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総合福祉部会 第7回 H22.9.21 資料1-2

「障害者総合福祉法」(仮称)の論点についての意見(分野H 報酬や人材確保等)

目次

(分野H 報酬や人材確保等)

<項目H-1 支払方式>

論点H-1-1) 「自立支援法」による報酬払い方式についてどう評価するか? 日額払い方式について、人材確保や安定したサービス提供の困難さを指摘する声がある一方、利用者の選択等の点から評価する声もある。これについてどう考えるか?

<項目H-2 人材確保・育成>

論点H-2-1) 人材確保の困難が指摘されている。また、事務量の増大等を指摘する声がある。人材不足の解消及び事務の簡素化のために、サービス体系及び資格要件をシンプルにすることは有効か? また、有効である場合、どのように整理するべきか?

論点H-2-2) 支援職員や相談支援者の迅速かつ有効な人材確保・育成の課題は何か?

論点H-2-3) 障害福祉サービスの質・量を適切な水準に保つには、支援職員の賃金その他の労働条件が他の分野と比べて遜色のない水準に保たれる必要があるが、そのために障害者総合福祉法で規定できる事項、その他の法制度で規定すべき事項があるかどうか?

<項目H-3 その他>

論点H-3-1) 「分野H 報酬や人材確保等」についてのその他の論点及び意見

(分野H 報酬や人材確保等)

<項目H-1 支払方式>

論点H-1-1) 「自立支援法」による報酬払い方式についてどう評価するか? 日額払い方式について、人材確保や安定したサービス提供の困難さを指摘する声がある一方、利用者の選択等の点から評価する声もある。これについてどう考えるか?

【荒井委員】

○ 結論

 報酬支払い方式については、利用者のサービスの選択を保証する観点から日額支払い方式を維持し、事業者のサービスの質の向上、良質な人材の確保、経営の安定化等の課題については、報酬単価の改善等により解消すべきと考える。

○ 理由

 月額払い方式は、利用者の利用状況にかかわらず一定の報酬が支払われるため、事業者の運営の安定にはつながるものの、利用者から見た場合、利用できるサービスが固定され、あるいは利用者の負担の増加にもつながりかねない。

【伊澤委員】

○ 結論

 日額払い制度はとりわけ精神障害者支援に関する事業の現状に適しておらず、月額払いに変更すべきである。

○ 理由

 精神障害分野においては、「揺らぎ」という障害特性により、日中の通所サービス利用率が不安定で、平均で月50~60%のため日額払い方式では安定した運営に支障が生じている。また、グループホームなどの居住系サービスにおいても病状悪化による長期入院や、また、意識的な外泊(親元や旅行なども)を通じて家族関係調整やご本人の自立度を高めるという支援対応もある。こうした支援が運営に支障を与えるというのは実に解せない。日額払いでなくても、利用者の選択の権利は守れる仕組みが必要と思うが、利用者の選択については日額払い導入以前の方が自由度が高かった印象が強い。制度設計にあたり、利用事業の選択の幅や自由度を確保しておくことも大切な要素である。

【石橋委員】

○ 結論

 報酬払いを日額としたことを評価しない。
 事業所運営に携わる諸経費の見直しが進んでいない。
 日額払い方式は、職員を非正規、契約職員等で構成することになり、体調管理を考慮しなければならない利用者にとってサービス利用に制限が生まれ、精神的負担となっている。
 月額払いの前提は、事業所運営の基盤整備(適正な運営補助)を前提とする。
 また、利用者の選択は保障されるべきである。しかし日額、月額払い方式とは関係ないと考える。2 箇所以上の事業所を選択しても、個別支援計画がきちんと作成され、行政や事業所をはじめ関連機関の連携がとれていれば問題ないと考える。

【氏田委員】

○ 結論

 利用者の選択権は保障されるべきであるが、一定の人件費や管理経費がかかる事業では日額払い方式はふさわしくない。日額払い方式の導入を一部に限定し、利用者の選択権についてはケアプランなどで反映するなどの方法で保障していくことは考えられないか?
 また、弾力性のある報酬払い方式にすべきであり、運営基準費と日額払い方式の2 本立てにすべきである。ただし、グループホーム、ケアホームなどの住まい系は月額払い方式とし、障害のある人の暮らしの場の保障を確かにすべきである。

○ 理由

 日中系は、利用者の選択の幅を広げるためにも日額払い方式が望ましいが、障害によっては(発達障害の高機能群など)日額制が馴染まない場合もあり、単価の設定を運営基準費(基本の人件費等の固定的にかかる経費)と日々単価(利用料)を組み合わせた2 段階の単価設定にすべきである。また、施設の重複利用に関しても基本料と実績払いの方式をとる必要がある。報酬については月額払い方式とし、負担金については日額払い方式という方法も考えられるのではないか。
 例えば、現状では日額払いの場合、障害のために毎日出席が無理な人、引きこもりになってしまった場合など、籍を置くことが難しくなっている。100%の出席率を確保するために土日祭日の出勤を要請されるなど、週5 日制で有給休暇が保証されている社会に於いて、福祉的就労では労働強化になるのではないか。土日を地域でのサークル活動など余暇活動に充てている人などは豊かな地域生活を阻害されてしまう。
 職員が、利用者が来ない日に出勤して会議を開いたり、環境を整えたりする場合の報酬算定がない。利用者がいる時間帯だけの支援になり、支援の質の低下が懸念される。

【大久保委員】

○ 結論

 日額制が導入されたことにより、通所系サービスの利用者が、日によってサービスを選択できることや入所施設やグループホーム利用者の帰省時等に他のサービスを利用できるという、利用者の選択権を保障し、生活の質を向上させる仕組みとなったことを評価したい。
 一方、事業者の収入の問題を日額制に安易に結びつけるべきではなく、先ずは、報酬単価自体に注目するべきであると考える。よって、報酬は日額制を基本とすることが妥当と考える。
 なお、事業所の収入の安定した確保については、その報酬単価設定ならびに契約と異なって利用しない場合の取扱いなどについて検討していく必要があるが、事業者自身の経営努力も必要であることは言うまでもないと考える。

○ 理由

 現在、日額制を活かした、複数のサービスを利用する人たちが少ないという現状があるが、それは、サービス基盤や相談支援、ケアマネジメント体制が地域に整備されてないことが大きな要因と考えられる。

【岡部委員】

○ 結論

 グループホーム等を含む施設利用に対する日払い制は維持するべき。なお、居室を維持するための家賃相当分の保障のみは本来必要と思われるが、これについては住宅手当を含む所得保障施策の実施を前提とし将来的に家賃相当のホテルコストを利用者負担とすることで解決を図るべき。一方で夜間に対する人員配置の改善を前提とし報酬単価については見直しが必要。

○ 理由

 居宅介護が時給制、ショートステイや日中活動支援が日額制であること、グループホーム等の利用者や自分の居宅で生活する当事者はそもそも家賃を自己負担していることとの整合性をとる必要がある。

【小澤委員】

○ 結論

 日払い方式の利点は十分活かして欲しい。そのために、日払い方式でも安定した経営ができるように、報酬改定を行う。

【柏女委員】

○ 結論

 障害児 (児童福祉法と障害者総合福祉法 (仮称)の相互乗り入れ部分を含む。)の場合の報酬支払い方式については、総合的な支援を保障する観点から月額単価方式とすることが妥当である。なお、複数のサービスを利用することがある場合には按分方式を導入する。

○ 理由

 本人の特性に応じた支援並びにその家族も含めた総合的支援に資するため。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 利用者の選択幅を確保するためにも事業が継続可能な報酬確保を担保すべき。

○ 理由

 例えば就労支援の場合、参加者数は日によって変動があるが、応需体制は定員により確保する必要がある。固定費負担が大きく逆ざやになる場合があり運営に支障が出ている。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 月額方式にすべきである。

○ 理由

 精神障がい者の場合、安定した継続利用が困難な場合が多くみられる。日額払いであると安定した運営費が得られず、結果的に人員不足、サービスの低下を招く。また日払い方式では、障害が安定しない精神障がい者にサービスを利用できない人が出ている。

【北浦委員】

○ 結論

 日払い方式については、利用者の複数サービスの選択を可能とするもので、利用者にとっては有用なことである。しかし、事業者は運営が不安定となり、結果としてサービス低下につながる恐れがあると危惧している。そこで、事業の運営が円滑にいくための方策として、同じ月内で利用者の変動があっても、一定の給付が事業者に支払われるような方式、仕組みを考える必要がある。

○ 理由

 利用者の必要なサービスの複数選択の保障と、事業者のサービス水準の確保を両立させる必要があるからである。

【倉田委員】

○ 結論

 ケアホーム、グループホームの報酬は、月額支払い方式にすべきと考える。

○ 理由

 ケアホーム、グループホームの利用にあたって、利用者が複数事業所から利用事業所を選択することはなく、「利用者の選択等の点から評価」は現実的には無縁である。
 また、ケアホーム、グループホーム事業は「契約者数= 利用者数」であり、月平均利用人数が利用定員に達することはないため、日額払い方式ではなく月額払いに見直すべき。

【近藤委員】

○ 結論

 概ね毎日サービスを利用する予定の場合は月額払いとし、複数サービスを利用する場合や、概ね毎日の利用を予定していない場合は日額制とすることを基本とした、( 本人との契約による) 選択制とするべきである。

○ 理由

 人員配置に対する報酬の担保は必要である。また、特に就労系サービスは、利用する日だけ支援を行っているのではない。

【齋藤委員】

○ 結論

 原則月払い方式とすべきであるが、本人が複数のサービスを日替わりで利用する場合などは日払い方式の選択もできるものとし、そうした選択に事業者からの圧力がかからないように配慮しなくてはならない。また月払い方式とした場合も利用日数が一定量を下回る状態が続く場合には減額計算を行なう必要もあるが、ここでも障害の状況に対する配慮が必要である。

【坂本委員】

○ 結論

 日払い・月払いについては、本当に必要なところに必要な費用を払うことができることが重要であり、よいサービスを提供する事業所がきちんと経営できることと、利用者に選ばれない事業所に改善の努力を促す仕組みであることが両立するものを目指すべきである。

○ 理由

 例えば、日払い方式では精神障がいのある方の支援が十分に行えないといった指摘もあるが、そこは報酬上で工夫して評価するなど、どのような方式であっても、それぞれのデメリットを補うような工夫が求められている。

【清水委員】

○ 結論

 その人が価値的に生きていくことを後押しするのは、個別給付で原則日払い。それに加えて、市民として一緒に暮らしていく基盤として、生活拠点づくりとしての分は各自治体による月払い。 いずれにしても、重ねることが必要と考えます。

○ 理由

 利用者の選択の尊重ということについては、本人中心の相談支援の相当の力量拡大が必要と考えます。

【末光委員】

○ 結論

 予定利用枠( 人数と日数、1 日の予定人数枠) に応じての定額的な日中活動施設への費用給付がなされるべきである。この意味での「予定的な日額払い」方式での施設への費用給付と、「出来高払いでの日額払い方式」とは、区別されるべきである。「出来高払い」方式は、少なくとも日中活動については採られるべきではない。
 短期入所支援についても、「出来高払いでの日額払い」での施設への費用給付だけでなく、予定枠に対しての施設への一定の費用も給付される方式が必要である。

