の上限額があるものの原則1割負担となっており、収入認定の際の世帯の考え方についても、自立支援給付が障害者本人とその配偶者へと見直されたのに対して、自立支援医療は同じ医療保険に加入している家族によって範囲を設定していることから見直しが必要。

【奈良崎委員】

○ 結論

 医療は1 割負担に。

○ 理由

 知的障害者への医療が、3割は高い。同じ障害者と認めるなら、全部障害者を1割負担にしてほしいです。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 応益負担を求める考え方は福祉を市場で買うサービス商品に変えて社会保障を削減しようとするものであり排除すべきである。

○ 理由

  1. 障害があることに対して、サービスを受ける度に負担が生じる応益負担の制度は、完全参加と平等という理念に反している。障害は個人の責に帰するものではない。障害者施策にかかる費用は社会の責任として用意すべきである。

【野原委員】

○ 結論

 重症で支援の必要な人ほど負担が重くなる応益負担のしくみは、新政権の「命を守る」政策と相容れないしくみです。自立支援給付、自立支援医療ともに、応益のしくみはすぐに撤廃すべきです。自立支援医療の低所得者負担は直ちに撤廃し、さらに、障害者福祉施策だけでなく、医療保険、介護保険など社会保障の自己負担制度における応益負担のしくみもあわせてなくすべきです。

○ 理由

 本来、同世代の市民と同等の生活を送るために必要な施策を受けるのに、本人が費用を負担しなくてはならないこと自体がおかしいことです。とくに自立支援医療(更生医療)は中間所得層への負担軽減措置(上限)もなく、早急な改善が必要です。「基本合意」に基づき低所得者の自立支援医療負担は早急に撤廃し、さらに、障害者制度だけでなく、日本の社会保障制度における利用者負担についても「原則無料」とし、応益負担のしくみについてはただちに撤廃すべきと思います。

【東川委員】

○ 結論

 財源確保と利用抑制のための手段として応益負担を導入したことに大きな問題があった。そもそも応益負担なくして財源確保はあり得なかったのか。新たな制度創設にあたっても財源論は切り離せない問題であり、きちんと検証すべき。

○ 理由

 応益負担は障害者福祉に自己責任論を持ち込むこととなり、これまで培われてきた社会福祉理念の根底を覆すものである。障害者福祉の支援は、当事者が主張するように「障害がない人と同じスタートラインに着く」ためのものであり、権利条約でいう合理的配慮などに当たる。すなわち、「差別」を解消する手段とも言え、これを「サービス」と呼ぶこと自体も問題である。

【広田委員】

○ 結論

 応能負担にすればいい(医療)。

○ 理由

 自立支援法廃止の最大の論点だから。

【福井委員】

○ 結論

 「障害者自立支援法」は、社会福祉基礎構造改革の障害者版ともいえるので、障害者福祉を介護保険化するための布石であったと考えられる。福祉サービスなどの利用における原則一割の利用者負担( 応益負担) は、「障害者が人間として生きる最低限の保障を益・サービスというのか」と、大きな批判が噴出する最大の理由になった。違憲訴訟でも主張されたように、根本的には必要な福祉サービスは全額公費で負担し、利用者負担は無料とするべきである。

○ 理由

 こうした利用者補助・現金給付方式のもとでは、行政はサービスの費用さえ給付すればよいので、サービスの提供については責任をもたない。つまり、現物給付の措置制度と比べて、公的責任が大幅に縮小されるのである。障害が重いほど負担が増えるこの仕組みは、憲法違反だと当事者の怒りは集中したのは当然であり、それが訴訟に発展し廃止を決定的にする運動の引き金になったのは、当然のことといわなければならない。

【藤井委員】

○ 結論

 低所得の、または、多くのサービスを必要とする障害者の負担を増やす間違った制度であると考える。

○ 理由

 生きていく上で必要なサービスに費用を一律に払わせるということは、日常生活、社会生活に大きな経済的負担を与え、障害のない人と平等な生活を送る権利を侵害する。また、応益負担は原理として障害によって生活に必要なサービスが増えるほど負担も増える制度であった。障害の社会モデルの考え方から見て根本的に間違った制度であるといえる。

【藤岡委員】

○ 結論

 応益負担は憲法違反である。個人の尊厳(憲法13条), 平等権(憲法14条),生存権(憲法25条)を侵害している。さらに、障害者権利条約にも違反している。

○ 理由

 障害者にとって社会参加し自己実現する権利行使(憲法13条)の前提となる自立支援給付や自立支援医療が、応益負担となることは、生きること自体に課金されることであり、社会参加し自己実現する機会を奪われることである。
 応益負担制度下では、障害者は費用負担をしなければ社会参加が実現できないこととなり、障害の無い人が費用負担無く可能なことと比較して、自己の責任ではない障害ゆえに不合理な差別を受けているといえ、平等権侵害に当たる。
 また障害者の大多数が貧困層である現状、憲法は生存ラインぎりぎりではなく「健康で文化的」な生活を保障していることからすれば、応益負担は障害者に「健康で文化的な最低限度の生活」を下回る生活を強いるもので、生存権侵害にもあたる。
 応益負担制度は、障害のある人が他の者との平等の選択の自由を持って地域社会で生活する権利を侵害し、合理的配慮を尽くさないものであって、権利条約19条、合理的配慮義務(2条、5条)に違反する。

【増田委員】

○ 結論

 障害のゆえにかかる経費は無料とすることが原則である.自立支援医療についても応益の考え方は改めるべきである.また精神科の入院医療についても含めて医療費の自己負担問題を考える必要がある.

○ 理由

 必要な支援やサービス,補装具などを利用することで他の者との平等が担保されるのである.そうした支援やサービスを「益」とすることに大きな誤りがあった.

【三浦委員】

○ 結論

 障害のある人の生命と生活の維持に不可欠である、障害福祉サービス、補装具、自立支援医療について、これらを必要とすることを利益とは言えない。また、各種負担軽減策等も講じられているものの、支援を必要とすればするほど負担が重くなるという根本的な考え方に問題がある。今後、障害のある人の生活実態や所得保障制度の現状等を踏まえつつ、現実的に負担可能な仕組みを考えるべき。

○ 理由

 必要な支援を利益と捉えることは問題である。また、多くの支援を必要とする障害の重い人々等の現状を踏まえると、就労がきわめて困難であることや、限られた年金収入等で生活している現状を直視して、負担のあり方を考えるべきであると思うため。

【光増委員】

○ 結論

 自立支援給付、自立支援医療も含めて低所得者(市町村民税非課税)は、応能負担にしかつ、利用料は0円にすべきである。

○ 理由

 障害基礎年金も含めて所得保障が少ない中での負担は、するべきでない。

【宮田委員】

○ 結論

  1. 一般医療機関における医療費との逆転が起こっている乳幼児期の医療型施設における医療費自己負担( 応益負担:障害児施設医療費)の廃止が必要。
  2. 成長期の補装具の給付のあり方(短期間での再作製)を検討するとともに、補装具や生活機器のリサイクルの仕組みをつくる。また、幼少期からの電動車いすの給付を可能にする。

○ 理由

  1. 乳幼児や重度障害児は、一般医療機関では医療費がほぼ無料(重度障害児等医療費助成・乳幼児医療費助成) であるにもかかわらず、施設での医療費は応益負担になるという矛盾があるので、国事業・県事業の垣根を越えてこれを是正する必要がある。
  2. 乳幼児期の補装具は、成長や運動量の関係で使用できなくなる期間が短い。短期間での作り変えを可能にするとともに、安易な作り替えを防止し資源を再利用する観点からリサイクルの仕組みを積極的に検討する必要がある。また、幼少期からの積極的な移動手段の確保は、子どもの社会性の発達に有益なものであるので、早期の電動車いす支給を可能にする。

【森委員】

○ 結論

 応益負担を廃止して、応能負担制度にかえるべきである。

○ 理由

 障害者自立支援法の制定により、これまでの措置制度から利用契約制度へと仕組みが変わったことは、障害者が受ける支援(サービス)と事業者が提供する支援(サービス)のあり方というものは、双方が対等な立場で契約を結び、双方が納得してそれぞれその価格で授受を行うというものが本来のあるべき姿である。しかし、障害者に、この原理に対応する収入( 障害基礎年金等)が保障されない現況を、障害は周囲の無理解や環境に関する障壁から生じるとする社会モデルの定義を考えた時、やはり応益負担ではなく、応能負担とするべきである。

【山本委員】

○ 結論

 障害ゆえにかかる費用については原則無料化すべき

○ 理由

 他のものと平等な人権享受のためであるから

【渡井委員】

○ 結論

 応益負担は廃止すべき。

○ 理由

 障害者の多くは収入が少なく、経済的圧迫を強いられているから。

論点G-1-2) 「応益負担の廃止」方針に基づく、今年4月からの福祉サービスと補装具の軽減措置についてどう評価するか?

