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(第7回総合福祉部会)「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見

提出委員 小野 浩

(分野G 利用者負担)

<項目G-1 応益負担の問題点と現状の評価>

論点G-1-1) 「自立支援法」で導入された自立支援給付(福祉サービス、補装具)、自立支援医療の応益負担の問題点についてどう考えるか?

○結論

 速やかに応益負担を廃止する。

○理由

 国(厚労省)と訴訟団が交わした「基本合意」では、自立支援法の廃止の前に、「速やかに応益負担を廃止する」ことが明記されているため。

論点G-1-2) 「応益負担の廃止」方針に基づく、今年4 月からの福祉サービスと補装具の軽減措置についてどう評価するか?

○結論

 課税世帯の応益負担の軽減策を早急に検討すべき。

○理由

 東京都内区市町村の所得階層別世帯数のうち、約25%が課税世帯となっている。課税世帯だからといって、すべてが負担能力のある人たちではない。たとえば、課税は前年度所得に対して課せられるため、前年度に中途障害を負い、職を失い収入が途絶えたにもかかわらず課税世帯に認定され、月額37,200 円の負担上限とさているケースもある。
 また就労移行支援では、一般就労を経てきた人の利用が少なくない。そうした人は課税世帯となり、負担軽減策が及ばないケースもある。人によっては、生活保護を申請せざるを得ない場合もある。つまり応益負担の仕組みが残されている限り矛盾は解消されない。

論点G-1-3) 基本合意でも「当面の重要な課題」とされている自立支援医療に関する軽減措置についてどう考えるか?

○結論

 まずは、非課税世帯の負担を無料とすべきである。

○理由

 国(厚労省)と訴訟団が交わした「基本合意」では、自立支援法の廃止の前に、「速やかに応益負担を廃止する」ことが明記されているため。

<項目G-2 負担の範囲>

論点G-2-1) 「応益負担廃止」後の負担のあり方として、サービス・支援に関する負担と食費等の実費負担について、それぞれどう考えるか?

○結論

 障害に伴う支援は無料とすべきである。また新法によってさまざまな合理的配慮が制度化された場合、本人の食費・文化・リクリエーション等の実費は本人負担とすべきである。ただし、過重かつ法外な実費負担は法的に戒めるべきである。

○理由

 自立支援法以前から、月1万~2万円もの多額な送迎利用料を徴収している施設がある。しかも法施行後、送迎利用料のキャンセル料まで徴収している施設もある。また給食の実費負担では、食べた場合約300 円の実施を負担するが、キャンセルすると700 円のキャンセル料を徴収している施設がある。こうした不法な負担は、ただちに止めさせるべきである。

論点G-2-2) 費用負担を求める場合の仕組みとその際の負担を求める範囲(障害者本人、同居家族等)についてどう考えるか?

○結論

 そもそも検討対象となる課題ではない。そのため、現行の配偶者の収入を所得認定の対象としている制度は、ただちに見直すべきである。

○理由

 障害に伴う支援は無料とすべきだから。

(分野H 報酬や人材確保等)

<項目H-1 支払方式>

論点H-1-1) 「自立支援法」による報酬払い方式についてどう評価するか?日額払い方式について、人材確保や安定したサービス提供の困難さを指摘する声がある一方、利用者の選択等の点から評価する声もある。これについてどう考えるか?

○結論

 月額払いとすべきである。

○理由

 就労支援等の事業所の支援は、時間や日割りによって構成しているものではない。継続的かつ積み重ねの支援を基本としているため、月額とすべきである。複数の事業所支援を選択するという点については、支援費制度時代にも複数施設の利用が可能であったため、日払いにしなければ選択権保障ができないということはない。

<項目H-2 人材確保・育成>

論点H-2-1) 人材確保の困難が指摘されている。また、事務量の増大等を指摘する声がある。

 人材不足の解消及び事務の簡素化のために、サービス体系及び資格要件をシンプルにすることは有効か?また、有効である場合、どのように整理するべきか?

○結論

 介護・福祉職の公共性を明確に評価し、それに応じた報酬を保障すべきである。

○理由

 現行の報酬基準はきわめて低く、加算を含めて一定の報酬額になる。まずは、介護・福祉職の公共性を明確に評価し、基本の報酬基準を見直すべきである。

論点H-2-2) 支援職員や相談支援者の迅速かつ有効な人材確保・育成の課題は何か?

○結論

 職業としての専門性の確立と相当する収入の保障をするとともに、支援に対する客観的な評価システムの確立

○理由

 福祉系大学で学んでいながら福祉の職業を選択しない学生が増えている。そのため、専門職種としての確立とそれに応じた収入の保障が求められる。それとともに現在の第三者評価システム等を大幅に見直した客観的評価システムを福祉法とは別の法制度として確立すべきである。

論点H-2-3) 障害福祉サービスの質・量を適切な水準に保つには、支援職員の賃金その他の労働条件が他の分野と比べて遜色のない水準に保たれる必要があるが、そのために障害者総合福祉法で規定できる事項、その他の法制度で規定すべき事項があるかどうか?