○ 理由

 日常的な医療的ケアの必要な利用者、健康面で不安定な利用者では、体調の変化や急な入院などの理由から、予定通りに日中活動に参加(通所)ができなくなる場合がしばしば生ずるが、施設ではスタッフをその日の予定に応じて配置しておくことが必要である。短期入所についても、同様なことがあり得る。
 日中活動については、たとえば、週のうち3日はA施設を利用し、2日はB施設を利用するという、選択での組み合わせが可能なシステムが必要である。
 施設への費用給付が予定利用枠(人数と日数、1日の予定人数枠)に応じての定額的な日中活動施設への費用給付がなされる「予定的な日額払い」での方式であり、また、利用者負担については、その月に受ける支援の全体に対しての「応能負担」であれば、利用者の選択と、施設での安定したサービスとが、両立する。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 報酬の支払い方式については、日払い方式、月払い方式のいずれにも一長一短がある。利用者が各種の支援を利用するにあたって、金銭的負担の重さから利用を差し控えるような方式とならないように配慮しつつ、事業者の経営を安定させる方式を検討する必要がある。

○ 理由

 事業者の経営の安定は、利用者の利益に資するものであるから、重要な考慮要素である。月払い方式はこの点で日払い方式より優れているが、この方式を採用する場合には、応能負担のあり方を十分検討する必要がある。日払い方式を採用する場合には、事業者への補助金の交付等、事業者の経営安定策を検討する必要がある。

【田中(正)委員】

○ 結論

 日額払い方式を堅持すべき。日額払いが利用しやすいように、相談事業を軸にしたソーシャルワーク機能を強化すべき。事業所の救済策は別の枠組みと方法論で検討すべき。

○ 理由

 日額払い方式は利用者主体である事を貫く基本の仕組みであるため。事業所の都合で利用者の権利を阻害すべきではない。利用者が暮らしに必要なサービスを、所属にとらわれずに、利用者が選ぶことを保障する仕組みが個別給付の基本であり、その中身が、日額払い方式や、昼夜分割利用や個別対応のヘルパーなどの仕組みである。事業所の都合である人材確保や安定したサービス提供の困難さを重視するのであれば、ヘルパー利用も含めて、全ての利用する仕組みを措置に戻した方がわかりやすい。個別給付は個人に付くのであり、一部のサービスや枠組みに報酬が付く仕組みを残すと、仕組み全体におおきな歪みをもたらす。

【中西委員】

○ 結論

 大規模施設については日額払いとし、小規模の施設においては月払いとするべきである。

○ 理由

 施設が閉鎖の方向を目指すべきであり、空きベッドに対しての補助金支出は施設政策をいたずらに長引かせる元になる。コミュニティーにおける小規模な通所などの施設は今後も発展させていく必要があり、そこでの空きベッドに関しては報酬を支払い、職員の安定的雇用をはかるべきである。

【中原委員】

○ 結論

 日額払い方式については、利用者の選択という視点から一定の評価はするものの、事業者の経営が不安定となっており、専門的かつ安定したサービスの提供に苦慮している。
 報酬のうち最低限、人件費等の固定費相当分については、実際の利用の有無に係わらず契約時の利用日数分の報酬を保障し、利用者個々の支援の必要度に応じた報酬( 日額払い) と合わせたものとすべき。

○ 理由

 利用者がサービスの利用をキャンセルした場合においても、事業所は人員を配置していることから、報酬のうちは固定費部分についてはその月の契約日数分の報酬が保障されるような仕組みが必要である。

【奈良崎委員】

○ 結論

 日額払いでは、大きな法人の方が利用者が多いため、多く支払われている。
 それに比べて、NPO法人や運営委員会(方式による運営の場合)の分は、少ない。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 報酬部分を人件費と事務費に分け、人件費は月払い、事務費は日額払いとする。
     施設の運営に係る事務費部分については、月額報酬にすべきである。
  2. 利用者のサービス選択を維持することが重要であり、個々の障害者が効率的・有効に障害福祉サービスを利用できるよう「ケアマネジメント」を実施し、月契約、日割り契約が選択できる仕組みを作るべきである。

○ 理由

  1. 日額方式は、事業者にとって人件費の調整が困難なことが大きな問題である。そのため労働者の非常勤化や不安定就労が進行し、福祉職場における雇用の不安が生じている。人件費と施設の運営に係る事務費部分は月払いとし、安定した雇用環境を整備する方策が必要である。
  2. 障害者が日中活動として、多様な事業所・サ- ビスが選択利用できることは、一定評価すべきである。

【野原委員】

○ 結論

 谷間のないサービス提供のしくみには、不測の事態なども含めた余裕をもった対応が必要であり、そのためには現行の「日払い」報酬方式では問題があり、月額方式に至急改め、専門性を高めるべきです。

【東川委員】

○ 結論

 日払い方式の他に、運営に関する基礎的給付部分を事業類型別に設定できないか。
 障害者福祉による支援は、利用者の体調の変化などが大きいことなどがあり、本来日払い方式は馴染まないと考える。現実に日払いで事業者の収入が激減したことで、給与水準を引き下げざるをえないことになり、人材確保や安定したサービス提供に大きな支障が生ずることにもなった。そもそも、応益負担との関連で報酬単価が低すぎることが大きな問題である。自立支援法施行前から、社会資源の整備が進んでいた地域では、利用者の選択の幅が広がり、生活の質が向上したと評価する声もある。しかし、多くの地域では社会資源の整備はおろか、崩壊をもたらした感すらある。

○ 理由

 日払い方式の報酬の還元は、利用者へのサービス提供部分であり、運営の全体や基礎的部分に関する報酬が一定枠であってよいと考える。サービス提供に関する努力をしても、利用人数の多い少ないにかかわらず、最低限必要な運営コストがあると考えられるため。

【広田委員】

○ 結論

 コンシューマーの視点からは、いいと思う。

○ 理由

 多様なサービスを使えるので。

【福井委員】

○ 結論

 報酬払い方式のあり方の抜本的見直しを行い、日額払い方式を廃止し、月額単位の仕組みを導入することである。加算の仕組みも簡素化し、基本報酬の引き上げを図ることと、人件費・管理費については全額税による負担基準として、利用料の対象から外すことが必要である。そうしてこそ、福祉現場が働きがいのある職場として、職員の待遇改善がはかられることになる。

○ 理由

 現在、福祉現場では、実態調査でも明らかなように、応募者がいない、定着しない、中堅職員が離職するなど、大変深刻な状況が続いている。この間、いくつかの措置がとられてきたが抜本的改善には至っていない。報酬単価の引き下げに加えて、毎日の通所者が減れば、収入源につながるという日額払い方式が導入されたことは、事業者にとっても利用者にとっても大問題であり、評価の声などとんでもなく、直ちに廃止すべきである。

【藤岡委員】

○ 結論

 本来憲法に基づき、国、自治体が実施するべき公的義務のある障害者福祉に関する基本的人権保障を国、自治体に代替して履行している事業所に対する報酬は、その実績に応じて適正な報酬が公的に保障されるべきである。
 応益負担を前提とした「日額払い方式」はより事業所報酬が成り立つ現行制度は不適切であり, 変更すべきである。
 この点「利用者の選択権の幅を広げる」として正当化する論があるが,利用者の選択権を広げることと障害福祉事業の経営が適切に保障されるべきことを両立させなければならないことが自立支援法の実態により証明されたというべきである。

○ 理由

 日額事業所報酬払いは,利用日数に応じた利用者負担という,支援の量に応じた利用者負担を求める応益負担制度が前提となっている。
 一方,本来障害者福祉の公的責任は、国、自治体にあり( 憲法8 9 条参照)、いわばその履行を代替している民間福祉事業所は本人の当日の利用の有無にかかわらず,である利用者を支援する体制を用意する必要があり, かつ,その利用者の個性に応じた障害福祉について専門的な支援ができる人材が必要とされている。
 就労継続など利用者の生活の場となる事業所では、利用者からSOS の連絡が入れば時間外であろうと支援職員が駆けつけざるを得ない現実があるが事業所に報酬は入らない。日額払い方式は、かかる支援体制構築や人材確保を困難とする。
 報酬は「形式的な利用日数」「程度区分による加算」等で決まるべきものなどでない。
 本来,報酬支払い体系は,障害施策を国、自治体に代替して実施している事業者に対して,相応の報酬が払われるべきという観点から決定されるべきである。
 支援費制度の「契約方式」の導入による「利用者の負担と事業所報酬の連動性」という潜在的矛盾が応益負担と日払い制度により顕在化・噴出したと言える。
 したがって,利用者負担問題とは切り離した考察により報酬支払い方式を決めるべきである。
 なお,この報酬支払い方式とは関係なく,現状の障害者の利用施策の選択権の幅を広げるような環境整備のための方策が必要であることは言うまでもない。

【増田委員】

○ 結論

 日額払いは廃止すべきである.

○ 理由

 日額払いは,職員の日雇化につながると指摘する声もある. 障害者支援はコミュニケーション労働であり,経験の蓄積が求められる.職員が継続して,雇用され続けることが必要で,そのためには基本的な報酬は変動することなく,担保していく必要がある.利用者の選択のために日額払いという考え方は,現状のように選択する資源が不足している現状では議論する余地がない.

【三浦委員】

○ 結論

 利用者の選択肢の確保等、利用者の視点から検討することが大切で、日額払い方式を維持することが適当であると考える。
 ただし、サービス利用に係る支給決定日数(1カ月マイナス8 日を上限とすること) を見直し、1 カ月の日数まで支給決定が可能な仕組みとすることなどは早急に改善し、ニーズに合わせて安定したサービス提供体制を築けるかたちをつくる。その体制づくり( 報酬・事業保障) が人材確保につながると考える。

○ 理由

 利用者の選択肢を確保する観点から、サービス利用の必要性、利用実態と支給決定日数(1カ月マイナス8 日) の不整合を解消することが不可欠であると考えるため。
 なお、通所系サービスでは、利用者の利用の有無、人数の多寡に関わらず人員配置を行っている。これらの観点から報酬のあり方を考えることが必要であると思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 日額払い方式で、障害福祉サービスの選択ができることは評価しますが、グループホーム等、単独型短期入所・体験利用等における援助を考えた場合、住まいの場に日額払いはなじみません。月額に戻すべきです日額払い方式は原則賛成。但、事業所 (施設)の場合管理に関する事項について、定額を月額払いで支給すべき。例えば、防災設備の維持管理や利用者の健康管理に関する事項等。
 又、その効果を浸透させるには、ケアマネジメント活用のシステムや社会基盤整備が不十分。

○ 理由

 グループホーム等では、一時的な入院、外泊などにより入居者がいなくても、食事の提供をはじめサービスを提供できる体制は維持し続けています。入居者の将来を見通した準備や、人生という長いスパンを念頭において関係をつくり、伴走者的に寄り添い、支えることが支援である暮らしの場に、日額払いのしくみはなじみません。また入院中の入居者の支援も行っている実態があります。
 人材確保は報酬そのものの低額に係るものであり、先ずこの克服が肝要。
 地域生活支援に、困難課題をリセットする単独型短期入所は重要です。待機(空き)に対する報酬は現行のゼロベースではなく、ある程度の単価設定により事業所設置確保が期待されます。