【伊澤委員】

○ 結論

 軽減措置に対しては一定の評価をもつが、負担の廃止が基本であり、条件付きではない「応益負担の廃止」を実施すべきである。

○ 理由

 軽減策では応益負担廃止への道筋が明確になっていない。「応益負担の廃止」方針に基づくのであれば「軽減措置」にする必要もないという理屈である。

【石橋委員】

○ 結論

 補装具の負担軽減策は、評価する。しかし、事業所数が増えていないため、事業所の選定が診断機関によって一方的となっている。

【氏田委員】

○ 結論

 経過措置としては、評価できる。

○ 理由

 応益負担廃止に向けた一歩と評価している。応能負担という考え方に転換すべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 今般の負担軽減措置は妥当と考える。障害基礎年金の増額等の所得保障の拡充が行われないなかでは、負担軽減措置を強化するしかないと考える。

【岡部委員】

○ 結論

 法改正をまたずに当面の対応を行ったことについては評価できる。

【小澤委員】

○ 結論

 できれば、低所得者だけでなく、対象の拡大を図るべきである。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 評価はするが、新法では応能負担とし低所得者に対する配慮を行うべきである。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 軽減されたことは良いこととはいえるが、障がい者の福祉サービスと舗装具に関しては無料とすべきである。

○ 理由

 現在障がい者に対して、適切な所得保障がされていない状況である。

【北浦委員】

○ 結論

 低所得利用者の負担の軽減は、安心してサービスを受けられることとなったと評価している。

○ 理由

 今までの負担料では、サービスを抑制せざるを得ない状態にあった。

【近藤委員】

○ 結論

 軽減措置は評価できるが、「世帯」の収入状況によって、負担上限額を設定しているところに問題がある。障害者本人の収入状況のみを基準とするべきである。

○ 理由

 障害者では配偶者、障害児では家族全体の収入状況で負担上限額を設定することは、徒に家族に負担を負わせるものであり、改善が必要である。

【齋藤委員】

○ 結論

 まずは応益負担の撤廃に向けて、住民税非課税世帯の無料化を行なったことは評価する。

【佐野委員】

○ 結論

 低所得者層への応能負担が軽減されたことは、評価に値する。
 また、補聴器は耳かけ形を基準とすることと、新電波帯によるFM 補聴器(送信機・受信機)が追加されたことは、評価できる。反面、補聴器給付時におけるフィッティング料金等が加味されておらず、アナログ機種からデジタル機種移行に伴う調整料・技術料を設定することが必要である。

【清水委員】

○ 結論

 よかった。

○ 理由

 応益負担という考え方がなくなったから。

【末光委員】

○ 結論

 評価する。継続されるべきである。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 一定の評価をすることができる。

○ 理由

 応益負担廃止の方向に沿った取り組みである。今後も、障害者の「個人の尊厳」(憲法13条)の保障とともに、障害者の「地域で生活する権利」( 障害者権利条約19条)を実現するため、障害当事者の意見を聞き取りながら、制度の充実をはかる必要がある。

【中西委員】

○ 結論

 形式的な負担を課すと言うことで国のサービス負担を障害者もできる範囲で行うという論理を通した形であるが、もともと実質的な国家収益が得られないのであれば、煩雑な収入認定作業など給付における選別負担システムなど行政システムの無駄を生み出すだけに終わった自立支援法の負担論議というのは改めて考え直す時期にきている。

○ 理由

 障害当事者に対する実質的なサービスを増やし国家の負担をへらすためには障害者の負担を増やすより、アセスメントや収入認定制度などの業務を簡略化して、実質的なサービス提供にその費用を回すべきである。

【中原委員】

○ 結論

 実質的な応能負担化として評価はするが、法律( 理念) としては応益負担のままであることから、新法制定の際には条文の見直しが必要。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 軽減措置も原則は応益負担であり、本来は応益負担を廃止すべきであるが、軽減措置は緊急的な措置として一定の評価はできる。

○ 理由

  1. 入所施設支援と、就労移行支援及び生活介護を行う多機能型の1 施設を例にとればこれまで7000円から24000円の利用者負担であったのが、軽減措置後は利用者全員利用負担が0 円となった。

【野原委員】

○ 結論

 緊急措置としては当然のことですが、負担上限までは事実上「応益負担」が残っており、現行制度のような粗い負担上限区分では不十分です。「限りなく応益負担の廃止に近づける」というなら、無料化の対象をもっと広げ、「中間所得層」に対する負担をさらに軽減すべきです。

○ 理由

 今回の無料化は低所得層( 低所得1 、低所得2 ) に限られた措置であり、市町村民税課税世帯( 中間所得層)に対しては上限額の軽減策はありません。難病をもつ障害者は就労ができない人たちも多く、現行の経済的負担は「命を守る政治」に逆行し、「弱者切り捨て」と言わざるをえません。先天性疾患は医学の進歩により成人期を迎えられる患者が多くなりました。重症化、再発、合併症などへの医療保障が不可欠であり自立、社会参加にむけて軽減措置は喫緊の課題です。

【東川委員】

○ 結論

 評価はするが、あくまでも暫定措置であり、根本の法規定が応益負担のままであることに大きな問題がある。

【福井委員】

○ 結論

 廃止の方針をとっても、まだ今は実施に至っておらず、現実には「自立支援法」の下で、多くの障害者と家族が、困難な生活を余儀なくされている。最も大変である低所得者の利用者負担を無料にしたのは当然のことであり、今後も一般の人などさらに対象を拡げた経過措置を講じて、少しでも負担の軽減をはかるべきである。

○ 理由

 「自立支援法」の根幹をなす問題点であり、部分改善とはいえ、応益負担を解消していく第一歩である。

【藤井委員】

○ 結論

 評価する。さらに、一般世帯となった場合、一割負担となることにについては、低所得2の人とのバランスから手元金が低所得2を下回らない軽減策が必要。

○ 理由

 上記の通り問題のある応益負担制度については、法改正を待つまでも無く早急に改善すべきだからであり、ボーダーライン層への配慮も求められるから。

【藤岡委員】

○ 結論

 あくまで過渡的な措置にすぎない。「応益負担の廃止」が実現されるべきである。

○ 理由

 軽減措置が採られたとはいえ、応益負担制度は残っており、低所得者以外の利用者については「福祉サービス」の利用や補装具の受給の際に自己負担を求められる以上、現在の制度は憲法違反である。
 障がいのある人は「福祉サービス」を利用したり補装具を使用することによって初めて障がいのない人と同様に日常生活を送ることができたり社会参加が可能になったりするのであるから、「福祉サービス」や補装具については公的に保障されるべきである。
 特に現在、補装具については、一定の基準額以上の金額のものを希望すると、基準額以上については全額自己負担となってしまう。そのため、一人ひとりにあった補装具の利用が困難となるケースがある(例えば、脳脊髄液減少症のため揺れの少ない電動車いすが必要であるが、基準額を超えてしまうために別の車いすを利用せざるを得なくなるケースなどが想定できる)が、このような状況は速やかに解消されなければならない。

【増田委員】

○ 結論

 新法が制定されるまでの緊急的な措置としては必要で,新法が制定されるまでの間継続していく必要がある.また,今回の対象から外れてしまっている人の中に重い負担を負っている人もおり,その実態を把握し,早急に対策を行う必要がある.

○ 理由

 低所得の人の負担がゼロになったことは評価するが,障害ゆえに必要な支援を受ける際に自己負担している状況は予算措置などで早く解消する必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 軽減措置により、地域で生活する多くの障害のある人の負担の緩和につながっているものと評価できる。ただし、同様のサービスを利用している場合においても、一般世帯とその他の世帯(無料)との差異について、利用者間に不公平感が生じていることは否めない。
 今後の制度構築においては、各種負担軽減措置が複雑になっている現状を見直し、応能負担を原則としつつ可能な限りシンプルな負担の仕組みとするべきである。

○ 理由

 地域で生活する障害のある人の現状をみると、現在の所得保障等のみでは、常に厳しい生活を送っているため、軽減措置は必要不可欠である。また、利用者、事業者、市町村行政等が、複雑な負担( 軽減) の仕組みをより分かりやすくすることを求めているものと考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 評価する。しかし、補装具は所得保障を前提に自己負担をして自分で必要なものを選べるようにすべき。

○ 理由

 低所得者の利用料負担が軽減されることは望ましいが、自己負担がないことにより質がよいから高額とは限らず、質が悪くても同じ額になっている。障害者も一律無料ということで、質を考えて選ぶということが身についていないことが多い。

【森委員】

○ 結論

 一定の評価に値する。また、自立支援医療に関する軽減措置を含め、応能負担制度への早期実現を強く願うものである。

○ 理由

 今回の措置は軽減措置であり、応益負担制度にはなっていない。

【渡井委員】

○ 結論

 評価する。

○ 理由

 G-1-1の理由と同じ。

論点G-1-3) 基本合意でも「当面の重要な課題」とされている自立支援医療に関する軽減措置についてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 現行の負担軽減策措置の効果等を十分検証の上、低所得者においても必要な医療を継続して利用できるよう、利用者負担額の軽減を行うことや自立支援医療費と障害福祉サービス費との合算による負担上限月額の設定などを検討する必要がある。