○結論

 総合福祉法で定める新たな支援・事業の運営・支援基準を明確化すべきである。また支援内容を客観的に評価するための法制度を設ける。

○理由

 論点H-2-2)と同様である。

<項目H-3 その他>

論点H-3-1) 「分野H 報酬や人材確保等」についてのその他の論点及び意見

○結論

○理由

(分野I その他)

<項目I-1 介護保険との問題>

論点I-1-1) 国と「自立支援法」訴訟団との「基本合意文書」の中では「新たな福祉制度の構築に当たっては、現行の介護保険との統合は前提とせず」と記されている。この点から、検討すべき論点としてはどのようなことがあるか?

○結論

 総合福祉法は、介護保険制度との統合を前提とした自立支援法の延長線で検討しない。

○理由

 介護保険との統合を前提としないということは、現行の「介護給付」「地域生活支援」「障害程度区分」「報酬制度」など、すべての面でそれらを前提とせずに、新たな法制度を検討すべきである。

論点I-1-2) 現行「自立支援法」第7 条では「介護保険優先」の原則がうたわれている。介護保険対象となった際に、「自立支援法」のサービスが利用できなくなったり、サービスの量・種類が削られたりする事例が生じている。こうした事態を避けるためには、どのような制度とすることが必要と考えるか?

○結論

 ただちに見<直すべきである。

○理由

 ただちに介護保険優先原則を廃止すべきである。あくまでも総合福祉法にもとづく支援を継続すべきである。介護保険制度との併用という意見もあるが、介護保険制度については、根本的な総括をすべきと考える。
 現在開かれている社会保障審議会・介護保険部会では、いまなお「介護保険の普遍化」「障害福祉との統合」が議論されている。一方、同部会では、認知症の人と家族の会から「要介護認定の廃止」「必要に応じた介護保障」「公費負担を6 割に」などの要望がだされており、きわめて的を射た重要な指摘である。
 財源問題のみを動機とした制度設計は必ず欠陥が生じる。まずは介護保険制度の根本的な総括が求められるといえる。

<項目I-2 現行の特別対策等>

論点I-2-1) 臨時特例交付金による特別対策事業についての評価はどうか?また、この中で、「特別対策」から正規の制度に組み入れる必要があるものはあるか?

○結論

 正規の制度に組み入れるというよりも、特別対策事業を総合福祉法施行まで延長すべきである。

○理由

 新たな総合福祉法は、自立支援法の延長上で検討するものではないため、「正規化」という考え方は成立しない。

論点I-2-2) また、特例交付金の延長は必要か?

○結論

 総合福祉法施行まで延長すべきである。

○理由

 論点I-2-1)と同様である。

論点I-2-3) 新体系への移行の期間(2012 年3 月)をどう考えるか?

○結論

 総合福祉法施行まで延長すべきである。

○理由

 総合福祉法の事業体系は、自立支援法の延長線で検討すべきでないため、新たに制度化される事業体系は現行制度と異なるため。

<項目I-3 現行の特別対策等>

論点I-3-1) この法による支援のための所要額について後年度負担も含め、推計する必要があるのではないか?

○結論

○理由

論点I-3-2) この財源を安定的に確保するための方策と目途をどのようにたてていくべきか??

○結論

 歳入の確保と歳出の配分の議論は別にすべきである。

○理由

 歳入の確保はそれ自体大きな課題であるが、それによって歳出の配分が決まるものではない。まずは配分率の見直しをすべきである。

論点I-3-3) この法の実施に関するモニタリング機関の必要性をどう見るか?

○結論

 必要である。ただし、現在の社会保障審議会のような厚労行政の下におかれた機関ではなく、また民間からも独立し、一定の権限を有する第三者機関として確立すべきである。

○理由

 行政ならびに支援事業者いずれからも独立することによって、当事者性と第三者機関としての権限を確立することができるから。

論点I-3-4) 相談、「選択と決定」(支給決定)、支援の利用、利用者負担等、この法に関わる全般的な不服審査・苦情解決・権利擁護機関の必要性をどう見るか?

○結論

 必要である。ただし、現在苦情解決・権利擁護機関のあり方では十分でないため、見直すべきである。

○理由

 現在の苦情解決や権利擁護機関は、十分に機能していない。そのため差別禁止に関する法律にもとづいた障害者権利委員会等の第三者機関を確立していくことが求められる。

論点I-3-5) 「分野I その他」についてのその他の論点及び意見

○結論

○理由