【宮田委員】

○ 結論

 人件費は月額払い方式とし、運営費については利用数に応じた日額払い方式とする。施設種別による報酬額の差を解消する。

○ 理由

 日額払い方式が利用者の選択権を増やし、施設・事業所の経営努力を向上させたという評価はできる。
 しかし、収入の不安定さは人件費に反映され、施設職員の雇用期間の短縮等の問題が起こって施設の専門性確保の点で問題が生じている。また、児童通所施設および事業では保護者の経済的問題によって利用を制限したという事例も少なくない。施設機能の維持や利用者の安定した通所に向けた月額払い方式の復活が、日額払い方式と並行して検討されなければならない。
 また、現行制度では施設種別による給付額の格差は、全国均一な施設の展開を阻害している。とくに児童施設では、障害種別の一元化と給付額の均一化が必要である。

【森委員】

○ 結論

 評価できない。月額払いまたは日額払いのどちらかの方式を選択するといっことではく、人件費を含む事務費は月額払い、事業費は日額払いといった柔軟な見直しも検討に値すると考える。

○ 理由

 日額払い方式により、事業者の財政基盤が不安定になり、正規職員の確保・定着が困難になってきていることは、既に多くの関係者が指摘していることである。実際、事業者側は、収入が上下すれば低い収入のレベルに合わせた取り組みを行なうもので人員体制も同様である。結果、人員配置が少なく、サービス提供の均等性に欠け、サービスの低下を招くことにもなる。また、それだけでなく、従前、催されていた行事などの利用者に対するサービスが質・量ともに低下するなど、施設運営全般に最も求められる「福祉の現場の活気」がなくなっている。

【山本委員】

○ 結論

 日払い方式であるべきだが、事業の継続に必要な経費は保証すべき

○ 理由

 事業の継続のための経費の問題と日払いの問題は別問題である

<項目H-2 人材確保・育成>

論点H-2-1) 人材確保の困難が指摘されている。また、事務量の増大等を指摘する声がある。人材不足の解消及び事務の簡素化のために、サービス体系及び資格要件をシンプルにすることは有効か? また、有効である場合、どのように整理するべきか?

【荒井委員】

○ 結論

 加算制度などを縮小し、本体の報酬基準に組み込み、シンプルにするなど、報酬体系を簡素化し事務の効率化を図るべきである。
 また、グループホームとケアホームは一体の制度とすべきである。

○ 理由

 報酬加算の種類や適用要件等が複雑で、事務量が増大している。
 GHCH一体型の事業所も多く、利用者の変動に伴う変更手続き等の事務量が膨大である。

【伊澤委員】

○ 結論

 資格要件をシンプルにする必要はない。人材確保の困難性はつきつめれば賃金の低さにあるので、報酬単価の引き上げを図る必要がある。あるいは国家資格所得者に対しての加算は手厚さがもっとあって良い。社会福祉士と精神保健福祉士の国家資格取得を前提条件に相談支援専門員やサービス管理責任者の研修をするのも良いと思う。

○ 理由

 サービス体系及び資格要件をシンプルにすることが有効につながるという考え方がわからない。資格要件がシンプルになったからと言って人材が確保されるものではない。逆に支援の質の担保ができないと考える。現行の制度では資格の有無について給与上の評価は事業所の裁量になっている。もっと社会的な評価を施し、人材の確保に繋げる必要がある。

【石橋委員】

○ 結論

 人材確保の一環としてキャリアバス制度を進めているが、小さな事業所にとっては、その資格要件とともに事務量が多くなり極端なメリットが生まれてこない。
 資格要件をホームヘルパー2 級、経験数2 年程度とすることも一考すべきである。
 また、支援費の中にどの程度事務費が計上されているのかを明らかにしたうえで、事務量について議論し、事務の簡素化を図り、費用を助成し、第三者機関の評価を積極的に取り入れるように環境を整備する。

【氏田委員】

○ 結論

 サービス体系の簡素化は事務の簡素化のためには有効であると思われる。日額払い方式を一部導入に限定するなどにより、事務の軽減を図る仕組みを作ることが必要である。
 一方の資格要件については、緩和しても人材不足の解消にはならないと考える。資格要件は必須ではなく資格があれば上乗せをすることが可能とする程度で良いのではないか。現場においては、経験がなくても資格で仕事に就け、また経験があっても資格がなくて仕事に就けないという矛盾が生じている。援助職の経験で取れる資格を充実させる( 社会福祉士など) ことや、相談支援者に関する資格要件の弾力的運用( 職務経験があれば相談職に就けるなど) が必要であると考える。マンパワー不足をもたらしている本質的な問題は賃金水準の低さであり、この点の改訂が必要と考える。キャリアパスに対応できる報酬体系にしなければ人材不足の解消には到底つながらない。

○ 理由

 事務の簡素化は必要である。事業種ごとの単価の違い、本人の出席日数の確認など事務量が増大しパンク状態である。支援費制度から自立支援法へと制度がめまぐるしく変わり、行政を含め事務の対応が大変である。初期の段階でしっかりとした制度設計が必要である。基本的によい支援をしているところに予算配分が多く行くような加算制度は有効だと考えるが、複雑な制度設計はマイナスをもたらす。

【大久保委員】

○ 結論

 利用者のひとり一人のニーズを踏まえた個別給付を基本とした場合、今後とも一定の事務量があることは避けて通れない。むしろ、報酬単価が事務職員の配置について配慮したものかが問題と考える。
 また、資格要件については、特に知的障害においてはサービスの質と深く係わるものであり、人手の問題と専門性の確保は重要な課題であり、安易なシンプル化の議論には違和感がある。

○ 理由

 現行法では、事務職の位置付けがなく、そこに、利用者ごとに日額払い、上限管理、各種加算とかの事務が重なっている状況がある。

【大濱委員】

○ 結論

  • 人材の確保の為に、報酬単価を引き上げるべき。
  • サービス体系及び資格要件をシンプルにすべき。
    サービス体系は居宅介護制度では、①重度訪問介護のような見守り待機を含んだ長時間利用型と②身体介護のような短時間スポット利用型の2分類にする。また、その時間内で外出するかどうかなど自由にするべき(最重度の場合、短期入院時も病院内で①の長時間利用型を利用可能にすべき)。
    ①②とも障害児を含むすべての障害種別へ支給決定できるようにシンプ ルにする。
    資格要件については、全ての介護者資格で全てのサービスを提供できるようにし、単価も統一すべき(3級減算を廃止して2 級と同じ単価に)。
  • サービスの質は、競争原理と苦情処理を扱う第三者機関によって水準を向上させるべき。

○ 理由

  • 人材確保については、介護職の年収を450~500万円にすべきであり、介護職に責任と誇りが持てる給与体系とする必要がある。
  • サービス体系及び資格要件について、障害者介護の場合は、障害者本人と介護者の適性を考慮して、長期間、同一の介護者からのサービス提供を前提としており、OJTが重要な要素である。従って、介護の資格を問うより介護者としての資質が重要である。例えば、介護保険の経験がある介護福祉士であっても、障害者の介護についてはゼロから勉強してもらう必要があり、むしろ長期にわたって介護保険のサービス提供に従事した経験が障害者介護では邪魔な知識となることすらある。
  • 在宅の重度の障害児については、保護者が過度な負担を強いられている現状を改善するために、見守り待機も含めた長時間利用型サービスを利用できるようにすることが緊急の課題である。
  • 競争原理でサービスの質を向上させるべきであり、過疎地でも複数の事業所から利用者がサービスを選択できるようにすべきである。

【小澤委員】

○ 結論

 人材不足の原因の分析を、実証的に行うこと。労働条件、給与条件、社会的な評価、などさまざまな要因が働いていると思われる。

【小田島委員】

○ 結論

 書類はできるだけ少なくする。
 資格もできるだけ少なくして、研修はまず事業所でやる。

○ 理由

 職員が利用者と関われる時間を多くするため。
 利用者1人1人に合った研修をするためには、事業所責任でやるのが一番 いい。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 介護保険も同様であるが、得体の知れない資格や研修が多すぎる。時間的、経済的負担は過大であるし、これらの資格認定周辺産業に財源が流用されているともいえる。

○ 理由

 精神障害分野では、国家資格のある医療専門職( 看護師、PSWなど)が配置可能であるが、従事者や管理者にサービス管理者などの余分な資格取得を義務化されており、このため交流が阻害されている。国家資格取得のカリキュラムに自立支援の基本的知識を加えれば済むこと。

【近藤委員】

○ 結論

 サービス体系や資格要件よりも、日払い方式や加算方式の見直しが事務の簡素化には有効である。人材不足の解消には、資格要件の見直しよりも人件費の確保が有効である。

○ 理由

 日払い方式によるサービス提供記録実績表の作成、加算申請や加算請求にかかる業務が過多である。また、一般に比べ、低いといわれる介護職の給与よりも障害福祉サービス従事者の給与が低い実態を踏まえ、改善を図るべきである。

【齋藤委員】

○ 結論

 事務の簡素化のために有効ではない。人材不足の解消のためには資格要件の簡素化は役に立つ。特に資格要件の一項に実務経験によるものを付加すべきである。

○ 理由

 事務量の雑化の主要因は記録と請求事務のぼう大な増加であるからして。

【清水委員】

○ 結論

 貫かれた理念とわかりやすい仕組みこそが有効だと考えます。

○ 理由

 一人ひとりの存在の価値に基づく貫かれた理念があってこそ、シンプルな体系が可能となるように思います。

【末光委員】

○ 結論

 事務作業ができるだけ簡素なものとなりその分を直接支援スタッフ確保の費用に回せることが必要である。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 有効である。サービス体系については、細分化せず、基本的なサービスメニューを定めるにとどめ、その他は、「障害者と相談支援員が協議により、障害者にとって必要と認められる支援」などと定めるにとどめることが適切と考える。また、資格要件については、支援の必要性を示す資料(例えば、本人からの支援申請書と医師の診断書)の提出で足りるものとすべきである。

○ 理由

 新法では、各障害者の意思の尊重が柱となる。従って、サービス体系も予め細かく法定するのではなく、障害者の意思を十分反映することができる制度となるよう、創設的支援を定め得るような一般規定を置くべきである。また、資格要件についても、特定の障害者が資格から漏れてしまわないよう、主観的に支援の必要性を感じており、それが客観的に医師の診断書などで裏付けられている限り、資格を認めるものとして簡素化をはかるべきである。

【田中(正)委員】

○ 結論

 事務量が多過ぎる。介護給付と訓練等給付ごとに事務の仕分けがあるのは簡素化すべき。
 サービス管理責任者・行動援護ヘルパーの資格要件が5年の条件は厳しいため緩和すべきである。