○ 理由

 自立支援医療が障害の状態の軽減を図り、障害者が自立して生活を送るために必要な医療であるため。

【伊澤委員】

○ 結論

 応益(応能でも)負担の必要はない。

○ 理由

 軽減策では応益負担廃止への道筋が明確になっていない。障害を有することによって不自由なことは国の責任で社会保障として対応するべきで、本人の負担にすべきでない。また負担を回避するために精神科医療から遠のくことにメリットはない。場合によってはさらに病状の悪化にもつながり、社会との関係を途絶させ、孤立、社会的無支援= 重度化に陥る恐れがある。受診、通院医療利用のインセンティブ確保の観点から自立支援医療は負担ゼロが基本

【石橋委員】

○ 結論

 1割負担を前提としている。何故1 割なのかの議論が必要だが、軽減措置は評価する。
 また、医療保険制度の絡みもあり、利用者にとっては複雑な制度と思われる。障害者本人にとっての最適な医療を確実に提供できる体制が必要であり、負担だけが課題ではない。

○ 理由

 包括的な医療支援制度を創設すべきである。医療・福祉・教育その他が横断的な連携体制がとれるもので、その為には制度的、財政的な支援が必要と考える。

【氏田委員】

○ 結論

 軽減措置が早急に必要である。

○ 理由

 基礎年金の増額等の本人の所得保障の充実がないと医療費負担は困難である。薬を飲まない人が出ているなど、負担増は生存権や生活権を脅かす危険性がある。入所施設でも低所得層において負担が大きくなっている現状がある。

【大久保委員】

○ 結論

 現在、自立支援法の枠組みに位置づけられているところからも、自立支援医療についても軽減措置を講ずることが求められると考える。また、利用者負担上限額の設定の中に自立支援医療も合算することが望ましいと考える。特に育成医療については、子どもの発達保障の観点から、低所得層の負担無償化のみならず、中間所得層の負担軽減を強化すべきと考える。

○ 理由

 育成医療については、子どもの発達を最大限図る観点からも、より多くの子どもが適切な医療を受けられるようにする必要があると考える。なお、今後、医療サービスを総合福祉法(仮称)でどのように扱うかは、さらに検討が必要と考える。

【岡部委員】

○ 結論

 福祉サービスと補装具と同等の軽減措置が来年予算措置される必要がある。

【小澤委員】

○ 結論

 福祉サービスと補装具の軽減措置に準ずる対策を講じるべきである。特に、精神障がいのある人にとって、もっとも重要な施策である。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 自立支援医療に係る利用者負担については廃止すべきである。

○ 理由

 精神障害者の通院医療の継続を担保する視点から当然である。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 現在各県、市町村で実施されている重度心身障害者医療費助成制度を統一し、国の制度として再構築すべきである。

○ 理由

 精神障がいの入院医療費は3 割負担のままである。また各自治体での障害者医療費助成の制度の内容にもバラつきがある。これを国の制度として統一し、障害別の格差をなくすべきと考える。

【倉田委員】

○ 結論

 自立支援医療については医療費負担の適正化の観点から、一定の患者負担は維持すべきと考える。

○ 理由

 定率負担を基本とする医療制度であるが、自立支援医療の適用後には医療費の負担割合を軽減させつつ、患者本人の課税状況に応じた負担上限額を設けており、応能負担制度化はされている。
 これ以上の医療費の負担軽減は、定率負担を原則とする医療制度において患者負担に不均衡を生じるため、さらなる利用者負担の措置を講じる必要はないと考える。

【近藤委員】

○ 結論

 低所得者の負担がなくなるような軽減措置を講ずるべきである。

○ 理由

 継続し医療を受けなければならない場合、そのための負担は大変大きい。医療費が払えないために、治療できないという事態は避けるべきである。

【齋藤委員】

○ 結論

 予算上の問題で自立支援医療のみが置き去りにされたのであるが、当面の対策としてすみやかに自立支援給付と同様の軽減措置をとるべきである。

【佐野委員】

○ 結論

 実施すべきである。

【清水委員】

○ 結論

 早くしないといけない。

○ 理由

 不安な気持ちでとても生きづらい状況におかれている方の不安をできるだけ早く軽減しないといけない。

【末光委員】

○ 結論

 軽減措置が継続されるべきである。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 継続すべきである。

○ 理由

 特に、利用の多い精神通院医療に対して「軽減措置」が継続されることは、「地域で生活する権利」を実質化することにつながる。

【中西委員】

○ 結論

 障害者に関する負担はゼロにすべきである。

○ 理由

 自立支援医療は障害者にとって非常な負担となっている。医療費で7万円、介助サービスの自己負担で3万円7千円、補装具の給付でさらに自己負担分3万円を負担させられている例もあり、これは生活を圧迫していることは明かである。

【中原委員】

○ 結論

 現状の自立支援給付( 福祉サービス、補そう具)と同等の負担軽減策が必要。
 また、障害者の医療費制度が複雑とならないように、推進会議のもとに発足する「医療」の合同作業チームにおいて、重度障害者医療費助成制度なども含めた総合的な検討が必要である。

○ 理由

 障害ゆえに医療機関を継続的に利用しなければならない人も多くいることから、過重な医療費負担とならないような負担軽減措置が必要であるが、国民への説明と理解を得る必要がある。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 自立支援医療も、福祉サービス、補装具に対する軽減措置と同様、緊急的な措置として実施すべきである。

○ 理由

 自立支援医療は補装具同様に障害を軽減するものであり自己負担はなじまない。

【野原委員】

○ 結論

 不十分な緊急対策( 負担軽減措置) ですが、今年度の予算策定時に、そこからも自立支援医療に関する軽減措置が除外されたことは、医療を伴う障害をもつ難病・慢性疾患患者にとって許し難いことです。低所得層の無料化は最低限、来年度予算では当然のこと、補正予算を組んででも早急に実施されるべきです。合わせて、自立支援医療( 更生医療)には自立支援給付や育成医療同様に中間所得層への負担上限を設けるべきです。

○ 理由

 医療費の負担は、かかった医療機関への保険適用分の支払い(3割負担)以外にも、差額ベッド代に代表される保険外負担費用、また遠くの専門医療機関まで行くための交通費や、付き添う家族等のための滞在費などをあわせると、高額の費用負担がかかります。自立支援医療は、保険適用分の自己負担分にしか適用されません。障害者の医療保障を考えた場合に、せめて保険適用分の負担はなくす方向にむかうべきと思います。

【東川委員】

○ 結論

 暫定措置として負担軽減が早急に図られるべきであるが、長期的には精神障害者が入院医療費の対象とならないことの不整合性やどこまでを自立支援医療がカバーすべきであるのかといった問題を整理すべきである。

【広田委員】

○ 結論

 現状でゆく。

○ 理由

 お金がない。

【福井委員】

○ 結論

 前述の福祉サービスなどとともに、自立支援医療も今年度の軽減措置の対象になっていたのだが、予算が計上されず対象から除かれ、中途半端なものになったのは遺憾である。
 しかも、来年度予算の概算要求でも年末に向けて検討することになっているので、基本合意に基づく重要課題であることを再度強調し、予算措置をさせていくことが差し迫って必要である。

○ 理由

 私たちてんかん患者にとって、自立支援医療は経済的負担軽減のための貴重な制度で、「医療」と「福祉」の双方が充実することで初めて安全で安定した地域生活が送れる。適切な医療を継続して受けるために、通院医療の公的な助成制度は欠かすことのできないサービスである。そこで日本てんかん協会は、去る5月31日に厚生労働大臣に対し「『自立支援医療』制度における利用者負担軽減を求める要望書」を、提出したところである。

【藤井委員】

○ 結論

 至急、実施すべきである。

○ 理由

 自立支援法訴訟団と政府の「基本合意」の完全実施のため。平成23年度概算要求で「検討」とされているのは基本合意に反する。

【藤岡委員】

○ 結論

 自立支援医療の無償化を含めた早急な「応益負担の廃止」が必要である。少なくとも、低所得者については早急に、平成22年6月7日付「障がい者総合福祉法( 仮称)の制定以前に早急に対応を要する課題」にまとめたとおり、自立支援医療を無料化する軽減措置をとるべきである。

○ 理由

 主に自立支援医療を利用している精神障害の方にとっては、継続的な通院が安定的な日常生活の維持にとって重要である。また、精神障害の方も継続的就労が難しく、年金収入のみの低所得の方も多い。そのため、利用者負担なく通院できることは継続的な通院を確保して日常生活を支援するために極めて有効といえる。
 また、平成22年4月から、低所得者の障害福祉サービスにつき新たな軽減措置がとられて無償化されているにもかかわらず、同様の重要性を持つ自立支援医療につき軽減措置が無いことは、不合理な差別といえる。

【増田委員】

○ 結論

 障害福祉サービスと同様に低所得者( 市町村税非課税者)については無料とするように来年度の概算要求に反映する.また精神科への入院医療費の負担についても負担軽減を検討する必要がある.

○ 理由

 精神科への入院治療が自立支援医療に含まれていないことに問題がある.当事者・家族の負担は重い.