○ 理由

 事務量の多さが日常の運営を圧迫している。
 資格要件が厳しいため、職員が諸事情で退職した時、補充の人が見つからず事業を継続できなくなる可能性がある。

【中西委員】

○ 結論

 人材確保のためにサービス体系、資格要件をフレキシブルにすることが求められている。

○ 理由

 補助金、助成金も縦割りで支給されており、サービスメニュー別に会計や報告書作成も義務づけられている。補助金は一括支給として報告書も一本にまとめるような事務作業の簡略化かも必要である。また、介護福祉士の資格要件は600時間の研修を義務づけるなど、制度改悪が進んでいるが、このような介助の質に全く関係のないような資格要件の強化は即刻廃止すべきであり、重度訪問介護のような20 時間程度の研修で誰もが介助サービスの担い手と慣れるような資格制度を全国的統一介助システムとすべきである。

【中原委員】

○ 結論

 人材確保のためには、福祉現場の「社会的評価」を高めるための方策を考えるとともに、他産業に比べ低賃金となっている福祉従業者の待遇改善を図る必要がある。
 サービス体系をシンプルにすることは、事務や会計処理の簡素化のために有効と考える。

  • グループホームとケアホームはグループホームとして一本化する。
  • 日中活動サービスについては、機能ごとに複雑に分かれているので、主に生産活動や就労支援を行うサービスと、それ以外の日中活動を支援するサービスの2つに整理・統合
  • 地域生活支援事業のシンプル化。

 資格要件の簡素化については、専門的支援という観点から安易に行うべきでないと考える。

【奈良崎委員】

○ 結論

 資格より、心( ハート) をもっている人が必要。

○ 理由

 資格ある人は、マニュアルで考える人が多いです。

【西滝委員】

○ 結論

  1. サービス体系及び資格要件をシンプルにすることは部分的には有効であると思う。
  2. 事務の簡素化のためには、まず報酬の「日払い方式」の廃止が必要である。
  3. 事務量は利用者の障害程度区分とは関係なく、利用者数によって業務量に差が生じるので、定員規模により複数配置ができるような報酬単価(体系)を設定する必要がある。

○ 理由

 人材確保の困難さの原因は、所得の低さと、職員配置基準の低さによる過重労働にあると考えている。

【野原委員】

○ 結論

 医療との連携、家族のレスパイトケアも含めた体制の整備を十分に行うこ と。
 専門性の高い難病患者のケアについての専門家育成は新法に移行するに 際して急務です。

○ 理由

 難病・慢性疾患をもつ人にとって、地域で生きていくためには医療体制の整備と福祉の連携も不可欠です。地域により訪問看護や訪問リハビリも格差があり、介護者は24時間、休まずに疲れ切ってしまう現実があります。家族のレスパイトケアも含めた体制を十分に確保することが必要と考えます。難病患者の自立・自律を支援するケアの専門家は、他の障害(例えば「知的」の、精神の、身体の障害福祉のような) のように育っていません。不十分ながら難病対策要綱の事業を支えてきた医師の専門家集団や難病看護学会に結集する看護師、行政では保健所保健師がそれぞれの専門分野(縦割り)にかかわるケアを開発・提供してきましたが、就労・福祉を含めた生活全般にかかわるケアの専門家は皆無に等しいのが実情です。この役割を各地難病団体、難病相談支援センターにかかわる難病連・患者会や関係者が担ってきました。
 多くの谷間を作ってきた一つの大きな構造的な問題がここにあります。
 少なくとも、日本の現状の中で模索的実践を経験・蓄積してきている前述したよう職能域・行政の専門家、各地患者会などを「医療ケア」を理念・目標とする専門家集団(研究班または学会)に再構築し、多くの難病ケアスタッフの養成をする必要があります。

【東川委員】

○ 結論

サービス体系及び資格要件をシンプルにすることは検討するべきだが、事 務の簡素化と関連づけるのではなく別の次元で議論すべき。 人材確保については、前項で述べたとおり。また、あまりにも複雑な体系、 頻繁に改正が行われたことが事務量の増大を招き、支援者を疲弊させている のは事実である。福祉職は「対人援助」が本来業務であり、事務仕事に力を 注がざるを得ない状況は不本意と言わざるを得ず、職務の整理をすべきであ る。

○ 理由

 NPO法人等の小規模法人の事業参入を可能とした一方で、小規模では事務職を雇用できない報酬額となっており、支援職が事務作業に追われ疲弊とサ ービスの質の低下を招いている。

【広田委員】

○ 結論

 事務の簡素化を図る。

○ 理由

 事務をやる力で、他のことをやるべき。

【福井委員】

○ 結論

 人材確保の困難解決は、ひとえに労働条件の改善にかかっている。全体的事務量の軽減を図り、事務職配置を基準化することも必要である。要は、障害者の介護や支援が、憲法で保障された暮らしと人権を守る大切な仕事であることを明確にして、福祉労働の質の向上をはかることである。

○ 理由

 福祉分野には専門性や経験の蓄積、継続性が求められるのに、現在のような非正規やパートではその保障がない。正規職員の配置を中心にした雇用体制の確立をめざした、抜本的改正が早急に求められている。

【藤井委員】

○ 結論

 シンプルにすることは有効である。

○ 理由

 事務量の軽減は、利用者の多様なニーズへの対応を可能とするため

【藤岡委員】

○ 結論

 人材確保の問題と事務量増大問題は、分けて議論すべきである。
 また、サービス体系問題は、利用者ニーズとの関係でも議論されるべきであり、この論点の中で取り扱うべきではないし、資格問題も職員の専門性とともに、その身分保障にもかかわる議論が必要であり、「人材問題と支援の質の担保」等の枠組みで議論すべきである。

○ 理由

 事務量増加の背景には、第一に報酬請求実務の問題と、個別支援計画や処遇記録等の増加の問題の二点があると思われる。報酬請求の問題では、確かにサービス体系や資格要件問題が関連しているが、これは①日割り報酬、②サービス体系上の報酬設定の複雑さ、③各種加算制度(資格要件が関連)、④負担上限管理等の複雑さが関係している。例えば居宅介護や移動支援の種別が細分化され、報酬単価も細分化されたために請求事務の負担が増大している。
 これは、単にサービス体系や資格要件だけをシンプルにするだけでは、解消されない問題であり、抜本的に報酬制度をさらに整理してシンプルにしていくことが重要である。
 記録問題では、現場処遇計画や記録の重要性は今後も担保されなければならないが、その合理的な記録様式の開発や、記録・会議時間の確保など、支援全体に対する位置づけを明確にし、そのための保障をどうしていくかの議論が必要である。
 また、人材不足の問題は、こうした福祉労働の位置づけ、職員の労働条件や身分保障の問題や、キャリア形成への支援の問題、メンタルヘルスケアー等への対応など、入職にあたっての展望や将来不安の払しょくの問題が大きく、単に事業体系や資格問題だけでは解消しないと思われる。別途トータルな議論が必要である。

【増田委員】

○ 結論

 事務の簡素化のためにサービス体系及び資格要件を簡素化するということではなく,利用する人へのわかりやすさから複雑な制度は廃止すべきである.一方で,公費を投入した事業であり, 労務管理, 会計管理等, 正確さと透明性を担保することが求められるべきで,事務職員の配置は必置にすべきである.

○ 理由

 この間,施設長や支援に従事する職員が止むなく請求事務に携わざるを得ない状況が広がっていた.これは障害者支援の質を低下することにつながり,事務職員の配置はどの事業においても必要である.

【三浦委員】

○ 結論

 総合福祉法におけるサービス体系のあり方、また、その報酬等のあり方等を整理した上で、人材確保策や事務負担の軽減について議論するべき。また、人材不足の解消及び、事務簡素化のための方策という観点から、サービス体系及び資格要件を議論することが有効であるかについては疑問がある。
 なお、資格要件については、障害福祉サービス分野におけるキャリアパスの構築、職域としての魅力の向上につながる側面もあり、人材確保策としてむしろ一定の有効性があるものと思われる。

○ 理由

 サービス体系等をシンプルにすることが、人材不足の解消及び、事務の簡素化に直結するかについては慎重な検討が必要であると思われるため。なお、事務負担の主な要因は、様々なかたちでの加算等による複雑な報酬体系に主因があり、報酬体系をシンプルにすること(各種加算を可能な限り基本報酬に盛り込むこと等)については、報酬のあり方として別途議論するべきである。

【光増委員】

○ 結論

 事務量がなぜ増大したか現状分析をすべきだ。例えば毎日の利用実績に関してのその日々ごとに利用者に確認してもらい印を押す書式になっている。この作業量は膨大である。1ヶ月の実績を確認して、一箇所だけ押印するようにするだけで合理化は計られる。
 日払い、加算などが複雑になりすぎている。簡素化すべきだ。サービス体系と資格要件をシンプル化することは意味が違う。事務職を必要職種として義務付けてはどうか。

○ 理由

 実績記録票の見直しだけでもかなり改善できる。
 人材不足の解消と資格要件は別物である。既に常勤換算方式では、有資格者が1 名いれば基準を満たすことになる。この段階で報酬が低く抑えられている。これでは福祉専門職員を雇用できない実態がある。
 自立支援法で事務職の事業における位置付けが不明確。そこへ、日額払いとか上限管理とか各種加算とかの要件が諸々重なり、誰がどのようにこの作業を担うのか現場が混乱している。

【宮田委員】

○ 結論

 事務量の軽減と給与の改善が必要。同時に、一般大学生に対して福祉領域 をめざす「動機づけ」が必要。
 資格要件の引き下げは質の低下を生むため反対。

○ 理由

 人材確保困難の理由は、資格要件の問題ではない。人件費給付の伸びがないため、同年代のサラリーマン報酬との給与格差が拡大し仕事を継続できない現実がある。ちなみに、措置制度の時代には、その財源の性格から報酬に対する人件費率、福利厚生費等の割合が明確であった。
 給与額や福利厚生が保障されている公立施設においても人材の確保が困難な状況もあることから、給与格差だけでなく、学生・生徒に対する福祉施設への就労を意識づける教育内容の検討も必要である。

【森委員】

○ 結論

 人材不足解消のために、サービス体系や資格要件をシンプルにすることが有効であるとはいえない。むしろ報酬のあり方や事業者(法人)への指導監査(職員処遇関係のチェックなど)が重要だろうと思われる。また、事務の簡素化については、複雑化の根幹である日額払いの報酬と加算という現在の方式(考え方)の見直しをするべきであろうし、利用料の算定基準(応益負担、入院外泊、食費、特定障害者特別給付費など)をシンプルにすることが求められる。そういったことの整理をした上で、しっかりとした法制度をつくるべきである。

○ 理由

 「福祉は人から」といわれるように、資格要件が第一義ではなく、よりよいサービスの提供ができる人材かどうかであって、人材の育成は大変重要な要素であると考える。その意味からも、福祉施設全体の給与体制の底上げが人材確保につながると考える。

【山本委員】

○ 結論

 有効である
 人の生活を分断するようなサービス体系を単純化するとともに、報酬のあり方についてもより単純化するべき

○ 理由

 事務量の増大は事業者のみならず、利用者にとっても選別につながり、単価が安く支給決定の短い精神障害者の利用が困難となっているから

論点H-2-2) 支援職員や相談支援者の迅速かつ有効な人材確保・育成の課題は何か?

【朝比奈委員】

○ 結論

 まずは、生活できる賃金水準を確保すること。さらには、地域生活支援事業所が24時間365日の体制を整えなければ地域移行はすすまないため、それを前提としたフレキシブルな勤務体系を可能とする労務管理モデル、経営モデルが確立されなければならない。
 養成課程に実習を多く取り入れ、在学期間中にヘルパー資格の取得、アルバイト等を奨励するなど、養成課程と現場が重なり合うような仕組みがつくれるとよい。
 自立支援法でサービス管理者の要件が厳しくなったこともあり、整備が遅れている相談支援事業に力量をもった中堅職員を充てる余力が出てこない。相談支援事業は既存事業と異なる独自の側面(公共性、職員の資質等)を持つため、地域の関係団体が協働して人材やノウハウを出し合い相談支援事業にあたれるような、新たなしくみを検討していく必要がある。

【荒井委員】

○ 結論

 人材を確保・育成していくうえで、他業種並みの賃金水準を確保することが必要であり、そのために報酬の充実が必要である。

○ 理由

 現行報酬額では、キャリアアップに対応した昇給や、他業種並みの賃金水準の確立が困難である。

【伊澤委員】

○ 結論

 大手企業のような管理下にはないので迅速かつ有効な人材育成などないと思う。仕事を通しての実体験や経験が育成に反映されているのが現状。迅速かつ有効な課題は報酬単価の引き上げと賃金の引き上げ、つまり事業そのものの安定と労働環境の整備である。

○ 理由

 仕事を通しての実体験や経験に基づく育成はどの分野でも同じで、現場で利用者さんや先輩たちから学んでいくしかないと思うが、なによりも障害者福祉のインフラが整っていないことが迅速な育成につながっていないのではないかと思う。たとえば小規模事業所の1人職場では出産、子育てをする環境に無い。また人材育成に研修参加が不可欠だが、1人職場では研修の受講すら難しい。賃金引上げと労働環境の整備(現場複数職員の配置実現)により人材を確保するという至極当たり前のことが実現できていない。初期投資をにもっと力を入れ社会的事業インフラを量・質ともに拡充すべきである。低コストで高品質などという考え方はもっと後の話。

【石橋委員】

○ 結論

 施設内での人材育成に積極的に取り組めるような制度を創設する。
 介護福祉士、社会福祉士等を養成する専門学校等の減少傾向があると聞いている。福祉職のイメージアップ( ワーキングプア等)も必要と考える。
 産業としてのシステム整備が必要である。就労条件の整備、例えば低賃金や交替勤務、子育て支援等、他の産業にも通じる大きな課題を抱えていると考える。

【氏田委員】

○ 結論

 例えば、新法では相談支援事業がキーポイントになるが、これまでも事業の実施にあたり適切な専門職が配置されているとは限らない事例が多々あった。支援内容や支援の仕組み、それに要する人材とその育成について、必要とされる関連専門職種と必要とされる人員を明示し、人材確保や育成にあたる必要がある。また、専門職種を明示したうえで、相当する報酬を設定していかなければ、事業は予算の執行を前提とした形式的なものになりかねず、利用者のニーズに応えるものとはならない。中央および地方において、関連専門職団体と担当機関との協議により、人材の確保をより容易にするとともに、支援の専門性の向上と継承、継続を図ることが必要である。

○ 理由

 自立支援法の施行で相談支援専門員の初任者研修が始まったが、真に相談を支える人材育成になっていない。介護支援専門員のような資格制度も必要ではないか。また、福祉系大学や専門学校への入学・通学補助制度の導入、福祉系に勤務した場合の学費の免除などによる福祉分野への人材の誘致と育成が必要であり、入学後の学習については、大学に教養課程がなくなっていることもあり、授業やゼミなどにおいて障害のあるご本人や家族、現場の職員等から実際に学ぶ機会を設ける必要がある。また、実際の支援の現場においては、一般教養や支援技術などの外部研修に加えて、日々の支援の伝達やチームアプローチを可能とするために、OJT(On the Job Training:職場において日々の利用者から学ぶ、あるいは先輩や同僚から学ぶ機会と検証の場)が大変重要であると考える。

【大久保委員】

○ 結論

 人材確保・育成のためには、賃金水準を含めた労働条件の改善とともに専門性や資格、能力などに対する適切な評価が求められる。そのためには報酬額の改定が必要と考える。

○ 理由

 障害福祉関係の従事者の賃金、労働条件等が劣悪なものであることが国民に広く認識された今日、職業としての意義を訴えるだけでは人材確保も育成も無理な現状といえる。少なくとも、安定した暮らしが描ける職業として、賃金水準を含めた労働条件を整備し、専門性や資格、能力などを適切に評価することが必要と考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 現行制度では、相談支援専門員の実務経験を5 年で取得するには、相談支援業務に従事すること等が必要である。しかし、重度障害者の自立支援や地域移行支援を行っている当事者団体の当事者スタッフ等が相談支援専門員の資格が得られないことが問題である。よって、実質的な相談支援を行っている当事者団体の当事者スタッフ等に資格を与えること。
  • 5年間の相談支援の経験年数についても、ノウハウを豊富に持つ団体や全国団体の支援などがあれば条件によって1~2年に短縮することが可能である。
  • 実質的に地域移行や自立支援などを行っており、実質的な相談支援を行っていて、重度障害者の1人暮らしなどの地域移行などの実績を出している団体には、事例を審査した上で資格を与える。

○ 理由

  • 現実に支援を行っている当事者団体の当事者スタッフ等に相談支援専門員の資格を与えることで、即戦力となる人材を相当数確保することが可能であり、問題が解決する。また、全国組織の団体から緊密な支援を受けている全国各地の小規模な障害者団体の場合は、当初は全国団体からの遠方支援によって実質的な相談支援を行うが、実質的な相談支援の経験によって相談支援者として成長する。従って、相談支援者として養成されたと全国組織の団体が認め、推薦した場合は資格を与えることで、地方の当事者相談支援専門員を確保できる。
  • 場合によっては、経験年数等の要件を緩和しても相談支援専門員として活用可能である(ALSの支援などで実績あり)。たとえば、全国団体や自立支援ノウハウをもつ先達団体からの密接なサポートを受けながら自立支援を行う地方の障害者団体の場合は、立ち上げ2 年程度で最重度ALSなどの自立支援を行っている実績がある。

【小澤委員】

○ 結論

 人材育成は、長期的な展望が必要な取り組みで、「迅速」にはできない。
 その点から、近年、めまぐるしく制度いじりをし、今後も短期的に制度をいじることが予想される「障がい福祉」では、落ち着いて人材育成ができる環境にはない。長期的な展望と目標に向かった戦略が必要。

【柏女委員】

○ 結論

  • 社会福祉士の活用を一層進める必要がある。
  • 待遇向上やキャリアアップ資格、目標をもってキャリアアップをめざすことのできる仕組みの創設。
  • 研修体系に基づく研修の計画的実施と研修受講の評価システムの整備。

【河崎(建)委員】

○ 結論

  1. 医療・介護専門学校のカリキュラム変更を行い、余分な研修や資格を廃止する。
  2. 医療専門職は余分な研修や資格なしに従事できるようにする。
  3. 公務員や余剰産業からの配置転換を図る。
  4. 国~行政の責任で( きちっと予算組みをし)市町村や保健所に専任職員を配備すべきである。

○ 理由

 わが国の産業構造の転換を図り、余剰人員を回す。精神科医療分野で基本的な経験を積めば人材は育成できる。

【川崎(洋)委員】

○ 結論

 まず、障がい者福祉に携わろうとする人を増やすことが必要。労働条件や賃金の問題、社会的位置づけを高めることが要求される。障がい者の権利に敏感であり、情熱と意欲を持って支援に携われるような育成が求められる。賃金の問題は人材確保に極めて重要。
 育成においては障がい者やその家族の生の声を聞く現場教育が重要である。

○ 理由

 障がい者福祉という仕事に魅力を感じない、低賃金であること、社会的な位置づけも高いとは言えない、などの理由で社会福祉を専攻している学生の多くが一般企業に就職している現状がある。結果優秀な人材が確保されにくい。

【近藤委員】

○ 結論

 人件費及び教育訓練のための費用を確保できる補助金の引き上げが、人材確保・育成には有効と考える。
 相談支援事業等地域生活支援事業については、補助金の抜本的見直しとともに、運営水準の地域格差を生じさせないことが重要である。また、サービス利用計画書作成費の引き上げを検討すべきである。

○ 理由

 サービス提供の基本として、サービス利用計画書が重要になるものと考える。そのためにはキャリアが豊富な人材を投入する必要があり、現行の補助金では不十分である。サービス利用計画書は作成すればよいというものではなく、その後のフォローに大きな労力を要する。また、相談支援事業が一般財源化されたために、市町村によっては、市町村障害者相談支援事業の補助金が、当初に比して半額まで引き下げられている実態がある。

【齋藤委員】

○ 結論

 給与が増額できるようにすることにつきる。

【坂本委員】

○ 結論

 「人材確保・育成」は最重要課題である。支援職員等の「量」と「質」がかなり不足している。賃金等の労働条件を含む職場環境の大幅な改善を国主導で行っていただきたい。また、「質」については、現行の研修システムでは弱い。人材育成は一見地味な仕事であるが最も重要であるので、強固な研修システムを確立し、支援技術等が着実に上がる研修を実施することや、支援職員等が研修に参加しやすい環境づくりなどを強力に行っていただきたい。

【佐野委員】

○ 結論

 人材養成の位置づけを明確にする政省令による緊急な通達が必要である。コミュニケーション支援事業における担い手である「要約筆記者」はあるが、養成の通達がなされていない。

○ 理由

 養成カリキュラムは関係団体で作成して、数か所の都道府県において実施されている。必要とする人材確保・育成において、求められる人材養成と実際の養成の乖離は、養成・派遣現場での大きな停滞と混乱を引き起こしている。

【清水委員】

○ 結論

 一人ひとりの存在の価値に基づく理念の明確化のもとで、支援者も一緒に立ち上がっていけるように、地域生活支援という営みがわくわくする仕事として実感が持てるように、全体の仕組みをつくっていく必要があると思います。

○ 理由

 結局は、支援者は本人が育てていくものだと思う。そういう実態を生み出していく仕組みが必要。

【田中(伸)委員】

○ 結論

 人材確保、育成については、短期的な計画と中・長期的な計画を策定する必要がある。また、高校、大学などの教育機関と提携していく必要もあると考える。また、支援職員や相談支援員への報酬を適切な額に設定できるような財源をどのようにして確保するかが課題であると考える。

○ 理由

 新法における各種支援が有効に運用されるためには、人材確保が必要不可欠である。継続的に人材を確保していくための方策を検討するとともに、さしあたって必要となる人材をどのように確保するのかについても十分な検討が必要である。

【中西委員】

○ 結論

 障害者ケアマネジャーが当事者によっておこなえるように制度改正を早急に行ってほしい。

○ 理由

 障害者ケアマネジャーの資格要件は支援費制度下では、当事者団体での相談業務を5 年以上行った者も対象とされていたが、自立支援法になり、介護保険との統合を目指したために、国庫補助を受けている相談事業などでの業務実績が問われるようになり、障害当事者の相談支援者が排除されるしくみを作ってしまった。介護保険との統合がなくなった今、制度を元に戻し、障害者ケアマネジャーが当事者によっておこなえるように制度改正を早急に行ってほしい。