【三浦委員】

○ 結論

 軽減措置は必要であると思われるが、障害福祉サービス、補装具等に関わる軽減措置等を含めた基本的な制度設計の議論と整合を図りながら具体化する必要がある。また、非課税世帯への軽減措置とともに、課税世帯への配慮についても検討するべきである。

○ 理由

 総合福祉法の範囲となる各種サービス全体に関わる負担の在り方の基本的な設計を視野にいれつつ、医療へのアクセスを確実に保障する観点から、当面必要とされる軽減措置は着実に実施されるべきと考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 軽減措置は実施するべきだ。ただ障害のある人でも病弱で医療機関に常時通院、入院する人で重度医療の助成から外れている人の医療費負担の軽減も実現すべきだ。

○ 理由

 障害のある人で低所得の人の費用負担は軽くすべきだ

【森委員】

○ 結論

 自立支援医療に関する軽減措置については、速やかに実施すべきである。

○ 理由

 本来、応益負担を廃止して、応能負担制度にかえるべきである。

【山本委員】

○ 結論

 必要
 なおすでに述べたように「重度かつ継続」という烙印の反医療性についても配慮が必要

○ 理由

 他のものと平等な人権享受のため、服薬は補そう具同様に位置づけられるべき

【渡井委員】

○ 結論

 至急、軽減措置をとるべき。

論点G-1-4) 「自立支援法」では福祉サービスや医療の応益負担以外に、食費や光熱水費等の実費負担が導入されたが、これについてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 食費は、義務教育である学校給食でも実費を徴収するなど、広く「受益者負担」のもとに立っている負担であり、自己負担が適当である。
 光熱水費も、個人に係る分は個人負担とすべきだが、事務費部分との振り分け等、調整が難しい面があるので、現行のように一定の上限を設けての対応が適当である。

○ 理由

 他制度や、在宅と入院・入所との均衡を考慮する必要がある。

【石橋委員】

○ 結論

 食費の材料費は、実費負担と考える。しかし、光熱水費は、定額で施設運営費に含ませる。

○ 理由

 実費負担に相当する光熱水費は、個人としての分を特定することは難しい。

【大久保委員】

○ 結論

 「食費・光熱費」はいわゆるホテルコスト( どこでどのような暮らしをしてもかかる費用) といえる。「保護の対象から権利の主体へ」の方向のなかで、しっかりとした所得保障を背景に市民としてあるいは消費者として、一般市民と同様にかかる費用については、原則として払うという方向を目指すべきではないかと考える。  なお、食費のうち、栄養管理や調理等に係る費用は、福祉サービスと位置づけるべきであると考える。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 食費や光熱水費についても本来は応能負担にすべきと考えるが、地域移行を推進するために障害基礎年金の引き上げ等、障害者の所得確保に係る施策も並行して行うべきである。

○ 理由

 国の障害者施策として当然である。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 食費や光熱水道費を負担とすべきではない。

○ 理由

 所得保障が確立されていない。
 無年金障害者はさらに苦しい生活を強いられている。

【北浦委員】

○ 結論

 食事や光熱水費等は、本来どこで生活していても自分で負担しているものであるから、基本的には、自ら負担するのが自然の姿である。これが負担できない事情にある者については、生活支援を目的とする生活保護費から給付を行うべきものであると考えるが、障害福祉サービス給付も、公的に支援するということには変りはないので、福祉サービスの中で給付することがあってもよいと思う。なお、年金等の所得保障の充実が必要であることは言うまでもない。

○ 理由

 本人の生活費は、本人が自己選択で負担するのが基本であるからである。

【近藤委員】

○ 結論

 食材料費については実費負担とするが、人件費、光熱水費については、負担対象とするべきではない。現行通所事業所への食費提供体制加算を入所施設にも及ばせるべきである。

○ 理由

 所得保障の充実がないまま、障害者自立支援法による食費負担は、日々の暮らしに重くのしかかるようになった。人件費、高熱水費は福祉サービスの範囲とし、軽減策を講ずべきである。

【齋藤委員】

○ 結論

 食費等の実費負担についても低所得層 (住民税非課税世帯)については無料扱いとすべきである。

【清水委員】

○ 結論

 それはそれでよいのではないかと思う。

○ 理由

 自分でお金を使うこと、当たり前に消費の主体となることは大切。消費こそが生活主体者を立ち上がらせるところもある。もちろん所得保障、暮らしていくお金がちゃんと確保されないとだめですが・・・。

【末光委員】

○ 結論

 合理的な「応能負担」の全体の中で、扱われるべきである。

【田中( 伸) 委員】

○ 結論

 障害者にとっては重い負担であり、軽減措置を講じるべきである。

○ 理由

 安易な導入は、施設入居者の生活実態を考慮しないものであり問題が多い。食費は食材費に限ること、光熱水費については収入に応じた軽減措置をはかるなどの対策を講じるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 多制度との比較をし、障害であるが故に不利益な状況に置かれているのかの検証が必要。入所施設における補足給付と在宅支援のホーム利用には特別な給付がない状態など、制度間に矛盾がある状況も踏まえて、あり方の検討をすべきである。

○ 理由

 社会全体の課題として整合性をとり、あり方の検討が必要。生活保護以下の状態では食費の徴収は困難である等の具体的な整理が必要である。

【中西委員】

○ 結論

 同意しがたい。

○ 理由

 在宅でかかるのと同じ食費、水光熱費を、利用者に負担させるという論理はその施設への入居選択がサービスの中で真の選択がなされているなら許せることもあるが、選択肢がない中での強制的選択が行われている現状では負担に同意しがたい。特に調理人や職員の人件費まで頭割りで負担させられるのは家庭では考えられない話しで負担過剰である。

【中原委員】

○ 結論

 所得保障が担保されてない現状においては、すべて利用者から徴収することには無理がある。

○ 理由

 所得保障とあわせて考えるべきである。

【西滝委員】

○ 結論

 以前のように利用者負担は廃止すべきであるが、当面、食費の実費分(食材料費)に負担を制限し、食費に係る人件費や光熱水費については、負担をなくし、国が補てんする等の措置が必要である。

○ 理由

 今年4月から、定率負担( 1 割負担) については、市町村民税非課税の利用者の場合、原則0 円となった。しかし、食費、光熱水費等の自己負担については改善が図られていない。
 施設入所者の場合、将来、地域での自立生活( 地域移行)、入院時(緊急時)の必要経費の貯蓄等を行なうためにも、利用者負担の軽減策を講ずる必要がある。
 地域での自立生活をしたくても、住宅インフラ、支援体制などがないため、やむを得ず施設入所、グループホーム等の居住支援を受けている面がある。そのため社会として負担することが必要である。

【野原委員】

○ 結論

 自立支援医療( 育成医療、更生医療) における入院時の食費自己負担については、管理栄養指導のあるなしにかかわらず、治療の一環として公費負担とすべきです。

○ 理由

 入院時の食事については、自宅で食べる食事と違い、体力の回復と同時に、入院治療における指導も含まれたものと考えるべきであり、自立支援法施行前同様、公費負担とすべきです。

【東川委員】

○ 結論

 所得に応じた措置を検討してほしい。

○ 理由

 どこで暮らしてもかかる費用であり、その負担の導入はやむを得ないと考えるも、現在の障害者の所得状況からは大変に厳しく、先に所得保障の手立てを講じるべきと考える。
 食費等の負担の導入は当然という考え方もある。しかし、そのために障害者の生活は非常に厳しいものとなり、生存権保障を求める裁判を起こすことにもなった。今の障害者の生活を脅かした現実があり、食費等の負担を求めるのであれば、現在の所得保障制度の抜本的改正が前提となる。

【広田委員】

○ 結論

 食費は実費でいいと思う。

○ 理由

 在宅でも食事をするので。

【福井委員】

○ 結論

 実費負担相当分は、当然負担すべきと考える。ただし、所得保障のしくみを整備することが当然必要ではある。

○ 理由

 社会常識的な負担は、国民の一人として求められるものと考えるから。

【藤岡委員】

○ 結論

 障害のある者と障害のない者の共生社会の実現という観点からすれば、障害のある者の社会参加の機会を奪う実費負担は、早急に改められるべきである。
 いっけんもっともらしい「実費」と称する負担についても応益負担と同様に、障害のある者の生存権を侵害している状況であると考える。

○ 理由

 平成21年11月26日厚労省発表の「障害者自立支援法の施行前後における利用者の負担等に係る実態調査結果について」によっても、自立支援法施行前後で低所得者の負担が重くなり、実費負担を含めた実負担額が、工賃を上回る状況が拡大したことが明らかである。
 実費負担が導入された結果、それまで利用していた施策の利用を中止せざるをえなくなり、障害のある者の社会参加が事実上阻害される状況が現に出現した。障害のある者が家の中に抑え込まれることになってしまった。
 職員やヘルパーの給与も「実費」に他ならず、「実費は福祉を受ける人の全額自己負担」という論理を突き詰めれば社会保障否定論を意味する。
 障害のある者の活動範囲を制限することにつながる実費負担制度は、障害のある者の生活や生きることそのものを阻害する実態がある以上、障害のある者の生存権を侵害するものというべきである。

【増田委員】

○ 結論

 障害のある人にとって,食事や食材への配慮も生きる上での必要な支援として捉える必要がある. 実費負担の中に障害のあるために必要な負担があるとすれば, その実費負担については原則無料とするべきである.

○ 理由

 障害のある人の食事については,障害ゆえに必要な配慮を伴う支援が必要である.食べやすい食事, 飲み込みやすい食事,食事を通して生活リズムを整えたり, 食の楽しみを味わうことで,生活を豊かにしてきていた.必要な支援として位置づけていくべきである.

【三浦委員】

○ 結論

 食費の実費負担の導入は、適当である。ただし、人件費部分については、現行の食事提供体制加算等の方法により、負担の対象外とすることが必要である。
 なお、実質的に負担を可能とする所得保障についてのことが、前段で議論されるべき重要な課題である。

○ 理由

 食事の実費負担については、一定の合理性があるものと考えられるが、低所得者への配慮は不可欠であると思われるため。また、負担の有無、または、どの程度負担するのかについての前提として、負担能力を担保する所得保障がまず考えられるべきであると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 実費負担は必要。しかし、低所得者には軽減措置が必要。ただし、それに伴う所得保障 (生活保障)を考慮しないといけない。

○ 理由

 所得保障の実現までは、補足給付的考え方は維持すべきだ。所得保障をしないでの実費負担には、生活保護基準を遙かに満たさないものになってしまう。

【山本委員】

○ 結論

 自分の住んでいる部屋の水光熱費は実費負担であるべきだが、その他の事務室ほかの部分の水光熱費については実費負担されるべきではない

○ 理由

 施設にいることによって、自宅にいる以上の水光熱費を負担すべきではないから

<項目G-2 負担の範囲>

論点G-2-1) 「応益負担廃止」後の負担のあり方として、サービス・支援に関する負担と食費等の実費負担について、それぞれどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 食費・光熱水費の負担は実費負担であり、負担能力に関わらず一定の費用がかかるため、所得に応じた負担軽減策を実施すべきであり、負担が必要となるグループホーム・ケアホームも含む居住系サービス全てに適応すべきである。

○ 理由

 実費負担が過大にならないよう、一定の軽減措置が必要であり、現行の補足給付では、施設のみが対象で、グループホーム・ケアホームは対象となっていないため。

【伊澤委員】

○ 結論

 所得保障を前提とするが、食費等は実費自己負担で良いと考える。

○ 理由

 所得水準が低いままでは恒常的支出としての食費の負担は重い。よって所得保障を前提とし、そのうえで普通( 社会的常識範囲)の負担を求めることは無理のない内容と思える( 障害があろうが無かろうが食事は必要)。所得の足りない人は、公的扶助の活用により対応する。

【石橋委員】

○ 結論

 当事者個人の所得に応じた応能負担を前提とする。
 食費については材料費のみを自己負担とし、関係する光熱費等は、一般管理費とする。

○ 理由

 食事等に関しては、栄養管理を保障し、強化する場合はサービス個人計画に組まれてしかるべきと考える。特に栄養管理されない場合との違いも一考すべきかと思われる。
 もちろん食事の選択の自由も保障されなければならないと考える。

【氏田委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する負担は応能負担に変更すべきである。
 食費等( 食材費、光熱水費、人件費)のうち、食材費の実費徴収については自然であると考えるが、福祉施設における障害のある人の「食生活」への配慮と支援もまた大変重要であるので(定員40人未満のところでは栄養士もいないという現状がある)、この視点を忘れずに今後、検討してほしい。障害のある人の健康維持、増進のために食生活は大変重要である。

○ 理由

 地域で生活するために受ける支援の量( 時間、回数) により自己負担が増えるということは、支援の必要な人の負担が多くなることであり、障がいのある人の基本的な人権が保障されないことになる。
 社会参加のひとつとして障害のある人が福祉施設を利用しているが、福祉施設の役割として、障害のある人の食生活への配慮もまた欠かせない重要な支援であると考える。現状では、栄養士による昼食を提供している事業所とそうでない事業所を利用している人の肥満度の差は著しく、健康面への支援が必要である( 知的障害や自閉症などの人の中には言葉もなく不定愁訴を訴えられない人たちが多い。障害のある人の健康に配慮をした支援が食生活の面からも必要であると考える)。

【大久保委員】

○ 結論

 理念的には、障害に係るサービス・支援に関する負担は無償とすべきであろうが、無拠出性の障害基礎年金や手当などがある我が国において、ことさら無償化を求めることは、現行の所得保障の改善が望めなくなるのではないかと思われる。
 また、「保護の対象から権利の主体へ」という流れからすれば、負担できる所得保障を確保し、消費者として、原則的に一部を負担することのほうが望ましいと考える。ただし、所得保障の拡充が困難であれば、応能負担により負担軽減を図ることになるものと考える。
 一方、食費等の実費負担については、少なくとも食材料費は障害とは直接関係しないものであり、一般市民と同様に、原則として負担することが妥当と考える。なお、福祉サービスにおける食事提供の際の栄養管理や調理等に係る費用は、福祉サービスと位置づけるべきであると考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 食費等の実費負担については、本来であれば本人の収入から負担すべき。
     但し、収入(年金等)が少なすぎる(所得保障がされていない)現状では、一部の無年金障害者等に例外を適用すべき。

【岡部委員】

○ 結論

 食費等の実費負担は適切な所得保障の実現を前提として検討されるべきである。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 障害福祉サービスや食費等については応能負担とすべきであるが、同時に障害者の所得確保についての施策も行わなければならない。

○ 理由

 国の障害者施策として当然である。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 福祉サービスおよび食費等の実費負担を課すべきではない。

○ 理由

 障がい者の所得保障制度が確立していない。

【北浦委員】

○ 結論

 障害福祉サービスの利用料は、負担能力に応じた負担額とすべきであり、低所得者に対する利用料負担が無料とされたことは評価できる。しかし、食事等の実費については、本来どこで生活していても負担しているものであるから、自ら負担するのが自然の姿である。
 そのためには、障害者の所得保障を充実させなければならない。

○ 理由

 本人の生活費は、本人が自己選択で負担するのが基本にあるからである。

【近藤委員】

○ 結論

○ 理由

 論点G-1-4)と同じ

【齋藤委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する負担は応能負担とすることでよいが、食費等の実費負担についても低所得層 (住民税非課税世帯)については無料扱いとすべきである。

【清水委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する負担は、一部応能負担を除いて、原則なし。食費等は実費負担。

○ 理由

 いずれにしても所得保障抜きには考えられない。

【末光委員】

○ 結論

 合理的な「応能負担」全体の中で、考えられるべきである。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する負担については、当該支援により実質的に保障される障害者の人権の性質を考慮要素に入れるべきである。基本的には、重要な人権の保障に関する支援は負担を0 とし、その他の人権の保障に関する支援については応能負担とすべきである。食費等の実費負担については、基本的に食材費のみの負担とし、この負担についても応能負担とすべきである。

○ 理由

 新法における支援が、障害者の人権保障を実質化するものである以上、精神的自由など重要な人権の保障を支える支援については、支援を受けるための負担を障害者に負わせるべきではない。食費についても、食材費のみの負担として一般人との公平をはかりつつ、障害者の所得水準を考慮要素とするよう、応能負担の考え方を導入すべきと考える。

【田中(正)委員】

○ 結論

 多制度との整合性による課題の整理が必要。

○ 理由

 施設利用者に関しては、食費については食材費分の負担が望ましいと考えるが、その枠に漏れる在宅の支援において、食事提供が必要最低限を保証しているのかを検証する方が、緊急性が高く重要な課題と考える。

【中西委員】

○ 結論

 基本的に福祉サービスにおける負担はゼロとすべきである。

○ 理由

 施設サービスをサービスとして障害者は認めていない。そこで発生する負担は国の責任で対処すべきで利用者に負担させるべきではない。

【中原委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する負担については「応能負担」とする。食事に係る実費負担は食材費に限るべきである。

○ 理由

 障害者自立支援法の施行により食費等の実費負担が導入され、それまで利用者負担のなかった食費等について、食材費のほか調理員に係る人件費も利用者負担となった。日中活動サービスの昼食でみると、1日あたり食材費として240円と、人件費として420円(上限)が自己負担となっており、サービス利用者にとって加重な負担となっている。栄養管理を含む調理等に係る費用は障害福祉サービスとして位置づけるべきであると考える。  現在は激変緩和のために、低所得者に対しては平成24年3月までの間、食事提供加算を設けて調理員にかかる人件費相当分が支給されているが、加算措置が終わる平成24 年4 月以降の早急な対応が必要である。

【奈良崎委員】

○ 結論

 食費、光熱水費は実費負担はしかたがない。

○ 理由

 食事はふつうに暮してもかかる。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 自立支援給付、自立支援医療のそれぞれにおいて、障害者本人の負担が本当に必要なのかどうか検証していくべきである。負担が必要な場合は応能負担とするが、原則無料とすべきである。
  2. 食費の実費負担は、人件費を除く「食材費の実費のみ」とすべきである。

○ 理由

  1. 障害があることに対して、サービスを受ける度に負担が生じる制度は、完全参加と平等という理念に反している。障害は個人の責に帰するものではない。障害者施策にかかる費用は社会の責任として用意すべきである。
  2. やむを得ず負担が必要な場合は、応能負担にすることが、所得に応じた負担であり、公平性がある。