【中原委員】

○ 結論

 それぞれの障害特性に応じた支援者の育成が必要。そのためには、日本知的障害者福祉協会も「知的障害援助専門員」や「知的障害福祉士」の通信教育や資格制度を設けているが、障害団体の実施する人材育成制度を国が活用するなどの方法もあるのでは。
 また、福祉現場に対しての低賃金・厳しい労働条件という国民の認識をかえるためにも、早急に賃金水準や職員配置基準の見直しを含む労働条件の改善が必要と考える。

【奈良崎委員】

○ 結論

 子どもの時に障害者と交流会をしてほしいです。

○ 理由

 大人になって福祉の仕事をしている人は、あまり障がい者のことを知らない人が多いから。

【西滝委員】

○ 結論

  • 聴覚障害者を支援する手話通訳者・要約筆記者については、人材育成事業を聴覚障害者情報提供施設における主たる事業に位置付け、同施設に人材育成担当職員を配置すること、手話通訳者の資格取得者の雇用を確保する必要がある。
  • 福祉職員の低賃金を解消しなければならない。安定した給与保障のための報酬単価の抜本的な引き上げが必要である。
  • 福祉系の大学・短大、専門学校の学生が減少している。学生数という分母が激減しているため、当然求職者も減ってきている。また、福祉を志した学生が一般企業に就職する傾向も強い。福祉労働の魅力、将来設計を築ける所得保障等、学生・養成校等への対策が必要である。
  • 国家資格取得者が優遇される制度(取得者数・率による加算制度)だけでなく、現場での実務経験年数も優遇される(加味される)制度とすべきである。

○ 理由

  • 人材の確保と育成に関する体制の確立と人材雇用の確保が重要であり、ボランティア活動としての位置付けを変換する必要がある。

【野原委員】

○ 結論

 谷間のない制度にするためには、専門職としての位置づけを高め、安定した収入の確保は不可欠。そのための報酬の充実、職員の増員が緊急の課題と考えます。

○ 理由

 難病・慢性疾患をもつ人たちは、医療の保障、医療支援が不可欠ですので、そういう人たちを含めた谷間のない制度を構築する必要があります。

【東川委員】

○ 結論

 (上記の質問と矛盾すると思われる。)
 支援職員には、当事者および家族というピアの他には、国家資格を活かし、その上に必要な研修を行うものとすべき。育成の課題として、スタンダードとなるような支援のツールを開発することと、活用研修が求められる。都道府県は、国補助を最大限活用するだけでなく、予算を講じて人材育成にあたるべき。
 また、NPO法人などがグループホーム運営にあたるなど、地域生活支援が進めば進むほど、小規模組織が小規模な単位の運営を行うことになる。結果として、運営組織や支援者によって、受ける支援の質が大きく変わってしまう。極端な場合は人権侵害すら生じることになる。支援の質を保つために、行政による支援者の質の向上のための研修、チェックシステムなどを確実に位置づけていくことが必要である。

○ 理由

 全国の支援の質の担保が求められるため。

【広田委員】

○ 結論

 社会人枠を設ける。

○ 理由

 ソーシャルワーク、相談支援従事者でありながら、あまりに社会を知らない人が多すぎる。
 解決できる相談員が必要。

【福井委員】

○ 結論

 前段で述べてきたように、障害当事者の権利性と支援者の主体性・権利性が同時に担保されるような仕組みを作っていくことが課題である。働く人の権利が真に守られなければ、障害者の尊厳が真に守られ、生きて行く権利も保障されないのである。

○ 理由

 長年の課題であるが、今こそ新法制定の中心課題として議論される必要性を痛感させられている。両者の対立ではなく、支援者の専門性を公的に保障していく上での世論を構築しながら、総合的な制度を作っていくときである。

【藤井委員】

○ 結論

 ある程度の生活水準を保証できる安定した処遇

○ 理由

 安い、危険といった福祉現場へのイメージの改善が必要だから

【藤岡委員】

○ 結論

 人材確保の課題には、支援職員の労働条件改善、入職にあたって将来の展望がもてる支援( 身分保障、キャリア形成への支援、メンタルヘルスケアー等への対応など)があり、そのための施設収入の安定策の構築も必要である。
 また、人材確保・育成のために、相談支援者に対する報酬上の評価を明確にすることも課題である。そのためには報酬基準増額も必要。
 さらに、公費負担で、支援職員が他の事業所や行政と事例検討を積み重ねることができる研修の機会が必要である。

○ 理由

 支援職員の労働定着率は、非常に厳しい状況にある。その最大の理由は、過酷な労働環境であるにもかかわらず、自分ひとりの生活さえ十分にささえることのできない程度の給与水準になってしまっていることにある。施設職員の労働条件の改善に向けて、まずは施設の収入を安定させる仕組みを早急に構築すべきである。労働条件の改善が実現できれば、過去に支援に携わった人材や労働条件の過酷さゆえに退職した人材の復帰も見込まれ、人材確保の点でも即効性があると期待される。
 相談支援、特にケアマネジメントについては、報酬上の評価を明確にすることで、社会内に埋もれている相談支援をする意欲と能力を備える人材を掘り起こすことができると期待される。
 育成については、個々の施設に委ねるのみでは限界があるので、公費による研修制度、あるいは、個別施設における研修制度への公費助成の仕組みを設けるべきである。他の事業所や行政と現場での経験を報告し合う中で、日々の経験をその場限りのものとせず、深め、次に生かすことができる。

【増田委員】

○ 結論

 他の専門職種とそん色のない所得保障が必要である.安心して結婚して子育てができる条件を整えること.職員が研修に出かけたり,実践を振り返ったりする時間も勤務の中で確保できるような人的配置が求められる.

【三浦委員】

○ 結論

  1. より一層の処遇改善のための報酬の引き上げが不可欠である。
  2. 障害のある人への支援の意義ややりがいを広く伝える(働く人々の声や支援を受ける人々の思いをアピールする)とともに、労働条件の整備等により、職域としての魅力を高めることが必要である。
  3. 職場環境の改善( 社会的評価・資格・施設および事業所のレベルアップ)に向けた取り組みの推進が必要である。
  4. 高等学校、専修学校、大学等と連携した人材育成が必要。そして、専門スキルの習得や向上を継続的に進めるために、当事者及びサービス事業所とタイアップした教育・研究機関を養成していくことを提案したい。

○ 理由

 人材確保や育成を「迅速」に行うことは難しいが、有効性を高めるための工夫は着実に行うべきであると考えるため。また、支援職員や相談支援者にとって誇りを持って働ける職場づくりも重要であると思われるため。

【光増委員】

○ 結論

 まず正職員で採用できるような、報酬体系に見直すことが必要。福祉の職場の実態を正しく伝え、若い世代が福祉の仕事に情熱をもって働ける環境整備が必要。
 介護等従事者の賃金 (年収)がこの国の一般労働者と同等のものとなること。
 再生産可能となる身分保障を国としてモデル提示する必要がある。とりわけ相談支援を担うサービス管理責任者・相談支援専門員は常勤可能な収入となる制度設計が不備である。又市町村から委託される相談支援事業所の業務・委託費については市町村の裁量に任せず、一定の指針を国は示すべき。

○ 理由

 介護等従事者の賃金、労働条件等が劣悪なものであることが国民に広く認識された今日、小手先の改革では人材確保も育成も無理。報酬改定、根源の問題から始めないと。
 相談支援を担うサービス管理責任者・相談支援専門員は、国が掲げる障がい者福祉の根幹である地域生活移行に関わる重要な役割を担うよう想定されているが、常勤職員を保つ制度設計が確立されていないため、他業務との兼務、また人事異動も頻繁であり、ユーザーには安心できる相談支援体制とはいえない。正職員で採用できるような賃金形態・報酬体系に見直すことが必要。小手先だけの対策では根本的な解決にはつながらない。
 迅速かつ有効な手段としては、市町村の委託費を義務的経費に変更すべきである。

【宮田委員】

○ 結論

 支援職員・相談支援員の給与レベルの引き上げと、施設内研修や福利厚生レベルを維持できる給付体系の見直しが必要。福祉施設就労への動機づけのためには、大学における取得単位・内容の検討、中学・高校時代からの福祉分野への啓発が必要。

○ 理由

 就職難の時代においても人材確保に困難がある状況は、単に給与の低さだけでは説明がつかない。優秀かつ意欲的な人材の確保のためには、大学以前からの啓発と大学におけるカリキュラムの検討が必要。

【森委員】

○ 結論

 事業者が不安なく健全な経営運営ができる基盤整備が図られたなかで、職員に対する賃金の水準をはじめ、労働条件の改善といった労働条件をどう改善していくのか。また、人材確保のための採用条件や採用の募集時期の設定、新規採用枠( 高校生や中高年まで含めた)の拡大をどうするかといったことについて検討する必要性があると考える。また、正職員としての新規採用を行い、魅力があり、将来に希望がもてる職場が担保できる環境を考えることが必要である。

○ 理由

 高齢者関係の事業所や施設の増加と障害者福祉の事業の再分化による福祉従事者( 特に介護福祉士)の需要が大幅に増加したため、必要な供給ができない現状があるなかで、きつい労働条件を課せられ、将来に希望がもてない職場という意識から、福祉従事者を希望する学生の絶対数が少なくなっている。事業者側からみても、介護福祉士や社会福祉士等といった有資格者確保による加算を得ようとするために、ますます採用内定時期が早まってきていることや、制度の見直しに一貫性がなく、繰り返されることで、施設経営の見通しが不透明であることから、よりよい採用条件が提示できない状況がある。

【山本委員】

○ 結論

 障害者団体に育成させること、さらに障害者団体を主体とすべき

○ 理由

 すでに長年の経験をつんだ人材がそろっているから

【渡井委員】

○ 結論

 盲ろう者向け通訳・介助員養成講座の予算の増額と拡充。

○ 理由

 盲ろう者向けの通訳・介助技術は広範囲にわたっているが、講座の実施時間数と指導者の不足があるから。

論点H-2-3) 障害福祉サービスの質・量を適切な水準に保つには、支援職員の賃金その他の労働条件が他の分野と比べて遜色のない水準に保たれる必要があるが、そのために障害者総合福祉法で規定できる事項、その他の法制度で規定すべき事項があるかどうか?