【野原委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する利用料は将来的には無料をめざすこととし、当面、低額の応能負担を原則とすべきです。食費等の実費については、少なくとも入院中の食費は医療の一環として無料とすべきです。また、入院医療費の公費負担(育成医療、更生医療)に患者負担を設ける場合については、同一入院期間であれば、暦月( 月内)入院でも月をまたがる入院でも負担が同じになるよう公平なしくみとすべきです。
 また、都道府県で実施されている障害者医療費助成制度を国の制度として新法に位置づけて、風邪などの一般医療、内科的治療にも負担軽減できる制度を国が実施すべきです。

○ 理由

 少なくとも、国民皆保険制度によって健康保険料を平等に負担している障害者にとって、障害の除去・軽減のための医療を受ける際の利用料を負担することは「公平・平等」の原則に反します。また、入院中の食事については、回復にむけての医療の一環として、自立支援法施行前までは公費負担で行っていたことから、患者負担はなくすべきです。
 現行の自立支援医療は、障害者が障害ゆえに必要とする医療のうち、ごくわずかしか支援されていません。育成・更生医療は「明確な改善を行うための外科的治療」が原則( 人工透析や移植後の免疫抑制療法などは例外的)、精神は通院治療のみで入院治療には適用されません。障害者は、軽い風邪などでも障害を進行させたり治療を長引かせたりします。また障害をこれ以上進行させないための維持的な治療やリハビリなどへの負担軽減もありません。これらをふくめた軽減策により障害者の医療費負担の軽減をはかるべきです。
 在宅の重度障害者、難病をもつ人が生きていくうえで必要な物品は無料で支給すべきです。医療に不可欠なカテーテルなどはまとめ買いを余儀なくされるため、必要以上に買わざるをえない現実があります。

【東川委員】

○ 結論

 障害がない人と同じスタートラインに立つ」ための、障害による不利益・困難をカバーする福祉支援は本来無償であるべきと考える。一方、食費等を徴収することは当然とするならば、所得保障制度を確実なものとすることが前提である。

○ 理由

 障害による不利益・困難をカバーする障害福祉の支援と、日々の暮らしを維持する食費などの経費は質が大きく異なるので、支援のシステムは区別するべきである。

【広田委員】

○ 結論

 食費は実費でいいと思う。

○ 理由

 在宅でも食事をするので。

【福井委員】

○ 結論

 応益負担化がもたらした根本的な問題は、前述したように現金給付方式をとり、しかも全額給付ではなく、原則一割負担を利用者に強いているところにある。これは、違憲訴訟で主張されたとおり、憲法25条の「健康で文化的な最低限の生活」に違反する。障害者が生きるために必要なサービスは、全て全額公費で負担し利用者負担は無料とすべきであり、応能負担は過度的な措置として位置づけるべきである。

○ 理由

 この間の実態調査でも明らかにされているように、関係者の反対の声をよそに自立支援法が国会で成立・実施されて以来、全国的にいかに悲惨な事態が展開されたかは枚挙にいとまがない。無理心中、作業所退所などをはじめ、自己負担の増大に耐えられず、サービス提供を断念せざるを得ない状況が拡がった。一方現場でも、福祉労働者の労働条件は根本的な改善をみることなく、施設運営も存続の危機にさらされている。こうした状況を早急に解決することが、いま求められている。

【藤岡委員】

○ 結論

 原則、全額公費負担(利用者負担なし)とすべきである。例外として、税・社会保険料控除後の所得が、賃金センサス(厚生労働省の賃金構造基本統計調査による労働者賃金水準)の産業計、企業規模計、学歴計、男女別全年齢平均の賃金額(平成18年で約489万円)の10倍以上の場合には応能負担。

○ 理由

 障害の本質は、機能障害から派生する社会的不利益である。その社会的不利益を回復するためもサービス・支援に関する費用は社会全体で負担すべきであり、障害を持つ当事者に負担を追わせるべきではない。したがって、障害者の公的支援請求権の内容として、生存に必要不可欠な支援を金銭的負担無く受けられることが含まれるといえる。
 また、支援費制度と現在の利用者負担額のいずれかより負担が増大することになれば生存権として保障された水準を合理的理由なく切り下げられないという、制度後退禁止原則(憲法25条)に反する。支援費制度導入時に利用者負担が議論された際にも「公的責任・公費負担の後退があってはならない」とし、「障害者が必要な福祉サービスを利用することができるよう、公費助成を行うこと」は公的責任であると指摘された(「今後の障害保健福祉施策の在り方について」1999年1月19日障害者関係三審議会合同企画分科会)。このような議論を経て、支援費制度下でも応能負担が維持された。また、措置制度と支援費制度を通じて、食費も公費助成に含まれていた。
 例外として平均的賃金の1 0 倍を超える高額所得のある場合に可処分所得の範囲内で負担させる仕組みにより「国民感情」「衡平間」を考慮する。

【増田委員】

○ 結論

 障害ゆえに必要な支援については無料とする.所得保障の一部として家賃助成なども検討していく.

【三浦委員】

○ 結論

 サービス・支援に関する負担については応能負担を原則とするべきである。食費等については実費負担を原則とすべき。ただし、人件費部分については、負担の対象外とする必要がある。また、捕足給付については現行の5万8千円を最低限の基準として維持するべき。
 なお、実質的に負担を可能とする所得保障についてのことが、前段で議論されるべき重要な課題である。

○ 理由

 食事の実費負担については、一定の合理性があるものと考えられるが、低所得者への配慮は不可欠であると思われるため。また、負担の有無、または、どの程度負担するのかについての前提として、負担能力を担保する所得保障がまず考えられるべきであると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 実費の負担は、ある程度負担すべきであると考えるが、食材料費だけではなく、調理費を取る等の過度の負担を求める事はするべきではないと考える。

○ 理由

 現在の規定では、料金設定は事業所の任意になっており、それによって利用者の負担は大きくなっている。事業所の料金設定によっては、利用者が食事を食べない等、好ましくない状況も出ているため。

【宮田委員】

○ 結論

 食事の実費負担は当然と考えるが、国が指針として出している650円(230円の食材費と420円の人件費相当分)に関しては生活実態とズレがあるため検討が必要。また、児童福祉施設における「食育」と人材確保の観点からは、保育所や学校給食のように食材費は「月額」として徴収し、人件費相当部分は基本報酬としての支給が適当である。

○ 理由

 児童福祉施設における食事の提供は、子どもの健康および食育を考慮すれば入所、通所児・者にとって必要不可欠なものである。しかし、650円という額は社会情勢からみて高額であるため食材費のみとするべきである。また、調理師等の人材確保の安定化の観点から人件費相当分は基本報酬に組み入れる必要性がある。

【森委員】

○ 結論

 応能負担制度の実施とともに、食費等の実費負坦制度は廃止すべきである。

○ 理由

 応能負担制度は、障害者が受ける全ての支援( 食費等のサービスを含め)に対して、障害者の収入に応じて負担する(支払う)制度と理解する。

【渡井委員】

○ 結論

 財源の確保が難しければ応能負担もやむを得ない。

○ 理由

 福祉サービスを安定して利用できる仕組みを構築することが重要。

論点G-2-2) 費用負担を求める場合の仕組みとその際の負担を求める範囲(障害者本人、同居家族等)についてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 配偶者を除き、本人のみを対象とする場合は、扶養控除制度との整合性等、現行税制上の均衡にも配慮して必要な検討を行うべきである。

○ 理由

 障害者の場合は、既に世帯単位でなく、本人とその配偶者を対象として所得認定が実施されている。現行と異なり、所得認定において本人のみを対象とし配偶者を対象としない制度とする場合には、税制度との制度間の整合性を十分図る必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 とにかく負担は廃止すべきであるが、それに至る経過で一定の負担が生じたとしても、それはあくまで本人事情に拠り、障害者本人のみにすべきである。

○ 理由

 負担があったとしても負担を求める範囲を広げることは同居人や家族との関係性の健全さが担保しきれない可能性もある。それでは幸せになれない。
 結婚すると配偶者になる人に収入があるから自己負担が発生するため、障害福祉サービスを利用するかしないか検討しているケースがある。ややもすれば結婚するかしないかの検討にもなってしまう。実に気の毒である。障害者福祉は社会全体で支えていくことに徹する必要である。

【石橋委員】

○ 結論

 自立支援医療に関しては、他の医療関連の制度との兼ね合いもあり難しい側面はあるが、福祉サービスや補装具と合算のうえ、一本化した月額負担上限額を設定する。
 応能負担を求める範囲は、障害者本人とする。

○ 理由

 扶養の考えが絶えず提示されるが、先ずは、扶養の定義の中に何を含めるかの一定の共通概念の提示が必要と考えている。

【氏田委員】

○ 結論

 障害者本人のみの所得をベースにすべきである。

○ 理由

 障害者権利条約では、障害者を保護の「客体」ではなく人権の「主体」として示されている。そのことからも、家族の保護のもとでの生活者ではなく、一人の市民としてとらえるべきである。

【大久保委員】

○ 結論

 負担を求める範囲は、利用するサービスの種類に関わらず、現行の18歳未満は保護者、18歳以上は本人( および配偶者) とすることが妥当と考える。

○ 理由

 民法の扶養義務規定などとの整合性を考慮すると現行の方式が妥当と思われる。

【岡部委員】

○ 結論

 成人の費用負担については本人の所得のみを算定基準として行われるべきである。

【小澤委員】

○ 結論

 同居家族に対して、負担を求める考え方は、「家族介護」の延長線にあり、問題である。

【小田島委員】

○ 結論

 障害者本人の所得だけで計算する。
 所得の少ない人は無料にする。

○ 理由

 本人のための福祉サービスに、家族が責任を負うのはおかしいから。
 お金が無い人からお金を取るのはやめてほしい。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児 (児童福祉法と障害者総合福祉法 (仮称)の相互乗り入れ部分を含む。)の場合、保護者の利用料未納に対しては、事業者による一定のソーシャルワーク対応を経たうえで市町村が関与する仕組みを構築する必要がある。

○ 理由

 退所による子どもの放置など、利用料未納による被害が本人に及ぶことを防止するため。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 障害者本人の収入に応じた仕組みとすべきである。

○ 理由

 世帯単位の収入認定を即刻廃止すべき。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 費用負担を求めるべきではないが、止むをえず求めるとすれば、範囲は本人のみとすべきである。

○ 理由

 本人に必要な費用は、自立の観点からも、本人自身の収入をベースとすべきである。

【北浦委員】

○ 結論

 費用負担の制度は、応能負担とし、成人の場合には、利用者本人のみの負担能力を基とした負担料とすべきであり、未成年の場合には、家計の主宰者の所得を基とすべきである。

○ 理由

 成人の場合には、独立した主体であり、家族に負担をかけることは、本人の家族に対する心の負担につながることとなるからである。

【近藤委員】

○ 結論

 障害者本人の収入状況のみを基準とするべきである。

○ 理由

 障害者では配偶者、障害児では家族全体の収入状況で負担上限額を設定することは、徒に家族に負担を負わせるものであり、改善が必要である。

【齋藤委員】

○ 結論

 応能負担にすることでよいが、負担額の発生する所得額のラインをどこに引くのか、また所得額の増加に応じた負担額の設定をどうするのかは検討を要する。負担を求める範囲については、基本的に障害者本人とすべきである。ただし同居家族の中で障害者の経済的独立が保たれていない等の問題についても検討すべきである。

【佐野委員】

○ 結論

 負担の範囲は障害者本人に限定すべきである。また、負担する場合は本人の負担能力ににあった応能負担制度が望ましい。

【末光委員】

○ 結論

 同居家族の負担を求めるべきではない。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 障害者個人の所得認定を行い、負担額を決すべきである。

○ 理由

 「負担を求める者」は、障害者個人としなければならない。同居家族に負担を求めることは、障害者を個人として尊重しないことにつながるとともに、障害者に対する支援を第一次的には家族に行わせる旧来型の考え方につながるものであり、不適切である。

【田中(正)委員】

○ 結論

 所得と負担については多制度との整合性をとるべき。その際、負担が大きいために利用を控える事情と、かかるコストに対する感覚については、議論が必要。
 成人は、障害者本人の所得を基本とすべき。

○ 理由

 社会保障全般の課題としての整理と検討が重要と考えるから。

【中西委員】

○ 結論

 夫婦のうち一人が障害者である場合、収入が合算されて負担を求められ、家族と同居の障害者のサービス利用負担が同居家族に求められるのは不当であり、あくまでも障害者本人の収入を元に負担を求めるのが基本である。

○ 理由

 現在では夫婦でも家計は別であり同居家族内でも障害者の負担を他の家族メンバーに求めるのは時代の趨勢に合わない。国は大家族的な発想ではなく負担論理を個人別の課税や負担に転換すべき時代にきている。

【中原委員】

○ 結論

 福祉サービス、補そう具、地域生活支援事業、自立支援医療などを包括した応能負担とすべき。
 負担を求める範囲は、障害者本人の所得のみによるものとすべき。なお、低所得( 市町村民税非課税)の障害者については無料とし、就労所得等がある人については利用者負担が過重とならない仕組みが必要。

○ 理由

 現在は福祉サービス、補そう具、地域生活支援事業、自立支援医療など、別々に利用者負担の上限額が設けられていることから、複数のサービス等を利用する場合の利用者負担が大きくなってしまう。

【奈良崎委員】

○ 結論

 食事以外はその人の収入によって分ける。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 障害者本人の所得のみを収入認定とすべきである。

○ 理由

  1. 以前の支援費制度が参考になる。障害福祉サ- ビスは、あくまで当事者本人が利用するものであり、当然その負担は障害者本人に限定されるべきである。同居家族に費用だけでなく精神的負担を課さないためにも、収入認定は本人の収入のみとする必要がある。
  2. 支援費制度は制度の仕組みというよりは、むしろ財源問題で自立支援法に切り替えられたと認識している。同居家族に負担を負わせることにより、家族関係を悪化させたり、親の扶養・介護責任を負わせ続けること(家族責任)に繋がる。

【野原委員】

○ 結論

 費用負担を求める場合の原則は「応能負担」であるべきです。負担上限の決め方は、障害者誰もが手軽にサービスを受けられるに足る金額設定とし、所得階層に応じてきめ細かい区分による低額の負担額とすべきです。その際の負担能力をはかる基準としては、障害者本人のみの所得を基準とすべきです。
 医療に依存して生活・生命を維持している難病・慢性疾患患者の障害程度の認定と負担は、特別の検討が必要です。

○ 理由

 現行の自立支援医療は、医療保険の加入者ごとの所得状況により負担上限が決められています。同居および加入保険にかかわらず、障害者本人のみの所得状況に応じて負担額を決める制度にすべきです。障害者を背負う家族にまで負担を求めるのは経済的のみならず精神的にも負担です。障害者が社会的に自立をしていくための費用負担は、家族に負わせるべきではなく社会全体で負担すべきです。
 難病・慢性疾患患者は、機能障害の不自由さに加えて、常に通院・送迎・付き添い・遠地施設への滞在などを含めた多額の医療費ケアの負担を求められる場合が多くあります。
 また、いままで理解されていない症状で苦しんでいる人たちが多くいます。

【東川委員】

○ 結論

 成人については、障害者本人のみとして、所得に応じた負担の仕組みとすべきである。その際の負担は応能負担とするのが現実的と考える。

○ 理由

 本人が費用負担できない場合については、本人を対象とする、所得保障の仕組みを講じるべきである。民法877 条1 項の「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」という考え方そのものも検討すべき時期と考えるが、まずは、家族に負担を求めるのは、自立の阻害要因となることが大きいため。

【広田委員】

○ 結論

 同居の場合、家族を含める。

○ 理由

 北欧のような税負担ではないので。
 日本社会通念上。

【福井委員】

○ 結論

 違憲訴訟の基本合意でも明らかなように、障害者支援は公的責任で行われるべきであり、家族責任を強いてはならない。民法の扶養義務を見直し、根本的な制度改革を実施すべきである。

○ 理由

 障害のある当事者を、社会の対等な一員として、その人権を保障していくための根幹に係わる問題であり、どうしても解決しなければならない不可欠な課題である。

【藤井委員】

○ 結論

 あくまでも負担の範囲は障害者本人に限るべきである。また、負担の仕組みについては、最低限、本人の負担能力に合わせた応能負担制度にすべきである。

○ 理由

 同居家族に負担を課す事は、家族負担を軽減し、障害者の地域における自立した生活を推進するという方向性にそぐわない。障害者を一人前の個人として捉えないことは、障害者の尊厳の尊重を目的にした権利条約に反する。障害者を一個人として捉えるべきである。

【藤岡委員】

○ 結論

 障害児の場合、今回の法改正で原則無償化は必ず実現するべきである。仮に負担を求めるとしても費用負担者・費用負担算定の根拠となる収入の対象とも障害児者本人に限るべきである。

○ 理由

 障害児の有償制度は子どもの権利条約23条違反。
 障害児者の世帯や家族を費用負担者や収入認定の対象に含めるのは,家族が障害者を世話すべきという誤った考え方に基づくものであり,障害に起因する特別な負担を親子、配偶者、家族に押し付けることにな。障害福祉の公的責任に反する。
 現状では負担のない障害者も婚姻により負担が生じ、高齢化で子にも負担が生じる。そんな不条理は解消されるべきである。これでは障害者本人が自立した地域生活が営めなくなり、障害福祉の目的に反する。

【増田委員】

○ 結論

 障害ゆえに必要な支援は無料を原則とすると考えるため,負担を求める範囲は検討する必要がない.しかし,現状の配偶者の所得を含めて負担を求める制度は早急に廃止すべきである.