【荒井委員】

○ 結論

 平成21年10月サービス提供分から、障害者自立支援対策臨時特例交付金による、福祉・介護人材の処遇改善事業を実施し、職員の処遇改善に取り組む事業者への補助を行っているが、当該補助金は平成23年度末までの事業であり、長期的かつ安定した制度となるよう報酬全体の引き上げと入所から在宅にシフトできる報酬基準、財源構成の抜本的見直しが必要。

○ 理由

 職員の処遇改善は、人材の確保定着を図る上で重要であり、当面は時限的措置としても、本来は、恒久的な制度としての報酬の改善によって実施されるべきものである。報酬を改定すれば、事業者も長期的展望に立ってより安定した経営が可能になる。

【伊澤委員】

○ 結論

 支援体制の拡充、マンパワー確保は重要課題である。そのためにサービス報酬単価の引き上げによる事業の安定度の向上。また常勤換算方式は廃止し、真に常勤職が複数稼働出来るようにする。複数常勤職員の配置を最低基準とすべきである。そして支援者の専門性の維持・向上のための研修参加の規定の確保実現、研修参加ができる現場体制の整備が必要である

○ 理由

 マンパワーの充実はすべての支援活動の基本である。また精神障害者においては緊急に対応することや労働時間外での活動もあり、その体制の手厚さを一層増す必要も感じる。こうした必要な支援の水準を維持するには支援者の生活安定と専門性が求められる。今、多くの辞めていく職員は、低賃金と燃え尽き症候群によるものが多いように思う。継続的に業務に就く条件の不備不足があまりにも目立つ。

【石橋委員】

○ 結論

 賃金その他の労働条件が他の分野と比べて遜色がないように報酬体系を含めて見直されれば、障害者総合福祉法、その他の法制度で規定する事項はないと考える。

【氏田委員】

○ 結論

 社会福祉従事者の給与表を作成する必要があると考える。一定の賃金水準が必要である。国家公務員以上のレベルのものとし、支援職員の社会的地位をきちんと保障すべきである。また、常勤換算という考え方は、単価設定の低さとあいまって、支援の質を低下させる原因となっていると考える。専門職としての位置づけで、ベースは常勤数で対応すべきである。また、ケアホームの夜勤については、ケアホームの宿泊が宿直扱いでよしとされ、夜勤扱いとされていない現状があるので、夜勤勤務職員であることを新法において明確に設定し、仕事に見合った報酬単価の設定を組むことが必要である。

○ 理由

 自立支援法になり、介護保険制度と同じく支援者数を常勤換算という考え方を導入した。このことが、支援者に非常勤職員を多くし、支援の質を低下させた原因となっている。職員を専門職として位置づけることが最低限必要だと考える。

【大久保委員】

○ 結論

 総合福祉法において、直接労働条件に係る事項を規定することは困難と思われるが、法律か政省令等になるか判断できないが、一般労働者に準ずる労働条件の確保と職場環境の整備などを規定し、定期的な経営実態調査において、労働条件や職場定着の実態などを把握することなどが考えられる。

【大濱委員】

○ 結論

  • 支援職員の賃金その他の労働条件を他の分野と比べて遜色のない水準に保つためには、支援職員の給与水準が450~500万円の年収になるような、単価水準を確保すべき。
    但し、予算不足と言うことで、支給量が足りないと言う事態が生じないように、市町村財政に過度な負担が掛からないような財政調整の仕組が必要。
  • 煩雑な事務の軽減。
  • ただし、前提条件として、すべての障害者に必要な支給量が確実に決定されることが最重要。単価の問題は2番目である。
    たとえば、24時間介護などの支給量が全国1800市町村で問題解決されることが(命にかかわるために)最優先だが、その上で、労働条件が他の分野と比べて遜色のない水準に保たれるように、法律に何らかの規定を入れるのが良い。ただし、その規定があることで、将来、予算不足が起きたときに、「単価は高く保障されるが支給量が足りない」という事態が生じないように、支給量の確保と450~500万の年収( 単価水準)の両立を確保すべきことを規定に盛り込むべき。その際、支給量の確保が最優先であることをはっきり明記するべき。

○ 理由

  • 報酬単価が低いために、職場の労働条件が充分でないと同時に、煩雑な事務を処理する事務職の確保に収入を充当する現状では、支援職員に充分な給与を充当できない。
    予算不足が起きたときに、支給抑制が起きないように、その予算を全員で分かち合いながら次なる予算確保について全員で運動していく制度にすることが必要。

【小澤委員】

○ 結論

 職員の賃金、労働条件を、総合福祉法の中で規定することはむずかしい。別途、福祉人材確保の法制度を設けて欲しい。

【柏女委員】

○ 結論

 子ども・子育て新システム基本制度案要綱に基づき、もしも保育士と幼稚園教諭の「一元化」が図られることとなった場合には、別途、障害児支援等を行う専門職の制度化が必要とされる。また、児童と成人に対する支援の切れ目をなくすため、介護福祉士、保育士、幼稚園教諭、特別支援学校教諭の養成カリキュラムの整合性について検討する必要がある。

○ 理由

 保育士資格と幼稚園教諭免許が就学前を対象とする保育専門職として統合されれば、就学後のケアワークを行う新たな福祉専門職の制度化が必要とされるため。また、現在は、保育士、幼稚園教諭、特別支援学校教員、介護福祉士が主として障害児者の支援を行っているが、それぞれの養成が障害児者支援において整合化されていないという課題がある。

【河崎(建)委員】

○ 結論

 各地域で配置されるべき人数( 数値) を明記し、義務的経費として予算計上すべきである。
 それだけの法的強制力がもてるのかが疑問だが。

○ 理由

 自立支援法の精神つまり福祉予算の削減、介護保険との一体化、障害者特性の無視と障害程度区分の誤りなどを根本から見直すこと。障害者福祉に関する国の責務を明確化し、財源として消費税などを充てることを明記する。大きな政府として公務員の職務を公共サービスの提供者と定義する。

【齋藤委員】

○ 結論

 支援職員の賃金及び労働条件の水準は前項のような人材確保のために重要であるが、それがあればサービスの質量の適切な水準が保てるというものではない。

【佐野委員】

○ 結論

 障害福祉サービスに従事する労働条件は、他の労働分野との均衡や専門職種の性格を加味した水準を最低基準とすべきである。

○ 理由

 コミュニケーション支援事業においては、一般労働分野のパート賃金程度のところから、情報保障支援としてふさわしい時給が設定されるところまで地域間格差が著しい。

【田中( 正) 委員】

○ 結論

 報酬単価の改善。地域生活支援事業の個別給付化の検討。

○ 理由

 人材確保と支援の質の向上のために適正な報酬単価の設定が必要であるが、障害分野では適切なモデル事業による適正報酬構造の議論が不十分なため。
 地域生活支援事業と個別給付のあり方については全体を上から見渡しての議論が必要である。特に目の障害の方の移動支援(同行援護)の個別給付化は急いで解決すべき課題である。

【中西委員】

○ 結論

 国家公務員の給与表に基づいて給料が支払われるような水準に保つべきである。

○ 理由

 まず総合福祉法の中で給与は国家公務員の給与水準に準ずるという項目を設け、介助サービスの省令等で明確にこのサービスにもとづく職員の給与は国家公務員の給与に準ずると明記すべきである。

【中原委員】

○ 結論

 支援員の定着と質・量を適切な水準に保つには、次のようなことが必要となる。

  • 職員の配置基準を上げる。
  • 一定の給与水準が確保される仕組みを作る。

 例えば、国家公務員の俸給表を参考に、業務内容に応じた給与体系にするなど、一定水準の賃金が保障されるような仕組みを導入するとともに、報酬単価の引き上げを行うこと。

○ 理由

 福祉現場では労働法規を遵守するために、少ない職員配置基準のなかで過度な労働を強いられているため。

【奈良崎委員】

○ 結論

 福祉サービスについては、福祉が考えてほしいです。労働分野については、労働の中で考えてほしいです。

○ 理由

 労働はサービスでは。一つも私が考えることがないから。

【西滝委員】

○ 結論

  1. 常勤換算により、パ-トや臨時職員が増えている。常勤換算方式を見直し、正規職員で専門性の高い職員が雇用できるような報酬体系にすべきである。
     また、上記と関連して、パ- トや臨時職員だけでの常勤換算職員数について、例えば、正規職員の30%を超えてはならない等の規定を設けるべきである。
  2. 看護師やOT・PT、栄養士等の専門職の配置基準を見直し、配置できる報酬単価の引き上げを行なうこと。配置すれば加算をするという加算方式を見直し、事業によって配置すべき専門職の職種・人数の基準を明記し、配置を義務付けるべきである。
  3. 労働基準法第1 条に則った処遇を明記し、順守されるしくみが必要である。

○ 理由

  • 利用者の実態や支援のニ- ズを考えると、看護師やOT・PT、栄養士等の専門職が必要であっても、報酬が低く最終的に配置できない。また、専門職を長期間安定して雇用する必要がある。
  • 重度・高齢化が進む中で、専門職の配置は必須条件である。

【東川委員】

○ 結論

 職員が出産や育児・介護などで休暇制度を取っても身分保障が続くように、小規模事業所などへのフォローの仕組みを自治体等で保障する仕組みを設定できないか。

○ 理由

 小規模事業所では、出産や育児・介護休暇などが実質取れずに退職する等あり、複数事業所による共同対応の手立てなどを自治体がバックアップするべきである。福祉保育労働者として労働法規を適用できる雇用形態にするべきである。

【広田委員】

○ 結論

 いらない。

○ 理由

 コンシューマーのためのサービス法だから。

【福井委員】

○ 結論

 障害者総合福祉法では、まず福祉労働とは何かから始まって、その役割や特別の専門性を明らかにして、抜本的な制度改正に言及すべきである。当然、障害者権利条約の水準を担保しながら、公的責任を明らかにして、ナショナルミニマムとしての福祉制度が構築できるようにすべきである。特に報酬問題について改善をはかる必要があるが、そのことが直接当事者負担、利用料の値上げにならないような仕組みを作るべきである。

○ 理由

 障害者福祉を再生するためには、支援職員の労働条件の改善を抜きに考えられない。
 逼迫している現状の打開をはかるために、最優先の課題として、取り組むべきである。

【藤岡委員】

○ 結論

 総合福祉法において、報酬を月額払いとして、設備や人員配置の最低基準を定めるべきである。職員の常勤換算方式を禁止すべきである。
 報酬基準は支援職員の十分な賃金を確保できる水準とする。

○ 理由

 現在の支援職員は低賃金・長時間の過重労働を強いられる上に、非正規化 が進行しており、労働条件は劣悪である。
 常勤換算方式をとったことで、短時間労働や契約制が導入され、職員間の コミュニケーションが困難になり、サービス低下、人材育成の困難さにつな がっている。
 論点D-5-5 参照

【増田委員】

○ 結論

 報酬の基準を国家公務員等に準じると定める.

○ 理由

 障害者支援の仕事は営利を目的にする職業ではなく,本来ならば公的な事業として展開するべきである. しかし,多くが民間団体に安上がりに委ねられている.障害者支援の性質を考えると公務員に準じる報酬とする必要がある.