【三浦委員】

○ 結論

 費用負担を求める場合の仕組みについては、論点G-2-1)のとおり。
 負担を求める範囲については、「障害者本人」のみとするべきである。

○ 理由

 障害のある人本人が受ける支援に係る負担については、「障害者本人」の収入等に着目することが適当であると考えるため。また、障害のある人本人とその配偶者を含む家族等との関係性は多様であり、基本的には本人の収入のみに着目した仕組みづくりが、自立生活を推進する環境づくりに必要と思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 現行の徴収基準 (市町村税非課税等)を基準に、当然本人のみの収入に着目すべき。
 支払う能力がある人からは負担を求める事はしても良いと考える。

○ 理由

 個人としてサービスの需給関係が成り立つものであるから。
 本人以外から負担を求めてしまうと、それによって本人が不利益をこうむる事があるため。
 負担を求める仕組みに関しては、財産ではなく、収入要件が好ましいと考える。

【宮田委員】

○ 結論

 成人期には障害者本人、児童期は保護者を費用負担の範囲とする。配偶者の所得についても負担範囲に含めない。施設入所者の年金所得については、将来の地域移行に向けた使途を検討するべき。

○ 理由

 成人期の支援に対しても家族の所得を勘案するのは、障害のある人の自立性の否定につながる。また、地域生活を支える障害者家族(含:配偶者)に対する経済的支援が必要であるにもかかわらず、現行法では逆になっている。

【森委員】

○ 結論

 費用負担を求める場合の仕組みと、その際の負担を求める範囲については、
 1 仕組み:障害者本人が支払える応能負担制度へ
 2 範囲:障害者本人のみの個人単位制度へ
とするべきである。

○ 理由

 介護保険制度と違って、応益負担制度から応能負担制度にかえ、その負担者は、障害者個人のみに特定すべき時期にきたと考える。

※ 昭和61年より障害基礎年金制度の所得制限は障害者本人であること。費用徴収制度においては、昭和63 年には、扶養義務者から親・兄弟を外したこと。そして、障害者自立支援法においても、扶養義務者は実質的には配偶者のみになったこと。さらには、障害者の定義が、社会モデルとして、多くの支持を得てきている現状などを踏まえて考えるべきである。

【渡井委員】

○ 結論

 障害者本人のみ、収入に応じた費用の補助を支給。

○ 理由

 障害者でも一個人の大人としてみなすべき。

<項目G-3 その他>

論点G-3-1) 「分野G 利用者負担」についてのその他の論点及び意見

【荒井委員】

○ 結論

 療養介護や重症心身障害児施設等、医療型施設における医療費部分の利用者負担について軽減措置を検討する必要がある。

○ 理由

 平成22 年度から障害福祉サービス及び補装具に係る低所得者の利用者負担が無料とされたが、療養介護や重症心身障害児施設等、医療型施設における医療費部分の利用者負担について、軽減措置を検討する必要がある。

【伊澤委員】

○ 結論

 利用者負担は廃止。

○ 理由

 障害当事者にとって酷である。障害を持ちながらの生活にさらに「これだけの費用がかかります」と追い打ちをかける行為は残酷以外の何物でもない。

【氏田委員】

○ 結論

 障害のある子どもが生まれても安心して子育てが出来るインクルーシブな社会でなければならない。健常児ばかりが生まれてくる訳ではない。障害のある子を疎外しない社会づくりが必要であり、社会が連帯して育てるべきである。自立支援法による応益負担の導入は、障害のある子を育てる家族にさらなる大きな負担を強いただけでなく、障害のある子の誕生を迎え入れることの出来ない社会を生みだしかねない。児童憲章そして憲法に戻って真摯な議論が必要である。

○ 理由

 障害は、避けようにも避けられず(不可避性)、知っていてなったわけではなく(不可知性)、元には戻れず(不可逆性)、若くしてなり(弱齢性)、誰でもなる可能性がある(普遍性) という特徴をもつ。そして、障害はその人の責任ではない。その意味からも費用負担の導入はナンセンスであり、さらに、社会連帯が生まれなくなることを懸念する。

【大久保委員】

○ 結論

 中長期的検討課題として、年金制度改革などにおいて障害基礎年金の見直しが行われた場合は、利用者負担のあり方について再検討が想定される。

【近藤委員】

○ 結論

 加算と利用者負担の連動は、早急な見直しが必要である。

○ 理由

 就労移行支援体制加算といった前年度の支援内容に基づく加算を現利用者が負担する矛盾や、食費の軽減措置としての食事提供体制加算に利用者負担が生じる矛盾を解消するべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 利用者負担の所得階層別の支払い表の金額を見直す。
 地域生活支援事業の負担を自立支援と統合する仕組みを検討すべき。

○ 理由

 非課税世帯が無料の次に、いきなりほとんどの人が同じ負担額になるのは違和感がある。年収で500万くらい差がある人が同じ扱いになっている。非課税すれすれで課税世帯になっている人に不利益が生じる。
 自立支援は負担が軽減されたが、地域生活支援事業は、地域によっては上限がなく多制度との整合性が無く、1 割負担の自治体が多い。特に、移動支援はニーズが多いため負担感は重い。

【中原委員】

○ 結論

 18歳以下の障害児については、保護者の収入に応じた利用者負担の仕組みとなっていることから家族の負担が大きい。児童権利条約の趣旨からも障害児の利用者負担は限りなく無料とすべき。

○ 理由

 これまでの負担軽減策により、障害者については障害者本人と配偶者の所得のみによるものとなったが、障害児については家族の収入で利用者負担を算定されるため、家族の負担が大きいことから、推進会議に設置される「障害児」の合同作業チームでの検討を求める。

【奈良崎委員】

○ 結論

 全部利用者負担ゼロは、社会のためはよくありません。

○ 理由

 同じように福祉サービスを使っている高齢者が1 割負担しているように、同じく負担する。

【野原委員】

○ 結論

1)福祉、医療の利用者負担の上限は、トータルに総合上限制度とすること。

2)負担の公平、平等という点を考える場合には、障害者権利条約の観点に立脚し、現行制度についても事実に即して広報する必要があります。この観点から、現行制度を説明するホームページの不適切な記述などを至急改善すべきと思います。

○ 理由

1)障害をもつ人が生きていくうえで必要なサービスは社会の負担(利用者無料を原則)とすべきです。利用者負担を課す場合には、総合上限を設けるべきです。

2)利用者負担について、現在でも厚生労働省のホームページにおいて、「○安定的な財源の確保」として、「国の費用負担の責任を強化(費用の2分の1を義務的に負担)し、利用者も利用したサービス量及び所得に応じて原則1割の費用を負担するなど、みんなで支えあう仕組みになりました。」とあります。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/service/aramashi.html
 これまではあたかも障害者に負担はなかったかのような表現ですが、自立支援医療(育成医療、更生医療、精神通院医療)については、応能負担区分による費用徴収(育成医療、更生医療)、5%の定率負担(精神通院)が行われてきていました。これまではまるで障害者は他者に支えられて生きてきたと言わんばかりの表現は事実に即してすぐに改めるべきです。

【東川委員】

○ 結論

 高次脳機能障害者の場合は利用できるサービスがないために家族などが自力で立ち上げた相談支援、生活援助支援活動等について現状は利用者に負担を求めて家賃などの必要経費のねん出をせざるを得ない状況である。これらの小規模事業に公的助成を早期に実現させてほしい。

○ 理由

 当事者家族の家計を圧迫している。

【福井委員】

○ 結論

 この点が、今回の新制度を作っていく上での根本的な問題となるところであり、総合福祉部会としても、しっかりと意志統一していく課題であると考える。もし、意見の違いがあれば、活発な討論が必要である。

○ 理由

 基本的なところでの一致がないと、今後の方向にも確信がもてないと思うので。

【藤井委員】

○ 結論

 谷間の年齢層(義務教育終了後から障害基礎年金受給対象となる20歳まで)については、特別給付金等の支給を行うべきである。

○ 理由

 働くことができない障害者への支援の谷間を生まないため

【藤岡委員】

○ 結論

 今回の改革が成功したか否かを検証するメルクマールの一つは、応益負担撤廃が実現したかである。

○ 理由

 今回の改革のスローガンの一つは「障害自己責任からの解放」のはずであり、基本合意の骨子であるから。

【増田委員】

○ 結論

 応益負担.実費負担を理由に,必要な支援を受けなくなったり,通所を断念した人たちに, 低所得1,2の場合には無料になったことなど,再び支援に結びつくことができるような働きかけを国と自治体の責任で行うべきである.

【光増委員】

○ 結論

 所得保障が充分なされていない現状では、市町村民税非課税世帯の人には、自立支援医療、地域生活支援事業も含めた軽減策を講じるべきだ

○ 理由

 障害のある人がどこで暮らしても、最低限の所得保障が実施できる制度にすべきであるから

【森委員】

○ 結論

 措置制度から契約制度に変わった現在、利用者負担という言葉は適切であるのか。また、就労移行支援や就労継続支援については、利用者負担は撤廃すべきである。

○ 理由

 措置制度から対等の立場を基本とする契約制度にかわっても、負担というのか。また、就労の場において、利用者負担を徴収されること自体が就労とはいえないし、意欲をもって就労に取り組むことができがたい。

【渡井委員】

○ 結論

  1. 作業所の利用者の利用料負担の廃止
  2. 通所の訓練等を受ける場合の交通費補助の支給

○ 理由

  1. 賃金が低いところが多く、利用料が発生すれば労働意欲を阻害してしまうから。
  2. 住まいによる地域格差をなくすため。