【三浦委員】

○ 結論

 新たな支援体系や類型ごとの支援内容の議論とあわせて、人員基準を始めとする諸基準を根拠ある( 支援の必要度を適切に反映した)ものとし、それに見合う報酬体系とする。また、キャリアパスの仕組みを導入したことにともない、それに見合う今後の報酬改定を確実に行う必要がある。

○ 理由

 障害特性等に応じた支援の必要性を反映した人員基準等とし、報酬上の評価を適切に行う必要がある。また、福祉・介護人材の処遇改善を着実に図ることのできる報酬水準を維持するべきであると考えるため。

【光増委員】

○ 結論

 先ず、障害福祉に係る職員の労働実態の調査が必要。賃金、労働時間、退職金、有給取得率、勤続年数、退職理由等々。
 報酬単価改正をされているが、末端の支援職員にまで届いていない。社会福祉法人会計について、一定の人件費支出となる指針を設定すべきではないか。

○ 理由

 劣悪状況を、人材不足と騒ぐだけでは対策は取れない。根源の問題を探る 必要あり。
 報酬単価改正をされても、法人・事業所会計の弾力的な裁量にまかされて おり、ある意味では活発な事業活動を可能にしたが、一方で目的化した財源 措置が、必ずしも意とした執行がされているとはいえない。

【宮田委員】

○ 結論

 施設におけるO J T などの研修体制を義務化するとともに、支援職員の経歴や資格等に対して「給与加算」する給付体系が必要。加えて、医療型施設を除く福祉型施設にも理学・作業療法士や言語聴覚士などを配置できる配置基準の改定や「専門職加算」の設定などが検討される必要がある。

○ 理由

 OJTなど施設による職員の資質向上のための努力や各種専門職の配置は、現在のところ施設の収入にはつながらず、サービスの質の向上への努力には施設間格差が大きい。この点を、制度的に補てんする必要がある。

【森委員】

○ 結論

 報酬単価のあり方、報酬払い方式の見直し、正職員の換算化方式の廃止(原則正規職員として採用)、初任給の基準額の設定を規定し、障害福祉サービスの質・量を適切な水準に保つべきである。

○ 理由

 支援職員の賃金その他の労働条件が他の分野と比べて水準が低いこと。現在、国から事業者に対して要求される事項は、サービスの質・量を適切な水準に保とうとすることと相反することが多く、逆に現場の不満につながる結果となっている。個々の利用者のニーズに応えられるサービスの提供をいかに確保するかといったことに取り組む上でも、現場の状況をしかり把握し、規定すべき事項を考えるべきである。

【山本委員】

○ 結論

 出来高払いではなく、月給として最低賃金を保証する体制、および各種保険を労働者として保障できる体制が必要。

○ 理由

 出来高払いでは労働者は安定した生活が保障されないから

【渡井委員】

○ 結論

 盲ろう者向け通訳・介助謝金の最低単価を指定する。

○ 理由

 盲ろう者向け通訳・介助の仕事はコミュニケーションと移動の支援を同時に行っているにもかかわらず、ガイドヘルパーや手話通訳の謝金と同レベルかそれよりも低く設定している地域があるから。

<項目H-3 その他>

論点H-3-1) 「分野H 報酬や人材確保等」についてのその他の論点及び意見

【荒井委員】

○ 結論

 障害者の地域での住まいの受け皿としてグループホームやケアホームの供給が進むよう報酬基準の大幅な引き上げが必要。

【伊澤委員】

○ 結論

 新しい法律の内容が良くても実行する人や事業所が無ければ話にならない。障害福祉サービスの質・量を適切な水準に保つには報酬の裏付け=マンパワーの確保である。

○ 理由

 新しい法律を作るのは短期間でできるだろうが、人づくりや地域の環境整備はそうはいかない。しっかりとしたビジョンや財政投入を軸とした構えや具体的対応が必要である。特に先述の社会的事業インフラの量・質両側面からの整備は急がれる。

【氏田委員】

○ 結論

 支援職員の質を高めることが重要な課題となっており、人材確保を失業者の福祉分野への導入という安易な方法で行うべきではない。他に行き場がないから福祉分野へということではますます支援職員の質の低下を招くことになる。支援職員のモチベーションを含めた、教育・育成体制の整備が必要不可欠である。また質の高い支援を確保するためには、標準化された専門性の担保は不可欠であり、今後、心理など関連する専門職の資格化なども視野に入れ検討する必要がある。
 一定水準の賃金を将来にわたって安定して得られる公務員制度と良い人材を残そうとする民間経営の仕組みを取り入れた仕組みにすることにより、福祉を志す人が増えて、そのような人材がある程度の時間を使って育っていける環境であること、事業者がそのような人材に対して質を重視した指導ができる余裕を持てるような制度である必要がある。

○ 理由

 世界保健機構 (WHO)が2001 年に定めた国際生活機能分類(ICF)が示すように、世界の支援は、さまざまな専門職種が連携しながら障害のある人たちの「生活を支援する」という方向に向かっている。特に発達障害のある人への質の高い支援の提供のためには、医療的な診断(diagnosis)だけでなく、生活機能モデルに基づいて課題を把握し、その人ならではの個別的な目標を設定する必要がある。目標の設定、実現にあたり、障害のある人への質の高い支援を確保するためには、心理専門職などの関連する専門職を含めたチームによるアセスメントが必要であり、標準化された専門性の担保が不可欠であると考える。

【大濱委員】

○ 結論

  • 障害者の場合は社会参加しているため計画が変わるのが普通なので、事業所の事務量を減らすために、介護保険を丸写しにした仕組みである居宅介護計画や重度訪問介護計画は廃止すべき。
  • 事業所の事務量を減らすために、請求ソフト等は国が高度なものを用意して配るべき。
  • 重度訪問介護の長時間利用者の死亡や入院などで、突然に常勤介護職員の職がなくなった場合、介護職員の数ヶ月分の給与が保障されるような損害保険を国で作るなど、公的な保障制度を導入すべき。

○ 理由

  • 重度訪問介護の場合は、非常勤職員では介護の質が低下するため、重度障害者の状況を充分に把握したベテラン常勤職員が従事することが必要。このため、特定の人材が安定的に長期間に渡って従事し続けることが通常である。そのためには、一時的な入院後、同じ特定の介護者から介護が受けられるようにしておく必要がある。従って、一時入院の場合は、退院に備えて数ヶ月待ってもらうしかない。このような場合の保障制度が必要。長時間利用者が死亡した場合にも、同様の期間の保障が必要。

【北浦委員】

○ 結論

 人材の確保には、賃金等の労働条件が一定水準以上に確保されると共に、研修等による能力向上や、人間性を高めることのできる魅力ある職場であることが必要である。そのためには、事業者に適切なサービス報酬額が支給される必要があり、また、その財源( 予算枠)の確保が図られなければならない。

○ 理由

 人材確保のためには、一定水準の賃金保障や、自己を高める研修の機会の確保等により、魅力ある職場とすることが必要であるが、現在の報酬額では困難であり、適切な報酬額が事業者に支払われるような配慮が望まれる。

【倉田委員】

○ 結論

 家族に認められている医療的ケアを「医行為」ではなく「生活支援行為」に位置づけ、適切な指導や管理の下、障害者と日頃から身近に接しているヘルパーや施設の介護職員、地域の学校の講師にも実施できるよう、要件を緩和すべきである。

○ 理由

 現在、医療的ケアは、原則的には医療職と当事者の家族にしか認められていないため、医療的ケアを実施できる人材の絶対数が不足している。結果、医療的ケアに対応できる障害福祉サービス基盤が整備できず、家族の過重な介護負担はきわめて深刻な問題となっている。現在国の検討会で議論されている「たんの吸引等の試行事業案」では、実施可能な行為の範囲が狭く、講義や実習が多大で、人材確保にあまりにも時間がかかりすぎるため、課題解決のためには、一刻も早く規制緩和を実施し、医療的ケアができる人材を早急に確保すべきである。

【近藤委員】

○ 結論

 大学生に対し、在学中の1年間を福祉等における労働奉仕(高卒初任給程度で処遇)の義務化を検討してはどうか。
 さらに、ニート、フリーター等への福祉職をめざすための研修制度の検討、高齢者の力を活用の検討、外国人の力の更なる活用の検討が必要ではないか。

○ 理由

 急速な高齢化の進展、人口減少の中、福祉・介護のための人材確保はますます困難になることが予測されている。限られた人材の有効活用を図るため方策になるものと考えられる。

【中西委員】

○ 結論

 介護保険スタート時において福祉サービスに国家の財源が大きく振り向けられるので、その意味での就職希望者が増加した時期があった。しかし現在は福祉サービスは劣った職業という位置づけが社会に蔓延し、大学の福祉コースの閉鎖が続いており、卒業者で福祉に進む者も1、2割に激減してしまった。国家政策の中で福祉サービスを、雇用を目指す3大事業の一つとして明確に位置づけ、潤沢な財源の配分をO E C D の財源配分を参考として、まずOECD平均値まで持ち上げるべきであり、障害者予算は6 倍に持ち上げるべきである。

【中原委員】

○ 結論

 事務の負担軽減が課題である。

○ 理由

 障害者自立支援法の施行以前に比べ、事務員の請求事務ばかりでなく支援員の事務量が極端に増えている。事務の簡素化のためには、本体報酬に含めることが可能な加算は報酬のなかで評価することや、事務職員の配置基準を設ける、サービス体系の簡素化などが必要であると考える。

【奈良崎委員】

○ 結論

 福祉の給料がかなり少ないために福祉の仕事をやる人がいない。

○ 理由

 ぜひ補助金を出してほしいです。そして、もっと福祉の人たちが増えてほしいです。

【東川委員】

○ 結論

 研鑽機会の保障および機関や法人外の地域内に事例や実践へのアドバイザーを設置するなど、研鑽の仕組みの構築が必要。

○ 理由

 福祉労働における報酬の改善は当然望まれるが、小規模事業所では、人間関係の問題が生じることなどが雇用継続のネックとなることもある。人間関係のトラブルの要因は、支援や実践のあり方を巡ることも多い。もちろん労働者の人間関係の問題は提供サービスにも影響するので、研鑽の機会が豊富にあることや保障されていることが重要と考えられる。

【福井委員】

○ 結論

 この分野の事業所報酬の支払いについては、新法の制定を待たずに、日払い方式を廃止し、早急に原則月払いに戻すべきである。部会としては討議して、緊急要望書として特別に要請する必要がある。

○ 理由

 いま、社会全体をおおっている貧困と格差の広がりの中で、この分野の改 善に早急に手を付けていくことが必要である。このまま放置していることは、 さらに大きな犠牲と損失を生みかねない情勢であり、非常に危機感がある。

【増田委員】

○ 結論

 障害者支援の仕事は定型業務ではなく,常に判断が求められる仕事である.その性質上,ある一定の養成期間は必要であり,大学など専門機関と障害者支援の現場が有機的な連携を行い,働きながら研鑽できる仕組みが必要である.

【光増委員】

○ 結論

 常勤換算をやめるべきで、グループホーム等に関しては定員に基づく傾斜報酬制度にしてはどうか

○ 理由

 常勤換算で、援助者のパート化が進み、雇用が不安定になっている。長続きしないので、援助を教える立場の人が育たず、援助の継続が危うくなっている。特に障害の重い人や援助の難しい人達の生活の継続が困難。安全面の配慮、防災対応など、非日常の対応が継続しない。
 一人いくらの報酬では、人数を増やすほど、収入が多くなり、運営的には楽になるため、大規模化が進んでいく。これは障害のある人にとっては、生活しにくい状況となる。

【渡井委員】

○ 結論

 盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業のコーディネーターの身分保障。

○ 理由

 コーディネーターがいなければ盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業の運営ができないはずだが、それを担う人件費や事務経費の保障がない、またはされていない地域もあるから。